JP5052729B2 - 双環化合物の製造方法およびその中間体 - Google Patents
双環化合物の製造方法およびその中間体 Download PDFInfo
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- C07D209/02—Heterocyclic compounds containing five-membered rings, condensed with other rings, with one nitrogen atom as the only ring hetero atom condensed with one carbocyclic ring
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Description
本発明は、優れた抗菌剤として期待されるキノロン誘導体(特開平2−231475号および特開平3−95176号)の製造原料として使用する、スピロ環状構造のアミノ置換アザスピロアルカン化合物の新規な製造方法およびこの製造方法に有用な中間体化合物に関する。
背景技術
式(VIII)
(式中、nは、2から5の整数を表す。)
で表わされる化合物(アミノ置換アザスピロアルカン)は、従来、アセト酢酸エチルを出発原料とする多段階の製造工程を経て合成されていた(特開平2−231475号)。また、この化合物の単一の異性体からなる対掌体化合物は、当該化合物のラセミ体を光学活性な保護基を持ったジアステレオマー混合物に変換し、これから分取用高速液体クロマトグラフィーによって必要な異性体を分離した後に脱保護して得ていた(特開平3−95176号)。しかしこの方法は操作が煩雑であり、工業的製法としては改良の余地があった。
また、ストレッカー反応やディークマン反応を利用する製法も開発されていたが、これらを使用する従来の製造法は反応工程が長く、また不斉合成が困難である等の点があり、工業的には満足できる方法ではなかった。
本発明の目的は、スピロ環状構造を有するアミノ置換含窒素複素環化合物、とりわけ光学活性なアミノ置換アザスピロ[2.4]ヘプタン誘導体を簡便かつ短工程で、工業的に有利に製造する方法を提供することにある。
発明の開示
上記の実情に鑑み本発明者は鋭意研究した結果、次式
で表される化合物が(とりわけ、既知化合物であるn=2の化合物において)容易にかつ高収率で式(I)
で表される、一方のアルデヒド基が選択的にアセタール化された化合物を得ることができ、さらにこの式(I)の化合物が容易に式(II)
の化合物に変換できることを見出した。
また、本発明者は、式(X)
で表される化合物から容易に変換できる式(XI)
で表される化合物を酸化・アセタール化することによっても式(II)の化合物を容易に得ることができることを見出した。
さらに本発明者は、この式(II)の化合物を還元して得られる、式(III)
の化合物から式(IV)の化合物、
そして式(VII)の化合物を経て、式(VII1)
の化合物を得る方法を見出した。
さらに式(VII)の化合物のアミノ基の保護基を簡便に他のものに変換する方法をも見出した。
一方、式(II)の化合物は、アミノ基の結合する炭素原子が不斉炭素であるため、置換基R1が不斉を含む基である場合にはジアステレオマーが存在することになる。本発明者らは、この様なジアステレオマーである式(II)の化合物を製造する際に、ジアステレオマーの生成比率に偏りが生じ、一方のジアステレオマーが他方よりも優位に得られることも見出した。したがって、これを利用することで必要な立体の異性体を優位に取得できることを見出した。
さらに本発明者らは、上記の式(II)の化合物のジアステレオマー混合物は、加熱処理、とりわけプロトン性溶媒中で加熱処理することで一方のジアステレオマーのエピメリゼーションが起こり、他方のジアステレオマーが優位となった混合物が得られることも見出した。すなわちこの異性化によって不要な立体の化合物も必要な立体の化合物に変換でき、必要な立体の異性体を効率よく取得できることが可能となった。
本願発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち本発明は、以下の製造方法に関するものである。
式(VIII)
で表される化合物、その塩、またはそれらの水和物の製造方法であって、次に示すProcess AまたはBのいずれかの方法によって式(II)
で表される化合物を得、この化合物のシアノ基を還元して式(III)
で表される化合物を得、この化合物を酸触媒の存在下に加水分解して、式(III−ALD)
で表される化合物を得、この化合物を中性または塩基性条件下で分子内閉環させて、式(IV)
で表される化合物を得、この化合物を還元して式(VII)
で表される化合物を得、この化合物のR1が水素原子でない場合にはR1を水素原子に変換する各プロセスからなることを特徴とする方法。
Process A:
次式
で表される化合物に、酸触媒の存在下においてアセタール化剤を、所望により添加剤の存在下で反応させて、式(I)
で表される化合物を得、この化合物を式(VI)
H2N−R1 VI
で表される化合物またはその塩と、シアノ化剤とを反応させる方法;
Process B:
式(X)
で表される化合物に、式(VI)
H2N−R1 (VI)
で表される化合物またはその塩と、シアノ化剤を反応させ、式(XI)
で表される化合物を得、この化合物を酸化して、式(II−ALD)
で表される化合物を得、この化合物に、酸触媒の存在下においてアセタール化剤を、所望により添加剤の存在下で反応させる方法。
{上記の各式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
[式中、Ra、RbおよびRcは、各々独立に、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]で表される基を表し、
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。)};
式(II)で表される化合物の製造方法がProcess Aである上記の製造方法;
式(II)で表される化合物の製造方法がProcess Bである上記の製造方法;
シアノ基の還元が、接触水素添加反応または金属ヒドリドを使用した還元である上記の製造方法;
シアノ基の還元が、接触水素添加反応を使用した還元である上記の製造方法;
酸触媒が、塩酸である上記の製造方法;
閉環反応が、中性または塩基性条件下で実施される閉環反応である上記の製造方法;
R2およびR3が炭素数1から4のアルコキシ基である上記の製造方法;
R2およびR3がエトキシ基である上記の製造方法;
式(IV)で表される化合物の還元が、接触水素添加反応または金属ヒドリドを使用する還元である上記の製造方法;
式(IV)で表される化合物の還元が、接触水素添加反応である上記の製造方法;
触媒が、ラネーニッケルまたはラネーコバルトである上記の製造方法;
式(I)
で表される化合物に、式(VI)
H2N−R1 VI
で表される化合物またはその塩と、シアノ化剤とを反応させ、式(II)
で表される化合物を得、この化合物のシアノ基を還元して式(III)
で表される化合物を得、この化合物を酸触媒の存在下に加水分解して、式(III−ALD)
で表される化合物を得、この化合物を中性または塩基性条件下で分子内閉環させて、式(IV)
で表される化合物を得、この化合物を還元して式(VII)
で表される化合物を得、この化合物のR1が水素原子でない場合にはR1を水素原子に変換することを特徴とする式(VIII)
で表される化合物またはその塩の製造方法{上記の各式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
[式中、Ra、RbおよびRcは、各々独立に、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]で表される基を表し、
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。)};
式(I)で表される化合物が、式(I−R)
(式中、Rは、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。nは、2から5の整数を表す。)
で表される化合物である上記の製造方法;
式(I−R)で表される化合物が、式
(式中、nは、2から5の整数を表す。)
で表される化合物に、酸触媒の存在下においてアセタール化剤を、所望により添加剤の存在下で反応させて得られる化合物である上記の製造方法;
式(I−R)で表される化合物が、式
(式中、nは、2から5の整数を表す。)
で表される化合物に、酸触媒の存在下において、式
HC(R)3
(式中、Rは、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。)
で表される化合物を反応させて得られる化合物である上記の製造方法;
添加剤が、式
HC(R)3
(式中、Rは、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。)
で表される化合物であるかまたは脱水剤である上記の製造方法;
式(I−R)で表される化合物が、式
(式中、nは、2から5の整数を表す。)
で表される化合物に、酸触媒および添加剤である脱水剤の存在下において、式
HR
(式中、Rは、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。)
で表される化合物を反応させて得られる化合物である上記の製造方法;
脱水剤が、無機塩の無水物である上記の製造方法;
脱水剤が無水硫酸マグネシウムまたは無水硫酸ナトリウムである上記の製造方法;
式(I−R)で表される化合物が、式
で表される化合物に、酸触媒および添加剤である触媒量の式
HC(R)3
(式中、Rは、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。)
で表される化合物の存在下において、式
HR
(式中、Rは、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。)
で表される化合物を反応させて得られる化合物である上記の製造方法;
酸触媒がスルホン酸化合物である上記の製造方法;
Rがエトキシ基である上記の製造方法;
シアノ化剤がシアン化水素またはアセトンシアンヒドリンである上記の製造方法;
シアノ化剤がシアン化水素である上記の製造方法;
シアノ化剤がアセトンシアンヒドリンである上記の製造方法;
式(II)で表される化合物のシアノ基の還元が、接触水素添加による還元である上記の製造方法;
式(IV)で表される化合物の還元が、金属ヒドリド化合物または接触水素添加による還元である上記の製造方法;
式
(式中、nは、2から5の整数を表す。)
で表される化合物に、酸触媒の存在下においてアセタール化剤を、所望により添加剤の存在下で反応させることを特徴とする式(I)
{式中、nは、2から5の整数を表し、
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。}
で表される化合物の製造方法;
R2およびR3が、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基である上記の製造方法;
式(I)の化合物が、式
(式中、nは、2から5の整数を表す。)
で表される化合物に、酸触媒の存在下において、式
HC(R)3
(式中、Rは、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。)
で表される化合物を反応させて得られる化合物である上記の製造方法;
添加剤が、式
HC(R)3
(式中、Rは、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。)
で表される化合物であるかまたは脱水剤である上記の製造方法;
式(I)で表される化合物が、式
(式中、nは、2から5の整数を表す。)
で表される化合物に、酸触媒および添加剤である脱水剤の存在下において、式
HR
(式中、Rは、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。)
で表される化合物を反応させて得られる化合物である上記の製造方法;
脱水剤が、無機塩機の無水物である上記の製造方法;
脱水剤が無水硫酸マグネシウムまたは無水硫酸ナトリウムである上記の製造方法;
式(I)で表される化合物が、式
で表される化合物に、酸触媒および添加剤である触媒量の式
HC(R)3
(式中、Rは、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。)
で表される化合物の存在下において、式
HR
(式中、Rは、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。)
で表される化合物を反応させて得られる化合物である上記の製造方法;
酸触媒がスルホン酸化合物である上記の製造方法;
Rがエトキシ基である上記の製造方法;
式(I)
[式中、nは、2から5の整数を表し、
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。]
で表される化合物に、式(VI)
H2N−R1 VI
{式中、R1は、水素原子または式
[式中、Ra、RbおよびRcは、各々独立に、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される基を表す。}
で表される化合物またはその塩と、シアノ化剤とを反応させることを特徴とする式(II)
[式中、n、R1、R2およびR3は、各々、先の定義と同一である。]
で表される化合物の製造方法;
シアノ化剤がシアン化水素またはアセトンシアンヒドリンである上記の製造方法;
シアノ化剤がシアン化水素である上記の製造方法;
シアノ化剤がアセトンシアンヒドリンである上記の製造方法;
式(X)
で表される化合物に、式(VI)
H2N−R1 (VI)
で表される化合物またはその塩と、シアノ化剤を反応させ、式(XI)
で表される化合物を得、この化合物を酸化して、式(II−ALD)
で表される化合物を得、この化合物に、酸触媒の存在下においてアセタール化剤を、所望により添加剤の存在下で反応させることを特徴とする式(II)
{上記の式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
[式中、各々独立してRa、RbおよびRcは、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される基を表し、
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。}
で表される化合物の製造方法;
酸化剤が、コリンズ試薬、クロロクロム酸ピリジニウム、二クロム酸ピリジニウム、デス−マーチン、またはペルヨージナンである上記の製造方法;
酸化剤が、クロロクロム酸ピリジニウムである上記の製造方法;
式(II)で表される化合物が、式(II−R)
{式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
[式中、各々独立してRa、RbおよびRcは、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される基を表し、
Rは、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。}
で表される化合物である上記の製造方法;
式(II−R)で表される化合物が、式(II−ALD)
で表される化合物に、酸触媒の存在下において、式
HC(R)3
(式中、Rは、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。)
で表される化合物を反応させて得られる化合物である上記の製造方法;
Rがエトキシ基である上記の製造方法;
酸触媒がスルホン酸化合物である上記の製造方法;
シアノ化剤がシアン化水素またはアセトンシアンヒドリンである上記の製造方法;
シアノ化剤がシアン化水素である上記の製造方法;
R1が式
[式中、各々独立してRa、RbおよびRcは、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される基である上記の製造方法;
式(II)
{式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
[式中、Ra、RbおよびRcは、各々独立に、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される基を表し、
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。}
で表される化合物またはその塩のシアノ基を還元することを特徴とする式(III)
[式中、n、R1、R2およびR3の定義は、各々、先の定義と同一である。]で表される化合物の製造方法;
還元が、接触水素添加反応または金属ヒドリドを使用した還元である上記の製造方法;
還元が、接触水素添加反応を使用した還元である上記の製造方法;
式(III)で表わされる化合物が立体化学的に単一な化合物である上記の製造方法;
式(III)で表される化合物が次式に示す立体配置の化合物である、上記の製造方法;
(式中、n、R1、R2およびR3の定義は、各々、先の定義と同一である。)
式(III)
{式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
[式中、Ra、RbおよびRcは、各々独立に、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される基を表し、
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。}
で表される化合物またはその塩を閉環させることを特徴とする式(IV)
[式中、nおよびR1の定義は、各々、先の定義と同一である。]
で表される化合物の製造方法;
式(III)で表わされる化合物を酸触媒の存在下に加水分解させ、得られた加水分解生成物を閉環する工程である上記の製造方法;
加水分解生成物が式(III−ALD)
{式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
