JP2007287685A - 固体酸化物形燃料電池及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極反応場の増大が可能な固体酸化物形燃料電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】電解質層(11)と、電解質層(11)を挟持する一対の多孔質電極層(12,13)とを有する固体酸化物形燃料電池(10)であって、一対の多孔質電極層(12,13)の少なくとも一方(12)は、第1電極材料(121)と第2電極材料(122)とを含み、第1電極材料(121)は、一方の多孔質電極層(12)の骨格となる多孔質母材を構成し、第2電極材料(122)は、多孔質母材の細孔壁面(121a)の少なくとも一部に沿って付着していることを特徴とする固体酸化物形燃料電池(10)とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電解質層と、この電解質層を挟持する一対の多孔質電極層とを有する固体酸化物形燃料電池及びその製造方法に関する。
固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、現在、第三世代の発電用燃料電池として開発が進んでおり、円筒型、モノリス型及び平板積層型の3種類が提案されている。そのいずれもが、酸化物イオン伝導体からなる固体電解質(電解質層)を空気極層(カソード)と燃料極層(アノード)との間に挟んだ積層体を有する。通常、この積層体からなる単セルがセパレータと交互に積層されて、燃料電池スタックが構成されている(例えば特許文献1参照)。
固体酸化物形燃料電池では、空気極層側に酸素(空気)が、燃料極層側に燃料ガス(H2、CO、CH4等)が供給される。空気極層及び燃料極層は、ガスが電解質層との界面に到達することができるように、いずれも多孔質の層からなる。空気極層側に供給された酸素は、空気極層内の細孔を通って電解質層との界面近傍に到達し、この部分で空気極層から電子を受け取って酸化物イオン(O2-)にイオン化される。この酸化物イオンは、燃料極層の方向に向かって電解質層内を移動(拡散)する。そして、燃料極層との界面近傍に到達した酸化物イオンは、この部分で燃料ガスと反応して反応生成物(H2O、CO2等)となり、同時に電子を放出する。この電子は、外部電気回路を通って電気的な仕事をした後、空気極層に到達する。
空気極層側で起こる電極反応、即ち酸素分子から酸化物イオンへのイオン化反応(1/2O2+2e-→O2-)は、酸素分子、電子及び酸化物イオンの三者が関与することから、酸化物イオンを運ぶ電解質層と、電子を運ぶ空気極層と、酸素分子を供給する気相(空気)との三相の界面で起こる。燃料極層側でも同様に、電解質層と、燃料極層と、気相(燃料ガス)との三相の界面で電極反応が起こる。従って、この三相の界面を増大させることが電極反応の円滑な進行に有利であると考えられている。
電解質層は、酸化物イオンの移動媒体であると同時に、燃料ガスと空気とを直接接触させないための隔壁としても機能するので、ガス不透過性の緻密な構造となっている。この電解質層は、酸化物イオン伝導性が高く、空気極層側の酸化性雰囲気から燃料極層側の還元性雰囲気までの条件下で化学的に安定で、かつ、熱衝撃に強い材料から構成する必要があり、かかる要件を満たす材料として、イットリアを添加した安定化ジルコニア(以下、「YSZ」と略称する)、スカンジア安定化ジルコニア(以下、「ScSZ」と略称する)、サマリアドープドセリア(以下、「SDC」と略称する)、ガドリニウムドープドセリア(以下、「GDC」と略称する)、ランタン・ガレード等からなる金属酸化物膜が一般的に使用されている。
一方、空気極層及び燃料極層は、いずれも電子伝導性の高い材料から構成する必要がある。空気極層の材料は、1000℃前後の酸化性雰囲気中で化学的に安定でなければならないため、金属は不適当であり、例えば電子伝導性を持つペロブスカイト型酸化物材料、具体的にはLaMnO3やLaCoO3、又は、これらの材料におけるLaの一部をSr、Ca等に置換した固溶体が一般に使用されている。また、燃料極層の材料としては、Ni等の金属や、Ni−YSZ等のサーメットが一般的に使用されている。尚、Ni等の金属は、燃料極層の形成時には、通常、NiO等の酸化物の状態であるが、燃料電池の運転時(発電時)には金属(Ni等)に還元される。
この種の固体酸化物形燃料電池としては、例えば一方の電極層(燃料極層又は空気極層)を兼ねる多孔質支持基板上に、薄膜状の電解質層と他方の電極層(燃料極層又は空気極層)とを順次形成したものがある(例えば特許文献2参照)。
上記電極層を形成する方法としては、電極材料となるセラミックス粉とバインダーとを溶剤に加えることによりペーストを調製し、このペーストをスクリーン印刷法やドクターブレード法などを用いて基板上に塗布し、これらを1000〜1500℃の温度で焼成する方法がある。この方法では、セラミックス粉の粒度や焼結条件を制御することにより、多孔質な電極層を形成することができる。また、多孔質燃料極基板を形成する方法として、例えばセラミックス粉末に、アセチレンブラック等のカーボン材料を数%添加し、これらをエタノール中で混合・粉砕した後、1400℃で5時間焼結する方法がある。
特開2004−79332号公報 特開2004−158313号公報
しかし、従来の方法によって得られた多孔質電極層は、複数の電極材料を含むペーストから形成されるため、焼結後も電極反応の反応場(電極反応場)となる電極材料の一部が多孔質電極層の細孔壁面に表出せず、電極反応場の増大が困難となる可能性があった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、例えば触媒の高分散担持により電極反応場の増大が可能となる固体酸化物形燃料電池及びその製造方法を提供する。
本発明の固体酸化物形燃料電池は、電解質層と、前記電解質層を挟持する一対の多孔質電極層とを有する固体酸化物形燃料電池であって、
前記一対の多孔質電極層の少なくとも一方は、第1電極材料と第2電極材料とを含み、
前記第1電極材料は、前記一方の多孔質電極層の骨格となる多孔質母材を構成し、
前記第2電極材料は、前記多孔質母材の細孔壁面の少なくとも一部に沿って付着していることを特徴とする。
本発明の固体酸化物形燃料電池の製造方法は、電解質層と、前記電解質層を挟持する一対の多孔質電極層とを有する固体酸化物形燃料電池の製造方法であって、
前記一対の多孔質電極層の少なくとも一方を形成する際、金属源を含む溶液に第1電極材料からなる多孔質母材を浸漬することにより、前記多孔質母材の細孔壁面の少なくとも一部に沿って第2電極材料からなる金属酸化物を付着させて前記一方の多孔質電極層を形成することを特徴とする。
本発明の固体酸化物形燃料電池及びその製造方法によれば、第1電極材料からなる多孔質母材の細孔壁面の少なくとも一部に沿って第2電極材料を付着させることにより、電極反応場を増大させることができる。これにより、電極反応の円滑化が可能な固体酸化物形燃料電池及びその製造方法を提供することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池は、電解質層と、この電解質層を挟持する一対の多孔質電極層とを有し、上記一対の多孔質電極層の少なくとも一方は、第1電極材料と第2電極材料とを含む。そして、上記第1電極材料は、上記一方の多孔質電極層の骨格となる多孔質母材を構成し、上記第2電極材料は、上記多孔質母材の細孔壁面の少なくとも一部に沿って付着している。上記構成によれば、第2電極材料が多孔質母材の細孔壁面に付着しているため、例えば、第2電極材料が電極反応場となる電極材料である場合、電極反応場を増大させることができる。これにより、電極反応の円滑化が可能な固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
