JP7044265B2 - 保護膜を含む種結晶の製造方法、これを適用したインゴットの製造方法、保護膜を含む種結晶及び種結晶の付着方法 - Google Patents

保護膜を含む種結晶の製造方法、これを適用したインゴットの製造方法、保護膜を含む種結晶及び種結晶の付着方法 Download PDF

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Description

具現例は、保護膜を含む種結晶の製造方法、これを適用したインゴットの製造方法などに関し、より欠陥が少なく、インゴットの反りが減少した炭化珪素インゴットの製造に活用される保護膜を含む種結晶の製造方法などに関する。
他の具現例は、種結晶の一面に保護層及び接着層を形成して種結晶を種結晶ホルダに付着する方法に関する。
高電圧、高出力、光電子素子などを製造するのに用いられるガリウムナイトライド(GaN)、アルミニウムナイトライド(AlN)、炭化珪素(SiC)などの基板素材の中で炭化珪素は、サファイアやシリコンよりも脚光を浴びている。
単結晶炭化珪素(single crystal SiC)は、エネルギーバンドギャップ(energy band gap)が大きく、最大絶縁破壊電界(break field voltage)及び熱伝導率(thermal conductivity)がシリコン(Si)よりも優れている。このような特性により、単結晶炭化珪素は、高効率化、高耐圧化及び大容量化が要求される半導体デバイスへの適用が期待される。
炭化珪素は、液相蒸着法(Liquid Phase Epitaxy;LPE)、シード型昇華法、化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition;CVD)などにより成長する。その中でもシード型昇華法は、高い成長率を有することによってインゴットの形態の炭化珪素を作製することができるので最も広く用いられており、シード型昇華法は、物理的蒸気輸送法(Physical Vapor Transport;PVT)ともいう。
単結晶の製造方法として、例えば、日本公開特許公報第2001-114599号(特許文献1)には、アルゴンガスを導入できる真空容器(加熱炉)の中でヒータにより加熱しながら、種結晶の温度を原料粉末の温度よりも10~100℃程度低温に保つことによって、種結晶上に単結晶インゴットを成長させることが開示されている。
単結晶インゴットの成長のためには、一般に、種結晶の接着工程を予め経ている。ところで、種結晶と種結晶ホルダとが完全に付着しない部分が発生し、この部分に巨視的なチャネルまたは気孔などの不連続な欠陥が発生する。これは、高品質の炭化珪素単結晶を生産することが難しいという問題につながる。
日本公開特許公報第2001-114599号(2001.04.24) 韓国登録特許公報第10-1809642号(2017.12.15)
具現例は、より欠陥が少なく、インゴットの反りが減少した炭化珪素インゴットの製造に活用される保護膜を含む種結晶の製造方法などを提供することを目的とする。
具現例は、より欠陥が少なく、インゴットの反りが減少した炭化珪素インゴットの製造方法などを提供することを他の目的とする。
具現例は、種結晶の一面に保護層及び接着層を形成し、該種結晶を種結晶ホルダに付着することによって、SiC単結晶インゴットの成長時に、成長時間の短縮はもとより、成長安定性及び品質が向上したSiC単結晶インゴットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、具現例に係る保護膜を含む種結晶の製造方法は、第1層用組成物及び第2層用組成物を準備する準備ステップと;前記第1層用組成物を適用して、種結晶の後面上に第1層が位置する種結晶を設ける第1層形成ステップと;前記第2層用組成物を適用して、前記第1層上に位置する第2層が含む保護膜を形成して、保護膜を含む種結晶を設ける第2層形成ステップと;を含む。
前記第1層用組成物は、第1バインダー樹脂及び第1溶媒を含む。
前記第2層用組成物は、第2バインダー樹脂、フィラー、及び第2溶媒を含む。
前記第1層の底面から前記第2層の上面までの厚さを基準として、前記第1層の厚さが30%以下であってもよい。
前記第1層用組成物は、前記第2層用組成物よりも低い固形分含量を有することができる。
前記第2層用組成物は、前記第1層用組成物よりも多い量のフィラーを含むことができる。
前記第1層用組成物は、前記第1バインダー樹脂の固形分100重量部を基準として、カーボン系フィラーまたは金属系フィラーを1重量部以下含むことができる。
前記第2層用組成物は、前記第2バインダー樹脂の固形分100重量部を基準として、前記フィラー20~300重量部を含むことができる。
前記第1層は、前記第1層全体を基準として、カーボン系フィラーまたは金属系フィラーを1重量%以下含むことができる。
前記第1層は、前記第1層用組成物で形成された第1コーティング層を乾燥し、硬化した第1フィルム層であってもよい。
前記第2層は、前記第2層用組成物で形成された第2コーティング層を乾燥し、硬化した第2フィルム層であってもよい。
前記第1層は、前記第1フィルム層が炭化した第1炭素質層であってもよい。
前記第2層は、前記第2フィルム層が炭化した第2炭素質層であってもよい。
前記保護膜は、前記第2層上に1~8個の追加層をさらに含むことができる。
前記追加層は前記第2層用組成物で形成されてもよい。
前記第1層の厚さは20μm以下であってもよい。
具現例に係る保護膜を含む種結晶は、前面及び後面を有する炭化珪素種結晶と;前記種結晶の後面上に位置する保護膜とを含む。
前記保護膜は、前記種結晶の後面に直接接する第1層と;前記第1層上に位置する第2層と;を含むことができる。
前記第1層の底面から前記第2層の上面までの厚さを基準として、前記第1層の厚さが30%以下であってもよい。
前記第2層は、前記第1層よりも多い量のフィラーを含むことができる。
前記第1層は第1フィルム層であってもよい。
前記第2層は第2フィルム層であってもよい。
前記第1層は、前記第1層全体を基準として、カーボン系フィラーまたは金属系フィラーを1重量%以下含むことができる。
前記種結晶の前面はC面(000-1)であってもよい。
前記種結晶は、4インチ以上の直径を有することができる。
前記種結晶は、前記種結晶の前面上に位置するインゴットをさらに含むことができる。
前記インゴットは炭化珪素インゴットであってもよい。
前記インゴットは炭化珪素単結晶インゴットであってもよい。
前記インゴットは、4インチ以上の直径を有することができる。
前記インゴットは、反りが500μm以下であってもよい。
前記インゴットは、マイクロパイプ欠陥を1個/cm以下で含むことができる。
前記第1層は、炭化した第1炭素質層であってもよい。
前記第2層は、炭化した第2炭素質層であってもよい。
前記第1層の厚さは20μm以下であってもよい。
具現例に係るインゴットの製造方法は、反応容器の内部空間に原料物質を位置させ、前記原料物質の上部に保護膜を含む種結晶を位置させる配置ステップと;前記保護膜を含む種結晶の前面上に結晶を成長させてインゴットを製造する再結晶ステップと;を含んでインゴットを製造する。
前記保護膜を含む種結晶は、前面及び後面を有する炭化珪素種結晶と;前記種結晶の後面上に位置する保護膜とを含む。
前記保護膜を含む種結晶は、載置台によってその位置が固定されてもよい。
前記反応容器は、前記反応容器本体の内壁または開口部に位置する載置台をさらに含むことができる。
前記載置台は、前記反応容器の内部空間に配置されて前記保護膜を含む種結晶を支持することができる。
前記支持は、前記載置台と前記保護膜を含む種結晶の一部とが少なくとも3点以上で接して行われてもよい。
前記保護膜を含む種結晶は、種結晶ホルダまたは反応容器と接着されずにその位置が固定され得る。
前記保護膜は、前記種結晶の後面に直接接する第1層と;前記第1層上に位置する第2層と;を含むことができる。
前記第1層の底面から前記第2層の上面までの厚さを基準として、前記第1層の厚さが30%以下であってもよい。
前記第2層は、前記第1層よりも多い量のフィラーを含むことができる。
前記第1層は第1フィルム層であってもよい。
前記第2層は第2フィルム層であってもよい。
前記第1層は、前記第1層全体を基準として、カーボン系フィラーまたは金属系フィラーを1重量%以下含むことができる。
前記種結晶の前面はC面(000-1)であってもよい。
前記種結晶は、4インチ以上の直径を有することができる。
前記種結晶は、前記種結晶の前面上に位置するインゴットをさらに含むことができる。
前記インゴットは炭化珪素インゴットであってもよい。
前記インゴットは炭化珪素単結晶インゴットであってもよい。
前記インゴットは、4インチ以上の直径を有することができる。
前記インゴットは、反りが500μm以下であってもよい。
前記インゴットは、マイクロパイプ欠陥を1個/cm以下で含むことができる。
前記第1層は、炭化した第1炭素質層であってもよい。
前記第2層は、炭化した第2炭素質層であってもよい。
前記第1層の厚さは20μm以下であってもよい。
