JP5055747B2 - 金属酸化物膜の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明においては、上記酸化剤および/または還元剤を使用することにより、従来よりも低い基材加熱温度で金属酸化物膜を成膜することが可能となるのである。
上記酸化セリウム膜は、まだ明確ではないが、以下の6つの式により形成されると考えられている。
(i) Ce(NO3)3 → Ce3++3NO3 −
(ii) (CH3)2NHBH3+2H2O → BO2 −+(CH3)2NH+7H++6e―
(iii) 2H2O+2e− → 2OH−+H2
(iv) Ce3+ → Ce4++e−
(v) Ce4++2OH− → Ce(OH)2 2+
(vi) Ce(OH)2 2+ → CeO2+H2
以下、本発明の金属酸化物膜の製造方法について、各構成毎に詳細に説明する。
まず、本発明の金属酸化物膜の製造方法に用いられる金属酸化物膜形成用溶液について説明する。本発明に用いられる金属酸化物膜形成用溶液は、酸化剤および/または還元剤と、金属源として金属塩または金属錯体と、溶媒とを少なくとも含有するものである。
本発明に用いられる酸化剤は、後述する金属源が溶解してなる金属イオン等の酸化を促進する働きを有するものである。金属イオン等の価数を変化させることにより、金属酸化物の発生しやすい環境とすることができ、従来の方法に比べ、より低い基材加熱温度で金属酸化物膜を得ることができる。
本発明に用いられる金属酸化物膜形成用溶液における上記酸化剤の濃度としては、酸化剤の種類に応じて異なるものではあるが、通常0.001〜1mol/lであり、中でも0.01〜0.1mol/lであることが好ましい。濃度が上記範囲以下であると、基材加熱温度を低下させる効果を充分に発揮することができない可能性があり、濃度が上記範囲以上であると、得られる効果に大差が見られず、コスト上好ましくないからである。
本発明に用いられる還元剤は、分解反応により電子を放出し、水の電気分解によって水酸化物イオンを発生させ、金属酸化物膜形成用溶液のpHを上げる働きを有するものである。金属酸化物膜形成用溶液のpHが上昇することで、プールベ線図における金属酸化物領域あるいは金属水酸化物領域へ誘導し、金属酸化物膜の発生しやすい環境とすることができ、従来の方法に比べ、より低い基材加熱温度で金属酸化物膜を得ることができる。
本発明に用いられる金属源は、金属酸化物膜形成用溶液に溶解し、上述した酸化剤または還元剤の作用により金属酸化物膜を与えるものである。本発明に用いられる金属源は、後述する溶媒に溶解するものであれば、金属塩であっても良く、金属錯体であっても良い。
本発明に用いられる金属酸化物膜形成用溶液における上記金属源の濃度としては、金属源が金属塩の場合、通常0.001〜1mol/lであり、中でも0.01〜0.5mol/lであることが好ましく、金属源が金属錯体である場合、通常0.001〜1mol/lであり、中でも0.01〜0.5mol/lであることが好ましい。濃度が上記範囲以下であると、金属酸化物膜成膜に時間がかかり、工業的に好適でない可能性があり、濃度が上記範囲以上であると、均一な膜厚の金属酸化物膜を得ることができない可能性があるからである。
また、上記金属錯体としては、具体的には、マグネシウムジエトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、カルシウムアセチルアセトナート二水和物、カルシウムジ(メトキシエトキシド)、グルコン酸カルシウム一水和物、クエン酸カルシウム四水和物、サリチル酸カルシウム二水和物、チタンラクテート、チタンアセチルアセトネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、ブチルチタネートダイマー、チタニウムビス(エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジヒドロキシビス(アンモニウムラクテート)チタニウム、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、チタンペロキソクエン酸アンモニウム四水和物、ジシクロペンタジエニル鉄(II)、乳酸鉄(II)三水和物、鉄(III)アセチルアセトナート、コバルト(II)アセチルアセトナート、ニッケル(II)アセチルアセトナート二水和物、銅(II)アセチルアセトナート、銅(II)ジピバロイルメタナート、エチルアセト酢酸銅(II)、亜鉛アセチルアセトナート、乳酸亜鉛三水和物、サリチル酸亜鉛三水和物、ステアリン酸亜鉛、ストロンチウムジピバロイルメタナート、イットリウムジピバロイルメタナート、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウム(IV)エトキシド、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムモノステアレート、ペンタ−n−ブトキシニオブ、ペンタエトキシニオブ、ペンタイソプロポキシニオブ、トリス(アセチルアセトナト)インジウム(III)、2−エチルヘキサン酸インジウム(III)、テトラエチルすず、酸化ジブチルすず(IV)、トリシクロヘキシルすず(IV)ヒドロキシド、ランタンアセチルアセトナート二水和物、トリ(メトキシエトキシ)ランタン、ペンタイソプロポキシタンタル、ペンタエトキシタンタル、タンタル(V)エトキシド、セリウム(III)アセチルアセトナートn水和物、クエン酸鉛(II)三水和物、シクロヘキサン酪酸鉛、カルシウムアセチルアセトナート二水和物、クロム(III)アセチルアセトナート、トリフルオロメタンスルホン酸ガリウム(III)、ストロンチウムジピバロイルメタナート、五塩化ニオブ、モリブデニルアセチルアセトナート、パラジウム(II)アセチルアセトナート、塩化アンチモン(III)、テルル酸ナトリウム、塩化バリウム二水和物、塩化タングステン(VI)等を挙げることができる。中でも、本発明においては、マグネシウムジエトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、カルシウムアセチルアセトナート二水和物、チタンラクテート、チタンアセチルアセトネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、ブチルチタネートダイマー、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、乳酸鉄(II)三水和物、鉄(III)アセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、乳酸亜鉛三水和物、ストロンチウムジピバロイルメタナート、ペンタエトキシニオブ、トリス(アセチルアセトナト)インジウム(III)、2−エチルヘキサン酸インジウム(III)、テトラエチルすず、酸化ジブチルすず(IV)、ランタンアセチルアセトナート二水和物、トリ(メトキシエトキシ)ランタン、セリウム(III)アセチルアセトナートn水和物を使用することが好ましい。
また、本発明においては、金属酸化物膜形成用溶液が上記金属元素を2種類以上含有していても良く、複数種の金属元素を使用することにより、例えば、ITO、Gd−CeO2、Sm−CeO2、Ni−Fe2O3等の複合金属酸化物膜を得ることができる。
本発明に用いられる溶媒は、上述した還元剤および金属源等を溶解することができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、金属源が金属塩の場合は、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール等の総炭素数が5以下の低級アルコール、トルエン、およびこれらの混合溶媒等を挙げることができ、金属源が金属錯体の場合は、水、上述した低級アルコール、トルエン、およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。また、本発明のおいては、上記溶媒を組み合わせて使用しても良く、例えば、水への溶解性は低いが有機溶媒への溶解性は高い金属錯体と、有機溶媒への溶解性は低いが水への溶解性が高い還元剤とを使用する場合は、水と有機溶媒とを混合することにより両者を溶解させ、均一な金属酸化物膜形成用溶液とすることができる。
また、本発明に用いられる金属酸化物膜形成用溶液は、セラミックス微粒子、補助イオン源、および界面活性剤等の添加剤を含有していても良い。
このようなセラミックス微粒子は、上記目的を達成することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えばITO、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、珪素酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、セリウム酸化物、カルシウム酸化物、マンガン酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸バリウム等を挙げることができる。
ClO4 − + H2O + 2e− ⇔ ClO3 − + 2OH−
ClO3 − + H2O + 2e− ⇔ ClO2 − + 2OH−
ClO2 − + H2O + 2e− ⇔ ClO− + 2OH−
2ClO− + 2H2O + 2e− ⇔ Cl2(g)+ 4OH−
BrO3 − + 2H2O + 4e− ⇔ BrO− + 4OH−
2BrO− + 2H2O + 2e− ⇔ Br2 + 4OH−
NO3 − + H2O + 2e− ⇔ NO2 − + 2OH−
NO2 − + 3H2O + 3e− ⇔ NH3 + 3OH−
