JP4686234B2 - 金属酸化物膜の製造方法 - Google Patents
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また、本発明においては、例えば、微細加工を施した金属基材に対して耐食性を付与することができる。具体的には、酸やアルカリに強く、さらに導電性を有するような金属酸化物膜を成膜することにより、金属のみでは使用不可能であった環境においても、使用可能な部材を得ることができる。さらに、本発明においては、上記耐食性を備えた着色金属酸化物膜を得ることができることから、意匠性が求められる部材、具体的にはビルやプラントの酸性雨対策用部材等にも用いることができる。
また、本発明は、微細加工を施した樹脂基材等にも適用することができる。本発明を用いることによって、安価で加工しやすい樹脂を微細加工し、耐有機溶剤性、親水性、生体親和性を付与することができるため、有機溶剤プラント、有機溶剤容器、バイオチップ、理化学機器全般に使用することができる。
また、本発明は、従来の金属酸化物膜の製造方法に比べて、低温で金属酸化物膜を得ることが可能であることから、樹脂や紙等の非耐熱基材を使用することができ、例えば、小型化していく電子デバイス、一体型となるエネルギー関連デバイス、多様化していくバイオ分野等に対して、広範な適用能力を発揮することができる。
上記酸化セリウム膜は、まだ明確ではないが、以下の5つの式により形成されると考えられている。
(i) Ce(NO3)3 → Ce3++3NO3 −
光、特にUV照射すると、
(ii) 2H2O → 2OH−+H2
その結果
(iii) Ce3+ → Ce4++e−
(iv) Ce4++2OH− → Ce(OH)2 2+
(v) Ce(OH)2 2+ → CeO2+H2
以下、本発明の金属酸化物膜の製造方法について、各構成毎に詳細に説明する。
まず、本発明の金属酸化物膜の製造方法に用いられる金属酸化物膜形成用溶液について説明する。本発明に用いられる金属酸化物膜形成用溶液は、金属源として金属塩または金属錯体と、溶媒とを少なくとも含有するものである。また、本発明においては、上記金属酸化物膜形成用溶液が酸化剤および還元剤の少なくとも一方を含有していることが好ましい。金属酸化物膜の成膜速度を向上させることができるからである。また、本発明における「金属錯体」とは、金属イオンに対して無機物または有機物が配位したもの、あるいは、分子中に金属−炭素結合を有する、いわゆる有機金属化合物を含むものである。
まず、本発明に用いられる金属源について説明する。本発明に用いられる金属源は、金属酸化物膜形成用溶液に溶解し、基材表面上に金属酸化物膜を与えるものである。本発明に用いられる金属源は、後述する溶媒に溶解するものであれば、金属塩であっても良く、金属錯体であっても良い。
本発明に用いられる金属酸化物膜形成用溶液における上記金属源の濃度としては、金属源が金属塩の場合、通常0.001〜1mol/lであり、中でも0.01〜0.1mol/lであることが好ましく、金属源が金属錯体である場合、通常0.001〜1mol/lであり、中でも0.01〜0.1mol/lであることが好ましい。濃度が上記範囲以下であると、金属酸化物膜の成膜反応が起こり難く、所望の金属酸化物膜を得ることができない可能性があり、濃度が上記範囲以上であると、沈殿物となる可能性があるからである。
また、上記金属錯体としては、具体的には、マグネシウムジエトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、カルシウムアセチルアセトナート二水和物、カルシウムジ(メトキシエトキシド)、グルコン酸カルシウム一水和物、クエン酸カルシウム四水和物、サリチル酸カルシウム二水和物、チタンラクテート、チタンアセチルアセトネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、ブチルチタネートダイマー、チタニウムビス(エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジヒドロキシビス(アンモニウムラクテート)チタニウム、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、チタンペロキソクエン酸アンモニウム四水和物、ジシクロペンタジエニル鉄(II)、乳酸鉄(II)三水和物、鉄(III)アセチルアセトナート、コバルト(II)アセチルアセトナート、ニッケル(II)アセチルアセトナート二水和物、銅(II)アセチルアセトナート、銅(II)ジピバロイルメタナート、エチルアセト酢酸銅(II)、亜鉛アセチルアセトナート、乳酸亜鉛三水和物、サリチル酸亜鉛三水和物、ステアリン酸亜鉛、ストロンチウムジピバロイルメタナート、イットリウムジピバロイルメタナート、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウム(IV)エトキシド、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムモノステアレート、ペンタ−n−ブトキシニオブ、ペンタエトキシニオブ、ペンタイソプロポキシニオブ、トリス(アセチルアセトナト)インジウム(III)、2−エチルヘキサン酸インジウム(III)、テトラエチルすず、酸化ジブチルすず(IV)、トリシクロヘキシルすず(IV)ヒドロキシド、ランタンアセチルアセトナート二水和物、トリ(メトキシエトキシ)ランタン、ペンタイソプロポキシタンタル、ペンタエトキシタンタル、タンタル(V)エトキシド、セリウム(III)アセチルアセトナートn水和物、クエン酸鉛(II)三水和物、シクロヘキサン酪酸鉛等を挙げることができる。中でも、本発明においては、マグネシウムジエトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、カルシウムアセチルアセトナート二水和物、チタンラクテート、チタンアセチルアセトネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、ブチルチタネートダイマー、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、乳酸鉄(II)三水和物、鉄(III)アセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、乳酸亜鉛三水和物、ストロンチウムジピバロイルメタナート、ペンタエトキシニオブ、トリス(アセチルアセトナト)インジウム(III)、2−エチルヘキサン酸インジウム(III)、テトラエチルすず、酸化ジブチルすず(IV)、ランタンアセチルアセトナート二水和物、トリ(メトキシエトキシ)ランタン、セリウム(III)アセチルアセトナートn水和物を使用することが好ましい。
また、本発明においては、金属酸化物膜形成用溶液が上記金属元素を2種類以上含有していても良く、複数種の金属元素を使用することにより、例えば、ITO、Gd−CeO2、Sm−CeO2、Ni−Fe2O3等の複合金属酸化物膜を得ることができる。
本発明に用いられる金属酸化物膜形成用溶液は、酸化剤を含有するものであっても良い。本発明に用いられる酸化剤は、理由は定かではないが、本発明の光照射により、水酸化物イオンを発生させることができると考えられ、金属酸化物膜形成用溶液のpHを上昇させることにより、金属酸化物膜の形成しやすい環境とすることができると考えられる。
ClO4 − + H2O → ClO3 − + 2OH−
ClO3 − + H2O → ClO2 − + 2OH−
ClO2 − + H2O → ClO− + 2OH−
2ClO− + 2H2O → Cl2(g)+ 4OH−
BrO3 − + 2H2O → BrO− + 4OH−
2BrO− + 2H2O → Br2 + 4OH−
NO3 − + H2O → NO2 − + 2OH−
NO2 − + 3H2O → NH3 + 3OH−
本発明に用いられる金属酸化物膜形成用溶液は、還元剤を含有するものであっても良い。本発明に用いられる還元剤は、分解反応により電子を放出し、水の電気分解によって水酸化物イオンを発生させ、金属酸化物膜形成用溶液のpHを上げる働きを有するものである。pHを上昇させ、プールベ線図における金属酸化物領域あるいは金属水酸化物領域へ誘導し、金属酸化物膜の発生しやすい環境とすることができる。
本発明に用いられる溶媒は、金属イオンを酸化することなく、上述した酸化剤および金属源等を溶解することができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、金属源が金属塩の場合は、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール等の総炭素数が5以下の低級アルコール、およびこれらの混合溶媒等を挙げることができ、金属源が金属錯体の場合は、水、上述した低級アルコール、およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。また、本発明においては、上記溶媒を組み合わせて使用しても良く、例えば、水への溶解性は低いが有機溶媒への溶解性は高い金属錯体と、有機溶媒への溶解性は低いが水への溶解性が高い酸化剤とを使用する場合は、水と有機溶媒とを混合することにより両者を溶解させ、均一な金属酸化物膜形成用溶液とすることができる。
