JP5103990B2 - 金属酸化物膜の製造方法 - Google Patents
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Description
以下、本発明の金属酸化物膜の製造方法について、各構成毎に詳細に説明する。
まず、本発明に用いられる金属酸化物膜形成用溶液について説明する。本発明に用いられる金属酸化物膜形成用溶液は、同一の金属元素および異なる非金属部を有する2種類以上の金属源を少なくとも含有するものである。さらに、必要に応じて、酸化剤、還元剤、および添加剤等を含有していていも良い。
まず、本発明に用いられる金属源について説明する。本発明においては、金属源として、同一の金属元素および異なる非金属部を有する2種類以上の金属源が用いられる。本発明においては、同一の金属元素および異なる非金属部を有する金属源を2種類以上用いることができるが、中でも2種類または3種類用いることが好ましく、特に2種類用いることが好ましい。
また、非金属部が異なる金属源は、金属酸化物に酸化される温度(金属酸化物膜形成温度)が相違し、このような酸化される温度の違いが、金属酸化物膜の結晶性や結晶構造等の膜質を変化させる要因であると考えられる。
本発明において、「単独膜形成可能金属源」とは、以下に示す試験において所定の基準を満たす金属酸化物膜を与える金属源をいう。すなわち、対象となる1種類の金属源、および溶媒からなる金属酸化物膜形成用溶液(濃度0.1mol/l)を用意し、この金属酸化物膜形成用溶液を、超音波ネプライザー等を用いて粒径0.5〜20μm程度の液滴とし、金属酸化物膜形成温度から金属酸化物膜形成温度+100℃の範囲内で加熱した基材と1時間接触させることにより、基材上に金属酸化物膜を形成し、その後、得られた金属酸化物膜を常温まで冷却し、1cm2程度の金属酸化物膜の領域を圧力0.2Pa程度でウエス等を用いて拭う試験を行う。その結果、剥離を生じない強度を有する金属酸化物膜を与える金属源を、本発明における「単独膜形成可能金属源」とする。なお、基材としては、実際に金属酸化物膜を形成する際に用いられるものを使用する。また、得られる金属酸化物膜が粉体である場合等は、ウエス等で拭った際に容易に剥離するため、単独膜形成可能金属源には該当しない。
上記金属塩としては、単独で金属酸化物膜を形成可能なものであれば特に限定されるものではないが、例えば、上記金属元素を含む塩化物、硝酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、酢酸塩、リン酸塩、臭素酸塩等を挙げることができる。中でも、本発明においては、塩化物、硝酸塩、酢酸塩を使用することが好ましい。これらの化合物は汎用品として入手が容易だからである。さらに、上記金属塩としては、具体的には塩化インジウム、塩化スズ、塩化亜鉛、酢酸鉄等を挙げることができる。
次に、本発明に用いられる、単独膜形成可能金属源以外の同種金属源(単に「同種金属源」と称する場合がある。)について説明する。本発明において、「単独膜形成可能金属源以外の同種金属源」とは、単独膜形成可能金属源と同一の金属源を有し、単独で金属酸化物膜を形成することができないものをいう。上述したように、本発明においては、「同一の金属元素および異なる非金属部を有する2種類以上の金属源」の少なくとも一つが、単独膜形成可能金属源であれば良いため、単独膜形成可能金属源と同種金属源とを組合せて用いても良い。
上記金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記金属元素を含む塩化物、硝酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、酢酸塩、リン酸塩、臭素酸塩等を挙げることができる。中でも、本発明においては、塩化物、硝酸塩、酢酸塩を使用することが好ましい。これらの化合物は汎用品として入手が容易だからである。さらに、上記金属塩としては、具体的には硝酸インジウム、硝酸亜鉛、塩化鉄、塩化酸化ジルコニウム、硝酸酸化ジルコニウム等を挙げることができる。