[式中、Ra、RbおよびRcは、各々独立に、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される基を表す。}
で表される化合物である上記の製造方法;
酸触媒が、塩酸である上記の製造方法;
閉環反応が、中性または塩基性条件下で実施される閉環反応である上記の製造方法;
式(IV)で表わされる化合物が立体化学的に単一な化合物である上記の製造方法;
式(IV)で表される化合物が次式に示す立体配置の化合物である、上記の製造方法;
(式中、nおよびR1の定義は、各々、先の定義と同一である。)
R2およびR3が炭素数1から4のアルコキシ基である上記の製造方法;
R2およびR3がエトキシ基である上記の製造方法;
式(IV)
{式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
[式中、Ra、RbおよびRcは、各々独立に、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される基を表す。}
で表される化合物を還元することを特徴とする式(VII)
[式中、n、R1、R2およびR3の定義は、各々、先の定義と同一である。]で表される化合物の製造方法;
還元が、接触水素添加反応または金属ヒドリドを使用する還元である上記の製造方法;
還元が、接触水素添加反応である上記の製造方法;
触媒が、ラネーニッケルである上記の製造方法;
式(VII)で表わされる化合物が立体化学的に単一な化合物である上記の製造方法;
式(VII)で表わされる化合物が次式
(式中、nおよびR1の定義は、各々、先の定義と同一である。)
に示す立体配置の化合物である上記の製造方法;
式(II)
{式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
[式中、Ra、RbおよびRcは、各々独立に、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される基を表し、
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。}
で表される化合物のシアノ基が結合する炭素原子の不斉に基づく異性体の混合物であって、次式
(式中、n、R1、R2およびR3の定義は、各々、先の定義と同一である。)に示す異性体の含量が他方の異性体の含量よりも少ない混合物を処理して、当該化合物の含量を他方の異性体の含量よりも増加させることを特徴とする異性体混合物の製造方法;
処理方法が加熱である上記の製造方法;
処理方法が極性溶媒中の加熱である上記の製造方法;
極性溶媒がアルコールである上記の製造方法;
アルコールがエタノールである上記の製造方法;
式(I)
[式中、nは、2から5の整数を表し、R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。]
で表される化合物に式(VI)
H2N−R1 VI
{式中、R1は、水素原子または式
[式中、Ra、RbおよびRcは、各々独立に、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシル基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される基を表す。}
表される化合物またはその塩と、シアノ化剤とを反応させ、生成する式(II)
[式中、n、R1、R2およびR3は、各々、先の定義と同一である。]
で表される化合物のうちの次式
[式中、n、R1、R2およびR3は、各々、先の定義と同一である。]
に示す異性体化合物を分離させた後、残存する次式
[式中、n、R1、R2およびR3は、各々、先の定義と同一である。]
に示す異性体化合物を異性化させることを特徴とする次式
[式中、n、R1、R2およびR3は、各々、先の定義と同一である。]
に示す異性体化合物の製造方法;
反応がアルコール中で実施される製造方法である上記の製造方法;
シアノ化剤がシアン化水素またはアセトンシアンヒドリンである上記の製造方法;
シアノ化剤がシアン化水素である上記の製造方法;
シアノ化剤がアセトンシアンヒドリンである上記の製造方法;
式(II)
[式中、n、R1、R2およびR3は、各々、先の定義と同一である。]
で表される化合物のうちの次式
[式中、n、R1、R2およびR3は、各々、先の定義と同一である。]
に示す異性体化合物を分離させる方法が、反応混合物に水を添加して該異性体を析出させる方法である上記の製造方法;
残存する次式
[式中、n、R1、R2およびR3は、各々、先の定義と同一である。]
に示す異性体化合物の異性化方法が加熱による異性化である上記の製造方法;
nが2である上記の製造方法;
Ra、Rb、およびRcが、メチル基、エチル基、フェニル基,4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基およびナフチル基からなる群の基から選ばれる基である上記の製造方法;
Ra、Rb、およびRcが互いに異なる基である上記の製造方法;
置換基R1が、(R)−1−フェニルエチル基、(S)−1−フェニルエチル基、(R)−1−フェニルプロピル基、(S)−1−フェニルプロピル基、(R)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチル基、(S)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチル基、(R)−1−(1−ナフチル)エチル基、(S)−1−(1−ナフチル)エチル基、(R)−1−(4−メトキシフェニル)エチル基、(S)−1−(4−メトキシフェニル)エチル基、(R)−1−(4−クロロフェニル)エチル基、(S)−1−(4−クロロフェニル)エチル基、(R)−1−(4−ニトロフェニル)エチル基、(S)−1−(4−ニトロフェニル)エチル基、(R)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル基、(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル基、(R)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチル基、(S)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチル基、(R)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチル基、(S)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチル基、(R)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチル基および(S)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチル基からなる群の基から選ばれる基である上記の製造方法;
置換基Rlが、(R)−1−フェニルエチル基または(S)−1−フェニルエチル基である上記の製造方法;
等である。
さらに、本願発明は以下の各化合物に関するものである。
式(I)
{式中、nは、2から5の整数を表し、
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。}
で表される化合物;
R2およびR3が、炭素数1から4のアルコキシ基である上記の化合物;
R2およびR3が、エトキシ基である上記の化合物;
式(II)
{式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
[式中、Ra、RbおよびRcは、各々独立に、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される基を表し、
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。}
で表される化合物、その塩、およびそれらの水和物;
式(II)で表される化合物が、次式に示す立体配置の化合物である上記の化合物、その塩、およびそれらの水和物;
(式中、n、R1、R2およびR3の定義は、各々、先の定義と同一である。)
式(II−ALD)
{式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
[式中、Ra、RbおよびRcは、各々独立に、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]}
で表される化合物、その塩、およびそれらの水和物;
式(II−ALD)で表される化合物が次式に示す立体配置の化合物である上記の化合物、その塩、およびそれらの水和物;
(式中、nおよびR1の定義は、各々、先の定義と同一である。)
式(III)
{式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
[式中、Ra、RbおよびRcは、各々独立に、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される基を表し、
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。}
で表される化合物、その塩、およびそれらの水和物;
式(III)で表される化合物が次式に示す立体配置の化合物である上記の化合物、その塩、およびそれらの水和物;
(式中、n、R1、R2およびR3の定義は、各々、先の定義と同一である。)
R2およびR3が、炭素数1から4のアルコキシ基である上記の化合物またはその塩;
R2およびR3が、エトキシ基である上記の化合物またはその塩;
式(III−ALD)
{式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
[式中、Ra、RbおよびRcは、各々独立に、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される基を表す。}
で表される化合物、その塩、およびそれらの水和物;
式(III−ALD)で表される化合物が次式に示す立体配置の化合物である上記の化合物、その塩、およびそれらの水和物;
(式中、nおよびR1の定義は、各々、先の定義と同一である。)
式(IV)
{式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
[式中、Ra、RbおよびRcは、各々独立に、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]}
で表される化合物、その塩、およびそれらの水和物;
式(IV)で表される化合物が次式に示す立体配置の化合物である上記の化合物、その塩、およびそれらの水和物;
(式中、nおよびR1の定義は、各々、先の定義と同一である。)
式(XI)
{式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
[式中、各々独立してRa、RbおよびRcは、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される基を表す。}
で表される化合物、その塩、およびそれらの水和物;
nが2である上記の化合物、その塩、およびそれらの水和物;
R1が式
[式中、各々独立してRa、RbおよびRcは、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される基である上記の化合物、その塩、およびそれらの水和物;
Ra、Rb、およびRcが、互いに異なる基である上記の化合物、その塩、およびそれらの水和物;
Ra、Rb、およびRcが、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基およびナフチル基からなる群の基から選ばれる置換基である上記の化合物、その塩、およびそれらの水和物;
置換基R1が、(R)−1−フェニルエチル基、(S)−1−フェニルエチル基、(R)−1−フェニルプロピル基、(S)−1−フェニルプロピル基、(R)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチル基、(S)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチル基、(R)−1−(1−ナフチル)エチル基、(S)−1−(1−ナフチル)エチル基、(R)−1−(4−メトキシフェニル)エチル基、(S)−1−(4−メトキシフェニル)エチル基、(R)−1−(4−クロロフェニル)エチル基、(S)−1−(4−クロロフェニル)エチル基、(R)−1−(4−ニトロフェニル)エチル基、(S)−1−(4−ニトロフェニル)エチル基、(R)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル基、(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル基、(R)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチル基、(S)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチル基、(R)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチル基、(S)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチル基、(R)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチル基および(S)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチル基からなる群の基から選ばれる基である上記の化合物、その塩、およびそれらの水和物;
置換基R1が、(R)−1−フェニルエチル基または(S)−1−フェニルエチル基である上記の化合物、その塩、およびそれらの水和物;
等である。
(発明の実施の形態)
以下に本発明について詳細に述べる。なお、本願明細書において、『光学的に単一』あるいは『立体化学的に単一』とは、複数の異性体が存在する構造の化合物において、これらのうちのいずれか1つの異性体からなる化合物であることを意味する。さらに、これは他の異性体を全く含有しない場合だけでなく、化学的に純粋な程度のものも含む。すなわち、物理定数や生理活性に対して影響がない程度であれば他の異性体が含まれていてもよい。
以下に本願発明の製造方法について述べる。
まず、式(II)の化合物の製造方法について述べる。式(II)の化合物はProcess AおよびProcess Bの2つの方法で製造できる。
Process A
式(I)
で表される化合物であるが、次式
で表される化合物の一方のアルデヒド基を選択的にアセタール化することによって得ることができる。上記のジアルデヒド化合物のうち、n=2の化合物は、既知化合物(特開平8−133997号)である。本発明の選択的アセタール化はジアルデヒド化合物に対して、触媒存在下においてアセタール化剤を、所望により添加剤の存在下で反応させればよい。アセタール化剤としてはオルトギ酸アルキルやアルコールを使用すればよく、添加剤としては無機塩の無水物等の脱水剤を使用するか、あるいはオルトギ酸アルキル自体を添加剤として反応促進剤的に使用することもできる。
本反応で使用する触媒は酸でよいが、この酸は有機酸および無機酸のいずれでもよい。無機酸としては、塩酸、硫酸等を挙げることができるが、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、ボロントリフルオライド等のルイス酸も使用できる。有機酸としては、置換基を有していてもよいカルボン酸類または置換基を有していてもよいスルホン酸類を挙げることができる。置換基を有していてもよいカルボン酸類としては、トリフルオロ酢酸等がよい。一方、置換基を有していてもよいスルホン酸類としては、置換基を有していてもよい芳香族スルホン酸類、置換基を有していてもよい脂肪族スルホン酸類を挙げることができる。置換基を有していてもよい芳香族スルホン酸化合物としては、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等を挙げることができ、置換基を有していてもよい脂肪族スルホン酸化合物としては、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、カンファースルホン酸等を挙げることができる。酸触媒としてはスルホン酸化合物が好ましい。使用量は触媒量でよい。
本反応で使用される溶媒は、反応に悪影響を及ぼさない限り、特に制限はなくいずれの溶媒も使用できる。例えば、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等)、脂肪族炭化水素(ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等)、ハロゲン化炭素水素(ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン類)、エステル類(酢酸エチル等)、アセトニトリル等を挙げることができ、そ他にケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)でも実施可能である。
本反応は、−50から100℃程度の範囲の温度で実施すればよいが、好ましくは、0から60℃の範囲がよい。
選択的アセタール化の具体的方法は以下のとおりであるが、大別して2種類の方法がある。
先ず、ジアルデヒド化合物とオルトギ酸アルキルを酸触媒存在下に反応させる方法である。ここでオルトギ酸アルキルはアセタール化剤として作用する。使用するオルトギ酸アルキルは、式(I)で表される化合物の置換基R2およびR3に対応する構造のものを使用すればよい。例えば、R2およびR3がメトキシ基であればオルトギ酸メチルであり、エトキシ基であればオルトギ酸エチルというようにしてオルトギ酸アルキルを選択すればよい。使用するオルトギ酸アルキルの量は、ジアルデヒド化合物に対して1当量から2当量の範囲でよいが、1当量から1.5当量の範囲が好ましい。この方法は0から30℃の温度範囲で実施して、優れた収率と選択性で目的の化合物(I)(モノアセタール体)を得ることができる。例えば、トルエン中、パラトルエンスルホン酸を触媒として、オルトギ酸エチル(1.1当量)を使用して1,1−シクロプロパンジカルボアルデヒドとの反応を行ったところ、95%以上の選択性でモノアセタール化(ジアルデヒド化合物の一方のアルデヒド基がアセタール化されることを意味する。)が進行した。
