JP2010083700A - コバルト酸化物膜を有する積層体 - Google Patents

コバルト酸化物膜を有する積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP2010083700A
JP2010083700A JP2008253485A JP2008253485A JP2010083700A JP 2010083700 A JP2010083700 A JP 2010083700A JP 2008253485 A JP2008253485 A JP 2008253485A JP 2008253485 A JP2008253485 A JP 2008253485A JP 2010083700 A JP2010083700 A JP 2010083700A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cobalt oxide
oxide film
cobalt
substrate
forming
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008253485A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Kobori
裕之 小堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2008253485A priority Critical patent/JP2010083700A/ja
Publication of JP2010083700A publication Critical patent/JP2010083700A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

【課題】種々の部材の高性能化に寄与できる積層体を提供する。
【解決手段】コバルト源を含有し、かつ、溶媒としてコバルト酸化物の単結晶2を形成可能な単結晶形成可能溶媒とジケトン類またはケトエステル類とを含有するコバルト酸化物膜3形成用溶液を、コバルト酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱した基材1に接触させることにより、前記基材上にコバルト酸化物膜を形成する。この形成したコバルト酸化物膜の膜厚が、500nm以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材の表面から成長した複数の単結晶からなるコバルト酸化物膜を有し、かつ、種々の部材の高性能化に寄与できる積層体に関する。
従来より、コバルト酸化物膜は、様々な優れた物性を示すことが知られており、その特性を活かして、リチウムイオン電池、熱電変換素子、高温超伝導セラミックス、コンデンサー、ガスセンサー、ガス改質触媒、フォトクロミック素子等の幅広い分野において使用されている。このようなコバルト酸化物膜の製造方法として、例えば、ゾルゲル法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、印刷法、レーザーアブレーション法等が知られている。
例えば、特許文献1においては、ガス検知を行う目的で、レーザーアブレーション法によって1〜50nmの一次粒子又はこの一次粒子が凝集した500nm以下の粒子からなる酸化コバルト薄膜を形成することが開示されている(特許文献1の請求項1および請求項4等参照)。この方法は、酸化コバルト薄膜を得ることは可能だが、粒子が凝集した膜であり、さらなる高性能化に向けては、より単結晶に近い膜が求められている。
一方、特許文献2においては、強い光に高速応答する光制限材料が開示されており、種々の光デバイスにおいて、過大なレーザー光が入力された場合に、これを遮断して光デバイス構成部品の光損傷を防止するために、酸化コバルト薄膜を利用している(特許文献2の請求項1および請求項4等参照)。この技術においては、マグネトロンRFスパッタリング法によって、酸化コバルト薄膜を付与しているため、粒子が凝集した状態の酸化コバルト薄膜しか得られず、さらなる高性能化に向けては、より単結晶に近い膜が求められている。
また、コバルト酸リチウムは、酸化コバルト中にリチウムが格納された構造を有し、リチウムイオン電池の正極活物質等として用いられている。一般的には、コバルト酸リチウムの粒子をバインダー等と一緒に混合し、印刷法等でアルミ基材等に塗布することにより、正極活物質層を形成している。しかしながら、得られた正極活物質層は、コバルト酸リチウムの粒子をバインダーで結着したものに過ぎなかった。
特開2004−286466号公報 特開2002−72264号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、種々の部材(例えばリチウムイオン電池、熱電変換素子、高温超伝導セラミックス、コンデンサー、ガスセンサー、ガス改質触媒、フォトクロミック素子等)の高性能化に寄与できる積層体を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明においては、基材と、上記基材の表面から成長した複数のコバルト酸化物の単結晶からなるコバルト酸化物膜とを有することを特徴とする積層体を提供する。
本発明によれば、基材の表面から成長した複数のコバルト酸化物の単結晶からなるコバルト酸化物膜を有することから、種々の部材の高性能化に寄与できる積層体とすることができる。
上記発明においては、上記コバルト酸化物が、コバルト元素、酸素元素およびドーピング金属元素から構成されていることが好ましい。ドーピング金属元素の種類を適宜選択することにより、種々の部材に有用な積層体とすることができるからである。
上記発明においては、上記ドーピング金属元素が、リチウム元素、ナトリウム元素またはカルシウム元素であることが好ましい。リチウムイオン電池や熱電変換素子等に有用な積層体とすることができるからである。
上記発明においては、上記コバルト酸化物膜の膜厚が、50nm以上であることが好ましい。より実用的な積層体とすることができるからである。また、このような大きな膜厚を有するコバルト酸化物膜(複数のコバルト酸化物の単結晶からなるコバルト酸化物膜)は、従来知られていなかったものである。本発明においては、後述する積層体の製造方法により、容易に大きな膜厚を有するコバルト酸化物膜を形成することができる。
また、本発明においては、コバルト源を含有し、かつ、溶媒としてコバルト酸化物の単結晶を形成可能な単結晶形成可能溶媒とジケトン類またはケトエステル類とを含有するコバルト酸化物膜形成用溶液を、コバルト酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱した基材に接触させることにより、上記基材上にコバルト酸化物膜を形成することを特徴とする積層体の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記のコバルト酸化物膜形成用溶液を用いることにより、基材の表面から成長した複数のコバルト酸化物の単結晶からなるコバルト酸化物膜を有する積層体を得ることができる。
