JP5055161B2 - 陸上輸送用冷凍装置 - Google Patents

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Description

本発明は、陸上輸送用冷凍装置に関し、特にコンプレッサに溜まった液冷媒を排出する液排出運転を行なう陸上輸送用冷凍装置に関するものである。
陸上輸送用冷凍装置(以下、単に冷凍装置ということがある)は、例えばトラック等からなる陸上輸送用車輌(以下、単に車輌ということがある)の荷台に積載されている保冷庫の内部を冷却し、内部に積み込んだ被冷却物を所望の低温に維持するものであり、コンプレッサ、コンデンサ、エバポレータ等の機器類を冷媒配管で接続した冷凍サイクルを構成する他、これら機器の運転を制御するコントローラ等を備えている。
この陸上輸送用冷凍装置の運転を長期間行なわないでいると、コンプレッサ内部に液冷媒が溜まることがある。特に、コンプレッサの温度が、外気の温度に比べて低くなると、コンプレッサへ液冷媒が溜まる現象が顕著となる。車輌走行用エンジンをコンプレッサの駆動源とする車輌の場合、コンプレッサ内部に液冷媒が溜まった状態で、冷凍装置を運転するために走行中にコンプレッサを駆動すると、コンプレッサが損傷するおそれがある。回転数の高い走行中のエンジンの動力が伝達されると、コンプレッサは回転角速度が高い状態で駆動され、溜まった液冷媒が急激に圧縮されるため、コンプレッサが損傷する。
この問題を解消するために、エンジンの始動時に、電磁クラッチを介してエンジンとコンプレッサとを接続し、所定の短時間だけコンプレッサを駆動させ、溜まった液冷媒をコンプレッサから排出させる液排出運転が行なわれている(例えば、特許文献1)。液排出運転は、回転数が低いエンジン始動時にコンプレッサを駆動させるので、急激な圧縮圧力が生ずることがない。
特開平5−45010号公報(図2)
液排出運転を行なうと、液冷媒とともに、コンプレッサから潤滑油が排出されてしまう。コンプレッサから排出される潤滑油は、コンプレッサを正規に運転すれば、系内を循環してコンプレッサに戻るが、液排出運転のための短時間の駆動では、潤滑油は排出されたままとなり、コンプレッサに戻らない。従来の冷凍装置では、エンジン始動の度に液排出運転が行なわれていた。このことは、コンプレッサに液冷媒が溜まっていないときでも、液排出運転が不必要に行なわれていたことを意味する。したがって、従来の冷凍装置は、コンプレッサから必要以上に潤滑油を排出させることになり、コンプレッサが潤滑油不足に陥りやすいという問題がある。また、従来の冷凍装置は、液排出運転の度に電磁クラッチが作動するため、電磁クラッチの寿命を縮めてしまうという問題も指摘されている。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、液排出運転を行なうことによってコンプレッサ内における急激な液冷媒の圧縮を回避しつつ、不必要な液排出運転を行なうことのない冷凍装置を提供することを目的とする。
走行用エンジンをコンプレッサの駆動源とする車輌は、エンジンルーム内にコンプレッサが配置される。エンジンルーム内は、車輌の周囲に比べて温度変化が小さい。したがって、車輌を昼夜にわたって駐車したままにしておくと、温度の上がりにくいエンジンルーム内に設置されたコンプレッサは、外気の温度に比べて温度の上昇が小さいため、コンプレッサはそれ以外の冷凍装置の系内に比べて温度が低くなる。冷凍サイクル中に存在する冷媒は、冷凍装置系内の相対的に温度の低いところに移動するので、エンジンを停止した状態が長く続くと、冷媒はコンプレッサに溜まる。逆に、冷凍サイクルを運転していなくても、走行用のエンジンが駆動されている最中、またはエンジンが停止してからそれ程時間が経過していなければ、エンジンルーム内にあるコンプレッサの温度がそれほど低くなることがない。そこで、本発明は、エンジンが停止してからの経過時間を、液排出運転を行なうか否かの判断要素とする、以下の冷凍装置を提案する。
