JP5053391B2 - 真空吸着ノズル - Google Patents

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Description

本発明は、チップコンデンサやチップ抵抗器などのチップ状の電子部品を回路基板に実装するための電子部品装着機に好適に用いられる真空吸着ノズルに関するものである。
従来より、チップコンデンサやチップ抵抗器などのチップ状の電子部品は、電子部品装着機に具備された真空吸着ノズルの先端の吸着面に真空吸引によって吸着された後、そのまま搬送されて回路基板の所定の位置へ実装される。このとき、このチップ状の電子部品の位置の測定は、光を照射して、このチップ状の電子部品によって反射された反射光をCCDカメラで受光し、画像解析装置でそのチップ状の電子部品の形状や電極の位置を解析することによって行なわれている。
図10は、真空吸着ノズルを具備した電子部品装着機を用いた、チップ状の電子部品を回路基板に実装する電子部品装着装置の構成を示す概略図である。
図10に示す電子部品装着装置50は、電子部品装着機44に具備された真空吸着ノズル31と、電子部品45を並べたトレイ46と、真空吸着ノズル31に吸着された電子部品45に向けて光を照射するライト47と、電子部品45からの反射光を受光するためのCCDカメラ48と、CCDカメラ48で受光した反射光を画像処理するための画像解析装置49と、で構成されている。
そして、この電子部品装着装置50において、真空吸着ノズル31がトレイ46まで移動し、トレイ46上に並べられた電子部品45を吸着すると、ライト47が真空吸着ノズル31に吸着された電子部品45へ向けて光を照射し、この光が電子部品45の本体や電極に当たって反射する反射光をCCDカメラ48で受光する。CCDカメラ48で受光された画像を基に画像解析装置49によって電子部品45の位置を測定して、そのデータを基に、電子部品45を吸着した真空吸着ノズル31を回路基板(図示せず)の所定の位置に移動させて、回路基板上に電子部品45を実装している。
図9は、電子部品装着機の保持部材に組み付けられた状態の真空吸着ノズルの構成の一例を示したものであり、(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。
この真空吸着ノズル31は、真空吸引することによって電子部品を吸着して保持するための吸着面32を先端の端面側に有する円筒部35と、円筒部35の吸着面32と相対する側に円筒部35に向かって先細りの形状で設けられた円錐部34と、円錐部34が吸着面32と相対する根元の端面側に設けた頭部36と、を有する。そして円筒部35の中心部を貫く内孔は、円錐部34と頭部36とに延設されて吸引孔33とされている。
また、保持部材40は真空吸着ノズル31の頭部36と嵌合する受け部41を中央に有し、その中心部に吸引孔33と連通するように吸引孔42を有しており、受け部41に真空吸着ノズル31の頭部36を嵌合して電子部品装着機に取り付けられるようにしてある。
そして、真空吸着ノズル31の材質としては、耐摩耗性に優れるセラミックスや超硬合金などが用いられている。
例えば、特許文献1には、チップ部品を吸着する吸着ノズルの先端部に耐摩耗性の優れたセラミックスを用いることや、このような吸着ノズルの先端部がカメラで撮影したときにチップ部品よりも画像入力レベルの低い色で構成されることによって、チップ部品の位置検出が行なえることが開示されている。そして、この吸着ノズルは耐摩耗性に優れ、チップ部品をノズルでピックアップした際の画像処理を確実に行なえることが開示されている。
しかしながら、セラミックス等の耐摩耗性に優れた材料を用いると、このような材料は摩擦係数が小さいために、実装機の高速化を図るとチップ部品と吸着ノズルとの接触面で滑りが起こり、プリント基板に装着する電子部品の安定した装着精度が得られない。このため、例えば特許文献2には、ノズル本体を耐摩耗性・耐衝撃性に優れた母材にて構成して耐久性を確保し、吸着ノズルの部品吸着面に母材より摩擦係数が大きい材料の接触材を設けることにより、電子部品の滑りを抑え、耐久性と安定した装着精度とを両立できるようにした吸着ノズルが開示されている。
また、通常、吸着ノズルの吸着面はノズルの先端面に固定砥粒でもって研磨することにより平坦化されているのであるが、固定砥粒を用いて研磨すると、吸着面に一方向に延びる直線状の加工痕が多数形成されるため、電子部品を吸着保持しても加工痕から空気の漏れが発生し、吸着力をさらに低下させる。そのため、特許文献3には、吸着面にショットブラスト加工を施して吸着面を形成するか、あるいは少なくとも先端面に粒径が0.5〜2μmの硬質粒子を固着して吸着面を形成するなどして、その表面粗さを最大粗さ(Ry)で0.5〜5μmとした吸着ノズルが開示されている。これによれば、この吸着ノズルは高速移動時に電子部品のずれを生じたり電子部品を落下させたりすること無く確実に保持することができる。
また、特許文献4には、吸着ノズルの吸着面に吸引孔から吸着面の外周面に貫通する流通路を設けて流通路内に気体を高速で流すことで、流通路内にベルヌーイの効果で負圧を生じさせ、この負圧により同じ径の吸着ノズルに比べて吸着力を増加させてワークを保持する吸着ノズルが開示されている。当該吸着ノズルによれば、電子部品の小型化に伴い真空吸着ノズルの吸着面の径が小さくなっても吸着力が低下しない。
特開平2−90700号公報 特開平11−26933号公報 特開平11−99426号公報 特開平4−365579号公報
しかしながら、特許文献1に記載のチップ部品マウント装置に具備された吸着ノズルは、吸着ノズルのチップ部品を吸着する部分に耐磨耗性に優れたセラミック等の材料を用いる。このことにより、吸着ノズルの先端の磨耗を少なくし、メンテナンス性の向上を図ることができる。しかしながら、吸着ノズルの先端を単に耐磨耗性に優れたセラミック等の材料を用いただけでは、チップ部品の実装の高速化を図るとチップ部品と吸着ノズルとの接触面において、滑って吸着位置がずれてチップ部品の装着精度が安定して得られないという問題があった。
また、特許文献3に記載の吸着用ノズルでは、電子部品と吸着面との微小隙間から空気の漏れを最小限に留めることができるとともに、電子部品との摩擦抵抗を適度に持たせてある。このことから、吸着力を向上させることができ、吸着用ノズルを高速移動時に電子部品がずれたり、落下したりすることがない。しかしながら、ショットブラスト加工が施された吸着面の表面は、粒子が鋭利な状態となっており、吸着時の衝撃荷重によって脱粒したり、端面が欠けたりしやすいという問題があった。
さらに、特許文献4に記載の吸着ノズルは、ノズル本体の先端面に、吸引孔からノズル本体の外周面に貫通する流通路を設けることにより、気体が流通路を高速で流れることで、この流通路内にベルヌーイの効果により負圧が生じる。この負圧によって同じ径の吸着ノズルに比べ吸着力が向上し、ワークを保持することができる。しかしながら、高速で流れる気体によって吸着時に電子部品が振動し滑って吸着ずれを生じやすく、実装の高速化に応えられないという問題があった。
本発明は、上記課題を解決すべく案出されたものであり、磨耗が少なく吸着時の衝撃荷重に耐えるとともに、滑り等による吸着物の吸着ずれや落下がなく確実に吸着物を吸着し、この吸着した吸着物を素早く回路基板に装着して吸着物を離すという実装の高速化および高密度化に対応可能な真空吸着ノズルを提供することを目的とする。
また、近年、真空吸着ノズルを高速で移動させてトレイ上の電子部品を吸着し、そのまま電子部品を回路基板まで移動して実装する工程等において、回路基板およびこれに実装する電子部品がますます小型化されて、実装する電子部品の数が増加する傾向にある。このため、真空吸着ノズルが電子部品を吸着して回路基板の実装位置に載置するための時間を短縮することが課題となっている。また、実装する電子部品が小型化して軽量化するとともに真空吸着ノズルもさらに小型化していることから、電子部品の位置ずれや滑りまたは落下がなく確実に電子部品を吸着し、この吸着した電子部品をいかにすばやく吸着面から離脱して実装を高速化するかが課題となっていた。
とくに、特許文献1に開示されたチップ部品を吸着する吸着ノズルの先端部に耐摩耗性の優れたセラミックスを単に用いた場合には、実装機の高速化を図るとチップ部品と吸着ノズルとの接触面で滑りが起こり、プリント基板に装着する電子部品の安定した装着精度が得られないという問題があった。
この問題を解決するため、特許文献2に開示されているように、ノズル本体を耐摩耗性・耐衝撃性に優れた母材にて構成して耐久性を確保し、吸着ノズルの部品吸着面に、母材より摩擦係数が大きい材料からなる接触材を設けることにより、電子部品の滑りを抑えることはできる。しかしながら、この電子部品の滑りを抑えたことによって、電子部品を回路基板の実装位置に載置した後に吸着面から電子部品が離脱するのに時間を要することとなってしまうという問題があった。
さらに、特許文献3に開示されたものは、吸着ノズルの吸着面にショットブラスト加工を施して吸着面を形成するか、あるいは少なくとも先端面に粒径が0.5〜2μmの硬質粒子を固着して吸着面を形成し、吸着面の最大粗さ(Ry)を0.5〜5μmとすることにより吸着ノズルの高速移動時に電子部品のずれや落下がなく確実に保持できるものである。しかしながら、吸着面を点状の加工痕が多数存在した凹凸面とし、一方向に延びる直線状の加工痕のない面としてあるので、吸着面と吸着物との隙間が狭くなると空気が流れにくくなって隙間の空気の圧力が急上昇してしまう。これにより、電子部品を吸着すると位置がずれたり、回路基板の実装位置に載置した後に吸着面から電子部品が離脱するのに時間を要したりするという問題が残っていた。
また、特許文献4に開示されたものでは、吸着ノズルの吸着面に形成した流通路内に気体を高速で流した状態で電子部品を保持するため、その気流で電子部品が振動して吸着面上でずれてしまうという問題があった。
したがって、本発明は、先端に吸着物を真空吸着して移送する際に吸着物を位置ずれなく吸着することができ、電子部品の滑りや落下がなく、その移送先で吸着面から吸着物を離脱する時間を短縮することができる、移送効率のよい真空吸着ノズルを提供することを目的とする。
本発明の第1の真空吸着ノズルは、吸着物を真空吸着する吸着面と、前記吸着面に連通する吸引孔とを備える真空吸着ノズルにおいて、前記吸着面を含む先端部がセラミックスからなり、前記セラミックスが、該セラミックスを構成する主成分と、該主成分の平均結晶粒径よりも大きい平均結晶粒径を有する第2成分とを含み、前記吸着面において、前記第2成分の結晶粒子が前記主成分の結晶粒子よりも突出しているとともに、前記主成分の平均結晶粒径が0.2μm以上1.0μm以下の範囲にあり、前記第2成分の平均結晶粒径が1.0μm以上22.0μm以下の範囲にあることを特徴とするものである。
また、本発明の第2の真空吸着ノズルは、前記吸着面の吸引孔付近が突出し、前記吸着面が外周に向かって湾曲していることを特徴とするものである。
本発明の第1の真空吸着ノズルによれば、吸着面のセラミックスが、このセラミックスを構成する主成分と、この主成分の平均結晶粒径よりも大きい平均結晶粒径を有する第2成分とを含み、吸着面において、第2成分の結晶粒子が主成分の結晶粒子よりも突出しているとともに、主成分の平均結晶粒径が0.2μm以上1.0μm以下の範囲にあり、第2成分の平均結晶粒径が1.0μm以上22.0μm以下の範囲にある。これにより、吸着物を真空吸着するときに、吸着面において突出している第2成分の結晶粒子が吸着物の表面に存在する微小な凹部に引っ掛かる程度に緩やかに嵌め合わされた状態となる。したがって、滑り等によって吸着位置がずれることがなく確実に吸着物を保持することができるので、吸着物を落下させることなく搬送して装着することができる。また、吸着面には第2成分の結晶粒子と凹部との間に空気の流通路が存在しているので、吸着面が吸着物に貼り付くこともなく、装着後に吸着物を離すために吸引孔から空気を吸引するのを止めたときに時間を要することなく吸着物を離すことができる。