次に酸触媒の存在下、ジアルデヒド化合物とアルコールとからアセタール化合物を得る方法について述べる。この方法では、添加剤の存在下に実施することで優れた収率と選択性が達成される。
先ず添加剤として脱水剤を加える方法について述べる。脱水剤は、アセタール化で生ずる水を除去し、アセタールの生成に平衡をずらすために効果的である。
脱水剤は、反応を阻害しないものであればいかなるものも使用できる。例えば無機塩の無水物が使用できるが、脱水能の高いものが好ましく、具体的には、無水硫酸マグネシウムを挙げることができる。また、無水硫酸ナトリウムなども使用でき、さらにはモレキュラーシーブス等を使用してもよい。生成する水を補足するに等しい量から大過剰の範囲でよいが、ジアルデヒド化合物と等モル程度を使うのが簡便である。
この方法で使用するアルコールも先と同様にして、式(I)で表される化合物の置換基R2およびR3に対応する構造のものを使用すればよい。例えば、R2およびR3がメトキシ基であればメタノール、エトキシ基であればエタノールというようにしてアルコールを選択すればよい。使用するアルコールの量は、ジアルデヒド化合物に対して2当量から大過剰(溶媒を兼ねさせてもよい)の範囲でよい。
例えば、エタノールを溶媒兼用で使用して、無水硫酸マグネシウム(等モル)および触媒量のパラトルエンスルホン酸の存在下で反応を実施し、選択性9:1程で目的の化合物(I)を得た。
ジアルデヒド化合物とアルコールとからアセタール化合物を得る方法においては、オルトギ酸アルキルを添加剤として加えても優れた結果を得ることができる。この場合、オルトギ酸アルキルは反応促進剤的に作用すると考えられ、アルコールは化学量論的(あるいはそれ以上)に使用し、オルトギ酸アルキルは触媒量の添加でよい。例えばジアルデヒド化合物に対して0.1から0.2当量程度を使用すればよい。
以上に述べた式(I)の化合物の製造法は、置換基R2およびR3が同一のアルコキシ基である化合物(I)の製造に適している。一方、置換基R2およびR3が異なるアルコキシ基である化合物や、アルキレンジオキシ基の化合物は、一旦同一のアルコキシ基のアセタール化合物を調製した後にアセタールの交換反応等を利用して調製することができる。あるいは、ヘミアセタールを調製し、これをさらに別のアセタール化剤と反応させて得ることができる。
化合物(I)から化合物(II)への工程
次に式(II)
で表される化合物の製法について述べる。この化合物を得るには、式(I)で表される化合物に対し、式(VI)
NH2−R1 VI
(R1は既に述べたとおりの置換基でよい。)
で表される化合物またはその塩の存在下で、シアノ化剤を反応させていわゆるストレッカー反応を実施すればよい。
式(VI)で表される化合物の塩としては酸付加塩を挙げることができるが、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩あるいは硝酸塩等の無機酸塩を例示することができる。これらの塩を使用するときはこの塩を遊離の塩基にできる量の塩基を別途添加することが必要である。
また、式(VI)で表わされる化合物が、不斉炭素を有する化合物となったものが好ましく、さらには、2つの光学異性体のうち、どちらか一方の異性体のみの場合、すなわち光学的に単一な化合物であることが好ましい。
式(VI)で表される化合物としては、例えば、(R)−または(S)−1−フェニルエチルアミン、(R)−または(S)−1−フェニルプロピルアミン、(R)−または(S)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(1−ナフチル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(4−クロロフェニル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(4−ニトロフェニル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチルアミン等を挙げることができる。
本工程において使用するシアノ化剤は、シアン化水素あるいはシアン化合物を使用すればよい。
シアン化水素を用いて反応を実施するとき、使用されるシアン化水素は、反応系外で発生させたガスを系内に導入してもよいが、反応系内で直接発生させてもよい。反応系内で発生させるときはシアン化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化リチウム等のシアン化アルカリ類と、塩酸に代表される種々の酸性物質との水中での塩交換反応が利用できる。また、上記のシアン化アルカリ類に亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤を加えて発生させてもよい。
シアン化水素の代りとして各種のシアン化合物を用いて反応を実施することができる。このようなシアン化合物としては、アセトンシアンヒドリン、シクロヘキサノンシアンヒドリン等のシアンヒドリン化合物、トリメチルシリルシアニド、ジエチルホスホリルシアニド等の有機シアン化合物、ジエチルアルミニウムシアニド、トリブチルスズシアニド等の有機金属シアン化合物を挙げることができる。これらのシアン化合物は反応混合物に加えることで反応が進行するので、簡便でありかつ安全性も高く工程としては有利である。
本反応では反応に悪影響を及ぼさない限り、いずれの溶媒も使用できる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン等のケトン類;アセトニトリル等の含窒素系溶媒;トルエン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;等を挙げることができる。さらにこれらの溶媒は混合溶媒としてもよく、必要に応じて含水溶媒として使用してもよい。溶媒としてはアルコール類あるいは含水アルコール類を使用するのが好ましい。
本工程をシアン化水素にて実施するときは、式(I)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、そしてシアン化水素の発生源となる化合物(上記のシアン化アルカリ類や有機シアン化合物、そして有機金属シアン化合物等)を溶媒中に混合しておき、ここへシアン化水素の発生剤を加える方法を採用するのがより簡便で好ましい。
本工程をアセトンシアンヒドリン等のシアン化合物を使用して実施する場合は、シアン化水素の発生剤の添加が不要であり、さらに簡便で好ましい。
本工程は、いずれの場合も−20℃から100℃程度の範囲の温度で行えばよく、好ましくは室温から溶媒の沸点程度である。
本反応を光学的に単一なアミン類と行うと、生成物は2種のジアステレオマー混合物となるが、一方のジアステレオマーが他方よりも優先的に生成する。すなわち、ジアステレオ選択的に反応が進行することが特徴的である。例えば、アミン類として、(S)−1−フェニルエチルアミンを用いた場合、(2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリルとそのジアステレオマーである(2R)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリルとの混合物となるが、その生成比は、2:1であった(したがって、(R)−1−フェニルエチルアミンを用いた場合、(2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1R)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリルとそのジアステレオマーである(2R)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1R)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリルとの混合物となるが、その生成比は、約1:2になると考えられる。)。
ここで得られる2種のジアステレオマーは、通常の方法で分離可能である。例えば、晶析によって分離できる他(結晶となる化合物の場合)、シリカゲルカラムクロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィーあるいは高速液体クロマトフラフィー等を用いて分離すればよい。
ここで分離された光学活性体のうち必要でない異性体は、極性溶媒中で処理してエピメリゼーションさせ、すなわちアミノ基およびシアノ基の結合した炭素原子の立体配置を転換させて、必要とする異性体を含むジアステレオマーの混合物に容易に変換することができる。そして、この混合物から目的の立体配置を有する化合物を分離して得ることができる。
用いる極性溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない限り、いずれの溶媒も使用できるが、好ましくはプロトン性溶媒であり、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類を挙げることができる。さらに、これらプロトン性溶媒と他の溶媒の混合溶媒を用いてもよい。他の溶媒としては、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等の含窒素系溶媒類等を挙げることができる。
また、このエピメリゼーションは加熱して行ってもよい。すなわち、(2R)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−ナフチルエチル]アミノ}アセトニトリルをエタノール中で加熱処理すると、(2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−ナフチルエチル]アミノ}アセトニトリルと(2R)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−ナフチルエチル]アミノ}アセトニトリルとの2.9:1の混合物となった。このようにして容易に、目的とする立体配置を有する光学活性体に転換することが可能である。
さらに本願発明者は、一方のジアステレオマーが結晶(固形物)として析出し易い場合には、他方のジアステレオマーがもう一方のジアステレオマーに転換されることから、ジアステレオマーの変換と晶析単離の工程を一連の工程として実施できるのではないかと考えた。すなわち、ストレッカー反応の終了後、使用した溶媒の溶解度を減少させるために反応混合物に水等を加えてから加熱処理することで、晶析とジアステレオマーの変換を、一気にそして連続的に実施できると考えたのである。そしてこの方法によって目的のジアステレオマーを収率よく得ることに成功したのである。 すなわち、反応混合物の溶媒の溶解度を下げることで一方のジアステレオマーの析出が促進され、一方、反応液中には溶解度の高い他方のジアステレオマーが溶存しており、これが加熱によってもう一方のジアステレオマーへの変換が進行し、生成したこのジアステレオマーは溶解度が小さいため析出し、この析出によって更なるジアスレテオマーへの転換が進行するのである。
したがってこの方法を実施するには、ストレッカー反応の終了後に、同反応において使用する溶媒の溶解度を減少させる物質を反応混合物に添加することが必要である。このための物質としては、反応溶媒と混和し、かつ生成物に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定はない。例えばアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン等水と混和する溶媒については水を挙げることができ、水と混和しない溶媒については、ヘキサンやベンゼン等の炭化水素類を挙げることができる。溶解度を低下させるための溶媒の添加量は、不要のジアステレオマーが析出しない程度であればよい。
この工程の加熱の温度は、析出した結晶が再溶解してしまわない程度で、より低い温度であればよい。例えば、30から60℃程度の加熱温度でよく、より好ましくは、40から50℃程度である。
式(II)の化合物で、置換基R1が、例えばアルコキシカルボニル基類やアラルキルオキシカルボニル基類、脂肪族もしくは芳香族アシル基類である化合物は、式(II)の化合物でR1が水素原子である化合物から通常行われる置換反応によって容易に変換して得ることができる。
Process B
化合物(X)から化合物(XI)への工程
式(XI)で表される化合物を得るには、式(X)で表される化合物に対し、式(VI)
H2N−R1 (VI)
で表わされる化合物の存在下でシアノ化剤を反応させ、いわゆるストレッカー反応を実施すればよい。なお、式(X)で表される化合物のうち、n=2の化合物は参考例2および参考例3に示した方法で得られる(特願2001−044405号)。
本反応において使用するシアノ化剤は、シアン化水素あるいはシアン化合物を使用すればよい。
シアン化水素を用いて反応を実施する際、反応系外で発生させたガス状シアン化水素を導入する手法、および反応系内で直接シアン化水素を発生させる手法のどちらでもよい。反応系内で直接発生させる場合は、シアン化カリウム、シアン化ナトリウムおよびシアン化リチウムなどのシアン化アルカリ金属類と、種々の酸性物質との水中での塩交換反応が利用できる。また、上記のシアン化アルカリ金属類に亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤を加えて発生させることもできる。
シアン化合物を用いて反応を実施する場合、アセトンシアンヒドリン等のシアンヒドリン化合物、トリメチルシリルシアニド等の有機シアン化合物およびジエチルアルミニウムシアニド等の有機金属シアン化合物等を挙げることができる。
式(VI)で表される化合物としては、例えば、(R)−または(S)−1−フェニルエチルアミン、(R)−または(S)−1−フェニルプロピルアミン、(R)−または(S)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(1−ナフチル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(4−クロロフェニル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(4−ニトロフェニル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチルアミン等を挙げることができる。
本反応において使用する溶媒は、反応に悪影響を及ぼさない限り、いずれの溶媒も使用することができる。例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等の含窒素系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。さらにこれらの溶媒は混合溶媒としてもよく、含水溶媒としてもよい。これらの中では含水アルコールが望ましい。
本反応は、いずれの場合も−20℃から100℃程度の範囲の温度で行えばよく、室温から溶媒の沸点程度の温度が望ましい。
化合物(XI)から化合物(II−ALD)への工程
式(II−ALD)で表される化合物を得るには、式(XI)で表される化合物に酸化剤を作用させ、一級水酸基の酸化をアルデヒドの段階で停止させればよい。
本反応において使用する酸化剤は、一級水酸基の酸化をアルデヒドの段階で停止できる酸化剤であればいずれのものも使用することができる。例えばコリンズ(Collins)試薬、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、二クロム酸ピリジニウム(PDC)、デス−マーチン(Dess−Martin)、ペルヨージナン等を挙げることができる。これらの中では、クロロクロム酸ピリジニウムが望ましい。また、スワーン(Swern)酸化等の一級水酸基をアルデヒドへ変換する酸化反応も用いることができる。
本反応において使用する溶媒は、反反応に悪影響を及ぼさない限り、いずれの溶媒も使用することができる。例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等の含窒素系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。これらの中ではハロゲン化炭化水素が好ましく、特にジクロロメタンが好ましい。
本反応は、酸化反応条件により異なるが、−78℃から溶媒の沸点程度程度の範囲の温度で行えばよい。
化合物(II−ALD)から化合物(II)への工程
式(II)で表される化合物を得るには、式(II−ALD)で表される化合物に対して酸触媒の存在下で、所望によりアルコールを添加し、オルトギ酸アルキルを作用させてアセタール化すればよい。
オルトギ酸アルキルとしては、アルキル部位が式(II)で表される化合物の置換基R2およびR3に対応する構造のものを使用すればよい。例えば、R2およびR3がメトキシ基であればメチル、エトキシ基であればエチルというようにしてオルトギ酸アルキルを選択すればよい。アルコールを添加する場合は、オルトギ酸アルキルのアルキルと同じアルコールを使用すればよく、オルトギ酸メチルではメチルアルコール、オルトギ酸エチルではエチルアルコールというようにして選択すればよい。
本反応において使用する酸触媒は、有機酸および無機酸のいずれでもよい。有機酸としては酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類等を挙げることができる。無機酸としては塩酸、硫酸等が挙げられ、また四塩化チタン、ボロントリフルオライド等のルイス酸類も使用することができる。これらのうちでp−トルエンスルホン酸が望ましい。酸の量は触媒量でよく、化合物(II−ALD)に対して1/10から1/100モルの範囲でよい。
本反応において使用する溶媒は、反応に悪影響を及ぼさない限り、いずれの溶媒も使用することができる。例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等の含窒素系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。
