JP5850489B2 - SiC単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶液法によるSiC(炭化珪素)単結晶の成長方法によるSiC単結晶の製造方法およびそれによって得られたSiC単結晶に関し、溶液法による成長結晶中の気泡巻き込みによるボイド欠陥を大幅に抑制することを実現し、かつ表面のモフォロジーの向上を実現するSiC単結晶の製造方法およびそれによって得られた高品質なSiC単結晶に関するものである。
熱的・化学的安定性に優れたSiC単結晶は、Si(珪素)と比較してバンドギャップエネルギーが約3倍、絶縁破壊電界が7倍、熱伝導率が3倍と大きく、かつ不純物の添加によって伝導型(p型、n型)制御が容易であり、熱酸化膜の形成がSiと同様に可能であることから、Siやガリウムヒ素などの既存技術では達成できない高温、高耐圧、高周波、高耐環境性を有する次世代の電力変換用素子への応用が強く期待されている。
SiC単結晶の成長法としては、アチソン法、気相法(昇華法、化学気相法)、溶液法が知られている。アチソン法ではSi原料である硅砂とC(炭素)原料となるコークスを黒鉛電極周囲に配置し、黒鉛電極を通電加熱することにより不定形板状SiC結晶を得る。この際、不純物制御や形状制御が困難であり、半導体基板の作製には向いていない。気相法の代表例である昇華法はインチサイズの単結晶基板が作製可能であるが、結晶中の欠陥密度が大きいという問題がある。化学気相(CVD)法はガスによる原料供給を行うため、一般的には薄膜結晶成長の方法であり、バルク単結晶成長法としては多くの課題を残している。
溶液法は、黒鉛坩堝中でSi又はSi含有合金を融解し、その融液中に黒鉛坩堝もしくは炭化水素ガス供給によって気相からCを溶解させ、低温部に設置した単結晶基板上にSiC結晶層を溶液析出によって成長させる方法である。溶液法は気相法に比べ比較的熱平衡状態に近い条件で結晶成長が進行すると考えられることから、一般的には高品質な単結晶を得る方法としては好都合であることが知られている。上述の理由から、近年、溶液法によるSiC単結晶の成長方法について、成長速度や結晶品質を高める検討がなされている。
特許文献1には、Si及びC、またはSi、Cr及びM(M:Ti、Fe、Mn、Coのいずれか一種以上)からなる、SiCが溶解している融液中に、SiCの種結晶基板を浸漬し、少なくとも種結晶基板周辺における溶液過冷却によりSiCを過飽和状態とすることによって、種結晶基板上にSiC単結晶を成長させる方法において、気泡を含まない良質なバルクSiC単結晶を、2000℃以下の温度で実用的な成長速度で安定して製造する方法が提案され、単結晶成長時の雰囲気ガスとして、単結晶成長温度での粘度ηが750μP以下の非酸化性ガス、例えばヘリウムまたはヘリウムを主成分とする混合ガスを使用することによって、成長結晶中の気泡発生を完全に抑制することができると記述されている。
しかしながら、不純物元素の少ない高品質で、高い成長速度で結晶成長を実施するためには、Si及びCの2元系溶液を用い、かつ2000℃以上の高温下で成長することが望まれる。この場合、Si溶液の蒸発を防ぐために雰囲気ガスを加圧する方法がとられる。発明者らが実験を行ったところ、結晶成長温度2100℃、雰囲気ガス(He)0.95MPaの結晶成長条件において、気泡の巻き込みを抑制することはできなかった。
非特許文献1には、結晶成長温度T≦2300℃、圧力P≦20MPaの結晶成長条件において、Ar雰囲気ガス下に、Si及びCの2元系溶液で数10〜100μm/hの速度で結晶成長が行われている。しかしながら、該非特許文献1には、使用するArガスの巻き込みや溶液の巻き込みなどが不可避に生じると記述されている。
特許文献2には、黒鉛坩堝内で加熱されたSiを融解した溶液にSiC単結晶を接触させ基板上にSiC単結晶を成長させる方法において、融液内にCrおよびX(XはCe、Ndのうち少なくともいずれか1種以上である)の元素を全組成中の各々の元素の割合としてCrが30〜70at.%であってかつ、1)XがCeである場合はCeが0.5〜20at.%、2)XがNdである場合はNdを1〜25at.%である融液で、SiC単結晶を析出成長させる方法が提案されている。
しかしながら、該特許文献2に記載の技術は、融液組成が限定されており、これ以外の融液組成を用いた場合には、SiC単結晶の溶液成長に対して汎用的に効果を発揮するとは限らない。
