JP5167822B2 - 酸化インジウム膜積層体及びその製造方法 - Google Patents

酸化インジウム膜積層体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、透明導電膜などとして使用される、表面平滑性に優れた酸化インジウム膜積層体及びその製造方法に関する。
従来より、酸化インジウムと少量の錫化合物とからなるITO透明導電膜(以下、ITO膜と言うことがある。)は、優れた光透過性と導電性を兼ね備えていることが知られており、その特性を活かして、液晶ディスプレイ、タッチパネルのディスプレイ、色素増感型太陽電池など、幅広い分野において使用されている。
このようなITO膜の製造方法としては、例えば塩化インジウムと塩化第1錫または塩化第2錫を水、アルコール、または水−アルコール混合液のいずれかに溶解させた塗布液に界面活性剤を添加し、ディップコーティング法によってITO膜を形成する方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法では、基板に塗布した後、焼成することによって1回のディップコーティングにより、厚さ15nm以下のITO膜を基板に形成することができ、この操作を2回以上繰り返して多層膜を形成することによって、体積抵抗率が10-4Ω・cmオーダーのITO膜が製造される。
また、上記方法よりも体積抵抗率が9.5×10-5Ω・cmと、さらに低いITO透明導電膜の作製方法が提案されている(非特許文献1参照)。これは塩化インジウム(III)と塩化スズ(II)をエタノールに溶解し、この原料液を加熱し
た基板に噴霧することで、柱状のITO膜を作製する方法(スプレー熱分解法)である。
いずれのITO膜も、酸化インジウム膜に由来する立方晶の面指数(222)面が非常に強く出現するため、粒界の大きなITO膜が得られていた。特に、前記スプレー熱分解法で得られた膜は高い性能を有するものの、結晶が柱状で成長するので、その上へさらに新たな層を積層する場合に表面平滑性が悪く、予め表面研磨などを行わなければならないなどの課題があった。
特開2002−175733号公報 透明導電膜の新展開II(発行所:株式会社 シーエムシー出版)2002年10月発行、113〜121頁
本発明は、(400)面と(440)面とが、(222)面と同等以上の強配向性を有し、体積抵抗率が低く、かつ表面平滑性が改善された酸化インジウム膜積層体を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するために鋭意研究開発を行った結果、完成されたもので、以下のような内容を要旨とする発明である。
1.基板上に作製した酸化インジウム膜積層体であって、(400)面と(440)面が(222)面と同等以上に強配向してなることを特徴とする酸化インジウム膜積層体。
2.前記酸化インジウム膜が、さらにドーピング金属源を含有してなる上記1に記載の酸化インジウム膜積層体。
3.前記基板が、多孔質基板、または多孔質膜を備えた基板である上記1又は2に記載の酸化インジウム膜積層体。
4.インジウム塩を含む酸化インジウム膜形成用溶液を、酸化インジウム膜形成温度以上に加熱した基板と接触させて、前記基板上に酸化インジウム膜を製造する酸化インジウム膜積層体の製造方法であって、前記酸化インジウム膜形成用溶液が硝酸イオンを含有し、かつジケトン又はケトエステルの溶媒を含むことを特徴とする酸化インジウム膜積層体の製造方法。
5.インジウム塩が硝酸インジウムである上記4に記載の酸化インジウム膜積層体の製造方法。
本発明は、立方晶酸化インジウムの面指数において(400)面と(440)面の両方が(222)面と同等以上に強配向した酸化インジウム結晶からなる酸化インジウム膜を使用して、柱状成長を可及的に抑えることにより、体積抵抗率が低く、表面平滑性に優れ、かつ粒界が少ない酸化インジウム膜積層体を提供することができる。その結果、表面が平滑であるため、前記積層体の上にさらに機能性層を積層する場合に、所望する塗布量を正確に制御することができる。
本発明は、基板上に作製した酸化インジウム膜積層体であって、立方晶酸化インジウムの面指数において、(400)面と(440)面とが(222)面と同等以上に強配向した酸化インジウム膜積層体である。
このような(400)面と(440)面とが(222)面と同等以上に強配向した酸化インジウム膜は、酸化インジウム膜形成用溶液中にインジウム塩と、硝酸イオンとを共存させることによって製造することができる。
本発明に用いられるインジウム塩としては、通常、無機塩または有機化合物で、酸化インジウム膜を形成可能なものであれば、特に限定されるものではないが、具体的には、塩化インジウム、硝酸インジウム、トリス(アセチルアセトナート)インジウム(III)などが好ましい例として挙げられる。本発明においては、
2種類以上のインジウム化合物を併用しても良い。
次に、本発明に用いられる硝酸イオンとしては、酸化インジウム結晶を(400)面及び(440)面が(222)面と同等以上に強く配向させることができれば特に限定されないが、硝酸を添加することが好ましい。なお、インジウム塩として硝酸インジウムを使用すれば、インジウムと硝酸とが同時に添加されるので、好ましく、この場合、さらに硝酸を添加する必要はないが、必要に応じてさらに硝酸を添加しても良い。
本発明では、酸化インジウム膜に、さらに酸化インジウム膜のドーピングを目的としてドーピング金属源を添加すると、ITO膜等の機能性酸化インジウム膜が得られる。
前記ドーピング金属源としては、目的とする酸化インジウム膜の種類に応じて適宜選択すればよく、例えばITO膜を得る場合は、インジウム元素の他に、ドーピング金属源として錫元素を用いる。このような錫元素を有する金属源としては、具体的には、塩化錫(II)(SnCl2)、塩化錫(IV)(SnCl4)、
ジメチル錫オキサイド、メチルブチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド等のジアルキル錫化合物、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等のジアルキル錫等を挙げることができる。
前記基板としては、後述の通り、酸化インジウム膜積層体を製造する際、基板を一定温度以上に加熱する必要があるので、この加熱温度に対する耐熱性を有する基板であれば、特に限定されるものではない。例えばガラス、シリコンウエハ、SUS、金属板、セラミック基板、耐熱性プラスチック等を挙げることができるが、中でもガラス、シリコンウエハ、SUS、金属板、セラミック基板は汎用性があり、充分な耐熱性を有しているので好ましい。
本発明に用いられる基板は、例えば、平滑な表面を有するもの、微細構造部を有するもの、穴が開いているもの、溝が刻まれているもの、多孔質であるもの、又は多孔質膜を備えたものであっても良い。中でも、平滑な表面を有するもの、微細構造部を有するもの、溝が刻まれているもの、多孔質であるもの、又は多孔質膜を備えたものが好適に使用される。
上記において、多孔質膜としては、例えば、酸化チタン等の金属微粒子を焼成してなるものなどを挙げることができる。
上記基板が、多孔質基板、又は多孔質膜を備えた基板である場合、通常は、酸化インジウムの結晶が前記多孔質表面の特定のポイントから成長し易くなり、基板と酸化インジウム膜との界面に粒界が発生し、電子伝導性や密着性が低下し易いという問題が発生するが、本発明においては、このような場合であっても、酸化インジウム膜形成溶液に溶解したインジウム元素と硝酸イオンとを用いることで、酸化インジウム結晶の(400)面および(440)面を(222)面と同等以上の強配向とすることができ、その結果、低体積抵抗率を有し、かつ表面平滑性、密着性及び透明性に優れ、粒界の発生を抑制した酸化インジウム膜が得られるので、好ましい。
本発明においては、上記インジウム塩と硝酸イオンとを含有する酸化インジウム膜形成用溶液を複数回、上記基板と接触させることにより、酸化インジウム膜積層体が得られる。
本発明で提供される酸化インジウム膜積層体は、表面平滑性に優れた酸化インジウム膜積層体であるため、前記積層体の上にさらに機能性層を積層する場合に、所望する塗布量を正確に制御することができる。
次に、本発明の酸化インジウム膜積層体の製造方法について説明する。
本発明に係る酸化インジウム膜積層体の製造方法は、インジウム塩と硝酸イオンとが共存する酸化インジウム膜形成用溶液を、酸化インジウム膜形成温度以上の温度まで加熱した基板と接触させることにより、前記基板上に酸化インジウム膜を形成させるものである。この接触を複数回行うことにより、積層体が得られる。
