JP6924458B2 - 積層体の製造方法および積層体 - Google Patents

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本発明は、太陽電池、発光デバイス、タッチパネルおよびセンサなどに有用な積層体の製造方法および積層体に関する。
各種の基板に各種の薄膜が成膜された積層体が従来から知られており、これら積層体は、光学ミラーや光学フィルターのように光学的な機能を備える等の、各種の機能を備える製品として用いられている。そして、成膜される基板としてアクリル等のプラスチック製の基板が用いられることがあり、かかるプラスチック製の基板に金属酸化物等を材質とする各種の機能性膜が形成されることがある。しかし、アクリル等の熱可塑性樹脂からなる基板は、耐熱性が低く、一般に200℃以上の高温に耐えられないため、比較的低温で金属酸化物等を材質とする膜を形成する必要がある。また、熱可塑性樹脂からなるプラスチック基板に、各種の金属酸化物等の膜を成膜しようとすると、基板に対する密着性の高い膜を形成することが困難であり、基板上に形成された膜が剥がれ易い等の問題があった。
特許文献1には、スパッタリング法を用いて、PETからなる熱可塑性樹脂基板上に酸化ジルコニウムからなる下地層を形成し、ついで、下地層上にITO等の金属酸化物を形成することにより、透明導電フィルムを得ることが記載されている。また、特許文献2には、スパッタリング法を用いて、プラスチック基板に対して密着性の高いアンダーコート層を形成し、このアンダーコート層に親水性を備えさせて、金属酸化物等からなる機能性膜を形成することが記載されている。
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載のスパッタリング法では、プラズマによるダメージ受けて熱可塑性樹脂基板が熱変形したり黄変したりして、基板に悪影響を及ぼしてしまう問題があった。さらに、下地層またはアンダーコート層を設ける必要があったり、真空装置が必要であるなど、製造プロセスも複雑になってしまう問題があった。
そのため、工業上有利に、簡単且つ容易に、アンダーコート層等を設けることなく、直接成膜することができ、熱可塑性樹脂からなる基体と、基体との密着性に優れた金属酸化膜とを備える積層体を製造する方法が待ち望まれていた。
特開2013−247075号公報 特開2003−80625号公報
本発明は、工業的有利に、簡単且つ容易に、熱可塑性樹脂からなる基体と、前記基体との密着性に優れた金属酸化膜とを備える積層体を製造できる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、遷移金属を含む原料溶液を用いて熱可塑性樹脂からなる基体上に金属酸化膜を成膜する積層体の製造方法において、前記遷移金属はチタンであり、前記原料溶液を霧化または液滴化してミストまたは液滴を浮遊させ、浮遊する前記ミストまたは液滴にキャリアガスを供給し、該キャリアガスを用いて前記ミストまたは液滴を前記基体近傍まで搬送し、ついで、前記ミストまたは前記液滴を熱反応させることにより、前記基体表面に金属酸化膜を形成すると、工業的有利に、簡単且つ容易に、熱可塑製樹脂からなる基体と、前記基体との密着性に優れた金属酸化膜とを備える積層体を、前記基体に悪影響を与えることなく、製造できることを見出し、このような製造方法が上記した従来の問題を一挙に解決できるものであることを知見した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] 遷移金属を含む原料溶液を用いて熱可塑性樹脂からなる基体上に金属酸化膜を成膜する積層体の製造方法であって、前記遷移金属はチタンであり、前記原料溶液を霧化または液滴化してミストまたは液滴を浮遊させ、浮遊する前記ミストまたは液滴にキャリアガスを供給し、該キャリアガスを用いて前記ミストまたは液滴を前記基体近傍まで搬送し、ついで、前記ミストまたは前記液滴を熱反応させることにより、前記基体表面に金属酸化膜を形成することを特徴とする積層体の製造方法。
[2] 前記原料溶液が、前記遷移金属のジケトン錯体を含む前記[1]記載の製造方法。
[3] 熱可塑性樹脂が、アクリル樹脂である前記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 前記キャリアガスとして、不活性ガスを用いる前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 前記熱反応を、大気圧下で行う前記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、工業的有利に、簡単且つ容易に、熱可塑製樹脂からなる基体と、前記基体との密着性に優れた金属酸化膜とを備える積層体を製造することができる。