特許文献3には、溶液法を用いたSiC単結晶の析出・成長方法において、溶液界面の面積(Ss)に対するSiC種結晶の表面積(Sc)の割合(Sc/Ss)を0.13以下、結晶成長開始前の坩堝内の雰囲気圧力を55kPa以上とし、結晶成長開始以後の坩堝内の雰囲気圧力を150kPa以下とすることにより、SiC単結晶中の多結晶の混入確率を低減するとともに単結晶中のボイド密度を低減し得るSiC単結晶の製造方法が記載されている。
しかしながら、該特許文献3に記載の技術は、ボイド欠陥の完全な抑制は達成できておらず、且つ、溶液界面の面積(Ss)に対するSiC種結晶の表面積(Sc)の割合(Sc/Ss)を0.01〜0.13にする必要があることから、結晶の成長に用いる種結晶の直径よりも7〜100倍大きな直径の坩堝を用いなくてはならず、装置の大型化が必要であり、工業生産上は問題がある。また、不純物元素の少ない高品質で、高い成長速度で結晶成長を実施するためには、Si及びCの2元系溶液を用い、かつ2000℃以上の高温下の条件が望まれる。この場合、該特許文献3に記載の方法ではSi溶液の蒸発が顕著であり、2100℃を超える温度では実施が困難である。
特開2006−69861号公報 特許第4450075号公報 特開2011−68515号公報
Material Science Engineering,B61−62,(1999)29−39
以上のように、前述の公知文献における溶液法によるSiC単結晶の成長法は、2000℃以下の条件で、雰囲気ガス粘度が750μP以下となる非酸化性ガス(例えばHe)を用いる方法であるが、特定の溶液組成における成長結晶中のマクロ欠陥の低減効果について記載されているものの、SiC単結晶を成長し得る全ての成長温度(特に2000℃以上)や溶液組成に対して、ボイドを抑制し得る有効な方法ではなかった。また、雰囲気ガスの圧力制御および坩堝・種結晶の構造を制御することによってボイド低減及び多結晶抑制を実現する方法も記載されているが、そのボイド抑制効果は完全ではなく、また、作製する単結晶よりも7〜100倍の直径を持つ大きな坩堝を用いなくてはならず、装置の大型化が必要であり、工業生産上は問題がある。また、高品質高純度のSiC単結晶の作製のためには、Siのみを溶液として用いることが望ましく、これらの公知文献に記載の方法では、Siのみを溶液として用いた場合に、成長結晶中のマクロ欠陥を抑制し、成長結晶表面モフォロジーの向上を実現することは困難である。
本発明は、雰囲気ガスの種類、結晶成長条件(温度勾配・雰囲気ガス圧力など)の如何を問わず、溶液成長法で典型的に発生するボイド欠陥を大幅に抑制することが可能であるSiC単結晶の成長方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、溶液法によるSiC単結晶の製造方法について検討を行った結果、SiC単結晶中のボイドは、溶液に溶け込んだ雰囲気ガスが再びガス化し気泡を発生し、その気泡が結晶成長とともに取り込まれることが原因の一つであることを見出し、加えて、気泡の種結晶表面に対する吸着力よりも、溶液中での気泡の浮力の方が大きいことを見出した。これらの新たな知見により、ボイドの原因となる気泡を取り除く方法を更に鋭意検討し、種結晶を保持する場合の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度が重要であることを明らかにし、本発明に至った。
本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
(1)Si及びCを含む溶液中に、SiCの種結晶を浸漬し、SiCを析出・成長させる溶液成長法によるSiC単結晶の製造方法であって、前記種結晶が上下可能な種結晶保持機構で保持され、該種結晶保持機構が、該種結晶の成長面法線ベクトル側に結晶成長できる空間を有し、かつ該種結晶の成長面法線ベクトルの向きと反対側の種結晶面を保持するとともに、該種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を90°以下に保持することを特徴とするSiC単結晶の製造方法
)坩堝とは独立した種結晶保持棒によって、前記種結晶の成長面法線ベクトルと前記溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を90°以下に保持された前記種結晶を、該坩堝内の溶液に浸漬してSiCを析出・成長させ、結晶成長終了時には該種結晶を該坩堝内溶液と切り離すことを特徴とする()に記載のSiC単結晶の製造方法。
