JP4084855B2 - 環式化合物の製法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、優れた抗菌剤として期待されるキノロン誘導体(特開平2−231475号)の製造に使用する原料化合物の新規な合成法およびこの製法で有用な中間体化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、式(VI)
【0003】
【化28】
(式中、nは2から5までの整数を表す。)
で表わされる化合物は、アセト酢酸エチルを出発原料とする多段階の製造工程を経て合成されていた(特開平2−231475号)。さらに、この化合物の光学活性体は、光学活性な保護基を有するジアステレオマー化合物を得て、これを分取用高速液体クロマトグラフィーを用いて単離し、さらに脱保護して得ていたが(特開平3−95176号)、この方法では操作が煩雑であり、工業的製法としては改良の余地があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、スピロ環状構造を有する含窒素複素環化合物、とりわけ光学活性なアザスピロ[2.4]ヘプタン誘導体を安価かつ短工程で工業的に有利に製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の実情に鑑み本発明者は鋭意研究した結果、既知の式(IV)
【0006】
【化29】
の化合物から容易にかつ高収率で式(I)
【0007】
【化30】
の化合物を得ることができ、さらにこの式(I)の化合物が容易に式(II)
【0008】
【化31】
の化合物に変換できることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
また本発明者らは、化合物(IV)に光学的に単一なアミン類またはその塩の存在下で、シアン化水素を反応させると、生成する2種のジアステレオマーのうち一方のジアステレオマーが他方よりも優先的に得られることを見出した。
【0013】
さらにまた本発明者らは、上記で得られた2種のジアステレオマーのうち一方のジアステレオマーをプロトン性溶媒中で処理することで容易にエピメリゼーションし、2種のジアステレオマーの混合物が得られることも見出した。
【0014】
すなわち本発明は式(I)
【0015】
【化34】
[式中、nは2から5までの整数を表し、R1は式
【0016】
【化35】
(式中、Ra、RbおよびRcは、各々異なって、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシル基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基群から選ばれる1種類以上の置換基が1個以上置換してもよいフェニル基、フェニルメチル基若しくはナフチル基、水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表わす。)で表される置換基を表し、R2は水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される化合物およびその塩に関する。
【0020】
さらに、本発明は式(III)
【0021】
【化38】
[式中、nは2から5までの整数を表し、
R11は式
【0022】
【化39】
(式中、Ra、RbおよびRcは各々、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシル基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基群から選ばれる1種類以上の置換基が1個以上置換してもよいフェニル基、フェニルメチル基若しくはナフチル基、水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。ただし、Ra、RbおよびRcは互いに異なるものである。)
で表される置換基を表す。]
で表される化合物およびその塩に関する。
【0023】
さらにまた、本発明は、式(IV)
【0024】
【化40】
(式中、nは2から5までの整数を、R2 は水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。)
で示される化合物(IV)に式(V)
【0025】
【化41】
NH2−R1 (V)
[式中、R1は式
【0026】
【化42】
(式中、Ra、RbおよびRcは、各々異なって、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシル基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基群から選ばれる1種類以上の置換基が1個以上置換してもよいフェニル基、フェニルメチル基若しくはナフチル基、水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表わす。)]
で表される化合物およびその塩からなる群の化合物から選ばれる化合物の存在下で、シアン化水素を反応させることを特徴とする式(I)
【0027】
【化43】
[式中、nは2から5までの整数を表し、R1は、式
【0028】
【化44】
(式中、Ra、RbおよびRcは、各々異なって、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシル基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基群から選ばれる1種類以上の置換基が1個以上置換してもよいフェニル基、フェニルメチル基若しくはナフチル基、水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表わす。)で表される置換基を表し、R2は水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される化合物を得る製法に関する。
【0029】
そして本願発明は、式(I)
【0030】
【化45】
[式中、nは2から5までの整数を表し、
R1は、水素原子または式
【0031】
【化46】
(式中、Ra、RbおよびRcは各々、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシル基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基群から選ばれる1種類以上の置換基が1個以上置換してもよいフェニル基、フェニルメチル基若しくはナフチル基、水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。)で表される置換基を表し、
R2は水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される化合物のシアノ基を還元した後、得られるアミノ化合物を閉環することを特徴とする式(II)
【0032】
【化47】
[式中、nは2から5までの整数を表し、
R1は、水素原子または式
【0033】
【化48】
(式中、Ra、RbおよびRcは各々、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシル基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基群から選ばれる1種類以上の置換基が1個以上置換してもよいフェニル基、フェニルメチル基若しくはナフチル基、水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。)で表される置換基を表す。]
で表される化合物の製法に関する。
【0041】
そして、本発明は、式(IV)
【0042】
【化54】
(式中、nは2から5までの整数を、R2 は水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。)
で示される化合物に式(V)
【0043】
【化55】
NH2−R1 (V)
[式中、R1は式
【0044】
【化45】
(式中、Ra、RbおよびRcは、各々異なって、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシル基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基群から選ばれる1種類以上の置換基が1個以上置換してもよいフェニル基、フェニルメチル基若しくはナフチル基、水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表わす。)]
で表される化合物およびその塩からなる群の化合物から選ばれる化合物の存在下で、シアン化水素を反応させることを特徴とする式(I)
【0045】
【化57】
[式中、nは2から5までの整数を表し、R1は、式
【0046】
【化58】
(式中、Ra、RbおよびRcは、各々異なって、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシル基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基群から選ばれる1種類以上の置換基が1個以上置換してもよいフェニル基、フェニルメチル基若しくはナフチル基、水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表わす。)]