他の具現例に係る種結晶の付着方法は、(a)種結晶の一面に保護層を形成するステップと;(b)前記保護層上に接着層を形成するステップと;(c)前記種結晶を種結晶ホルダに付着するステップと;を含む。
前記ステップ(a)が、(a-1)バインダー樹脂及びフィラーを含む保護層用組成物を製造するステップと;(a-2)前記保護層用組成物を種結晶の一面に塗布するステップと;(a-3)前記保護層用組成物を熱処理するステップと;を含むことができる。
前記保護層用組成物が、前記保護層用組成物の全重量を基準として、前記バインダー樹脂を50重量%~70重量%、前記フィラーを5重量%~30重量%含むことができる。
前記熱処理するステップ(a-3)が、前記保護層用組成物を乾燥、硬化、及び炭化(carbonization)又は黒鉛化(graphitization)する過程を含むことができる。
前記乾燥が30℃~350℃の温度範囲で行われ、前記硬化が100℃~400℃の温度範囲で行われてもよい。
前記炭化又は黒鉛化が、200℃~2,500℃の温度、及び1torr~1,500torrの圧力条件で行われてもよい。
前記ステップ(b)が、(b-1)バインダー樹脂及びフィラーを含む接着層用組成物を製造するステップと;(b-2)前記接着層用組成物を前記保護層上に塗布するステップと;を含むことができる。
前記接着層用組成物が、前記接着層用組成物の全重量を基準として、前記バインダー樹脂を70重量%~90重量%、前記フィラーを20重量%~40重量%含むことができる。
前記ステップ(b)の後、前記ステップ(c)の前に、前記種結晶ホルダの下部面をパターニングするステップをさらに含むことができる。
前記パターニングステップを経た種結晶ホルダの表面粗さ(Ra)が0.5mm~3mmであってもよい。
前記ステップ(c)の後に、炭化または黒鉛化するステップをさらに含むことができる。
前記保護層の厚さは、0.1μm~2,000μmであってもよい。
前記接着層の厚さは、10μm~2,000μmであってもよい。
前記保護層の密度が前記接着層の密度よりも高くてもよい。
保護膜を含む種結晶の具現例によれば、比較的単純な方法で保護膜を含む種結晶を製造しながらも、これを用いれば、より欠陥の少ない単結晶炭化珪素インゴットを製造することができ、特に、反りが減少した炭化珪素インゴットを製造することができる。
保護膜を含む種結晶の具現例によれば、種結晶の後面に炭素質保護膜を形成するため、成長のための加熱中に発生し得る種結晶の後面の損失を防止することができる。特に、前記炭素質保護膜を多層に形成し、かつ各層別に物性を異ならせて構成することによって、単層に保護膜を形成する場合よりも、膜質、種結晶と保護膜との間の接着性、保護膜の厚さの観点でその物性が向上することができる。これによって、単結晶インゴットの成長中に発生し得る応力をより効果的に抑制して、インゴットのクラック発生などの品質低下を防止することができる。
種結晶の付着方法の具現例によれば、SiC単結晶インゴットの成長時に、種結晶と種結晶ホルダとの間の付着面で発生する気泡の発生を抑制させることができるので、SiC単結晶インゴットの成長中に種結晶が離脱することを防止することができる。また、SiC単結晶インゴットの成長安定性を高めることができるので、SiC単結晶インゴットの品質を向上させることができる。
具現例によって保護膜を種結晶の後面に形成する過程を説明する概念図である。 インゴットを成長させる反応容器(坩堝)の構造を説明する概念図である。 インゴットを成長させる反応容器(坩堝)の構造を説明する概念図である。 図2の坩堝を反応チャンバに設置した後の構造を説明する概念図である。 製造例1の実施例1で製造したインゴット(a)及び比較例1によって製造したインゴット(b)の実物写真である。 具現例のSiCインゴットを成長させる反応容器の断面図を示す図である。 製造例2の実施例のSiCインゴットの表面イメージである。 製造例2の実施例のSiCインゴットのUVイメージである。 製造例2の実施例のSiCインゴットが成長が完了した後の種結晶の表面イメージである。 製造例2の比較例のSiCインゴットの表面イメージである。 製造例2の比較例のSiCインゴットのUVイメージである。 製造例2の比較例のSiCインゴットの成長が完了した後の種結晶の表面イメージである。
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、具現例について添付の図面を参照して詳細に説明する。しかし、具現例は、様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。明細書全体にわたって類似の部分に対しては同一の図面符号を付した。
具現例において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群から選択される1つ以上を含むことを意味する。
具現例において、「第1」、「第2」又は「A」、「B」のような用語は、同一の用語を互いに区別するために使用される。また、単数の表現は、文脈上明らかに別の意味を示すものでない限り、複数の表現を含む。
具現例において、「~」系は、化合物内に「~」に該当する化合物、又は「~」の誘導体を含むことを意味するものであり得る。
具現例において、A上にBが位置するという意味は、A上に直接当接してBが位置するか、またはそれらの間に別の層が位置しながらA上にBが位置することを意味し、Aの表面に当接してBが位置することに限定されて解釈されない。
具現例において、単数の表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数又は複数を含む意味で解釈される。
具現例において、種結晶の「前面」とは、一般的に広く平らな形状を有する種結晶の両面のうち単結晶インゴットが成長する面を意味し、反対に、種結晶の「後面」とは、単結晶インゴットが成長する面の反対面を意味する。
具現例において、保護膜を説明しながら言及される第1層は、フィラーが実質的に適用されなか、または極微量適用されて種結晶の後面と直接接する層を意味し、第2層は、前記第1層上に形成され、フィラーが適用された層を意味する。
図1は、具現例によって保護膜を種結晶の後面に形成する過程を説明する概念図である。前記図1を参照して、具現例をより詳細に説明する。
具現例に係る保護膜を含む種結晶の製造方法は、第1層用組成物及び第2層用組成物を準備するステップと;第1層形成ステップと;第2層形成ステップと;を含む。
前記種結晶の製造方法は、前記第1層の底面から前記第2層の上面までの厚さを基準として、前記第1層の厚さが30%以下である保護膜を含む種結晶を製造する。
前記第1層用組成物は、前記第2層用組成物よりも低い固形分含量を有することができる。
前記第1層用組成物は、第1バインダー樹脂を含み、第1溶媒をさらに含むことができる。前記第2層用組成物は、第2バインダー樹脂及びフィラーを含み、第2溶媒をさらに含むことができる。
前記第1バインダー樹脂は、残炭量(actual carbon ratio)の高い樹脂が適用されることがよい。具体的には、前記第1バインダー樹脂は、不活性雰囲気で測定した残炭量が5~50重量%であるものであってもよく、10~30重量%であるものであってもよい。より具体的には、前記第1バインダー樹脂は、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ピッチ系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸樹脂、フラン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはこれらの混合樹脂であってもよい。
前記第1溶媒は、前記第1バインダー樹脂の分散を助け、第1コーティング層を形成できるものであれば適用可能である。前記第1コーティング層は、後述する過程で第1層となり得る。前記第1溶媒としては、具体的には、エタノール、メタノール、アセトン、DMF(dimethylformamide)、またはDMSO(dimethyl sulfoxide)を含む溶媒が適用され得る。
前記第1層用組成物は、前記第2層用組成物よりも少ない量のフィラーを含むことができる。
前記第1層用組成物は、前記第1バインダー樹脂の固形分100重量部を基準として、カーボン系フィラーまたは金属系フィラーを1重量部以下含むことができる。
前記第1層用組成物は、固形分である前記第1バインダー樹脂100重量部を基準として、カーボン系フィラーまたは金属系フィラーを0.1重量部以下含むものであってもよい。前記第1層用組成物は、固形分である前記第1バインダー樹脂100重量部を基準として、カーボン系フィラーまたは金属系フィラーを実質的に含まなくてもよい。
前記第1層用組成物は、フィラーを実質的に含まなくてもよい。
このように、前記第1層用組成物がカーボン系フィラー又は金属系フィラーを極少量含む、または実質的にフィラーを含まない場合には、具現例で意図する熱収縮が最小化され、応力が制御された第1層を形成することができる。