)前記SiC単結晶の製造をガス雰囲気下で行い、該雰囲気ガスの圧力が、0.1MPa以上であることを特徴とする(または記載のSiC単結晶の製造方法。
)結晶成長温度が、1700℃以上、2400℃以下であることを特徴とする()〜()のいずれか1項に記載のSiC単結晶の製造方法。
)前記溶液中に遷移金属元素および/または希土類元素を含むことを特徴とする()〜()のいずれか1項に記載のSiC単結晶の製造方法。
本発明により、溶液法によるSiC単結晶を成長させて単結晶を製造する際、雰囲気ガス種、雰囲気ガス圧力、溶液組成等の溶液法によるSiC単結晶の成長条件によらず、SiC単結晶中の気泡巻き込みによるボイド欠陥が低減されたSiC単結晶およびその製造方法を提供することができる。
図1は実施例1〜3で使用した、種結晶成長面の法線ベクトル方向が溶液表面の法線ベクトル方向と一致する保持方法(0°保持)による、溶液法によるSiC単結晶成長実験装置の模式図である。 図2は実施例1及び比較例1における、種結晶成長面の法線ベクトル方向と溶液表面の法線ベクトル方向とのなす角度と得られたSiC結晶中のボイド密度の関係を示すグラフである。 図3は実施例1で得られたSiC単結晶の、成長面の透過画像を示す顕微鏡写真である。 図4は実施例1で得られたSiC単結晶の、成長面に垂直な断面の透過画像を示す顕微鏡写真である。
本発明の製造方法を実施するための形態の1例を示した図1を用いて説明する。
本発明においては、種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を90°以下となるように保持する。なお、これらのベクトル方向は図1で図示した通りである。
種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度は、90°以下(±90°以下)となるように保持するとボイド発生を低減することが可能であるが、結晶成長面内を均一な温度環境に保つことが必要な場合には、種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を0°となるように保持することが好ましい。
図1において、SiC単結晶成長は、加熱装置である高周波コイル7によって加熱された黒鉛坩堝1中の溶液5に、SiC単結晶基板2を保持する種結晶保持機構3(黒鉛材で形成)の一部である種結晶保持棒4の先端に、種結晶であるSiCからなる単結晶基板2を接着又は機械的固定により、種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を90°以下となるように保持し、これを溶液内に浸漬させて単結晶成長させることができる。種結晶保持棒と坩堝はおのおの独立に回転する機構を備えたものが好ましい。
ここで、図1では、黒鉛坩堝1は断熱材6で覆われ、この外側に高周波コイル7が設置されている。
なお、図1に示した種結晶保持機構の図は1例であり、種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を90°以下となるように保持する方法としてはこの限りではない。
種結晶の形状は円盤、六角形平板、四角形平板等の板状でも、立方体でもよいが、円盤、六角形平板、四角形平板等の板状が好ましい。種結晶の大きさは、どのような大きさでもよく、その目的にもよるが、直径0.1cm以上が好ましく、0.5cm以上がより好ましく、1cm以上がさらに好ましい。直径の好ましい上限は特に限定されるものでなく、結晶成長装置の容量に合わせて調製すればよく、例えば10cmでも構わない。
ここで、種結晶の成長面法線ベクトルが複数存在する場合は、種結晶から成長する結晶量が最も多い面の成長面法線ベクトル(例えば、円盤、六角形平板、四角形平板等の板状であれば、円盤平面、六角平面、四角形平面上の法線ベクトル)と溶液表面の法線ベクトルとのなす角度である。本発明においては、種結晶から成長する結晶量が最も多い面以外の部分からの結晶成長が少ない形状の種結晶を用いるのが好ましく、このため立方体よりも板状のものが好ましい。