で表される化合物をジアステレオ選択的、すなわち2種のジアステレオマー混合物のうちの一方のジアステレオマーを他方よりも優先的に得る製法に関する。
【0047】
そしてまた、本発明は式(I-1)
【0048】
【化59】
(式中、nは2から5までの整数を表し、
Ra、RbおよびRcは各々、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシル基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基群から選ばれる1種類以上の置換基が1個以上置換してもよいフェニル基、フェニルメチル基若しくはナフチル基、水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。ただし、Ra、RbおよびRcが同時に水素原子となることはない。
R2は水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。)
で表される化合物のうちの光学的に単一な化合物をプロトン性溶媒中で処理し異性化させることを特徴とするジアステレオマー混合物の製法に関する。
【0049】
以下に本発明について詳細に述べる。
【0050】
「光学的に単一な化合物」とは、複数個の光学異性体が存在する場合に、これらのいずれか1つからなる化合物であることを意味し、他の光学異性体を全く含有しない場合だけでなく、化学的に純粋な程度のものも含む。つまり、物理定数や生理活性に対して影響がない程度であれば他の光学異性体が含まれていても良い。
【0051】
本発明の式(I)
【0052】
【化60】
で表される化合物について述べるが、nは2から5までの整数を表す。置換基R1は水素原子または式
【0053】
【化61】
(式中、Ra、RbおよびRcは各々、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシル基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基群から選ばれる1種類以上の置換基が1個以上置換してもよいフェニル基、フェニルメチル基若しくはナフチル基、水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。)で表される置換基を表す。
【0054】
置換基R1が式
【0055】
【化62】
で表わされる置換基の場合、式(I)の化合物のシアノ基をアミノメチル基に変換する反応でも変化せず、アミノ基を保護することができるものであれば如何なるものでもよいが、Ra、RbおよびRcが互いに異なるものが好ましい。このような例としては、例えば、(R)−および(S)−1−フェニルエチル基、(R)−および(S)−1−フェニルプロピル基、(R)−および(S)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチル基、(R)−および(S)−1−(1−ナフチル)エチル基等を挙げることができる。
【0056】
これらの置換基のうちでは、製造上の簡便さから(R)−および(S)−1−フェニルエチル基が好ましいが、このフェニル基はさらに置換基を有してもよく、例えば炭素数1から4のアルキル基,炭素数1から4のアルコキシ基,ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基の群から選ばれる1種以上の置換基が1個以上置換してもよい。具体的には、(R)−および(S)−1−(4−メトキシフェニル)エチル基、(R)−および(S)−1−(4−クロロフェニル)エチル基、(R)−および(S)−1−(4−ニトロフェニル)エチル基、(R)−および(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル基、(R)−および(S)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチル基、(R)−および(S)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチル基、(R)−および(S)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチル基等を挙げることができる。
【0057】
置換基R1はアミノ基の保護基であってもよく、この場合のアミノ基の保護基としては式(I)の化合物のシアノ基をアミノメチル基に変換する反応でも変化しない保護基であればよい。この様なアミノ基の保護基としては、例えば、第三級ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基類、ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラニトロベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基類、アセチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル基、ベンゾイル基等の脂肪族もしくは芳香族アシル基類、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基等のアラルキル基類を挙げることができる。
【0058】
これらの保護基のうちでは、製造上の簡便さからアラルキル基類が好ましい。さらにアラルキル基の中でもベンジル基が好ましい。このベンジル基のフェニル基はさらに置換基を有していてもよく、例えば炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシル基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基の群から選ばれる1種以上の置換基が1個以上置換していてもよい。具体的には、ベンジル基の他には4−メトキシベンジル基、4−クロロベンジル基、4−ニトロベンジル基、2,4−ジクロロベンジル基、2,4−ジニトロベンジル基、3,5−ジクロロベンジル基、3,5−ジニトロベンジル基等を挙げることができる。
【0059】
置換基R2は、水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表すが、アルキル基は直鎖状、分枝鎖状のいずれでもよい。なお、このR2は、必ずしもアルキル基に限定されるものではなく、脱離基としての機能を果たすことができるものであればよい。
【0060】
本発明の式(II)
【0061】
【化63】
で表される化合物について述べるが、式中、nは2から5までの整数を表し、
置換基R1は水素原子または式
【0062】
【化64】
(式中、Ra、RbおよびRcは各々、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシル基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基群から選ばれる1種類以上の置換基が1個以上置換してもよいフェニル基、フェニルメチル基若しくはナフチル基、水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。)で表される置換基を表す。
【0063】
このような式
【0064】
【化65】
で表わされる置換基としては、式(I)で表される化合物について述べたものと同一の置換基でよい。また、式(I)で表される化合物と同様に、R1はアミノ基の保護基であってもよい。
【0065】
本発明の式(III)
【0066】
【化66】
で表わされる化合物について述べるが、式中、nは2から5までの整数を表す。置換基R11は式
【0067】
【化67】
(式中、Ra、RbおよびRcは各々、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシル基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基群から選ばれる1種類以上の置換基が1個以上置換してもよいフェニル基、フェニルメチル基若しくはナフチル基、水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。ただし、Ra、RbおよびRcは互いに異なるものである。)
で表される置換基を表す。
【0068】
式
【0069】
【化68】
で表される置換基の例としては、(R)−および(S)−1−フェニルエチル基、(R)−および(S)−1−フェニルプロピル基、(R)−および(S)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチル基、(R)−および(S)−1−(1−ナフチル)エチル基等を挙げることができる。
【0070】