したがって、本発明の第1の真空吸着ノズルによれば、磨耗が少なく吸着時の衝撃荷重に耐えるとともに、滑り等による吸着物の吸着ずれや落下がなく確実に吸着物を吸着し、この吸着した吸着物を素早く回路基板に装着して吸着物を離すという実装の高速化および高密度化に対応可能な真空吸着ノズルを提供することができる。
また、本発明の第2の真空吸着ノズルによれば、吸着物を真空吸着する吸着面がセラミックスからなり、前記吸着面の吸引孔付近が突出し、前記吸着面が外周に向かって湾曲している。これにより、吸着物を吸着面に吸着するときに、真空吸着ノズルの側面から吸引孔に向けて流れる空気の流れが乱れることがないので、吸着面の所定の位置に正確に吸着物を吸着することができる。さらに、その移送先で吸着面から吸着物を離脱するときには、真空吸着ノズルの側面から吸着面に向かって滑らかに変化する連続面を有するので、吸着物が吸着面に貼り付くこともない。また、吸着物を離脱するために吸引孔から空気を吸引するのを止めた際に、時間を要することもなく短時間で吸着物の離脱を行なうことができる。
したがって、本発明の第2の真空吸着ノズルによれば、先端に吸着物を真空吸着して移送する際に吸着物を位置ずれなく吸着することができ、電子部品の滑りや落下がなく、その移送先で吸着面から吸着物を離脱する時間を短縮することができる、移送効率のよい真空吸着ノズルを提供することができる。
本発明の真空吸着ノズルを電子部品装着機の保持部材に組み付けたときの構成の一例を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)の縦断面図である。 本発明の真空吸着ノズルを具備した電子部品装着機を用いて、チップ状の電子部品を回路基板に実装する電子部品装着装置の構成を示す概略図である。 本発明の真空吸着ノズルの吸着面および吸着物である電子部品の表面の一部を拡大した概略図である。 本発明の真空吸着ノズルの吸着面に向かって滑らかに変化する連続面の構成の一例を示す斜視図である。 本発明の真空吸着ノズルの図4におけるA−A’線での断面図である。 本発明の真空吸着ノズルの側面から吸着面に向かう複数の溝を有する真空吸着ノズルの一例を示す斜視図である。 本発明の真空吸着ノズルの図6におけるA−A’線での断面図である。 本発明の真空吸着ノズルの先端と後端との間の抵抗値を測定する方法を示す正面図である。 従来の電子部品装着機の保持部材に組み付けられた状態の真空吸着ノズルの構成の一例を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。 従来の真空吸着ノズルを具備した電子部品装着機を用いた、チップ状の電子部品を回路基板に実装する電子部品装着装置の構成を示す概略図である。 実施例4の真空吸着ノズルの吸着面の平面図である。
符号の説明
1 真空吸着ノズル
2 吸着面
3 吸引孔
4 円錐部
5 円筒部
6 頭部
7 連続面
8 溝
10 保持部材
11 受け部
12 吸引孔
14 電子部品装着機
15 電子部品
15a 凹部
16 トレイ
17 ライト
18 CCDカメラ
19 画像解析装置
22 第2成分の結晶粒子
23 主成分の結晶粒子
[第1の実施の形態]
以下、本発明の真空吸着ノズルの第1の実施の形態の例について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る真空吸着ノズルを電子部品装着機の保持部材に組み付けたときの構成の一例を示すものであり、(a)は斜視図であり、(b)は(a)の縦断面図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る真空吸着ノズル1は、真空吸引することによって電子部品を吸着して保持するための吸着面2を先端の端面側に有した円筒部5と、円筒部5の吸着面2と相対する側に円筒部5に向かって先細りの形状で設けられた円錐部4と、円錐部4が吸着面2と相対する根元の端面側に設けた頭部6と、を有する。そして、円筒部5を貫通して吸着面2に開口した内孔は、円錐部4と頭部6とに延設して頭部6の表面に開口させて、吸引孔3としてある。
なお、吸着面2の形状は、吸着物の形状に合わせて楕円,矩形,多角形など任意の形状を選択することができる。しかしながら、吸着時の衝撃荷重に耐える機械的強度を有すること、吸着物との接触によるキズ等の発生を抑制すること等を考慮すれば、円筒部5の肉厚を等しくし、外形に角部の無い円形であることが好ましい。
また、真空吸着ノズル1を組み付ける保持部材10は、真空吸着ノズル1の頭部6と嵌合する受け部11を有し、吸引孔3と連通するように吸引孔12を有している。そして、保持部材10の受け部11に真空吸着ノズル1の頭部6を嵌合させることにより、真空吸着ノズル1が電子部品装着機に取り付けられる。
次に、図2に、本発明の真空吸着ノズル1を具備した電子部品装着機を用いて、チップ状の電子部品を回路基板に実装する電子部品装着装置の構成を概略図で示す。
第1の実施の形態に係る図2に示す電子部品装着装置20は、電子部品15を吸着した状態の真空吸着ノズル1を具備した電子部品装着機14と、実装前の電子部品15を並べたトレイ16と、真空吸着ノズル1に吸着された電子部品15に向けて光を照射するライト17と、この光が照射された電子部品15を撮影するためのCCDカメラ18と、CCDカメラ18で撮影した画像を処理するための画像解析装置19と、で構成されている。
そして、この電子部品装着装置20は、真空吸着ノズル1を具備した電子部品装着機14がトレイ16まで移動し、トレイ16上に並べられた電子部品15を吸着する。次に、図示しない回路基板までの移動の際に、真空吸着ノズル1に吸着された電子部品15にライト17により光が照射され、この光が照射された電子部品15をCCDカメラ18で撮影する。CCDカメラ18で撮影された画像を基に画像解析装置19によって電子部品15の位置や角度を認識し電子部品装着機44の位置を補正して、電子部品15を吸着した真空吸着ノズル1を回路基板の所定の位置に移動させて、回路基板上に電子部品15を装着する。
そして、本発明の真空吸着ノズル1は、吸着物である電子部品15を真空吸着する吸着面2がセラミックスからなり、吸着面2に吸引孔3を備えた真空吸着ノズル1であって、吸着面2のセラミックスが、このセラミックスを構成する主成分と、この主成分の平均結晶粒径よりも大きい平均結晶粒径を有する第2成分とを含み、吸着面2において、第2成分の結晶粒子が主成分の結晶粒子よりも突出していることが重要である。
また、ここでいう主成分とは、セラミックスを構成する全成分100質量%のうち、50質量%以上を占める成分であり、真空吸着ノズル1に求められる耐磨耗性や機械的強度等に優れたセラミックスを主成分として用いることが好適である。
また、第2成分とは、主成分の平均結晶粒径よりも大きい平均結晶粒径を有し、吸着面2において、主成分の結晶粒子よりも突出している結晶粒子のことである。これは、吸着面2の断面を走査型電子顕微鏡で撮影することにより確認することができる。なお、主成分の結晶粒子よりも突出している異なる成分の結晶粒子が複数存在する場合は、走査型電子顕微鏡で撮影した画像から、各成分の結晶粒子の突出側の頂点と、その結晶粒子に接する主成分の結晶粒子の頂点との差を10点ほど測定した平均突出高さが最も高い成分を第2成分とする。
図3は、本発明の真空吸着ノズルの吸着面および吸着物である電子部品の表面の一部を拡大した概略図である。上図は、真空吸着ノズル1の吸着面2における主成分の結晶粒子23と第2成分の結晶粒子22との構成の例を示すものである。また、下図は電子部品の表面の断面の例を示すものである。この図3に示す例のように、本発明の真空吸着ノズル1は吸着面2において、主成分の結晶粒子23よりも大きい平均結晶粒径を有する第2成分の結晶粒子22が、主成分の結晶粒子23よりも突出しており、吸着物である電子部品15の表面には微小な凹部15aが存在している。
このように、主成分の結晶粒子23よりも大きい平均結晶粒径を有する第2成分の結晶粒子22が、吸着面2において主成分の結晶粒子23よりも突出していることにより、電子部品15の吸着時に、突出している第2成分の結晶粒子22が電子部品15の表面に存在する微小な凹部15aに緩やかに嵌め合わされた状態となる。なお、第2成分の結晶粒子22が電子部品15の表面に存在する凹部15aに緩やかに嵌め合わされた状態とは、凹部15aに第2成分の結晶粒子22が引っ掛かる程度に噛み合い、第2成分の結晶粒子22と凹部15aとの間には空気の流通路が存在している状態である。これにより、滑り等によって吸着がずれることがなく確実に電子部品15を保持することができるので、電子部品15を落下させることなく搬送して装着することができる。また、電子部品15を吸着した状態で第2成分の結晶粒子22と凹部15aとの間には空気の流通路が存在しているので、電子部品15が吸着面2に貼り付くこともなく、装着後に電子部品15を離すために吸引孔3から空気を吸引するのを止めたときに時間を要することなく電子部品15を離すことができる。
また、上記効果を得るには、走査型電子顕微鏡で撮影した画像から求めた第2成分の結晶粒子22の平均突出高さが1μm以上7μm以下であることが好適である。第2成分の結晶粒子22の平均突出高さが1μm未満では、第2成分の結晶粒子22が凹部15aに引っ掛かりにくく、嵌め合いが弱まり滑り等による吸着のずれが生じるおそれが大きくなる。また、第2成分の結晶粒子22の平均突出高さが7μmを超えると、第2成分の結晶粒子22が凹部15aに噛み込んで装着時に電子部品15を離すことが容易にできなくなることがあり、持ち帰りといわれる現象が生じるおそれが大きくなる。
そして、主成分の結晶粒子23よりも大きい平均結晶粒径を有する第2成分の結晶粒子22を主成分の結晶粒子23よりも突出させた吸着面2を得るには、例えば、ケミカルエッチングやイオンミリングなどの加工方法で、主成分と第2成分との加工レートの差を利用して第2成分の結晶粒子22を突出させたり、真空吸着ノズル1の成形体を作製した後、吸着面2に第2成分を付着させた後に焼成することによって第2成分の結晶粒子22を突出させたりすることにより得ることができる。また、機械加工によっても吸着面2に凹凸を形成することは可能であるが、機械加工によって形成された凸部の先端は鋭利で欠けやすく、電子部品15の凹部15aに噛み込んでしまって装着時に離すことが容易にできなかったり、凸部が欠けて凹部15aに嵌め合わせることができなくなって吸着がずれたりする不具合を生じやすい。これに対し、本発明では上記方法によって、第2成分の結晶粒子22を突出させて凸部を形成しているので、電子部品15の凹部15aに嵌め合わされる第2成分の結晶粒子22の先端の形状は丸みを帯びていて欠けにくく、長期間にわたって電子部品15の吸着や装着を安定して行なうことができる。
また、本発明の真空吸着ノズル1は、主成分がジルコニアであることが好適である。
なお、ここでいうジルコニアとは、安定化剤を含むジルコニアのことである。主成分が安定化剤を含むジルコニアであるときには、強度および靱性などの機械的特性や耐磨耗性に優れているため、電子部品15の小型化に対応して円筒部5の径を細くすることが可能となる。また、電子部品15の吸着や装着を繰り返し行なっても欠けや破損するおそれが小さいので、長期間にわたって使用することのできる真空吸着ノズル1となる。