前記第1層用組成物は、前記第1バインダー樹脂を5~99重量%含有することができ、10~95重量%含有することができ、または85~94重量%含有することができる。
前記第1層用組成物は、前記第1バインダー樹脂の固形分を基準とするバインダー樹脂の含量が、5~30重量%であってもよく、5~20重量%であってもよく、1~15重量%であってもよい。
このような含量で前記第1バインダー樹脂または固形分を含む場合、コーティング性に優れると共に、熱収縮の発生を最小化した層を形成することができる。
前記第2バインダー樹脂は、フィラーと共に第2層用組成物内に分散して第2コーティング層を形成する。前記第2層用組成物は第2溶媒をさらに含むことができる。前記第2コーティング層は、後述する過程で第2層となり得る。
前記第2バインダー樹脂についての具体的な説明は、前記第1バインダー樹脂についての説明と重複するので、詳細な記載を省略する。前記第1バインダー樹脂と前記第2バインダー樹脂は、互いに同一のバインダー樹脂が適用され得る。
前記第2溶媒についての具体的な説明も、前記第1溶媒についての説明と重複するので、その説明を省略する。前記第1溶媒と前記第2溶媒は、互いに同一の溶媒が適用され得る。
前記フィラーとしては、炭素質フィラー、金属系フィラー、またはこれらの複合フィラーが適用されてもよい。具体的には、前記フィラーとしては、鱗状黒鉛、土状黒鉛、膨張黒鉛、カーボンブラック、炭素ナノチューブ、グラフェン及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つの炭素質フィラーが適用されてもよい。また、前記フィラーとしては、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つの金属系フィラーが適用されてもよい。
前記フィラーを含む組成物は、前記組成物のコーティング後の熱処理時に、炭化を促進し、過度の収縮を防止してクラックが形成されることを減少させることができる。
前記第2層用組成物は、前記第2バインダー樹脂の固形分100重量部を基準として、前記フィラーを20~300重量部含むことができ、または40~200重量部含むことができる。
前記第2層用組成物は、前記第2層用組成物全体を基準として、5~40重量%のフィラーを含むことができ、10~30重量%のフィラーを含むことができ、または15~25重量%のフィラーを含むことができる。
このような含量の範囲で前記第2バインダー樹脂と前記フィラーを含む場合、前記第2層用組成物のコーティング性に優れると共に、熱処理後の熱収縮の発生やクラックの発生を最小化することができる。
前記第1層用組成物及び/又は前記第2層用組成物は、必要に応じて、上述した成分以外に、湿潤分散剤、消泡剤などをさらに含むことができる。前記湿潤分散剤や消泡剤は、通常の湿潤分散剤や消泡剤として適用されるものが適用され得る。
前記第1層形成ステップは、前記第1層用組成物を適用して種結晶の後面上に第1層が位置する種結晶を設けるステップである。
前記第1層形成ステップは、前記第1層用組成物を適用して種結晶の後面上に第1コーティング層121aを形成し、前記第1コーティング層121aを乾燥する過程を含んで、前記種結晶110の後面上に第1層121が位置する種結晶110を設けるステップである。
前記種結晶110は、インゴットの成長のために適用する種結晶が適用可能であり、具体的には炭化珪素種結晶が適用され得る。
前記種結晶110は、成長させようとする結晶の種類に応じて、4H-SiCウエハ、6H-SiCウエハ、3C-SiCウエハ、及び/又は15R-SiCウエハであってもよい。前記種結晶は、単結晶炭化珪素ウエハが適用され得る。
前記種結晶110は、前面111と後面112を有する。
前記種結晶の前面111はC面(000-1)であってもよく、前記前面としてC面(000-1)が適用される場合、より欠陥の少ない炭化珪素インゴットを製造することができる。
前記第1層121は、前記種結晶の後面112と直接接するように形成され得る。
前記種結晶110は、その後面112に前記第1コーティング層121aを形成する前に洗浄ステップを予め経ることができる。前記洗浄ステップは、前記準備ステップと同時に又は第1層形成ステップの前に行われてもよい。
前記洗浄ステップは、前記後面112を含む前記種結晶の表面を洗浄溶液で洗浄するステップであってもよい。前記洗浄溶液としては、アセトン、アルコール、蒸留水、酸溶液またはこれらの組み合わせが適用されてもよく、前記洗浄の方法としては、超音波処理、浸漬などの方法が1回以上適用されてもよい。
前記洗浄ステップにより、種結晶の表面でシリコンと酸素とが反応して形成され得る二酸化シリコン酸化膜などが除去され得、このような過程を経た種結晶を用いてインゴットを成長させる場合、より欠陥の少ない単結晶インゴットを得ることができる。
前記第1層121は、前記第1層用組成物で形成される第1コーティング層から生成される。前記第1層121は、前記第1層用組成物を前記後面112上にコーティングする方式などで形成され、そのコーティング方式には特に制限がない。具体的には、スピンコーティング、テープキャスティングなどの通常のコーティング方式を用いることができる。
前記第1コーティング層121aの厚さは、20μm以下であってもよく、1~15μmであってもよく、2~13μmであってもよい。このような厚さに前記第1コーティング層121aを形成する場合、乾燥後に後述する厚さの第1層121を効果的に形成することができる。
前記第1コーティング層121aは、乾燥、又は、乾燥と硬化の過程を経て第1フィルム層である第1層121として形成され得る。
前記第1層は、前記第1フィルム層が炭化した第1炭素質層であり得る。
前記乾燥は、100~350℃の温度で行うことができる。
このように形成された第1層121は、その厚さが15μm以下であってもよく、1~10μmであってもよく、1.5~8μmであってもよい。このような厚さに前記第1層121を形成する場合、インゴットの成長過程で発生し得る熱収縮を最小化しながら、前記第1層121及び以降に形成される第2層122と共に種結晶の後面の損失を防止することができ、インゴットの反りを緩和することができる。
前記第2層形成ステップは、前記第2層用組成物を適用して前記第1層上に位置する第2層が含む保護膜を形成して、保護膜を含む種結晶を設けるステップである。
前記第2層形成ステップは、前記第2層用組成物を適用して前記第1層121上に第2コーティング層122aを形成し、熱処理する過程を含んで、前記種結晶の後面112上に第1層121及び第2層122が位置する種結晶を設けるステップである。
前記第2層122は、前記第2層用組成物で形成される第2コーティング層から生成される。前記第2層122は、前記第2層用組成物を前記第1層121上にコーティングする方式などで形成され、そのコーティング方式には特に制限がない。具体的には、スピンコーティング、テープキャスティングなどの通常のコーティング方式を用いることができる。
前記第2コーティング層122aの厚さは、50μm以下であってもよく、5~40μmであってもよい。このような厚さに前記第2コーティング層122aを形成する場合、乾燥後に後述する厚さの第2層122を効果的に形成することができる。
前記第2コーティング層122aは、熱処理されて第2層122として形成され得る。
前記第2コーティング層122aは、乾燥、又は、乾燥と硬化の過程を経て第2フィルム層である第2層122として形成され得る。
前記第2層は、前記第2フィルム層が炭化した第2炭素質層であり得る。
前記熱処理は、100~350℃の熱処理温度で0.5~10時間行うことができる。前記熱処理は、前記熱処理温度まで昇温が3~20℃/minの昇温速度で行われてもよく、5~15℃/minの昇温速度で行われてもよい。このような速度で前記昇温が行われる場合、熱収縮応力の発生を最小化すると共に、効果的に前記第2コーティング層の炭化(又は黒鉛化)が進行し得る。
前記熱処理は、不活性ガス雰囲気で行うことができ、例えば、アルゴンガスまたは窒素ガス雰囲気で行われてもよい。
前記熱処理は、誘導加熱で行われるか、または抵抗加熱で行われてもよい。すなわち、前記熱処理は、誘導加熱焼成炉で行われてもよく、抵抗加熱焼成炉で行われてもよい。
前記第2層122は、結晶化されていない炭素、または結晶化された炭素(例えば、黒鉛化された炭素)を含むことができる。すなわち、前記第2層122は、前記バインダー樹脂とフィラーの炭化物または黒鉛化物を含むことができる。
このように形成された第2層122は、その厚さが50μm以下であってもよく、5~25μmであってもよい。このような厚さに前記第2層122を形成する場合、インゴットの成長過程で発生し得る熱収縮を最小化すると共に、種結晶の後面の損失を防止することができ、インゴットの欠陥の発生を緩和することができる。
前記保護膜は、前記第2層上に追加層をさらに含むことができる。前記追加層は、1~8個が適用されてもよい。
前記保護膜120を含む種結晶110の製造方法は、前記第2層形成ステップの後に第3層形成ステップをさらに含むことができる。