これらの置換基のうちでは、製造上の簡便さから(R)−および(S)−1−フェニルエチル基が好ましいが、このフェニル基はさらに置換基を有してもよく、例えば炭素数1から4のアルキル基,炭素数1から4のアルコキシ基,ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基の群から選ばれる1種以上の置換基が1個以上置換してもよい。具体的には、(R)−および(S)−1−(4−メトキシフェニル)エチル基、(R)−および(S)−1−(4−クロロフェニル)エチル基、(R)−および(S)−1−(4−ニトロフェニル)エチル基、(R)−および(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル基、(R)−および(S)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチル基、(R)−および(S)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチル基、(R)−および(S)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチル基等を挙げることができる。
【0071】
次に、本発明の化合物の製法について説明するが、まず式(I)
【0072】
【化69】
で表される化合物の製法について述べる。
【0073】
本発明において、式(I)で表される化合物のうち、n=2の化合物の合成には式(IV-2)の化合物を使用するが、この化合物は公知の方法によって合成できる。例えば、Meyers らの方法(J. Org. Chem., 1973, 38, 36.)を用いた場合、1−シアノ−シクロプロパンカルボン酸エステルから下図のようにして得ることができる。
【0074】
【化70】
式(IV)で表される化合物から式(I)で表される化合物の製造は、式(IV)で表される化合物に対し、式(V)
【0075】
【化71】
NH2−R1 (V)
[式中、R1は水素原子または式
【0076】
【化72】
(式中、Ra、RbおよびRcは各々、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシル基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基群から選ばれる1種類以上の置換基が1個以上置換してもよいフェニル基、フェニルメチル基若しくはナフチル基、水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。ただし、Ra、RbおよびRcが同時に水素原子となることはない。)]
で表される化合物またはその塩の存在下で、シアン化水素を反応させればよい。
【0077】
この場合の塩としては酸付加塩が挙げられ、塩酸塩、臭化水素酸塩および硝酸塩等の無機酸塩を例示することができる。
【0078】
また、Ra、RbおよびRcは各々、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシル基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる置換基群から選ばれる1種類以上の置換基が1個以上置換してもよいフェニル基、フェニルメチル基若しくはナフチル基、水素原子または炭素数1から4のアルキル基のいずれかであるが、Ra、RbおよびRcは互いに異なるものがよい。すなわち、式(V)で表わされる化合物が、不斉炭素を有する化合物となったものが好ましい。さらには、2つの光学異性体のうち、どちらか一方の異性体のみの場合、すなわち光学的に単一な化合物であるものが好ましい。
【0079】
式(V)で表される化合物としては、例えば、(R)−および(S)−1−フェニルエチルアミン、(R)−および(S)−1−フェニルプロピルアミン、(R)−および(S)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン、(R)−および(S)−1−(1−ナフチル)エチルアミン、(R)−および(S)−1−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、(R)−および(S)−1−(4−クロロフェニル)エチルアミン、(R)−および(S)−1−(4−ニトロフェニル)エチルアミン、(R)−および(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチルアミン、(R)−および(S)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチルアミン、(R)−および(S)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチルアミン、(R)−および(S)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチルアミン等を挙げることができる。
【0080】
本反応で使用されるシアン化水素は、反応系外で発生させたものを系内に導入してもよいが、反応系内で直接発生させてもよい。反応系内で発生させるときはシアン化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化リチウム等のシアン化アルカリ類と、塩酸に代表される種々の酸性物質との水中での塩交換反応が利用できる。また、上記のシアン化アルカリ類に亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤を加えて発生させてもよい。なお、シアン化水素の代りとしてトリメチルシリルシアニド等の有機シアン化合物またはジエチルアルミニウムシアニド等の有機金属シアン化合物を利用してもよい。
【0081】
本反応では反応に対して不活性であれば、いずれの溶媒も使用できるが、水、または水と混和するものが好ましい。水と混和する溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等の含窒素系溶媒類等を挙げることができる。またこれらの溶媒は、必要に応じて含水溶媒として使用される。
【0082】
本反応は、−20℃から100℃程度の温度で行われ、好ましくは50℃から溶媒の沸点程度で行われる。
【0083】
本反応を、光学的に単一なアミン類と行うと、生成物は2種のジアステレオマー混合物となるが、一方のジアステレオマーが他方よりも優先的に生成する。すなわち、ジアステレオ選択的に反応が進行することが特徴的である。例えば、アミン類として、(S)−1−フェニルエチルアミンを用いた場合、1−[(S)−1−シアノ−[(S)−1−フェニルエチルアミノ]メチル]−1−エトキシカルボニルシクロプロパンとそのジアステレオマ−である1−[(R)−1−シアノ−[(S)−1−フェニルエチルアミノ]メチル]−1−エトキシカルボニルシクロプロパンとの混合物となるが、その生成比は、73:27であった。なお、(R)−1−フェニルエチルアミンを用いた場合、1−[(S)−1−シアノ−[(R)−1−フェニルエチルアミノ]メチル]−1−エトキシカルボニルシクロプロパンとそのジアステレオマ−である1−[(R)−1−シアノ−[(R)−1−フェニルエチルアミノ]メチル]−1−エトキシカルボニルシクロプロパンとの混合物となるが、その生成比は、約3:7になると考えられる。
【0084】
ここで得られる2種のジアステレオマーは、通常の方法で分離可能である。例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィーあるいは高速液体クロマトフラフィー等を用いて分離すればよい。
【0085】
ここで分離された光学活性体のうち必要でない異性体は、プロトン性溶媒中で処理してエピメリゼーションさせ、すなわちシアノ基の結合した炭素原子の立体配置を転換させて、容易に必要とする異性体を含むジアステレオマーの混合物に変換することができる。そして、この混合物から目的の立体配置を有する化合物を分離して得ることができる。
【0086】
この場合の処理は、加熱して行ってもよい。用いるプロトン性溶媒としては、化合物に対して不活性であれば、いずれの溶媒も使用できるが好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられる。また、これらプロトン性溶媒と他の溶媒の混合溶媒を用いてもよい。他の溶媒としては、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等の含窒素系溶媒類、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒等を挙げることができる。すなわち、先に得られた1−[(R)−1−シアノ−[(S)−1−フェニルエチルアミノ]メチル]−1−エトキシカルボニルシクロプロパンをエタノール中で30分間加熱還流すると、1−[(S)−1−シアノ−[(S)−1−フェニルエチルアミノ]メチル]−1−エトキシカルボニルシクロプロパンと1−[(R)−1−シアノ−[(S)−1−フェニルエチルアミノ]メチル]−1−エトキシカルボニルシクロプロパンとの73:27の混合物となる。このようにして容易に、目的とする立体配置を有する光学活性体に導くことが可能である。
【0087】
なお、式(I)の化合物で、置換基R1が、例えばアルコキシカルボニル基類やアラルキルオキシカルボニル基類、脂肪族もしくは芳香族アシル基類である化合物は、式(I)の化合物でR1が水素原子である化合物から通常使用される置換反応によって容易に変換して得ることができる。