上記発明においては、上記単結晶形成可能溶媒が、水またはメタノールであることが好ましい。コバルト酸化物の単結晶を容易に得ることができるからである。
上記発明においては、上記コバルト源が、硝酸コバルト、塩化コバルト、無水コバルトアセチルアセトナートまたはコバルトアセチルアセトナート・二水和物であることが好ましい。コバルト酸化物の単結晶を容易に得ることができるからである。
上記発明においては、上記コバルト酸化物膜形成用溶液が、さらにドーピング金属源を含有することが好ましい。ドーピング金属源の種類を適宜選択することにより、種々の部材に有用な積層体を得ることができるからである。
上記発明においては、上記ドーピング金属源が、リチウム元素、ナトリウム元素またはカルシウム元素を有することが好ましい。リチウムイオン電池や熱電変換素子等に有用な積層体を得ることができるからである。
本発明においては、種々の部材(例えばリチウムイオン電池、熱電変換素子、高温超伝導セラミックス、コンデンサー、ガスセンサー、ガス改質触媒、フォトクロミック素子等)の高性能化に寄与できるという効果を奏する。
以下、本発明の積層体およびその製造方法について、詳細に説明する。
A.積層体
まず、本発明の積層体について説明する。本発明の積層体は、基材と、上記基材の表面から成長した複数のコバルト酸化物の単結晶からなるコバルト酸化物膜とを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、基材の表面から成長した複数のコバルト酸化物の単結晶からなるコバルト酸化物膜を有することから、種々の部材の高性能化に寄与できる積層体とすることができる。特に、本発明におけるコバルト酸化物膜は、コバルト酸化物の単結晶からなるものであるため、通常、結晶欠陥や不純物はほとんど存在しない。さらには、コバルト酸化物の粒子を凝集させたコバルト酸化物膜と比較して、粒子間の界面抵抗が低い。そのため、コバルト酸化物膜の内部に特定のキャリアを伝導させる場合に、そのキャリアの伝導度を向上させることができるのである。より具体的には、コバルト酸化物膜がLiCoOの単結晶からなるものである場合、本発明の積層体を、リチウム伝導性および電子伝導性に優れた正極として用いることができる。
なお、本発明における「コバルト酸化物」とは、少なくともコバルト元素および酸素元素を有する化合物をいう。そのため、コバルト元素、酸素元素および後述するドーピング金属元素を有する化合物(複合酸化物)も、本発明におけるコバルト酸化物に含まれる。また、本発明において、コバルト元素および酸素元素のみから構成されるコバルト酸化物を酸化コバルトと称し、酸化コバルトからなる膜を酸化コバルト膜と称する場合がある。
次に、本発明の積層体について図面を用いて説明する。図1は、本発明の積層体の一例を説明する概略断面図である。図1に示される積層体は、基材1と、基材1の表面から成長した複数のコバルト酸化物の単結晶2からなるコバルト酸化物膜3と、を有するものである。
以下、本発明の積層体について、構成ごとに説明する。
1.コバルト酸化物膜
まず、本発明におけるコバルト酸化物膜について説明する。本発明におけるコバルト酸化物膜は、基材の表面から成長した複数のコバルト酸化物の単結晶からなるものである。ここで、コバルト酸化物が単結晶であることは、透過型電子顕微鏡(TEM)により確認することができる。本発明における「コバルト酸化物の単結晶」とは、基材に成長したコバルト酸化物の結晶の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、一つの結晶において、単一の回折格子が70%以上連続している結晶をいう。なお、本発明におけるコバルト酸化物の結晶のTEM観察を行うと、結晶の上部(基材から離れた先端部)では、回折格子を明瞭に観察することができるが、結晶の下部(基材に近い根元部)では、目的とする結晶以外に、小さい柱状の結晶が多数存在するため、回折格子を明瞭に観察することが難しい場合がある。そのため、結晶の上部において、単一の回折格子が70%以上連続していることが好ましい。また、一つの結晶において、単一の回折格子が80%以上連続していることがより好ましく、90%以上連続していることがさらに好ましく、100%連続していることが特に好ましい。
図2は、結晶のTEM測定の一例を示す断面写真である。図3〜図5は、図2の中央に存在する色の濃い結晶の上部、中部、下部をそれぞれ拡大したものである。結晶の上部(図3)および中部(図4)においては、非常に細かい単一の回折格子が連続していることを明瞭に観察することができる。一方、結晶の下部(図5)においては、目的とする結晶以外に、小さい柱状の結晶が多数存在するため、単一の回折格子であるかを判断することが難しい。なお、図2では、結晶の上部において、単一の回折格子が70%以上連続している。
また、コバルト酸化物の単結晶が基材の表面から成長している様子は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、基材およびコバルト酸化物膜の界面を観察することにより確認することができる。
本発明におけるコバルト酸化物は、コバルト元素および酸素元素のみから構成されたものであっても良く、コバルト元素、酸素元素およびドーピング金属元素から構成されたものであっても良い。前者は、電気絶縁性に優れた積層体であり、具体的にはCoOおよびCo等を挙げることができる。一方、後者は、種々の部材(例えばリチウムイオン電池、熱電変換素子、高温超伝導セラミックス、コンデンサー、ガスセンサー、ガス改質触媒、フォトクロミック素子等)に有用な積層体である。
上記ドーピング金属元素は、コバルト元素以外の金属元素であれば特に限定されるものではないが、アルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素であることが好ましい。特に、本発明においては、上記ドーピング金属元素が、リチウム元素、ナトリウム元素またはカルシウム元素であることが好ましい。例えばリチウムイオン電池や熱電変換素子等に有用な積層体とすることができるからである。ここで、リチウム元素を含有するコバルト酸化物膜としては、具体的にはLiCoO等を挙げることができる。また、ナトリウム元素を含有するコバルト酸化物膜としては、具体的にはNaCoO等を挙げることができる。また、カルシウム元素を含有するコバルト酸化物膜としては、具体的にはCaCo等を挙げることができる。なお、コバルト酸化物膜の組成は、XPS(X線光電子分光)により確認することができる。
本発明において、コバルト酸化物の単結晶は、基材の表面から成長しているものであれば特に限定されるものではないが、中でも、基材の表面から柱状に成長しているものであることが好ましい。また、コバルト酸化物の単結晶の膜厚方向の最大長さをAとし、膜厚方向とは直交する方向の最大長さをBとすると、A/Bは1〜10の範囲内にあることが好ましく、2〜7の範囲内にあることがより好ましい。
