JPH1111981A - 酸化チタン薄膜の形成方法 - Google Patents

酸化チタン薄膜の形成方法

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JPH1111981A
JPH1111981A JP9158222A JP15822297A JPH1111981A JP H1111981 A JPH1111981 A JP H1111981A JP 9158222 A JP9158222 A JP 9158222A JP 15822297 A JP15822297 A JP 15822297A JP H1111981 A JPH1111981 A JP H1111981A
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titanium
compound
titanium oxide
chelate
substrate
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Koji Kobayashi
孝司 小林
Motoharu Inoue
元春 井上
Ryuta Waseda
隆太 早稲田
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Central Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高品質な酸化チタン被膜を、基体表面に高
速、高収率、かつ安定して連続的に被覆できるようにす
ること。 【解決手段】 有機チタン化合物、チタン塩化物および
/またはそれらの複合化合物からなる非キレートチタン
化合物を出発原料として、基体表面に酸化チタン被膜を
析出させる方法において、1モルの非キレートチタン化
合物に対し0.02〜1.5モルの割合のキレート結合し得る
化合物を準備し、両化合物混合蒸気をキャリアーガスに
よって基体表面に導く過程で反応せしめ、更に基体表面
上において、該化合物を分解するとともに、基体表面に
酸化チタンを析出させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はチタン化合物蒸気を
用いて基体表面に酸化チタン被膜を形成する方法に関す
る。
【0002】
【従来技術】酸化チタン被膜は、その高屈折率、高硬
度、耐熱性、耐薬品性等の諸特性を利用して、ガラス、
セラミック、樹脂などの素材における熱線等の反射性被
覆、耐擦傷性被覆、耐熱性被覆、耐候・耐薬品性被覆材
料として広く活用され、更に近年、光のエネルギーを化
学的エネルギーに変えて酸化還元反応を促進する、いわ
ゆる光活性触媒作用を利用した抗菌タイルなどへの活用
が注目されている。
【0003】単に酸化チタン被膜を基板に成膜する方法
としては、チタン化合物溶液を基板にスプレーし、その
熱分解により成膜するスプレー法、チタニアゾル含有溶
液を基板に塗布し、加熱成膜するゾルゲル法、チタンの
有機化合物蒸気を吹付けるとともに熱その他のエネルギ
ーを与えて分解させ、基板に成膜するCVD 法(常圧法、
減圧法、熱CVD 法、プラズマCVD 法等)などがあり、そ
れら方法が適宜採用されている。
【0004】何れの方法においても、酸化チタン原料と
してのチタン化合物には、塩化物、有機化合物、および
両者の複合化合物である有機塩化物が用いられるのが一
般的である。
【0005】CVD 法で酸化チタン被膜を成膜する場合、
それが常圧法、減圧法、熱CVD 法、プラズマCVD 法のい
ずれの方法であれ、チタニウムテトラアルコキシド、四
塩化チタン、あるいは両者の複合化合物など、チタンの
非キレート化合物が多く用いられる。しかしこれらの化
合物は一般に不安定で、大気中の水分とは常温でも反応
して加水分解、縮重合が進み、取り扱いが難しく、CVD
反応ガス中の露点は十分に低く保たなければならないな
ど不都合な点があった。
【0006】また更に、これらの化合物は熱やプラズマ
などのエネルギーを与えることによって、酸化物被膜に
なる過程以外の様々な分解反応が起こり、被膜形成効
率、すなわち収率が低く、成膜速度が遅いという欠点が
あった。このような好ましくない反応によって、成膜装