本発明で使用される酸化インジウム膜形成用溶液は、インジウム塩と硝酸イオンとを含有する必要がある。
上記インジウム塩としては、段落0006で述べた通り、無機塩または有機化合物が使用される。
このような酸化インジウム膜形成用溶液におけるインジウム塩の濃度としては、特に限定されるものではないが、例えば0.001〜1mol/Lの範囲、中でも0.01〜0.5mol/Lの範囲内であることが好ましい。インジウム塩濃度が上記範囲内にあれば、比較的短時間で酸化インジウム膜を形成することができる。
一方、本発明に用いられる硝酸イオンの酸化インジウム膜形成用溶液に含まれる濃度としては特に限定されるものではないが、例えば0.01mol/L以上、中でも0.05〜1mol/Lの範囲内、特に0.1〜0.5mol/Lの範囲内であることが好ましい。
この濃度が0.001mol/L以下であると、製膜に時間がかかり、逆に1mol/Lを超えると熱分解反応が間に合わず、膜が荒れる可能性が出てくる。
なお、前述の通り、硝酸インジウムを使用すれば、インジウムと硝酸が同時に添加されるので、好ましい。この場合、どちらかに濃度不足が生じれば、当該不足成分のみをさらに追加して添加してやれば良い。
本発明における硝酸イオンは、酸化インジウム結晶の(222)面が選択的に成長するのを抑制し、(400)面および(444)面の配向を強度に出現させる。(222)面の配向が抑制されて、かつ(400)面および(440)面の配向が強度に出現する理由は必ずしも明らかではないが、インジウム元素が硝酸イオンに囲まれていることにより、熱分解反応が低温で発生し、あらゆる方向に均等に成長するため、と推定される。
本発明に用いられる酸化インジウム膜形成用溶液の溶媒としては、アセチルアセトン、ジアセチル、ベンゾイルアセトン等のジケトン類;アセト酢酸エチル、ピルビン酸エチル、ベンゾイル酢酸エチル、ベンゾイル蟻酸エチル等のケトエステル類;およびこれらの混合溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒を使用することにより、所期の目的の膜が得られる。もちろん、前記溶媒が含まれていれば、その他に、インジウム塩等を溶解することができる溶媒、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール等の総炭素数が5以下の低級アルコール;トルエン等を混合しても良い。溶媒中のジケトン、又はケトエステル濃度は、酸化インジウム膜形成用溶液中の金属イオンのモル数と同等以上とすることが好ましい。
本発明においては、上述の通り酸化インジウム膜のドーピングを目的としたドーピング金属源を添加する場合には、酸化インジウム膜形成用溶液におけるドーピング金属源の濃度としては、特に限定されるものではないが、例えば0.001〜0.5mol/Lの範囲、中でも0.01〜0.1mol/Lの範囲内であることが好ましい。
この濃度が0.001mol/L未満となると、ドーピング効果が不良となる可能性があり、逆に0.5mol/Lを超えると、それ自体が酸化物を作ってしまい、所期の目的を達成しない可能性が出てくる。
本発明においては、前記酸化インジウム膜形成用溶液を、酸化インジウム膜形成温度以上に加熱した基板と接触させるものであるが、ここで、酸化インジウム膜形成温度とは、インジウム元素が酸素と結合し、基板上に酸化インジウム膜を形成することが可能な温度を言う。この温度は、インジウムの無機塩や有機化合物と言ったインジウム元素源の種類、及び溶媒等の酸化インジウム膜形成用溶液の組成によって大きく異なるものである。
本発明においては、このような酸化インジウム膜形成温度は、以下の方法により測定することができる。
すなわち、実際に所望のインジウム塩を含有する酸化インジウム膜形成用溶液を用意し、基板の加熱温度を変化させて、前記溶液と基板とを接触させることにより、酸化インジウム膜を形成することができる最低の基板加熱温度を測定する。この最低の基板加熱温度を本発明における酸化インジウム膜形成温度と定義することができる。この際、酸化インジウム膜が形成したか否かは、通常、X線回折装置(例えばリガク社製、RINT−1500)より得られた結果から判断することができる。
