JP2011006302A - 炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】接着層の気密性の低下が原因で生じる構造欠陥の発生を抑制する炭化珪素単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】フェノール樹脂と炭化珪素粒子80とを含むコート剤を用いて、種結晶30のコート面30aにコート層40を形成し、接着剤を用いて、コート層40と種結晶台座10bの間に介在する接着層50を形成する。コート層40の厚さは、5〜20μmであり、コート層40は、体積比で炭化珪素粒子80を1〜20%含んでいる。
【選択図】図2
【解決手段】フェノール樹脂と炭化珪素粒子80とを含むコート剤を用いて、種結晶30のコート面30aにコート層40を形成し、接着剤を用いて、コート層40と種結晶台座10bの間に介在する接着層50を形成する。コート層40の厚さは、5〜20μmであり、コート層40は、体積比で炭化珪素粒子80を1〜20%含んでいる。
【選択図】図2
Description
本発明は、炭化珪素単結晶を昇華再結晶法により製造する炭化珪素単結晶の製造方法に関する。
従来、炭化珪素によって形成された種結晶と、昇華用原料とが収容された坩堝を用いて炭化珪素単結晶(以下、単結晶と適宜省略する)を昇華再結晶法により製造する方法が知られている。この方法では、昇華させた昇華用原料は、坩堝の蓋(種結晶台座)に固定された種結晶上で再結晶する。
この昇華再結晶法において、樹脂と耐熱性微粒子とを含んだ接着剤によって、種結晶を種結晶台座に固定する方法がある(特許文献1)。この方法では、接着剤に熱処理を施し、樹脂を硬化した後に、炭化させることで、接着層を形成する。この接着層が、種結晶を種結晶台座に固定する。このとき、接着剤に均一に分散した耐熱性微粒子を核として、樹脂が硬化するため、種結晶と接着層とが均一に接着される。これによって、接着が不充分な部分から種結晶が昇華することによる構造欠陥を防止できる。
しかしながら、上述した種結晶固定方法では、炭化の際に、樹脂が収縮するため、接着層にクラックが発生することがあった。このため、種結晶と接着層とを均一に接着しても、接着層と接している側から、種結晶が昇華し、構造欠陥が発生していた。また、接着剤は粘性があるため、接着層を形成する際の接着作業中に、気泡を巻き込んでしまい、気泡が含まれた接着層が形成されることがある。気泡を含んだ接着層は、気密性が低下しているため、やはり、接着層と接している側から、種結晶が昇華する原因となっていた。他にも、一般的に、炭化珪素単結晶の製造には、カーボン製の坩堝が用いられる。この坩堝の種結晶台座と種結晶とを固定中に、種結晶台座を構成する多孔質のカーボンが、接着剤中の液体成分(樹脂、溶媒等)の一部を吸収してしまう。接着剤が完全に炭化されて接着層を形成するまでに時間がかかる。このため、液体成分の吸収によって、接着層に空間が生じ、気密性が低下していた。気密性が低下した接着層は、同様に、種結晶が昇華し、構造欠陥を発生していた。
このように、特許文献1の固定方法では、クラックや気泡、空間による構造欠陥が発生するため、炭化珪素単結晶の品質低下が生じるという問題が未だに存在していた。
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、接着層の気密性の低下が原因で生じる構造欠陥の発生を抑制できる炭化珪素単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。本発明の第1の特徴は、炭化珪素単結晶成長用の種結晶(種結晶30)と種結晶台座(種結晶台座10b)とを固定する種結晶固定工程(S2)を有し、炭化珪素単結晶の原料(昇華用原料20)を昇華させて炭化珪素単結晶を成長させる単結晶成長工程(S4)とを有する炭化珪素単結晶製造方法において、種結晶固定工程(S2)は、フェノール樹脂と炭化珪素粒子(炭化珪素粒子80)とを含むコート剤を用いて、種結晶(種結晶30)の一方面(コート面30a)にコート層(コート層40)を形成する工程(S21)と、接着剤を用いてコート層(コート層40)と種結晶台座(種結晶台座10b)との間に介在する接着層(接着層50)を形成する工程(S22)とを有し、コート層(コート層40)の厚さは、5〜20μmであり、コート層(コート層40)は、体積比で炭化珪素粒子(炭化珪素粒子80)を1〜20%含んでいることを要旨とする。