また、本発明に用いられる金属酸化物膜形成用溶液は、界面活性剤等の添加剤を含有していても良い。上記界面活性剤は、金属酸化物膜形成用溶液と基材表面との界面に作用し、金属酸化物膜が生成し易くする働きを有するものである。上記界面活性剤の使用量は、使用する金属源の種類等に合わせて適宜選択して使用することが好ましい。
このような界面活性剤は、具体的にはサーフィノール485、サーフィノールSE、サーフィノールSE−F、サーフィノール504、サーフィノールGA、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104PPM、サーフィノール104E、サーフィノール104PA等のサーフィノールシリーズ(以上、全て日信化学工業(株)社製)、NIKKOL AM301、NIKKOL AM313ON(以上、全て日光ケミカル社製)等を挙げることができる。
次に、本発明の金属酸化物膜の製造方法に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材の材料としては、特に限定されるものではないが、例えばガラス、プラスチックや樹脂、金属や合金、半導体やセラミックス、紙、布等を使用することができる。上記基材の材料は、金属酸化物膜によって付与される耐食性、絶縁性、親水性等の機能や、部材の用途等を考慮して適宜選択されることが好ましい。
次に、本発明に用いられる光の照射について説明する。本発明の金属酸化物膜の製造方法は、基材表面と金属酸化物膜形成用溶液とを接触させる際に、光を照射することを特徴とするものである。
次に、本発明の金属酸化物膜の製造方法における基材と金属酸化物膜形成用溶液との接触方法について説明する。本発明における上記接触方法としては、上述した基材と上述した金属酸化物膜形成用溶液とを接触させ、上述した光照射を行うことができる方法であれば、特に限定されるものではなく、具体的には、ロールコート法、ディッピング法、枚葉式による方法、溶液を霧状にして塗布する方法等が挙げられる。
本発明においては、基材表面と金属酸化物膜形成用溶液とを接触させる際に、酸化性ガスを混合することが好ましい。
このような酸化性ガスとしては、酸化能を有する気体であって、金属酸化物膜の成膜速度を向上させることができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、酸素、オゾン、亜硝酸ガス、二酸化窒素、二酸化塩素、ハロゲンガス等が挙げられ、中でも酸素およびオゾンを使用することが好ましく、特にオゾンを使用することが好ましい。工業的に入手が容易であり、低コスト化を図ることができるからである。
また、本発明においては、基材表面と金属酸化物膜形成用溶液とを接触させる際に、加熱を行うことが好ましい。加熱することにより、成膜速度を向上させることができるからである。加熱を行う方法としては、金属酸化物膜の成膜速度を向上させることができる方法であれば特に限定されるものではないが、中でも基材を加熱することが好ましく、特に基材および金属酸化物膜形成用溶液を加熱することが好ましい。
このような加熱温度としては、使用する金属源や基材の特徴に合わせて適宜選択することが好ましいが、具体的には50〜150℃の範囲内であることが好ましく、中でも70〜100℃の範囲内であることがより好ましい。
上述したように、本発明においては、基材表面と金属酸化物膜形成用溶液とを接触させる際に、酸化性ガスを混合すること、加熱することにより金属酸化物膜の成膜速度を向上させることができる。本発明においては、さらに、これら2つの方法を組み合わせることも可能である。具体的には、基材表面と金属酸化物膜形成用溶液とを接触させる際に、光を照射し、さらに酸化性ガスの混合および加熱を行う方法が挙げられる。本発明においては、上記組み合わせにおいて、酸化性ガスの混合および加熱を同時に行っても良く、酸化性ガスの混合および加熱のどちらか一方を先に行い、他方を後に行っても良い。
次に、本発明の金属酸化物膜の製造方法により得られる金属酸化物膜について説明する。本発明の金属酸化物膜の製造方法は、金属酸化物膜形成用溶液を用いるWetコートであるため、例えば、多孔質基材や、多孔質体等を有する基材である場合であっても、金属酸化物膜形成用溶液が多孔質体等の内部に容易に侵入することができ、均一な金属酸化物膜を得ることができる。