また、金属酸化物膜形成用溶液における同種金属源の濃度としては、特に限定されるものではないが、上記単独膜形成可能金属源の濃度と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明に用いられる金属酸化物膜形成用溶液は、単独膜形成可能金属源とは異なる金属元素を有する金属源(「異種金属源」と称する場合がある。)を含有していても良い。異種金属源を用いることにより、複合金属酸化物膜を得ることができる。
なお、上記異種金属源は、単独で金属酸化物膜を形成可能なものであっても良く、単独で金属酸化物膜を形成不可能なものであっても良い。単独で金属酸化物膜を形成可能か否かについては、上述した「(a)単独膜形成可能金属源」に記載した試験と同様の試験を行うことにより、判断することができる。
本発明においては、上記2種類以上の金属源の少なくとも一つが、非金属部に酸アニオンを有する酸アニオン含有金属源であることが好ましい。酸アニオン含有金属源は膜質調整機能に優れているからである。すなわち、酸アニオン含有金属源を用いることにより、金属酸化物膜の結晶性を高めたり、結晶性を低めて非晶質にしたり、あるいは結晶構造を変化させたりする膜質調整をより効果的に行うことができる。本発明において、「酸アニオン」とは、プロトンと結合することにより酸を構成するアニオンをいう。なお、本発明に用いられる酸アニオン含有金属源は、単独膜形成可能金属源であっても良く、単独膜形成可能金属源以外の同種金属源であっても良い。
本発明においては、上記2種類以上の金属源の少なくとも一つが、非金属部にキレートアニオンを有するキレートアニオン含有金属源であることが好ましい。上記キレートアニオン含有金属源を用いることにより、剥離等の生じにくい金属酸化物膜を得ることができるからである。本発明において、「キレートアニオン」とは、中心金属に二座以上で配位するアニオンをいう。なお、本発明に用いられるキレートアニオン含有金属源は、単独膜形成可能金属源であっても良く、単独膜形成可能金属源以外の同種金属源であっても良い。
次に、本発明に用いられる酸化剤について説明する。本発明においては、金属酸化物膜形成用溶液が酸化剤を含有していても良い。上記酸化剤を用いることにより、金属イオン等の価数を変化させることができ、金属酸化物の発生しやすい環境とすることができ、より低い基材加熱温度で金属酸化物膜を得ることができる。
次に、本発明に用いられる還元剤について説明する。本発明においては、金属酸化物膜形成用溶液が還元剤を含有していても良い。上記還元剤を用いることにより、金属酸化物膜形成用溶液のpHが上昇させることができ、プールベ線図における金属酸化物領域あるいは金属水酸化物領域へ誘導し、金属酸化物膜の発生しやすい環境とすることができ、より低い基材加熱温度で金属酸化物膜を得ることができる。
本発明に用いられる溶媒は、上述した金属源等を溶解することができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール等の総炭素数が5以下の低級アルコール;トルエン;およびこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる金属酸化物膜形成用溶液は、セラミックス微粒子、補助イオン源、および界面活性剤等の添加剤を含有していても良い。
上記セラミックス微粒子の種類としては、例えばITO、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、珪素酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、セリウム酸化物、カルシウム酸化物、マンガン酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸バリウム等を挙げることができる。