上記一対の多孔質電極層としては、燃料極層及び空気極層を使用することができる。この場合、燃料極層及び空気極層の少なくとも一方が、上記第1電極材料と上記第2電極材料とを含んでいればよい。
本発明において、燃料極層が上記第1電極材料と上記第2電極材料とを含む場合、上記第1電極材料として例えば電解質材料が使用でき、上記第2電極材料として例えば触媒材料が使用できる。特に、上記電解質材料が蛍石型又はペロブスカイト型の結晶構造を有する酸化物イオン伝導体であり、上記触媒材料が酸化ニッケルであることが好ましい。酸化ニッケルは、発電時において還元されるため、酸素が占めていた領域分だけ体積が減少する。そのため、従来の燃料電池では燃料極層の体積変化により燃料極層に歪が生じ、例えば燃料極層にクラックが発生する等の不具合が発生していた。上述のように、多孔質母材の細孔壁面の少なくとも一部に沿って酸化ニッケルを付着させると、燃料極層の骨格となる多孔質母材が存在するため、酸化ニッケルの体積減少による歪の発生を抑制できる。なお、本発明においては、上記記第1電極材料として触媒材料を使用し、上記第2電極材料として電解質材料を使用してもよい。
上記蛍石型の結晶構造を有する酸化物イオン伝導体としては、例えばサマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物、スカンジウムやイットリウムを含むジルコニア系酸化物等を挙げることができる。また、上記ペロブスカイト型の結晶構造を有する酸化物イオン伝導体としては、ストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタン・ガレード系酸化物を挙げることができる。また、上記触媒材料としては、酸化ニッケル以外に、鉄、コバルト等や、貴金属(白金、ルテニウム、パラジウム等)等を含むものを使用してもよい。
本発明に使用できる燃料極層は、空隙率が、通常20〜50%であり、望ましくは30〜40%である。また、その厚みは、通常5〜50μmである。なお、空隙率は、水銀圧入法や気体吸着法により測定できる。
本発明において、空気極層が上記第1電極材料と上記第2電極材料とを含む場合、上記第1電極材料として例えばYSZ、GDC等の電解質材料が使用でき、上記第2電極材料として例えば電子と酸化物イオンとの混合導電性材料が使用できる。この混合導電性材料としては、具体的には(Sm,Sr)CoO3、(La,Sr)MnO3、(La,Sr)CoO3、(La,Sr)(Fe,Co)O3、(La,Sr)(Fe,Co,Ni)O3などの酸化物が挙げられ、好ましくは、(Sm,Sr)CoO3である。上述した混合導電性材料は、1種を単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。なお、本発明においては、上記記第1電極材料として上記混合導電性材料を使用し、上記第2電極材料としてYSZ、GDC等の電解質材料を使用してもよい。
本発明に使用できる空気極層は、空隙率が、通常20〜50%であり、望ましくは30〜40%である。また、その厚みは、通常5〜50μmである。
本発明に使用できる電解質層の材料としては、例えば、固体酸化物形燃料電池用の電解質材料として広く知られている酸化ジルコニウム、酸化セリウム及び酸化ランタンから選ばれる少なくとも一つを含む複合金属酸化物を使用できる。このような複合金属酸化物の具体例としては、YSZ、ScSZ、SDC、GDC、ランタン・ガレード等が挙げられる。また、上記複合金属酸化物は、酸化物イオン伝導性の観点から、蛍石型又はペロブスカイト型の結晶構造を有することが好ましい。なお、上記電解質層の厚みは、通常10nm以上100μm以下であり、好ましくは10nm以上10μm以下であり、さらに好ましくは100nm以上5μm以下であり、最も好ましくは、100nm以上1μm以下である。上記厚みが10nm未満の場合、上記一対の多孔質電極層同士が接触するおそれがある。一方、上記厚みが100μmを超えると、上記電解質層の酸化物イオン伝導性が低下するおそれがある。
上記第2電極材料は、粒状であってもよいし、膜状であってもよい。特に、粒径が10μm以下(好ましくは5μm以下)の粒子からなる材料や、厚みが10μm以下(好ましくは5μm以下)の膜からなる材料を使用するのが好ましい。多孔質電極層のガス拡散機能を維持した上、電極反応場を増大させることができるからである。なお、上記第2電極材料が粒状の場合、その粒径は通常1nm以上である。この場合、粒径は、断面を走査型電子顕微鏡(SEM、S−4500、日立製作所製)または透過型電子顕微鏡(TEM、H−9000、日立製作所製)で観察して測定することができる。また、上記第2電極材料が膜状の場合、その膜厚は通常10nm以上である。
上記多孔質母材内の細孔は、平均細孔径が1μm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上10μm以下であることがより好ましい。上記細孔の平均細孔径が1μm未満の場合、上記一方の多孔質電極層のガス透過性が低下する場合がある。一方、上記細孔の平均細孔径が100μmを超える場合、上記一方の多孔質電極層の強度が低下する場合がある。上記平均細孔径は、気体吸着法により測定できる。なお、他方の多孔質電極層内の細孔の平均細孔径についても、上記と同じ理由から上記数値範囲内であることが好ましい。
本発明では、上記一方の多孔質電極層の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察により得られた、それぞれの細孔部の最大細孔径(μm)に対して上記細孔部の頻度(%)をプロットした細孔分布曲線において、上記細孔部の80%以上が中心細孔径の±0.5μm以内の範囲にあることが好ましく、±0.3μm以内の範囲にあることがより好ましい。細孔径が均一化されるため、上述した三相の界面の増大(即ち、反応場の増大)がより容易となるからである。なお、上記細孔部とは、SEM断面写真において電極材料で囲まれた暗部を指し、上記中心細孔径とは、最も頻度が高い細孔径を指す。また、細孔分布は、例えば使用する電極材料粉末の粒径、あるいは電極形成時におけるバインダー添加量や焼結温度等により制御できる。SEM観察の条件については後述する。
次に、上述した本発明の固体酸化物形燃料電池の好適な製造方法の一例について説明する。
まず、プレス成形等の手段を用いて形成された電解質基板を用意し、この電解質基板の一主面上に第1電極材料からなる多孔質母材をスクリーン印刷等の手段を用いて形成する。
次に、金属源を含む溶液に上記多孔質母材を浸漬することにより、上記多孔質母材の細孔壁面の少なくとも一部に沿って第2電極材料からなる金属酸化物を粒状又は膜状に付着させる。
上記金属源としては、上記第2電極材料を構成する金属元素を含み、かつ後述する溶媒に溶解するものであればよい。例えば、金属塩、金属イオンに対して無機物又は有機物が配位した金属錯体、分子中に金属−炭素結合を有する有機金属化合物等を使用することができる。上記金属源は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