本発明におけるコバルト酸化物膜は、膜厚が大きいことが好ましい。本発明の積層体を適用する種々の部材を、さらに高性能化することができるからである。コバルト酸化物膜の膜厚は、例えば50nm以上であることが好ましく、100nm以上がより好ましく、200nm以上がさらに好ましい。一方、コバルト酸化物膜の膜厚は、通常10μm以下である。なお、このような大きな膜厚を有するコバルト酸化物膜(複数のコバルト酸化物の単結晶からなるコバルト酸化物膜)は、従来知られていなかったものである。本発明においては、後述する積層体の製造方法により、容易に大きな膜厚を有するコバルト酸化物膜を形成することができる。
2.基材
次に、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材の材料としては、所望の耐熱性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えばガラス、SUS等の金属板、セラミック基材、耐熱性プラスチック等を挙げることができ、中でもガラス、SUS等の金属板、セラミック基材が好ましく、特にSUS等の金属板が好ましい。充分な耐熱性を有しているからである。
また、本発明に用いられる基材は、例えば、平滑な表面を有するもの、微細構造部を有するもの、穴が開いているもの、溝が刻まれているもの、多孔質であるもの、多孔質膜を備えたものであっても良い。中でも、平滑な表面を有するもの、微細構造部を有するもの、溝が刻まれているもの、多孔質であるもの、多孔質膜を備えたものが好ましく、特に、多孔質であるもの、多孔質膜を備えたものが好ましい。
また、本発明に用いられる基材は、表面にパターニングされた金属部を有していても良い。例えば、このパターニングされた金属部を電極として用い、その金属部の表面上に、コバルト酸化物膜(例えばNaCo)を形成することによって、高性能な熱電変換素子を得ることができる。なお、コバルト酸化物膜のパターニングは、基材上のコバルト酸化物膜を形成しない領域にマスクを行うことにより、容易に行うことができる。なお、本発明に用いられる基材の厚さは、本発明の積層体の用途に応じて、適宜選択することが好ましい。
3.積層体
本発明の積層体は、上述した基材およびコバルト酸化物膜を有するものである。本発明の積層体の用途としては、例えばリチウムイオン電池、熱電変換素子、高温超伝導セラミックス、コンデンサー、ガスセンサー、ガス改質触媒、フォトクロミック素子等を挙げることができる。
B.積層体の製造方法
次に、本発明の積層体の製造方法について説明する。本発明の積層体の製造方法は、コバルト源を含有し、かつ、溶媒としてコバルト酸化物の単結晶を形成可能な単結晶形成可能溶媒とジケトン類またはケトエステル類とを含有するコバルト酸化物膜形成用溶液を、コバルト酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱した基材に接触させることにより、上記基材上にコバルト酸化物膜を形成することを特徴とするものである。
本発明によれば、上記のコバルト酸化物膜形成用溶液を用いることにより、基材の表面から成長した複数のコバルト酸化物の単結晶からなるコバルト酸化物膜を有する積層体を得ることができる。
次に、本発明の積層体の製造方法について図を用いて説明する。図6は、本発明の積層体の製造方法の一例を示す説明図である。図6に示すように、本発明の積層体の製造方法は、基材1をコバルト酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱し、コバルト源を含有し、かつ、溶媒としてコバルト酸化物の単結晶を形成可能な単結晶形成可能溶媒とジケトン類またはケトエステル類とを含有するコバルト酸化物膜形成用溶液4を、スプレー装置5を用いて噴霧することにより、基材1上にコバルト酸化物膜を形成する方法である。
なお、本発明において、「コバルト酸化物膜形成温度」とは、コバルト源に含まれるコバルト元素が酸素と結合し、基材上にコバルト酸化物膜を形成することが可能な温度をいい、コバルト源の種類、溶媒等のコバルト酸化物膜形成用溶液の組成によって大きく異なるものである。本発明において、このような「コバルト酸化物膜形成温度」は、以下の方法により測定することができる。すなわち、実際に所望のコバルト源を含有するコバルト酸化物膜形成用溶液を用意し、基材の加熱温度を変化させて接触させることにより、コバルト酸化物膜を形成することができる最低の基材加熱温度を測定する。この最低の基材加熱温度を本発明における「コバルト酸化物膜形成温度」とすることができる。この際、コバルト酸化物膜が形成したか否かは、通常、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)より得られた結果から判断し、結晶性のないアモルファス膜の場合は、光電子分光分析装置(V.G.Scientific社製、ESCALAB 200i−XL)より得られた結果から判断するものとする。
コバルト酸化物膜形成温度は、上述したように、用いられるコバルト源等の種類により異なるものであるが、通常200℃〜600℃の範囲内である。また、本発明において、基材の加熱温度は、コバルト酸化物膜形成温度以上の温度であれば特に限定されるものではないが、例えば、コバルト酸化物膜形成温度+300℃以下、中でもコバルト酸化物膜形成温度+200℃以下、特にコバルト酸化物膜形成温度+100℃以下であることが好ましい。基材の加熱温度は、例えば300℃〜600℃の範囲内である。
以下、本発明の積層体の製造方法について、構成ごとに説明する。
1.コバルト酸化物膜形成用溶液
まず、本発明に用いられるコバルト酸化物膜形成用溶液について説明する。本発明に用いられるコバルト酸化物膜形成用溶液は、通常、コバルト源を含有し、溶媒としてコバルト酸化物の単結晶を形成可能な単結晶形成可能溶媒とジケトン類またはケトエステル類とを含有する。さらに、必要に応じて、ドーピング金属源および添加剤等を含有していても良い。
(1)コバルト源
本発明に用いられるコバルト源は、コバルト元素を含有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば硝酸コバルト(II)・六水和物、塩化コバルト(II)・六水和物、酢酸コバルト(II)・四水和物、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、オレイン酸コバルト、塩化コバルト(II)アンモニウム六水和物、亜硝酸コバルト(III)ナトリウム、硫酸コバルト(II)七水和物、硫酸二アンモニウムコバルト(II)六水和物などが挙げられる。中でも硝酸コバルト(II)六水和物、塩化コバルト(II)六水和物、コバルト(II)アセチルアセトナートが好ましい。溶解性が良く、価格も安いからである。
コバルト酸化物膜形成用溶液におけるコバルト源の濃度としては、特に限定されるものではないが、例えば0.001mol/L〜1mol/Lの範囲内、中でも0.01mol/L〜0.5mol/Lの範囲内であることが好ましい。濃度が上記範囲内にあれば、比較的短時間でコバルト酸化物膜を形成することができるからである。