上記補助イオン源の種類としては、例えば、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、臭素酸イオン、次臭素酸イオン、硝酸イオン、および亜硝酸イオンからなる群から選択されるイオン種を挙げることができる。
上記界面活性剤の種類としては、例えば、サーフィノール485、サーフィノールSE、サーフィノールSE−F、サーフィノール504、サーフィノールGA、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104PPM、サーフィノール104E、サーフィノール104PA等のサーフィノールシリーズ(以上、全て日信化学工業(株)社製)、NIKKOL AM301、NIKKOL AM313ON(以上、全て日光ケミカル社製)等を挙げることができる。
次に、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材の材料としては、上記加熱温度に対する耐熱性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えばガラス、SUS、金属板、セラミック基材、耐熱性プラスチック等を挙げることができ、中でもガラス、SUS、金属板、セラミック基材を使用することが好ましい。汎用性があり、充分な耐熱性を有しているからである。
また、本発明に用いられる基材は、例えば、平滑な表面を有するもの、微細構造部を有するもの、穴が開いているもの、溝が刻まれているもの、多孔質であるもの、多孔質膜を備えたものであっても良い。中でも、平滑な表面を有するもの、微細構造部を有するもの、溝が刻まれているもの、多孔質であるもの、多孔質膜を備えたものが好適に使用される。
次に、本発明における基材と金属酸化物膜形成用溶液との接触方法について説明する。上記接触方法としては、上述した金属酸化物膜形成用溶液と上述した基材とを接触させる方法であれば特に限定されるものではないが、金属酸化物膜形成用溶液と基材とを接触させた際に、基材の温度を低下させない方法であることが好ましい。基材の温度が低下すると成膜反応が起こらず所望の金属酸化物膜を得ることができない可能性があるからである。このような基材の温度を低下させない方法としては、例えば、金属酸化物膜形成用溶液を液滴として基材に接触させる方法等が挙げられ、中でも上記液滴の径が小さいことが好ましい。上記液滴の径が小さければ、金属酸化物膜形成用溶液の溶媒が瞬時に蒸発し、基材温度の低下をより抑制することができ、さらに液滴の径が小さいことで、均一な金属酸化物膜を得ることができるからである。
また、本発明の金属酸化物膜の製造方法においては、上述した接触方法等により得られた金属酸化物膜の洗浄を行っても良い。上記金属酸化物膜の洗浄は、金属酸化物膜の表面等に存在する不純物を取り除くために行われるものであって、例えば、金属酸化物膜形成用溶液に使用した溶媒を用いて洗浄する方法等を挙げることができる。
<ジルコニウムアセチルアセトナートを用いたYSZ膜の作製>
本参考例においては、単独膜形成可能金属源としてジルコニウムアセチルアセトナートを用いYSZ膜を作製した。本実験例の結果と、後述する実施例1−1および実施例1−2の結果とを比較することにより、膜質調整機能について確認した。
次に、単独膜形成可能金属源としてジルコニウムアセチルアセトナート(関東化学社製)、ドーピング金属源として硝酸イットリウム(関東化学社製)、溶媒としてエタノール15重量%、トルエン85重量%の混合溶媒を用意した。その後、混合溶媒に、ジルコニウムアセチルアセトナートを0.1mol/L、硝酸イットリウムを0.008mol/Lとなるように溶解させ、1Lの金属酸化物膜形成用溶液を得た。
<ジルコニウムアセチルアセトナートおよび硝酸酸化ジルコニウムを用いたYSZ膜の作製>
本実施例においては、単独膜形成可能金属源としてジルコニウムアセチルアセトナートを用い、同種金属源として硝酸酸化ジルコニウムを用い、YSZ膜を作製した。