酸化インジウム膜形成温度は、上述したように、用いられるインジウム塩や溶媒等の種類により異なるものであるが、通常200〜600℃の範囲内である。また、本発明において、基板の加熱温度は、酸化インジウム膜形成温度以上の温度であれば特に限定されるものではないが、例えば、酸化インジウム膜形成温度+300℃以下、中でも酸化インジウム膜形成温度+200℃以下、特に酸化インジウム膜形成温度+100℃以下であることが好ましい。以上から、基板の加熱温度は、通常300〜600℃の範囲内である。
次に、本発明における基板と酸化インジウム膜形成用溶液との接触方法としては、上述した酸化インジウム膜形成用溶液と、上述の基板とが効率的に接触させることができる方法であれば、特に限定されるものではないが、酸化インジウム膜形成用溶液および基板を接触させた際に、基板の温度を低下させない方法であることが好ましい。基板の温度が低下すると、成膜反応が起こらず、所望の酸化インジウム膜を得ることができない可能性がある。
このような基板の温度を低下させない方法としては、例えば、酸化インジウム膜形成用溶液を液滴として基板に接触させる方法が挙げられる。この方法の場合、前記液滴の径が小さい方が好ましい。液滴の径が小さければ、酸化インジウム膜形成用溶液の溶媒が瞬時に蒸発し、基板温度の低下を効率的に抑制することができ、さらに液滴の径が小さいことで、均一な酸化インジウム膜を得ることができる。
このような径が小さい酸化インジウム膜形成用溶液の液滴を基板に接触させる方法は、特に限定されるものではないが、具体的には、酸化インジウム膜形成用溶液を噴霧することにより基板に接触させる方法、及び酸化インジウム膜形成用溶液をミスト状にした空間の中に基板を通過させる方法等が挙げられる。
上述した酸化インジウム膜形成用溶液を噴霧することにより基板に接触させる方法としては、例えば、加熱可能なローラーによって基板を連続的に移動させ、噴霧する方法、固定された基板上に噴霧する方法、パイプ状の流路に噴霧する方法等が挙げられる。
上記ローラーによって基板を連続的に移動させ噴霧する方法としては、例えば、基板を、酸化インジウム膜形成温度以上の温度まで加熱したローラーを用いて、基板を連続的に移動させ、スプレー装置により酸化インジウム膜形成用溶液を噴霧し、酸化インジウム膜を形成する方法等を挙げることができる。この方法は、連続的に酸化インジウム膜を形成することができるという利点を有しているので好ましい。
また、前記固定された基板上に噴霧する方法としては、例えば、基板を酸化インジウム膜形成温度以上の温度まで加熱し、この基板に対して、スプレー装置を用いて酸化インジウム膜形成用溶液を噴霧することにより、酸化インジウム膜を形成する方法等を挙げることができる。
さらに、上述した酸化インジウム膜形成用溶液をミスト状にした空間の中に基板を通過させる方法としては、例えば、酸化インジウム膜形成用溶液をミスト状にした空間に、酸化インジウム膜形成温度以上の温度まで加熱された基板を通過させることにより酸化インジウム膜を形成する方法等を挙げることができる。
前記酸化インジウム膜形成用溶液を噴霧することにより基板に接触させる方法は、例えばスプレー装置等を用いて噴霧する方法等が挙げられる。上記スプレー装置等を用いて噴霧する場合、液滴の径は、通常0.01〜1000μmの範囲内、中でも0.1〜300μmの範囲内であることが好ましい。液滴の径が上記範囲内にあれば、基板温度の大幅な低下を抑制することができ、均一な酸化インジウム膜を得ることができる。
前記スプレー装置の噴射ガスとしては、酸化インジウム膜の形成を阻害しない限り、特に限定されるものではないが、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素等を挙げることができる。中でも不活性な気体である窒素、アルゴン、ヘリウムが、酸化インジウム膜に対する影響がなくて好ましい。また、上記噴射ガスの噴射量としては、例えば、0.1〜50L/minの範囲内、中でも1〜20L/minの範囲内であることが好ましい。また、上記スプレー装置は固定式のもの、可動式のもの、回転式のもの、圧力によって上記溶液のみを噴射させるもの等であっても良い。このようなスプレー装置としては、一般的に用いられるスプレー装置を用いることができ、例えばハンドスプレー(スプレーガンNo.8012、アズワン社製)、超音波ネプライザー(NE−U17、オムロン社製)等を例示することができる。