本発明の第1の特徴によれば、種結晶のコート面にコート層を形成した後に、コート層と種結晶台座とを接着剤で固定する。つまり、コート層によって、気密性を確保した後に、種結晶を種結晶台座へと接着する。これによって、接着層にクラックや気泡、空間が生じた結果、接着層の気密性が低下していても、種結晶は、気密性の高いコート層を介在させて固定されているため、コート面から種結晶が昇華するのを抑制できる。その結果、構造欠陥の発生を防止でき、炭化珪素単結晶の品質が低下するのを抑制できる。
コート剤は、フェノール樹脂を含んでいる。フェノール樹脂は、熱処理によって、カーボンとなり、コート層に気密性を付与する。また、コート層が炭化珪素粒子を体積比で1〜20%含むように、コート剤は、炭化珪素粒子を含んでいる。フェノール樹脂からなるコート剤と比べると、本発明のコート剤は、フェノール樹脂の割合が少ない。このため、コート層の収縮を全体的に抑えられ、クラックの発生を抑制できる。また、種結晶と炭化珪素粒子とは、熱膨張係数が近い。そのため、種結晶とコート層との熱膨張差が軽減されることになる。従って、固定する際の熱処理による種結晶とコート層との界面に働く応力が緩和され、種結晶とコート層との間にクラックが生じ難くなる。さらに、耐熱性微粒子である炭化珪素粒子を含んでいるため、種結晶は、コート層に均一に覆われる。これによって、コート層側から種結晶が昇華することによる構造欠陥を防止できる。
コート層は、5〜20μmの厚さとなるように形成される。コート層を適切な厚さとすることで、コート層の気密性は、確実に確保される。
本発明の第2の特徴は、接着剤は、フェノール樹脂をからなることを要旨とする。
本発明の第3の特徴は、炭化珪素粒子の平均粒径は、0.1〜5μmであることを要旨とする。
本発明によれば、接着層の気密性の低下が原因で生じる構造欠陥の発生を抑制できる炭化珪素単結晶の製造方法を提供することができる。
本実施の形態に係る単結晶製造方法の一例について、図面を参照しながら説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(1)製造装置の概略構成
本発明に係る単結晶成長装置の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る単結晶製造装置1の概略断面図である。
本発明に係る単結晶成長装置の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る単結晶製造装置1の概略断面図である。
図1に示すように、単結晶製造装置1は、坩堝10と、坩堝10の少なくとも側面を覆う石英管70とを有している。石英管70の外周には、坩堝10を加熱する加熱コイル(不図示)が設けられている。坩堝10は、断熱材(不図示)で覆われている。坩堝10は、支持棒60を介して石英管70の内部に固定されている。
坩堝10は、坩堝本体10aと坩堝蓋体(種結晶台座)10bとを有する。坩堝本体10aには、昇華用原料20が収容されている。坩堝蓋体(種結晶台座)10bには、種結晶30が固定されている。種結晶30は、昇華用原料20と略対向する位置に固定されている。
種結晶30は、一方の面(コート面30a)がコート層40で覆われている。そのコート層40を介して、種結晶30と坩堝蓋体(種結晶台座)10bとが接着層50によって固定されている。
(2)種結晶と種結晶台座との接着部分の構成
本発明に係る種結晶と種結晶台座との接着部分の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る種結晶と種結晶台座との接着部分の構成を示す概略断面図ある。
本発明に係る種結晶と種結晶台座との接着部分の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る種結晶と種結晶台座との接着部分の構成を示す概略断面図ある。
図2に示すように、種結晶30は、コート層40と接着層50とを間に挟んで、種結晶台座10bに固定されている。すなわち、種結晶30はコート面30aでコート層40と接しており、コート層40は接着面40aで接着層50と接しており、接着層50は固定面50aで種結晶台座10bと接している。
種結晶30は、コート面30aと成長面30bとを有している。成長面30bでは、昇華した昇華用原料20が再結晶し、単結晶が成長する。
コート層40の厚さd1は、5〜20μmである。図2に示すように、コート層40の厚さd1は、コート面30aから接着面40aまでの厚さをいう。コート層40の厚さd1が5μmよりも薄い場合には、コート面30aから種結晶30が昇華するのを防ぎきれない。つまり、コート層40を形成せずに、接着層50を形成した場合とほぼ同等の結果が生じる。コート層40の厚さd1が20μmよりも厚い場合には、コート層40を形成する際に、フェノール樹脂の炭化による収縮を充分に抑制できない。そのため、コート層40にクラックが発生し、コート面30aから種結晶が昇華する原因となる。