本反応は、いずれの場合も室温から100℃程度の範囲の温度で行えばよい。
以上述べた式(II)の化合物の製造法は、置換基R2およびR3が同一のアルコキシ基である化合物(II)の製造に適している。一方、置換基R2およびR3が異なるアルコキシ基である化合物や、アルキレンジオキシ基の化合物は、一旦同一のアルコキシ基のアセタール化合物を調製した後にアセタールの交換反応等を利用して調製することができる。あるいは、ヘミアセタールを調製し、これをさらに別のアセタール化剤と反応させて得ることができる。
化合物(II)から化合物(III)への工程
次に、式(II)で表される化合物から式(III)
で表される化合物を製造する方法について述べる。
この化合物の製造は、式(II)で表される化合物のシアノ基を還元することによって行うことができる。この還元は、触媒存在下、水素雰囲気中で接触水素添加反応によって実施すればよく、R1に対して不活性であって、シアノ基をアミノメチル基に還元できるものであれば如何なる反応も適用することができる。接触水素添加反応の触媒としては、パラジウム−炭素や、水酸化パラジウム、ラネーニッケル、ラネーコバルト等を挙げることができるが、特にラネーニッケルまたはラネーコバルトが好ましい。
この反応の溶媒には、反応に悪影響を及ぼさない限り、特に制限されずいずれのものも使用可能であるが、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、1,4−ジオキサン等のエーテル類等を挙げることができる。これらの溶媒は、アルカリ成分、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の水酸化アルカリやアンモニアを溶解させた溶媒としてもよい。この場合に溶媒は水と混合してもよい。アンモニアを含有する溶媒は、アンモニアガスを溶解させるかアンモニア水を混合して調製すればよい。
接触水素添加の反応は、0℃から50℃の範囲の温度で実施すればよいが、好ましくは5℃から室温程度である。接触水素添加する際の水素ガスの圧力は、常圧から100気圧の範囲でよい。また、接触水素添加反応を室温程度で行った場合には、連続的に50℃から180℃程度に加熱して閉環反応を行う必要があることもある。
なお、式(III)の化合物は、式(II)の化合物をヒドリド還元して得ることもできる。ヒドリド還元には、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、ナトリウム水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムを、通常行われる方法にしたがって使用すればよい。
化合物(III)から化合物(IV)への工程
次に、式(III)で表される化合物から式(IV)
で表される化合物を製造する方法について述べる。
この化合物の製造は、式(III)で表される化合物のアセタールを除去してアルデヒド体
に導いた後に閉環させればよい。このアセタールの除去は酸存在下に水を作用させることによって行うことができる。ここで使用される酸は、有機酸または無機酸のいずれでもよいが、塩酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸等を使用すればよい。
アセタールの除去は通常は溶媒の存在下に実施するが、これは反応に悪影響を及ぼさない限り、特に制限はなくいずれのものも使用可能である。溶媒としては、水または水と混和する溶媒を使用するのが好ましい。水と混和する溶媒としては例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン等のケトン類、アセトニトリルの含窒素溶媒等を例示することができる。
この反応は、−50℃から溶媒の沸点の範囲で行えばよいが、0℃から室温程度の範囲の温度が好ましい。
次に脱アセタール化した化合物の閉環であるが、閉環は、中性または塩基性条件下において実施すればよい。脱アセタール後の反応液を中和するかまたは塩基性とすることでも閉環反応は進行する。また、中和後に溶媒等で抽出して単離した後に、脱水剤の存在下で行ってもよい。閉環工程で使用できる溶媒は、反応に悪影響を及ぼさない限り、特に制限なく使用できるが、例えば、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エーテル類、アミド類、ハロゲン化炭化水素、その他、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル等を使用できる。閉環の温度は、この反応は、−50℃から溶媒の沸点の範囲で行えばよいが、0℃から室温程度の範囲の温度が好ましい。
化合物(IV)から化合物(VII)への工程
次に、式(IV)で表される化合物から式(VII)
で表される化合物を製造する方法について述べる。
この化合物は、式(IV)で表される化合物を接触的水素添加あるいはヒドリド還元によって実施すればよい。
接触的水素添加反応では、その触媒としてパラジウム−炭素、水酸化パラジウム、ラネーニッケル、ラネーコバルト等が適用できるが、特にラネーニッケルまたはラネーコバルトが好ましい。また、ヒドリド還元剤としては、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、ナトリウム水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素化アルミニウム化合物や金属水素化ホウ素化合物を挙げることができる。これらのうちでは金属水素化ホウ素化合物が好ましく、特に水素化シアノホウ素ナトリウムが好ましい。
この反応の溶媒は、反応に悪影響を及ぼさない限り、いずれのものも使用可能であるが、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン等のエーテル類を挙げることができる。またこれらの溶媒に水を添加して行ってもよい。
本反応は、−50℃から100℃の範囲の温度で行えばよいが、好ましくは0℃から室温の範囲である。また、接触水素添加の際には水素ガスの圧力は、1気圧から100気圧の範囲で実施すればよい。
化合物(VII)から化合物(VIII)への工程
式(VIII)
で表される化合物は、式(VII)で表される化合物のR1(水素原子を除く)を接触的加水素分解等通常使用される方法を適用して、水素原子に変換することによって製造できる。
例えば接触的加水素分解反応を利用する場合では、触媒としてパラジウム−炭素、水酸化パラジウム、ラネーニッケル等が用いることができるが、特にパラジウム−炭素、水酸化パラジウムが好ましい。これの反応の溶媒は、反応に悪影響を及ぼさない限り、いずれのものも使用可能であるが、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン等のエーテル類を挙げることができる。またこれらの溶媒に水を添加して行ってもよい。さらに場合によっては、酢酸、塩酸等の酸を添加して行うこともある。
本反応は、0℃から100℃の範囲で行えばよいが、好ましくは5℃から50℃の範囲である。また、本反応の水素ガスの圧力は、1気圧から100気圧の範囲でよいが、好ましくは、1気圧から50気圧の範囲である。
本発明の製造方法で得られた式(VIII)で表される化合物は、特開平2−231475および特開平3−95176号記載の方法で優れた抗菌剤に導くことができる。
化合物(VII)から化合物(XII)への工程
この式(VII)で表される化合物から式(XII)
で表される化合物の製法について述べる。すなわち、式(VII)で表される化合物のピロリジン環を構成するアミノ基に、アシル化、アルコキシカルボニル化、アラルキル化等を行えばよい。これらの反応によってアミノ基に置換基を導入してアミノ基を保護すればよい。R4はR1とは異なる基、特に異なる条件下で除去できる基であることが好ましい。
アシル化反応に用いるアシル化剤としては、酸無水物や酸ハロゲン化物を挙げることができ、酸無水物としては、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水フェニル酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等を例示でき、酸ハロゲン化物としては、アセチルクロリド、アセチルブロミド、プロピオニルクロリド、安息香酸クロリド等を例示できる。また、アルコキシカルボニル化反応剤としてはジ第三級ブチルジカーボネート等を、アラルキルオキシカルボニル化反応剤としては塩化ベンジルオキシカルボニル等を、アラルキル化反応剤としては塩化ベンジル、臭化ベンジル等を挙げることができる。
保護基を導入するための反応剤の使用量は化合物(VII)に対して1当量から大過剰の範囲でよく、好適には1当量から2当量の範囲であり、さらに1当量以上のトリエチルアミン、ピリジン等の三級アミンや含窒素複素環化合物を併用することが好ましい。
本反応で使用される溶媒は、反応に悪影響を及ぼさない限り、いずれの溶媒も使用でき、例えば芳香族炭化水素系、脂肪族炭化水素系、エーテル系、アミド系、ハロゲン化炭化水素系、その他、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル等を用いることができる。
本反応は、−50から100℃程度の温度で行えばよいが、好ましくは、−20℃から室温の範囲である。
化合物(XII)から化合物(XII−a)への工程
次に式(XII−a)
で表される化合物の製法について述べる。この化合物は、式(XII)で表される化合物を接触的加水素分解等でR1を除去することによって製造できる。
接触的加水素分解反応を利用する場合では、その触媒としてパラジウム−炭素、水酸化パラジウム、ラネーニッケル等を用いればよいが、特にパラジウム−炭素、水酸化パラジウムが好ましい。
この反応で用いる溶媒は、反応に悪影響を及ぼさない限り、いずれのものも使用可能である。好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン等のエーテル類を挙げることができる。またこれらの溶媒に水を添加して行ってもよい。さらに場合によっては、酢酸、塩酸等の酸を添加して行うこともある。
本反応は、0から100℃の範囲で行えばよいが、好ましくは室温から溶媒の沸点程度の範囲である。また、本反応は水素ガス雰囲気下で行うが、その圧力は1気圧から100気圧の範囲でよく、好ましくは、1気圧から50気圧の範囲である。
化合物(XII−a)から化合物(XIII)への工程
次に、式(XIII)
で表される化合物を製造する方法について述べる。この化合物は、式(XII−a)で表される化合物の一級アミノ基を通常使用される置換反応によってアルコキシカルボニル基類やアラルキルオキシカルボニル基類、脂肪族もしくは芳香族アシル基類に変換して得ることができる。その際、R5はR4と異なる基、特に異なる反応条件によって除去される基であることが好ましい。
アルコキシカルボニル化反応剤としてはジ第三級ブチルジカーボネート等が、アラルキルオキシカルボニル化反応剤としては塩化ベンジルオキシカルボニル等が、アシル化剤としては無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水フェニル酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸、アセチルクロリド、アセチルブロミド、プロピオニルクロリド、安息香酸クロリド等が、アラルキル化反応剤としては塩化ベンジル、臭化ベンジル等を挙げることができる。
反応剤の使用量は化合物(XII−a)に対して1当量から大過剰の範囲でよく、例えばトリエチルアミン、ピリジン等の三級アミンや含窒素複素環化合物を併用することが好ましい。
本反応では反応に悪影響を及ぼさない限り、いずれの溶媒も使用でき、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等の含窒素系溶媒類、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等を挙げることができる。またこれらの溶媒は、必要に応じて含水溶媒として使用される。
本反応は、−20℃から100℃程度の温度で行われ、好ましくは室温から溶媒の沸点までの温度である。
化合物(XIII)から化合物(XIV)への工程
次に、式(XIV)
で表される化合物を製造する方法について述べる。この化合物は、式(XIII)で表される化合物からR4を脱保護して得ることができる。例えばR4がアシル基やアルコキシカルボニル基である場合は加水分解によって、アラルキル基やアラルキルオキシカルボニル基である場合は加水素分解で脱保護を行えばよい。
脱保護反応に用いる溶媒は反応に悪影響を及ぼさない限り、いずれのものも使用可能であり、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等の含窒素系溶媒類、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等を使用することができる。またこれらの溶媒は、必要に応じて含水溶媒として使用される。水と混和する溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等の含窒素系溶媒類等を挙げることができる。
この反応は、−50℃から100℃の範囲で行えばよいが、0℃から溶媒の沸点程度の範囲の温度が好ましい。
ここで得られた式(XIV)で表される化合物は、特開平2−231475号および特開平3−95176号記載の方法で優れた抗菌剤に導くことができる。
以下に、本願発明の化合物について説明する。
式(I)
で表される化合物であるが、nは2から5の整数を表す。置換基R2およびR3は、炭素数1から4の低級アルキコキシ基であるか、これらが一体化してメチレンジオキシ基もしくはポリメチレンジオキシ基(アルキレンジオキシ基)となってもよい。置換基R2およびR3がアルコキシ基であるとき、両者は同一であっても異なっていてもいずれでもよく、さらに直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。R2およびR3としては、アルコキシ基であるものが好ましく、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基がよい。さらに、これらのうちではエトキシ基がもっとも好ましい。また、製造の簡便さからも両者がエトキシ基であるものが好ましい。
式(I)の化合物は、gem−ジアルデヒド化合物の一方のアルデヒド基を選択的にアセタール化した構造の化合物であり、本発明の特徴の一つはジアルデヒド化合物における一方のアルデヒド基の選択的なアセタール化が達成でき、モノアセタール化合物(ジアルデヒド化合物において一方のアルデヒド基がアセタール化された化合物を意味する。)が容易に得られたことにある。
本発明の式(II)
で表される化合物について述べるが、nは2から5の整数を表す。置換基R1は、水素原子であるかまたは、式
[式中、Ra、RbおよびRcは、各々独立に、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される置換基を表す。
置換基R1が式
で表わされる基の場合、この基は式(II)の化合物のシアノ基をアミノメチル基に変換する反応でも変化することがなく、かつ、アミノ基が保護できるものであれば如何なるものでもよい。
置換基R1に関連して、式(II)で表される化合物がジアステレオマーが存在する構造の化合物である方が、必要な立体配置の異性体を得るために好ましいことを本願発明者は見出した。式(II)で表される化合物は、アミノ基の結合する炭素原子が不斉炭素であるため、置換基R1が不斉炭素を含む置換基であるときには式(II)の化合物はジアステレオマーが存在することとなる。そしてジアステレオマーである式(II)の化合物を製造する際には、生成する2種のジアステレオマーの生成比率に偏りが生じて一方のジアステレオマーが他方よりも優位に得られることを本願発明者は見出したのである。この場合において、いずれのジアステレオマーが優位となるかは置換基R1の立体構造によってコントロールが可能であり、すなわち、置換基R1の構造を変えて望みのジアステレオマーを優位に生成させることが可能である。
さらに、上記の式(II)の化合物のジアステレオマー混合物は、加熱処理することでジアステレオマーの存在比率が変化することが明らかとなった。すなわち加熱処理によって一方のジアステレオマーのエピメリゼーションが起こって、他方のジアステレオマーへの変換が起こり、一方のジアステレオマーの割合が増加した混合物が得られることも本願発明者は見出したのである。先と同様に、この場合もいずれのジアステレオマーが優位となるかは置換基R1の構造を変えることでコントロールできるのである。すなわちこの特性を利用すれば、不要な立体配置の化合物も必要な立体配置の化合物に変換でき、必要な立体配置の異性体を効率よく取得できるのである。以上のことから、置換基R1としては、Ra、RbおよびRcが各々異なっているものが好ましい。
具体的には、Ra、Rb、およびRcとしては、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基,4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基およびナフチル基等を挙げることができる。
なお、アリール基上の置換基である、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基の具体例としては、メチル基、メトキシ基、ニトロ基およびクロル原子を挙げることができるが、アリール基上にはこれらの1種または2種以上が、1または2以上置換していてもよい。