本発明において用いられる成膜装置(ミストCVD)の概略構成図である。 本発明の成膜工程の一態様を模式的に示す図である。 実施例1における光透過率の測定結果を示す図である。 本発明において用いられる成膜装置(ミストCVD)の好適な一態様を示す概略構成図である。
本発明の積層体の製造方法は、遷移金属を含む原料溶液を用いて熱可塑性樹脂からなる基体上に金属酸化膜を成膜する積層体の製造方法であって、前記遷移金属はチタンであり、前記原料溶液を霧化または液滴化してミストまたは液滴を浮遊させ(霧化・液滴化工程)、浮遊する前記ミストまたは液滴にキャリアガスを供給し、該キャリアガスを用いて前記ミストまたは液滴を前記基体近傍まで搬送し(搬送工程)、ついで、前記ミストまたは前記液滴を熱反応させることにより、前記基体表面に金属酸化膜を形成する(成膜工程)ことを特長とする。

(霧化・液滴化工程)
霧化・液滴化工程は、前記原料溶液を霧化または液滴化する。霧化手段または液滴化手段は、前記原料溶液を霧化または液滴化できさえすれば特に限定されず、公知の手段であってよいが、本発明においては、超音波を用いる霧化手段または液滴化手段が好ましい。超音波を用いて得られたミストまたは液滴は、初速度がゼロであり、空中に浮遊するので好ましく、例えば、スプレーのように吹き付けるのではなく、空間に浮遊してガスとして搬送することが可能なミストが、衝突エネルギーによる損傷がないためにより好ましい。液滴サイズは、特に限定されず、数mm程度の液滴であってもよいが、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは1〜10μmである。
(原料溶液)
前記原料溶液は、遷移金属を含み、且つ霧化または液滴化が可能な溶液または分散液であれば、特に限定されない。前記原料溶液としては、例えば、遷移金属の有機金属錯体(例えばアセチルアセトナート錯体等)やハロゲン化物(例えばフッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物等)を含む溶液または分散液などが挙げられるが、本発明においては、前記原料溶液が、遷移金属の有機金属錯体を含む溶液または分散液であるのが好ましい。遷移金属の有機金属錯体は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されない。前記有機金属錯体としては、例えば、シアノ錯体、カルボニル錯体、シクロペンタジエン錯体、ジケトン錯体、アセチル錯体などが挙げられるが、本発明においては、前記有機金属錯体が、ジケトン錯体であるのが好ましく、アセチルアセトナート錯体であるのがより好ましい。前記遷移金属は、周期律表第3族〜第11族の遷移金属から選ばれる少なくとも1種の金属であれば、特に限定されない。周期律表第3族の遷移金属としては、例えば、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)などが挙げられる。周期律表第4族の遷移金属としては例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)などが挙げられる。周期律表第5族の遷移金属としては、例えば、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)などが挙げられる。周期律表第6族の遷移金属としては、例えば、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)などが挙げられる。周期律表第7族の遷移金属としては、例えば、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)などが挙げられる。周期律表第8族の金属としては、例えば、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)などが挙げられる。周期律表第9族の金属としては、例えば、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)などが挙げられる。周期律表第10族の遷移金属としては、例えば、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)などが挙げられる。周期律表第11族の遷移金属としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などが挙げられる。本発明においては、前記遷移金属が、周期律表第4族遷移金属であるのが、熱可塑製樹脂からなる基体との密着性により優れた金属酸化膜を成膜することができるので、好ましく、チタンであるのがより好ましい。前記原料溶液中の遷移金属の含有量は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、好ましくは、0.001モル%〜50モル%であり、より好ましくは0.01モル%〜50モル%である。