上記金属源を構成する金属元素は特に限定されないが、Ca、Cr、Sr、Nb、Mo、Sb、Te、Ba、W、Mg、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Ag、In、Sn、Ce、Sm、Pb、La、Hf、Sc、Gd、Ga及びTaから選ばれる少なくとも一つの金属元素であることが好ましい。これらの金属元素は、プールベ線図において、金属酸化物として存在する領域(以下、「金属酸化物領域」という)、又は金属水酸化物として存在する領域(以下、「金属水酸化物領域」という)を有しているため、金属酸化物の主用構成元素として適している。
上記金属塩としては、上記金属元素を含む塩化物、硝酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、酢酸塩、リン酸塩、臭素酸塩等を挙げることができる。中でも、本発明においては、塩化物、硝酸塩、酢酸塩を使用することが好ましい。これらの化合物は汎用品として入手が容易だからである。
また、上記金属錯体や上記有機金属化合物の具体例としては、カルシウムアセチルアセトナート二水和物、クロム(III)アセチルアセトナート、トリフルオロメタンスルホン酸ガリウム(III)、ストロンチウムジピバロイルメタナート、五塩化ニオブ、モリブデニルアセチルアセトナート、パラジウム(II)アセチルアセトナート、塩化アンチモン(III)、テルル酸ナトリウム、塩化バリウム二水和物、塩化タングステン(IV)、マグネシウムジエトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、カルシウムジ(メトキシエトキシド)、グルコン酸カルシウム一水和物、クエン酸カルシウム四水和物、サリチル酸カルシウム二水和物、チタンラクテート、チタンアセチルアセトネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、ブチルチタネートダイマー、チタニウムビス(エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジヒドロキシビス(アンモニウムラクテート)チタニウム、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、チタンペロキソクエン酸アンモニウム四水和物、ジシクロペンタジエニル鉄(II)、乳酸鉄(II)三水和物、鉄(III)アセチルアセトナート、コバルト(II)アセチルアセトナート、ニッケル(II)アセチルアセトナート二水和物、銅(II)アセチルアセトナート、銅(II)ジピバロイルメタナート、エチルアセト酢酸銅(II)、亜鉛アセチルアセトナート、乳酸亜鉛三水和物、サリチル酸亜鉛三水和物、ステアリン酸亜鉛、ストロンチウムジピバロイルメタナート、イットリウムジピバロイルメタナート、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウム(IV)エトキシド、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムモノステアレート、ペンタ−n−ブトキシニオブ、ペンタエトキシニオブ、ペンタイソプロポキシニオブ、トリス(アセチルアセトナト)インジウム(III)、2−エチルヘキサン酸インジウム(III)、テトラエチルスズ、酸化ジブチルスズ(IV)、トリシクロヘキシルスズ(IV)ヒドロキシド、ランタンアセチルアセトナート二水和物、トリ(メトキシエトキシ)ランタン、ペンタイソプロポキシタンタル、ペンタエトキシタンタル、タンタル(V)エトキシド、セリウム(III)アセチルアセトナート、クエン酸鉛(II)三水和物、シクロヘキサン酪酸鉛等を挙げることができる。中でも、入手が容易で扱いやすい点から、マグネシウムジエトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、カルシウムアセチルアセトナート二水和物、チタンラクテート、チタンアセチルアセトネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、ブチルチタネートダイマー、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、乳酸鉄(II)三水和物、鉄(III)アセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、乳酸亜鉛三水和物、ストロンチウムジピバロイルメタナート、ペンタエトキシニオブ、トリス(アセチルアセトナト)インジウム(III)、2−エチルヘキサン酸インジウム(III)、テトラエチルスズ、酸化ジブチルスズ(IV)、ランタンアセチルアセトナート二水和物、トリ(メトキシエトキシ)ランタン、セリウム(III)アセチルアセトナートを使用することが好ましい。
上記金属源を含む溶液に用いられる溶媒は、上記金属源を溶解することができるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、金属源が金属塩の場合は、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール等の総炭素数が5以下の低級アルコール、水、トルエン、これらの混合溶媒等を使用することができ、金属源が金属錯体又は有機金属化合物の場合は、水、上述した低級アルコール、トルエン、これらの混合溶媒等を使用することができる。また、本発明においては、上記溶媒を組み合わせて使用してもよい。例えば、水への溶解性は低いが有機溶媒への溶解性は高い金属錯体と、有機溶媒への溶解性は低いが水への溶解性は高い材料(例えば後述する還元剤)とを使用する場合は、水と有機溶媒との混合溶媒を使用して両者を溶解させ、均一な上記溶液とすることができる。
上記溶液における上記金属源の濃度としては、通常0.001〜10mol/Lであり、中でも0.01〜1mol/Lであることが好ましい。濃度が0.001mol/L未満であると、金属酸化物の生成反応が起こり難く、所望の金属酸化物を得ることができない可能性があり、濃度が10mol/Lを超えると、沈殿物が生成する可能性があるからである。
上記溶液は、上記金属源の他に、酸化剤及び還元剤から選ばれる少なくとも一つを更に含むことが好ましい。金属酸化物の生成反応を促進させることができるからである。例えば、上記溶液に酸化剤が含まれていると、上記金属源が溶解してなる金属イオン等の酸化が速やかに行われるため、金属酸化物の生成反応が促進する。また、例えば、上記溶液に還元剤が含まれていると、この還元剤が分解して電子を放出することにより水(溶媒)の電気分解反応を誘発すると考えられる。水の電気分解反応が起こると水酸化物イオンが発生し、これにより、上記溶液のpHが上昇し、プールベ線図における金属酸化物領域又は金属水酸化物領域へとシフトするため、金属酸化物の生成反応が促進する。
上記酸化剤としては、上述した溶媒に溶解し、かつ上記金属源が溶解してなる金属イオン等を酸化することができるものであれば特に限定されず、例えば、過酸化水素、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、酸化銀、二クロム酸、過マンガン酸カリウム等が挙げられ、中でも過酸化水素、亜硝酸カリウムを使用するのが好ましい。