また、安定化剤としては、イットリア,セリア,マグネシアなどを用いればよく、2〜5モル%程度含んでいれば実用上十分な強度を得ることができる。さらに、ジルコニアの平均結晶粒径としては、0.3〜1μmとすると、吸着面2の径が小さくても吸着時の衝撃荷重による欠けの少ない真空吸着ノズル1とすることができる。さらに好ましくは、ジルコニアの平均結晶粒径を0.3〜0.8μmとすることにより、主成分の平均結晶粒径よりも大きい平均結晶粒径を有する第2成分の平均結晶粒径を小さくすることができる。これにより、吸着物である電子部品15の表面に存在する開口の径が小さい凹部15aに対しても、第2成分の結晶粒子22を緩やかに嵌め合わせて吸着ずれを防ぐことができる。
また、本発明の真空吸着ノズル1は、第2成分がアルミナであることが好適である。
第2成分がアルミナである場合、硬度が高いため吸着物である電子部品15との接触による磨耗が抑制され、吸着面2の耐久性を高めることができる。また、アルミナが主成分の平均結晶粒径よりも大きい平均結晶粒径を有し、吸着面2において、主成分の結晶粒子23よりもアルミナの結晶粒子22が突出していれば、他の成分を第2成分よりも多く添加しても構わない。
さらに、本発明の真空吸着ノズル1は、第2成分が酸化亜鉛,酸化鉄,炭化チタン,窒化チタンのうちいずれかであることが好適である。
第2成分が酸化亜鉛,酸化鉄,炭化チタン,窒化チタンのうちいずれかである場合、真空吸着ノズル1に導電性が付与されるので、真空吸着ノズル1が高速で移動して吸着や装着を繰り返したときに空気との摩擦で発生する静電気が真空吸着ノズル1に帯電するのを防ぐことができる。また、第2成分が炭化チタン,窒化チタンのいずれかである場合、硬度が高いので、吸着面2の耐磨耗性をさらに向上させ、耐久性を高めることができる。
また、本発明の真空吸着ノズル1は、導電性付与剤を含んでいることが好ましい。本発明の真空吸着ノズル1は、絶縁性であっても半導電性であっても構わないが、導電性付与剤を含んでいれば、主成分や第2成分が絶縁性のセラミックスであっても半導電性を有することができる。
例えば、主成分をジルコニアとし、第2成分をアルミナとすれば、強度の高い絶縁性のセラミックスとなるが、酸化鉄,酸化チタン,酸化亜鉛などの導電性付与剤を添加すれば適度な導電性を有するものとなるので、これを用いることによって、円筒部5の径が小さく細い形状でも折れにくくなり、適度な導電性も有する真空吸着ノズル1を作製することができる。同様に、アルミナは絶縁性のセラミックスであるが、安価で耐磨耗性に優れているという特長があり、アルミナを主成分とし、第2成分および導電性付与剤として炭化チタンや窒化チタンを添加すれば、適度な導電性を有するものとなる。このため、これを用いることによって、耐磨耗性に優れ、適度な導電性も有する真空吸着ノズル1を作製することができる。
そして、本発明の真空吸着ノズル1が半導電性を有する場合には、真空吸着ノズル1の全長にわたる抵抗値、すなわち真空吸着ノズル1の先端と後端との間の抵抗値が10Ω以上1011Ω以下であることが好適である。それは、真空吸着ノズル1が高速で移動したときに空気との摩擦で発生する静電気が真空吸着ノズル1に帯電し、電子部品15を吸着するときに放電して静電破壊するおそれを小さくすることができるからである。また、静電気の反発力により電子部品15が動いたり吹き飛んだりすることを防ぐことができるからである。
図8は、真空吸着ノズル1の先端と後端との間の抵抗値を測定する方法を示す概略図であり、真空吸着ノズル1の先端となる吸着面2に一方の電極60を接触させ、後端となる頭部6の端面に他方の電極60を接触させた状態を示している。そして、これら電極60・60は電気抵抗測定器(図示せず)に接続されており、真空吸着ノズル1の先端側と後端側の電極60・60間に任意の電圧を加えて真空吸着ノズル1の先端と後端の間の抵抗値を測定すればよい。測定に際して加える電圧は真空吸着ノズル1の形状や材質および抵抗値などに合わせて設定すればよく、おおよそ10〜1500Vの範囲であれば問題はない。
そして、本発明の真空吸着ノズル1は、濃い色調を呈していることが好ましい。
図2に示す例の電子部品装着装置20に、濃い色調を呈する真空吸着ノズル1を具備した電子部品装着機14を用いれば、真空吸着ノズル1に吸着された電子部品15をライト17で照射してCCDカメラ18で撮影したときに、電子部品15の背景となる真空吸着ノズル1が濃い色調を呈しているので、色合いが白色系,銀色系あるいは灰色系のものが多い電子部品15を区別しやすい色合いのものとすることができ、電子部品15の輪郭は明瞭なものとなる。これにより、位置や角度の認識エラーや誤った補正による装着ずれを低減させることができる。
なお、濃い色調とは、黒色系,濃褐色系,濃緑色系,濃青色系等のことをいい、中でもより高い上記効果を得るには黒色系であることが好ましい。着色剤として、例えば、ジルコニアセラミックスでは、酸化鉄,酸化チタン,酸化コバルト,酸化クロム,酸化ニッケルなどが挙げられ、中でも酸化鉄は黒色系となるため好ましい。また、複数の着色剤を用いて濃い色調とすることもできる。また、アルミナセラミックスであれば、酸化鉄,酸化ニッケル,炭化チタン,窒化チタンなどが挙げられ、中でも酸化鉄,炭化チタンは黒色系となるため好ましい。また、上述した着色剤は導電性を付与することもできるので、電子部品15を区別しやすい色合いや好ましい抵抗値を示す真空吸着ノズル1となるように添加量を調整すればよい。
次に、本発明のセラミックス製の真空吸着ノズル1の製造方法を説明する。
本発明の真空吸着ノズル1を構成するセラミックスとしては、安定化剤を含むジルコニア,アルミナ,炭化珪素など公知の材料を用いることができる。
例えば、イットリア安定化ジルコニアを90質量%および第2成分としてアルミナを10質量%の割合で混合した原料と、溶媒とをボールミルに入れて粉砕し、スラリーとする。その後、スプレードライヤーを用いてこのスラリーを噴霧乾燥し顆粒を作製する。また、主成分および第2成分の結晶粒径を調整するため、ジルコニアとアルミナとを別々のボールミルで個々に粉砕し、粉砕終了後にジルコニアのスラリーとアルミナのスラリーとを混合し、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥して顆粒を作製することもできる。
次に、この顆粒と熱可塑性樹脂とをニーダに投入し、加熱しながら混練して得られた坏土をペレタイザーに投入する。これにより、インジェクション成形用の原料となるペレットを得ることができる。なお、ニーダに投入する熱可塑性樹脂としては、エチレン酢酸ビニル共重合体やポリスチレンやアクリル系樹脂などを、顆粒100質量%に対して10〜25質量%程度添加すればよい。また、ニーダの混練の条件として、加熱温度は140〜180℃に設定すればよく、圧力等のその他の条件は、用いるセラミックスの原料や熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜設定すればよい。
そして、得られたペレットをインジェクション成形機に投入して射出成形し、必要に応じて、成形体に付随している余分な原料が冷えて固まったランナを切断することにより、真空吸着ノズル1となる成形体を得ることができる。
次に、主成分がジルコニアであり、第2成分がアルミナのように酸化物系のセラミックスであるときの焼成条件としては、大気雰囲気中で最高温度を1350〜1600℃とし、最高温度での保持時間を1〜5時間で焼成すればよい。また、第2成分が炭化チタンや窒化チタンのように非酸化物系のセラミックスであれば、真空雰囲気中かアルゴンやヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で最高温度を1450〜1700℃とし、最高温度での保持時間を1〜5時間で焼成すればよい。また、窒化チタンのときには、窒素ガス雰囲気中で焼成してもよい。
この後、吸着面2にケミカルエッチングやイオンミリングなどの加工方法により、主成分の結晶粒子23よりも第2成分の結晶粒子22を突出させることにより、本発明の真空吸着ノズル1を得ることができる。また、吸着面2に鏡面加工などを施して一旦平坦とした後に、上記加工を施しても構わない。さらに、真空吸着ノズル1となる成形体の吸着面2に第2成分を付着させて焼成することによっても本発明の真空吸着ノズル1を得ることができる。
また、導電性が付与され、電子部品15を区別しやすい色合いである黒色系の真空吸着ノズル1としては、例えば、主成分としてジルコニアを65質量%,第2成分として酸化鉄を35質量%含む真空吸着ノズル1や,第2成分である酸化鉄を30質量%とし、酸化コバルトを3質量%,酸化クロムを2質量%加えた真空吸着ノズル1が好適である。
このようにして得られた真空吸着ノズル1は、主成分の結晶粒子23よりも大きい平均結晶粒径を有する第2成分の結晶粒子22が、主成分の結晶粒子23よりも突出している。これにより、電子部品の吸着時に、突出している第2成分の結晶粒子22が電子部品15の表面に存在する微小な凹部15aに緩やかに嵌め合わされた状態となる。そのため、滑り等によって吸着位置がずれることがなく確実に電子部品15を保持することができるので、電子部品15を落下させることなく搬送して装着することができる。また、吸着面2には第2成分の結晶粒子22と凹部15aとの間に空気の流通路が存在しているため、電子部品15が吸着面2に貼り付くこともない。また、装着後に電子部品15を離すために吸引孔3から空気を吸引するのを止めたときに時間を要することなく電子部品15を離すことができるので、実装の高速化に対応することができる。
また、第2成分または他の成分を添加することにより、導電性が付与された真空吸着ノズル1は、真空吸着ノズル1が高速で移動して吸着や装着を繰り返したときに空気との摩擦で発生する静電気が真空吸着ノズル1に帯電するのを防ぐことができる。また、電子部品15を吸着するときに放電して静電破壊するおそれを少なくすることや、静電気の反発力により電子部品15が動いたり吹き飛んだりすることを防ぐことができる。
さらに、第2成分または他の成分を添加することにより、電子部品15を区別しやすい色合いとした真空吸着ノズル1では、CCDカメラ18での撮影のときに、電子部品15の輪郭が明瞭なものとなり、位置や角度の認識エラーや誤った補正による装着ずれを低減させることができるので、実装密度を高めることができる。
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態の例を説明する。
図1は本発明の真空吸着ノズルを電子部品装着機の保持部材に組み付けたときの構成の一例を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)の縦断面図である。
図1に示す真空吸着ノズル1は、真空吸引することによって電子部品(図示せず)を吸着して保持するための吸着面2を先端の端面側に有した円筒部5と、円筒部5の吸着面2と相対する側に円筒部5に向かって先細りの形状で設けられた円錐部4と、円錐部4が吸着面2と相対する根元の端面側に設けた頭部6とを有する。そして、円筒部5を貫通して吸着面2に開口した内孔は、円錐部4と頭部6とに延設して頭部6の表面に開口させて、吸引孔3としてある。
また、真空吸着ノズル1の頭部6と嵌合する受け部11を有し、吸引孔3と連通するように吸引孔12を有している保持部材10が、真空吸着ノズル1の頭部6と受け部11とを嵌合させて取り付けられており、この保持部材10を介して真空吸着ノズル1が電子部品装着機(図示せず)に取り付けられるようにしてある。
次に、図2に、本発明の真空吸着ノズル1を具備した電子部品装着機を用いて、チップ状の電子部品を回路基板に実装する電子部品装着装置の構成を概略図で示す。