すなわち本発明は、被冷却物を保冷する保冷庫を備えた陸上輸送用の車輌に搭載される冷凍装置であって、車輌の走行用エンジンにより駆動されるコンプレッサと、走行用エンジンの動力をコンプレッサに接又は断とするクラッチと、クラッチの動作を制御するコントローラと、を備え、コントローラは、走行用エンジンが停止されてから始動時までに所定時間T1が経過した場合に限り、クラッチを所定時間T2だけ接とすることにより、走行用エンジンの動力をコンプレッサに伝達して液排出運転を行うことを特徴とする。
本発明に係るコントローラは、液排出運転が所定回数Mだけ連続して行なわれた後は、走行用エンジンが停止されてから始動時までに時間T1が経過しても、クラッチを接としない。
液排出運転をあまり多く繰り返すと、コンプレッサ内の潤滑油が外部に排出される量が多くなる。そこで、液排出運転を繰り返す回数を制限することにより、コンプレッサ内の潤滑油不足を回避するのである。
本発明に係るコントローラは、外気温度とコンプレッサ又はその周囲の温度との温度差が所定値に達していない場合には、クラッチを接としない、つまり液排出運転を行わないことが好ましい。
冷媒がコンプレッサに溜まるのは、上述したように、コンプレッサの温度が相対的に低くなった場合である。そこで、コンプレッサの温度が相対的に低くない場合には、液排出運転を行なわないことにするのである。
本発明によれば、走行用エンジンが停止されてから始動時までに所定時間が経過した場合に限り、所定時間だけクラッチを接とするので、不必要な液排出運転を行なうことがない。このように液排出運転を行なう頻度を下げることにより、本発明は、従来の冷凍装置に比べて、コンプレッサから排出される潤滑油の量を低減できるとともに、電磁クラッチの寿命を延ばすことができる。
<第1実施形態>
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1、図2に示されるように、第1実施形態に係る冷凍装置(陸上輸送用冷凍装置)100は、保冷庫2を備えた陸上輸送用の車輌1に搭載されており、車輌1の運転室上に設置されたエバポレータ・コンデンサ一体ユニット20と、車輌1のエンジンルーム内に設置されたコンプレッサ50と、運転室内に設置されたキャビンコントローラ61と保冷庫2の外側下部に設置されたメインコントローラ62とからなるコントローラ60とを主たる構成要素としている。
冷凍装置100は、車輌の走行用エンジン3からコンプレッサ50の駆動力を得る直結方式である。
冷凍装置100は、車輌1のエンジンルーム内に設置されるコンプレッサ50がガス冷媒を圧縮してコンデンシング部40へ供給する。コンプレッサ50とコンデンシング部40との間は、高圧冷媒配管71によって連結されている。コンプレッサ50は、走行用エンジン3からの動力を、電磁クラッチ51を介して伝達される。電磁クラッチ51は、コントローラ60の指令に基づいて、ON(接)又はOFF(断)の制御がなされる。
コンデンシング部40には、高圧のガス冷媒と外気とを熱交換させるコンデンサ41が設置されている。コンデンサ41を通過する外気は、ファンモータ43で駆動されるコンデンサファン42の作動によってコンデンシング部40内に導入される。コンデンサ41で凝縮して液化された冷媒(液冷媒)はレシーバ44を通過して気液の分離がなされた後、ドライヤ45を経て冷媒配管で連結されたエバポレータ部30へ供給される。
エバポレータ部30は、エバポレータ31と、エバポレータファン32と、気液熱交換器34と、膨張弁35とを備えている。エバポレータ部30に導入された液冷媒は、気液熱交換器34を通過して冷却された後、絞り機構である膨張弁35へ導かれる。膨張弁35を通過する液冷媒は、減圧されてエバポレータ31へ供給される。エバポレータ31は、液冷媒と冷凍庫2内を循環する空気(以下、循環空気)とを熱交換させる機能を有している。この循環空気は、ファンモータ33を駆動源とするエバポレータファン32の作動によって、保冷庫2内の空気がエバポレータ31を通過するよう吸引されて循環される。エバポレータ31で循環空気と熱交換された液冷媒は蒸発してガス冷媒となり、一方、循環空気は気化熱が奪われて冷却される。