前記第3層形成ステップは、第3バインダー樹脂、フィラー及び第3溶媒を含む第3層用組成物を適用して前記第2層上に第3コーティング層を形成し、熱処理する過程を含んで、前記種結晶の後面上に第1層、第2層及び第3層が位置する種結晶を設けるステップであってもよい。
前記第3バインダー樹脂についての具体的な説明は、前記第1バインダー樹脂についての説明と重複するので、詳細な記載を省略する。前記第1バインダー樹脂と前記第3バインダー樹脂は、互いに同一のバインダー樹脂が適用され得る。
前記第3溶媒についての具体的な説明も、前記第1溶媒についての説明と重複するので、その説明を省略する。前記第1溶媒と前記第3溶媒は、互いに同一の溶媒が適用され得る。
前記フィラーについての説明は、前記の第2層用組成物の説明で言及したフィラーについての説明と重複するので、その記載を省略する。前記第3層用組成物のフィラーは、前記第2層用組成物のフィラーと同一のものが適用され得る。
前記フィラーを含む組成物は、前記組成物のコーティング後の熱処理時に、炭化を促進し、過度の収縮を防いでクラックが形成されることを防止する役割を果たすことができる。
前記第3層用組成物は、固形分である前記第3バインダー樹脂100重量部を基準として、前記フィラーを20~300重量部含むことができ、または40~200重量部含むことができる。または、前記第3層用組成物は、前記第3層用組成物全体を基準として、5~40重量%のフィラーを含むことができ、10~30重量%のフィラーを含むことができ、または15~25重量%のフィラーを含むことができる。このような含量の範囲で前記第3バインダー樹脂と前記フィラーを含む場合、前記第3層用組成物のコーティング性に優れると共に、熱処理後の熱収縮の発生やクラックの発生を最小化することができる。
前記第3層用組成物は、上述した成分以外に、湿潤分散剤、消泡剤などを必要に応じてさらに含むことができるという点は、上述と同様である。
前記第3層(図示せず)は、前記第3層用組成物で形成される第3コーティング層(図示せず)から生成される。前記第3層は、前記第3層用組成物を前記第2層122上にコーティングする方式などで形成され、そのコーティング方式には特に制限がない。具体的には、スピンコーティング、テープキャスティングなどの通常のコーティング方式を用いることができる。
前記第3コーティング層の厚さは、50μm以下であってもよく、5~40μmであってもよい。このような厚さに前記第3コーティング層を形成する場合、乾燥後に後述する厚さの第3層を効果的に形成することができる。
前記第3コーティング層は、熱処理されて第3層(図示せず)として形成され得る。
前記第3コーティング層は、乾燥、又は、乾燥と硬化の過程により第3フィルム層である第3層(図示せず)として形成され得る。
前記第3フィルム層は、炭化して第3炭素質層を形成することができる。
前記熱処理は、100~350℃の熱処理温度で0.5~10時間行うことができる。前記熱処理は、前記熱処理温度まで昇温が3~20℃/minの昇温速度で行われてもよく、5~15℃/minの昇温速度で行われてもよい。このような速度で前記昇温が行われる場合、熱収縮応力の発生を最小化すると共に、効果的に前記第3コーティング層の炭化(又は黒鉛化)が進行し得る。
前記熱処理は、不活性ガス雰囲気で行うことができ、例えば、アルゴンガスまたは窒素ガス雰囲気で行われてもよい。
前記熱処理は、誘導加熱で行われるか、または抵抗加熱で行われてもよい。すなわち、前記熱処理は、誘導加熱焼成炉で行われてもよく、抵抗加熱焼成炉で行われてもよい。
前記第3層は、結晶化されていない炭素、または結晶化された炭素(例えば、黒鉛化された炭素)を含むことができる。すなわち、前記第3層は、前記バインダー樹脂とフィラーの炭化物または黒鉛化物を含むことができる。
このように形成された第3層は、その厚さが50μm以下であってもよく、5~25μmであってもよい。このような厚さに前記第3層を形成する場合、インゴットの成長過程で発生し得る熱収縮を最小化すると共に、種結晶の後面の損失を防止することができ、インゴットの欠陥の発生を最小化することができる。
前記追加層は、前記第2層又は前記第3層と同様の方法で形成することができる。
前記種結晶110は、前記第1層121の底面から前記第2層122の上面までの厚さを基準として、前記第1層121の厚さが30%以下である保護膜を含むことができる。前記種結晶110は、前記第1層121の厚さが1~30%である保護膜を含むことができる。前記種結晶110は、前記第1層121の厚さが5~25%である保護膜を含むことができる。
このように、前記第1層121の厚さが上述した範囲を有するように前記第1層121と前記第2層122を共に含む場合、他のディフェクトも減少するが、特に、種結晶110から成長したインゴットの反りの発生がより一層減少することができる。
このような具現例の特徴は、第1層121が相対的に薄い厚さで実質的にフィラーの適用なしに形成されることで、熱収縮が効果的に減少しながらも、前記第1層121上に形成される第2層122の役割による複合的な効果であると考えられる。
前記第1層121は、前記保護膜120全体の厚さを基準として、30%以下の厚さを有するものであってもよく、1~30%の厚さを有するものであってもよく、5~24%の厚さを有するものであってもよい。
このような特徴を有する第1層121は前記第2層122などと共に作用し、熱収縮などによる応力の発生をより一層減少させ、反りなどのディフェクトがより一層減少したインゴットを形成させることができる。
図2及び図3はそれぞれ、単結晶インゴットを成長させる反応容器(坩堝)の構造を説明する概念図であり、図4は、図2の反応容器(坩堝)を反応チャンバに設置した後の構造を説明する概念図である。
図1乃至図4を参照して、以下、インゴットの製造方法をより詳細に説明する。具現例に係るインゴットの製造方法は、反応容器200の内部空間に原料物質300を位置させ、前記原料物質300の上部に、具現例の一実施例である保護膜120を含む種結晶110の製造方法によって製造された、保護膜120を含む種結晶110を位置させる配置ステップと;前記種結晶の前面111上に炭化珪素結晶を成長させてインゴット(図示せず)を製造する再結晶ステップと;を含んで、インゴットを含む種結晶110を製造する。
前記反応容器本体210の内壁または開口部に位置する載置台250をさらに含むことができる。前記載置台250は、前記種結晶110の一部と直接当接して種結晶110を前記反応容器200に固定する役割をする。
前記配置ステップは、前記種結晶の後面112上に前記保護膜120が位置し、前記種結晶の前面111の下に前記原料物質300が位置するように、前記反応容器200内に前記種結晶110を配置するステップである。
前記固定は、前記種結晶110と前記載置台250とが接触する部分に実質的に接着剤を適用せず、前記載置台250と前記種結晶110とが直接接するように位置させる方法が適用され得る。すなわち、このように配置された種結晶は、前記再結晶ステップにおいて前記種結晶110の前面の一部が前記載置台250の一部又は全部と直接接するように位置することができる。
前記種結晶110を前記載置台250を通じて前記反応容器200に固定されるように位置させる場合、従来の種結晶ホルダに種結晶を付着する方式で固定する場合と比較して、種結晶と載置台との間の接着層の形成がなく、インゴットの成長過程で前記接着層によって発生し得る熱応力の発生などがないので、より一層ディフェクトが減少した単結晶インゴットを製造することができる。
前記載置台250はL形の載置台であり得(図2参照)、反応容器蓋220が前記載置台250上に位置することができる。
前記載置台250は、反応容器蓋220と共に又は載置台250自体で、前記保護膜120を含む種結晶110の側面の少なくとも一部、底面の一部、そして、上面の一部を囲む形態のC形の載置台であり得る(図3参照)。
前記反応容器200は坩堝であってもよく、SiCの昇華温度以上の融点を有する物質で作製されてもよい。具体的には、前記反応容器200は炭素質成分、具体的に黒鉛成分で構成され得、グラファイト坩堝であり得る。また、前記載置台250も、前記反応容器200と同一または異なる炭素質成分で形成されてもよい。
前記原料物質300は、下部に炭化珪素(SiC)原料物質であってもよく、炭化珪素粉末であってもよい。前記再結晶ステップで気化して前記種結晶110に単結晶インゴットを成長させることができるものであれば適用可能である。
前記反応容器200を断熱材で取り囲み、加熱手段を備える反応チャンバ(石英管など)420内に入れた後、再結晶ステップを行うことができる。
前記加熱手段500は、例えば、誘導加熱コイルまたは抵抗加熱手段であってもよいが、これに限定されない。
前記再結晶ステップは、前記原料物質から前記種結晶の前面に結晶を成長させて炭化珪素インゴットを製造する過程である。具体的には、前記再結晶ステップは、昇華した前記原料物質を前記種結晶の前面に再結晶させて前記インゴットを成長させる方式で行うことができる。
前記再結晶ステップは、単結晶インゴットの成長は、原料物質が高温でガスに昇華し、その後、減圧条件でガスが種結晶上で単結晶インゴットに成長する原理を用いたものであるので、再結晶温度及び再結晶圧力の条件下で行われる。