【0088】
次に、式(I)で表される化合物から式(II)で表される化合物を製造する方法について述べる。
【0089】
式(II)で表される化合物の製造は、式(I)で表される化合物のシアノ基を還元した後、生成するアミノ化合物を閉環することによって行うことができる。この還元および閉環は、触媒存在下、水素雰囲気中でシアノ基を還元し、加熱して連続的に縮合閉環して行えばよい。また、還元して得られる次の一般式
【0090】
【化73】
で表わされるアミノ化合物を一度単離した後、加熱し閉環させてもよい。本反応には、エステルおよびR1に対して不活性であって、シアノ基をアミノメチル基に還元できるものであれば如何なる反応も用いることができる。このような反応としては、パラジウム−炭素、ラネーニッケル等を触媒とする接触水素添加反応が挙げられ、特にラネーニッケルを使用する反応が好ましい。
【0091】
この反応の溶媒には、反応に対して不活性なものであればいずれのものも使用可能であるが、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、1,4−ジオキサン等のエーテル類等を挙げることができる。これらの溶媒は、アンモニアを溶解させた溶媒としてもよい。さらにこれらの溶媒は、必要に応じて水と混合して使用してもよい。アンモニアを含有する溶媒は、アンモニアガスを溶解させるかアンモニア水を混合して調整すればよい。
【0092】
接触水素添加の反応は、0℃から40℃の範囲で行われるが、好ましくは5℃から室温程度で行われる。また、閉環反応は、0℃から200℃の範囲で行われるが、好ましくは、室温から180℃程度で行われる。接触水素添加する際の水素ガスの圧力は、1気圧から100気圧の範囲でよく、好ましくは、20気圧から70気圧の範囲である。また、接触水素添加反応を室温程度で行った場合には、連続的に50℃から180℃程度に加熱して閉環反応を行う必要があることもある。
【0093】
次に、式(II)で表される化合物から式(III-1)で表される化合物を製造する方法について述べる。
【0094】
式(III-1)で表される化合物の製造は、式(II)で表される化合物を還元して行えばよい。通常この還元は水素化剤を反応させてアミド基のカルボニル部分を還元する。本反応で用いられる水素化剤は、水素化アルミニウムリチウムや水素化ビス−(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等の水素化アルミニウム化合物、水素化ホウ素ナトリウムとメタンスルホン酸、三フッ化ホウ素等を組み合わせた系で用いられる各種ホウ素化合物(例えばジボラン等)が挙げられるが、水素化アルミニウムリチウムや水素化ビス−(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムが特に好ましい。
【0095】
この反応は通常は溶媒の存在下に実施するが、溶媒は反応に不活性なものであればいずれのものも使用可能である。溶媒としては例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、トルエン等の炭化水素系溶媒を挙げることができるが、これらのうちではテトラヒドロフランが好ましい。
【0096】
この反応は、0℃から溶媒の沸点の範囲で行えばよいが、室温から100℃程度の範囲の温度が好ましい。
【0097】
次に、式(III-2)で表される化合物から式(VI)で表される化合物を製造する方法について述べる。
【0098】
式(VI)で表される化合物は、式(III-2)で表される化合物を接触的加水素分解あるいは酸加水分解等でR1を除去することによって製造できる。
【0099】
例えば接触的加水素分解反応を利用する場合では、その触媒としてパラジウム−炭素、水酸化パラジウム、ラネーニッケル等が用いられるが、特にパラジウム−炭素、水酸化パラジウムが好ましい。この反応の溶媒は、反応に対して不活性なものであればいずれのものも使用可能であるが、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン等のエーテル類を挙げることができる。またこれらの溶媒に水を添加して行ってもよい。さらに場合によっては、酢酸、塩酸等の酸を添加して行うこともある。
【0100】
本反応は、0℃から100℃の範囲で行われるが、好ましくは5℃から50℃の範囲で行われる。また、本反応の水素ガスの圧力は、1気圧から100気圧の範囲でよく、好ましくは、1気圧から50気圧の範囲である。
【0101】
以上の製法をまとめると以下のような工程になる(例として、R2がエチル基(Et)の場合を示す。)。
【0102】
【化74】
式(VI)
【0103】
【化75】
で表される化合物のうちの光学活性体(対掌体)は以下のようにして製造できる(例として、R2がエチル基(Et)、Raがメチル基(Me)、Rbがフェニル基(Ph)、Rcが水素原子の場合を示す。)。
【0104】
【化76】
すなわち、式(IV)で表される化合物を、式(V)で表わされる化合物のうち光学的に単一な化合物またはその塩の存在下で、シアン化水素を反応させ、式(I)で表わされる化合物を製造する。なお、式(V)で表わされる化合物のうち光学的に単一な化合物とは、式(V)で表わされる化合物においてRa、RbおよびRcが互いに異なり2つの光学異性体が存在する場合において、そのうちどちらか一方の異性体を意味する。
【0105】
上記のように光学的に単一なアミン類を用いて本反応を行うと生成する式(I)で表わされる化合物は、2種のジアステレオマーの混合物となるが、反応はジアステレオ選択的に進行し、一方のジアステレオマーが他方よりも優先的に生成する。ここで得られる2種のジアステレオマーは、通常の方法で分離が可能であり、必要な光学活性体を得ることができる。なお、光学活性体のうちの必要でない異性体は、プロトン性溶媒中で容易にエピメリゼーションさせ、すなわちシアノ基が結合した炭素原子の立体配置を転換させ、必要とする異性体に変換することができ、目的とする立体配置の光学活性体を優位に得ることが可能である。
【0106】
次に、光学的に単一な化合物として得られた式(I)で表される化合物のシアノ基を還元した後、生成するアミノ化合物を閉環することによって光学的に単一な化合物として式(II)で表わされる化合物を得ることができる。
【0107】
そして、光学的に単一な化合物として得られた式(II)で表される化合物を還元し、光学的に単一な化合物として式(III-1)で表される化合物を得ることができる。
【0108】
最後に、光学的に単一な化合物として得られた式(III-2)で表される化合物を接触的加水素分解あるいは酸加水分解等で脱保護することによって、光学的に単一な化合物として式(VI)で表される化合物を製造できる。
【0109】
また、式(VI)で表される化合物の光学活性体(対掌体)は、式(VI)で表される化合物のラセミ体を光学活性な酸、例えば酒石酸とジアステレオマー塩を形成させ、光学分割を行うことによっても製造できる。式(VI)で表される化合物は二塩基性化合物であるため、二種のジアステレオマー塩[化合物(VI):酒石酸=1:1および化合物(VI):酒石酸=1:2]が得られるが、これらを選択的に製造することが可能である。例えば、式(VI)で表される化合物のうちの(S)−体化合物は、D−酒石酸と1:1の塩を形成し、これを再結晶によって分離して光学分割することができる。この時使用される溶媒は、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒を単独または水との混合溶媒として用いるのが好ましい。
【0110】
ここで得られた式(VI)で表される化合物は、特開平2−231475および特開平3−95176号記載の方法で優れた抗菌剤に導くことができる。
【0111】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0112】
実施例1
1-(1- アミノ -1- シアノメチル )-1- エトキシカルボニルシクロプロパン
ナス型フラスコにシアン化カリウム(3.49 g)と塩化アンモニウム(3.74 g)を入れ、水(20 ml)を加え溶解した。これに濃アンモニア水(40 ml)を加えた後、エタノール(30 ml)に溶解したエチル 1-ホルミルシクロプロパン-1-カルボキシレート(5.01 g)を室温にて滴下し、反応液を50℃で2時間撹拌した。反応の終了を確認後、氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。次に有機層を水と飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、不溶物を濾過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)に付し、無色油状物(5.44 g, 97%)を得た。
【0113】
1H-NMR(CDCl3) δ:
1.02 - 1.10(2H, m), 1.28(3H, t, J = 7.3 Hz), 1.40 - 1.44(2H, m),
2.03(2H, brs), 3.61(1H, s), 4.21(2H, q, J = 7.3 Hz).