置内には酸化チタンや、有機物を含んだ酸化チタンなど
が堆積し、酸化チタン被膜を有する製品を安定的に長時
間連続的に生産することは困難であった。更にこれらの
化合物の酸化・分解反応に要するエネルギーは一般に低
く、従って基体と酸化チタン被膜の接着力が弱いという
欠点があった。
【0007】加熱されたガラス基体表面に酸化チタンを
スプレー法で被覆する方法に関しては、例えば特公平1
−30771号公報には、チタンに非キレート配位子と2基
のキレート配位子を配位したチタニウムアルコレート・
キレート化合物を用いることが開示されている。しかし
これらの化合物はスプレー法によっては成膜が可能で
も、化合物を蒸気にしてから成膜する、いわゆる CVD法
では使用できない。なぜならばこのようなチタニウムア
ルコレート・キレート化合物は、アルコレート(非キレ
ート)化合物のように十分な蒸気圧をもっては蒸発せ
ず、加熱すると先ずアルコキシ基の結合が外れ、その配
位座同士が互いに結合してキレート重合物となり、決し
てアルコレート・キレート化合物分子の十分な濃度の気
体は得られないためである。
【0008】また、これらチタニウムアルコレート・キ
レートは安定な化合物で、分解に要するエネルギーが高
いため、強固な被膜が得られる反面、反応速度が遅く、
厚い被膜が得にくいという欠点があった。また更にこれ
ら化合物からスプレー法によって生じさせた酸化チタン
被膜には光触媒活性作用が殆どない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の欠点を解消し、すなわちキレート化合物のもつ、化合
物蒸気を得難く、成膜反応が遅いという欠点と、非キレ
ート化合物のもつ、不安定で扱いが難しく、密着性の弱
い被膜しか得られないという欠点を解消し、非キレート
化合物にキレート結合し得る化合物を適量加えること
で、安定した化合物蒸気とし、CVD 法によって、基体表
面に、付着性の良好な高品質の酸化チタン被膜を、高い
成膜速度で、高収率、かつ連続的に被覆する方法を提供
するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機チタン化
合物、チタン塩化物、および/またはそれらの複合化合
物を出発原料として、基体表面に酸化チタン被膜を析出
させる方法において、1モルの非キレートチタン化合物
に対し0.02〜 1.5モルの割合のキレート結合し得る化合
物を準備し、両化合物混合蒸気をキャリアーガスによっ
て基体表面に導く過程で反応せしめ、更に基体表面上に
おいて、該化合物を分解するとともに、基体表面に酸化
チタンを析出させる酸化チタン薄膜の形成方法、前記非
キレートチタン化合物を60℃〜 250℃以下に加熱し、発
生した蒸気をキャリアーガスによって蒸発器外に誘導
し、キレート結合し得る化合物を60℃以上250℃以下に
加熱し、発生した蒸気をキャリアーガスによって蒸発器
外に誘導し、前記両化合物蒸気を混合した後に基体表面
に導き、酸化チタン被膜を形成させること、あるいは、
非キレートチタン化合物1モルに対し、キレート結合し
得る化合物を0.02〜0.5モルの範囲で一つの溶液
に調製し、 150℃〜 250℃に温度調整した槽内雰囲気に
向けて噴霧し、前記両化合物を同時に気化させたうえで
基体表面に導くこと、加えて、非キレートチタン化合物
とキレート結合し得る化合物との混合、反応蒸気より基
体表面に酸化チタン被膜を析出させるに際し、 400℃以
上に加熱された基体の熱エネルギーによって前記蒸気を
分解させ、基体表面に酸化チタンを析出させること、更
に加えて、加熱された基体が、板ガラス製造工程におい
て、加熱状態で連続して移送されるガラスリボンである
こと、から構成される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において、有機チタン化合
物としてはチタニウムテトラアルコキシドが代表的なも
のであり、チタン塩化物としては四塩化チタン、複合化
合物としてはチタニウムモノクロルトリアルコキシドや
ジクロルジアルコキシド等がある。
【0012】前記チタンテトラアルコキシドとしては、
そのアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、n