(2)溶媒
次に、コバルト酸化物膜形成用溶液に用いられる溶媒について説明する。本発明において、コバルト酸化物膜形成用溶液は、通常、溶媒として、コバルト酸化物の単結晶を形成可能な単結晶形成可能溶媒と、ジケトン類またはケトエステル類とを含有する。
本発明における単結晶形成可能溶媒は、コバルト酸化物の単結晶を形成可能な溶媒であれば特に限定されるものではない。単結晶形成可能溶媒であることは、コバルト源の種類に応じて予備実験等を行うことにより、確認することが好ましい。中でも、本発明における単結晶形成可能溶媒は、水またはメタノールであることが好ましく、水であることがより好ましい。容易にコバルト酸化物の単結晶を得ることができるからである。その理由については明らかではないが、コバルト源が溶解している状態では、コバルト元素の周囲に、溶媒等の配位子が配位した錯体構造が形成されていると考えられ、この配位子の少なくとも一つが水になることで、高温基材に接触した際にスムーズに錯体の分解反応が生じ、規則正しく結晶が成長するからであると考えられる。なお、本発明においては、2種類以上の単結晶形成可能溶媒を用いても良い。
全溶媒における単結晶形成可能溶媒の割合は、例えば30重量%〜80重量%の範囲内、中でも40重量%〜70重量%の範囲内であることが好ましい。
一方、本発明におけるジケトン類またはケトエステル類は、成膜性を向上させるために用いられる溶媒である。上記ジケトン類としては、例えばアセチルアセトン、ジアセチル、ベンゾイルアセトン等を挙げることができ、中でもアセチルアセトンが好ましい。一方、上記ケトエステル類としては、例えばアセト酢酸エチル、ピルビン酸エチル、ベンゾイル酢酸エチル、ベンゾイル蟻酸エチル等を挙げることができる。なお、本発明においては、ジケトン類およびケトエステル類を組合せて用いても良く、ジケトン類またはケトエステル類を、それぞれ2種類以上組合せて用いても良い。
全溶媒におけるジケトン類またはケトエステル類の割合は、例えば5重量%〜40重量%の範囲内、中でも10重量%〜30重量%の範囲内であることが好ましい。
(3)ドーピング金属源
次に、本発明に用いられるドーピング金属源について説明する。本発明においては、コバルト酸化物膜形成用溶液に、ドーピング金属源を添加することができる。これにより、コバルト元素、酸素元素、およびドーピング金属元素から構成されるコバルト酸化物膜を得ることができる。
上記ドーピング金属源は、コバルト元素以外の金属元素を有するものであれば特に限定されるものではないが、アルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素を有することが好ましい。特に、本発明においては、上記ドーピング金属源が、リチウム元素、ナトリウム元素またはカルシウム元素を有することが好ましい。
例えば、リチウムイオン電池の正極活物質として用いられるLiCoOを得る場合には、コバルト源の他に、ドーピング金属源としてリチウム源をコバルト酸化物膜形成用溶液に添加する。上記リチウム源としては、例えば塩化リチウム等を挙げることができる。
また例えば、熱電変換素子の熱電変換材料として用いられるNaCoまたはCaCoを得る場合には、コバルト源の他に、ドーピング金属源としてナトリウム源またはカルシウム源をコバルト酸化物膜形成用溶液に添加する。上記ナトリウム源としては、例えば亜硝酸ナトリウムおよびオレイン酸ナトリウム等を挙げることができる。上記カルシウム源としては、例えば塩化カルシウム二水和物、亜硝酸カルシウム一水和物および酢酸カルシウム一水和物等を挙げることができる。
コバルト酸化物膜形成用溶液におけるドーピング源の濃度としては、特に限定されるものではないが、例えば0.001mol/L〜0.5mol/Lの範囲内、中でも0.01mol/L〜0.1mol/Lの範囲内であることが好ましい。また、コバルト源およびドーピング源の添加割合は、目的とするコバルト酸化物膜の組成に応じて、適宜選択することが好ましい。
(4)添加剤
本発明に用いられるコバルト酸化物膜形成用溶液は、セラミックス微粒子および界面活性剤等の添加剤を含有していても良い。
上記セラミックス微粒子を用いることにより、上記セラミックス微粒子を取り囲むようにコバルト酸化物膜が形成され、異種セラミックスの混合膜を得ることやコバルト酸化物膜の体積増加を図ることができる。なお、上記セラミックス微粒子の含有量は、使用する部材の特徴に合わせて適宜選択することが好ましい。
上記セラミックス微粒子の種類としては、例えばITO、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、珪素酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、セリウム酸化物、カルシウム酸化物、マンガン酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸バリウム等を挙げることができる。
一方、上記界面活性剤は、上記コバルト酸化物膜形成用溶液と上記基材表面との界面に作用するものである。上記界面活性剤を用いることにより、コバルト酸化物膜形成用溶液と基材表面との接触面積を向上させることができ、均一なコバルト酸化物膜を得ることができる。特に、コバルト酸化物膜形成用溶液を噴霧により接触させる場合、上記界面活性剤の効果により、コバルト酸化物膜形成用溶液の液滴と、基材表面とを充分に接触させることができる。なお、上記界面活性剤の使用量は、使用するコバルト源等に合わせて適宜選択することが好ましい。
上記界面活性剤の種類としては、例えば、サーフィノール485、サーフィノールSE、サーフィノールSE−F、サーフィノール504、サーフィノールGA、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104PPM、サーフィノール104E、サーフィノール104PA等のサーフィノールシリーズ(以上、全て日信化学工業(株)社製)、NIKKOL AM301、NIKKOL AM313ON(以上、全て日光ケミカル社製)等を挙げることができる。
2.基材
本発明に用いられる基材については、上記「A.積層体」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
3.基材とコバルト酸化物膜形成用溶液との接触方法
次に、本発明における基材とコバルト酸化物膜形成用溶液との接触方法について説明する。上記接触方法としては、上述した基材と上述したコバルト酸化物膜形成用溶液とを接触させる方法であれば特に限定されるものではないが、基材およびコバルト酸化物膜形成用溶液を接触させた際に、基材の温度を低下させない方法であることが好ましい。基材の温度が低下すると成膜反応が起こらず、所望のコバルト酸化物膜を得ることができない可能性があるからである。このような基材の温度を低下させない方法としては、例えば、コバルト酸化物膜形成用溶液を液滴として基材に接触させる方法等が挙げられ、中でも上記液滴の径が小さいことが好ましい。上記液滴の径が小さければ、コバルト酸化物膜形成用溶液の溶媒が瞬時に蒸発し、基材温度の低下をより抑制することができ、さらに液滴の径が小さいことで、均一な膜厚のコバルト酸化物膜を得ることができるからである。