IR(KBr)cm-1 :2988, 1724, 1378, 1192
MS(m/z) :169, 128.
【0114】
実施例2
1-(1- ベンジルアミノ -1- シアノメチル )-1- エトキシカルボニルシクロプロパン
ナス型フラスコにシアン化カリウム(131 mg)とベンジルアミン(539 mg)を入れ、水(1 ml)に分散した。これにエタノール(2 ml)に溶解したエチル 1-ホルミルシクロプロパン-1-カルボキシレート(146 mg)を室温にて滴下し、続いて濃塩酸(0.2 ml)を滴下した。反応液を50℃で2.5時間撹拌した。反応の終了を確認後、氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。次に有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、不溶物を濾過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 5 : 1)に付し、無色油状物(231 mg, 87%) を得た。
【0115】
1H-NMR(CDCl3) δ:
0.93 - 0.97(2H, m), 1.26(3H, t, J = 7.3 Hz), 1.39 - 1.42(2H, m),
2.59(1H, brs), 3.10(1H, s), 3.81(1H, d, J = 13 Hz),
4.09 - 4.23(3H, m,), 7.25 - 7.39(5H, m).
IR(KBr)cm-1 :2988, 1726, 1376, 1180
MS(m/z) :259, 232, 106, 91.
【0116】
実施例3
1-(1- ベンジルアミノ -1- シアノメチル )-1- エトキシカルボニルシクロプロパン
ナス型フラスコにエチル 1-ホルミルシクロプロパン-1-カルボキシレ−ト(501 mg)と水(2 ml)を入れ、これに亜硫酸水素ナトリウム(1.13 g)とシアン化カリウム(345 mg)を加えた。さらにこれに室温にてエタノール(5 ml)に溶解したベンジルアミン(564 mg)を滴下し、反応液を50℃で2.5時間撹拌した。反応の終了を確認後、氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。次に有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、不溶物を濾過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 3 : 1)に付し、無色油状物(717 mg, 79%)を得た。得られた油状物のスペクトルデータは、実施例2のそれに一致した。
【0117】
実施例4
1-(1-t- ブトキシカルボニルアミノ -1- シアノメチル )-1- エトキシカルボニルシクロプロパン
ナス型フラスコに1-(1-アミノ-1-シアノメチル)-1-エトキシカルボニルシクロプロパン(100 mg)を入れ、トルエン(1 ml)に溶解した。これにジ-t-ブチル ジカルボナート(300 mg)とトリエチルアミン(0.2 ml)とを氷冷下加え、室温に戻して5時間撹拌した。反応終了後、飽和クエン酸水と飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、不溶物を濾過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 5 : 1)に付し、無色油状物(112 mg, 70%)を得た。
【0118】
1H-NMR(CDCl3) δ:
1.02 - 1.55(4H, m), 1.29(3H, t, J = 7.3 Hz), 1.46(9H, s),
4.08 - 4.29(3H, m), 5.78(1H, br).
【0119】
実施例5
7- アミノ -4- オキソ -5- アザスピロ [2.4] ヘプタン
オートクレーブに1-(1-アミノ-1-シアノメチル)-1-エトキシカルボニルシクロプロパン(1.0 g)、ラネーニッケル(0.4 ml)およびアンモニアを飽和させたエタノ−ル(4.0 ml)を入れ、20 kg/cm2 の水素雰囲気下、80℃で4時間撹拌した。反応後、触媒を濾去し、濾液を減圧濃縮すると無色結晶(692 mg, 92%)が得られた。これを酢酸エチルとジエチルエーテルから再結晶して分析用サンプルとした。
融点:97 - 99 ℃
【0120】
1H-NMR(CDCl3) δ:
0.81 - 0.92(2H, m), 1.01 - 1.13(2H, m),
3.12(1H, dd, J = 4.3, 10.2 Hz), 3.46(1H, dd, J = 4.3, 7.3 Hz),
3.72(1H, dd, J = 7.3, 10.2 Hz).
IR(KBr)cm-1 :3328, 3208, 1682, 1026, 972.
MS(m/z) :127, 110.
元素分析C6H10N20として
計算値(%); C, 57.12; H, 7.99; N, 22.21
分析値(%); C, 57.00; H, 7.83; N, 22.18.
【0121】
実施例6
7- ベンジルアミノ -4- オキソ -5- アザスピロ [2.4] ヘプタン
オートクレーブに1-(1-ベンジルアミノ-1-シアノメチル)-1-エトキシカルボニルシクロプロパン(61.3 mg)、ラネーニッケル(0.2 ml)およびアンモニアを飽和させたエタノール(2.0 ml)を入れ、30 kg/cm2 の水素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応後、触媒を濾去し、濾液を減圧濃縮すると淡黄色油状物(51.3 mg, 定量的)が得られた。
【0122】
1H-NMR(CDCl3) δ:
0.74 - 1.28(4H, m), 3.27(1H, dd, J = 4.0 and 9.6 Hz),
3.40(1H, dd, J = 4.0, 6.9 Hz), 3.66(1H, dd, J = 6.9, 9.6 Hz),
3.72(1H, d, J = 13.2 Hz), 3.72(1H, d, J = 13.2 Hz).
IR(KBr)cm-1 : 3260, 1698, 1454, 744.
MS(m/z) :217, 91, 75.
【0123】
実施例7
7-t- ブトキシカルボニルアミノ -4- オキソ -5- アザスピロ [2.4] ヘプタン
オ−トクレ−ブに1-(1-t-ブトキシカルボニルアミノ-1-シアノメチル)-1-エトキシカルボニルシクロプロパン(112 mg)、 ラネーニッケル(0.5 ml)およびアンモニアを飽和させたエタノール(3.0 ml)を入れ、65 kg/cm2 の水素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。反応後、触媒を濾去し、濾液を減圧濃縮すると無色結晶(86 mg, 91%)が得られた。これを酢酸エチルとジエチルエーテルから再結晶して分析用サンプルとした。
【0124】
融点:178 - 181 ℃
1H-NMR(CDCl3) δ:
0.9 - 1.3(4H, m), 1.43(9H, s), 3.30(1H, brd, J = 9.9 Hz),
3.80(1H, brdd, J = 7.3 and 9.9 Hz), 4.17(1H, br), 5.03(1H, br),
6.90(1H, br).
IR(KBr)cm-1 :3336, 1690, 1680, 1538.