−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t
−ブトキシ基、s−ブトキシ基など、一般にCnH2n+1OHで
示されるアルコール化合物を4分子配位したものであっ
て、それらを複数種配位したものも含まれる。この中で
もテトラ iso−プロポキシド化合物、モノクロルトリイ
ソプロポキシド化合物は安価で入手しやすく被膜化収率
が高く、得られた酸化チタン被膜の光触媒活性が高いた
め最も望ましい原料である。
【0013】キレート結合し得る化合物としては分子内
に酸素、窒素、硫黄などの金属イオンと配位結合をする
基を2つ以上有するもので、特に多価アルコール、βジ
ケトン、βケトン酸エステルが望ましく、その中でも特
に 2−エチル−1,3 −ヘキサンジオ−ル、 2−メチル−
2,4 −ペンタジオ−ル、 1,3−ブチレングリコ−ル、2,
4 −ペンタジオ−ル、2,4 −ヘプタンジオール、2,5 −
ヘキサンジオールなどのように隣り合わない複数の炭素
原子に2つのOH基が別々に結合しているジオール類が
望ましい。
【0014】その他アセチルアセトン、アセト酢酸エチ
ルなども有効な化合物である。チタニウムイオンは3な
いし4価であるから3ないし4当量の非キレート配位子
と結合し電荷の中性が保たれる。しかしチタニウムイオ
ンは酸素イオンに対し6配位の結合を採り易いため、チ
タニウムアルコキシドは不安定な状態を強いられてい
る。すなわちチタニウムイオンの周りの6つの配位座の
うち2つは空の状態で、この空位に、隣接するアルコキ
シドのアルコキシ基が配位して重合したり、水分子を取
り込んだりし易い。このような空位を持った不安定状態
は特に気相において生じ易く、この気体に熱又はプラズ
マによってエネルギーを与えると難揮発性の重合物を形
成し、成膜チャンバー内に付着する。またこのような不
安定状態から生じた酸化物は十分なエネルギーを持た
ず、基体表面に沈着するように付着し、基体との接着強
度が弱い。
【0015】このような反応を抑制するためには、重合
し易いチタン非キレート化合物の中に、空配位座を持た
ないチタン化合物を適量混在させ、そこで重合反応を止
めることが有効である。チタンの非キレート化合物にキ
レート配位する化合物を添加すると、その反応率は非キ
レート化合物種によって異なり、種々雑多であるが、一
部にキレート配位子を持った分子が生じ、それが全体の
安定性に寄与することになる。このために必要なキレー
ト配位子の添加量は0.02当量以上で明らかな効果が認め
られる。
【0016】他方チタニウムキレート配位子には電荷の
中性条件を満たすための4分子配位するだけの配位座が
不足し、一般には2分子しか配位できず、残る2当量は
非キレート配位子との結合となる。このようなアルコレ
ート・キレート化合物は非キレート化合物に比べ安定性
が高いが、分子量が大きくなり、蒸発温度が高くなる。
このためこれら化合物を加熱していくと、蒸発する温度
以下で非キレート配位子が分離し、その空位が結合して
重合し、非揮発性の高分子を経て酸化物にまで分解す
る。
【0017】しかしチタニウムに2分子が配位したキレ
ート化合物でなく、チタニウム非キレート化合物1モル
に対しキレート剤を0.5モル以下の割合で混合してな
る部分的にキレート結合をもっ化合物であれば、 150℃
〜 250℃に温度調整した槽内雰囲気に向けて噴霧し、前
記両化合物を同時に気化させることで気化させることが
可能である。
【0018】このような非キレート化合物にキレート結
合し得る化合物を添加する方法としては、両者を一体の
溶液としてから一緒に気化させても良いし、別々に気化
させてから混合しても良い。
【0019】本発明は、特にフロート法等、公知のガラ
ス製板法によって生産される徐冷前および徐冷中の板ガ
ラス表面に、連続して酸化チタン被膜を被覆する場合に
適している。従来このような場合、専らスプレー法が用
いられており、CVD 法では頻繁に成膜チャンバーの清掃
が必要で、しかも剥離し易い被膜しか得られなかった。
本法によれば連続して24時間以上の生産が可能であり、
従来のスプレー法より強固で光触媒活性が高い被膜が得
られる。
【0020】
【実施例】以下の各実施例、比較例に示すように溶液調