具体的には、前記再結晶ステップは、1800~2500℃の再結晶温度及び1~200torrの再結晶圧力で行われてもよく、2100~2400℃の再結晶温度及び1~150torrの再結晶圧力で行われてもよい。また、前記再結晶ステップは、2200~2300℃の再結晶温度及び1~100torrの再結晶圧力下で行われてもよく、2250~2300℃の再結晶温度及び1~50torrの再結晶圧力下で行われてもよい。
前記再結晶ステップにおいて、インゴットの成長のための温度条件の付与時に、前記反応容器200に配置される種結晶110も共に加熱されるが、このとき、保護膜120が含まれていない種結晶110が適用される場合、種結晶の一部が昇華によって損失することがある。すなわち、種結晶110の前面(成長面)には、原料物質から昇華したSiCガスが継続して供給されるので単結晶の成長が進行するが、加熱された種結晶の後面がそのまま露出されると、加熱の影響により一部の種結晶が昇華することがあり、このような昇華は、インゴットへの欠陥の生成につながることがある。具現例では、種結晶の後面に、上述した2層以上の構造を有する炭素質保護膜を含むので、種結晶の後面の損失による主な欠陥の形成が実質的に現れず、第1層と第2層を共に含むことで熱応力も最小化して、反りが緩和されたインゴットを製造することができる。
具体的には、前記炭化珪素インゴットは、反りが500μm以下であり得、400μm以下であり得、または1~200μmであり得る。より具体的には、4インチ以上の種結晶を適用して、2300℃の温度及び20torrの圧力条件下で100時間成長させるインゴットを基準として評価した炭化珪素インゴットの反りの発生が、130μm以下であり得、1~120μmであり得、または1~100μmであり得る。前記反りは、インゴットの後面を基準として、成長した炭化珪素インゴットの中央及び縁部の高さをそれぞれ測定し、その差を基準として評価した値であり、このような特性は、大面積の炭化珪素インゴットを製造するにもかかわらず、非常に低い程度の反りを示すもので、具現例の製造方法によって、欠陥が少なく、反りも少ない炭化珪素インゴットを製造できることを意味する。
また、前記炭化珪素インゴットは、マイクロパイプ欠陥を1個/cm以下で含むことができる。これは、主な欠陥がほとんど現れないか、または僅かであることを意味し、優れた品質の炭化珪素インゴットを製造できることを意味する。
また、具現例によれば、種結晶上に保護膜を多層に形成し、かつ各層別に物性を異ならせて構成することによって、単層に保護膜を形成する場合よりも、膜質、種結晶と保護膜との間の接着性、保護膜の厚さの観点でその特性を向上させることができる。したがって、単結晶インゴットの成長中に発生し得る応力をより効果的に抑制して、インゴットのクラック発生などの品質低下を防止することができる。
また、具現例では、種結晶を種結晶ホルダに付着しない方式を適用するので、大面積の炭化珪素単結晶インゴットをより効率的に製造することができる。
具体的には、前記炭化珪素単結晶インゴットは、2インチ以上、3インチ以上、4インチ以上、5インチ以上、さらに、6インチ以上の口径を有することができる。より具体的には、前記炭化珪素単結晶インゴットは、2~10インチ、2~8インチ、4~8インチ、または4~6インチの直径を有することができる。
前記炭化珪素単結晶インゴットは、99%以上、99.5%以上、さらに、99.9%以上の純度を有するものであってもよい。
具現例に係る保護膜120を含む種結晶110は、前面111及び後面112を有する炭化珪素種結晶110と;前記種結晶の後面112上に位置する保護膜120とを含み、前記保護膜120は、前記種結晶の後面112に直接接する第1層121と;前記第1層121上に位置する第2層122と;を含み、前記第1層の底面から前記第2層の上面までの厚さを基準として、前記第1層の厚さが30%以下であってもよい。
前記第2層122は、前記第1層よりも多い量のフィラーを含むことができる。
前記第1層121の厚さは15μm以下であってもよい。
前記第1層121は、前記第1層全体を基準として、カーボン系フィラー又は金属系フィラーを1重量%以下含むことができ、0.1重量%以下含むことができ、または実質的にカーボン系フィラー又は金属系フィラーを含まなくてもよい。
前記第1層121は、前記保護膜全体の厚さを基準として、30%以下の厚さを有するものであってもよい。
前記種結晶の前面111は、C面(000-1)であってもよい。
前記種結晶110は、前記種結晶の前面111上に位置する炭化珪素インゴット(図示せず)をさらに含むことができる。
前記炭化珪素インゴットは、反りが500μm以下であってもよい。
前記炭化珪素インゴットは、マイクロパイプ欠陥を1個/cm以下で含むことができる。
前記保護膜を含む種結晶についてのより具体的な説明は、前記の製造方法での説明と重複するので、その詳細な記載を省略する。
図6は、具現例のSiCインゴットを成長させる反応容器の断面図を示したものである。図6には、内部上端に種結晶ホルダ1400が装着され、保護層1200及び接着層1300が形成された種結晶1100が前記種結晶ホルダの下部に付着され、内部下端に原料収容部1600が形成され、上部にインゴット成長部1700が形成された反応容器1500が例示されている。
前記反応容器は坩堝であってもよく、SiCの昇華温度以上の融点を有する物質で作製されてもよい。例えば、グラファイトで作製されてもよいが、これに限定されるものではない。
具現例による種結晶の付着方法によれば、前記種結晶の一面に保護層及び接着層を形成することによって、SiC単結晶インゴットの成長時に、種結晶と種結晶ホルダとの間の付着面で発生する気泡の発生を抑制させることができるので、SiC単結晶インゴットの成長中に種結晶が離脱することを防止することができる。
さらに、具現例に係る種結晶の付着方法によれば、SiC単結晶インゴットの成長安定性を高めることができるので、SiC単結晶インゴットの品質向上はもとより、多形の制御にも有利である。すなわち、4H-SiCを使用する場合、3C、6H及び15Rなどの多形の成長を抑制し、4Hの成長安定性を高めることができる。
一具現例に係る種結晶の付着方法は、(a)種結晶の一面に保護層を形成するステップと、(b)前記保護層上に接着層を形成するステップと、(c)前記種結晶を種結晶ホルダに付着するステップとを含む。
(a)種結晶の一面に保護層を形成するステップ
一具現例によれば、前記ステップ(a)は、(a-1)バインダー樹脂及びフィラーを含む保護層用組成物を製造するステップと;(a-2)前記保護層用組成物を種結晶の一面に塗布するステップと;(a-3)前記保護層用組成物を熱処理するステップと;を含む。
(a-1)バインダー樹脂及びフィラーを含む保護層用組成物を製造するステップ
前記ステップ(a-1)では、バインダー樹脂及びフィラーを含む保護層用組成物を製造する。
前記バインダー樹脂は、例えば、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ピッチ系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸樹脂、フラン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはこれらの混合樹脂であってもよい。
前記バインダー樹脂は、残炭量(actual carbon ratio)が高いことが好ましい。
例えば、前記バインダー樹脂は、不活性雰囲気で残炭量が5%~50%、または10%~30%であってもよい。
また、前記バインダー樹脂は硬化性樹脂であることが好ましく、例えば、熱硬化性樹脂であってもよいが、これに限定されるものではない。
前記フィラーは、前記保護層用組成物を熱処理するステップにおいて、炭化又は黒鉛化を促進させ、過度の収縮を防いでクラックが形成されることを防止することができる。
前記フィラーは、例えば、カーボン系フィラー、金属系フィラー、またはこれらの複合フィラーであってもよい。具体的には、前記フィラーは、鱗状黒鉛、土状黒鉛、膨張黒鉛、カーボンブラック、炭素ナノチューブ、グラフェン、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)などの成分を含むことができる。
一具現例によれば、前記保護層用組成物は、前記保護層用組成物の全重量を基準として、前記バインダー樹脂を50重量%~70重量%、前記フィラーを5重量%~30重量%含むことができる。
例えば、前記保護層用組成物の全重量を基準として、前記バインダー樹脂は、55重量%~70重量%、60重量%~70重量%、または65重量%~70重量%であってもよい。前記範囲を満たす場合、前記保護層用組成物の塗布時の粘度の維持、厚さ安定性及び黒鉛化時の残炭量の維持に有利であるという効果がある。
また、前記保護層用組成物の全重量を基準として、前記フィラーは、5重量%~25重量%、5重量%~20重量%、10重量%~25重量%、または20重量%~30重量%であってもよい。前記範囲を満たす場合、収縮及びクラックの発生を防止し、優れた表面の保護膜を形成するのに有利であるという効果がある。