図2に示す電子部品装着装置20は、電子部品装着機14に具備した真空吸着ノズル1と、電子部品15を並べたトレイ16と、真空吸着ノズル1に吸着された電子部品15に向けて光を照射するライト17と、ライト17の反射光を受光するためのCCDカメラ18と、CCDカメラ18で受光した反射光(画像)を画像処理するための画像解析装置19とで構成されている。
そして、この電子部品装着装置20は、真空吸着ノズル1がトレイ16まで移動し、トレイ16上に並べられた電子部品15を吸着する。次に、ライト17により真空吸着ノズル1に吸着された電子部品15に光を照射し、この光が電子部品15の本体や電極に当たって反射する反射光をCCDカメラ18で受光する。CCDカメラ18で受光した画像を基に画像解析装置19によって電子部品15の位置を測定して、そのデータを基に回路基板(図示せず)の所定の位置に電子部品15を吸着した真空吸着ノズル1を移動させて、回路基板の表面に電子部品15を実装する。
そして、本発明の第1の真空吸着ノズル1は、先端に吸着物を真空吸着する吸着面2を有しており、この吸着面2を有する部分がセラミックスからなり、吸着面2に吸引孔3を備えた真空吸着ノズル1であって、吸着面2の吸引孔3付近が突出し吸着面2が外周から側面にかけて湾曲すること、すなわち吸着面2の近傍の円筒部5の側面から吸着面2に向かって滑らかに変化する連続面7を有することが重要である。
図4は、本発明の真空吸着ノズルの吸着面に向かって滑らかに変化する連続面の構成の一例を示す斜視図である。
真空吸着ノズル1は、円筒部5の先端に、吸着物を真空吸着する吸着面2と吸引孔3とを備えており、吸着面2の近傍の円筒部5の側面から吸着面2に向かって滑らかに変化する連続面7を有する。
図4に示す連続面7は、吸着面2の近傍の円筒部5の側面から吸着面2に向かって滑らかに変化する連続面7を吸着面2の外周の全周にわたって有している場合を示すものである。なお、この連続面7は、必ずしも吸着面2の外周の全周にわたって連続していないといけないものではなく、吸着面2の外周において2つ〜8つ程度の複数の連続面に分割してもよい。
そして、例えば、図5に本発明の真空吸着ノズル1の図4におけるA−A’線での断面図に示すように、真空吸着ノズル1の吸引孔3から真空吸引して吸着物(図示せず)を吸着しようとすると、吸着面2の吸引孔3へ正面方向から吸着面2の垂直方向に流れようとする気流FAと、吸着面2に平行方向に流れようとする気流FBと、円筒部5の側面から連続面7を通って吸着面2の方向に回り込んで気流FBと合流しようとする気流FCとが発生する。このとき、吸着面2と吸着物(図示せず)との間の圧力は真空吸引されることによって低下して吸着物は吸着面2に吸着され、吸着面2と吸着物とが接触する直前には吸着面2と吸着物との間隔はさらに狭くなって空気の流れは殆どが気流FBとなり、気流FCは、空気の流速が速くなると圧力が低下して周囲の空気が吸い込まれるというベンチュリ効果により、気流FBに引き込まれる。しかし、気流FCは吸着面2に向かって滑らかに変化する連続面7に沿って流れて、気流FBの流れる方向とほぼ一致して滑らかに合流することから、合流部分で気流FBの流れが大きく乱れることは殆ど無い。そのため、吸着物はトレイから持ち上げられてから吸着面2に吸着されるまでの間の姿勢が安定し、吸着物を吸着面2の所定の位置で吸着することができる。
特に、図4に示す例の真空吸着ノズル1は、真空吸着ノズル1の円筒部5の側面の空気が気流FCとなって、吸引孔3に向かって全方向から均等に滑らかに気流FBと合流することから、多くの形状の吸着物に対応することができるので好適である。
また、連続面7は、気流FCが気流FBに引き込まれるときに連続面7に沿って流れて滑らかに合流するよう形成する必要がある。具体的には、図4に示す例のように、吸着面2と吸引孔3とが円形であり、互いの中心が一致しており、円筒部5の断面形状も円形の場合であって、吸引孔3の半径をd,吸着面2の半径をe,円筒部5の半径をfとし、連続面7の縦断面の曲線を円弧で形成するときには、1.2d≦eかつ1.1e≦fとなるようにすればよい。1.2d≦eとするのは、吸着面2に吸着物を吸引したときに吸着物の姿勢を安定化し、さらに吸着面2の強度を保つのに好適なためであり、1.1e≦fとするのは、連続面7の面積を確保しつつ気流FCが気流FBに滑らかに合流できるようにするのに好適なためである。なお、e<1.2dとすると、吸着面2の面積が小さすぎて吸着面2に吸着物を吸引したとき吸着物の姿勢が不安定となり、さらに吸着面2の強度が低下して破損しやすくなる傾向があるからである。また、f<1.1eとすると、連続面7を十分に形成できずに気流FCと気流FBとの合流部分の流れが乱れて吸着物の姿勢が不安定となり、所定の位置で吸着しにくくなる傾向があるからである。
実際には、吸着物の種類や電子部品装着機の設定により最適な形状が変化するため、製品を用いて吸着試験を行なって吸着面2や連続面7の形状を決定すればよい。
また、本発明の第2の真空吸着ノズル1は、先端に吸着物を真空吸着する吸着面2を有しており、この吸着面2を有する部分がセラミックスからなり、吸着面2に吸引孔3を備えた真空吸着ノズル1であって、真空吸着ノズル1の先端部(円筒部5)の外周に、吸着面2まで達する複数の溝8を有すること、すなわち吸着面2の外周に真空吸着ノズル1の円筒部5の側面から吸着面2に向かう複数の溝8を有することが重要である。
図6は、本発明の真空吸着ノズルの側面から吸着面に向かう複数の溝を有する真空吸着ノズルの一例を示す斜視図である。図6に示す例では、真空吸着ノズル1の円筒部5の先端に吸着面2を形成し、この吸着面2の中心に吸引孔3を設けている。この真空吸着ノズル1の吸着面2の外周には、真空吸着ノズル1の円筒部5の側面から吸着面2に向かう10本の溝8が吸着面2を取り囲むように形成され、溝8は真空吸着ノズル1の側面から吸着面2に向かって徐々に深さが増している。
また、図7は本発明の真空吸着ノズルの図6におけるA−A’線での断面図である。
この真空吸着ノズル1の吸引孔3から真空吸引して吸着物(図示せず)を吸着しようとすると、吸着面2の吸引孔3へ正面方向から吸着面2の垂直方向に流れようとする気流FAと、吸着面2に平行方向に流れようとする気流FBと、円筒部5の側面から溝8を通って吸着面2の方向に回り込んで気流FBと合流しようとする気流FCとが発生する。このとき、吸着面2と吸着物(図示せず)との間の圧力は真空吸引されることによって低下して吸着物は吸着面2に吸着され、吸着面2と吸着物とが接触する直前には吸着面2と吸着物との間隔はさらに狭くなって空気の流れは殆どが気流FBとなり、気流FCはベンチュリ効果により気流FBに引き込まれる。しかしながら、気流FCは吸着面2に向かう溝8に沿って流れて、気流FBの流れる方向とほぼ一致して滑らかに合流することから、合流部分で気流FBの流れが大きく乱れることは殆ど無い。また、吸着物はトレイから持ち上げられてから吸着面2に吸着されるまでの間の姿勢が安定することから、吸着物を吸着面2の所定の位置で吸着することができる。また、このような溝8を設けることによって、吸着物を離脱するときには溝8を通して吸着面2の全域に空気が流通しやすくなるため、吸着物が吸着面2に貼り付くこともない。また、吸着物を離脱するために吸引孔3から空気を吸引するのを止めると、時間を要することなく短時間で吸着物の離脱を行なうことができる。
また、溝8の幅Hは0.1〜1mmとすることが好ましい。溝8の幅Hが0.1mm以上であれば、溝8を通過して気流FCが流れるので、気流FBとの合流部分で気流FBの流れが大きく乱れることが少なくなり、吸着物の位置ずれ防止の効果が大きい。また、溝8の幅Hが1mm以下であれば、溝8内で気流FCの流れる方向が安定して、吸着物のずれを小さくすることができる。しかし、溝8の幅Hが0.1mm未満になると、気流Cがこの溝8を通過することが少なくなり、溝8が無い場合とほぼ同様となり、気流の乱れが生じやすくなって、吸着物の位置ずれ防止の効果が減少する傾向がある。逆に、溝8の幅Hが1mmを超えると、溝8自体の形成によって段差を設けたことと同じことになり、気流FCが乱れて吸着物がずれ易くなるという問題が生じる傾向がある。
また、溝8と吸着面2とが交差する部位での溝8の深さIは0.05mm以上とすることが好ましい。この部位での溝8の深さIが0.05mm以上であれば、溝8を通過して気流FCが流れるので、気流FBとの合流部分で気流FBの流れが大きく乱れることが少なくなり、吸着物の位置ずれ防止の効果が大きい。また、溝8の深さIが0.05mm未満になると、気流FCがこの溝8を通過して滑らかに気流FBと合流するという効果が少なくなり、溝8が無い場合とほぼ同様となる。そのため、気流FB・FCの乱れが生じやすくなって、吸着物の位置ずれ防止の効果が減少する傾向がある。
また、溝8の幅Hと深さIとの比率はH/2≦I(H/I≦2)とすることが好ましい。溝8の深さIが幅Hの1/2以上であれば、溝8を通過して気流FCが流れるので、気流FBとの合流部分で気流FBの流れが大きく乱れることが少なくなり、吸着物の位置ずれ防止の効果が大きい。溝8の幅Hと深さIとの比率がH/2>I(H/I>2)になると、深さIが幅Hと比較して浅すぎることとなるため、溝8が無い場合とほぼ同様となる。そのため、気流FB・FCの乱れが生じやすくなって、吸着物の位置ずれ防止の効果が減少する傾向がある。
また、溝8の長さJは気流FCが発生する長さであればよく、さらに、溝8の底の形状は、図7に示すように吸着面2の側で吸引孔3の方向に傾斜した形状でも、図5に示すように滑らかに変化する連続面7のような形状であってもよい。
そして、溝8は、吸着面2の外周近傍でこの溝8に沿って流れる気流FC以外の気流が発生することを抑制するためには、複数の溝8を吸着面2の外周に等間隔で、それぞれの溝8を同一形状のものとして並べることが好ましい。隣接する溝8の間隔が吸着面2の場所によって異なっていると、間隔の広い部位と狭い部位とで気流が一様で無くなって、吸着面2の外周近傍での気流の乱れが発生し易くなる傾向がある。また、溝8の形状が異なっていると、気流FCの流速も溝8ごとに異なってくる。そのため、真空吸着ノズル1の円筒部5の側面から溝8に流れ込む空気の量に偏りが生じて、吸着面2の外周近傍の気流の乱れが発生し易くなる傾向がある。
また、本発明の第1の真空吸着ノズル1は、先端に吸着物を真空吸着する吸着面2を有しており、この吸着面2を有する部分がセラミックスからなり、吸着面2に吸引孔3を備えた真空吸着ノズル1であって、吸着面2の近傍の円筒部5の側面から吸着面2に向かって滑らかに変化する連続面7を、図4に示す例のように、吸着面2の外周の全周にわたって有していることが好ましい。
また、本発明の第2の真空吸着ノズル1は、先端に吸着物を真空吸着する吸着面2を有しており、この吸着面2を有する部分がセラミックスからなり、吸着面2に吸引孔3を備えた真空吸着ノズル1であって、吸着面2の外周に円筒部5の側面から吸着面2に向かう複数の溝8を、図6および図7に示す例のように、吸着面2の外周に同一形状で等間隔に有していることが好ましい。
連続面7を吸着面2の外周の全周にわたって形成するのは、または複数の溝8を吸着面2の外周に同一形状で等間隔に配置するのは、いずれも気流FBと気流FCとの合流部で発生する気流FB・FCの乱れの影響を打ち消し合わせて吸着物の位置ずれを抑制するためである。これに対し、連続面7を吸着面2の外周の一部に設けたり、あるいは分割して設けたり、または複数の溝8を例えば部分的に1カ所に限定して配置したりすると、気流FBと気流FCとの合流部分の気流FB・FCの強さの違いが吸着面2上で生じるようになり、この気流FB・FCの強さの差が吸着物を位置ずれさせてしまうおそれがある。