製し、更にチタン化合物蒸気およびキレート結合し得る
化合物の蒸気を含む混合気体を調製し、その水分に対す
る安定性と、酸化チタン被膜形成時の速度及び被膜品質
(機械的強度、光活性度)を調査した。
【0021】〔実施例−1〕チタニウムテトライソプロ
ポキシド (アイ・シ−・アイ・ジャパン (株) 製、TILC
OM TIPT)を、ベンゼン(試薬1級)と重量比で1:1に
混合した溶液を調製し、チタン化合物1モルに対し、2
−エチル−1.3 −ヘキサンジオール (協和発酵 (株)
製、オクタンジオ−ル) 0.02モルを添加して再び混合し
た。
【0022】この溶液をチタン化合物を基準として毎分
10ミリモルの割で定量ポンプによってスプレーノズルに
送り、 220℃に調整したステンレス容器の中に毎分4L
、露点−70℃の乾燥空気とともに噴霧し、 220℃の空
気とチタン化合物及びキレート結合し得る化合物の蒸気
を含む混合気体を得た。他方別系統で40℃に調整した温
水の中で空気毎分1L をバブリングし露点36℃の水分を
含む空気を作成した。
【0023】前記化合物蒸気および水分含有空気が流れ
る各々のステンレス配管(内径6mm)を熱風循環オーブ
ンの中に挿入し、気体の温度がオーブンの温度(220 ℃
の場合、 350℃の場合)にほぼ等しくなるようオーブン
内で3mの位置で両気体を合流させ、合流後1mの長さ
の配管の10分後の重量変化を求め、これを水分を添加し
た場合と、しない場合とで比較し、水分の影響で配管内
に溜まった分解物質の量を評価した。
【0024】被膜の生成速度と品質の調査は、前記の要
領で得られた混合ガスを水分を含ませないで、すなわち
チタン化合物10ミリモルおよびキャリアーガス(空気)
4L/分で、図1に示すCVD 成膜試験装置に導入して、
板ガラス表面に酸化チタン被膜を生成させて行った。
【0025】CVD 試験装置において、電気加熱炉Aと、
電気加熱・徐冷炉Bを配列し、両炉A、Bの間には成膜
部Cを配する。これらを通じてガラス基板3を移送する
コンベアーDを循環せしめる。成膜部Cにおいては、混
合ガス供給ノズル部2と、その前後に排気ダクト1、1
を配置し、加熱炉Aで加熱されたガラス基板3は、成膜
部Cでチタン被膜形成され、電気加熱・徐冷炉Bで徐冷
された後、取出し、各種測定に供した。
【0026】成膜速度はガラス中央部に1mm幅で付設し
たマスキング部の段差を触針式粗さ計で測定して求めた
膜厚で評価した。なお、成膜時間は供給ノズルの前後に
設けられた一対の排気装置の間隔50mmを、基板移送速度
17mm/秒で割った約3秒である。
【0027】被膜の機械的強度はJIS R 3221に準拠し
て、テーバー試験による磨耗前後の光透過率変化から求
めた。被膜の光活性度は被膜表面にステアリン酸をヘイ
ズ値が5%になるように塗布し、3mW/cm2 の強さの紫
外線に3時間晒した後のヘイズ値で評価した。
【0028】〔実施例−2〕実施例−1のジオールの添
加量を 0.2モルとした。以後実施例−1と同様に操作し
て、空気とチタン化合物及びキレート結合し得る化合物
の蒸気を含む混合気体を得た。
【0029】更に実施例−1同様に水分含有空気を調製
し、同様に化合物蒸気および水分含有空気をオーブン内
に導入し、水分の影響による配管内に溜まった分解物質
の量を調査した。また、実施例−1と同様に、CVD 装置
にて板ガラス表面に酸化チタン被膜を生成させ、被膜生
成速度、品質(機械的強度、光活性度)について調査し
た。
【0030】〔実施例−3〕チタニウムテトラn−ブト
キシド (アイ・シ−・アイ・ジャパン (株) 製、TILCOM
TNBT)をベンゼンと重量比で1:1に混合した溶液を調
製し、チタン化合物1モルに対し、アセチルアセトン
(試薬)を0.02モルを添加して再び混合した。以後実施
例−1と同様に操作して、空気とチタン化合物及びキレ
ート結合し得る化合物の蒸気を含む混合気体を得た。
【0031】更に実施例−1同様に水分含有空気を調製
し、同様に化合物蒸気および水分含有空気をオーブン内
に導入し、水分の影響による配管内に溜まった分解物質
の量を調査した。また、実施例−1と同様に、CVD 装置
にて板ガラス表面に酸化チタン被膜を生成させ、被膜生
成速度、品質(機械的強度、光活性度)について調査し
た。
【0032】〔実施例−4〕チタニウムテトライソプロ
ポキシド 300mLを1L のステンレス製密閉容器に入れ、
容器ごと 160℃の恒温油槽に入れて加熱し、容器に毎分
3L の露点−70℃の乾燥空気をバブリングして上記チタ
ン化合物の蒸気を得た。ステンレス容器から出たガスを
0℃まで冷却すると一分当たり 2.8gのチタニウムイソ
プロポキシドが再凝縮した。
【0033】2−エチル−1.3 −ヘキサンジオール 200
mLを1L のステンレス製密閉容器に入れ、容器ごと 160
℃の恒温油槽に入れて加熱し、容器に毎分1Lの露点−
70℃の乾燥空気をバブリングして上記物質の蒸気を得
た。ステンレス容器から出たガスを0℃まで冷却すると
一分当たり0.15gの2−エチル−1.3 −ヘキサンジオー
ルが再凝縮した。
【0034】双方の気体を 220℃に加熱した後合流さ
せ、標準状態で約4L の混合ガスを得た。以降実施例−
1同様に水分含有空気を調製し、同様に化合物蒸気およ
び水分含有空気をオーブン内に導入し、水分の影響によ
る配管内に溜まった分解物質の量を調査した。
【0035】また、実施例−1と同様に、チタンアルコ
キシド 2.8gおよびキャリアーガス(空気)4L /分で
CVD 装置に導入し、CVD 装置にて板ガラス表面に酸化チ
タン被膜を生成させ、被膜生成速度、品質(機械的強
度、光活性度)について調査した。
【0036】〔比較例−1〕キレート結合し得る化合物
は用いることなく、チタニウムテトライソプロポキシド
をベンゼン(試薬1級)と重量比で1:1に混合した。
以後実施例−1と同様に操作して、空気とチタン化合物
蒸気を含む気体を得た。
【0037】更に実施例−1同様に水分含有空気を調製
し、同様に化合物蒸気および水分含有空気をオーブン内
に導入し、水分の影響による配管内に溜まった分解物質
の量を調査した。また、実施例−1と同様に、CVD 装置
にて板ガラス表面に酸化チタン被膜を生成させ、被膜生
成速度、品質(機械的強度、光活性度)について調査し
た。
【0038】〔比較例−2〕比較例−1の溶液に、キレ
ート結合し得るところのアセチルアセトンを2モル加
え、混合した。以後実施例−1と同様に操作して、空気
とチタンを含む蒸気との混合気体を得た。
【0039】更に実施例−1同様に水分含有空気を調製
し、同様に化合物蒸気および水分含有空気をオーブン内
に導入し、水分の影響による配管内に溜まった分解物質
の量を調査した。
【0040】また、実施例−1と同様に、CVD 装置にて
板ガラス表面に酸化チタン被膜を生成させ、被膜生成速
度、品質(機械的強度、光活性度)について調査した。
なお、この溶液を上記のように蒸発させた後のステンレ
ス容器内には黄白色の固形物が多量に残っており、その
残量は酸化チタン換算で使用したチタン化合物に対し約
80%であった。この溶液からは安定的に蒸気は得られな
かった。
【0041】〔結果〕試験結果を併せて表1に示す。
【0042】〔表1〕 配管内1m当たり析出量 テーハ・ー試 UV30分照 オーフ"ン 220℃ オーフ"ン 350℃ 験前後の 射後の 水分無 水分有 水分無 水分有 膜厚 透過率差 ヘイス"値 実施例1 0.0g 0.2g 0.4g 0.8g 55nm 6.3% 1.0% 2 0.0g 0.0g 0.2g 0.3g 65nm 3.2% 0.3% 3 0.3g 0.5g 1.0g 1.1g 50nm 2.7% 1.0% 4 0.0g 0.2g 0.2g 0.5g 60nm 2.8% 0.5% 比較例1 0.0g 3.8g 4.3g 12.3g 50nm 14.5% 1.0% 2 1.3g 1.5g 3.3g 3.6g 測定不能 測定不能 5.1%
【0043】実施例−1〜4においては、水分を含有し
ている混合蒸気においても、配管内のスケール残留量は
少ない。また、テーパー試験前後の光透過率差も僅少
で、機械的強度に優れる。更に紫外線照射後のヘイズ値
も小さく、光触媒活性を有することが伺える。
【0044】比較例−1では、スケール残留量が多く、
テーパー試験前後の光透過率差も大きく、機械的強度に
おいて劣る。なお、比較例−2では外観上被膜がほとん
どなく、膜厚も測定できなかった。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、非キレート化合物にキ