このような界面活性剤は、具体的にはサーフィノール485、サーフィノールSE、サーフィノールSE−F、サーフィノール504、サーフィノールGA、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104PPM、サーフィノール104E、サーフィノール104PA等のサーフィノールシリーズ(以上、全て日信化学工業(株)社製)、NIKKOL AM301、NIKKOL AM313ON(以上、全て日光ケミカル社製)等を挙げることができる。
次に、本発明の金属酸化物膜の製造方法に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材の材料としては、上記加熱温度に対する耐熱性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えばガラス、SUS、金属板、セラミック基板、耐熱性プラスチック等を挙げることができ、中でもガラス、SUS、金属板、セラミック基板を使用することが好ましい。汎用性があり、充分な耐熱性を有しているからである。
また、本発明に用いられる基材は、特に限定されるものではないが、例えば、平滑な表面を有するもの、微細構造部を有するもの、穴が開いているもの、溝が刻まれているもの、多孔質であるもの、多孔質膜を備えたものであっても良い。中でも、平滑な表面を有するもの、微細構造部を有するもの、溝が刻まれているもの、多孔質であるもの、多孔質膜を備えたものが好適に使用される。
次に、本発明の金属酸化物膜の製造方法における基材と金属酸化物膜形成用溶液との接触方法について説明する。本発明における上記接触方法としては、上述した基材と上述した金属酸化物膜形成用溶液とを接触させる方法であれば特に限定されるものではないが、上記金属酸化物膜形成用溶液と基材が接触した際に、基材の温度を低下させない方法であることが好ましい。基材の温度が低下すると成膜反応が起こらず所望の金属酸化物膜を得ることができない可能性があるからである。このような基材の温度を低下させない方法としては、例えば、上記金属酸化物膜形成用溶液を液滴として基材に接触させる方法等が挙げられ、中でも上記液滴の径が小さいことが好ましい。上記液滴の径が小さければ、金属酸化物膜形成用溶液の溶媒が瞬時に蒸発し、基材温度の低下をより抑制することができ、さらに液滴の径が小さいことで、均一な金属酸化物膜を得ることができるからである。
このような径が小さい金属酸化物膜形成用溶液の液滴を基材に接触させる方法は、特に限定されるものではないが、具体的には、上記金属酸化物膜形成用溶液を噴霧することにより基材に接触させる方法、金属酸化物膜形成用溶液をミスト状にした空間の中に基材を通過させる方法等が挙げられる。
また、上記スプレー装置の噴射ガスとしては、金属酸化物膜の形成を阻害しない限り特に限定されるものではないが、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素等を挙げることができ、中でも不活性な気体である窒素、アルゴン、ヘリウムが好適に使用される。また、上記噴射ガスの噴射量としては、0.1〜50l/min、中でも1〜20l/minであることが好ましい。また、上記スプレー装置は固定されていているもの、可動式のもの、回転によって上記溶液を噴射させるもの、圧力によって上記溶液のみを噴射させるもの等であっても良い。このようなスプレー装置としては、一般的に用いられるスプレー装置を用いることができ、例えばハンドスプレー(スプレーガンNo.8012、アズワン社製)、超音波ネプライザー(NE−U17、オムロン社製)等を用いることができる。
また、このような基材の加熱方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ホットプレート、オーブン、焼成炉、赤外線ランプ、熱風送風機等の加熱方法を挙げることができ、中でも基材温度を上記温度に保持しながら上記金属酸化物膜形成用溶液に接触できる方法が好ましく、具体的にはホットプレート等を使用することが好ましい。
上記ローラーによって基材を連続的に移動させ噴霧する方法は、例えば、図3に示すように、基材1を、金属酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱したローラー4〜6を用いて連続的に移動させ、スプレー装置3により金属酸化物膜形成用溶液2を噴霧し金属酸化物膜を形成する方法である。この方法は、連続的に金属酸化物膜を形成することができるという利点を有する。
また、上記固定された基材上に噴霧する方法は、例えば、図1に示すように、基材1を金属酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱し、この基板1に対して、スプレー装置3を用いて金属酸化物膜形成用溶液2を噴霧することにより、金属酸化物膜を形成する方法である。