また、本発明の金属酸化物膜の製造方法により得られる金属酸化物膜は、多孔質基材や、多孔質体等を有する、通常緻密な金属酸化物を得ることが難しい基材に対する下地層と考えることができ、この下地層として形成された金属酸化物を結晶核として、その後、任意の金属酸化物膜の製造方法を用いて上記結晶核を成長させることにより、多孔質体上等に緻密で充分な膜厚を有する金属酸化物膜を設けることができる。このような結晶核を成長させる方法としては、一般的な金属酸化物膜の製造方法を用いることができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、プラズマCVD、熱CVD、大気圧CVD等のCVD法等を挙げることができる。
また、本発明の金属酸化物膜の製造方法においては、上述した接触方法等により得られた金属酸化物膜の洗浄および乾燥を行っても良い。
上記金属酸化物膜の洗浄は、金属酸化物膜の表面等に存在する不純物を取り除くために行われるものであって、例えば、金属酸化物膜形成用溶液に使用した溶媒を用いて洗浄する方法等を挙げることができる。
また、上記金属酸化物膜の乾燥は、常温で放置することにより乾燥しても良いが、オーブン等の中で乾燥しても良い。
<多孔質アルミナ粒子層へのITO膜形成>
ガラス基材上にアルミナ微粒子(マイクロン社製、粒径30μm)の20wt%溶液をバーコート法にて塗布し、500℃の温度で2時間焼成し、多孔質アルミナ粒子層を設けたガラス基材を得た。
次に、塩化インジウム0.3mol/lと塩化スズ0.01mol/lとの水溶液1000gを準備した。さらに、上記溶液に塩素酸ナトリウム2gを添加し、金属酸化物膜形成用溶液を得た。
次に、上記金属酸化物膜形成用溶液を温度70℃一定の下で、上記基材を浸漬した。この時、上記金属酸化物膜形成用溶液を循環させ、フィルターを通すことで沈殿物や混入するゴミを排除した。さらに、このような基材に対して、紫外線照射装置(SEN特殊光源株式会社製、HB400X−21)を用いて紫外線強度100mW/cm2で照射することにより、上記基材上に金属酸化物膜を得た。その後、純水で洗浄し、100℃で1時間乾燥させ、さらに、350℃で1時間焼成した。
上記方法により得られた金属酸化物膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、ITO膜が形成していることを確認することができた。また、上記ITO膜を電子線マイクロアナライザー(JEOL社製、JXA−8900R)を用いて測定したところ、多孔質アルミナ粒子層表面にITOが凹凸に追従して成膜されていることが確認された。
<CVD法による多孔質アルミナ粒子層への珪素酸化物膜形成>
実施例1に用いた多孔質アルミナ粒子層を設けたガラス基材を用い、CVD法を用いて多孔質アルミナ粒子層上に金属酸化物膜を得た。CVD法の条件は、印加電力1.0kW、成膜圧力40Pa、ヘキサメチルジシラザン流量40sccm、酸素ガス流量0.5slm、成膜基材表面温度(成膜温度)30℃であった。
上記方法により得られた金属酸化物膜を、上記X線回折装置を用いて測定したところ、珪素酸化物膜が形成していることを確認することができた。しなしながら、上記珪素酸化物膜を、上記電子線マイクロアナライザーを用いて測定したところ、多孔質アルミナ粒子層表面には珪素酸化物が存在していたが、充分な形状追従性を示さなかった。また、多孔質アルミナ粒子層は珪素酸化物膜によって完全に被覆されていなかった。
<微細加工を施したアクリル基材への酸化チタン膜形成>
本実施例においては、微細加工を施したアクリル基材に酸化チタン膜を形成させることにより、親水性を付与することを目的とした。
まず、本実施例においては、機械的に設けた微細加工(溝:幅500μm、長さ100mm、深さ50μm)を施したアクリル基材(5mm厚)を基材とした。
次に、水とエタノールとが4:6となるように調製した混合溶媒1000gに、塩化チタン(関東化学社製)を5mlとなるように溶解させ、金属酸化物膜形成用溶液を得た。
次に、上記金属酸化物膜形成用溶液を温度80℃一定の下で、上記基材を浸漬した。この時、上記金属酸化物膜形成用溶液を循環させ、フィルターを通すことで沈殿物や混入するゴミを排除した。さらに、このような基材に対して、紫外線照射装置(SEN特殊光源株式会社製、HB400X−21)を用いて紫外線強度80mW/cm2で照射することにより、上記基材上に金属酸化物膜を得た。その後、純水で洗浄し、100℃で1時間乾燥させた。