上記溶液における上記酸化剤の濃度は、酸化剤の種類に応じて異なるが、通常0.001〜1mol/Lであり、中でも0.01〜0.1mol/Lであることが好ましい。濃度が0.001mol/L未満であると、金属酸化物の生成反応を促進させる効果を充分に発揮することができない可能性があり、濃度が1mol/Lを超えると、濃度の増加に見合う効果が得られず、コスト上好ましくないからである。
上記還元剤としては、上述した溶媒に溶解し、かつ分解反応により電子を放出することができるものであれば、特に限定されず、例えば、ボラン−tert−ブチルアミン錯体、ボラン−N,Nジエチルアニリン錯体、ボラン−ジメチルアミン錯体、ボラン−トリメチルアミン錯体等のボラン系錯体、水酸化シアノホウ素ナトリウム、水酸化ホウ素ナトリウム等を挙げることができ、中でもボラン系錯体を使用することが好ましい。
上記溶液における上記還元剤の濃度は、還元剤の種類に応じて異なるが、通常0.001〜1mol/Lであり、中でも0.01〜0.1mol/Lであることが好ましい。濃度が0.001mol/L未満であると、金属酸化物の生成反応を促進させる効果を充分に発揮することができない可能性があり、濃度が1mol/Lを超えると、濃度の増加に見合う効果が得られず、コスト上好ましくないからである。
また、上記溶液は、補助イオン源や界面活性剤等の添加剤を含有していても良い。
上記補助イオン源は、電子と反応して水酸化物イオンを発生するものであり、上記溶液のpHを上昇させ、金属酸化物の生成反応を促進させることができる。これは、プールベ線図において、金属酸化物領域や金属水酸化物領域へと誘導する働きのことである。従って、上記補助イオン源は、熱で分解して電子を放出する還元剤と組み合わせることで効果を発揮するが、上記溶液に還元剤が含まれていなくても、加熱により酸素と分離するため、単独で酸化剤としても使用できる。なお、上記補助イオン源の使用量は、使用する金属源等に応じて適宜設定すればよい。
このような補助イオン源としては、具体的には、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、臭素酸イオン、次臭素酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン等のイオン種を挙げることができる。これらの補助イオン源は、溶液中で下記の反応を起こすと考えられている。
(化1) ClO4 - + H2O + 2e- ⇔ ClO3 - + 2OH-
(化2) ClO3 - + H2O + 2e- ⇔ ClO2 - + 2OH-
(化3) ClO2 - + H2O + 2e- ⇔ ClO- + 2OH-
(化4) 2ClO- + 2H2O + 2e- ⇔ Cl2 + 4OH-
(化5) BrO3 - + 2H2O + 4e- ⇔ BrO- + 4OH-
(化6) 2BrO- + 2H2O + 2e- ⇔ Br2 + 4OH-
(化7) NO3 - + H2O + 2e- ⇔ NO2 - + 2OH-
(化8) NO2 - + 3H2O + 3e- ⇔ NH3 + 3OH-
上記反応式に従って発生した水酸化物イオンは、上記溶液のpHを上昇させ、金属酸化物の生成反応を促進させることができる。
上記界面活性剤は、多孔質母材の細孔壁面に対する上記溶液の濡れ性を向上させ、金属酸化物の生成反応を促進させることができる。このような界面活性剤としては、具体的にはサーフィノール485、サーフィノールSE、サーフィノールSE−F、サーフィノール504、サーフィノールGA、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104PPM、サーフィノール104E、サーフィノール104PA等のサーフィノールシリーズ(以上、全て日信化学工業社製商品名)、NIKKOL AM301、NIKKOL AM313ON(以上、全て日光ケミカル社製商品名)等を挙げることができる。なお、上記界面活性剤の使用量は、使用する金属源等に応じて適宜設定すればよい。
上記溶液に上記多孔質母材を浸漬する際、上記溶液及び上記多孔質母材のうち少なくとも一方(好ましくは双方)を、10℃以上の温度に保持してもよい。金属酸化物の生成反応を促進させることができるからである。金属酸化物の生成反応をより促進させるためには、50℃以上の温度に加熱することが好ましく、60℃以上の温度に加熱することがより好ましい。この場合、加熱温度は、作業性の観点から、上記溶液の沸点以下の温度とすることが好ましい。例えば、上記溶液及び上記多孔質母材のうち少なくとも一方(好ましくは双方)を、通常10〜100℃の範囲に保持すればよく、生産性の観点から50〜90℃の範囲に加熱することが好ましい。
上記溶液に上記多孔質母材を浸漬する際、上記多孔質母材と上記溶液とが接触している部分に、気泡状の酸化性ガスを接触させてもよい。上記金属源が溶解してなる金属イオン等の酸化が速やかに行われるため、金属酸化物の生成反応が促進するからである。このような酸化性ガスとしては、上記金属源が溶解してなる金属イオン等を酸化することができるものであれば特に限定されず、例えば、酸素、オゾン、亜硝酸ガス、二酸化窒素、二酸化塩素、ハロゲンガス等が挙げられ、中でも酸素、オゾンを使用することが好ましく、特にオゾンを使用することが好ましい。工業的に入手が容易であり、低コスト化が実現できるからである。また、上述した気泡状の酸化性ガスの導入方法については、特に限定されるものではないが、例えば、バブラーを使用する方法を挙げることができる。バブラーを使用することにより、上記多孔質母材と上記溶液とが接触している部分と、酸化性ガスとの接触面積を増大させることができ、金属酸化物の生成速度を効率よく向上させることができるからである。このようなバブラーとしては、一般的なバブラーを使用することができ、例えば、ナフロンバブラー(アズワン社製)等を挙げることができる。また、上記酸化性ガスは、通常ガスボンベから上記溶液に供給することができ、オゾンに関しては、オゾン発生装置から上記溶液に供給することができる。
また、上記溶液に上記多孔質母材を浸漬する際、上記多孔質母材と上記溶液とが接触している部分に、紫外線を照射してもよい。紫外線を照射することによって、水の電気分解反応を促進させたり、上述した還元剤の分解を促進させたりすることができると考えられ、発生した水酸化物イオンによって、上述したように金属酸化物の生成反応を促進させることができるからである。また、紫外線を照射することにより、上述した補助イオン源から水酸化物イオンを発生させたり、得られる金属酸化物の結晶性を向上させたりすることもできる。なお、上記紫外線としては、波長が470nm以下の近紫外光も含むものとする。
上記紫外線の波長としては、通常185〜470nmであり、生成反応をより促進させるためには、185〜260nmであることが好ましい。また、上記紫外線の強度としては、通常1〜20mW/cm2であり、生成反応をより促進させるためには、5〜15mW/cm2であることが好ましい。このような紫外線照射を行う紫外線照射装置としては、例えば市販の紫外線照射装置を使用することができ、具体的には、SEN特殊光源社製のHB400X−21等を使用することができる。
上記方法によって上記多孔質母材の細孔壁面の少なくとも一部に沿って、上記第2電極材料を付着させて上記一方の多孔質電極層を形成した後、上記電解質基板における上記一方の多孔質電極層が接する主面とは反対側の主面に、スクリーン印刷等の手段を用いて他方の多孔質電極層を形成する。以上の方法により、本発明の固体酸化物形燃料電池が得られる。