このような径が小さいコバルト酸化物膜形成用溶液の液滴を基材に接触させる方法は、特に限定されるものではないが、具体的には、コバルト酸化物膜形成用溶液を噴霧することにより基材に接触させる方法、コバルト酸化物膜形成用溶液をミスト状にした空間の中に基材を通過させる方法等が挙げられる。
上記コバルト酸化物膜形成用溶液を噴霧することにより基材に接触させる方法は、例えばスプレー装置等を用いて噴霧する方法等が挙げられる。上記スプレー装置等を用いて噴霧する場合、液滴の径は、通常0.1μm〜1000μmの範囲内、中でも0.5μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。液滴の径が上記範囲内にあれば、基材温度の低下を抑制することができ、均一なコバルト酸化物膜を得ることができるからである。
また、上記スプレー装置の噴射ガスとしては、コバルト酸化物膜の形成を阻害しない限り特に限定されるものではないが、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素等を挙げることができ、中でも不活性な気体である窒素、アルゴン、ヘリウムが好ましい。また、上記噴射ガスの噴射量としては、例えば、0.1L/min〜50L/minの範囲内、中でも1L/min〜20L/minの範囲内であることが好ましい。また、上記スプレー装置は固定されているもの、可動式のもの、回転によって上記溶液を噴射させるもの、圧力によって上記溶液のみを噴射させるもの等であっても良い。このようなスプレー装置としては、一般的に用いられるスプレー装置を用いることができ、例えばハンドスプレー(スプレーガンNo.8012、アズワン社製)、超音波ネプライザー(NE−U17、オムロン社製)等を用いることができる。
また、コバルト酸化物膜形成用溶液をミスト状にした空間の中に基材を通過させる方法においては、液滴の径は、通常0.1μm〜300μmの範囲内、中でも1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。液滴の径が上記範囲内にあれば、基材温度の低下を抑制することができ、均一なコバルト酸化物膜を得ることができるからである。
また、基材の加熱方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ホットプレート、オーブン、焼成炉、赤外線ランプ、熱風送風機等の加熱方法を挙げることができ、中でも基材温度を上記温度に保持しながら上記コバルト酸化物膜形成用溶液に接触できる方法が好ましく、具体的にはホットプレート等を使用することが好ましい。
次に、上述した接触方法について図面を用いて具体的に説明する。上述したコバルト酸化物膜形成用溶液を噴霧することにより基材に接触させる方法としては、例えば、ローラーによって基材を連続的に移動させ噴霧する方法、固定された基材上に噴霧する方法、パイプのような流路に噴霧する方法等が挙げられる。
上記ローラーによって基材を連続的に移動させ噴霧する方法としては、例えば、図7に示すように、基材1を、コバルト酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱したローラー6〜8を用いて連続的に移動させ、スプレー装置5によりコバルト酸化物膜形成用溶液4を噴霧しコバルト酸化物膜を形成する方法等を挙げることができる。この方法は、連続的にコバルト酸化物膜を形成することができるという利点を有する。
また、上記固定された基材上に噴霧する方法としては、例えば、図6に示すように、基材1をコバルト酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱し、この基材1に対して、スプレー装置5を用いてコバルト酸化物膜形成用溶液4を噴霧することにより、コバルト酸化物膜を形成する方法等を挙げることができる。
また、上述したコバルト酸化物膜形成用溶液をミスト状にした空間の中に基材を通過させる方法としては、例えば、図8に示すように、コバルト酸化物膜形成用溶液4をミスト状にした空間に、コバルト酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱された基材1を通過させることによりコバルト酸化物膜を形成する方法等を挙げることができる。
4.その他
また、本発明の積層体の製造方法においては、上述した接触方法等により得られたコバルト酸化物膜の洗浄を行っても良い。上記コバルト酸化物膜の洗浄は、コバルト酸化物膜の表面等に存在する不純物を取り除くために行われるものであって、例えば、コバルト酸化物膜形成用溶液に使用した溶媒を用いて洗浄する方法等を挙げることができる。また、本発明においては、コバルト酸化物膜の作製中または作製後に、紫外線の照射を行っても良い。紫外線を照射することにより、例えばコバルト酸化物膜の結晶性を向上させることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
本実施例においては、硝酸コバルトを原料として酸化コバルト膜を作製した。
まず、基材として、スライドガラスを用意した。次に、コバルト源として硝酸コバルト(関東化学社製)、溶媒として水80重量%、アセチルアセトン20重量%の混合溶媒を用意した。その後、混合溶媒に、硝酸コバルトを0.1mol/Lとなるように溶解させ、100mLのコバルト酸化物膜形成用溶液を得た。
次に、上記基材(スライドガラス)をホットプレート(アズワン社製)で400℃に加熱し、この基材に対し、上記コバルト酸化物膜形成用溶液を超音波ネプライザ(オムロン社製)にて風量の目盛りを5、霧化量の目盛りを1とした条件で100mLスプレーし、基材上に酸化コバルト膜を得た。
得られた酸化コバルト膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、酸化コバルト膜が形成されていることが確認された(図9参照)。また、走査型電子顕微鏡による観察結果から、基材の表面から成長した複数の結晶からなる酸化コバルト膜が確認された(図10参照、図10(a)は断面写真であり、図10(b)は平面写真である)。さらに、透過型電子顕微鏡による観察結果から、1つの結晶の少なくとも上部75%において、単一の回折格子が連続していることが確認された。これにより、得られた酸化コバルトの結晶は単結晶であることが確認された。
[実施例2]
本実施例においては、無水コバルトアセチルアセトナートを原料としたこと以外は、実施例1と同様にして酸化コバルト膜を得た。得られた酸化コバルト膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、酸化コバルト膜が形成されていることが確認された(図11参照)。また、走査型電子顕微鏡による観察結果から、基材の表面から成長した複数の結晶からなる酸化コバルト膜が確認された(図12参照、図12(a)は断面写真であり、図12(b)は平面写真である)。さらに、透過型電子顕微鏡による観察結果から、1つの結晶の少なくとも上部71%において、単一の回折格子が連続していることが確認された。これにより、得られた酸化コバルトの結晶は単結晶であることが確認された。