本発明のSiC単結晶を得る方法において、溶液成長に用いる溶液の組成に関しては、少なくともSiとCが含まれているならば特に制限は無い。本発明においては、溶液成長に用いる溶液には遷移金属元素(好ましくはTi、Cr等の第一遷移元素)または/および希土類元素(例えば、スカンジウム、イットリウム等)を含んでもよい。特に、Si−C溶液、Si−C−Ti溶液、Si−C−Cr溶液が好ましく、溶液に遷移金属元素(好ましくはTi、Cr等の第一遷移元素)または/および希土類元素を含んだ場合においても、種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を90°以下となるように保持した場合には成長したSiC単結晶内のボイドは大幅に抑制される。ここで、Si−C溶液、Si−C−Ti溶液、Si−C−Cr溶液におけるCの少なくとも一部は黒鉛坩堝から溶液中に溶解させたものである。また、Cの一部はCHなどの炭化水素ガスを溶液中に吹き込む、又は雰囲気ガスに混入することにより溶液中にCを供給する方法もある。
雰囲気ガスは、SiC単結晶成長時に、SiC結晶及び溶液の酸化を防止するために、He、Ne、Ar等の不活性ガスを用い、またN、H、CHなどのガスを混合してもよい。また、SiC結晶成長は1700〜2400℃の高温で実施するため、雰囲気ガス圧力が0.1MPaよりも低いと溶液の蒸発が激しいので、加圧条件でSiC単結晶成長を実施することが望ましい。好適な雰囲気ガス圧力は0.1MPa以上である。
本発明の製造方法におけるSiC単結晶成長時の温度は、1700〜2400℃の範囲内で設定可能であるが、溶液組成によって最適な温度条件を1700〜2400℃の範囲内で任意に設定すればよい。ただし結晶成長温度によっては溶液の蒸発が激しくなるので、雰囲気ガスの圧力としては、1700〜1900℃の結晶成長温度の場合には0.1MPa〜1MPa、1900〜2400℃の範囲の結晶成長温度では1MPa〜10MPaが好適である。
本発明において、種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を90°以下に保持する方法としては、種結晶保持機構で種結晶を保持することが好ましい。この種結晶保持機構は、黒鉛材で形成され、種結晶保持棒の先端に種結晶を接着もしくは機械的固定で保持できる部分を有すことが好ましい。種結晶保持機構は、種結晶の成長面法線ベクトル側に結晶成長できる空間を有し、かつ種結晶の成長面法線ベクトルの向きと反対側の種結晶面(好ましくはこの向きの種結晶面全体)を保持するものが好ましい。具体的には、図1に示すようなものが好ましく、種結晶保持棒は、種結晶の成長面法線ベクトル側の結晶成長できる空間上に結晶成長を妨げないように取り付けることが好ましい。なお、この種結晶保持機構は坩堝とは独立に上下可能なものが特に好ましく、種結晶保持棒で上下可能としたものが好ましい。
なお、上下可能な種結晶保持機構、特に種結晶保持棒により、SiC単結晶成長終了後速やかに、溶液が固化してしまわない融点以上の温度状態で、成長した単結晶を溶液から取り出すことができる。SiC種結晶が溶液に浸漬された状態のまま、溶液が固化すると、熱膨張率の違いからSiC単結晶に割れが生じるなどの問題が発生する。このため、本発明の方法は、上記のように、SiC単結晶(基板)を保持する種結晶保持機構を用いて、種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度が90°以下となるように種結晶のSiCからなる単結晶基板を接着又は機械的固定し、SiC単結晶成長後に種結晶保持機構、特に種結晶保持棒を上昇させることにより、溶液と種結晶を完全に切り離すことができる。
このように本発明の溶液法によるSiC単結晶成長方法によって、高温で長時間、例えば12時間以上、成長するSiC単結晶中のボイド発生を大幅に抑制してSiC単結晶を成長させることができる。
すなわち、Si及びCを含む溶液中に、SiCの種結晶を浸漬し、SiCを析出・成長させるにあたり、該種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を90°以下に保持して製造することで得られるSiC単結晶はボイド密度を1000個/cm以下とすることができる。ボイド密度は、好ましくは100個/cm以下、さらに好ましくは0〜10個/cmである。これにより、ボイドの発生で問題とする直径1μm以上のボイドの発生は大幅に抑制できる。
ボイド密度は、以下のようにして測定できる。