なお、多孔質母材の細孔壁面に第2電極材料を付着させる方法としては、上記方法以外の方法を使用してもよい。例えば、上記溶液と上記多孔質母材とを接触させることによって、上記多孔質母材の細孔壁面に第2電極材料を付着させてもよい。
上記溶液と上記多孔質母材とを接触させる方法は、特に限定されるものではないが、上記溶液と多孔質母材とが接触した際に、多孔質母材の温度を低下させない方法であることが好ましい。多孔質母材の温度が低下すると金属酸化物の生成反応が起こり難くなり、所望の金属酸化物(即ち第2電極材料)を得ることができなくなる可能性があるからである。多孔質母材の温度を低下させない方法としては、例えば、上記溶液を液滴として多孔質母材上に接触させる方法等が挙げられる。この際、上記液滴は、例えば0.001〜1000μm程度の小さい径を有することが好ましい。上記液滴の径が上記範囲内であれば、上記溶液の溶媒が瞬時に蒸発し、多孔質母材の温度の低下を抑制することができる上、液滴の径が小さいことで、均質な金属酸化物を得ることができるからである。
上記溶液の液滴を多孔質母材上に接触させる方法は、特に限定されるものではないが、具体的には、上記溶液を噴霧することにより多孔質母材上に上記溶液を接触させる方法や、上記溶液をミスト状にした空間の中に多孔質母材を通過させることにより多孔質母材上に上記溶液を接触させる方法等が挙げられる。上記方法によれば、上記多孔質母材表面に形成された細孔の開口から上記溶液が浸入し、上記多孔質母材の細孔壁面に上記溶液が付着する。
上記溶液を多孔質母材上に噴霧する方法は、例えばスプレー装置等を用いて噴霧する方法等が挙げられる。上記スプレー装置等を用いて噴霧する場合、液滴の径は、通常0.001〜1000μm、中でも0.01〜100μmであることが好ましい。液滴の径が上記範囲内にあれば、多孔質母材の温度の低下を抑制することができ、均質な金属酸化物を得ることができるからである。
また、上記スプレー装置の噴射ガスとしては、金属酸化物の生成を阻害しない限り特に限定されるものではないが、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素等を挙げることができ、中でも不活性な気体である窒素、アルゴン、ヘリウムが好ましい。また、上記スプレー装置は、固定されているもの、可動式のもの、回転によって上記溶液を噴射させるもの、圧力によって上記溶液を噴射させるもの等であってもよい。このようなスプレー装置としては、一般的に用いられるスプレー装置を用いることができ、例えばハンドスプレー(アズワン社製)、超音波ネプライザ(オムロン社製)等を用いることができる。
上記溶液をミスト状にした空間の中に多孔質母材を通過させる方法を用いる場合、液滴の径は、通常0.001〜1000μmであり、中でも0.01〜100μmであることが好ましい。液滴の径が上記範囲内にあれば、多孔質母材の温度の低下を抑制することができ、均質な金属酸化物を得ることができるからである。
また、金属酸化物の生成反応を促進させるために、上記溶液を多孔質母材上に接触させる際、上記多孔質母材を加熱することが好ましい。例えば、上記多孔質母材を金属酸化物生成温度以上に加熱すればよい。ここで、「金属酸化物生成温度」とは、上述した金属源を構成する金属元素が酸素と結合して上記多孔質母材上に金属酸化物が生成する最低温度のことである。上記金属酸化物生成温度は、金属源の種類や溶媒等の上記溶液の組成によって大きく異なり、通常300〜1000℃の範囲内である。特に、生産性の観点から、400〜700℃の範囲内となるように、金属源の種類や溶媒等を選択するのが好ましい。一方、上記溶液が酸化剤や還元剤を含む場合、上記金属酸化物生成温度は、通常150〜800℃の範囲内であり、特に、生産性の観点から、300〜500℃の範囲内となるように、金属源の種類や溶媒等を選択するのが好ましい。
上記金属酸化物生成温度は、以下の方法により測定することができる。まず、所望の金属源を含む上記溶液を調製する。次に、多孔質母材を加熱することによって多孔質母材の表面温度を変化させながら、上記多孔質母材上に上記溶液を接触させることにより、金属酸化物が生成する多孔質母材の表面温度のうち、最低の表面温度を測定する。この最低の表面温度を本明細書における「金属酸化物生成温度」とすることができる。この際、金属酸化物が生成したか否かは、得られる金属酸化物が結晶性を有する場合、例えばX線回折装置(リガク製、RINT−1500)により得られた結果から判断し、得られる金属酸化物がアモルファス膜の場合、例えば光電子分光分析装置(V.G.Scientific社製、ESCALAB 200i−XL)により得られた結果から判断することができる。
また、多孔質母材の加熱方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ホットプレート、オーブン、焼成炉、赤外線ランプ、熱風送風機等による加熱方法を挙げることができ、中でも、ホットプレートを使用すると、多孔質母材の温度を所望の温度に確実に保持できるため好ましい。
本方法においては、酸化性ガス雰囲気下で多孔質母材上に上記溶液を接触させてもよい。上記金属源が溶解してなる金属イオン等の酸化が速やかに行われるため、金属酸化物の生成反応が促進するからである。このような酸化性ガスとしては、上記金属源が溶解してなる金属イオン等を酸化することができるものであれば特に限定されず、例えば、酸素、オゾン、亜硝酸ガス、二酸化窒素、二酸化塩素、ハロゲンガス等が挙げられ、中でも酸素、オゾンを使用することが好ましく、特にオゾンを使用することが好ましい。工業的に入手が容易であり、低コスト化が実現できるからである。
また、本方法においては、多孔質母材上に上記溶液を接触させる際に、多孔質母材と上記溶液とが接触する箇所に紫外線を照射してもよい。紫外線を照射することによって、水の電気分解反応を促進させたり、上述した還元剤の分解を促進させたりすることができると考えられ、発生した水酸化物イオンによって、上述したように金属酸化物の生成反応を促進させることができるからである。また、紫外線を照射することにより、上述した補助イオン源から水酸化物イオンを発生させたり、得られる金属酸化物の結晶性を向上させたりすることもできる。なお、上記紫外線としては、波長が470nm以下の近紫外光も含むものとする。
上記紫外線の波長としては、通常185〜470nmであり、生成反応をより促進させるためには、185〜260nmであることが好ましい。また、上記紫外線の強度としては、通常1〜20mW/cm2であり、生成反応をより促進させるためには、5〜15mW/cm2であることが好ましい。このような紫外線照射を行う紫外線照射装置としては、例えば市販の紫外線照射装置を使用することができ、具体的には、SEN特殊光源社製のHB400X−21等を使用することができる。なお、本方法においては、上述した酸化性ガス雰囲気下で、多孔質母材と上記溶液とが接触する箇所に紫外線を照射してもよい。
本方法においては、上記浸漬する工程の前に、上記第1電極材料を含む多孔質母材形成用材料を電解質層上に配置して、上記多孔質母材形成用材料を加熱する工程を更に含んでいてもよい。加熱することにより、電解質層と多孔質母材との密着性が向上するからである。また、加熱条件により多孔質母材の空隙率や細孔径を制御することもできる。なお、この際の加熱温度は、1200〜1500℃程度であればよい。