Ra、RbおよびRcが互いに異なる置換基R1としては、(R)−1−フェニルエチル基、(S)−1−フェニルエチル基、(R)−1−フェニルプロピル基、(S)−1−フェニルプロピル基、(R)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチル基、(S)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチル基、(R)−1−(1−ナフチル)エチル基、(S)−1−(1−ナフチル)エチル基、(R)−1−(4−メトキシフェニル)エチル基、(S)−1−(4−メトキシフェニル)エチル基、(R)−1−(4−クロロフェニル)エチル基、(S)−1−(4−クロロフェニル)エチル基、(R)−1−(4−ニトロフェニル)エチル基、(S)−1−(4−ニトロフェニル)エチル基、(R)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル基、(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル基、(R)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチル基、(S)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチル基、(R)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチル基、(S)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチル基、(R)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチル基または(S)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチル基を挙げることができる。これらのうちで特に好ましいものとして、(R)−1−フェニルエチル基または(S)−1−フェニルエチル基を挙げることができる。
置換基R1はアミノ基の保護基であってもよく、この場合、式(II)の化合物のシアノ基をアミノメチル基に変換する反応でも変化しないものであればよい。この様なアミノ基の保護基としては、例えば、第三級ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等の置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基類、ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラニトロベンジルオキシカルボニル基等の置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル基類;アセチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル基、ベンゾイル基等の置換基を有していてもよい、脂肪族もしくは芳香族アシル基類;ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基等の置換基を有していてもよいアラルキル基;を挙げることができる。
これらの保護基のうちでは、製造上の簡便さからアラルキル基類が好ましい。さらにアラルキル基の中でもベンジル基が好ましい。このベンジル基のフェニル基はさらに置換基を有していてもよく、例えば炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種以上の基が1個以上置換していてもよい。具体的には、ベンジル基の他には4−メトキシベンジル基、4−クロロベンジル基、4−ニトロベンジル基、2,4−ジクロロベンジル基、2,4−ジニトロベンジル基、3,5−ジクロロベンジル基、3,5−ジニトロベンジル基等を挙げることができる。
式(II)で表される化合物のうち、アミノ基が好ましい立体配置である化合物は、次式
に示した化合物である。
式(II)の化合物が酸付加塩であるとき、塩を形成する酸は化合物自体の安定性に影響がないものであれば特に制限はない。この様な酸としては無機酸でも有機酸のいずれでもよい。無機酸との塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩等を挙げることができ、一方、有機酸との塩としてはカルボン酸化合物やスルホン酸化合物との塩を挙げることができる。カルボン酸塩としては、酢酸塩、フマル酸塩、乳酸塩等を挙げることができ、スルホン酸塩としてはメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等を挙げることができる。これらの塩はさらに水和物となっていてもよい。なお、塩の形成については以下の化合物についても同様に考えればよい。
式(II)の化合物は、酸処理等によって脱アセタール化すると次式のアルデヒド化合物となる。
本発明の式(III)
で表される化合物について述べる。式中、n、置換基R1、R2およびR3は式(II)の化合物について先に述べたものと同じでよい。本化合物は、式(II)の化合物のシアノ基を還元して得ることができる。この化合物のアミノ基の立体配置は、次式
に示したものが好ましい。さらにこの化合物を先と同様にして脱アセタール化することによって次式
で表されるアルデヒド化合物が得られる。
本発明の式(IV)
で表わされる化合物について述べるが、式中、nおよび置換基R1は既に述べたとおりでよい。また。アミノ基の立体配位は次式
に示した配位のものが好ましい。式(IV)で表される化合物は式(III)で表される化合物のアセタールをアルデヒドに変換した化合物を閉環することによって得ることができる。
この式(IV)で表される化合物のイミノ部分を還元することで式(VII)
で表される化合物が得られる。この化合物においても式中のnおよび置換基R1は既に述べたとおりでよい。この化合物のアミノ基の立体配位も既に述べた様に次式
に示したものが好ましい。
この式(VII)で表される化合物の置換基R1(水素原子を除く)を、通常行われる方法によって水素原子に変換することで目的の式(VIII)
で表される化合物を得ることができる。
次に、式(XI)
で表される化合物について述べるが、nは2から5の整数を表す。置換基R1は、水素原子であるかまたは、式
[式中、各々独立してRa、RbおよびRcは、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基(これらの基のアリール基部分は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種類以上の基、1個以上を置換基として有していてもよい。)、水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される置換基を表す。
置換基R1が式
で表わされる基の場合、この基は式(XI)の化合物のシアノ基をアミノメチル基に変換する反応でも変化することがなく、かつ、アミノ基が保護できるものであれば如何なるものでもよい。
置換基R1に関連して、式(XI)で表される化合物がジアステレオマーが存在する構造の化合物である方が、必要な立体配置の異性体を得るために好ましいと本願発明者は考える。式(XI)で表される化合物は、アミノ基の結合する炭素原子が不斉炭素であるため、置換基R1が不斉炭素を含む置換基であるときには式(XI)の化合物はジアステレオマーが存在することとなる。そしてジアステレオマーである式(XI)の化合物を製造する際には、生成する2種のジアステレオマーの生成比率に偏りが生じて一方のジアステレオマーが他方よりも優位に得られると本願発明者は考えた。この場合において、いずれのジアステレオマーが優位となるかは置換基R1の立体構造によってコントロールが可能であり、すなわち、置換基R1の構造を変えて望みのジアステレオマーを優位に生成させることが可能であるとも考えた。
したがって、置換基R1としては、Ra、RbおよびRcが各々異なっているものが好ましい。
具体的には、Ra、Rb、およびRcとしては、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基,4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基およびナフチル基等を挙げることができる。
なお、アリール基上の置換基である、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基の具体例としては、メチル基、メトキシ基、ニトロ基およびクロル原子を挙げることができるが、アリール基上にはこれらの1種または2種以上が、1または2以上置換していてもよい。
Ra、RbおよびRcが互いに異なる置換基R1としては、(R)−1−フェニルエチル基、(S)−1−フェニルエチル基、(R)−1−フェニルプロピル基、(S)−1−フェニルプロピル基、(R)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチル基、(S)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチル基、(R)−1−(1−ナフチル)エチル基、(S)−1−(1−ナフチル)エチル基、(R)−1−(4−メトキシフェニル)エチル基、(S)−1−(4−メトキシフェニル)エチル基、(R)−1−(4−クロロフェニル)エチル基、(S)−1−(4−クロロフェニル)エチル基、(R)−1−(4−ニトロフェニル)エチル基、(S)−1−(4−ニトロフェニル)エチル基、(R)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル基、(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル基、(R)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチル基、(S)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチル基、(R)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチル基、(S)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチル基、(R)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチル基または(S)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチル基を挙げることができる。これらのうちで特に好ましいものとして、(R)−1−フェニルエチル基または(S)−1−フェニルエチル基を挙げることができる。
置換基R1は上記以外のアミノ基の保護基であってもよく、この場合、式(XI)の化合物のシアノ基をアミノメチル基に変換する反応でも変化しないものであればよい。この様なアミノ基の保護基としては、例えば、第三級ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等の置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基類、ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラニトロベンジルオキシカルボニル基等の置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル基類;アセチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル基、ベンゾイル基等の置換基を有していてもよい、脂肪族もしくは芳香族アシル基類;ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基等の置換基を有していてもよいアラルキル基;を挙げることができる。
これらの保護基のうちでは、製造上の簡便さからアラルキル基類が好ましい。さらにアラルキル基の中でもベンジル基が好ましい。このベンジル基のフェニル基はさらに置換基を有していてもよく、例えば炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる基の群から選ばれる1種以上の基が1個以上置換していてもよい。具体的には、ベンジル基の他には4−メトキシベンジル基、4−クロロベンジル基、4−ニトロベンジル基、2,4−ジクロロベンジル基、2,4−ジニトロベンジル基、3,5−ジクロロベンジル基、3,5−ジニトロベンジル基等を挙げることができる。
式(XI)で表される化合物のうち、アミノ基が好ましい立体配置である化合物は、次式
に示した化合物である。
式(XI)の化合物は酸付加塩であってよいが、塩を形成する酸は化合物自体の安定性に影響がないものであれば特に制限はない。この様な酸としては無機酸でも有機酸のいずれでもよい。無機酸との塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩等を挙げることができ、一方、有機酸との塩としてはカルボン酸化合物やスルホン酸化合物との塩を挙げることができる。カルボン酸塩としては、酢酸塩、フマル酸塩、乳酸塩等を挙げることができ、スルホン酸塩としてはメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等を挙げることができる。これらの塩はさらに水和物となっていてもよい。なお、塩の形成については以下の化合物についても同様に考えればよい。
式(II−ALD)の化合物において、nおよび置換基R1、さらに好ましい立体配置については式(XI)の化合物と同じに考えればよい。
式(VII)で表される化合物は、アミノ基の保護基を別の保護基に変換した式(XII)の化合物に変換することで、さらに多くの置換反応を実施することができ有用である。この式(XII)
で表される化合物であるが、nは2から5までの整数である。R1は式(II)で表される化合物について述べたのと同じものでよい。R4は、R1の脱保護反応でも変化せず、アミノ基を保護することができるものであれば如何なるものでもよい。また、R4とR1とは異なる基(保護基)であって、特にこれらを除去する反応条件が異なる基である組み合わせがよい。
R4としては、例えば、脂肪族もしくは芳香族アシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アラルキル基等を挙げることができる。さらにアシル基としては例えば、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基、ベンゾイル基、フルオロアセチル基、ジフルオロアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ジクロロアセチル基、トリクロロアセチル基等を挙げることができ、アルコキシカルボニル基としては例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、第三級ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等を挙げることができ、アラルキルオキシカルボニル基としては例えば、ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラニトロベンジルオキシカルボニル基等を挙げることができ、アラルキル基としては例えば、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基等を挙げることができる。
式(XII−a)
で表される化合物について述べるが、nは2から5までの整数であり、R4は式(XII)で表される化合物について述べたものと同一の基でよい。
式(XIII)
で表される化合物について述べる。nは2から5までの整数を表す。R4は式(XII)で表される化合物について述べたのと同じでよい。R5は、R4の脱保護反応でも変化せず、アミノ基を保護することができるものであれば如何なるものでもよい。
R5としては、例えば、脂肪族もしくは芳香族アシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アラルキル基等を挙げることができる。さらにアシル基としては例えば、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基、ベンゾイル基、フルオロアセチル基、ジフルオロアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ジクロロアセチル基、トリクロロアセチル基等を挙げることができ、アルコキシカルボニル基としては例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、第三級ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等を挙げることができ、アラルキルオキシカルボニル基としては例えば、ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラニトロベンジルオキシカルボニル基等を挙げることができ、アラルキル基としては例えば、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基等を挙げることができる。
以上の化合物の好ましい立体配置の化合物を以下に示す。
本発明において好ましい化合物はnが2の化合物であり、これらを次に示す。
発明を実施するための最良の形態
次に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1] 1−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルボアルデヒド(モノアセタール体)
1,1−シクロプロパンジカルボアルデヒド(49mg,0.5mmol)をトルエン(0.5ml)に溶解し、氷冷攪拌下、p−トルエンスルホン酸一水和物(1.9mg,0.01mmol)、オルトギ酸エチル(74mg,0.5mmol)、エタノール(23mg,0.5mmol)を順次加え、室温にて1時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧留去し、無色オイル(67.9mg,78.9%)を得た。モノアセタール体とジアセタール体の比率は、1H−NMRの積分比より約40:1であった。
1H−NMR(C6D6)δ:0.87−1.08(m,4H),1.01(t,J=6.9Hz,6H),3.25(q,J=6.9Hz,1H),3.29(q,J=6.9Hz,1H),3.45(q,J=6.9Hz,1H),3.48(q,J=6.9Hz,1H),4.74(s,1H),9.29(s,1H).