こうして冷却された循環空気が保冷庫2の内部を循環することで、保冷庫2の内部は所望の温度に冷却される。また、エバポレータ31で蒸発したガス冷媒は、気液熱交換器34を通過して液冷媒を冷却した後、低圧冷媒配管72を通ってアキュムレータ70へ導かれる。このアキュムレータ70では気液分離がなされ、ガス冷媒のみがコンプレッサ50へ吸引されて再度圧縮される。以下、このような状態変化を繰り返す冷媒が冷媒配管を循環することで、冷凍装置100の冷凍サイクルが形成される。
冷凍装置100は、上述した冷凍サイクルの動作を司るコントローラ60を備えている。コントローラは、各種の運転操作を行うキャビンコントローラ61と、キャビンコントローラ61に対する運転操作に基づいて冷凍サイクルを制御するメインコントローラ62とから構成される。
キャビンコントローラ61は、一般に、液晶表示装置などからなる表示部と、音声を出力する音声出力部を備えている。
メインコントローラ62は、液排出運転を実行させる液排出運転制御部62aと、タイマ62bと、回数カウンタ62cとを備えている。
液排出運転制御部62aは、所定時間を超えて車輌1が運転されなかった場合(つまり、走行用エンジンが駆動されなかった場合)に、コンプレッサ50に液冷媒が溜まったものとみなし、走行用エンジン3の始動時に、コンプレッサ50を駆動させて液排出運転を行わせる。また、タイマ62bは、走行用エンジン3が駆動された時刻、停止された時刻を検知し、走行用エンジン3が停止してからの経過時間TRを計測する。さらに、回数カウンタ62cは、液排出運転を実行した回数を記録する。
冷凍装置100は、走行用エンジン3が停止してから時間T1(以下、単にT1)以上が経過したとすると、コンプレッサ50に液冷媒が溜まっているものとみなす。そこで冷凍装置100は、走行用エンジン3が始動されると、図3に示されるように、電磁クラッチ51をON(接)にする。そうすると、コンプレッサ50には走行用エンジン3の動力が伝達され、コンプレッサ50が駆動される。これにより、コンプレッサ50に溜まっていた液冷媒は、高圧冷媒配管71に排出される。
電磁クラッチ51のONは、時間T2(以下、単にT2)の間だけ行い、電磁クラッチ51をONにしてからT2が経過すると、電磁クラッチ51をOFF(断)にしてコンプレッサ50の駆動を停止する。あまり長時間にわたってコンプレッサ50を駆動すると、コンプレッサ50からの潤滑油の排出量が多くなるからである。
T1、T2は、冷凍装置100、特にコンプレッサ50の仕様によって適宜定めるべきであるが、T1は20〜30時間の範囲から選択し、T2は1〜10秒の範囲から選択すればよい。
T2の間にコンプレッサ50を駆動する液排出運転を実行した後に、さらにT1以上走行用エンジン3が停止されていた場合には、次に走行用エンジン3が始動されると、図3に示されるように、電磁クラッチ51をONにして液排出運転を行う。以後も同様にして、T1以上の間にわたって走行用エンジン3が停止されていた場合には、次に走行用エンジン3が始動されると、電磁クラッチ51をONにして液排出運転を行う。ただし、冷凍装置100を運転することなく、液排出運転のみを繰り返すと、コンプレッサ50からの潤滑油の排出量が多くなり、コンプレッサ50の以後の運転に支障をきたす。したがって、液排出運転は、連続した回数Mを制限することが好ましい。液排出運転が、連続した回数Mに達したならば、以後は液排出運転の機能を無効にして、液排出運転を行わないのである。この回数Mは、液排出運転の条件に応じて設定されるが、2〜10回の範囲から選択されることが好ましい。
以上、本実施の形態による液排出運転の要旨を説明したが、次に、液排出運転制御部62aによる液排出運転の制御手順を、図4を参照しつつ説明する。