本発明における酸化インジウム膜形成用溶液をミスト状にした空間の中に基板を通過させる方法においては、液滴の径は、通常0.01〜300μmの範囲内、中でも0.1〜100μmの範囲内であることが好ましい。液滴の径が上記範囲内にあれば、基板温度の大幅な低下を抑制することができ、均一な酸化インジウム膜を得ることができる。
基板の加熱方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ホットプレート、オーブン、焼成炉、赤外線ランプ、熱風送風機等の加熱方法を挙げることができ、中でも基板温度を上記温度に保持しながら、上記酸化インジウム膜形成用溶液に接触できる方法が好ましく、具体的にはホットプレート等を使用することが好ましい。
本発明における酸化インジウム膜形成用溶液と基板との接触時間は、酸化インジウム膜形成用溶液中のインジウム元素の濃度や所望する積層体の厚さ、使用するスプレーの種類等の接触手段に応じて適宜決定することができるが、通常、1〜60分程度である。
噴霧手段を用いて連続的に噴霧すると、連続して厚い積層体を容易に製造することができるので、好ましい。
本発明に用いられる酸化インジウム膜形成用溶液は、上記の必須成分以外に、さらにセラミックス微粒子および界面活性剤等の添加剤を含有していても良い。
セラミックス微粒子を用いることにより、上記セラミックス微粒子を取り囲むように酸化インジウム膜が形成され、異種セラミックスの混合膜を得ることができる。また、酸化インジウム膜の体積増加を図ることができる。前記セラミックス微粒子の添加量は、使用する積層体の用途等に合わせて適宜選択すれば良い。
前記セラミックス微粒子の種類としては、例えばITO、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、珪素酸化物、チタン酸化物、錫酸化物、セリウム酸化物、カルシウム酸化物、マンガン酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸バリウム等を挙げることができる。
一方、界面活性剤は、上記酸化インジウム膜形成用溶液と上記基板表面との界面に作用するものである。このような界面活性剤を用いることにより、基板の濡れ性が向上して、酸化インジウム膜形成用溶液と基板表面との接触面積を向上させることができ、しかも均一な酸化インジウム膜を得ることができる。
特に、酸化インジウム膜形成用溶液を噴霧により接触させる場合、上記界面活性剤の効果により、酸化インジウム膜形成用溶液の液滴と基板表面とを充分に接触させることができるため、好適に使用される。
前記界面活性剤の種類としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤のいずれもを挙げることができ、溶液の種類などに応じて適宜使用することができる。
このうち、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレングリコールアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレングリコール、脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレングリコールアルキルフェニルエーテル、アルキルモノグリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルなどが例示される。
アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩、モノアルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレングリコールアルキルエーテルリン酸エステルなどが例示される。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、などが挙げられる。
さらに両性界面活性剤としては、アルキルベタイン型界面活性剤、アルキルアミドベタイン型界面活性剤、及びアミンオキサイド型界面活性剤などが挙げられる。