次に、単独膜形成可能金属源としてジルコニウムアセチルアセトナート(関東化学社製)、同種金属源として硝酸酸化ジルコニウム(関東化学社製)、溶媒としてエタノール55重量%、トルエン40重量%、および水5重量%の混合溶媒を用意した。その後、混合溶媒に、ジルコニウムアセチルアセトナートを0.05mol/L、硝酸酸化ジルコニウムを0.05mol/L、硝酸イットリウムを0.008mol/Lとなるように溶解させ、1Lの金属酸化物膜形成用溶液を得た。
<ジルコニウムアセチルアセトナートおよび塩化酸化ジルコニウムを用いたYSZ膜の作製>
本実施例においては、単独膜形成可能金属源としてジルコニウムアセチルアセトナートを用い、同種金属源として塩化酸化ジルコニウムを用い、YSZ膜を作製した。
具体的には、硝酸酸化ジルコニウムの代わりに、塩化酸化ジルコニウム(関東化学社製)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして金属酸化物膜を得た。
<塩化インジウムを用いたITO膜の作製>
本参考例においては、単独膜形成可能金属源として塩化インジウムを用いITO膜を作製した。本参考例の結果と、後述する実施例2の結果とを比較することにより、膜質調整機能について確認した。
次に、単独膜形成可能金属源として塩化インジウム(関東化学社製)、ドーピング金属源として塩化スズ(関東化学社製)、溶媒としてエタノール85重量%、アセチルアセトン15重量%の混合溶媒を用意した。その後、混合溶媒に、塩化インジウムを0.1mol/L、塩化スズを0.005mol/Lとなるように溶解させ、1Lの金属酸化物膜形成用溶液を得た。
<塩化インジウムおよび硝酸インジウムを用いたITO膜の作製>
本実施例においては、金属酸化物膜形成用溶液に含まれる金属源の濃度を、塩化インジウム0.05mol/L、硝酸インジウム0.05mol/L、塩化スズ0.005mol/Lとしたこと以外は、参考例2と同様にして金属酸化物膜を得た。
<鉄アセチルアセトナートを用いた酸化鉄膜の作製>
本参考例においては、単独膜形成可能金属源として鉄アセチルアセトナートを用い酸化鉄膜を作製した。本参考例の結果と、後述する実施例3の結果とを比較することにより、膜質調整機能について確認した。
次に、単独膜形成可能金属源として鉄アセチルアセトナート(関東化学社製)、溶媒としてエタノール85重量%、アセチルアセトン15重量%の混合溶媒を用意した。その後、混合溶媒に、鉄アセチルアセトナートを0.1mol/Lとなるように溶解させ、1Lの金属酸化物膜形成用溶液を得た。
<鉄アセチルアセトナートおよび塩化鉄を用いた酸化鉄膜の作製>
本実施例においては、金属酸化物膜形成用溶液に含まれる金属源の濃度を、鉄アセチルアセトナート0.05mol/L、塩化鉄0.05mol/Lとしたこと以外は、参考例3と同様にして金属酸化物膜を得た。
<コバルトアセチルアセトナートを用いた酸化コバルト膜の作製>
本参考例においては、単独膜形成可能金属源としてコバルトアセチルアセトナートを用い酸化コバルト膜を作製した。本参考例の結果と、後述する参考例4−2の結果とを比較することにより、膜質調整機能について確認した。
<コバルトアセチルアセトナートおよび硝酸コバルトを用いた酸化コバルト膜の作製>
本参考例においては、金属酸化物膜形成用溶液に含まれる金属源の濃度を、コバルトアセチルアセトナート0.05mol/L、硝酸コバルト0.05mol/Lとしたこと以外は、参考例4−1と同様にして金属酸化物膜を得た。
<ニッケルアセチルアセトナートを用いた酸化ニッケル膜の作製>
本参考例においては、単独膜形成可能金属源としてニッケルアセチルアセトナートを用い酸化ニッケル膜を作製した。本参考例の結果と、後述する参考例5−2の結果とを比較することにより、膜質調整機能について確認した。
次に、単独膜形成可能金属源としてニッケルアセチルアセトナート(関東化学社製)、溶媒としてエタノール85重量%、アセチルアセトン15重量%の混合溶媒を用意した。その後、混合溶媒に、ニッケルアセチルアセトナートを0.1mol/Lとなるように溶解させ、1Lの金属酸化物膜形成用溶液を得た。
<ニッケルアセチルアセトナートおよび硝酸ニッケルを用いた酸化ニッケル膜の作製>