上記多孔質母材形成用材料は、バインダー樹脂を更に含んでいてもよい。多孔質母材形成用材料を電解質層上に配置する際、スクリ−ン印刷法等の塗布手段が使用できるため、容易に多孔質母材を形成することができるからである。この場合、上記第1電極材料とバインダー樹脂との質量比(第1電極材料:バインダー樹脂)は、90:10〜40:60程度であればよい。バインダー樹脂としては、特に限定されないが、例えばアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エチルセルロース誘導体、あるいはスチレンアクリル共重合体等の熱可塑性樹脂を単独、または混合して使用することができる。なお、上記バインダー樹脂は、多孔質母材形成用材料の加熱工程により除去されるため、多孔質母材の細孔壁面に上記第2電極材料を付着させる際、上記バインダー樹脂が妨げとなるおそれはない。
以下、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照して説明する。参照する図1は、本発明の一実施形態に係る固体酸化物形燃料電池を示す模式断面図である。また、参照する図2は、図1に示す固体酸化物形燃料電池の燃料極層の模式断面拡大図である。
図1に示すように、固体酸化物形燃料電池10は、電解質層11と、電解質層11を挟持する燃料極層12及び空気極層13とを有する。また、図2に示すように、燃料極層12は、第1電極材料121と、第2電極材料122とを含む。そして、第1電極材料121は、燃料極層12の骨格となる多孔質母材を構成し、第2電極材料122は、多孔質母材(第1電極材料121)の細孔壁面121aの一部に沿って付着している。これにより、例えば第2電極材料122として電極反応場となる電極材料(酸化ニッケル等)を用いると、燃料極層12の電極反応場を増大させることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されない。例えば、上記実施形態では燃料極層が第1電極材料と第2電極材料とを含む場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、空気極層が第1電極材料と第2電極材料とを含んでいてもよいし、燃料極層及び空気極層の双方が第1電極材料と第2電極材料とを含んでいてもよい。
次に、上述した固体酸化物形燃料電池10の製造方法の一例について、図面を参照して説明する。参照する図3A,B及び図4A,Bは、上述した固体酸化物形燃料電池10の製造方法の一例を示す概略工程図である。なお、図3及び図4において、図1と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
まず、図3Aに示すように、電解質層11(電解質基板)上に、スクリーン印刷等の手段を用いて第1電極材料121からなる多孔質母材を形成する。次に、第2電極材料122(図1参照)となる金属を有する金属源と、例えば還元剤とを、水等の溶媒に溶解させて溶液1(図3B参照)を調製する。そして、図3Bに示すように、溶液1に多孔質母材(第1電極材料121)を浸漬する。これにより、図4Aに示すように、多孔質母材の細孔壁面121aの一部に沿って第2電極材料122が付着し、燃料極層12が得られる。その後、燃料極層12を溶液1から取り出す。
次に、図4Bに示すように、電解質層11上に、スクリーン印刷法等の手段を用いて空気極層13を形成し、固体酸化物形燃料電池10が得られる。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、上述した図1に示すような構造を有する単セルを作製した。まず、GDC(Ce:Gd:O=0.9:0.1:1.9)粉末(平均粒径:0.5μm)を耐圧容器に入れ、一軸プレス機にて1t/cm2の圧力で成形後、これを真空パックで包装し、静水圧プレス機にて2t/cm2の圧力で再度成形した。その後、焼結(1450℃、10時間)を行い、電解質基板を作製した。なお、GDC粉末の平均粒径は、例えば、JISZ8901にしたがって計測することができる(以下の実施例で使用する電極材料粉末も同様)。
次に、SDC(Ce:Sm:O=0.8:0.2:1.9)粉末(粒径範囲:0.1〜3μm、平均粒径:1μm)及びセルロース系バインダー樹脂を、質量比(SDC:バインダー樹脂)が80:20となるようにジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートに加えてペーストを調製した。その後、上記電解質基板上に、上記ペ−ストをスクリ−ン印刷により印刷し、130℃で15分間乾燥した後、1400℃で5時間焼成を行い、SDC(第1電極材料)からなる多孔質母材(厚み:20μm)を得た。
続いて、硝酸ニッケル(関東化学社製)及び還元剤であるボラン−ジメチルアミン錯体(関東化学社製)を、それぞれの濃度が0.01mol/L及び0.01mol/Lとなるように、水及びエタノールからなる混合溶媒に溶解させた溶液を調製した。使用した混合溶媒は、容量比(水:エタノール)が、50:50であった。そして、上記溶液(70℃)中に上記多孔質母材を20時間浸漬して、上記多孔質母材の細孔壁面の一部に沿ってNiO膜(第2電極材料、厚み:0.1μm)を形成し、燃料極層を得た。
次に、エチルカルピトールに、Sm0.5Sr0.5CoO3(平均粒径:3μm)を加え、更にバインダーとしてエチルセルロースを加えた後、これらをボールミルで混合して空気極層を形成するための空気極ペースト(粘度:5×105mPa・s)を調製した。次に、スクリーン印刷法により、上記電解質基板の上記燃料極層を形成した面とは反対面に上記空気極ペーストを印刷した。その後、これらをオーブンにて130℃で15分間乾燥させ、1200℃で1時間焼成を行い、上記電解質基板上に空気極層(厚み:50μm)を形成し、単セルを得た。
(実施例2)
本実施例では、上述した図1に示すような構造を有する単セルを作製した。まず、GDC(Ce:Gd:O=0.9:0.1:1.9)粉末(平均粒径:0.5μm)を耐圧容器に入れ、一軸プレス機にて1t/cm2の圧力で成形後、これを真空パックで包装し、静水圧プレス機にて2t/cm2の圧力で再度成形した。その後、焼結(1450℃、10時間)を行い、電解質基板を作製した。
次に、SDC(Ce:Sm:O=0.8:0.2:1.9)粉末(粒径範囲:0.1〜3μm、平均粒径:1μm)及びセルロース系バインダー樹脂を、質量比(SDC:バインダー樹脂)が80:20となるようにジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートに加えてペーストを調製した。その後、上記電解質基板上に、上記ペ−ストをスクリ−ン印刷により印刷し、130℃で15分間乾燥した後、1400℃で5時間焼成を行い、SDC(第1電極材料)からなる多孔質母材(厚み:20μm)を得た。
続いて、塩化コバルト(関東化学社製)、硝酸サマリウム(関東化学社製)及び塩化ストロンチウム(関東化学社製)を、それぞれの濃度が0.1mol/L、0.05mol/L及び0.05mol/Lとなるように、水及びイソプロパノールからなる混合溶媒に溶解させた溶液を調製した。使用した混合溶媒は、容量比(水:イソプロパノール)が、60:40であった。そして、上記溶液(60℃)中に上記多孔質母材を24時間浸漬して、上記多孔質母材の細孔壁面の一部に沿って金属酸化物膜(第2電極材料、厚み:2μm)を形成し、空気極層を得た。