これらの界面活性剤は、例えば、サーフィノール485、サーフィノールSE、サーフィノールSE−F、サーフィノール504、サーフィノールGA、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104PPM、サーフィノール104E、サーフィノール104PA等のサーフィノールシリーズ(以上、全て日信化学工業社製)、NIKKOL AM301、NIKKOL AM313ON(以上、全て日光ケミカル社製)等の商品名で市販されており、これらを使用することができる。なお、前記界面活性剤の使用量は、使用するインジウム塩等に合わせて適宜選択して使用することが好ましい。
また、本発明に係る酸化インジウム膜積層体の製造方法においては、上述した接触方法等により得られた酸化インジウム膜の洗浄を行っても良い。上記酸化インジウム膜の洗浄は、前記膜の表面等に存在する不純物を取り除くために行われるものであって、例えば、酸化インジウム膜形成用溶液に使用した溶媒を用いて洗浄する方法等を挙げることができる。洗浄は噴霧方式でも良いし、洗浄用溶液に浸漬する方法でも良い。
次に、本発明の酸化インジウム膜積層体の製造装置の一例を、図1を用いて説明する。
図1に示すように、本製造装置1は密閉容器内に、基板2を載置し、ヒーター6を内蔵した支持部7と、酸化インジウム膜形成用溶液5を基板2に向けて噴射するスプレー装置4とを備えている。
この製造装置では、基板2を酸化インジウム膜形成温度以上の温度までヒーター6で加熱し、その後、硝酸インジウムを含有する酸化インジウム膜形成用溶液5を、スプレー装置4を用いて基板2に向け、一定時間、噴霧することにより、基板2上に酸化インジウム膜からなる電導膜3を形成するものである。ヒーターには、酸化インジウム膜形成温度以上の温度を維持することができるように、温度制御手段が設けてあり、また、スプレー装置についても、稼働時間や噴霧量がそれぞれ所望となるような制御手段が設けられている。このため、スプレー装置を、間欠的に稼動させることにより、酸化インジウム膜面上にさらに酸化インジウム膜やその他の機能性膜を積層することができる。
以下に実施例を掲げて、本発明をさらに説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
硝酸インジウムを含む酸化インジウム膜形成用溶液を用いて、ITO膜を作製した。
まず、基板としてシリコンウエハと微粒子酸化チタンを用意した。一次粒径20nmのTiO2微粒子(日本アエロジル社製、P25)37.5質量%、アセチルアセトン1.25質量%、ポリエチレングリコール(重量平均分子量3000)1.88質量%となるように、ホモジナイザーを用いて水およびイソプロピルアルコール(1:1混合溶媒)に溶解、及び分散させてスラリーを作製した。上記シリコンウエハ上に、ドクターブレードで上記スラリーを塗布後、室温で20分間放置し、次いで100℃で30分間乾燥させた。その後、電気マッフル炉(デンケン社製、P90)を用い、500℃で30分間、大気圧雰囲気下にて焼成した。これにより、シリコンウエハ上に酸化チタンの多孔質膜を形成させた基板を得た。
次に、硝酸インジウム(関東化学社製)と塩化錫(関東化学社製)、及び溶媒としてメタノールが40質量%、アセト酢酸エチルが60質量%となる混合溶媒を用意した。この混合溶媒に硝酸インジウムが0.1mol/L、塩化錫が0.005mol/Lとなるように溶解させ、100mLの酸化インジウム膜形成用溶液を得た。予め、この酸化インジウム膜形成用溶液から製造される酸化インジウム膜形成温度は300℃であることが分かっていたので、次に、上記基板をホットプレート(アズワン社製)で400℃に加熱し、この基板の酸化チタン面とシリコンウエハ面に対し、上記酸化インジウム膜形成用溶液を超音波ネプライザ(オムロン社製)で100mLスプレーし、基板上に酸化インジウム膜を得た。
上記方法によりシリコンウエハ基板上に得られた酸化インジウム膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、図2に示すように、(400)面(35.5°)および(440)面(51.0°)が(222)面(30.6°)より配向強度が強いITO膜が得られていることがわかる。