コート層40は体積比で炭化珪素粒子80を1〜20%含んでいる。炭化珪素粒子80の体積比が1%よりも少ない場合には、コート剤に含まれるフェノール樹脂の炭化による収縮を抑制する効果がほとんど得られない。そのため、コート層40にクラックが生じてしまう。炭化珪素粒子80の体積比が20%よりも多い場合には、フェノール樹脂の割合が少なくなるため、コート層40の気密性が低くなる。従って、構造欠陥が発生しやすくなる。
コート層40に含まれている炭化珪素粒子80の平均粒径d2は、0.1〜5μmである。炭化珪素粒子80の平均粒径d2が、0.1μmよりも小さい場合には、炭化珪素粒子80の凝集が起こりやすくなる。そのため、熱処理によって、炭化珪素粒子が焼結され、コート層40に欠陥が発生する。炭化珪素粒子80の平均粒径d2が、5μmよりも大きい場合には、炭化珪素粒子80は、フェノール樹脂に分散しづらくなる。そのため、コート面30a上にコート層40を均一に形成するのが困難になる。また、炭化珪素粒子80同士の干渉により、コート層40の気密性が低下する。そのため、構造欠陥が発生しやすい。
(3)炭化珪素単結晶の製造方法
次に、本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法について、図3及び図4を参照しながら説明する。図3は、本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法を説明する図である。図4は、種結晶30を固定する工程を説明する図である。
次に、本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法について、図3及び図4を参照しながら説明する。図3は、本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法を説明する図である。図4は、種結晶30を固定する工程を説明する図である。
図3に示すように、本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、工程S1から工程S4を有する。
工程S1は、昇華用原料が準備される工程である。昇華用原料20は、炭化珪素を含む炭化珪素原料である。昇華用原料20は、坩堝10の底部に配置される。
工程S2は、種結晶30を種結晶台座10bに固定する工程である。工程S2は、種結晶30の一方面にコート層41を形成するコート層形成工程S21と、フェノール樹脂からなる接着剤を用いて、コート層が形成された種結晶30を種結晶台座10bに固定する工程S22とからなる。
コート層形成工程S21では、スピンコートを行って、種結晶30にフェノール樹脂と炭化珪素粒子とを含むコート層40を形成する。
まず、フェノール樹脂を適当な溶媒に溶解させる。ここで用いるフェノール樹脂は、加熱により硬化するものであればレゾール型でもノボラック型でも良い。フェノール樹脂の重量平均分子量は、4000以上であるのが好ましい。重量平均分子量が4000以下になると、融点での粘性が低くなる。そのため、欠陥やエッジでフェノール樹脂がはじかれてしまい、種結晶30の表面(コート面30a)を均一に覆えなくなる。また、フェノール樹脂は常温で固形状であることが好ましい。固形状のフェノール樹脂を適当な溶媒に溶解させ、スピンコートを行うことで、溶媒が蒸発する。これによって、スピンコート直後にフェノール樹脂が固化するために、均一にコートができることとなる。
次に、フェノール樹脂を溶解させた溶液に、炭化珪素粒子80を混合する。混合した溶液がコート剤となる。炭化珪素粒子80は、平均粒径d2が0.1〜5μmのものを使用する。炭化珪素粒子80の量は、コート層40に体積比で1〜20%含まれるように調整する。炭化珪素粒子80に含まれる不純物は10ppm以下が好ましい。
次に、コート剤を用いて、スピンコートを行い、種結晶30の一方面(コート面30a)をコート剤で均一に覆う。
次に、コート剤で覆われた種結晶30に熱処理を行う。これによって、フェノール樹脂が硬化し、コート層40が形成される。ここまでがコート層形成工程S21となる。
種結晶接着工程S22では、コート層40が形成された種結晶30を、接着剤を用いて種結晶台座10bに固定する。
まず、接着剤をコート層40が形成された種結晶30に塗布する。このときコート層40の表面(接着面40a)に接着剤を塗布し、種結晶30の表面(成長面30b)に接着剤を塗布しないように留意する。接着剤は、気密性付与のため、フェノール樹脂を用いるのが好ましい。フェノール樹脂は、熱硬化するものがよい。また、接着層50に気泡のような大きな空間が出来るのを防止できるものがよい。このため、ノボラック型の液状のフェノール樹脂を用いるのが好ましい。