次に、エチルカルピトールに、NiO粉末(平均粒径:1μm)及びSDC(Ce0.8Sm0.21.9)粉末(平均粒径:1μm)を、質量比(NiO:SDC)が7:3となるように加え、更にバインダーとしてエチルセルロースを加えた後、これらをボールミルで混合して燃料極層を形成するための燃料極ペースト(粘度:5×105mPa・s)を調製した。次に、スクリーン印刷法により上記電解質基板上の上記空気極層を形成した面とは反対面に上記燃料極ペーストを印刷した。その後、これらをオーブンにて130℃で15分間乾燥させ、1450℃で1時間焼成を行い、上記電解質基板上に燃料極層(厚み:50μm)を形成し、単セルを得た。
(実施例3)
本実施例では、上述した図1に示すような構造を有する単セルを作製した。まず、YSZ(Y:Zr:O=0.08:1:2)粉末(平均粒径:0.5μm)を耐圧容器に入れ、一軸プレス機にて1t/cm2の圧力で成形後、これを真空パックで包装し、静水圧プレス機にて2t/cm2の圧力で再度成形した。その後、焼結(1450℃、10時間)を行い、電解質基板を作製した。
次に、SDC(Ce:Sm:O=0.8:0.2:1.9)粉末(粒径範囲:0.1〜3μm、平均粒径:1μm)及びセルロース系バインダー樹脂を、質量比(SDC:バインダー樹脂)が80:20となるようにジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートに加えてペーストを調製した。その後、上記電解質基板上に、上記ペ−ストをスクリ−ン印刷により印刷し、130℃で15分間乾燥した後、1450℃で1時間焼成を行い、SDC(第1電極材料)からなる多孔質母材(厚み:約20μm)を得た。
続いて、硝酸ニッケル(関東化学社製)及び還元剤であるボラン−ジメチルアミン錯体(関東化学社製)を、それぞれの濃度が0.01mol/L及び0.01mol/Lとなるように、水及びエタノールからなる混合溶媒に溶解させた溶液を調製した。使用した混合溶媒は、容量比(水:エタノール)が、50:50であった。そして、上記溶液(70℃)中に上記多孔質母材を20時間浸漬して、上記多孔質母材の気孔壁面の一部に沿ってNiO膜(第2電極材料、厚み:0.1μm)を形成し、燃料極層を得た。
次に、エチルカルピトールに、Sm0.5Sr0.5CoO3(平均粒径:3μm)を加え、更にバインダーとしてエチルセルロースを加えた後、これらをボールミルで混合して空気極層を形成するための空気極ペースト(粘度:5×105mPa・s)を調製した。次に、スクリーン印刷法により、上記電解質基板の上記燃料極層を形成した面とは反対面に上記空気極ペーストを印刷した。その後、これらをオーブンにて130℃で15分間乾燥させ、1200℃で1時間焼成を行い、上記電解質基板上に空気極層(厚み:20μm)を形成し、単セルを得た。
(実施例4)
本実施例では、上述した図1に示すような構造を有する単セルを作製した。まず、YSZ(Y:Zr:O=0.08:1:2)粉末(平均粒径:0.5μm)を耐圧容器に入れ、一軸プレス機にて1t/cm2の圧力で成形後、これを真空パックで包装し、静水圧プレス機にて2t/cm2の圧力で再度成形した。その後、焼結(1450℃、10時間)を行い、電解質基板を作製した。
次に、SDC(Ce:Sm:O=0.8:0.2:1.9)粉末(粒径範囲:0.1〜3μm、平均粒径:1μm)及びセルロース系バインダー樹脂を、質量比(SDC:バインダー樹脂)が80:20となるようにジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートに加えてペーストを調製した。その後、上記電解質基板上に上記ペ−ストをスクリ−ン印刷により印刷し、130℃で15分間乾燥して、SDC(第1電極材料)からなる多孔質母材(厚み:約20μm)を得た。
次に、エチルカルピトールに、NiO粉末(平均粒径:1μm)及びSDC(Ce0.8Sm0.21.9)粉末(平均粒径:1μm)を、質量比(NiO:SDC)が7:3となるように加え、更にバインダーとしてエチルセルロースを加えた後、これらをボールミルで混合して燃料極層を形成するための燃料極ペースト(粘度:5×105mPa・s)を調製した。次に、スクリーン印刷法により上記電解質基板上の上記多孔質母材を形成した面とは反対面に上記燃料極ペーストを印刷した。その後、これらをオーブンにて130℃で15分間乾燥させ、1450℃で1時間焼成を行い、上記電解質基板上に燃料極層(厚み:20μm)を形成した。
続いて、塩化コバルト(関東化学社製)、硝酸サマリウム(関東化学社製)及び塩化ストロンチウム(関東化学社製)を、それぞれの濃度が0.1mol/L、0.05mol/L及び0.05mol/Lとなるように、水及びイソプロパノールからなる混合溶媒に溶解させた溶液を調製した。使用した混合溶媒は、容量比(水:イソプロパノール)が、60:40であった。そして、上記溶液(60℃)中に上記多孔質母材を24時間浸漬して、上記多孔質母材の気孔壁面の一部に沿って金属酸化物膜(第2電極材料、厚み:2μm)である空気極層を形成し、単セルを得た。
(比較例1)
比較例として、以下に示す方法で単セルを作製した。まず、YSZ(Y:Zr:O=0.08:1:2)粉末(平均粒径:0.5μm)を耐圧容器に入れ、一軸プレス機にて1t/cm2の圧力で成形後、これを真空パックで包装し、静水圧プレス機にて2t/cm2の圧力で再度成形した。その後、焼結(1450℃、10時間)を行い、電解質基板を作製した。
次に、エチルカルピトールに、NiO粉末(平均粒径:1μm)及びSDC(Ce0.8Sm0.21.9)粉末(平均粒径:1μm)を、質量比(NiO:SDC)が7:3となるように加え、更にバインダーとしてエチルセルロースを加えた後、これらをボールミルで混合して燃料極層を形成するための燃料極ペースト(粘度:5×105mPa・s)を調製した。次に、スクリーン印刷法により上記電解質基板上に上記燃料極ペーストを印刷した。その後、これらをオーブンにて130℃で15分間乾燥させ、1450℃で1時間焼成を行い、上記電解質基板上に燃料極層(厚み:20μm)を形成した。
次に、エチルカルピトールに、Sm0.5Sr0.5CoO3(平均粒径:3μm)を加え、更にバインダーとしてエチルセルロースを加えた後、これらをボールミルで混合して空気極層を形成するための空気極ペースト(粘度:5×105mPa・s)を調製した。次に、スクリーン印刷法により、上記電解質基板の上記燃料極層を形成した面とは反対面に上記空気極ペーストを印刷した。その後、これらをオーブンにて130℃で15分間乾燥させ、1200℃で1時間焼成を行い、上記電解質基板上に空気極層(厚み:20μm)を形成し、単セルを得た。
実施例3及び比較例1で作製した燃料極層の断面SEM写真をそれぞれ図5A及び図5Bに示す。電極反応は、電解質、電極触媒及び反応ガスが接する三相界面で行われるため、電極性能は三相界面の長さに依存する。図5Bに示すように、比較例1で作製した燃料極層は、燃料極粒子の凝集がみられ多孔質構造が不均一となっており、三相界面の減少が明らかである。対照的に、図5Aに示す実施例3では、作製した燃料極層が均一な多孔質構造となっており、三相界面の増大を容易に行うことができた。