MS(m/z) :227, 171, 110.
元素分析C11H18N2O3として
計算値(%); C, 58.39; H, 8.01; N, 12.38
分析値(%); C, 58.22; H, 8.04; N, 12.19.
【0125】
実施例8
7- アミノ -5- アザスピロ [2.4] ヘプタン p- トルエンスルホン酸塩
7-アミノ-4-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン(50 mg)をフラスコに入れ、系内を窒素で置換した。次にテトラヒドロフラン(1.0 ml)を加えて溶解し、これに水素化アルミニウムリチウム(1モル濃度テトラヒドロフラン溶液;2.0 ml)を室温で滴下し、7.5時間加熱還流した。反応の終了を確認後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えて反応を停止し、不溶物を濾過した。濾液を減圧濃縮して無色油状物(42.5 mg, 95.7%)を得た。この油状物をエタノールに溶解し、2当量のp-トルエンスルホン酸1水和物を加えた後、ジエチルエーテルを加えて析出する結晶をエタノールとジエチルエーテルから再結晶して分析用サンプルとした。
【0126】
融点:232 - 238 ℃
1H-NMR(D2O, H2O = 4.65 ppm) δ:
0.9 - 1.2(4H, m), 2.34(6H, s), 3.16(1H, d, J = 11.9 Hz),
3.15 - 3.74(3H, m), 4.01(1H, dd, J = 7.6 and 13.9 Hz),
7.31(4H, d, J = 8.3 Hz), 7.63(4H, d, J = 8.3Hz).
IR(KBr)cm-1 :2988, 1206, 1172, 1124, 682, 568.
元素分析C20H28N2O6S2として
計算値(%); C, 52.61; H, 6.18; N, 6.14
分析値(%); C, 52.66; H, 6.19; N, 6.19.
【0127】
実施例9
(S)-7- アミノ -5- アザスピロ [2.4] ヘプタン
7-アミノ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン(375 mg)をフラスコに入れ、メタノール(22.0 ml)を加えて分散し、水(4.0 ml)に溶解したD-酒石酸(1.0 g)を加えた。この溶液を氷冷にて冷却しながら接種し、しばらく撹拌した後、析出した結晶を濾取した。この操作をさらに3回くり返して無色プリズム晶(361 mg, 38.6%)を得た。
【0128】
融点:158 - 163 ℃
1H-NMR(D2O, H2O = 4.65 ppm) δ:
0.8 - 1.1(4H, m), 3.07(1H, d, J = 12.2 Hz), 3.47 - 3.63(3H, m),
3.90(1H, dd, J = 7.3 and 13.9 Hz), 4.19(2H, s).
IR(KBr)cm-1 :2928, 2832, 1628, 1574, 1396, 1306, 1128, 610.
元素分析C10H18N2O6・H2Oとして
計算値(%); C, 42.85; H, 7.19; N, 9.99
分析値(%); C, 42.95; H, 7.08; N, 9.87.
【0129】
得られた(S)-7-アミノ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタンの光学純度の測定は、以下のようにして行った。得られた結晶およびラセミ体(18 mg)をそれぞれテトラヒドロフラン(1 ml)に溶解し、3,5-ジニトロベンゾイルクロリド(50 mg)を加えた。氷冷下これにトリエチルアミン(0.006 ml)を滴下し、室温で30分撹拌した。溶液に飽和重曹水とクロロホルムを加えて分液し、クロロホルム層を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。
【0130】
【0131】
実施例10
1−[(RS)−1−シアノ−[(S)−1−フェニルエチルアミノ]メチル] −1−エトキシカルボニルシクロプロパン
(方法1)
ナス型フラスコにシアン化カリウム(134mg)、(S)−1−フェニルエチルアミン(606mg)さらに水(1ml)を加えた。これに、エタノール(2ml)に溶解したエチル 1−ホルミルシクロプロパン−1−カルボキシレート(142mg)を室温にて滴下した後、さらに濃塩酸(0.2ml)を加えて、同温で3時間撹拌し、さらに50℃で2.5時間撹拌した。反応の終了を確認後、反応液に氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。次に有機層を水と飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、不溶物を濾過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)に付し、無色油状物のジアステレオマーの混合物(245mg,87%)を得た。
【0132】
(方法2)
ナス型フラスコにエチル 1−ホルミルシクロプロパン−1−カルボキシレート(10g)を加え、エタノール(100ml)に溶解した(S)−1−フェニルエチルアミン(12.8g)、水(40ml)に溶解したシアン化カリウム(6.9g)、さらに亜硫酸水素ナトリウム(22g)を0℃にて順に加えた。反応系を50℃で2時間撹拌した後、反応の終了を確認し、反応液に氷水を加え酢酸エチルで抽出した。次に有機層を水と飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、不溶物を濾過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)に付し、無色油状物のジアステレオマーの混合物(15.7g,82%)を得た。2種のジアステレオマーの生成比は、以下の分析条件により算出した。また、これらのジアステレオマーは、薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により分離が可能であった。
【0133】
【0134】
ジアステレオマーA
1H-NMR(CDCl3)δ:
0 .80-0.89(2H, m), 1.28(3H, t, J = 7.3 Hz), 1.2-1.4(2H, m),
1.40(3H, d, J = 6.6 Hz), 2.66(1H, s), 4.06(1H, q, J = 6.6 Hz),
4.20(2H, q, J = 7.3 Hz), 7.23-7.37(5H, m).
IR(KBr)cm-1:2980, 1722, 1182, 702.
MS(m/z) :273, 246, 142, 105.
【0135】
ジアステレオマーB
1H-NMR(CDCl3)δ:
0.92-1.06(2H, m), 1.26(3H, t, J = 7.3 Hz),
1.34(3H, d, J = 6.6 Hz), 1.38-1.42(2H, m), 3.41(1H, s),
4.03(1H, q, J = 6.6 Hz), 4.19(2H, q, J = 7.3 Hz),
7.24-7.38(5H, m).
IR(KBr)cm-1:2980, 1724, 1182, 702.
MS(m/z) :273, 246, 142, 105.