すなわち、光学顕微鏡を用い、透過照明によって、結晶成長部分の厚み方向にすべて含んだ領域にてボイド数を計測する。ここで、ボイドは透過照明で黒丸点として観測されるので、容易に計測できる。また、光学可能顕微鏡観察の空間分解能は1μm程度であり、問題とする1μm以上の大きさのボイドは十分に検出できる。より具体的には、結晶成長部分の平面の2mm×2mmの領域で、結晶成長部分の全厚み(例えば結晶成長した厚みが100μmの場合であれば100μm)の領域を、顕微鏡観察してボイド数計測を行い、それを任意の場所で計6回繰り返し、1cm当たりに換算してその平均値を求める。以後の実施例、比較例はこのようにして求めたものである。なお、ここで、透過照明で全厚みを観察できない厚みの場合は、厚み方向に分割して計測を繰り返すことで計測することができる。
以下に、本発明を具体的に説明する目的で実施例を示す。ただし、これらの実施例は、本発明の具体的説明を目的としており、本発明を制限する意図はない。
以下の実験では、図1に示したSiC単結晶成長の実施形態と同様の装置を用いて、SiC単結晶成長を行った。実験では、溶液にはSiを用い、結晶成長温度1900℃、雰囲気ガス圧力0.95MPaの条件で、種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を変動因子として、0°〜180°の範囲となるように種結晶を保持して行った。ここで使用した種結晶は、2.5〜5.1cmの大きさの板状のSiC単結晶基板である。
実験では、黒鉛坩堝にSi又はSiと所定の添加金属元素とを充填し、減圧下で溶液成分の融点以下の温度に保持し吸着ガスを脱気した後、雰囲気ガスとしてArガスを加圧条件で充填し、黒鉛坩堝の底面が所定の温度になるように加熱して、溶液原料を融解させた。黒鉛坩堝の内壁からSi溶液へCが飽和濃度まで十分に供給されるように、一定時間保持した。その後、図1に例示した種結晶保持機構と同様な構造、または種結晶に穴をあけ、黒鉛製のねじなどによって機械的に固定する方法によって保持されたSiC種結晶を溶液に浸漬し、3時間の浸漬時間が経過した後、種結晶保持機構を保持している種結晶保持棒を上昇させ、種結晶を溶液から引き揚げた。結晶成長中は種結晶保持棒と黒鉛坩堝を互いに逆方向に回転させた。
炉内の温度を室温まで冷却させた後、SiC種結晶を回収し、フッ硝酸を用いて洗浄を行い、SiC結晶表面に付着している溶液の凝固物を取り除いた。種結晶上に溶液法により成長したSiC単結晶の表面と断面に対して、透過照明を用いた顕微鏡観察を実施し、成長結晶中のボイド密度を前述のようにして計測した。
(実施例1)
実験では、黒鉛坩堝にSiを充填し、1Pa以下の減圧下で黒鉛坩堝及びSi原料を1100℃程度の温度に保持し、これらに吸着した吸着ガスを脱気した後、雰囲気ガスとしてArガスを0.95MPaの圧力になるように充填し、黒鉛坩堝の底面が1900℃になるように加熱し、Si原料を融解させた。黒鉛坩堝の内壁からSi溶液へCが飽和濃度まで十分に供給されるように、2時間保持した。その後、図1に例示した種結晶保持機構と同様な構造、または種結晶に穴をあけ、黒鉛製のねじなどによって機械的に固定する方法によって、種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を90°以下に保持したSiC種結晶を溶液に浸漬し、12時間の浸漬時間が経過した後、種結晶保持機構を保持している種結晶保持棒を上昇させ、種結晶を溶液から引き揚げた。結晶成長中は種結晶保持棒と黒鉛坩堝を互いに逆方向に回転させた。
(比較例1)
種結晶を種結晶保持棒の先端に、SiCからなる単結晶基板を接着又は機械的固定により、種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を90°を超え、180°以下の範囲となるように種結晶を保持することとした以外は実施例1と同様にしてSiC単結晶を製造した。
成長したSiC結晶を、透過照明を用いた顕微鏡観察により、成長結晶中のボイド密度を計測した。これらの結果を図2に示した。図2によれば、種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度が90°より大きくなるように種結晶を保持した場合には、SiC単結晶中にボイドが発生する。
種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を120°と150°に保持した場合のボイド密度は、種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を180°に保持した場合のボイド密度より1/5までに低減可能であったが、完全にボイド発生を抑制するには至らなかった。