上記金属酸化物膜を、上記X線回折装置を用いて測定したところ、酸化チタン膜が形成していることを確認することができた。また、上記酸化チタン膜の水の接触角を測定したところ、25°となり、親水性が確認された。なお、上記酸化チタン膜の水の接触角は、接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)した結果から得たものである。
<ガラス基材へのガドリニウムドーピング酸化セリウム膜形成>
本実施例においては、触媒処理を施したガラス基材にガドリニウムドーピング酸化セリウム膜を形成させることを目的とした。
まず、ガラス基材の表面にPd触媒層を形成した。触媒層の形成には、メルテックス株式会社製のメルプレートITOプロセスを用いた。まず、メルクリーナーITO170を純水に溶解させ(15g/L)、温度60℃一定の状態で10分間ガラス基材を浸漬させた。次に、純水1L中にメルプレートITOコンディショナー480Aを20g、メルプレートITOコンディショナー480Bを200ml添加し、温度30℃一定の状態でガラス基材を5分浸漬させた。続いて、純水1Lにメルプレートアクチベーター7331を30ml、0.1mol/Lの水酸化カリウム溶液を1.5ml添加し、温度20℃一定の状態でガラス基材を5分浸漬させた。その後、純水1L中にメルプレートPA−7340を10ml添加し、温度20℃一定の状態で30秒浸漬させた。このようにしてPd触媒付ガラス基材を得た。
次に、このようなPd触媒付ガラス基材にガドリニウムドーピング酸化セリウム膜を付与する工程を以下に説明する。水とメタノールが1:1となるように調製した混合溶媒1000gに、塩化セリウム(関東化学社製)を0.03mol/l、硝酸ガドリニウム(関東化学社製)を0.008mol/lとなるように溶解させ、金属酸化物膜形成用溶液を得た。
次に、上記Pd触媒付ガラス基材を上記金属酸化物膜形成用溶液中に浸漬して70℃に保ち、基材側から紫外線照射装置(SEN特殊光源株式会社製、HB400X−21)を用いて、紫外線強度100mW/Cm2で照射することにより、上記Pd触媒付ガラス基材上に金属酸化物膜を得た。その後、純水で洗浄し、100℃で1時間乾燥させた。
上記金属酸化物膜を、上記X線回折装置と電子線マイクロアナライザー(JEOL社製、JXA−8900R)を用いて測定したところ、ガドリニウムドーピング酸化セリウム膜が形成していることを確認することができた。
2 … 基材
3 … 酸化セリウム膜
4、5 … ローラー
6 … ポンプ
7 … 光照射装置
8 … 光
Claims (6)
- 基材表面に、金属源として金属塩または金属錯体が溶解した金属酸化物膜形成用溶液を接触させることにより金属酸化物膜を得る金属酸化物膜の製造方法であって、
前記基材表面と前記金属酸化物膜形成用溶液とを接触させる際に、前記金属酸化物膜形成用溶液のpHを上昇させるように光を照射し、
前記金属酸化物膜形成用溶液に用いられる金属源が、In、Sn、Ti、Gd、およびCeからなる群から選択される少なくとも一つの金属元素を含有することを特徴とする金属酸化物膜の製造方法。 - 前記基材表面と前記金属酸化物膜形成用溶液とを接触させる際に照射する光が、波長470nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物膜の製造方法。
- 前記基材表面と前記金属酸化物膜形成用溶液とを接触させる前に、前記基材表面に金属酸化物膜の生成を促進する触媒層を設ける触媒処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属酸化物膜の製造方法。
- 前記触媒層が、Sn金属、Pd金属、Ag金属、TiO2およびカーボンからなる群から選択される少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項3に記載の金属酸化物膜の製造方法。
- 前記金属酸化物膜形成用溶液が、前記光の照射により前記金属酸化物膜形成用溶液のpHを上昇させる酸化剤および還元剤の少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の金属酸化物膜の製造方法。
- 前記酸化剤が、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、臭素酸イオン、次臭素酸イオン、硝酸イオン、および亜硝酸イオンからなる群から選択される少なくとも一つのイオン種を含有することを特徴とする請求項5に記載の金属酸化物膜の製造方法。
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