吸着面2の形状的に溝8の配置に制約があり、図6に示すような形状の溝8を例えば吸着面2の外周に3本しか形成できないような場合には、3本の溝8を吸着面2の外周を3等分するように配置して気流FCの合力を打ち消し合わせるようにすれば、溝8を不均一な間隔で配置する場合に比べて、吸着物の位置ずれを抑制する効果を十分に得ることができる。
また、連続面7を吸着面2の外周の全周にわたって形成すれば、または複数の溝8を吸着面2の外周に同一形状で等間隔に配置すれば、このような連続面7または溝8を設けることによって、吸着物を離脱するときには吸着面2の全域に空気が流通しやすくなる。これにより、時間を要することなく短時間で吸着物の離脱を行なうことができるとともに、連続面7または複数の溝8によってバランスよく吸着物を離脱させることができ、位置ずれや持ち帰り現象が発生するおそれを効果的に低減することができる。
なお、本発明の真空吸着ノズル1は、絶縁性であっても半導電性であっても構わないが、半導電性を有する場合には、例えば先端と後端との間の抵抗値を10〜1011Ωとすれば、真空吸着ノズル1が高速で移動して空気との摩擦で発生する静電気により帯電することを防ぎ、静電気の反発力により電子部品15が動いたり吹き飛んだりするという問題を防止できる。また、吸着面2の径が0.7mm以下と小さな真空吸着ノズル1であるときにも、吸着物(電子部品15)を回路基板に配設し実装したときに、真空吸着ノズル1の吸着面2の一部が先に実装してある電子部品や周囲に実装してある部品に接することによって破損するという問題を防止することができる。
さらに、真空吸着ノズル1にセラミックスを用いると、電子部品15の着脱を繰り返すことにより吸着面2が早期に磨耗することを防止することができる。このセラミックスとしては、例えば耐磨耗性に優れた材料である炭化珪素を用いることができる。
真空吸着ノズル1の先端と後端との間の抵抗値を10〜1011Ωとすると、真空吸着ノズル1に静電気が帯電したとしても、この静電気は保持部材10と電子部品装着機20とを通してアース(除電)できる。そのために、真空吸着ノズル1から周囲の部品などに静電気が急速に放電して周囲の部品が放電破壊するのを防止することができる。また、真空吸着ノズル1が電子部品15に近づいても、真空吸着ノズル1の静電気は除電されているので、静電気の反発力で電子部品15が吹き飛ぶという現象が発生しないようにすることができる。この抵抗値が10Ω未満である場合、真空吸着ノズル1の周囲にある部品などに静電気が帯電しているとそれらから放電されやすくなり、吸着している電子部品15を静電破壊してしまうという問題が生じるようになる。また、1011Ωを超える場合、真空吸着ノズル1に発生した静電気を帯電しやすくなり、真空吸着ノズル1が電子部品15に近づくと静電気の反発力により電子部品15が吹き飛ぶという現象が発生するようになるので好ましくない。
ここで、図8は真空吸着ノズル1の先端と後端との間の抵抗値を測定する方法を示す正面図であり、真空吸着ノズル1の先端となる吸着面2に一方の電極60を接触させ、後端となる頭部6の端面に他方の電極60を接触させた状態を示している。そして、これら電極60・60には電気抵抗測定器(図示せず)が接続されており、真空吸着ノズル1の先端側と後端側の電極60・60間に任意の電圧を加えて真空吸着ノズル1の先端と後端の間の抵抗値を測定すればよい。測定に際して加える電圧は、真空吸着ノズル1の形状や材質および抵抗値などに合わせて設定すればよく、おおよそ10〜1500Vの範囲であれば問題はない。
また、吸着面2の径は0.7mm以下とするのが好ましい。これは、長辺が1mm以下の矩形状の電子部品15を吸着して高密度に実装される回路基板に実装するときに、吸着面2や円筒部5が先に実装してある電子部品や周囲に実装してある部品に接触して欠けるという問題を生じにくくするためである。吸着面2の径が0.7mmを超えると、長辺が1mm以下の矩形状の電子部品15を吸着して高密度に実装される回路基板に実装しようとすると、吸着面2や円筒部5が実装箇所の周囲にある部品と接触して破損しやすくなる。例えば、電子部品15が0603タイプ(寸法が0.6mm×0.3mm)のチップ部品である場合には、回路基板に実装された部品の間隔が約0.1mmとなる箇所もあるために、電子部品15が吸着面2に吸着されたときに僅かにずれただけでも、実装時に吸着面2や円筒部5が実装箇所の周囲にある部品に接触して破損する危険がある。
また、吸着面2の形状は円形が基本であるが、吸着物の形状に合わせて楕円,矩形,多角形など任意の形状を選択できる。また、吸着面2が円形と異なる形状の場合は、吸着面2の外辺寸法の最小となる部分が0.7mm以下となるようにすればよい。これは、電子部品15の実装密度が最も高くなる方向に吸着面2の外辺が最小となる部分を合わせるように用いることができるからである。また、こうすれば円筒部5の機械的強度を小さくすることなしに作製できるので好ましい。
なお、第1の実施の形態の例についても、図4に示す真空吸着ノズル1のように、円筒部5の先端に、吸着物を真空吸着する吸着面2と吸引孔3とを備えており、吸着面2の近傍の円筒部5の側面から吸着面2に向かって滑らかに変化する連続面7を有するものや、図6に示す例のように、真空吸着ノズル1の側面から吸着面2に向かう複数の溝8を有する形状にすることで、滑り等によって吸着がずれることがなく確実に電子部品15を保持することができるので、電子部品15を落下させることなく搬送して装着することができる。また、電子部品15を吸着した状態で、吸着面2の第2成分の結晶粒子22と電子部品15の凹部15aとの間には空気の流通路が存在しているので、電子部品15が吸着面2に貼り付くこともなく、装着後に電子部品15を離すために吸引孔3から空気を吸引するのを止めたときに時間を要することなく電子部品15を離すことができると同時に、ベンチュリ効果により気流の流れが大きく乱れることは殆ど無い。そのため、吸着物はトレイから持ち上げられてから吸着面2に吸着されるまでの間の姿勢が安定し、吸着物を吸着面2の所定の位置で吸着することができて電子部品15を装着したときの位置ずれを発生しにくくできるので好ましい。
さらに、本発明の真空吸着ノズル1に用いるセラミックスは導電性付与剤を含むのが好ましい。
真空吸着ノズル1に用いるセラミックスに導電性付与剤を含むものを用いると、単体では絶縁性のセラミックスであっても、導電性付与剤を含ませることによって所望の適度な抵抗値を有する真空吸着ノズル1を作製することができる。
例えば、アルミナセラミックスは絶縁性のセラミックスであるが、安価で耐摩耗性が優れているという特長がある。これに炭化チタンや窒化チタンなどの導電性付与材を添加すれば適度な導電性を有するものとなるので、これを用いることによって、耐摩耗性に優れ、適度な導電性も有する真空吸着ノズル1を作製することができる。同様に、ジルコニアセラミックスは強度の高い材料であり、酸化鉄,酸化チタン,酸化亜鉛などの導電性付与材を添加すれば適度な導電性を有するものとなる。そのため、これを用いることによって、細い形状でも折れにくくなり、適度な導電性も有する真空吸着ノズル1を作製することができる。また、炭化珪素セラミックスは、炭素を添加することで抵抗値を調整した真空吸着ノズル1を作製することができる。
そして、本発明の真空吸着ノズル1に用いるセラミックスは黒色系セラミックスであることが好ましい。
真空吸着ノズル1に黒色系セラミックスを用いると、真空吸着ノズル1で吸着した電子部品15をライト17で照射してCCDカメラ18で撮影したときに、電子部品15はライト17の反射光で鮮明に写るが、電子部品15の背景は真空吸着ノズル1が黒色系セラミックスであるために暗い状態となり、電子部品15の輪郭は明瞭になる。そのため、画像解析装置19は真空吸着ノズル1に吸着された電子部品15の形状を正確に認識できるので、回路基板に実装する際の位置精度が高くなるという利点がある。
黒色系セラミックスとしては、黒色系の導電性付与材を添加したジルコニア,アルミナおよび炭化珪素などがある。また、茶色系や青色系などの他の色調を有するセラミックスでも、濃い色調とすることにより黒色系セラミックスと同様の効果を得ることができる。
例えば、アルミナセラミックスに添加することによって黒色系あるいは茶色系や青色系であっても濃い色調のセラミックスとして用いることができる導電性付与材としては、酸化鉄,酸化ニッケル,炭化チタン,窒化チタンなどが挙げられ、中でも酸化鉄,炭化チタンが黒色系セラミックスを得られる導電性付与材として好ましい。ジルコニアセラミックスに添加することによって黒色系あるいは茶色系や青色系であっても濃い色調のセラミックスとして用いることができる導電性付与材としては、酸化鉄,酸化チタン,酸化コバルト,酸化クロム,酸化ニッケルなどが挙げられ、中でも酸化鉄が黒色系セラミックスを得られる導電性付与材として好ましい。炭化珪素セラミックスは、炭素を含有させて導電性を付与したものが黒色系セラミックスとして好ましい。
さらに、本発明の真空吸着ノズル1に用いるセラミックスは、安定化剤を含むジルコニアセラミックスであることが好ましい。
真空吸着ノズル1に用いるセラミックスに安定化剤を含むジルコニアセラミックスを用いることが好ましいのは、セラミックスとしての機械的強度が高いためである。特に、図1(a)に示す真空吸着ノズル1のように、円筒部5を有しており、その径が細い形状の真空吸着ノズル1の場合には、吸着面2に吸着した電子部品15を基板に実装したときに、隣接する部品と真空吸着ノズル1の先端とが接することによって円筒部5が破損しやすい。そのため、セラミックスとして強度の高いジルコニアセラミックスを使用することが好適である。
このときのジルコニアセラミックスに含ませる安定化剤にはイットリア,セリア,マグネシアなどを用いればよく、これら安定化剤を2〜8モル%程度含んでいれば実用上で強度的に十分なジルコニアセラミックスとなる。また、ジルコニアの平均結晶粒子径は3μm以下のものが好ましい。ジルコニアの平均結晶粒子径を3μm以下とすることで、真空吸着ノズル1の作製や補修の際に吸着面2に対して研削加工や鏡面加工をするときに、結晶粒子が脱落しにくくなることから吸着面2に欠けが生じにくくなる。
さらに、本発明の真空吸着ノズル1は、セラミックスが安定化剤を含むジルコニアセラミックスであり、導電性付与材として酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロムおよび酸化ニッケルの少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの導電性付与材は、ジルコニアセラミックスに導電性を付与することができるとともに、例えば酸化鉄であれば黒色系、酸化コバルトであれば青色系、酸化クロムであれば緑色系といった色にセラミックスを着色することができる。
そして、この真空吸着ノズル1で電子部品15を吸着すると、ライト17が真空吸着ノズル1に吸着された電子部品15に向けて光を照射し、CCDカメラ18で反射光を受光するときに、電子部品15の色合いに対して真空吸着ノズル1の色合いを濃色系に変えたものを選択できる。そのため、画像解析装置19が真空吸着ノズル1と電子部品15とを区別しやすい色合いのものとすることができ、認識エラーや誤動作を低減させることができる。
一般的に、電子部品15は色合いが白色系,銀色系あるいは灰色系のものが多く、そのために真空吸着ノズル1の色合いとしては黒色系などの濃色系の色合いが求められることが多い。このような黒色系の色合いの真空吸着ノズル1を得るためには、例えば、ジルコニアを65質量%、酸化鉄を30質量%,酸化コバルトを3質量%,酸化クロムを2質量%の組成としたジルコニアセラミックスを用いるのが好適である。また、電子部品15が銀色系のときは、真空吸着ノズル1の色合いは濃い黒色系を用いるのが好ましい。これは、酸化鉄を25質量%以上とすることによって得ることができる。