液排出運転制御部62aは、走行用エンジン3の始動のために車輌1のイグニッションキーが回されると(図4 S101(車輌IG−ON))、それを検知する。
液排出運転制御部62aは、車輌IG−ONを検知すると、液排出運転機能が「有効」又は「無効」の判断を行う(図4 S103)。前述したように、液排出運転をM回連続して実行した場合には、液排出運転機能が無効とされるので、ステップS103において、液排出運転機能が無効の場合には、液排出運転制御部62aは、その後の手順を実行することなく、処理を終了する。
液排出運転機能が有効な場合には、液排出運転制御部62aは、車輌1(車輌)の走行用エンジン3が停止してからT1以上経過した否かを判断する(図4 S105)。この判断のために、液排出運転制御部62aは、タイマ62bに記憶されている走行用エンジン3が停止してからの経過時間TRを取得する。そして、このステップS105において、TR≧T1の場合には次のステップS107に進み、液排出運転を実行する。一方、TR<T1の場合には、液排出運転機能は有効のまま継続するが(図4 S119)、液排出運転を実行することなく処理を終了する。
液排出運転制御部62aは、走行用エンジン3が停止してからT1以上経過したものと判断すると、電磁クラッチ51をONにする(図4 S107)。そうすると、液冷媒が溜まっていたとしても、コンプレッサ50が駆動されることにより、その液冷媒は高圧冷媒配管71に排出される。このとき、走行用エンジン3は始動直後なので、コンプレッサ50内で液冷媒が急激に圧縮されることはない。また、冷凍装置100は、走行用エンジン3が停止してからT1以上経過した場合に限り液排出運転を行うので、コンプレッサ50から排出される潤滑油の量を低減でき、また、電磁クラッチ51の動作回数を抑えることにより、電磁クラッチ51の寿命を延ばすことができる。なお、液排出運転制御部62aは、電磁クラッチ51をONにすると同時に、そのことをタイマ62bに対して通知する。タイマ62bは、電磁クラッチ51がONにされたことの通知を受けると、電磁クラッチ51がONにされてからの時間を計る。
液排出運転制御部62aは、電磁クラッチ51がONにされてからの時間Trを、タイマ62bから取得し、電磁クラッチ51をONしてからT2に達したか否かを判断する(図4 S109)。時間TrがT2に達していなければ、液排出運転制御部62aは電磁クラッチ51をONさせたままにして、液排出運転を継続する。一方、時間TrがT2に達した、つまりTr=T2になると、液排出運転制御部62aは、電磁クラッチ51をOFFにして(図4 S111)、走行用エンジン3の動力を、コンプレッサ50から切り離して液排出運転を終了させる。
次に、液排出運転制御部62aは、液排出運転を実行したことのカウントを、回数カウンタ62cに加算させる(図4 S113)。回数カウンタ62cは、過去に実行された液排出運転の回数(n)を蓄積しており、当該加算により、液排出運転の回数はn+1となる。
なお、冷凍装置100を一定時間運転すると、コンプレッサ50から排出された潤滑油は、冷媒回路を一巡してコンプレッサ50に戻ることが想定される。したがって、冷凍装置100が一定時間以上運転された場合には、回数カウンタ62cに記憶されている回数(n)をクリアすることができる。
前述したように、冷凍装置100は、液排出運転を連続して行う回数を制限する。そこで、液排出運転制御部62aは、回数カウンタ62cに記録された、液排出運転が連続して行われた回数(n+1)が、制限回数であるMに達したか否かを判断する(図4 S115)。つまり、ステップS115において、(n+1)<Mであれば、液排出運転機能を有効のまま継続させる(図4 S119)。したがって、以後に、車輌1の走行用エンジン3が停止してからT1以上経過した場合には、上述した液排出運転が図4に示される手順で実行される。