また、前記原料溶液には、さらに、酸や塩基等のその他添加剤が含まれていてもよい。前記酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などが挙げられる。
前記原料溶液の溶媒は、特に限定されず、水等の無機溶媒であってもよいし、アルコール等の有機溶媒であってもよいし、無機溶媒と有機溶媒との混合溶媒であってもよい。本発明においては、前記溶媒が有機溶媒を含むのが好ましく、アルコールを含むのがより好ましく、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)を含むのが最も好まししい。
(基体)
前記基体は、熱可塑性樹脂からなるものであって、前記膜を支持できるものであれば特に限定されない。前記熱可塑性樹脂の種類も、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されない。前記熱可塑性樹脂としては、本発明においては、例えば、セルロースエステル、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、ポリメチルメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)またはその共重合体樹脂もしくは変性樹脂等のアクリル樹脂、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等が挙げられる。本発明においては、前記熱可塑性樹脂が、アクリル樹脂であるのが好ましく、ポリメチルメタクリル酸メチル樹脂であるのがより好ましい。前記基体の形状としては、どのような形状のものであってもよく、あらゆる形状に対して有効であり、例えば、平板や円板等の板状、繊維状、棒状、円柱状、角柱状、筒状、螺旋状、球状、リング状などが挙げられるが、本発明においては、光透過率がより優れたものになるので、基板が好ましい。基板の厚さは、本発明においては特に限定されない。
(搬送工程)
搬送工程では、キャリアガスでもって前記ミストまたは前記液滴を、例えば成膜室内に設置されている基体近傍まで搬送する。前記キャリアガスとしては、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、例えば、酸素、オゾン、窒素やアルゴン等の不活性ガス、または水素ガスやフォーミングガス等の還元ガスなどが好適な例として挙げられる。本発明においては、前記キャリアガスが不活性ガスであるのが好ましい。また、キャリアガスの種類は1種類であってよいが、2種類以上であってもよく、流量を下げた希釈ガス(例えば10倍希釈ガス等)などを、第2のキャリアガスとしてさらに用いてもよい。また、キャリアガスの供給箇所も1箇所だけでなく、2箇所以上あってもよい。キャリアガスの流量は、特に限定されないが、0.01〜20L/分であるのが好ましく、1〜10L/分であるのがより好ましい。希釈ガスの場合には、希釈ガスの流量が、0.001〜2L/分であるのが好ましく、0.1〜1L/分であるのがより好ましい。
(成膜工程)
成膜工程では、例えば成膜室内に設置されている基体近傍で前記ミストまたは液滴を熱反応させることによって、前記基体上に金属酸化膜を成膜する。熱反応は、熱でもって前記ミストまたは前記液滴が反応すればそれでよく、反応条件等も本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。熱反応を行う際の条件等については特に制限されず、通常、前記加熱は、高すぎない温度(例えば1000℃)以下で行うが、500℃以下がより好ましく、300℃以下が最も好ましい。また、熱反応は、本発明の目的を阻害しない限り、真空下、非酸素雰囲気下、還元ガス雰囲気下および酸素雰囲気下のいずれの雰囲気下で行われてもよく、また、大気圧下、加圧下および減圧下のいずれの条件下で行われてもよいが、本発明においては、大気圧下で行われるのが好ましい。なお、膜厚は、成膜時間を調整することにより、設定することができる。
本発明においては、前記成膜を、前記ミストまたは前記液滴を前記基体近傍まで搬送する前に、前記ミストまたは前記液滴を加熱し、ついで、加熱された前記ミストまたは前記液滴を前記基体近傍まで搬送して熱反応させることにより行うのが、耐熱性の低い熱可塑性樹脂からなる基板に対しても、良好に成膜を行うことができるため、好ましい。この場合、前記加熱は、通常、溶媒の蒸発温度以上の温度で行うが、高すぎない温度(例えば1000℃)以下が好ましく、650℃以下がより好ましく、400℃以下が最も好ましい。なお、下限は、特に限定されないが、通常、50℃以上であり、好ましくは、100℃以上であり、より好ましくは、250℃以上である。前記加熱は、通常、ヒータを用いるが、ヒータの種類等は、特に限定されず、前記ヒータとしては、例えば、ホットプレート、赤外線ヒータ等が挙げられる。本発明においては、前記ヒータとしてホットプレートを用いるのが好ましい。