このITO膜の体積抵抗率をダイアインスツルメンツ社製の「ロレスタGP」を用いて四端子法で測定したところ、9.4×10-5Ω・cmであった。また、Nanopics1000(セイコーインスツルメンツ社製)で平均表面粗さを測定したところ、Ra=6.7nmであった。
また、微粒子酸化チタン層を付与した基板、およびシリコンウエハ基板に製造した酸化インジウム膜をそれぞれ走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、商品名 S4500)で観察した結果を、図3(基板がシリコンウエハ)、及び図4(基板が酸化チタン)に示す(いずれも倍率は5万倍)。
以上より、本発明で得られる積層体は、ウエハのような平坦な基板であっても、酸化チタンのような多孔質基板であっても、表面平滑性が極めて良好で、粒界の少ないITO膜であることがわかる。
実施例2
上記実施例1において、溶媒として、アセト酢酸エチルに替えて、アセチルアセトンを使用した以外は、上記実施例1と同様にITO膜を作製した。その結果、上記実施例1と同様の結果が得られた。
比較例1
上記実施例1において、硝酸インジウムの代わりに塩化インジウム(関東化学社製)を用い、溶媒をメタノールとしたこと(硝酸イオンは添加しない)以外は、実施例1と同様にして、酸化インジウム膜積層体を得た。
上記と同様にシリコンウエハ基板上に得られた酸化インジウム膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定した結果を図5に示す。図5から、(222)面(30.6°)において強配向を示すITO膜が得られていることがわかる。
このITO膜の体積抵抗率をダイアインスツルメンツ社製の「ロレスタGP」を用いて四端子法で測定したところ、9.8×10-5Ω・cmであった。また、Nanopics1000(セイコーインスツルメンツ社製)で平均表面粗さを測定したところ、Ra=61nmであった。
また、微粒子酸化チタン層を付与した基板、およびシリコンウエハ基板に製造した酸化インジウム膜をそれぞれ走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、商品名 S4500)で観察した結果を、図6(基板が酸化チタン)、及び図7(基板がシリコンウエハ)に示す。
以上より、硝酸イオンが存在しない場合には、ウエハのような平坦な基板であっても、酸化チタンのような多孔質基板であっても、いずれの場合でも柱状で、表面平滑性が悪く、かつ粒界が目立つITO膜であることがわかる。
本発明は、表面平滑性に優れた低抵抗率の酸化インジウム膜積層体であり、透明導電膜として利用することができる。又、さらにドーピング金属源を添加することにより、例えば、錫を加えてITO膜等とすることも可能である。これらの透明導電膜は液晶ディスプレイ、タッチパネルのディスプレイ、色素増感型太陽電池等、幅広い分野において利用することができる。
本発明の酸化インジウム膜積層体の製造装置の一例を示す図である。 実施例1で得られた酸化インジウム膜積層体のX線回折図である。 実施例1で得られた、シリコンウエハ基板上の酸化インジウム膜積層体の走査型電子顕微鏡写真の図である。 実施例1で得られた、酸化チタン基板上の酸化インジウム膜積層体の走査型電子顕微鏡写真の図である。 比較例1で得られた酸化インジウム膜積層体のX線回折図である。 比較例1で得られた、酸化チタン基板上の酸化インジウム膜積層体の走査型電子顕微鏡写真の図である。 比較例1で得られた、シリコンウエハ基板上の酸化インジウム膜積層体の走査型電子顕微鏡写真の図である。
符号の説明
1:製造装置
2:基板
3:導電膜
4:スプレー装置
5:金属酸化物形成用溶液
6:ヒーター
7:支持部

Claims (1)

  1. インジウム塩として硝酸インジウムのみを含む酸化インジウム膜形成用溶液を、酸化インジウム膜形成温度以上に加熱した基板と接触させて、前記基板上に酸化インジウム膜を製造する酸化インジウム膜積層体の製造方法であって、前記酸化インジウム膜形成用溶液が硝酸イオンを含有し、かつジケトン又はケトエステルの溶媒を含むことを特徴とする酸化インジウム膜積層体の製造方法。
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