[実施例3]
本実施例においては、硝酸コバルトおよび硝酸リチウムを原料としてリチウムがドープされたコバルト酸化物膜を作製した。
まず、基材として、スライドガラスを用意した。次に、コバルト源として硝酸コバルト(関東化学社製)、リチウム源として硝酸リチウム(関東化学社製)、溶媒として水80重量%、アセチルアセトン20重量%の混合溶媒を用意した。その後、混合溶媒に、硝酸コバルトを0.1mol/L、硝酸リチウムを0.05mol/Lとなるように溶解させ、100mLのコバルト酸化物膜形成用溶液を得た。
次に、上記基材(スライドガラス)をホットプレート(アズワン社製)で400℃に加熱し、この基材に対し、上記コバルト酸化物膜形成用溶液を超音波ネプライザ(オムロン社製)にて風量の目盛りを5、霧化量の目盛りを1とした条件で100mLスプレーし、基材上にコバルト酸化物膜を得た。
得られたコバルト酸化物膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、コバルト酸化物膜が形成されていることが確認された(図13参照)。XPS組成分析から、リチウム元素がコバルト元素に対して34%ドープされていた。また、走査型電子顕微鏡による観察結果から、基材の表面から成長した複数の結晶からなるコバルト酸化物膜が確認された(図14参照、図14(a)は断面写真であり、図14(b)は平面写真である)。さらに、透過型電子顕微鏡による観察結果から、1つの結晶の少なくとも上部82%において、単一の回折格子が連続していることが確認された。これにより、得られたコバルト酸化物の結晶は単結晶であることが確認された。
[比較例1−1]
溶媒としてエタノール80重量%、アセチルアセトン20重量%の混合溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様にして酸化コバルト膜を得た。なお、エタノールは硝酸コバルトの単結晶形成可能溶媒ではない。
得られた酸化コバルト膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、酸化コバルト膜が形成されていることが確認された(図15参照)。また、走査型電子顕微鏡による観察結果から、粒状の結晶からなる酸化コバルト膜が確認された(図16参照、図16(a)は断面写真であり、図16(b)は平面写真である)。さらに、透過型電子顕微鏡による観察結果から、1つの結晶において、数種類の回折格子が存在しており、単一の回折格子は70%以上連続していなかった。これにより、得られた酸化コバルトの結晶は単結晶ではないことが確認された。
[比較例1−2]
溶媒としてアセトン80重量%、アセチルアセトン20重量%の混合溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様にして酸化コバルト膜を得た。なお、アセトンは硝酸コバルトの単結晶形成可能溶媒ではない。
得られた酸化コバルト膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、酸化コバルト膜が形成されていることが確認された(図17参照)。また、走査型電子顕微鏡による観察結果から、粒状の結晶からなる酸化コバルト膜が確認された(図18参照、図18(a)は断面写真であり、図18(b)は平面写真である)。さらに、透過型電子顕微鏡による観察結果から、1つの結晶において、数種類の回折格子が存在しており、単一の回折格子は70%以上連続していなかった。これにより、得られた酸化コバルトの結晶は単結晶ではないことが確認された。
[比較例1−3]
溶媒として水を用いたこと以外は、実施例1と同様にして酸化コバルト膜を得た。なお、本比較例ではジケトン類またはケトエステル類を用いていない。
得られた酸化コバルト膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、酸化コバルト膜が形成されていることが確認された(図19参照)。また、走査型電子顕微鏡による観察結果から、粒状の結晶からなる酸化コバルト膜が確認された(図20参照、図20(a)は断面写真であり、図20(b)は平面写真である)。さらに、透過型電子顕微鏡による観察結果から、1つの結晶において、数種類の回折格子が存在しており、単一の回折格子は70%以上連続していなかった。これにより、得られた酸化コバルトの結晶は単結晶ではないことが確認された。
[比較例2]
溶媒としてアセトン80重量%、アセチルアセトン20重量%の混合溶媒を用いたこと以外は、実施例2と同様にして酸化コバルト膜を得た。なお、アセトンは無水コバルトアセチルアセトナートの単結晶形成可能溶媒ではない。
得られた酸化コバルト膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、酸化コバルト膜が形成されていることが確認された(図21参照)。また、走査型電子顕微鏡による観察結果から、粒状の結晶からなる酸化コバルト膜が確認された(図22参照、図22(a)は断面写真であり、図22(b)は平面写真である)。さらに、透過型電子顕微鏡による観察結果から、1つの結晶において、数種類の回折格子が存在しており、単一の回折格子は70%以上連続していなかった。これにより、得られた酸化コバルトの結晶は単結晶ではないことが確認された。
本発明の積層体の一例を示す概略断面図である。 結晶のTEM測定の一例を示す断面写真である。 図2に示す結晶の上部を拡大したものである。 図2に示す結晶の中部を拡大したものである。 図2に示す結晶の下部を拡大したものである。 本発明の積層体の製造方法の一例を示す説明図である。 本発明の積層体の製造方法の他の例を示す説明図である。 本発明の積層体の製造方法の他の例を示す説明図である。 実施例1で得られた酸化コバルト膜のXRD測定の結果である。 実施例1で得られた酸化コバルト膜のSEM写真である。 実施例2で得られた酸化コバルト膜のXRD測定の結果である。 実施例2で得られた酸化コバルト膜のSEM写真である。 実施例3で得られたコバルト酸化物膜のXRD測定の結果である。 実施例3で得られたコバルト酸化物膜のSEM写真である。 比較例1−1で得られた酸化コバルト膜のXRD測定の結果である。 比較例1−1で得られた酸化コバルト膜のSEM写真である。 比較例1−2で得られた酸化コバルト膜のXRD測定の結果である。 比較例1−2で得られた酸化コバルト膜のSEM写真である。 比較例1−3で得られた酸化コバルト膜のXRD測定の結果である。 比較例1−3で得られた酸化コバルト膜のSEM写真である。 比較例2で得られた酸化コバルト膜のXRD測定の結果である。 比較例2で得られた酸化コバルト膜のSEM写真である。
符号の説明
1 … 基材
2 … コバルト酸化物の単結晶
3 … コバルト酸化物膜
4 … コバルト酸化物膜形成用溶液
5 … スプレー装置
6、7、8 … ローラー