【0136】
実施例11
1−[(RS)−1−シアノ−[(S)−1−(1−ナフチル)エチルアミノ]メチル]−1−エトキシカルボニルシクロプロパン
ナス型フラスコにエチル 1−ホルミルシクロプロパン−1−カルボキシレート(426mg)を加え、0℃にてエタノール(5ml)に溶解した(S)−1−(1−ナフチル)エチルアミン(771mg)、水(2ml)に溶解したシアン化カリウム(293mg)、さらに亜硫酸水素ナトリウム(937mg)を順に加えた。反応系を50℃で3.5時間撹拌した後、反応の終了を確認し、反応液に氷水を加え酢酸エチルで抽出した。次に有機層を水と飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、不溶物を濾過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)に付し、無色油状物のジアステレオマーの混合物(698mg,72%)を得た。2種のジアステレオマーの生成比は、以下の分析条件により算出した。
【0137】
1H-NMR(CDCl3)δ:
0.73-0.97(2H, m), 1.23(3H×1/4, t, J = 7.3 Hz),
1.29(3H ×3/4, t, J = 7.3 Hz), 1.34-1.41(2H, m),
1.51(3H×1/4, d, J = 6.3 Hz), 1.56(3H×3/4, d, J = 6.6 Hz),
2.75(1H ×3/4, s), 3.53(1H ×1/4, s), 4.08-4.28(2H, m),
4.87-4.92(1H, brq), 7.42-8.38(7H, m).
【0138】
実施例12
1−[(RS)−1−シアノ−[(S)−1−フェニルプロピルアミノ]メチル]−1−エトキシカルボニルシクロプロパン
ナス型フラスコにシアン化カリウム(136mg)、(S)−1−フェニルプロピルアミン(501mg)さらに水(1ml)を加えた。これに、エタノール(2ml)に溶解したエチル 1−ホルミルシクロプロパン−1−カルボキシレート(152mg)を室温にて滴下した後、さらに濃塩酸(0.2ml)を加えて、同温で1時間撹拌、さらに50℃で2時間撹拌した。反応の終了を確認後、反応液に氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。次に有機層を水と飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、不溶物を濾過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)に付し、無色油状物のジアステレオマーの混合物(181mg,59%)を得た。2種のジアステレオマーの生成比は、以下の分析条件により算出した。
【0139】
ジアステレオマーA
1H-NMR(CDCl3)δ:
0.74-0.83(2H, m), 0.87(3H, t, J = 7.3 Hz),
1.28(3H, t, J = 7.3 Hz), 1.34-1.41(2H, m), 1.70(2H, m),
2.63(1H, s), 3.77(1H, t, J = 6.9 Hz), 4.21(2H, q, J = 7.3 Hz),
7.23-7.36(5H, m).
【0140】
実施例13
1−[(RS)−1−シアノ−[(S)−1−フェニル−2−p−トリルエチルアミノ]メチル]−1−エトキシカルボニルシクロプロパン
ナス型フラスコにシアン化カリウム(133mg)、(S)−1−フェニル−2−p−トリルエチルアミン(1.0g)、さらに水(1ml)を加えた。これに、エタノール(2.5ml)に溶解したエチル 1−ホルミルシクロプロパン−1−カルボキシレート(146mg)を室温にて滴下した後、さらに濃塩酸(0.2ml)を加えて、同温で1時間撹拌、さらに50℃で2時間撹拌した。反応の終了を確認後、反応液に氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。次に有機層を水と飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、不溶物を濾過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)に付し、無色油状物のジアステレオマーの混合物(251mg,67%)を得た。2種のジアステレオマーの生成比は、NMR の積分比より4:1であった。
【0141】
1H-NMR(CDCl3)δ:
0.62-0.88(2H, m), 1.04(3H ×4/5, t, J = 7.3 Hz),
1.11(3H ×1/5, t, J = 7.3 Hz), 1.25-1.45(2H, m),
2.30(3H×1/5, s), 2.32(3H ×4/5, s), 2.64(1H ×4/5, s),
2.73-3.03(2H, m), 3.06(1H×1/5, s), 3.78-4.23(3H, m),
7.03-7.40(9H, m).
【0142】
実施例14
1−[(R)−1−シアノ−[(S)−1−フェニルエチルアミノ]メチル]−1−エトキシカルボニルシクロプロパンのエピメリゼーション
実施例10で得られた1−[(R)−1−シアノ−[(S)−1−フェニルエチルアミノ]メチル]−1−エトキシカルボニルシクロプロパン(10mg)にエタノール(1ml)を加えて30分間加熱還流した。反応後、減圧濃縮すると1−[(S)−1−シアノ−[(S)−1−フェニルエチルアミノ]メチル]−1−エトキシカルボニルシクロプロパンと1−[(R)−1−シアノ−[(S)−1−フェニルエチルアミノ]メチル]−1−エトキシカルボニルシクロプロパンとのジアステレオマーの混合物(生成比;72:28)が得られた。
【0143】
【0144】
実施例15
(S)−7−[(S)−1−フェニルエチル]アミノ−4−オキソ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン
オートクレーブに1−[(S)−1−シアノ−[(S)−1−フェニルエチルアミノ]メチル]−1−エトキシカルボニルシクロプロパン(1.0g)、ラネーニッケル(1.7ml)およびアンモニアを飽和させたエタノール(17ml)を入れ、水素雰囲気下、35kg/cm2 、室温で1.5時間撹拌した。反応後触媒を濾去し、濾液を減圧濃縮後、残留物をエタノール(20ml)に溶解し、ふたたびオートクレーブに入れ、180℃(浴温)で8.5時間加熱した。反応後、溶媒を減圧留去し、残渣にイソプロパノールを加えて撹拌すると、微黄色結晶(621mg,74%)が得られた。これをエタノールとイソプロパノールから再結晶して分析用サンプルとした。
【0145】
融点 : 126.5-127.5 ℃
1H-NMR(CDCl3)δ:
0.58-0.66(1H, m), 0.89-1.01(1H, m), 1.05-1.11(2H, m),
1.32(3H, d, J = 6.6 Hz), 3.14(1H, dd, J = 4.6 and 6.9 Hz),
3.24(1H, dd, J = 4.6 and 9.2 Hz),
3.63(1H, dd, J = 6.9 and 9.2 Hz), 3.84(1H, q, J = 6.6 Hz),
5.45(1H, brs), 7.21-7.34(5H, m).
【0146】
なお、実施例10で得られたジアステレオマーの混合物を用いて同様の反応を行ったときに得られる生成物の分析データは、以下のとおりであった。
融点 : 107-110.5 ℃
1H-NMR(CDCl3)δ:
0.58-1.25(4H, m), 1.315(1H×27/100, d, J = 6.6 Hz),
1.322(1H ×73/100, d, J = 6.6 Hz),
2.91(1H×27/100, dd, J = 5.3 and 9.2 Hz),
3.14(1H ×73/100, dd, J = 4.6 and 6.9 Hz),
3.24(1H ×73/100, dd, J = 4.6 and 9.2 Hz),
3.36(1H ×27/100, dd, J = 7.3 and 9.2 Hz),
3.44(1H ×27/100, dd, J = 5.3 and 7.3 Hz),
3.63(1H, dd, J = 6.9 and 9.2 Hz), 3.75(1H×27/100, q, J = 6.6 Hz),
3.84(1H×73/100, q, J = 6.6 Hz), 7.21-7.34(5H, m).