次に、本発明のセラミックス製の真空吸着ノズル1の製造方法を説明する。
本発明の真空吸着ノズル1を構成するセラミックスとしては、炭化珪素,アルミナ,安定化剤を含むジルコニアなどの公知の材料を用いることができる。
例えば、炭化珪素を95質量%に焼結助剤としてアルミナを5質量%の割合で混合した原料をボールミルに投入して所定の粒度まで粉砕してスラリーを作製し、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥して顆粒を形成する。
次に、この顆粒と熱可塑性樹脂とをニーダに投入して加熱しながら混練して得られた坏土をペレタイザーに投入すれば、インジェクション成形(射出成形)用の原料となるペレットを得ることができる。なお、ニーダに投入する熱可塑性樹脂としては、エチレン酢酸ビニル共重合体やポリスチレンやアクリル系樹脂などを顆粒の質量に対して10〜25質量%程度添加すればよく、ニーダを用いて混練中の加熱温度は140〜180℃に設定すればよい。また、混練の条件はセラミックスの種類や粒度、および熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜設定すればよい。
そして、得られたペレットをインジェクション成形機(射出成形機)に投入して射出成形すれば、焼成することによって真空吸着ノズル1となる成形体が得られる。このとき、得られた成形体には通常は射出成形したときの余分な原料が冷えて固まったランナが付随しているので、そのランナは脱脂する前に切断しておく。
炭化珪素の焼成条件としては、真空雰囲気中またはアルゴンやヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で焼成すればよく、最高温度は1900〜2200℃とし、最高温度での保持時間を1〜5時間とすればよい。
さらにまた、本発明の真空吸着ノズル1を構成するセラミックスとして、安定化剤を含むジルコニアセラミックス,アルミナセラミックスなどを用いる場合には、導電性付与材としては、酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロムおよび酸化ニッケルの少なくとも1種か、または炭化チタンや窒化チタンを含むものを用いることができる。
例えば、安定化剤としてイットリアを含むジルコニア65質量%に対して酸化鉄を35質量%の割合で混合し、この原料をボールミルに投入して所定の粒度まで粉砕してスラリーを作製する。そして、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥して顆粒を形成し、インジェクション成形機に投入して上述と同様の方法で射出成形すれば、焼成することによって真空吸着ノズル1となる成形体が得られる。
なお、本発明の真空吸着ノズル1の形状を得るには、一般的な射出成形法によって、真空吸着ノズル1の形状が得られる成形型を作製し、これをインジェクション成形機に設置して射出成形すればよい。これによって、容易に所望の形状の真空吸着ノズル1の成形体が得られる。
ここで、ジルコニアセラミックスあるいはアルミナセラミックスの焼成条件としては、導電性付与材が酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロムおよび酸化ニッケルの少なくとも1種の場合には、大気雰囲気中で最高温度を1300〜1500℃の範囲として、最高温度での保持時間を1〜5時間として焼成すればよい。また、導電性付与材が炭化チタンの場合には、最高温度を1400〜1800℃の範囲として、最高温度での保持時間を1〜5時間とし、真空雰囲気中またはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で焼成すればよい。また、導電性付与材が窒化チタンの場合には、これら真空雰囲気中または不活性雰囲気中に加えて、窒素ガス雰囲気中で焼成してもよい。これにより、セラミックス製の真空吸着ノズル1に適度な導電性を付与することができる。
なお、焼成後の真空吸着ノズル1は、セラミックスの表面の導電性が、内部よりも低下したり、ばらついて不安定となったりしないように、バレル加工などで表面を研磨して、セラミックスの面状態を一様にしておいてもよい。
また、連続面7を射出成形法以外の方法で形成するには、予め真空吸着ノズル1の形状の成形体を作製しておいて、円筒部5の先端の吸着面2に鏡面加工などを施し、吸着面2が真空吸着ノズル1の長さ方向の軸に対し直角となるように加工した後、バレル加工やブラスト加工などで吸着面2の外周に連続面7を形成する方法や、旋盤で吸着面2の外周を加工して連続面7を形成する方法などを用いてもよい。
また、複数の溝8を射出成形法以外の方法で形成する方法としては、上記の方法と同様に、吸着面2が真空吸着ノズル1の長さ方向の軸に対して直角となるように加工した後、超音波加工や放電加工などを用いて複数の溝8を形成するようにしてもよい。
(実施例1)
以下、本発明の実施例を説明する。
主成分としてイットリアを3モル%含む安定化ジルコニアを用い、第2成分としてアルミナを用いて、試料No.1〜11を作製した。まず、ジルコニアおよびアルミナを別々のボールミルに溶媒とともに入れ、所定の粒度まで粉砕してスラリーを作製した。このスラリーを混合し、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥し、顆粒を作製した。ジルコニアとアルミナとの混合割合は、ジルコニアが90質量%、アルミナが10質量%となるようにした。
そして、この顆粒と、熱可塑性樹脂であるエチレン酢酸ビニル共重合体,ポリスチレン,アクリル系樹脂とをニーダに投入した。エチレン酢酸ビニル共重合体,ポリスチレン,アクリル系樹脂は、顆粒100質量%に対して合計で20質量%投入した。これを約150℃の温度に保ちながら混練して坏土を作製した。次に、得られた坏土をペレタイザーに投入して、インジェクション成形用の原料となるペレットを作製した。そして、このペレットを公知のインジェクション成形機に投入し、図1に示す例の真空吸着ノズルとなる成形体を作製した。
そして、得られた成形体を乾燥機に入れて乾燥させた後、大気雰囲気中で最高温度を1400〜1500℃の範囲とし、最高温度での保持時間を1〜5時間として焼成して、焼結体とした。その後、得られた焼結体はバレル加工でセラミックスの表面を数μm研磨し、真空吸着ノズルの吸着面となる部分を鏡面加工した。吸着面にはケミカルエッチングとイオンミリング加工とを施して第2成分を突出させ、円筒部の長さが3.2mm,外径が0.8mm,内径が0.2mmであり、円筒部の肉厚が0.30mmの試料No.1〜11の真空吸着ノズルを得た。
そして、ジルコニアの平均結晶粒径は、一般的な走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて真空吸着ノズルの焼き肌面を撮影してプラニメトリック法による以下の式(1)〜(2)によって計算した。
(プラニメトリック法)
SEM写真上で面積(A)の既知の円を描き、円内の粒子数ncと円周にかかった粒子数niから(1)式によって単位面積当たりの粒子数NGを求めた。そして、1/NGが1個の粒子の占める面積であるから、(2)式によって平均結晶粒径Dを求めた。なお、ここで示すmはSEM写真の倍率である。
NG=(nc+ni/2)/(A/m)・・・(1)
D=2/√(πNG)・・・(2)
また、アルミナの平均結晶粒径は、鏡面加工した吸着面をSEMで撮影してSEM写真上でアルミナの結晶粒子の長径と短径を測定し、以下の式(3)で求めた。
{Σ(長径+短径)/2}/アルミナ結晶粒子の個数・・・(3)
また、第2成分であるアルミナの結晶粒子の突出高さは、吸着面の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した画像から、アルミナの結晶粒子の突出側の頂点と、アルミナの結晶粒子に接するジルコニアの結晶粒子の頂点との差を5ヶ所測定した平均値として求めた。
次に、試料No.1〜11の真空吸着ノズルを図2に示す例の電子部品装着機14に取り付け、0603タイプ(寸法が0.6mm×0.3mm)の電子部品15を1000万個ダミー基板上に実装するテストを行なった。これにより、電子部品15の位置ずれ、および電子部品15を装着位置まで運んだが装着時に電子部品15を離すことができない、いわゆる持ち帰りについて調べた。なお、位置ずれとは、CCDカメラ18で撮影した画像を基に画像解析装置19によって位置を認識した際に、補正を必要としたものをいう。
そして、位置ずれまたは持ち帰りの評価については、位置ずれまたは持ち帰りの数が0個のときは◎、1〜3個のときは○とし、4個以上は従来と差がないか従来より劣るので×とした。また、吸着面の欠けの評価、即ちテスト終了後において吸着面の端部に欠けが発生していたかどうかの評価については、欠けが無かったものは◎、0.2mm未満の欠けがあったものは○、0.2mm以上の欠けがあったものは×とした。結果を表1に示す。
Figure 0005053391
表1に示す結果から、本発明の範囲外である、主成分の平均結晶粒径と第2成分の平均結晶粒径とが等しい試料No.4および主成分の平均結晶粒径と第2成分の平均結晶粒径とを比較して第2成分の平均結晶粒径が小さい試料No.5では、電子部品15の位置ずれが4個以上であった。これに対し、本発明の真空吸着ノズルの実施例である試料No.1〜3,6〜11では、主成分の平均結晶粒径よりも大きい平均結晶粒径を有する第2成分を含み、吸着面において第2成分の結晶粒子が主成分の結晶粒子よりも突出しているので、電子部品15の吸着時に、突出している第2成分の結晶粒子が電子部品15の表面に存在する凹部に緩やかに嵌め合わされた状態となる。このため、滑りによる吸着ずれがなく確実に保持できるため、電子部品15の位置ずれが1000万個中で3個以内であった。
また、本発明の真空吸着ノズルの実施例である試料No.1〜3,6〜10の持ち帰りについては、吸着面において第2成分の結晶粒子が主成分の結晶粒子よりも突出しており、吸着面に空気の流通路を有して電子部品15との間で空気が流通するようになっているので、電子部品15が吸着面に貼り付くこともなく、持ち帰りの個数が0個であった。
なお、本発明の真空吸着ノズルの実施例である試料No.11は、持ち帰りの個数が1〜3個であった。この理由は明らかではないが、第2成分の結晶粒子の突出高さが9μmであり、突出した第2成分の結晶粒子が電子部品15の表面にある凹部に噛み込んだためと考えられる。また、試料No.11の吸着面が0.2mm以下の大きさで欠けたのは、第2成分の平均結晶粒径が大きく、突出高さが9μmと高いため、結晶粒子の脱粒が生じて欠けたものと考えられる。
これらの位置ずれ,持ち帰り,吸着面の欠けの評価結果から、主成分の平均結晶粒径よりも大きい平均結晶粒径を有する第2成分を含むセラミックスからなり、第2成分の結晶粒子が主成分の結晶粒子よりも1〜7μm突出している吸着面が、電子部品装着機用の真空吸着ノズルの吸着面として適していることが分かった。
(実施例2)
次に、主成分がジルコニアで第2成分がアルミナの試料No.12〜21の真空吸着ノズルを、実施例1と同様の作製方法にて作製した。また、主成分がアルミナであり第2成分が炭化チタンである真空吸着ノズルの成形体を実施例1と同様の作製方法にて作製し、真空乾燥機で乾燥させた。その後、真空雰囲気中で最高温度を1500〜1650℃の範囲とし、最高温度での保持時間を1〜5時間として焼成し、それぞれ焼結体とした。その後、実施例1と同様に加工して、試料No.22,23の真空吸着ノズルを得た。なお、試料No.22,23の組成では、アルミナを90質量%、炭化チタンを10質量%とした。