一方、回数(n+1)が、制限回数であるMに達した、つまり(n+1)=Mであれば、液排出運転制御部62aは、液排出運転機能を無効にする(図4 S117)。したがって、以後に、車輌1(車輌)の走行用エンジン3が停止してからT1以上経過したとしても、図4に示される手順に従った液排出運転が実行されることはない。また、液排出運転制御部62aは、液排出運転機能を無効にしたときには、キャビンコントローラ61に、その旨を表示させる、あるいはその旨の音声を出力させて、運転手に注意を喚起することが好ましい。運転手は、この注意喚起がなされた場合には、冷凍装置100を所定時間だけ運転すればよい。
以上説明したように、冷凍装置100は、車輌1(車輌)の走行用エンジン3が停止してからT1以上経過した場合に限って、液排出運転を行うことにした。したがって、走行用エンジン3の始動の度に液排出運転を行っていた従来の冷凍装置に比べて、潤滑油の排出量を低減できる。また、冷凍装置100は、液排出運転を行う頻度が従来の冷凍装置に比べて少なくなったのに伴い、電磁クラッチ51の作動回数が少なくなるので、電磁クラッチ51の寿命が従来の冷凍装置に比べて延びる。また、冷凍装置100は、連続して液排出運転を行う回数を制限したので、コンプレッサ50内に貯留される潤滑油の量を確保することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る冷凍装置(陸上輸送用冷凍装置)200は、第1実施形態に係る冷凍装置100よりも、さらに液排出運転の頻度を下げることができる。
冷凍装置200の構成を図5に示すが、外気温度計73とコンプレッサ温度計74を設けた以外は、冷凍装置100と構成が一致している。したがって、冷凍装置100と一致している構成については、冷凍装置100と同一の符号を図5に付して、その説明を省略する。
冷凍装置200において、外気温度計73とコンプレッサ温度計74とが、それぞれ、メインコントローラ62に接続されている。メインコントローラ62は、外気温度計73で測定された外気の温度データt(out)を取得する。また、メインコントローラ62は、コンプレッサ温度計74で測定されたコンプレッサ50の近傍の温度データt(comp)を取得する。メインコントローラ62の液排出運転制御部62aは、取得した温度データt(out)と温度データt(comp)とを演算することにより、外気温度とコンプレッサ50の近傍の温度との差Δtを求める。
冷凍装置200による液排出運転の制御手順は、図6に示されるように、ステップS104が追加されたことを除き、第1実施形態の制御手順と同じである。そこで、ここでは、ステップS104に関して説明する。
ステップS103で液排出運転機能が有効と判断された場合には、液排出運転制御部62aは、取得した温度データt(out)と温度データt(comp)とを演算することにより、外気温度とコンプレッサ50の近傍の温度との差Δtを求める。具体的には、Δt=t(out)−t(comp)の演算が行われる。
液排出運転制御部62aは、Δtが基準温度差t(st)を超えているか否か判断する(図6 S104)。
Δtが基準温度差t(st)を超えていなければ、コンプレッサ50に液冷媒が溜まっていないものとみなして、液排出運転制御部62aは、その後の手順を実行することなく、処理を終了する。つまり、液排出運転は行われない。
Δtが基準温度差t(st)を超えていれば、液排出運転制御部62aは、次のステップS105において、走行用エンジン3が停止してからT1以上経過した否かを判断する。以後も、第1実施形態で説明したとおりに、手順が進められる。