参考 1,1−ビス(ジエトキシメチル)シクロプロパン(ジアセタール体)
1H−NMR(C6D6)δ:0.91(s,4H),1.10(t,J=6.9Hz,12H),3.39(q,J=6.9Hz,2H),3.42(q,J=6.9Hz,2H),3.61(q,J=6.9Hz,2H),3.64(q,J=6.9Hz,2H),4.93(s,1H).
[実施例2] 1−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルボアルデヒド
1,1−シクロプロパンジカルボアルデヒド(30g、306mmol)をトルエン(260ml)に溶解し、20℃で攪拌した。この溶液にp−トルエンスルホン酸一水和物(153mg、0.77mml)のトルエン(10ml)溶液を滴下し、内温5℃以下まで冷却した。次いでオルトギ酸エチル(49.7g,335mmol)のトルエン(30ml)溶液を、ゆっくりと滴下した。滴下終了後、引き続き氷浴中で1時間攪拌した。内温を25℃まで昇温し、さらに1時間攪拌した。反応終了を確認後、内温を15℃に調整し、2mol/l−NaOH(3.75ml)を加え1時間攪拌した。水(50ml)を加え分液抽出した後、トルエンを減圧留去し、無色オイル(55.8g,定量的)を得た。モノアセタール体とジアセタール体の割合は、95%以上がモノアセタール体であった。機器データは実施例1に示したのと同じである。
[実施例3] 1−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルボアルデヒド
1,1−シクロプロパンジカルボアルデヒド(200mg、2.04mmol)をエタノール(2.0ml)に溶解し、無水硫酸マグネシウム(246mg、2.04mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(19.4mg、0.1mml)を加え、50℃にて1時間攪拌した。この時点で、ガスクロマトグラフィーにて反応混合物をチェックしたところ、モノアセタール体とジアセタール体の比率は、約90:10であった。機器データは実施例1に示したのと同じである。
[実施例4] 1−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルボアルデヒド
1,1−シクロプロパンジカルボアルデヒド(200mg、2.04mmol)をエタノール(2.0ml)に溶解し、オルトギ酸エチル(59.0mg、0.41mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(19.4mg、0.1mml)を加え、50℃にて1時間攪拌した。この時点で、ガスクロマトグラフィーにて反応混合物をチェックしたところ、モノアセタール体とジアセタール体の比率は、約90:10であった。機器データは実施例1に示したのと同じである。
[実施例5] 2−(ベンジルアミノ)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]アセトニトリル
1,1−シクロプロパンジカルボアルデヒド(2.94g,30mmol)をトルエン(30ml)に溶解し、氷冷攪拌下、p−トルエンスルホン酸一水和物(5.7mg,0.03mmol)のエタノール(138mg,3.0mmol)溶液を加え、次いでオルトギ酸エチル(4.67g,31.5mmol)を加え、外温40℃にて1時間攪拌した。反応液に飽和重曹水(3ml)を加えた後、氷冷攪拌下、ベンジルアミン(3.54g,33mmol)を加え、同温にて30分間攪拌した。次いでシアン化カリウム(2.15g,33mmol)、亜硫酸水素ナトリウム(4.69g,45mmol)を順次加えた後、水(30ml)を加え、室温にて13時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧留去した。得られた淡黄色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル150g,ヘキサン:酢酸エチル=10:1)に付し、標記化合物(6.16g,71.2%)を無色オイルとして得た。
1H−NMR(C6D6)δ:0.33−1.00(m,4H),0.97(t,J=6.9Hz,6H),3.10−3.29(m,2H),3.31−3.47(m,2H),3.46(s,1H),3.61(d,J=13.2Hz,1H),3.83(d,J=13.2Hz,1H),4.69(s,1H),7.09−7.27(m,5H).
FABMS(m/z);289(M++H),243,217
[実施例6] (2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリル
1,1−シクロプロパンジカルボアルデヒド(1.96g,20mmol)をトルエン(20ml)に溶解し、氷冷攪拌下、p−トルエンスルホン酸一水和物(19.2mg,0.1mmol)のエタノール(276mg,6.0mmol)溶液を加え、次いでオルトギ酸エチル(3.11g,21mmol)を加え、外温40℃にて1時間攪拌した。反応液に飽和重曹水(0.3ml)を加えた後、氷冷攪拌下(S)−1−フェニルエチルアミン(2.67g,22mmol)を加えた後、同温にて30分間攪拌した。次いでシアン化カリウム(1.43g,22mmol)、亜硫酸水素ナトリウム(3.12g,30mmol)を順次加えた後、水(20ml)を加え、50℃にて2時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧留去した。得られた黄色オイル(6.23g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル100g,ヘキサン:酢酸エチル=10:1から5:1)に付し、標題化合物とそのジアステレオマーである(2R)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリルの混合物(3.86g,63.9%)を無色結晶として得た。2種のジアステレオマーの生成比は、1H−NMRの積分比より2:1であった(標題化合物が主生成物である)。1H−NMR(C6D6)δ:0.14−0.60(m,4H),0.88−1.05(m,6H),1.14(d,J=6.4Hz,3H×2/3),1.16(d,J=6.4Hz,3H×1/3),3.07−3.50(m,4H),3.17(s,1H×2/3),3.59(s,1H×1/3),4.01−4.13(m,1H),4.61(s,1H×1/3),4.79(s,1H×2/3),7.05−7.34(m,5H).
FABMS(m/z);303(M++H),257,230,105
[実施例7] (2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−ナフチルエチル]アミノ}アセトニトリル
1,1−シクロプロパンジカルボアルデヒド(294mg,3.0mmol)をトルエン(3.0ml)に溶解し、氷冷攪拌下、p−トルエンスルホン酸一水和物(2.9mg,0.015mmol)のエタノール(41.5mg,0.9mmol)溶液を加え、次いでオルトギ酸エチル(467mg,3.2mmol)を加え、外温40℃にて1時間攪拌した。反応液に飽和重曹水(0.3ml)を加えた後、氷冷攪拌下(S)−1−ナフチルエチルアミン(565mg,3.3mmol)を加えた後、同温にて30分間攪拌した。次いでシアン化カリウム(215mg,3.3mmol)、亜硫酸水素ナトリウム(469mg,4.5mmol)を順次加えた後、水(3.0ml)を加え、50℃にて2時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水の順に洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧留去した。得られた黄色オイル(1.19g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル36g,ヘキサン:酢酸エチル=10:1から5:1)に付し、標題化合物とそのジアステレオマーである(2R)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−ナフチルエチル]アミノ}アセトニトリルの混合物(732mg,69.2%)を無色オイルとして得た。2種のジアステレオマーの生成比は、1H−NMRの積分比より1.6:1であった(標題化合物が主生成物である)。
1H−NMR(C6D6)δ:0.14−0.97(m,4H),0.89−1.04(m,6H),1.33(d,J=6.6Hz,3H×1.6/2.6),1.34(d,J=6.6Hz,3H×1.0/2.6),3.06−3.50(m,4H),3.18(s,1H×1.6/2.6),3.67(s,1H×1.0/2.6),4.59(s,1H×1.0/2.6),4.83(s,1H×1.6/2.6),4.93−4.97(m,1H),7.24−8.42(m,7H).
FABMS(m/z);353(M++H),307,280,155
[実施例8] (2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチル]アミノ}アセトニトリル
1,1−シクロプロパンジカルボアルデヒド(294mg,3.0mmol)をトルエン(3.0ml)に溶解し、氷冷攪拌下、p−トルエンスルホン酸一水和物(2.9mg,0.015mmol)のエタノール(41.5mg,0.9mmol)溶液を加え、次いでオルトギ酸エチル(467mg,3.2mmol)を加え、外温40℃にて1時間攪拌した。反応液に飽和重曹水(0.3ml)を加えた後、氷冷攪拌下(S)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン(697mg,3.3mmol)を加えた後、同温にて30分間攪拌した。次いでシアン化カリウム(215mg,3.3mmol)、亜硫酸水素ナトリウム(469mg,4.5mmol)を順次加えた後、水(3.0ml)を加え、50℃にて2時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水の順に洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧留去した。得られた黄色オイル(1.22g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル36g,ヘキサン:酢酸エチル=10:1から5:1)に付し、標題化合物とそのジアステレオマーである(2R)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチル]アミノ}アセトニトリルの混合物(715mg,60.7%)を無色オイルとして得た。2種のジアステレオマーの生成比は、1H−NMRの積分比より2.2:1であった(標題化合物が主生成物である)。
1H−NMR(C6D6)δ:0.03−0.54(m,4H),0.85−1.04(m,6H),2.06(s,3H×1.0/3.2),2.08(s,3H×2.2/3.2),2.73−2.92(m,2H),3.03−4.63(m,4Hand1H),4.18(m,1H×1.0/3.2),4.39(m,1H×2.2/3.2),4.46(s,1H×1.0/3.2),4.76(s,1H×2.2/3.2),6.90−7.39(m,9H).