前記保護層用組成物は、コーティングの効率のために液状の組成物であることが好ましい。
これによって、前記保護層用組成物は、エタノール、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの溶媒をさらに含むことができる。具体的には、前記溶媒はエタノールであってもよいが、これに限定されるものではない。
このとき、前記液状の組成物の固形分含量は、10重量%~90重量%、または20重量%~50重量%であってもよい。
前記保護層用組成物には、その他にも湿潤分散剤、消泡剤などの添加剤をさらに含むことができる。
(a-2)前記保護層用組成物を種結晶の一面に塗布するステップ
前記ステップ(a-2)では、前記保護層用組成物を種結晶の一面に塗布する。
具体的には、前記保護層用組成物を種結晶の上面に塗布する。
前記保護層用組成物は、スピンコーティング、テーピングなどの通常のコーティング方式を用いて種結晶の上面に塗布され得る。
本明細書において、種結晶の「上面」は、種結晶の両面のうち単結晶インゴットが成長しない面を意味し、種結晶の「下面」は、一般的に広く平らな形状を有する種結晶の両面のうち単結晶インゴットが成長する面を意味する。
前記種結晶は、4H-SiC、6H-SiC、3C-SiC、または15R-SiCのように、成長させようとする結晶の種類に応じて、様々な結晶構造を有する種結晶を使用することができる。
前記種結晶は、コーティングの前に洗浄ステップを予め経ることができる。種結晶の表面には、シリコンが酸素と反応して形成された二酸化シリコン酸化膜が形成され得るが、このような酸化膜は、後続工程で単結晶インゴットが成長するときに種結晶が離脱するか、または欠陥を発生させることがあるので、洗浄により予め除去することが好ましい。前記洗浄は、アセトン、アルコール、蒸留水、酸溶液などを用いて行われてもよく、超音波処理又は浸漬などによって行われてもよく、1回又は2回以上行われてもよい。
(a-3)前記保護層用組成物を熱処理するステップ
一具現例によれば、前記熱処理するステップ(a-3)は、前記保護層用組成物を乾燥及び硬化するステップを含む。また、前記熱処理するステップ(a-3)は、炭化(carbonization)または黒鉛化(graphitization)の過程をさらに含むことができる。
一具現例によれば、前記乾燥は、30℃~350℃の温度範囲で行われ、前記硬化は、100℃~400℃の温度範囲で行われてもよい。具体的には、前記乾燥及び硬化条件を満たすことによって、強固な保護層の形成はもとより、前記保護層上に形成される接着層の形成に有利であるという効果がある。
例えば、前記乾燥は、50℃~350℃、または50℃~300℃の温度範囲で1時間~5時間行われてもよい。また、前記硬化は、100℃~400℃、または150℃~400℃の温度範囲で1時間~10時間行われてもよい。
一具現例によれば、前記炭化または黒鉛化は、200℃~2,500℃の温度及び1torr~1,500torrの圧力条件で行われてもよい。具体的には、前記炭化または黒鉛化条件を満たすことによって、SiC単結晶インゴットの成長安定性を高めることができるので、SiC単結晶インゴットの品質向上はもとより、多形の制御に有利である。
例えば、前記乾燥及び硬化ステップを経た保護層用組成物は、1,500℃~2,500℃、2,000℃~2,500℃、または2,000~2,200℃の温度、及び500torr~1000torr、または500torr~800torrの圧力条件で炭化または黒鉛化してもよい。また、前記炭化または黒鉛化は、1時間~10時間、2時間~5時間、または1時間~5時間行われてもよいが、これに限定されるものではない。
一具現例によれば、前記炭化または黒鉛化は、0.5℃/min~5℃/minの昇温速度、及び、500℃以上又は600℃以上の温度条件で行われてもよい。例えば、500℃~1,000℃の温度まで昇温し、前記温度を維持しながら1時間~5時間加熱した後、0.5℃/min~5℃/minの速度で冷却することによって行われてもよい。
他の具現例によれば、前記炭化または黒鉛化は、1℃/min~5℃/minの昇温速度、及び、1,500℃以上又は2,000℃以上の温度条件で行われてもよい。例えば、1,500℃~2,500℃の温度又は2,000℃~2,500℃の温度まで昇温し、前記温度を維持しながら1時間~5時間加熱した後、1℃/min~5℃/minの速度で冷却することによって行われてもよい。
一具現例によれば、前記炭化または黒鉛化は、不活性雰囲気で熱処理することを意味する。前記不活性雰囲気は、窒素雰囲気またはアルゴン雰囲気であってもよいが、これに限定されるものではない。
一具現例によれば、前記保護層の厚さは、0.1μm~2,000μmであってもよい。例えば、5μm~1,800μm、50μm~500μm、50μm~2,000μm、または20μm~1,500μmであってもよいが、これに限定されるものではない。前記範囲よりも小さい場合、保護層の役割を十分に満たすことができず、前記範囲よりも大きい場合、クラック及び剥離(peel off)が発生することがある。
(b)前記保護層上に接着層を形成するステップ
一具現例によれば、前記ステップ(b)は、(b-1)バインダー樹脂及びフィラーを含む接着層用組成物を製造するステップと;(b-2)前記接着層用組成物を前記保護層上に塗布するステップと;を含む。
(b-1)バインダー樹脂及びフィラーを含む接着層用組成物を製造するステップ
前記ステップ(b-1)では、バインダー樹脂及びフィラーを含む接着層用組成物を製造する。
前記バインダー樹脂は、例えば、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ピッチ系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸樹脂、フラン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはこれらの混合樹脂であってもよい。
前記バインダー樹脂は、残炭量(actual carbon ratio)が高いことが好ましい。
例えば、前記バインダー樹脂は、不活性雰囲気で残炭量が5%~50%、または10%~30%であってもよい。
また、前記バインダー樹脂は硬化性樹脂であることが好ましく、例えば、熱硬化性樹脂であってもよいが、これに限定されるものではない。
前記フィラーは、例えば、カーボン系フィラー、金属系フィラー、またはこれらの複合フィラーであってもよい。具体的には、前記フィラーは、鱗状黒鉛、土状黒鉛、膨張黒鉛、カーボンブラック、炭素ナノチューブ、グラフェン、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)などの成分を含むことができる。
一具現例によれば、前記接着層用組成物は、前記接着層用組成物の全重量を基準として、前記バインダー樹脂を70重量%~90重量%、前記フィラーを20重量%~40重量%含むことができる。
例えば、前記接着層用組成物の全重量を基準として、前記バインダー樹脂は、75重量%~90重量%、80重量%~90重量%、または80重量%~85重量%であってもよい。前記範囲を満たす場合、前記接着層用組成物の接着力の向上はもとより、塗布時の粘度の維持及び厚さ安定性に有利であるという効果がある。
また、前記接着層用組成物の全重量を基準として、前記フィラーは、20重量%~35重量%、20重量%~30重量%、または20重量%~25重量%であってもよい。
前記範囲を満たす場合、収縮及びクラックの発生を効果的に防止することができる。
前記接着層用組成物は、コーティングの効率のために液状の組成物であることが好ましい。
これによって、前記接着層用組成物は、エタノール、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの溶媒をさらに含むことができる。具体的には、前記溶媒はエタノールであってもよいが、これに限定されるものではない。
このとき、前記液状の組成物の固形分含量は、10重量%~90重量%、または20重量%~50重量%であってもよい。
前記接着層用組成物には、その他にも湿潤分散剤、消泡剤などの添加剤をさらに含むことができる。
(b-2)前記接着層用組成物を前記保護層上に塗布するステップ
前記ステップ(b-2)では、前記接着層用組成物を前記保護層上に塗布して接着層を形成することができる。
前記ステップ(b-2)は、スピンコーティング、テーピングなどの通常のコーティング方式を用いてもよいが、これに限定されるものではない。
一具現例によれば、前記接着層の厚さは5μm~2,000μmであってもよい。例えば、50μm~1,000μm、100μm~2,000μm、100μm~1,000μm、または200μm~500μmであってもよいが、これに限定されるものではない。前記範囲を満たす場合、前記種結晶と前記種結晶ホルダの熱膨張係数を近接するように制御することができる。