そして、平均結晶粒径と第2成分の突出高さは、実施例1と同様の方法で測定した。次に、試料No.12〜23の真空吸着ノズルを図2に示す例の電子部品装着機14に取り付け、実施例1と同様のテストを行ない、位置ずれ,持ち帰りおよび吸着面の欠けについて評価した。なお、評価方法についても実施例1と同様とした。結果を表2に示す。
Figure 0005053391
表2に示す結果から、本発明の範囲外である試料No.21では、主成分の平均結晶粒径と第2成分の平均結晶粒径とが等しく、吸着面における第2成分の突出高さが低いため、位置ずれが生じて評価が×であった。これに対し、本発明の真空吸着ノズルの実施例である試料No.12〜20,22,23では、主成分の平均結晶粒径よりも大きい平均結晶粒径を有する第2成分を含み、吸着面において第2成分の結晶粒子が主成分の結晶粒子よりも突出していたため、電子部品15の吸着時に、突出している第2成分の結晶粒子が電子部品15の表面に存在する凹部に緩やかに嵌め合わされた状態となり、このことにより、滑りによる吸着ずれがなく確実に保持できた。そのため、電子部品15の位置ずれが1000万個中で3個以内であった。
また、本発明の真空吸着ノズルの実施例である試料No.12〜20,22,23の持ち帰りについては、吸着面において第2成分の結晶粒子が主成分の結晶粒子よりも突出しており、吸着面に空気の流通路を有して電子部品15との間に空気が流通するようになっていたため、電子部品15が吸着面に貼り付くこともなく、持ち帰りの個数が0個であった。
また、本発明の真空吸着ノズルの実施例である試料No.12〜20,22,23の吸着面の欠けについては、評価が○もしくは◎であった。ここで評価に差が現れたのは、試料No.12〜20と試料No.22,23とは、主成分であるジルコニアの強度とアルミナの強度との違いによるものと考えられる。また、主成分がジルコニアである試料No.12〜20において評価に差が現れたのは、試料No.12,17のジルコニアの平均結晶粒径が0.2μmであり、この平均結晶粒径に対して、アルミナが適正な平均結晶粒径に達しておらず、十分な強度が得られなかったためと考えられる。
これらの位置ずれ,持ち帰り,吸着面の欠けの評価結果から、主成分の平均結晶粒径よりも大きい平均結晶粒径を有する第2成分を含むセラミックスからなり、第2成分の結晶粒子が主成分の結晶粒子よりも突出している吸着面が、電子部品装着機用の真空吸着ノズルの吸着面として適していることが分かった。そして、主成分としては、アルミナよりも強度の高いジルコニアがより適しており、ジルコニアの平均結晶粒径が0.3〜1μmであることにより、実用上十分な強度を得られることが分かった。
(実施例3)
次に、主成分および第2成分としてイットリアを3モル%含む安定化ジルコニアからなる真空吸着ノズルを作製した。まず、主成分のジルコニアおよび第2成分のジルコニアを、別々のボールミルに溶媒とともに入れた。そして、主成分のジルコニアについては焼結後の平均結晶粒径が0.5μmとなるように、第2成分のジルコニアについては焼結後の平均結晶粒径が1.5〜2.5μmとなるように、それぞれ粉砕した。そして、これらのスラリーを別々にスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥して、それぞれの顆粒を作製した。
次に、主成分のジルコニアの顆粒を用いて、真空吸着ノズルの成形体を実施例1と同様の作製方法にて作製し、成形体の吸着面に第2成分のジルコニアの顆粒を付着させた状態で実施例1と同様の条件で焼成して、焼結体とした。その後、得られた焼結体はバレル加工でセラミックスの表面を数μm研磨し、第2成分のジルコニアの結晶粒子の突出高さが表3に示す値となるように吸着面にラップ加工を施して、試料No.24,25の真空吸着ノズルを得た。
そして、平均結晶粒径および第2成分の突出高さは、実施例1と同様の方法で測定した。次に、試料No.24,25の真空吸着ノズルを図2に示す例の電子部品装着機14に取り付け、実施例1と同様のテストを行ない、位置ずれ,持ち帰りおよび吸着面の欠けについて評価した。なお、評価方法についても実施例1と同様とした。結果を表3に示す。なお、表3には、比較のため試料No.14の結果についても示す。
Figure 0005053391
表3に示す結果から、本発明の真空吸着ノズルの実施例である試料No.24,25は、持ち帰りの個数は0個であり、吸着面に欠けも見られなかった。位置ずれについては、試料No.24が1000万個中で3個、試料No.25が1000万個中で2個であり、これらの結果には第2成分の突出高さによる差が現れたものと考えられる。また、主成分の平均結晶粒径,第2成分の平均結晶粒径および第2成分の突出高さが同じであり、第2成分が異なる試料No.25と試料No.14との比較から、試料No.14の方が第2成分の結晶粒子が電子部品の表面に存在する凹部に緩やかに嵌め合わされた状態を長時間維持することができることが分かった。これは、アルミナの方がジルコニアよりも硬度が高く磨耗しにくいためであると考えられる。
(実施例4)
次に、主成分としてイットリアを3モル%含む安定化ジルコニアを50〜90質量%用い、第2成分として酸化鉄,酸化亜鉛,炭化チタン,窒化チタンのいずれか1種を10〜50質量%用いて、成形体を得るまでの作製方法は実施例1と同様の方法で、真空吸着ノズルの成形体を作製した。ここで、第2成分として酸化鉄または酸化亜鉛を用いた真空吸着ノズルの成形体については、乾燥機に入れて乾燥させた後、大気雰囲気中で最高温度を1300〜1500℃の範囲とし、最高温度での保持時間を1〜5時間として焼成して、焼結体とした。また、第2成分として炭化チタンまたは窒化チタンを用いた真空吸着ノズルの成形体では、真空乾燥機に入れて乾燥した後、真空雰囲気中で最高温度を1400〜1650℃の範囲とし、最高温度での保持時間を1〜5時間として焼成して、焼結体とした。得られた焼結体を実施例1と同様に加工して、試料No.26〜45の真空吸着ノズルを得た。
そして、平均結晶粒径と第2成分の突出高さは実施例1と同様の方法で測定した。また、真空吸着ノズルの先端と後端の間の抵抗値は、図8に示す方法で測定した。次に、試料No.26〜45の真空吸着ノズルを図2に示す例の電子部品装着機14に取り付け、電子部品15の吹き飛びおよび電子部品15の静電破壊について試験を行なった。
ここで、真空吸着ノズルが高速で移動して空気との摩擦によって発生する静電気が真空吸着ノズルに帯電すれば、電子部品15を吸着するときに、この静電気の反発力によって電子部品15は吹き飛んで吸着されない。したがって、電子部品15の吹き飛びの評価方法は、電子部品装着機14を稼動させて1000万個の吸着を行ない、ダミー基板上に実装された電子部品15の個数を数えることで、電子部品15の吹き飛びの個数を確認した。なお、実装前の隣接する電子部品15の間隔は最小で0.1mmとして評価した。そして、吹き飛んだ数が3個以下のときは◎、4〜10個のときは○、11個以上を△とした。
また、電子部品15の静電破壊の評価方法については、電子部品装着機14を稼動させて1000万個の吸着を行ない、回路を形成したダミー基板1枚当たりにつき100個の電子部品15を装着し、一般に使用される回路の導通試験機を用いて、ダミー基板毎に導通試験を行なった。そして、導通の無かったダミー基板に付いてのみさらに個別に実装した電子部品15の導通試験を実施して、静電破壊した個数を数えて良否の判断を行なった。その結果、静電破壊した個数が3個以下のときは◎、4〜10個のときは○、11個以上を△とした。結果を表4に示す。
Figure 0005053391
表4に示す結果から、真空吸着ノズルの先端と後端の間の抵抗値が10〜10Ωである試料No.26〜29,31〜34,36〜39,41〜44(本発明の真空吸着ノズルの実施例)では、電子部品15の吹き飛びが1000万個中3個以下であったことが分かる。この結果から、真空吸着ノズルが高速で移動して吸着や装着を繰り返したときに、空気との摩擦で発生する静電気が真空吸着ノズルに帯電することなく、確実に逃がすことができていることが分かった。
また、電子部品15の静電破壊については、本発明の真空吸着ノズルの実施例である試料No.28〜30,33〜35,38〜40,43〜45では、1000万個中3個以下であった。ここで、静電破壊は、真空吸着ノズルが高速で移動したときに空気との摩擦で発生する静電気が真空吸着ノズルに帯電し、電子部品15を吸着したときに放電して起るが、本発明の真空吸着ノズルの実施例では、真空吸着ノズルの先端と後端の間の抵抗値が10〜1010Ωであることにより、静電破壊のおそれを少なくできることが分かった。
従って、電子部品15の吹き飛びおよび電子部品15の静電破壊の評価結果から、真空吸着ノズルの先端と後端の抵抗値は10〜10Ωとすることが好ましいことが分かった。
(実施例5)
まず、セラミックスとして、安定化剤としてイットリアを3モル%含むジルコニアを選択し、黒色化してカメラの視認性を高めるための着色剤として酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロム,酸化ニッケルをジルコニア100質量%に対して合計10質量%添加した。この原料に水を加えてボールミルで粉砕・混合してスラリーを作製し、このスラリーをスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥して、それぞれの顆粒を作製した。
そして、この顆粒100質量%に対してエチレン酢酸ビニル共重合体,ポリスチレン,アクリル系樹脂を合計20質量%加えてニーダに投入し、約150℃の温度に保ちながら混練して坏土を作製した。次に、得られた坏土をペレタイザーに投入して、インジェクション成形用の原料となるペレットを作製した。そして、このペレットを公知のインジェクション成形機に投入して、図1に示す真空吸着用ノズル1となる成形体を作製した。
この成形体を乾燥機に入れて乾燥した後、大気雰囲気中で最高温度を1400〜1500℃の範囲とし、最高温度での保持時間を1〜5時間として焼成して、焼結体とした。得られた焼結体はバレル加工でセラミックスの表面を数μm研磨し、その後、真空吸着ノズル1の吸着面2となる部分を鏡面加工した。吸着面2には図4に示すような滑らかな連続面7を形成し、吸引孔3の半径dと吸着面2の半径eと円筒部5の半径fと連続面7のA−A’線断面での半径rとは、表5に示すように設定した。これらを試料No.101〜110とした。
なお、吸引孔3の半径dの値と吸着面2の半径eの値と円筒部5の半径fの値とは、一般的な工具顕微鏡を用いて測定した。
次に、これらの第1の真空吸着ノズルの試料No.101〜110を電子部品装着機14に取り付けて、0603タイプ(寸法が0.6mm×0.3mm)の電子部品15の真空吸着テストを行ない、電子部品15の位置ずれについて調べた。
まず、電子部品装着機14を稼動させて1000万個の吸着を行ない、ダミー基板上に電子部品15を実装して、電子部品15の位置ずれの個数を確認した。その結果について、位置ずれの数が0個のときは◎、1〜3個のときは○と表5に記入した。そして、位置ずれの数が4個以上は、従来と差がないか従来より劣るので、不合格とし×と記入した。また、テスト終了後に吸着面2に破損が無いときは○、破損があるときは×と記入した。
得られた結果を表5に示す。
Figure 0005053391