FABMS(m/z);393(M++H),347,320,195
[実施例9] (2R)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリルのエピメリゼーション
標題化合物とそのジアステレオマーである(2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリルの混合物(16mg,混合比=1:1.8,(2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリルが主成分)に無水エタノール(1.0ml)を加え、アルゴン気流下60℃にて30分間攪拌した後、反応液を減圧濃縮した。得られた無色結晶(16mg)のジアステレオマー混合比は、1H−NMRの積分比より3.4:1であった((2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリルが主成分)。
[実施例10] (2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリルの精製
(2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリルと(2R)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリルのジアステレオマー混合物(300mg、ジアステレオマー比=2:1、標題化合物が主成分)に無水エタノール(1.5ml)を加え、アルゴン気流下60℃にて30分間攪拌した後、室温まで放冷し、さらに氷冷下1時間攪拌した。析出した結晶を濾過し、標題化合物(一番晶200mg,66.6%)を無色針状晶として得た。さらに母液を減圧して得た結晶性残渣(93mg)を上記と同様の操作に付し、標題化合物(二番晶37mg,12.4%)を無色針状晶として得た。得られた結晶の光学純度はHPLC分析より99%deであった。
融点(EtOH);96−97℃
1H−NMR(C6D6)δ:0.14−0.60(m,4H),0.93(t,J=6.9Hz,3H),1.00(t,J=6.9Hz,3H),1.14(d,J=6.6Hz,3H),3.07−3.31(m,2H),3.17(s,1H),3.36−3.50(m,2H),4.12(q,J=6.6Hz,1H),4.79(s,1H),7.05−7.34(m,5H).
FABMS(m/z);303(M++H),257,230,105
(HPLC条件)
カラム;CHIRALCEL−OJ(4.6mmφ×250mm)
移動相;ヘキサン:イソプロパノール=98:2
流速;0.5ml/min
温度;室温
検出;UV254nm
保持時間;(S)−体:9.4分、(R)−体:10.4分
得られた化合物の分析結果;9.4分:>99%((S,S)−体)
10.4分:<1%((R,S)−体)
[実施例11] (2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリル
1−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルボアルデヒド(30.0g,306mmol)をエタノール(240ml)に溶解し、0℃で30分攪拌した。(S)−フェニルエチルアミン(43.5ml,336mmol)を滴下し40℃へと昇温した。同温で30分攪拌後、アセトンシアンヒドリン(33.4ml,367mmol)を滴下し、同温で30分攪拌した。反応終了時の、標題化合物とそのジアステレオマーである(2R)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリルの割合はHPLC分析より77:23(54%de)であった(標題化合物が主生成物)。次いで、40℃で水(240ml)を滴下し、温度を40℃に保持したまま3時間攪拌した。反応液を20℃まで冷却し、水(30ml)を加えて20℃で14時間攪拌した。更に0℃に冷却し3時間攪拌した。析出した結晶を濾過し、標題化合物(86.2g,93%)を無色針状晶として得た。得られた結晶の光学純度はHPLC分析より99%deであった。
生成物の機器データは、実施例6に記載のとおりであった。
[実施例12] (2R)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−ナフチルエチル]アミノ}アセトニトリルのエピメリゼーション
標題化合物と(2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−ナフチルエチル]アミノ}アセトニトリルの混合物(30mg,ジアステレオマー比=10:1,標題化合物が主成分)に無水エタノール(1.0ml)を加え、アルゴン気流下、外温60℃にて1時間加熱攪拌した後、反応液を減圧濃縮した。得られた無色オイル(28mg)のジアステレオマー混合比は、1H−NMRの積分比より2.9:1であった((2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−ナフチルエチル]アミノ}アセトニトリルが主成分)。
[実施例13] N−{2−アミノ−(1S)−1−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]エチル}−N−[(1S)−1−フェニルエチル]アミン
(2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリル(150mg,0.496mmol)をエタノール(9.0ml)に溶解し、5mol/l−水酸化ナトリウム水溶液(0.5ml,2.5mmol)およびラネーニッケル(R−100,1.5g)を加え、水素気流下室温にて5時間攪拌した。触媒を濾去し、エタノールにて洗い込み、濾液を減圧濃縮し、残渣に水とクロロホルムを加えて分液した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧留去し、標題化合物(150mg,98.4%)を微黄色オイルとして得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:0.18−0.58(m,4H),1.07−1.28(m,6H),1.31(d,J=6.4Hz,3H),1.98(t,J=6.4Hz,1H),2.82(dd,J=3.0and6.4Hz,2H),3.35−3.72(m,4H),3.93(q,J=6.4Hz,1H),4.32(s,1H),7.19−7.32(m,5H).
EIMS(m/z);276(M+−CH2NH2),230,105
[実施例14] (S)−N−[(S)−1−フェニルエチル]−5−アザスピロ[2.4]ヘプト−4−エン−7−アミン
(S)−N−{2−アミノ−1−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]エチル}−N−[(S)−1−フェニルエチルアミン](136mg)をアセトン(1.0ml)に溶解し、氷冷攪拌下、1mol/l−塩酸(2.0ml)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応液にトルエンを加えて分液した後、氷冷攪拌下、水層に飽和重曹水を加えてアルカリ性にし、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水の順に洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧留去し、標記化合物(85mg,90.0%)を微黄色オイルとして得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:0.67−0.74(m,1H),0.82−0.97(m,2H),1.18−1.26(m,1H),1.30(d,J=6.4Hz,3H),2.85(dd,J=4.0and6.9Hz,1H),3.82(q,J=6.4Hz,1H),3.86(dd,J=4.0and15.8Hz,1H),4.09(dd,J=6.9and15.8Hz,1H),6.98(s,1H),7.18−7.35(m,5H).
EIMS(m/z);214(M+),109,105
[実施例15] (S)−N−[(S)−1−フェニルエチル]−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−7−アミン
(S)−N−[(S)−1−フェニルエチル]−5−アザスピロ[2.4]ヘプト−4−エン−7−アミン(85mg,0.40mmol)をエタノール(2.6ml)に溶解し、ラネーニッケル(R−100,427mg)を加え、水素気流下室温にて2時間攪拌した。触媒を濾去し、エタノールにて洗い込み、濾液を減圧濃縮し、残渣に0.5mol/l−水酸化ナトリウム水溶液とクロロホルムを加えて分液した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧留去し、標記化合物(71mg,82.9%)を微黄色オイルとして得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:0.41−0.50(m,3H),0.68−0.80(m,1H),1.32(d,J=6.6Hz,3H),2.47(dd,J=3.3and5.0Hz,1H),2.68(d,J=10.9Hz,1H),2.93(dd,J=3.3and11.2Hz,1H),3.07(d,J=10.9Hz,1H),3.10(dd,J=5.0and11.2Hz,1H),3.74(q,J=6.6Hz,1H),7.19−7.35(m,5H).
EIMS(m/z);216(M+),187,111,105
[実施例16]
実施例15で得られた(S)−N−[(S)−1−フェニルエチル]−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−7−アミンから、参考例1に従って5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−(S)−7−アミンを合成し、光学純度を測定した。光学純度の測定は、以下のようにして行った。
得られた化合物およびラセミ体をテトラヒドロフランに溶解し、3,5−ジニトロベンゾイルクロリドを加えた。氷冷下、これにトリエチルアミンを滴下し、室温で30分間攪拌した。反応液に飽和重曹水と酢酸エチルを加えて分液し、有機層をHPLCにて分析した。
(HPLC条件)
カラム;SUMICHIRALOA−4600(4.6mmφ×250mm)
移動相;ヘキサン:1,2−ジクロロエタン:エタノール=60:40:5
流速;1.0ml/min
温度;室温
検出;UV254nm
保持時間;(S)−体:6.8分、(R)−体:10.0分
得られた化合物の分析結果;6.8分:99%((S)−体)
10.0分:1%((R)−体)
[参考例1] 5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−(S)−7−アミン 二塩酸塩
(S)−N−[(S)−1−フェニルエチル]−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−7−アミン(79mg,0.36mmol)、20%Pd(OH)2−C(50%wet,37mg)、エタノール(2.0ml)、水(1.0ml)および濃塩酸(0.5ml)をオートクレーブに入れ、水素雰囲気下(3.92MPa(40kgf/cm2))、室温で一夜攪拌した。反応後触媒を濾去し、濾液を減圧濃縮すると、無色結晶(72mg,82%)が得られた。
[参考例2] [1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]メタノール
1−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルボアルデヒド(37.78g)のテトラヒドロフラン(190mL)溶液を0℃に冷却し、これに水素化リチウムアルミニウム(2g,52.7mmol)を加えて40分攪拌した。水を加えて反応を停止し、クロロホルムで抽出して有機層を水で洗浄した後に硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、標記の化合物34.60g(91%)を無色油状物質として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:4.30(1H,s),3.79−3.68(2H,m),3.60−3.49(2H,m),3.54(2H,d,J=5.6Hz),2.79(1H,t,J=5.6Hz),1.22(3H,t,J=7.0Hz),0.67−0.63(2H,m),0.50−0.46(2H,m)
[参考例3] 1−(ヒドロキシメチル)シクロプロパンカルボアルデヒド
[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]メタノール(34.6g,199mmol)のアセトン(73mL)溶液を0℃に冷却し、これに1.2mol/l塩酸(10mL)を加えて30分攪拌した。1mol/l水酸化ナトリウム水溶液(12mL)を加えて反応を停止し、クロロホルムで抽出して有機層を水で洗浄した後に硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、標記の化合物16.6g(83%)を淡黄色油状物質として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:8.77(1H,s),3.74(2H,s),3.13(1H,brs),1.28−1.21(2H,m),1.19−1.12(2H,m)
[実施例17] 2−[1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリル
1−(ヒドロキシメチル)シクロプロパンカルボアルデヒド(683mg,6.82mmol)のエタノール(4.9mL)溶液に水(2.1mL)、(S)−(−)−1−フェニルエチルアミン(0.94mL,7.50mmol)、シアン化カリウム(489mg,7.50mmol)および亜硫酸水素ナトリウム(1.45g,13.6mmol)を加え、50℃で30分攪拌した。0℃に冷却して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止し、酢酸エチルで抽出して水で洗浄した後に硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、表記の化合物を淡黄色油状物質(1.55g,粗体)として得た。
1H−NMR(CDCl3,主要生成物)δ:7.38−7.30(5H,m),4.05(1H,q,J=6.6Hz),3.56(2H,s),3.44(1H,s),1.43(3H,d,J=6.6Hz),0.71−0.54(4H,m)
[実施例18] 2−(1−ホルミルシクロプロピル)−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリル
2−[1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリル(2.08g)のジクロロメタン(20mL)溶液にピリジニウムクロロクロメート(3.74g,17.4mmol)を加えて室温下2時間攪拌した。シリカゲル濾過により不溶物を除去した後に溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、表記の化合物を淡黄色結晶(508mg,1−(ヒドロキシメチル)シクロプロパンカルボアルデヒドより20%)として得た。
1H−NMR(CDCl3,主要生成物)δ:8.79(1H,s),7.36−7.26(5H,m),4.07(1H,q,J=6.4Hz),2.04(1H,s),1.39(3H,d,J=6.4Hz),1.38−1.07(4H,m)
[実施例19] 2−(ベンジルアミノ)−2−(1−ホルミルシクロプロピル)アセトニトリル
ベンジルアミン(107mg,1.0mmol)をエタノール(0.5ml)と水(1.5ml)の混液に懸濁し、氷冷攪拌下シアン化カリウム(65mg,1.0mmol)、亜硫酸水素ナトリウム(104mg,1.0mmol)を順次加え、1,1−シクロプロパンジカルボアルデヒド(98mg,1.0mmol)のエタノール(1.5ml)溶液を滴下し、同温にて2時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水の順に洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧留去した。得られたオイル状残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル8.0g;ヘキサン:酢酸エチル=5:1)に付し、標記化合物(109mg,50.8%)を微黄色オイルとして得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.21−1.38(m,4H),3.52(s,1H),3.83(d,J=13.2Hz,1H),4.11(d,J=13.2Hz,1H),7.27−7.38(m,5H),8.82(s,1H).
EI MS(m/z);214(M+),187,159,123
また、2−(ベンジルアミノ)−2−{1−[1−(ベンジルアミノ)−2−ニトロエチル]シクロプロピル}アセトニトリル(53.8mg,16.3%)を無色結晶として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:0.81−1.01(m,4H),3.73(d,J=12.9Hz,2H),4.03(d,J=12.9Hz,2H),4.19(s,2H),7.21−7.35(m,10H).