次に、接着剤が種結晶台座10bの表面(固定面50a)に接触するように種結晶30を配置し、熱処理を行う。熱処理によって、フェノール樹脂が硬化し、接着層50が形成される。これによって、種結晶30と種結晶台座10bとが接着される。接着層50の厚さは、種結晶30の配置により変化するため均一ではないが、3μm以下が好ましい。
ここまでが種結晶接着工程S22となる。なお、本実施形態では、接着剤を種結晶30へと塗布したが、種結晶台座10bへ接着剤を塗布し、種結晶30を固定してもよい。
コート層40の炭化珪素粒子80の体積比及びコート層40の厚さと構造欠陥の発生との関係を調べるために、以下の方法で単結晶を作製し、評価を行った。構造欠陥の発生の有無は、目視観察によって、確認した。
カーボン坩堝10を準備し、坩堝本体10aに昇華用原料20である炭化珪素を充填した。次に、メタノールに溶解した重量平均分子量9000のフェノール樹脂に炭化珪素粉80を混合し、コート剤を作成した。コート剤を、表面粗さがRa0.1μmに形成されている種結晶30のコート面30aにスピンコートした。種結晶30には6H型のものを用いた。液状のフェノール樹脂を用いて、スピンコートした種結晶30を種結晶台座10bに接着した。坩堝本体10aに、種結晶30が固定された坩堝蓋体10bを取り付けた。坩堝10を2300℃に加熱し、50時間保持した。昇華用原料20は昇華し、種結晶30に単結晶が成長した。
実施例1では、平均粒径が0.3μmの炭化珪素粒子80がコート層40に体積比で10%となるように調整した。また、コート層40の厚さd1は、6μmであった。
実施例2では、平均粒径が2μmの炭化珪素粒子80がコート層40に体積比で3%となるように調整した。また、コート層40の厚さd1は、10μmであった。
実施例3では、平均粒径が2μmの炭化珪素粒子80がコート層40に体積比で10%となるように調整した。また、コート層40の厚さd1は、10μmであった。
実施例4では、平均粒径が2μmの炭化珪素粒子80がコート層40に体積比で15%となるように調整した。また、コート層40の厚さd1は、10μmであった。
実施例5では、平均粒径が5μmの炭化珪素粒子80がコート層40に体積比で10%となるように調整した。また、コート層40の厚さd1は、15μmであった。
比較例1では、平均粒径が2μmの炭化珪素粒子80がコート層40に体積比で10%となるように調整した。また、コート層40の厚さd1は、2μmであった。
比較例2では、炭化珪素粒子80を混合していないコート剤を用いてコート層40を形成した。コート剤は炭化珪素粒子80を含んでいないことを除けば、その他実施例と同様である。コート層40の厚さd1は、10μmであった。
比較例3では、平均粒径が2μmの炭化珪素粒子80がコート層40に体積比で30%となるように調整した。また、コート層40の厚さd1は、12μmであった。
表1に示すように、コート層40の厚さd1が5〜20μmである場合には、構造欠陥は発生していなかった。しかしながら、コート層40の厚さd1が5μmよりも薄い場合や、20μmよりも厚い場合には、構造欠陥が確認された。従って、コート層40の厚さd1は5〜20μmとすることで構造欠陥の発生を防止できることが分かった。
コート層40の厚さd1が5〜20μmであっても、コート層40に炭化珪素粒子80が体積比で1%も含まれていない場合や、20%より多く含まれている場合には、構造欠陥が確認された。従って、コート層40に含まれる炭化珪素粒子80の体積比を1〜20%とすることで構造欠陥の発生を防止できることが分かった。
表1に示すように、実施例では、炭化珪素粒子80の平均粒径d2が0.1〜5μmのものを使用しており、構造欠陥が発生していないことが確認できた。
(4)作用・効果
以上説明した本実施形態に係る炭化珪素単結晶製造方法によれば、種結晶30のコート面30aにコート層40を形成した後に、コート層40と種結晶台座10bとを接着剤で固定する。つまり、コート層40によって、気密性を確保した後に、種結晶30を種結晶台座10bへと接着する。これによって、接着層50にクラックや気泡、空間が生じた結果、接着層50の気密性が低下していても、種結晶30は、気密性の高いコート層40を介在させて固定されているため、コート面30aから種結晶30が昇華するのを抑制できる。その結果、構造欠陥の発生を防止でき、炭化珪素単結晶の品質が低下するのを抑制できる。
以上説明した本実施形態に係る炭化珪素単結晶製造方法によれば、種結晶30のコート面30aにコート層40を形成した後に、コート層40と種結晶台座10bとを接着剤で固定する。つまり、コート層40によって、気密性を確保した後に、種結晶30を種結晶台座10bへと接着する。これによって、接着層50にクラックや気泡、空間が生じた結果、接着層50の気密性が低下していても、種結晶30は、気密性の高いコート層40を介在させて固定されているため、コート面30aから種結晶30が昇華するのを抑制できる。その結果、構造欠陥の発生を防止でき、炭化珪素単結晶の品質が低下するのを抑制できる。
コート剤は、フェノール樹脂を含んでいる。フェノール樹脂は、熱処理によって、カーボンとなり、コート層40に気密性を付与する。また、コート層40が炭化珪素粒子80を体積比で1〜20%含むように、コート剤は、炭化珪素粒子80を含んでいる。フェノール樹脂からなるコート剤と比べると、本発明のコート剤は、フェノール樹脂の割合が少ない。このため、コート層40の収縮を全体的に抑えられ、クラックの発生を抑制できる。また、種結晶30と炭化珪素粒子80とは、熱膨張係数が近い。そのため、種結晶30とコート層40との熱膨張差が軽減されることになる。従って、固定する際の熱に伴ったコート面30aに働く応力が緩和され、種結晶30とコート層40との間にクラックが生じ難くなる。さらに、耐熱性微粒子である炭化珪素粒子80を含んでいるため、種結晶30は、コート層40に均一に覆われる。これによって、コート面30aから種結晶が昇華することによる構造欠陥を防止できる。
コート層40は、5〜20μmの厚さd1となるように形成される。コート層を適切な厚さとすることで、コート層の気密性は、確実に確保される。コート層40の厚さd1が5μmよりも薄い場合には、コート層40を形成した効果をほとんど得ることができず、気密性を充分に確保できない。コート層40の厚さd1が20μmよりも厚い場合には、コート層40を形成する際に、コート剤に含まれるフェノール樹脂の炭化による収縮を充分に抑制できない。
フェノール樹脂からなる接着剤を用いて、種結晶30は、接着される。熱処理によって、フェノール樹脂は、気密性の高いカーボン層を構成する。これによって、接着層50は、気密性が高く形成される。また、コート剤も接着剤もフェノール樹脂を含んでいるため、コート層40と接着層50とは、密に接着される。従って、種結晶30は、種結晶台座10bと強固に固定される。
炭化珪素粒子の平均粒径は、0.1〜5μmである。炭化珪素粒子80の平均粒径d2が、0.1μmよりも小さい場合には、炭化珪素粒子80の凝集が起こりやすくなる。そのため、熱処理によって、炭化珪素粒子80が焼結され、コート層40に欠陥が発生する。炭化珪素粒子80の平均粒径d2が、5μmよりも大きい場合には、炭化珪素粒子80は、フェノール樹脂に分散しづらくなる。そのため、コート面30a上にコート層40を均一に形成するのが困難になる。また、炭化珪素粒子80同士の干渉により、コート層40の気密性が低下する。そのため、構造欠陥が発生しやすい。
1…単結晶製造装置、10…坩堝、10a…坩堝本体、10b…坩堝蓋体(種結晶台座)、20…昇華用原料、30…種結晶、30a…コート面、30b…成長面、40…コート層、40a…接着面、50…接着層、50a…固定面、60…支持棒、70…石英管、80…炭化珪素粒子、d1…コート層厚さ、d2…炭化珪素粒子の平均粒径、S1…原料準備工程、S2…種結晶固定工程、S3…坩堝加熱・原料昇華工程、S4…種結晶成長工程、S21…コート層形成工程、S22…種結晶接着工程
Claims (3)
- 炭化珪素単結晶成長用の種結晶と種結晶台座とを固定する種結晶固定工程を有し、炭化珪素単結晶の原料を昇華させて炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、
前記種結晶固定工程は、
フェノール樹脂と炭化珪素粒子とを含むコート剤を用いて、前記種結晶の一方面にコート層を形成する工程と、
接着剤を用いて、前記コート層と前記種結晶台座との間に介在する接着層を形成する工程とを有し、
前記コート層の厚さは、5〜20μmであり、
前記コート層は、体積比で炭化珪素粒子を1〜20%含んでいることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。 - 前記接着剤は、フェノール樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
- 前記炭化珪素粒子の平均粒径は0.1〜5μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
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2009
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