表5に示す結果から、電子部品15の位置ずれおよび破損については、本発明の真空吸着ノズルの実施例である試料No.101〜106では、1000万個中で3個以内であった。これに対して比較例である試料No.107,108ではいずれも4個以上であったことから、本発明の真空吸着ノズルの実施例はこれらよりも改善されていることが分かる。すなわち、本発明の実施例である試料No.101〜106では、真空吸着ノズル1の円筒部5の側面から先端の吸着面2に向かって滑らかに変化する連続面7を有することから、確実に吸着物(電子部品15)を位置ずれなく保持できた。特に、本発明の実施例である試料No.102〜105では、吸着物の位置ずれが無く、吸着面2の破損も無いことから、吸引孔3の半径dと吸着面2の半径eと円筒部5の半径fとのバランスが優れており、吸着面2の外周近傍で気流が乱れにくかったと考えられる。
なお、本発明の実施例である試料No.101では、位置ずれは1〜3個であったが、吸着面2に小さい破損が生じていた。この破損が大きくなると吸着面2の外周近傍の気流が乱れて吸着物の位置ずれが発生しやすくなるため、吸着面2の半径eは吸引孔3の半径dの1.2倍以上とすることが好ましい。また、本発明の実施例である試料No.106での位置ずれは1〜3個であり、吸着面2に破損は無かった。しかしながら、滑らかな連続面7の面積が小さいため、吸着面2の外周近傍の気流が安定せず、吸着物の位置ずれが発生したと考えられる。従って、連続面7の面積を確保して気流を安定化するためには、円筒部5の半径fは吸着面2の半径eの1.2倍以上とすることが好ましい。
これに対し、本発明の比較例である試料No.107,108では、吸着面2の半径eと円筒部5の半径fとが等しいので、連続面7を形成することができないために吸着物の位置ずれが4個以上になったと考えられる。
(実施例6)
次に、実施例5と同様にして真空吸着ノズル1を作製し、図6に示すような形状の溝8を6本形成し、この6本の溝8が吸着面2の外周を6等分するように配置した。溝8の幅Hと深さIは表2に示すように設定した。そして、真空吸着ノズル1の円筒部5は、長さが3.2mm,外径が1mm,内径が0.3mmであり、円筒部5の肉厚が0.35mm、溝8の長さJが1mmとなるように作製した。これらを試料No.109〜115とした。
また、溝8の幅Hおよび深さIの値は、工具顕微鏡を用いて測定した。
次に、これら第2の真空吸着ノズル1の試料を電子部品装着機14に取り付けて、0603タイプ(寸法が0.6mm×0.3mm)の電子部品15の真空吸着テストを行ない、電子部品15の位置ずれについて調べた。
まず、電子部品15の位置ずれについては、電子部品装着機14を稼動させて1000万個の吸着を行ない、ダミー基板上に電子部品15を実装して、電子部品15の位置ずれの個数を確認した。その結果について、位置ずれの数が0個のときは◎、1〜3個のときは○と表6に記入した。また、位置ずれの数が4個以上は、従来と差がないか従来より劣るので、不合格として×と記入した。
得られた結果を表6に示す。
Figure 0005053391
表6に示す結果から、電子部品15の位置ずれについては、本発明の真空吸着ノズルの実施例である試料No.109〜115では、1000万個中で3個以内であった。すなわち、試料No.109〜115では、幅Hが0.05〜0.1mmであり、深さIが0.03〜0.1mmである6本の溝8を有することから、吸着物(電子部品15)を位置ずれを生じることなく保持できた。
特に、試料No.111〜113では、吸着物の位置ずれが無いことから、溝8の幅Hと深さIとの大きさやバランスが優れており、吸着面2の外周近傍で気流が乱れにくかったと考えられる。
なお、試料No.109,110では、溝8の幅Hが0.1mm未満と狭いため、溝8に沿って流れる気流FCが弱く、位置ずれを防止する効果が小さくなって位置ずれが1〜3個発生したと考えられる。また、試料No.114,115では、溝8の深さIが0.05mm未満と浅いため、溝8に沿って流れる気流FCが少なくなり、位置ずれを防止する効果が小さくなって位置ずれが1〜3個発生したと考えられる。
従って、実施例6で用いた第2の真空吸着ノズル1の場合は、溝8の幅Hは0.1mm以上、溝8の深さIは0.05mm以上が好ましいと考えられる。
(実施例7)
次に、実施例6と同様にして真空吸着ノズル1を作製し、図6に示すような形状の溝8を4本形成して、4本の溝8は吸着面2の外周を4等分するように配置した。溝8の幅Hおよび深さIは、表7に示すように設定した。そして、真空吸着ノズル1の円筒部5を、長さが6mm,外径が2mm,内径が0.3mmであり、円筒部5の肉厚が0.85mm、溝8の長さJが1mmとなるように作製した。これらを試料No.116〜123とした。
また、溝8の幅Hおよび深さIの値は、工具顕微鏡を用いて測定した。
次に、これらの第2の真空吸着ノズル1の試料を電子部品装着機14に取り付けて、0603タイプ(寸法が0.6mm×0.3mm)の電子部品15の真空吸着テストを行ない、電子部品15の位置ずれについて調べた。
まず、電子部品15の位置ずれについては、電子部品装着機14を稼動させて1000万個の吸着を行ない、ダミー基板上に電子部品15を実装して、電子部品15の位置ずれの個数を確認した。その結果について、位置ずれの数が0個のときは◎、1〜3個のときは○と表7に示した。また、位置ずれの数が4個以上は、従来と差がないか従来より劣るので、不合格として×と記入した。
得られた結果を表7に示す。
Figure 0005053391
表7に示す結果から、電子部品15の位置ずれについては、本発明の真空吸着ノズルの実施例である試料No.116〜123では、1000万個中で3個以内であった。
すなわち、本発明の実施例である試料No.116〜123では、幅Hが0.1〜0.7mmであり、深さIが0.1〜0.4mmである4本の溝8を有することから、吸着物(電子部品15)を位置ずれなく保持できた。特に、本発明の実施例である試料No.116〜117,120〜122では、吸着物の位置ずれが無いことから、溝8の幅Hと深さIとの大きさやバランスが優れており、吸着面2の外周近傍で気流が乱れにくかったと考えられる。
なお、試料No.118,119では、溝8の深さIが溝の幅Hと比較して浅いため、溝8に沿って流れる気流FCが少なく、位置ずれを防止する効果が小さくなって位置ずれが1〜3個発生したと考えられる。また、試料No.123では、溝8の幅Hが0.6mmを超えて大きいため、溝8自体の形成によって段差を設けたことと同じことになり、気流FCが乱れて吸着物がずれ易くなり、位置ずれが1〜3個発生したと考えられる。
これらの結果から、真空吸着ノズル1の溝8については、実施例6に示すように、溝8の幅Hは0.1mm以上、溝8の深さIは0.05mm以上が好ましく、実施例7で示すように、溝8の幅Hは0.6mm以下が好ましいと言える。また、実施例6および実施例7の結果から、溝8の幅Hと深さIとの比率H/Iが2を超えると、溝8内の気流FCが不安定となることが分かる。なお、比率H/Iの下限は、円筒部5の肉厚に応じて円筒部5が破損しない程度に決めればよい。
(実施例8)
次に、図11に示すように、実施例6で用いた試料No.111の真空吸着ノズル1の6本の溝8のうち、1本の溝8を形成しない5本の溝8を有した真空吸着ノズル1を作製した。この真空吸着ノズル1を電子部品装着機14に取り付けて、0603タイプ(寸法が0.6mm×0.3mm)の電子部品15の1000万個の吸着テストを行ない、ダミー基板上に電子部品15を実装して電子部品15の位置ずれについて調べた。
その結果、電子部品15の位置ずれについては、1000万個中で3個であった。試料No.111と比較して電子部品15の位置ずれの数が多くなったのは、5本形成された溝8の中に吸着面2の中心を挟んで対向する位置に同様の気流FCを生じさせる溝8の無い溝8aが含まれており、吸着面2の外周近傍で気流FCの対称性が一部崩れて、吸引時に吸着物の姿勢が傾いたためと考えられる。
以上のように、本発明の真空吸着ノズル1は、真空吸着ノズル1の側面から吸引孔3に向けて流れる空気の流れが乱れることがないので、吸着面2の所定の位置に正確に吸着物を吸着することができ、その移送先で吸着面2から吸着物を離脱するときには、吸着物が吸着面2に貼り付くこともなく、吸着物を離脱するために吸引孔3から空気を吸引するのを止めた際に、時間を要することなく短時間で吸着物の離脱を行なうことができる。
(実施例9)
次に、実施例1の試料No.7と同様の材料と製造方法を用いて、図4に示す例のような、真空吸着ノズル1の吸着面2の近傍の円筒部5の側面から吸着面2に向かって滑らかに変化する連続面7を有する形状の真空吸着ノズルと、試料No.7の材料と製造方法を用いて図6のような真空吸着ノズルの側面から吸着面に向かう複数の溝を有する形状の真空吸着ノズルとを作製して、位置ずれおよび持ち帰りについて実施例1と同様の評価を実施した。その結果、図4および図6に示す例の形状の真空吸着ノズルは、位置ずれおよび持ち帰りについてはともに3個以内であった。
以上のように、本発明の真空吸着ノズルによれば、滑り等によって吸着がずれることがなく確実に電子部品15を保持することができるので、電子部品15を落下させることなく搬送して所望の実装位置に確実に装着することができる。また、電子部品15を吸着した状態で第2成分の結晶粒子22と凹部15aとの間には空気の流通路が存在しているので、電子部品15が吸着面2に貼り付くこともなく、装着後に電子部品15を離すために吸引孔3から空気を吸引するのを止めたときに、時間を要することなく電子部品15を離すことができる。さらに、ベンチュリ効果により気流の流れが大きく乱れることは殆ど無く、吸着物はトレイから持ち上げられてから吸着面2に吸着されるまでの間の姿勢が安定し、吸着物を所定の位置で吸着することができて、電子部品15を装着したときの位置ずれを発生しにくくすることができる。

Claims (9)

  1. 吸着物を真空吸着する吸着面と、前記吸着面に連通する吸引孔とを備える真空吸着ノズルにおいて、
    前記吸着面を含む先端部がセラミックスからなり、
    前記セラミックスが、該セラミックスを構成する主成分と、該主成分の平均結晶粒径よりも大きい平均結晶粒径を有する第2成分とを含み、
    前記吸着面において、前記第2成分の結晶粒子が前記主成分の結晶粒子よりも突出しているとともに、
    前記主成分の平均結晶粒径が0.2μm以上1.0μm以下の範囲にあり、前記第2成分の平均結晶粒径が1.0μm以上22.0μm以下の範囲にあることを特徴とする真空吸着ノズル。
  2. 前記第2成分の平均突出高さが1μm以上7μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の真空吸着ノズル。
  3. 前記主成分がジルコニアであることを特徴とする請求項1または2に記載の真空吸着ノズル。
  4. 前記第2成分がアルミナであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の真空吸着ノズル。
  5. 前記第2成分が酸化亜鉛,酸化鉄,炭化チタン,窒化チタンのうちいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の真空吸着ノズル。
  6. 真空吸着ノズルの全長にわたる抵抗値が10Ω以上1011Ω以下であることを特徴とする請求項に記載の真空吸着ノズル。
  7. 前記吸着面の前記吸引孔付近が突出し、前記吸着面が外周から側面にかけて湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の真空吸着ノズル。
  8. 当該真空吸着ノズルの先端部の外周に、前記吸着面まで達する複数の溝を有することを特徴とする請求項1に記載の真空吸着ノズル。
  9. 前記複数の溝は同一形状であって、前記の真空吸着ノズルの先端部の外周に等間隔で形成されていることを特徴とする請求項に記載の真空吸着ノズル。
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