[実施例20] (2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリル
2−(1−ホルミルシクロプロピル)−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリル(102mg,0.447mmol)のエタノール(2.5mL)溶液にオルトギ酸トリエチル(0.2mL,1.20mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(1mg,0.0053mmol)を加えて室温で2時間30分攪拌し、さらに50℃で4時間攪拌した。室温に冷却した後に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出して有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去してカラムクロマトグラフィーにより精製し、表記の化合物を白色結晶(40mg,30%,ジアステレオマー比=81/19)として得た。
1H−NMR(C6D6,主要生成物)δ:0.14−0.60(m,4H),0.93(t,J=6.9Hz,3H),1.00(t,J=6.9Hz,3H),1.14(d,J=6.6Hz,3H),3.07−3.31(m,2H),3.17(s,1H),3.36−3.50(m,2H),4.12(q,J=6.6Hz,1H),4.79(s,1H),7.05−7.34(m,5H).
[実施例21] 7−(S)−[1−(S)−フェニルエチルアミノ]−5−N−アセチルアザスピロ[2.4]ヘプタン
7−(S)−[(S)−1−フェニルエチルアミノ]−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン(2.16g,10mmol)を酢酸エチル(20ml)に溶解し、氷冷攪拌下、無水酢酸(1.02g,10mmol)を滴下し、同温にて1時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加えて分液し、有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧留去し、標記化合物(2.53g,98%)を微黄色オイルとして得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:0.45−0.57(m,3H),0.65−0.71(m,1H),1.30and1.33(d,J=6.6Hz,3H,rotamers),2.00and2.06(s,3H,rotamers),2.52and2.64(m,1H,rotamers),3.11−3.67(m,4H),3.77and3.79(q,J=6.6Hz,1H,rotamers),7.19−7.36(m,5H).
FAB MS(m/z);259(M++H),217,155,105
[実施例22] 7−(S)−アミノ−5−N−アセチルアザスピロ[2.4]ヘプタン(方法1)
7−(S)−[1−(S)−フェニルエチルアミノ]−5−N−アセチルアザスピロ[2.4]ヘプタン(517mg,2.0mmol)をエタノール(8.0ml)に溶解し、5%Pd−C(50%wet,1.03g)を加え、水素気流下室温にて5時間、次いで50℃にて3時間攪拌した。触媒を濾去し、エタノールにて洗い込み、濾液を減圧濃縮し、標記化合物(365mg,quant.)を無色オイルとして得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:0.51−0.80(m,4H),2.02and2.07(s,3H,rotamers),3.03−3.46(m,3H),3.60−3.89(m,2H).
FAB MS(m/z);155(M++H),138,96
[実施例23] 7−(S)−アミノ−5−N−アセチルアザスピロ[2.4] ヘプタン(方法2)
7−(S)−アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン(586mg,5.0mmol)をジクロロメタン(12ml)に溶解し、−75℃に冷却し、攪拌下無水酢酸(510mg,5.0mmol)のジクロロメタン溶液を15分間かけて滴下し、同温にて30分間攪拌した。溶媒を留去し、残渣に塩酸とクロロホルムを加えて分液した。水層に水酸化ナトリウム水溶液を加えてアルカリ性にし、クロロホルムにて抽出した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧留去し、標記化合物(707mg,92%)を黄色オイルとして得た。
[実施例24] 7−(S)−[tert−ブトキシカルボニルアミノ]−5−N−アセチルアザスピロ[2.4]ヘプタン
7−(S)−アミノ−5−N−アセチルアザスピロ[2.4]ヘプタン(365mg,2.0mmol)をエタノール(6.0ml)に溶解し、室温にてトリエチルアミン(304mg,3.0mmol)を加え、次いでジ−tert−ブチルジカーボネート(524mg,2.4mmol)を加え、同温にて2時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残渣にクロロホルムと飽和重曹水を加えて分液した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧留去し、標記化合物(586mg,quant.)を結晶性残渣として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:0.53−0.95(m,4H),1.44and1.45(s,9H,rotamers),2.02and2.06(s,3H,rotamers),3.19−3.30(m,1H),3.60−3.84(m,4H).
FAB MS(m/z);255(M++H),213,199,157,155,96
m.p.:141−142℃(toluene)
[実施例25] 7−(S)−[tert−ブトキシカルボニルアミノ]−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン
7−(S)−[tert−ブトキシカルボニルアミノ]−5−N−アセチルアザスピロ[2.4]ヘプタン(386mg,1.5mmol)をエタノール(4.0ml)に溶解し、室温にて1mol/l水酸化ナトリウム水溶液(4.0ml)を加え、50℃にて3時間攪拌した後、5mol/l水酸化ナトリウム水溶液(2.2ml)を加え、70℃にて20時間攪拌した。エタノールを減圧留去し、残渣にクロロホルムと水を加えて分液した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧留去し、標記化合物(231mg,72%)を結晶性残渣として得た。このものの1H−NMRスペクトルは標品と一致した。
[実施例26]
実施例25で得られた7−(S)−[tert−ブトキシカルボニルアミノ]−5−アザスピロ[2.4]ヘプタンの光学純度の測定を、以下のようにして行った。
得られた化合物およびラセミ体をテトラヒドロフランに溶解し、3,5−ジニトロベンゾイルクロリドを加えた。氷冷下、これにトリエチルアミンを滴下し、室温で30分間攪拌した。反応液に飽和重曹水とクロロホルムを加えて分液し、有機層をHPLCにて分析した。
(HPLC条件)
カラム;SUMICHIRAL OA−4400(4.6mmφ×250mm)
移動相;ヘキサン:1,2−ジクロロエタン:エタノール=75:25:1
流速;1.0ml/min
温度;室温
検出;UV254nm
保持時間;(S)−体:9.0分、(R)−体:10.4分
得られた化合物の分析結果;(S)−体:99.2%
(R)−体:0.8%
[実施例27] 7−(S)−[ベンジルオキシカルボニルアミノ]−5−N−アセチルアザスピロ[2.4]ヘプタン
7−(S)−アミノ−5−N−アセチルアザスピロ[2.4]ヘプタン(2.44g,15.8mmol)をジクロロメタン(24ml)に溶解し、氷冷攪拌下トリエチルアミン(1.76g,17.4mmol)を加え、次いで塩化ベンジルオキシカルボニル(2.70g,15.8mmol)のジクロロメタン溶液を滴下し、同温にて1時間攪拌した。反応液に水を加えて分液し、有機層を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチルと水を加えて分液した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧留去し、黄色オイル(2.64g)を得た。このものをシリカゲルカラムにて精製し、標記化合物(1.87g,41%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:0.55−0.91(m,4H),2.01and2.04(s,3H,rotamers),3.19−3.30(m,1H),3.59−3.85(m,4H),5.08and5.10(s,2H,rotamers),7.31−7.40(m,5H).
FAB MS(m/z);289(M++H),245,199,152,135,91
[実施例28] 7−(S)−[ベンジルオキシカルボニルアミノ]−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン
7−(S)−[ベンジルオキシカルボニルアミノ]−5−N−アセチルアザスピロ[2.4]ヘプタン(288mg,1.0mmol)をエタノール(5.0ml)に溶解し、室温にて5mol/l水酸化ナトリウム水溶液(10ml)を加え、室温にて72時間攪拌した。反応液にトルエンと水を加えて分液し、有機層を水洗した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧留去し、黄色オイル(165mg)を得た。このものをシリカゲルカラムにて精製し、標記化合物(97.4mg,40%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:0.50−0.82(m,4H),2.74(d,J=10.7Hz,1H),2.94−3.02(m,2H),3.34(dd,J=5.5and11.5Hz,1H),3.71(m,1H),5.07(s,2H),7.28−7.39(m,5H).
FAB MS(m/z);247(M++H),185,157,135,91
[実施例29] 7−(S)−[ベンジルオキシカルボニルアミノ]−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン p−トルエンスルホン酸塩
7−(S)−[ベンジルオキシカルボニルアミノ]−5−アザスビロ[2.4]ヘプタン(123mg,0.5mmol)をトルエン(1.2ml)に溶解し、室温にてp−トルエンスルホン酸一水和物(95.1mg,0.5mmol)のエタノール溶液を加え、室温にて1時間攪拌した。溶液を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチル(2.0ml)を加えて50℃にて30分間スラリー攪拌した後、ジイソプロピルエーテル(2.0ml)を加えて室温にて30分間スラリー攪拌した。析出した結晶を濾過後、酢酸エチルとジイソプロピルエーテルの混液(1:1)にて洗浄した。結晶を室温下減圧乾燥し、標記化合物(150mg,71%)を白色結晶として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:0.55−0.98(m,4H),2.32(s,3H),3.04−3.12(m,1H),3.54−3.64(m,3H),3.91(m,1H),5.02(dd,J=12.5and15.5Hz,2H),6.59(d,J=7.6Hz,1H),7.06(d,J=7.9Hz,2H),7.27−7.34(m,5H),7.70(d,J=7.9Hz,2H),9.06(br.s,1H),9.35(br.s,1H).
産業上の利用可能性
本願発明は、合成抗菌剤化合物の合成原料となる中間化合物であるスピロ環状構造のアミノ置換アザスピロアルカン化合物を簡便に製造することができる。
Claims (27)
- 式(VIII)
Process A:
次式
H2N−R1 VI
で表される化合物またはその塩と、シアノ化剤とを反応させる方法。
{上記の各式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。} - 式(VIII)
Process B:
式(X)
H2N−R1 (VI)
で表される化合物またはその塩と、シアノ化剤を反応させ、式(XI)
{上記の各式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。} - 式(I)
H2N−R1 VI
で表される化合物またはその塩と、シアノ化剤とを反応させ、式(II)
{上記の各式中、nは、2から5の整数を表し、
R1は、水素原子または式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。} - 式(I)
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。]
で表される化合物に、式(VI)
H2N−R1 VI
{式中、R1は、水素原子または式
で表される基を表す。}
で表される化合物またはその塩と、シアノ化剤とを反応させることを特徴とする式(II)
で表される化合物の製造方法。 - 式(X)
H2N−R1 (VI)
で表される化合物またはその塩と、シアノ化剤を反応させ、式(XI)
R1は、水素原子または式
で表される基を表し、
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。}
で表される化合物の製造方法。 - 式(II)
R1は、水素原子または式
で表される基を表し、
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。}
で表される化合物またはその塩のシアノ基を還元することを特徴とする式(III)
で表される化合物の製造方法。 - 式(III)
R1は、水素原子または式
で表される基を表し、R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。}
で表される化合物またはその塩を閉環させることを特徴とする式(IV)
で表される化合物の製造方法。 -
R1は、水素原子または式
で表される基を表し、R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。}
で表される化合物のシアノ基が結合する炭素原子の不斉に基づく異性体の混合物であって、次式
(式中、n、R1、R2およびR3の定義は、各々、先の定義と同一である。)
に示す異性体の含量が他方の異性体の含量よりも少ない混合物を処理して、当該化合物の含量を他方の異性体の含量よりも増加させることを特徴とする異性体混合物の製造方法。 - 式(I)
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。]
で表される化合物に式(VI)
H2N−R1 VI
{式中、R1は、水素原子または式
で表される基を表す。}
で表される化合物またはその塩と、シアノ化剤とを反応させ、生成する式(II)
で表される化合物のうちの次式
に示す異性体化合物を分離させた後、残存する次式
に示す異性体化合物を異性化させることを特徴とする次式
に示す異性体化合物の製造方法。 - 1−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルボアルデヒドである請求項12の化合物。
- 式(II)
R1は、水素原子または式
で表される基を表し、
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。}
で表される化合物、その塩、またはそれらの水和物。 - 2−(ベンジルアミノ)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]アセトニトリルである請求項14の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
- (2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリルである請求項14の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
- (2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−ナフチルエチル]アミノ}アセトニトリルである請求項14の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
- (2S)−2−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチル]アミノ}アセトニトリルである請求項14の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
- 2−(1−ホルミルシクロプロピル)−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリルである請求項19の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
- 2−(ベンジルアミノ)−2−(1−ホルミルシクロプロピル)アセトニトリルである請求項19の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
- 式(III)
R1は、水素原子または式
で表される基を表し、
R2およびR3は、各々独立に、炭素数1から4のアルコキシ基を表すか、または両者が一体化して式
−O−(CH2)m−O−
(式中、mは、1から4の整数を表す。)
で表される基となってもよい。}
で表される化合物、その塩、またはそれらの水和物。 - N−{2−アミノ−(1S)−1−[1−(ジエトキシメチル)シクロプロピル]エチル}−N−[(1S)−1−フェニルエチル]アミンである請求項22の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
- (S)−N−[(S)−1−フェニルエチル]−5−アザスピロ[2.4]ヘプト−4−エン−7−アミンである請求項24の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
- 2−[1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]−2−{[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}アセトニトリルである請求項26の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
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