Claims (9)

  1. 基材と、前記基材の表面から成長した複数のコバルト酸化物の単結晶からなるコバルト酸化物膜とを有することを特徴とする積層体。
  2. 前記コバルト酸化物が、コバルト元素、酸素元素およびドーピング金属元素から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記ドーピング金属元素が、リチウム元素、ナトリウム元素またはカルシウム元素であることを特徴とする請求項2に記載の積層体。
  4. 前記コバルト酸化物膜の膜厚が、50nm以上であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の積層体。
  5. コバルト源を含有し、かつ、溶媒としてコバルト酸化物の単結晶を形成可能な単結晶形成可能溶媒とジケトン類またはケトエステル類とを含有するコバルト酸化物膜形成用溶液を、コバルト酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱した基材に接触させることにより、前記基材上にコバルト酸化物膜を形成することを特徴とする積層体の製造方法。
  6. 前記単結晶形成可能溶媒が、水またはメタノールであることを特徴とする請求項5に記載の積層体の製造方法。
  7. 前記コバルト源が、硝酸コバルト、塩化コバルト、無水コバルトアセチルアセトナートまたはコバルトアセチルアセトナート・二水和物であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の積層体の製造方法。
  8. 前記コバルト酸化物膜形成用溶液が、さらにドーピング金属源を含有することを特徴とする請求項5から請求項7までのいずれかの請求項に記載の積層体の製造方法。
  9. 前記ドーピング金属源が、リチウム元素、ナトリウム元素またはカルシウム元素を有することを特徴とする請求項8に記載の積層体の製造方法。
JP2008253485A 2008-09-30 2008-09-30 コバルト酸化物膜を有する積層体 Pending JP2010083700A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008253485A JP2010083700A (ja) 2008-09-30 2008-09-30 コバルト酸化物膜を有する積層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008253485A JP2010083700A (ja) 2008-09-30 2008-09-30 コバルト酸化物膜を有する積層体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010083700A true JP2010083700A (ja) 2010-04-15