また、本発明の金属酸化物膜の製造方法においては、上述した接触方法等により得られた金属酸化物膜の洗浄を行っても良い。上記金属酸化物膜の洗浄は、金属酸化物膜の表面等に存在する不純物を取り除くために行われるものであって、例えば、金属酸化物膜形成用溶液に使用した溶媒を用いて洗浄する方法等を挙げることができる。
<微細加工を施したSUS基材への酸化ジルコニウム膜形成>
本参考例においては、微細加工を施したSUS基材に酸化ジルコニウム膜を形成させることにより、絶縁性を付与する実験を行った。
まず、本参考例においては、微細加工を施したSUS基材(VECO社グリットスクエアー200メッシュ、径3.05mm角孔)を基材とした。
次に、塩化ジルコニウム(IV)(関東化学社製)0.1mol/lの水溶液1000gに、過酸化水素水10gを加え、さらに還元剤であるボラン−ジメチルアミン錯体(関東化学社製)を1.0mol/lとなるよう添加し、金属酸化物膜形成用溶液を得た。
次に、上記基材をホットプレート(アズワン社製)で300℃に加熱し、この基材に上記金属酸化物膜形成用溶液をハンドスプレー(スプレーガンNo.8012、アズワン社製)を用いてスプレーし、基材上に金属酸化物膜を得た。
上記方法により得られた金属酸化物膜を、純水で洗浄した後に、目視で確認したところ、基材表面および微細加工部に干渉色が観測される程度の膜が確認された。また、上記金属酸化物膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、酸化ジルコニウム膜が形成していることを確認された。さらに、上記基材上に形成された金属酸化物膜の表面抵抗を、ロレスタ(三菱化学社製)を用いて測定したところ、絶縁性を確認することができた。なお、基材上に形成された金属酸化物膜をティッシュペーパーで擦っても剥離することはなかった。
過酸化水素水および還元剤を加えなかったこと以外は実施例1と同様に実験を行った。その結果、基材上には白色物質が付着し、この白色物質はティッシュペーパーで擦ると容易に剥離するものであった。上記白色物質を、上記X線回折装置を用いて測定したところ、塩化ジルコニウムであった。すなわち、実施例1と同じ300℃において、過酸化水素水および還元剤を加えずに酸化ジルコニウム膜を得ることはできなかった。
過酸化水素水および還元剤を加えなかったこと、および基材の加熱温度を500℃とした以外は実施例1と同様に実験を行った。その結果、基材上に金属酸化物膜が得られ、純水で洗浄した後に、上記X線回折装置を用いて測定したところ、酸化ジルコニウム膜が形成していることを確認された。さらに、上記基材上に形成された金属酸化物膜の表面抵抗を、ロレスタ(三菱化学社製)を用いて測定したところ、絶縁性が確認することができた。
<微細加工を施したガラス基材への酸化亜鉛膜形成>
本参考例においては、微細加工を施したガラス基材に酸化亜鉛膜を形成させることにより、導電性および耐食性を付与する実験を行った。
まず、本参考例においては、エッチング法によって微細加工(溝:幅100μm、長さ10mm、深さ50μm)を施したガラス(0.5mm厚)を基材とした。
次に、硝酸亜鉛0.1mol/lの水溶液1000gに、界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール485)を10g添加し、さらに酸化剤である亜硝酸ナトリウム(関東化学社製)を5g添加することにより、金属酸化物膜形成用溶液を得た。
次に、上記基材をホットプレート(アズワン社製)で300℃に加熱し、この基材に上記金属酸化物膜形成用溶液をハンドスプレー(スプレーガンNo.8012、アズワン社製)を用いてスプレーし、基材上に金属酸化物膜を得た。
上記方法により得られた金属酸化物膜を、純水で洗浄した後に、目視で確認したところ、基材表面および微細加工部に干渉色が観測される程度の膜が確認された。また、上記金属酸化物膜を、上記X線回折装置を用いて測定したところ、酸化亜鉛膜が形成していることを確認された。さらに、上記基材上に形成された金属酸化物膜の表面抵抗を、ロレスタ(三菱化学社製)を用いて測定したところ、表面抵抗は30000Ω/□となり導電性を確認することができた。
金属酸化物膜形成用溶液として、硝酸亜鉛0.1mol/lの水溶液を用いたこと以外は実施例2と同様に実験を行った。その結果、基材上には白色状物質が付着し、この白色状物質はティッシュペーパーで擦ると容易に剥離するものであった。上記白色状物質を、上記X線回折装置を用いて測定したところ、硝酸亜鉛であった。すなわち、実施例2と同じ300℃において、酸化剤を加えずに酸化亜鉛膜を得ることはできなかった。
金属酸化物膜形成用溶液として、硝酸亜鉛0.1mol/lの水溶液を用いたこと、および基材の加熱温度を500℃とした以外は実施例2と同様に実験を行った。その結果、基材上に金属酸化物膜が得られ、純水で洗浄した後に、上記X線回折装置を用いて測定したところ、酸化亜鉛膜が形成していることを確認された。