なお、種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を0°、30°、60°、90°とした場合、ボイド密度は0〜10個/cmであった。
種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度との関係を示した図2によれば、種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を90°以下で保持した場合、ボイド発生は実質的に、完全に抑制されており、ボイドを含まないSiC単結晶の製造が可能である。
図3および図4は、本発明の実施例1における、種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を0°に保持した場合の、成長したSiC単結晶の透過照明を用いた顕微鏡写真である。図3は成長したSiC単結晶の平面図であり、図4は成長したSiC単結晶の断面図である。図3、図4から、本発明による結晶保持法を用いた結晶成長方法(製造方法)では、SiC単結晶中のボイド発生を完全に抑制できることが確認された。
(実施例2)
溶液原料をSi0.77Ti0.23とし、Si−C−Ti溶液に変更した以外は実施例1と同様にしてSiC単結晶を製造した。
(実施例3)
溶液原料をSi0.6Cr0.4とし、Si−C−Cr溶液に変更した以外は実施例1と同様にしてSiC単結晶を製造した。
実施例2および実施例3では、溶液原料をSi0.77Ti0.23としたSi−C−Ti溶液および溶液原料をSi0.6Cr0.4としたSi−C−Cr溶液を用いて実施例1に記載の方法を用い、種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を0°で保持してSiC単結晶成長の実験を行った。その結果、実施例2および実施例3で使用したいずれの溶液原料においても、ボイド発生を抑制し、ボイドを含まないSiC単結晶の作製が可能であった。
本発明のSiC単結晶の製造方法によれば、高い結晶成長温度でかつ雰囲気ガス圧力が0.1MPa以上の圧力であっても、ボイドの発生を大幅に抑制し、ボイドを含まない高品質のSiC単結晶を製造することが可能となる。
1 黒鉛坩堝
2 SiC種結晶
3 種結晶保持機構
4 種結晶保持棒
5 溶液
6 断熱材
7 高周波コイル

Claims (5)

  1. Si及びCを含む溶液中に、SiCの種結晶を浸漬し、SiCを析出・成長させる溶液成長法によるSiC単結晶の製造方法であって、前記種結晶が上下可能な種結晶保持機構で保持され、該種結晶保持機構が、該種結晶の成長面法線ベクトル側に結晶成長できる空間を有し、かつ該種結晶の成長面法線ベクトルの向きと反対側の種結晶面を保持するとともに、該種結晶の成長面法線ベクトルと溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を90°以下に保持することを特徴とするSiC単結晶の製造方法。
  2. 坩堝とは独立した種結晶保持棒によって、前記種結晶の成長面法線ベクトルと前記溶液表面の法線ベクトルとのなす角度を90°以下に保持された前記種結晶を、該坩堝内の溶液に浸漬してSiCを析出・成長させ、結晶成長終了時には該種結晶を該坩堝内溶液と切り離すことを特徴とする請求項に記載のSiC単結晶の製造方法。
  3. 前記SiC単結晶の製造をガス雰囲気下で行い、該雰囲気ガスの圧力が、0.1MPa以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のSiC単結晶の製造方法。
  4. 結晶成長温度が、1700℃以上、2400℃以下であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載のSiC単結晶の製造方法。
  5. 前記溶液中に遷移金属元素および/または希土類元素を含むことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載のSiC単結晶の製造方法。
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