本参考例においては、金属酸化物膜形成用溶液に含まれる金属源の濃度を、ニッケルアセチルアセトナート0.05mol/L、硝酸ニッケル0.05mol/Lとしたこと以外は、参考例5−1と同様にして金属酸化物膜を得た。
<亜鉛アセチルアセトナートを用いた酸化亜鉛膜の作製>
本参考例においては、単独膜形成可能金属源として亜鉛アセチルアセトナートを用い酸化亜鉛膜を作製した。本参考例の結果と、後述する参考例6−2の結果とを比較することにより、膜質調整機能について確認した。
次に、単独膜形成可能金属源として亜鉛アセチルアセトナート(関東化学社製)、溶媒としてエタノール85重量%、アセチルアセトン15重量%の混合溶媒を用意した。その後、混合溶媒に、亜鉛アセチルアセトナートを0.1mol/Lとなるように溶解させ、1Lの金属酸化物膜形成用溶液を得た。
<亜鉛アセチルアセトナートおよび塩化亜鉛を用いた酸化亜鉛膜の作製>
本参考例においては、金属酸化物膜形成用溶液に含まれる金属源の濃度を、亜鉛アセチルアセトナート0.05mol/L、塩化亜鉛鉛0.05mol/Lとしたこと以外は、参考例6−1と同様にして金属酸化物膜を得た。
<酢酸スズを用いた酸化スズ(II)膜の作製>
本参考例においては、単独膜形成可能金属源として酢酸スズを用い酸化スズ膜を作製した。本参考例の結果と、後述する参考例7−2の結果とを比較することにより、膜質調整機能について確認した。
次に、単独膜形成可能金属源として酢酸スズ(関東化学社製)、溶媒としてエタノール85重量%、アセチルアセトン15重量%の混合溶媒を用意した。その後、混合溶媒に、酢酸スズを0.1mol/Lとなるように溶解させ、1Lの金属酸化物膜形成用溶液を得た。
<酢酸スズおよび塩化スズを用いた酸化スズ膜の作製>
本参考例においては、金属酸化物膜形成用溶液に含まれる金属源の濃度を、酢酸スズ0.05mol/L、酸化スズ(II)0.05mol/Lとしたこと以外は、参考例7−1と同様にして金属酸化物膜を得た。
<セリウムアセチルアセトナートを用いた酸化セリウム膜の作製>
本参考例においては、単独膜形成可能金属源としてセリウムアセチルアセトナートを用い酸化セリウム膜を作製した。本参考例の結果と、後述する参考例8−2の結果とを比較することにより、膜質調整機能について確認した。
次に、単独膜形成可能金属源としてセリウムアセチルアセトナート(関東化学社製)、溶媒としてエタノール85重量%、アセチルアセトン15重量%の混合溶媒を用意した。その後、混合溶媒に、セリウムアセチルアセトナートを0.1mol/Lとなるように溶解させ、1Lの金属酸化物膜形成用溶液を得た。
<セリウムアセチルアセトナートおよび塩化セリウムを用いた酸化セリウム膜の作製>
本参考例においては、金属酸化物膜形成用溶液に含まれる金属源の濃度を、セリウムアセチルアセトナート0.05mol/L、塩化セリウム0.05mol/Lとしたこと以外は、参考例8−1と同様にして金属酸化物膜を得た。
<チタンアセチルアセトナートを用いた酸化チタン膜の作製>
本参考例においては、単独膜形成可能金属源としてチタンアセチルアセトナートを用い酸化チタン膜を作製した。本参考例の結果と、後述する参考例9−2の結果とを比較することにより、膜質調整機能について確認した。
次に、単独膜形成可能金属源としてチタンアセチルアセトナート(マツモト交商社製)、溶媒としてエタノール85重量%、アセチルアセトン15重量%の混合溶媒を用意した。その後、混合溶媒に、チタンアセチルアセトナートを0.1mol/Lとなるように溶解させ、1Lの金属酸化物膜形成用溶液を得た。
<チタンアセチルアセトナートおよび塩化チタンを用いた酸化チタン膜の作製>
本参考例においては、金属酸化物膜形成用溶液に含まれる金属源の濃度を、チタンアセチルアセトナート0.05mol/L、塩化チタン(関東化学社製)0.05mol/Lとしたこと以外は、参考例9−1と同様にして金属酸化物膜を得た。
<ジルコニウムアセチルアセトナートを用いた酸化ジルコニウム膜の作製>