また、本発明においては、前記ミストまたは前記液滴を加熱し、ついで、加熱された前記ミストまたは前記液滴の流れの進行方向を変え、進行方向が変わった前記ミストまたは前記液滴を熱反応させるのも、前記基板と前記金属酸化膜との密着性がより優れたものとなるため、好ましい。進行方向を変える手段としては、前記ヒータがホットプレートである場合、前記基体をホットプレート近傍に設置し、前記搬送工程によって搬送された前記ミストまたは前記液滴をホットプレートに搬送し、ついで、跳ね返りミストまたは液滴を前記基体上で熱反応させて成膜する手段等が挙げられる。なお、この場合、ホットプレートの温度は、基体よりも高温であってもよいし、ホットプレートの他に基体を加熱する第2の加熱手段を用いてもよい。第2の加熱手段8bを用いる場合には、図4に示す成膜装置1を好適に用いることができる。なお、図4に示す成膜装置1は、キャリアガスを供給するキャリアガス源2aと、キャリアガス源2aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁3aと、前駆体溶液4aが収容されるミスト発生源4と、水5aが入れられる容器5と、容器5の底面に取り付けられた超音波振動子6と、成膜室7と、ミスト発生源4から成膜室7までをつなぐ供給管9と、成膜室7内に設置された加熱手段8a、8bとを備えている。なお、成膜室7内のホットプレート(第1の加熱手段)8a表面から離れた位置に、基板ホルダー11によって、基板10が保持されており、基板10は、ホットプレート8b(第2の加熱手段)に連設されている。このような成膜装置1を用いることにより、より均質な膜を得ることができる。
図2は、前記ミストまたは前記液滴を加熱し、ついで、加熱された前記ミストまたは前記液滴の流れの進行方向を変え、進行方向が変わった前記ミストまたは前記液滴を熱反応させて成膜する場合の成膜工程の好ましい一態様を示している。図2に示す成膜工程では、ホットプレート8の近傍に、基板ホルダー11によって基板10が保持されている。また、霧化・液滴化部で発生したミスト4bをホットプレート8まで搬送するための供給管9を通じて、供給管9の先端部よりホットプレート8に対して前記ミストまたは前記液滴が搬送されるように構成されている。前記搬送工程によって搬送された前記ミスト4bは、供給管9を通してホットプレート8に衝突し、ついで、跳ね返りミスト4cが、図中の矢印で示されるように、進行方向を変えて、基板10近傍へ搬送される。跳ね返りミスト4cは、通常、消滅時間が長く、均一な粒径を有している。基板10近傍に搬送されたミスト4cは、基板10上で熱反応することにより、基板10上に成膜されるように構成されている。なお、基板ホルダー11には熱電対(図示せず)がマウントされており、基板温度が計測できるように構成されている。また、基板温度は、基板10とホットプレート8との距離を調整することにより、設定することができる。前記熱反応時の基体温度は、通常、熱可塑性樹脂からなる基体の耐熱温度以下の温度であるが、300℃以下であるのが好ましく、150℃以下であるのがより好ましく、70℃以下であるのが最も好ましい。
上記のようにして積層体を製造することで、熱可塑性樹脂からなる基体と、前記基体との密着性に優れた金属酸化膜とを備える積層体を、前記基体に悪影響を及ぼすことなく、工業的有利に、簡単且つ容易に製造することができる。また、上記のような好ましい製造方法によれば、前記熱可塑性樹脂からなる基体上に前記遷移金属を主成分として含む金属酸化膜が成膜されている積層体であって、波長350nmにおける光透過率が80%以上である積層体を得ることができる。なお、本発明においては、好ましくは、波長380nmにおける光透過率が80%以上、より好ましくは85%以上である。また、前記遷移金属として、周期律表第4族遷移金属を用いるのが好ましく、チタンを用いるのが、触媒活性等がさらに良好に付与されるので、より好ましい。ここで、「主成分」とは、例えば、前記の遷移金属がチタンである場合、膜中の金属元素中のチタンの原子比が0.5以上の割合でチタンが含まれていればそれでよい。本発明においては、前記膜中の金属元素中のチタンの原子比が0.7以上であることが好ましく、0.8以上であるのがより好ましい。
本発明の積層体は、熱可塑性樹脂基板と金属酸化膜とを備える積層体が用いられる、あらゆる分野において用いることができ、従来の前記積層体と同様にして、太陽電池、発光デバイス、タッチパネルおよびセンサなどの種々の用途に、好適に用いることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
1.成膜装置