Family

ID=42248032

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008253485A Pending JP2010083700A (ja) 2008-09-30 2008-09-30 コバルト酸化物膜を有する積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010083700A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2784027A1 (en) 2013-03-27 2014-10-01 Mitsubishi Materials Corporation LiCoO2 film-forming precursor solution and method of forming LiCoO2 film using the same
CN106409656A (zh) * 2015-07-27 2017-02-15 东京毅力科创株式会社 蚀刻方法和蚀刻装置

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5435900A (en) * 1977-08-15 1979-03-16 Philips Nv Method of forming magnetooptical polycrystalline cobalt ferrite layer on substrate
JP2001014649A (ja) * 1999-06-28 2001-01-19 Hitachi Ltd 板状体、無機化合物基板、磁気記録媒体及び磁気記憶装置
JP2003515888A (ja) * 1999-11-23 2003-05-07 ジョンソン リサーチ アンド デベロップメント カンパニー,インコーポレイテッド リチウムを基にしたカソードを製造する方法と装置
JP2004335192A (ja) * 2003-05-02 2004-11-25 Sony Corp 正極の製造方法および電池の製造方法
JP2005054222A (ja) * 2003-08-01 2005-03-03 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 層構造コバルト酸化物系結晶体とその製造方法
JP2006073267A (ja) * 2004-08-31 2006-03-16 Fujikura Ltd 透明導電膜および透明導電膜の製造方法ならびに色素増感太陽電池
JP2006281636A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Dainippon Printing Co Ltd 積層体

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5435900A (en) * 1977-08-15 1979-03-16 Philips Nv Method of forming magnetooptical polycrystalline cobalt ferrite layer on substrate
JP2001014649A (ja) * 1999-06-28 2001-01-19 Hitachi Ltd 板状体、無機化合物基板、磁気記録媒体及び磁気記憶装置
JP2003515888A (ja) * 1999-11-23 2003-05-07 ジョンソン リサーチ アンド デベロップメント カンパニー,インコーポレイテッド リチウムを基にしたカソードを製造する方法と装置
JP2004335192A (ja) * 2003-05-02 2004-11-25 Sony Corp 正極の製造方法および電池の製造方法
JP2005054222A (ja) * 2003-08-01 2005-03-03 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 層構造コバルト酸化物系結晶体とその製造方法
JP2006073267A (ja) * 2004-08-31 2006-03-16 Fujikura Ltd 透明導電膜および透明導電膜の製造方法ならびに色素増感太陽電池
JP2006281636A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Dainippon Printing Co Ltd 積層体

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2784027A1 (en) 2013-03-27 2014-10-01 Mitsubishi Materials Corporation LiCoO2 film-forming precursor solution and method of forming LiCoO2 film using the same
CN106409656A (zh) * 2015-07-27 2017-02-15 东京毅力科创株式会社 蚀刻方法和蚀刻装置
CN106409656B (zh) * 2015-07-27 2019-06-25 东京毅力科创株式会社 蚀刻方法和蚀刻装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Pasquarelli et al. Solution processing of transparent conductors: from flask to film
Deshmukh et al. Structural, optical and electrical characterization of spray-deposited TiO2 thin films
Beke A review of the growth of V2O5 films from 1885 to 2010
JP5055747B2 (ja) 金属酸化物膜の製造方法
Moholkar et al. Temperature dependent structural, luminescent and XPS studies of CdO: Ga thin films deposited by spray pyrolysis
Thiagarajan et al. Physical vapor deposited highly oriented V 2 O 5 thin films for electrocatalytic oxidation of hydrazine
Abd-Alghafour et al. Characterization of V 2 O 5 nanorods grown by spray pyrolysis technique
KR20140098526A (ko) 기상 공정에 의해 합성된 요크­쉘 구조의 소재 및 이의 제조방법
JP5103990B2 (ja) 金属酸化物膜の製造方法
JP5309462B2 (ja) 金属酸化物膜の製造方法、および積層体
Bourgeois et al. Pulsed photoinitiated fabrication of inkjet printed titanium dioxide/reduced graphene oxide nanocomposite thin films
Nwanna et al. Fabrication and synthesis of SnOX thin films: a review
JP5205904B2 (ja) 金属酸化物膜の製造方法、および積層体
JP4821380B2 (ja) 金属酸化物膜の製造方法
JP2010083700A (ja) コバルト酸化物膜を有する積層体
KR20200022275A (ko) 연소파 기반 팔라듐 산화물 복합체의 제조 방법 및 pH 센서의 제조 방법
JP2010084179A (ja) ニッケル酸化物膜を有する積層体
JP4997800B2 (ja) 金属酸化物膜の製造方法
JP5205930B2 (ja) 金属酸化物膜の製造方法
JP5369428B2 (ja) 金属酸化物膜の製造方法
JP2009120874A (ja) 金属酸化物膜の製造方法
Liu et al. Electrohydrodynamic Processing of p‐Type Transparent Conducting Oxides
JP2006225738A (ja) 金属酸化物膜の製造方法、および金属酸化物膜の製造装置
JP2009120873A (ja) 金属酸化物膜の製造方法
JP5309848B2 (ja) 積層体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20110819

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120921

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20121023

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121225

A02 Decision of refusal

Effective date: 20130226

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02