本参考例においては、基材としてシリコンウェハを用い、シリコンウェハ上に酸化マグネシウム膜を形成した。
まず、過塩素酸マグネシウム(関東化学社製)を、水20vol%およびエタノール80vol%の混合溶液に、濃度0.1mol/lとなるように溶解させた。その後、還元剤としてボラン−トリメチルアミン錯体(関東化学社製)を0.03mol/lとなるよう添加し、さらに、酸化剤として過酸化水素水を0.05mol/lとなるよう添加し、金属酸化物膜形成用溶液を得た。
次に、上記基材をホットプレート(アズワン社製)で300℃に加熱し、この基材に上記金属酸化物膜形成用溶液をハンドスプレー(スプレーガンNo.8012、アズワン社製)を用いて1時間スプレーし、基材上に金属酸化物膜を得た。
上記方法により得られた金属酸化物膜を、純水で洗浄した後に、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、アモルファス膜であることが分かった。そこで、光電子分光分析装置(V.G.Scientific社製、ESCALAB 200i−XL)により、上記金属酸化物膜の組成を分析したところ、酸化マグネシウム膜が形成していることを確認することができた。また、上記金属酸化物膜の膜厚を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定したところ、200nmであった。
参考例4、6、8、9、11、14、15、17〜25、27〜30、および実施例5、7、10、12、13、15、16、26、31、32においては、下記表1〜表4に示す実験条件で基材上に金属酸化物膜を形成した。なお、金属酸化物膜の形成方法および物性の測定方法は、参考例3に準じるものとする。また、参考例4〜実施例32においては、基材として、参考例3と同様のシリコンウェハを使用した。超音波ネプライザーとしては、オムロン社製NE−U17を使用した。
表1には、表2〜表4で用いられる還元剤、酸化剤、補助イオン源およびスプレー器具の種類を示す。表2〜表4には、参考例3〜実施例32における具体的な実験条件を示す。参考例3〜実施例32におけるいずれの結果も、光電子分光分析装置(ESCA)において、金属酸化物膜が形成されていることが確認された。
2 … 金属酸化物膜形成用溶液
3 … スプレー装置
4、5、6 … ローラー
Claims (7)
- 金属源として金属塩または金属錯体が溶解した金属酸化物膜形成用溶液と、金属酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱した基板とを接触させることにより、前記基材上に金属酸化物膜を得る金属酸化物膜の製造方法であって、
前記金属酸化物膜形成用溶液が、酸化剤および還元剤の少なくとも一方を含有し、さらに塩素酸イオン、過塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、臭素酸イオン、および次亜臭素酸イオンからなる群から選択される補助イオン源を含有することを特徴とする金属酸化物膜の製造方法。 - 前記金属酸化物形成用溶液を噴霧することにより、前記金属酸化物形成用溶液と前記基材とを接触させることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物膜の製造方法。
- 前記金属酸化物膜形成用溶液が、酸化剤として過酸化水素または亜硝酸ナトリウムを含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属酸化物膜の製造方法。
- 前記金属酸化物膜形成用溶液が、還元剤としてボラン系錯体を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の金属酸化物膜の製造方法。
- 前記金属酸化物膜形成用溶液に用いられる金属源が、典型金属元素、半金属元素または遷移金属元素の第3周期以降の元素を含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の金属酸化物膜の製造方法。
- 前記金属酸化物膜形成用溶液に用いられる金属源が、Mg、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Ag、In、Sn、Ce、Sm、Pb、La、Hf、Sc、Gd、Ta、Ca、Cr、Ga、Sr、Nb、Mo、Pd、Sb、Te、Ba、およびWからなる群から選択される少なくとも一つの金属元素を含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の金属酸化物膜の製造方法。
- 前記金属酸化物膜形成用溶液が、さらにセラミックス微粒子を含有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の金属酸化物膜の製造方法。
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