図1を用いて、本実施例で用いたミストCVD装置1を説明する。ミストCVD装置1は、キャリアガスを供給するキャリアガス源2aと、キャリアガス源2aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁3aと、前駆体溶液4aが収容されるミスト発生源4と、水5aが入れられる容器5と、容器5の底面に取り付けられた超音波振動子6と、成膜室7と、ミスト発生源4から成膜室7までをつなぐ供給管9と、成膜室7内に設置されたホットプレート8とを備えている。なお、成膜室7内のホットプレート8表面から離れた位置に、基板ホルダー11によって、基板10が保持されており、基板10とホットプレート8との距離を、ホットプレートの温度が400℃の時に基板温度が70℃になるように、基板位置が設定されている。また、基板ホルダー11には、熱電対(図示せず)がマウントされており、基板温度が計測できるように構成されている。
2.原料溶液の作製
メタノール溶媒に、チタンアセチルアセトナートを0.05モル/Lの濃度となるように混合して原料溶液を調整した。
3.成膜準備
上記2.で得られた原料溶液4aをミスト発生源4内に収容した。次に、基板10として、アクリル樹脂基板を用いた。ホットプレート8を作動させてホットプレート8表面の温度を400℃にまで昇温させた。基板温度が70℃であることを確認し、次に、流量調節弁3aを開いて、キャリアガス源であるキャリアガス供給手段2aからキャリアガスを成膜室7内に供給し、成膜室7の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を3.0L/分に調節した。なお、キャリアガスとして窒素を用いた。
4.酸化チタン膜の形成
次に、超音波振動子6を2.4MHzで振動させ、その振動を、水5aを通じて原料溶液4aに伝播させることによって、原料溶液4aを霧化させてミスト4bを生成させた。このミスト4bが、キャリアガスによって、供給管9内を通って、成膜室7内に設置されたホットプレート8に向けて導入され、ついで、ホットプレート8表面でミスト4bが加熱されるとともに、流れの進行方向が変わった跳ね返りミスト4cが、基板10近傍に搬送され、大気圧下にて、熱反応することにより、基板10上に酸化チタン膜が形成された。なお、膜厚は30nmであり、成膜時間は30分間であった。
5.評価
上記4.にて得られた酸化チタン膜は、透明な膜であった。また、機械的に基板から剥離しようとしても全く剥離せず、良好な密着性を有していた。また、得られた酸化チタン膜の光透過率を測定したところ、図3の通り、波長350nm以上における光透過率が80%以上であり、380nm以上における光透過率が85%以上であった。
(実施例2)
成膜時間を300分としたこと以外は、実施例1と同様にして、透明な酸化チタン膜を得た。得られた酸化チタン膜の膜厚は、600nmであった。また、機械的に基板から剥離しようとしても全く剥離せず、良好な密着性を有していた。
本発明の積層体は、従来の熱可塑性樹脂基板と金属酸化膜とを備える積層体と同様、太陽電池、発光デバイス、タッチパネルおよびセンサなどに利用可能である。
1 ミストCVD装置
2a キャリアガス源
3a 流量調節弁
4 ミスト発生源
4a 原料溶液
4b ミスト
4c 跳ね返りミスト
5 容器
5a 水
6 超音波振動子
7 成膜室
8 ホットプレート
8a 第1の加熱手段
8b 第2の加熱手段
9 供給管
10 基板
11 基板ホルダー

Claims (5)

  1. 遷移金属を含む原料溶液を用いて熱可塑性樹脂からなる基体上に金属酸化膜を成膜する積層体の製造方法であって、前記遷移金属はチタンであり、前記原料溶液を霧化または液滴化してミストまたは液滴を浮遊させ、浮遊する前記ミストまたは液滴にキャリアガスを供給し、該キャリアガスを用いて前記ミストまたは液滴を前記基体近傍まで搬送し、ついで、前記ミストまたは前記液滴を熱反応させることにより、前記基体表面に前記金属酸化膜を形成することを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記原料溶液が、前記遷移金属のジケトン錯体を含む請求項1記載の製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、アクリル樹脂である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記キャリアガスとして、不活性ガスを用いる請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記熱反応を、大気圧下で行う請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
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