本参考例においては、単独膜形成可能金属源としてジルコニウムアセチルアセトナートを用い酸化ジルコニウム膜を作製した。本参考例の結果と、後述する実施例10の結果とを比較することにより、膜質調整機能について確認した。
次に、単独膜形成可能金属源としてジルコニウムアセチルアセトナート(関東化学社製)、溶媒としてエタノール85重量%、アセチルアセトン15重量%の混合溶媒を用意した。その後、混合溶媒に、ジルコニウムアセチルアセトナートを0.1mol/Lとなるように溶解させ、1Lの金属酸化物膜形成用溶液を得た。
<ジルコニウムアセチルアセトナートおよび硝酸酸化ジルコニウムを用いた酸化ジルコニウム膜の作製>
本実施例においては、金属酸化物膜形成用溶液に含まれる金属源の濃度を、ジルコニウムアセチルアセトナート0.05mol/L、硝酸酸化ジルコニウム(関東化学社製)0.05mol/Lとしたこと以外は、参考例12と同様にして金属酸化物膜を得た。
2 … 金属酸化物膜形成用溶液
3 … スプレー装置
4、5、6 … ローラー
Claims (8)
- 同一の金属元素および異なる非金属部を有する金属源を、2種類以上含有し、かつ、前記2種類以上の金属源の少なくとも一つが、対象となる1種類の金属源、および溶媒からなり濃度が0.1mol/lの金属酸化物膜形成用溶液を用意し、前記金属酸化物膜形成用溶液を超音波ネプライザー等により粒径が0.5〜20μm程度の液滴として、前記液滴を金属酸化物膜形成温度から金属酸化物膜形成温度+100℃の範囲内で加熱した基材と1時間接触させることにより前記基材上に金属酸化物膜を形成し、その後、前記金属酸化物膜を常温まで冷却して、1cm 2 程度の前記金属酸化物膜の領域を圧力0.2Pa程度でウエス等により拭う試験を行った際に、剥離を生じない強度を有する金属酸化物膜を単独で形成可能な単独膜形成可能金属源であり、前記2種類以上の金属源の少なくとも一つが単独で金属酸化物膜を形成不可能な単独膜形成不可能金属源である金属酸化物膜形成用溶液を用い、
前記金属酸化物膜形成用溶液と、金属酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱した基材とを接触させることにより前記基材上に金属酸化物膜を形成することを特徴とする金属酸化物膜の製造方法。 - 前記金属酸化物膜形成用溶液に含まれる前記単独膜形成可能金属源の金属源モル分率が30%以上であることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物膜の製造方法。
- 前記金属酸化物膜形成用溶液が、さらにドーピング金属源を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属酸化物膜の製造方法。
- 前記金属酸化物膜形成用溶液を噴霧することにより、前記金属酸化物膜形成用溶液と前記基材とを接触させることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の金属酸化物膜の製造方法。
- 前記金属酸化物膜形成用溶液が、さらに酸化剤および還元剤の少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の金属酸化物膜の製造方法。
- 前記2種類以上の金属源の少なくとも一つが、非金属部に酸アニオンを有する酸アニオン含有金属源であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の金属酸化物膜の製造方法。
- 前記酸アニオンが、F−、Cl−、Br−、NO2 −、NO3 −、SO4 2−またはPO4 3−であることを特徴とする請求項6に記載の金属酸化物膜の製造方法。
- 前記酸アニオン含有金属源と、非金属部にキレートアニオンを有するキレートアニオン含有金属源とを組合せて用いることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の金属酸化物膜の製造方法。
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