また、上記各断面SEM写真より、実施例3及び比較例1で作製した燃料極層の細孔分布を下記に示す条件で測定した。その結果、表1に示すように実施例3の燃料極層では、細孔部の80%以上が中心細孔径の±0.3μm以内の範囲にあった。一方、比較例1の燃料極層では、中心細孔径の±0.3μm以内の範囲には細孔部の60%程度しかなく、細孔部の大きさが不均一であることがわかった。なお、表1における「細孔径」とは、それぞれの細孔部における最大細孔径(μm)を指す。
(細孔分布の測定方法)
実施例3及び比較例1で作製した燃料極層のSEM写真を、倍率:1000倍、視野範囲:深さ19μm×幅39μmの条件のもとで観察した。続いて、上記測定により得られたSEM写真を画像解析ソフトであるImage-Pro PLUS(Media Cybernetics 社製)を用いて、燃料極材料部と細孔部を二値化した。そして、それぞれの細孔部の最大細孔径を直接測定し、その頻度を求めた。
Figure 2007287685
(電池性能の評価)
実施例3の単セル及び比較例1の単セルの電池性能を下記に示す方法で評価した。まず、図6に示すように、給気経路91a及び排気経路91bを有する1対のアルミナ管91,91で単セル92を挟持した。この際、供給するガスの漏れを防ぐため、単セル92とアルミナ管91との間にガラスシール93を介在させた。次に、大気中でアルミナ管91内の温度を800℃まで昇温させた後、単セル92の燃料極側から水素を30mL/min(3%H2O)で供給し、空気極側から空気を60mL/minで供給して、開回路電圧(OCV)を測定した。その結果、実施例3のOCVは1064mVとなり、比較例1のOCVは1056mVとなった。
本発明の一実施形態に係る固体酸化物形燃料電池を示す模式断面図である。 図1に示す固体酸化物形燃料電池の燃料極層の模式断面拡大図である。 A,Bは、本発明の一実施形態に係る固体酸化物形燃料電池の製造方法の一例を示す概略工程図である。 A,Bは、本発明の一実施形態に係る固体酸化物形燃料電池の製造方法の一例を示す概略工程図である。 Aは本発明の一実施例に係る固体酸化物形燃料電池の燃料極層の断面SEM写真であり、Bは比較例に係る固体酸化物形燃料電池の燃料極層の断面SEM写真である。 電池性能の評価方法を示す模式図である。
符号の説明
1 溶液
10 固体酸化物形燃料電池
11 電解質層
12 燃料極層
13 空気極層
91 アルミナ管
91a 給気経路
91b 排気経路
92 単セル
93 ガラスシール
121 第1電極材料
121a 細孔壁面
122 第2電極材料

Claims (16)

  1. 電解質層と、前記電解質層を挟持する一対の多孔質電極層とを有する固体酸化物形燃料電池であって、
    前記一対の多孔質電極層の少なくとも一方は、第1電極材料と第2電極材料とを含み、
    前記第1電極材料は、前記一方の多孔質電極層の骨格となる多孔質母材を構成し、
    前記第2電極材料は、前記多孔質母材の細孔壁面の少なくとも一部に沿って付着していることを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
  2. 前記第2電極材料は、粒径が10μm以下の粒子からなる請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
  3. 前記第2電極材料は、厚みが10μm以下の膜からなる請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
  4. 前記多孔質母材内の細孔は、平均細孔径が1μm以上100μm以下である請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
  5. 前記一対の多孔質電極層は、燃料極層及び空気極層であり、
    前記燃料極層は、前記第1電極材料と前記第2電極材料とを含む請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
  6. 前記第1電極材料は、電解質材料であり、
    前記第2電極材料は、触媒材料である請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池。
  7. 前記電解質材料は、蛍石型又はペロブスカイト型の結晶構造を有する酸化物イオン伝導体であり、
    前記触媒材料は、酸化ニッケルである請求項6に記載の固体酸化物形燃料電池。
  8. 電解質層と、前記電解質層を挟持する一対の多孔質電極層とを有する固体酸化物形燃料電池の製造方法であって、
    前記一対の多孔質電極層の少なくとも一方を形成する際、金属源を含む溶液に第1電極材料からなる多孔質母材を浸漬することにより、前記多孔質母材の細孔壁面の少なくとも一部に沿って第2電極材料からなる金属酸化物を付着させて前記一方の多孔質電極層を形成することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  9. 前記溶液は、酸化剤及び還元剤から選ばれる少なくとも一つを更に含む請求項8に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  10. 前記溶液は、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、臭素酸イオン、次臭素酸イオン、硝酸イオン及び亜硝酸イオンから選ばれる少なくとも一つのイオン種を更に含む請求項8又は9に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  11. 前記溶液に前記一方の多孔質電極層を浸漬する際、前記溶液及び前記一方の多孔質電極層のうち少なくとも一方を、10℃以上の温度に保持する請求項8に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  12. 前記溶液に前記一方の多孔質電極層を浸漬する際、前記溶液及び前記一方の多孔質電極層のうち少なくとも一方を、前記溶液の沸点以下の温度に加熱する請求項11に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  13. 前記金属源は、金属塩、金属錯体及び有機金属化合物から選ばれる少なくとも一つである請求項8に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  14. 前記金属源は、Ca、Cr、Sr、Nb、Mo、Sb、Te、Ba、W、Mg、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Ag、In、Sn、Ce、Sm、Pb、La、Hf、Sc、Gd、Ga及びTaから選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む請求項8又は13に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  15. 前記浸漬する工程の前に、前記第1電極材料を含む多孔質母材形成用材料を前記電解質層上に配置して、前記多孔質母材形成用材料を加熱する工程を更に含む請求項8に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  16. 前記多孔質母材形成用材料は、バインダー樹脂を更に含む請求項15に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
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