前述したように、冷凍装置200の系内においてコンプレッサ50の温度が相対的に低い場合に、液冷媒がコンプレッサ50に溜まりやすい。逆に、冷凍装置200の系内の他の部分とコンプレッサ50との温度差が小さければ、コンプレッサ50に液冷媒が溜まることがないので、液排出運転を行う必要がない。そこで、第2実施形態の冷凍装置200は、冷凍装置200の系内の他の部分とコンプレッサ50との温度差Δtを求め、Δtが基準温度差t(st)を超えている場合に限り、液排出運転を行う制御手順を進めることにした。したがって、第2実施形態は、第1実施形態に比べて、液排出運転を行う頻度をさらに低くすることができる。これにより、第2実施形態の冷凍装置200は、コンプレッサ50からの潤滑油の排出量をさらに低減しつつ、電磁クラッチ51の寿命をより延ばすことができる。
冷凍装置200は、Δtを求めるのに外気温度計73で測定された外気の温度データt(out)を用いたが、本発明はこれに限るものでないことはいうまでもない。冷凍装置200の系内におけるコンプレッサ50の相対的な温度を知ることができるのであれば、エバポレータ31近傍の温度、コンデンサ41近傍の温度等を外気温度と代替してΔtを求めることもできる。
以上、本発明に係る第1実施形態、第2実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものでなく、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択し、他の構成に適宜変更することが可能である。例えば、第1実施形態、第2実施形態は、エバポレータとコンデンサとが一体となったユニット(エバポレータ・コンデンサ一体ユニット20)を用いた冷凍装置を示したが、エバポレータユニットとコンデンシングユニットとが独立して配置された冷凍装置に本発明を適用できる。
第1実施形態に係る冷凍装置を搭載した車輌を示す斜視図である。 第1実施形態に係る冷凍装置の構成を示す図である。 第1実施形態に係る冷凍装置における液排出運転の要旨を示す図である。 第1実施形態に係る冷凍装置における液排出運転の制御手順を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る冷凍装置の構成を示す図である。 第2実施形態に係る冷凍装置における液排出運転の他の制御手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1…車輌、2…保冷庫、3…走行用エンジン、100,200…冷凍装置(陸上輸送用冷凍装置)、20…エバポレータ・コンデンサ一体ユニット、30…エバポレータ部、31…エバポレータ、34…気液熱交換器、35…膨張弁、40…コンデンシング部、41…コンデンサ、44…レシーバ、45…ドライヤ、50…コンプレッサ、51…電磁クラッチ、60…コントローラ、61…キャビンコントローラ、62…メインコントローラ、62a…液排出運転制御部、62b…タイマ、62c…回数カウンタ、73…外気温度計、74…コンプレッサ温度計

Claims (2)

  1. 被冷却物を保冷する保冷庫を備えた陸上輸送用の車輌に搭載される陸上輸送用冷凍装置であって、
    前記車輌の走行用エンジンにより駆動されるコンプレッサと、
    前記走行用エンジンの動力を前記コンプレッサに接又は断とするクラッチと、
    前記クラッチの動作を制御するコントローラと、を備え、
    前記コントローラは、
    前記走行用エンジンが停止されてから始動時までに所定時間T1が経過した場合に限り、前記クラッチを所定時間T2だけ接とすることにより、前記走行用エンジンの動力を前記コンプレッサに伝達して液排出運転を行い、
    前記液排出運転が所定回数Mだけ連続して行なわれた後は、前記走行用エンジンが停止されてから前記時間T1が経過しても、前記クラッチを接としないことを特徴とする陸上輸送用冷凍装置。
  2. 前記コントローラは、
    外気温度と前記コンプレッサ又はその周囲の温度との温度差が所定値に達していない場合には、前記クラッチを接としないことを特徴とする請求項1に記載の陸上輸送用冷凍装置。
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