一具現例によれば、前記ステップ(b)の後、前記ステップ(c)の前に、前記種結晶ホルダの下面をパターニングするステップをさらに含むことができる。例えば、研削グラインダを用いてパターニングしてもよいが、これに限定されるものではない。
具現例において、種結晶ホルダの下面は、前記種結晶ホルダと接着層とが付着される面を意味する。具体的には、前記種結晶ホルダの下面をパターニングすることによって、SiC単結晶インゴットの成長時に、接着層と種結晶ホルダとの間の付着面で発生する気泡の発生を抑制することができるので、SiC単結晶インゴットの成長中に種結晶が離脱することを防止することができる。
一具現例によれば、前記パターニングされた種結晶ホルダの表面粗さ(Ra)は、0.5mm~3mmであってもよく、好ましくは1.5mm~2mmであってもよい。
(c)前記種結晶を種結晶ホルダに付着するステップ
前記ステップ(c)では、前記保護層及び接着層が形成された種結晶を種結晶ホルダに付着する。具体的には、種結晶の上面に保護層及び接着層が順に形成されており、前記種結晶の接着層と種結晶ホルダの下面とを付着する。
一具現例によれば、前記ステップ(c)の後に、炭化または黒鉛化するステップをさらに含むことができ、前記過程を通じて、接着層、又は、接着層と保護層を、炭化または黒鉛化させることができる。
一具現例によれば、前記炭化または黒鉛化は、200℃~2,500℃の温度及び1torr~1,500torrの圧力条件で行われてもよい。具体的には、前記炭化または黒鉛化条件を満たすことによって、SiC単結晶インゴットの成長安定性を高めることができるので、SiC単結晶インゴットの品質向上はもとより、多形の制御に有利である。
例えば、前記炭化または黒鉛化は、1,500℃~2,500℃、2,000℃~2,500℃、または2,000~2,200℃の温度、及び500torr~1000torr、または500torr~800torrの圧力条件で行われてもよい。また、前記炭化または黒鉛化は、1時間~10時間、2時間~5時間、または1時間~5時間行われてもよいが、これに限定されるものではない。
一具現例によれば、前記炭化または黒鉛化は、0.5℃/min~5℃/minの昇温速度、及び、500℃以上又は600℃以上の温度条件で行われてもよい。例えば、500℃~1,000℃の温度まで昇温し、前記温度を維持しながら1時間~5時間加熱した後、0.5℃/min~5℃/minの速度で冷却することによって行われてもよい。
他の具現例によれば、前記炭化または黒鉛化は、1℃/min~5℃/minの昇温速度、及び、1,500℃以上又は2,000℃以上の温度条件で行われてもよい。例えば、1,500℃~2,500℃の温度または2,000℃~2,500℃の温度まで昇温し、前記温度を維持しながら1時間~5時間加熱した後、1℃/min~5℃/minの速度で冷却することによって行われてもよい。
一具現例によれば、前記炭化または黒鉛化は、不活性雰囲気で熱処理することを意味する。前記不活性雰囲気は、窒素雰囲気またはアルゴン雰囲気であってもよいが、これに限定されるものではない。
一具現例によれば、前記炭化または黒鉛化した保護層の密度は、前記炭化または黒鉛化した接着層の密度よりも高くてもよい。具体的には、前記炭化または黒鉛化した保護層の密度が、前記炭化または黒鉛化した接着層の密度よりも高いことによって、前記保護層及び接着層の安定性を向上させることができる。例えば、前記炭化または黒鉛化した保護層の密度は、1.0g/cm~2.0g/cm、または1.5g/cm~2.0g/cmであってもよく、前記炭化または黒鉛化した接着層の密度は、0.5g/cm~1.5g/cm、または1.0g/cm~1.5g/cmであってもよい。
以下、具現例をより具体的に例を挙げて説明する。下記の説明は、具現例の理解を助けるための例示に過ぎず、具現例の範囲がこれに限定されるものではない。
<製造例1>
実施例1:具現例の保護膜を含む種結晶の製造
1)第1層用組成物及び第2層用組成物の製造
バインダー樹脂(フェノール樹脂、KC-5536、江南化成、以下、同様)を溶媒(エタノール、OCI社製、以下、同様)で希釈し、固形分濃度が約10重量%である第1層用組成物を製造した。
バインダー樹脂を溶媒で希釈して固形分濃度を約10重量%に調節した後、前記バインダー樹脂100重量部に対し約90重量部のフィラー(鱗状黒鉛、純度80~99%、D502.5μm、以下、同様。)を混合し、湿潤分散剤、消泡剤などの添加剤を5重量部以内にさらに混合及び分散して第2層用組成物を得た。
2)第1層の形成
4inchの大きさの炭化珪素種結晶(結晶構造4H-SiC)の後面(成長面の反対面)に前記第1層用組成物をスピンコーティングして、5μmの厚さの第1コーティング層を得た。前記第1コーティング層を有する種結晶をオーブンに入れ、10℃/minの速度で昇温して300℃に到達した後、1時間熱処理し、10℃/minの速度で冷却して、第1層が後面に形成された種結晶を得た。
3)第2層の形成
前記第1層が後面に形成された種結晶の第1層上に前記第2層用組成物をスピンコーティングして、12μmの厚さの第2コーティング層を得た。前記第2コーティング層を含む種結晶をオーブンに入れ、1℃/minの速度で昇温して600℃に到達した後、2時間熱処理して第2コーティング層を炭化させて第2層を形成した。その後、1℃/minの速度で冷却して、第1層及び第2層が後面上に順次形成された種結晶を得た。
4)追加の炭素層の形成
前記第2層用組成物を、前記の2)で製造した第1層及び第2層を後面上に順次含む種結晶の第2層上にスピンコーティングした後、熱処理する手順を繰り返し、追加の1層の炭素層をさらに形成して、種結晶の後面上に第1層、第2層及び追加の炭素層が順次形成された実施例1のコーティング種結晶を製造した。
実施例1のコーティング種結晶は、コーティング層の総厚さが23μmである。
比較例1:具現例の保護膜を含まない種結晶の製造
第2層用組成物を炭化珪素種結晶の後面上にスピンコーティングして第2コーティング層を得た。前記第2コーティング層を含む種結晶をオーブンに入れ、1℃/minの速度で昇温して600℃に到達した後、2時間熱処理して第2コーティング層を炭化させて第2層を形成した。
この過程を2回さらに繰り返し、炭化珪素種結晶の後面上に第2層が3段に形成されて30μmの厚さの炭化層を有する比較例1の種結晶を得た。
炭化珪素インゴットの製造例
図2に簡単に構造を提示したように、上部内壁に載置台250を備えたグラファイト坩堝200を準備した。
前記坩堝本体210内の下部に原料物質300としてSiC粉末(純度99.99%以上、D50100μm)を装入し、前記坩堝本体210の上部に載置台250及び先に製造例1で製造した後面に保護膜120を有する種結晶110をそれぞれ載置した。
このとき、種結晶110は、載置台250と別途の接着剤による接着なしに載置台に種結晶を位置させる方式で載置された。このとき、種結晶の後面(保護膜が備えられた面)が坩堝の上部に向かうようにし、種結晶の成長面(保護膜が備えられていない面)が坩堝の下部に向かうようにした。
前記種結晶110及び載置台250が設置された坩堝本体210を坩堝蓋220で覆い、断熱材400で取り囲んだ後、加熱手段500である加熱コイルが備えられた反応チャンバ420内に入れた(図4参照)。坩堝200内を真空状態にした後、アルゴンガスを徐々に注入して前記坩堝200内が大気圧に到達するようにし、再び前記坩堝200内を徐々に減圧させた。これと共に、坩堝200内の温度を2300℃まで昇温させた。
2300℃の温度及び20torrの圧力条件下で100時間の間、種結晶における保護膜が備えられていない面にSiC単結晶インゴットを成長させた。
成長させたインゴットは、図5にその写真を示した。
試験例1:単結晶インゴットの特性評価
前記の実施例1及び比較例1の方法で製造したインゴットの物性の中で、コーティング層の厚さ、表面剥離の程度、反りの程度を評価して、下記の表1に示す。
1)表面剥離(Peel off)の程度は、コーティング層が浮き上がっている部分の領域を全面積と比較して、その割合を基準として評価した結果を示した。
2)MPDは、モルテン(molten)KOHを用いて光学顕微鏡を用いて評価した。
3)反りは、熱処理が終わった後にサンプルを定盤上に置き、高さゲージ(Height Gauge)に置いてインゴットの後面を基準としてインゴットの中心と縁部の高さを測定して、その偏差を確認した。
Figure 0007044265000001
*MPDは、マイクロパイプ欠陥を意味する。
**第2層が、同じ組成を適用し、数回のコーティング及び熱処理で形成された場合、各回に形成された厚さを"+"で区分して表示する。
***前記第1層の底面から前記第2層の上面までの厚さを基準とした厚さの比率。
前記表1を参照すると、実施例1によるインゴットは、反りの程度が著しく減少したことが確認できた。これは、上述したように、具現例の第1層と第2層が共に含まれた保護膜を適用する場合、保護膜の熱収縮を最小化し、同時に、欠陥の発生が著しく減少した単結晶インゴットを製造できるということを確認した。
<製造例2>
実施例
下記の実施例及び比較例で使用した成分は、次の通りである:
-液状フェノール樹脂:フェノール樹脂/メチルアルコール/水=58~62:36~41:0~4(重量比)、Neolite KC-4703、江南化成(株)
-鱗状黒鉛:平均粒度(D50)2.5μm
-炭化珪素種結晶:直径4~6インチ、厚さ500μm~1200μm、結晶構造4H単結晶基板。
-種結晶ホルダ:直径7インチ以上、厚さ5mm~10mm
保護層及び接着層が備えられた種結晶の製造
液状フェノール樹脂にフィラーとして鱗状黒鉛を7:3の重量比で混合し、前記混合物100重量部に対し湿潤分散剤、消泡剤などの添加剤を3重量部以内にさらに混合し、分散させて保護層用組成物を得た。前記保護層用組成物を炭化珪素種結晶の一面上にスピンコーティングして0.5mmの厚さのコーティング膜を得た。前記コーティングされた種結晶を加熱器に入れ、1℃/minの速度で昇温して600℃に到達した後、2時間熱処理して炭化または黒鉛化させた。その後、1℃/minの速度で冷却して、一面に保護層を備えた種結晶を得た。
液状フェノール樹脂にフィラーとして鱗状黒鉛を8:2の重量比で混合し、前記混合物100重量部に対し湿潤分散剤、消泡剤などの添加剤を3重量部以内にさらに混合し、分散させて接着層用組成物を得た。前記接着層用組成物を前記種結晶の保護層上にスピンコーティングして、0.5mmの厚さの接着層を得た。
種結晶と種結晶ホルダとの付着
種結晶ホルダの下面を研削グラインダを用いてパターニングした後、前記で製造した種結晶の接着層と種結晶ホルダの下面とを付着した。前記付着された種結晶ホルダ及び種結晶を加熱器に入れ、1℃/minの速度で昇温して600℃に到達した後、2時間熱処理して炭化または黒鉛化させた。その後、1℃/minの速度で冷却した。
単結晶インゴットの成長
グラファイト坩堝の内部上端に、前記種結晶が付着された種結晶ホルダを装着した後、SiC粉末を坩堝の下部に装入した。前記坩堝を断熱部材で取り囲み、加熱コイルが備えられた反応チャンバ内に入れた。坩堝内を真空状態にした後、アルゴンガスを徐々に注入した。これと共に、坩堝内の温度を2400℃まで昇温させ、700torrに昇圧させた。その後、圧力を次第に下げて30torrに到達させた後、前記の条件で50時間の間、SiC単結晶インゴットを種結晶に成長させて、SiC単結晶インゴットを製造した。
比較例
前記種結晶に保護層を形成していないこと以外は、前記実施例と同様に実施してSiC単結晶インゴットを製造した。
[評価例1:インゴットの表面イメージの評価]
前記実施例及び比較例で製造されたSiC単結晶インゴットに対して、光学顕微鏡を用いて、目視で表面イメージを評価した。
図7は、実施例のSiCインゴットの表面イメージを示したものであり、図10は、比較例のSiCインゴットの表面イメージを示したものである。
前記図7に示されたように、実施例によって製造されたSiCインゴットは、種結晶が種結晶ホルダに強く付着しているので、種結晶が離脱しないことによって、インゴットが安定的に成長して表面から不純物や異物が発見されなかった。反面、図10に示されたように、比較例のSiCインゴットは、種結晶と種結晶ホルダとの付着力が弱いため、インゴットが安定的に成長できず、表面から、特にインゴットの中央部分の表面から不純物や異物が発見された。
[評価例2:UVイメージの評価]
前記実施例及び比較例で製造されたSiCインゴットに対して、UVランプ照射を用いた目視検査を通じて、UVイメージを評価した。
図8は、実施例のSiCインゴットのUVイメージを示したものであり、図11は、比較例のSiCインゴットのUVイメージを示したものである。UVイメージを通じて多形の制御を確認することができる。具体的には、前記図8に示されたように、実施例によって製造されたSiCインゴットは、目的とする4Hが均一に形成された反面、図11に示されたように、比較例によって製造されたSiCインゴットは、左側側面(点線の円で表示)に多結晶が形成されたことがわかる。
[評価例3:種結晶の表面イメージの評価]
前記実施例及び比較例においてSiCインゴットの成長が完了した後の種結晶に対して、光学顕微鏡を用いて、目視で表面イメージを評価した。
図9は、実施例のSiCインゴットの成長が完了した後の種結晶の表面イメージを示したものであり、図12は、比較例のSiCインゴットの成長が完了した後の種結晶の表面イメージを示したものである。
前記図9に示されたように、実施例によって製造されたSiCインゴットを成長させた種結晶は、表面から欠陥などが発見されなかった。すなわち、SiCインゴットの成長時に、種結晶と種結晶ホルダとが強く付着しているので、種結晶が離脱しないことによって、インゴットが安定的に成長できたことがわかる。反面、図12に示されたように、比較例のSiCインゴットを成長させた種結晶は、表面から異物などの欠陥(点線の円で表示)が発見された。すなわち、SiCインゴットの成長時に、種結晶と種結晶ホルダとの付着力が弱いため、インゴットが安定的に成長できなかったことがわかる。
以上、具現例の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している具現例の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
110 種結晶
111 種結晶の前面
112 種結晶の後面
120 保護膜
121a 第1コーティング層
121 第1層
122a 第2コーティング層
122 第2層
200 反応容器
210 反応容器本体
220 反応容器蓋
250 載置台
300 原料物質
400 断熱材
420 反応チャンバ、石英管
500 加熱手段
1100 種結晶
1200 保護層
1300 接着層
1400 種結晶ホルダ
1500 反応容器
1600 原料収容部
1700 インゴット成長部

Claims (9)

  1. i)第1バインダー樹脂及び第1溶媒を含む第1層用組成物と、ii)第2バインダー樹脂、フィラー及び第2溶媒を含む第2層用組成物とを準備する準備ステップと、
    前記第1層用組成物を適用して種結晶の後面上に第1コーティング層を形成し、前記第1コーティング層を乾燥する過程を含んで、前記種結晶の後面上に第1層が位置する種結晶を設ける第1層形成ステップと、
    前記第2層用組成物を適用して前記第1層上に第2コーティング層を形成し、熱処理する過程を含んで、前記種結晶の後面上に第1層及び第2層が位置する種結晶を設ける第2層形成ステップとを含んで、
    前記第1層の底面から前記第2層の上面までの厚さを基準として前記第1層の厚さが30%以下である保護膜を含む種結晶を製造し、
    前記第1層用組成物は、前記第1バインダー樹脂の固形分100重量部を基準として、カーボン系フィラーまたは金属系フィラーを1重量部以下含み、
    前記第2層用組成物は、前記第2バインダー樹脂の固形分100重量部を基準として、前記フィラー20~300重量部を含む、保護膜を含む種結晶の製造方法。
  2. 前記第1コーティング層の厚さは20μm以下である、請求項1に記載の保護膜を含む種結晶の製造方法。
  3. 反応容器の内部空間に原料物質を位置させ、前記原料物質の上部に請求項1によって製造された保護膜を含む種結晶を位置させる配置ステップと、
    前記種結晶の前面上に炭化珪素結晶を成長させてインゴットを製造する再結晶ステップとを含んで、
    インゴットが成長した種結晶を製造する、インゴットの製造方法。
  4. 前記反応容器本体の内壁または開口部に位置する載置台をさらに含み、
    前記種結晶は、前記載置台によってその位置が固定される、請求項3に記載のインゴットの製造方法。
  5. 前記インゴットは、前記インゴットの後面を基準として前記インゴットの中心と縁部の厚さで評価する反りが500μm以下である、請求項3に記載のインゴットの製造方法。
  6. 前面及び後面を有する炭化珪素種結晶と、前記種結晶の後面上に位置する保護膜とを含み、
    前記保護膜は、前記種結晶の後面に直接接する第1層と、前記第1層上に位置する第2層とを含み、
    前記第1層の底面から前記第2層の上面までの厚さを基準として、前記第1層の厚さが30%以下であり、
    前記第1層は、前記第1層全体を基準として、カーボン系フィラーまたは金属系フィラーを1重量部以下含み、
    前記第2層用組成物は、前記第2バインダー樹脂の固形分100重量部を基準として、前記フィラー20~300重量部を含む、保護膜を含む種結晶。
  7. 前記第2層は、前記第1層よりも多い量のフィラーを含む、請求項6に記載の保護膜を含む種結晶。
  8. 前記種結晶は、前記種結晶の前面上に位置する炭化珪素インゴットをさらに含み、前記炭化珪素インゴットは、反りが500μm以下である、請求項6に記載の保護膜を含む種結晶。
  9. 前記種結晶は、前記種結晶の前面上に位置する炭化珪素インゴットをさらに含み、前記炭化珪素インゴットは、マイクロパイプ欠陥を1個/cm以下で含む、請求項6に記載の保護膜を含む種結晶。
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