【0147】
実施例16
(S)−7−[(S)−1−フェニルエチル]アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン
(S)−7−[(S)−1−フェニルエチル]アミノ−4−オキソ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン(200mg)をフラスコに入れ、系内を窒素で置換した。次にテトラヒドロフラン(5ml)を加えて溶解し、これに水素化アルミニウムリチウム(1モル濃度テトラヒドロフラン溶液;5.0ml)を0℃で滴下し、その後1時間加熱還流した。反応の終了を確認後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えて反応を停止し、不溶物を濾過した。濾液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチルと飽和食塩水に分配した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。次に不溶物を濾去後、濾液を減圧濃縮して無色油状物(181mg,96%)を得た。
【0148】
1H-NMR(CDCl3)δ:
0.41-0.50(3H, m), 0.68-0.80(1H, m), 1.32(3H, d, J = 6.6 Hz),
2.47(1H, dd, J = 3.3 and 5.0 Hz), 2.68(1H, d, J = 10.9 Hz),
2.93(1H, dd, J = 3.3 and 11.2 Hz), 3.07(1H, d, J = 10.9 Hz),
3.10(1H, dd, J = 5.0 and 11.2 Hz), 3.74(1H, q, J = 6.6 Hz),
7.19-7.35(5H, m).
【0149】
実施例17
(S)−7−アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン・2塩酸塩
(S)−7−[(S)−1−フェニルエチル]アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン(79mg)、20%水酸化パラジウム(37mg)、エタノール(2ml)、水(1ml)および濃塩酸(0.5ml)をオートクレーブに入れ、水素雰囲気下(40kgf/cm2)室温で一夜攪拌した。反応後触媒を濾去し、濾液を減圧濃縮すると無色結晶(72mg、82%)が得られた。得られた結晶をエタノールとジエチルエーテルから再結晶して分析用サンプルとした。
【0150】
融点: 240-248 ℃(分解)
1H-NMR(D2O,H2O=4.65ppm)δ:
0.86-1.16(4H, m), 3.16(1H, d, J = 12.2Hz),
3.59(1H, dd, J = 3.3 and 13.9Hz), 3.63(1H, d, J = 12.2Hz),
3.73(1H, dd, J = 3.3 and 7.6 Hz),
4.01(1H, dd, J = 7.6 and 13.9Hz).
得られた(S)−7−アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタンの光学純度の測定は、以下のようにして行った。得られた結晶およびラセミ体(18mg)をそれぞれテトラヒドロフラン(1ml)に溶解し、3,5−ジニトロベンゾイルクロリド(50mg)を加えた。氷冷下、これにトリエチルアミン(0.06ml)を滴下し、室温で30分撹拌した。溶液に飽和重曹水とクロロホルムを加えて分液し、クロロホルム層を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。
【0151】
Claims (13)
- 式(I)
で表される置換基を表し、
R2は水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される化合物およびその塩。 - 式(I)の化合物においてR1が(R)−1−フェニルエチル基、(S)−1−フェニルエチル基、(R)−1−フェニルプロピル基、(S)−1−フェニルプロピル基、(R)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチル基、(S)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチル基、(R)−1−(1−ナフチル)エチル基、(S)−1−(1−ナフチル)エチル基、(R)−1−(4−メトキシフェニル)エチル基、(S)−1−(4−メトキシフェニル)エチル基、(R)−1−(4−クロロフェニル)エチル基、(S)−1−(4−クロロフェニル)エチル基、(R)−1−(4−ニトロフェニル)エチル基、(S)−1−(4−ニトロフェニル)エチル基、(R)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル基、(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル基、(R)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチル基、(S)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチル基、(R)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチル基、(S)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチル基、(R)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチル基、および(S)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチル基からなる群の基から選ばれる基である請求項1に記載の化合物およびその塩。
- 次の立体配置を有する請求項1または2に記載の化合物およびその塩。
- 式(III)
で表される置換基を表す。]
で表される化合物およびその塩。 - 次の立体配置を有する請求項4に記載の化合物およびその塩。
- 式(IV)
で示される化合物に式(V)
で表される化合物およびその塩からなる群の化合物から選ばれる化合物の存在下で、シアン化水素を反応させることを特徴とする式(I)
で表される置換基を表し、R2は水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される化合物の製法。 - 式(V)で表わされる化合物が光学的に単一な化合物である請求項6に記載の製法。
- 式(V)で表わされる化合物が、(R)−1−フェニルエチルアミン、(S)−1−フェニルエチルアミン、(R)−1−フェニルプロピルアミン、(S)−1−フェニルプロピルアミン、(R)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン、(S)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン、(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミン、(S)−1−(1−ナフチル)エチルアミン、(R)−1−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、(S)−1−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、(R)−1−(4−クロロフェニル)エチルアミン、(S)−1−(4−クロロフェニル)エチルアミン、(R)−1−(4−ニトロフェニル)エチルアミン、(S)−1−(4−ニトロフェニル)エチルアミン、(R)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチルアミン、(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチルアミン、(R)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチルアミン、(S)−1−(2,4−ジニトロフェニル)エチルアミン、(R)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチルアミン、(S)−1−(3,5−ジクロロフェニル)エチルアミン、(R)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチルアミン、または(S)−1−(3,5−ジニトロフェニル)エチルアミンである請求項6に記載の製法。
- 式(I)
で表される置換基を表し、R2は水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。]
で表される化合物のシアノ基を還元した後、得られるアミノ化合物を閉環することを特徴とする式(II)
で表される置換基を表す。]
で表される化合物の製法。 - 式(I-1)
で表される化合物のうちの光学的に単一な化合物をプロトン性溶媒中で処理し異性化させることを特徴とするジアステレオマー混合物の製法。 - 式(I-1)で表わされる化合物が次の立体配置を有する化合物である請求項10に記載の製法。
- 処理を加熱条件下で行なう請求項10または請求項11に記載の製法。
- プロトン性溶媒がエタノールである請求項12に記載の製法。
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