レート結合し得る化合物を適量加えることで、CVD 法に
よって、高品質な酸化チタン被膜を、基体表面に高速、
高収率、かつ安定して連続的に被覆することができると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】CVD 成膜試験装置の概略側断面図である。
【符号の説明】
A----電気加熱炉 B----徐冷炉 C----成膜部 D----コンベアー 1----排気ダクト 2----混合ガス供給ノズル部 3----板ガラス

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機チタン化合物、チタン塩化物、およ
    び/またはそれらの複合化合物からなる非キレートチタ
    ン化合物を出発原料として、基体表面に酸化チタン被膜
    を析出させる方法において、1モルの非キレートチタン
    化合物に対し0.02〜 1.5モルの割合のキレート結合し得
    る化合物を準備し、両化合物の混合蒸気をキャリアーガ
    スによって基体表面に導く過程で反応せしめ、更に基体
    表面上において、該化合物を分解するとともに、基体表
    面に酸化チタンを析出させることを特徴とする酸化チタ
    ン薄膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 非キレートチタン化合物を60℃以上、 2
    50℃以下に加熱し、発生した蒸気をキャリアーガスによ
    って蒸発器外に誘導し、キレート結合し得る化合物を60
    ℃以上 250℃以下に加熱し、発生した蒸気をキャリアー
    ガスによって蒸発器外に誘導し、前記両化合物蒸気を混
    合した後に基体表面に導き、酸化チタン被膜を形成させ
    ることを特徴とする請求項1記載の酸化チタン薄膜の形
    成方法。
  3. 【請求項3】 非キレートチタン化合物1モルに対し、
    キレート結合し得る化合物を0.02〜 0.5モルの範囲で一
    つの溶液に調製し、 150℃〜 250℃に温度調整した槽内
    雰囲気に向けて噴霧し、前記両化合物を同時に気化させ
    たうえで基体表面に導くことを特徴とする請求項1記載
    の酸化チタン薄膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 非キレートチタン化合物とキレート結合
    し得る化合物との混合、反応蒸気より基体表面に酸化チ
    タン被膜を析出させるに際し、 400℃以上に加熱された
    基体の熱エネルギーによって前記蒸気を分解させ、基体
    表面に酸化チタンを析出させることを特徴とする請求項
    1、2、または3記載の酸化チタン薄膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 加熱された基体が、板ガラス製造工程に
    おいて、加熱状態で連続して移送されるガラスリボンで
    あることを特徴とする請求項4記載の酸化チタン薄膜の
    製造方法。
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JP (1) JPH1111981A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001223346A (ja) * 1999-12-22 2001-08-17 Hynix Semiconductor Inc 半導体素子のキャパシタ製造方法
JP2007290958A (ja) * 2006-03-31 2007-11-08 Dainippon Printing Co Ltd 金属酸化物膜の製造方法
JP2014031281A (ja) * 2012-08-01 2014-02-20 Institute Of National Colleges Of Technology Japan 酸化チタン製造方法、酸化チタン、光触媒、および色素増感太陽電池の光電極

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