JP5031142B2 - テトラブロモビスフェノール−aの製造方法 - Google Patents

テトラブロモビスフェノール−aの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の背景】
本発明はテトラブロモビスフェノール−Aの改良された高度に効率的な製造方法に関する。
【0002】
テトラブロモビスフェノール−Aは、世界中で最も広く使用されている臭素化難燃剤の1つである。それはスチレン系熱可塑性プラスチック及び或る熱硬化性樹脂に難燃性を与えるのに広範に使用される。
【0003】
米国特許第5,527,971号は、臭化アルキルを随伴して生成することなくテトラブロモビスフェノール−Aの連続的製造及びバッチ製造のための高度に有利な技術を開示している。更に、これらの技術は、良好なカラー及び低い加水分解性物質(hydrolyzables)及びイオン性物質(ionics)を有するテトラブロモビスフェノール−A製品を製造する。この方法の収率は優れている。
【0004】
商業的な努力において常にそうであるが、プロセスの面を有利にする改良及び/又は優れた製品を与える改良を提供することが望ましい。従って、本発明の目的はこれらの結果を与えることである。
【0005】
【本発明】
本発明は、
(a)ビスフェノール−A、水及び水に混和性の溶媒を含んで成る溶液を反応器に供給して水15重量%以上〜65重量%を含有する液相を有する反応塊(reaction mass)を少なくとも部分的に形成し、該重量%は該液相中の水及び水に混和性の溶媒の量を基準としており、
(b)(a)の間に、該反応塊にガス状臭素の流れを供給し、このようなガス状供給流は≧40,000のレイノルズ数を有しており、
(c)(a)の間に、反応塊中に(i)未反応臭素約50〜20,000ppm及びHBr約20重量%未満を存在させ、該ppm及びHBr重量%の値は該反応塊の液相の全重量を基準としており、そして
(d)(a)の間に、テトラブロモビスフェノール−A少なくとも約95重量%を含んで成る反応塊沈殿相(reaction mass precipitate phase)を形成し、該重量%は該沈殿相の全重量を基準としている、ことを含んで成るテトラブロモビスフェノール−Aを製造する方法に関する。
【0006】
反応塊の液相がHBr約20重量%未満を含有する場合に、≧約40,000のレイノルズ数を有するガス状流として臭素反応体を反応塊に加えることによって、良好なテトラブロモビスフェノール−Aのカラーを一貫して得ることが高められることが見いだされた。液体又は部分液体及び部分ガス状臭素流の使用は劣ったカラーを与えるであろう。また、約40,000より少ないレイノルズ数の使用はばらつきのない最善のカラーを与えないであろう。反応塊の液相中のHBrの重量%が低ければ低い程、≧40,000のレイノルズ数を有するガス状臭素供給流を使用することにより得られる利益はより顕著である。HBrの重量%が5〜17である場合には、テトラブロモビスフェノール−A生成物のAPHAカラー(APHA color)は50%〜300%の利益となり(benefited)、改良の最も大きな点はHBrの重量%範囲の下端で起こる。更に、テトラブロモビスフェノール−A生成物は高いレイノルズ数を有するガス状臭素供給により更に利益を得る。何故ならば、テトラブロモビスフェノール−A生成物のイオン性物質含有率も低くなる、例えば、生成物の全重量を基準として約100ppmより少なくなるからである。≧40,000のレイノルズ数はまた反応が反応塊の液相中の過剰の臭素含有率、このような過剰は普通は生成物のカラーに不利に影響すると予想されている、に対して過度に鋭敏ではないという意味において反応系をより強固な(robust)なものとする。
【0007】
本発明の目的には、「ガス状臭素流」という用語は、該流れが目に見える液体臭素がない臭素ガスであることを意味する。臭素ガス流は、その供給点から上流の臭素供給配管において覗きガラスを介して目に見える液体臭素について監視されうる。もし液体滴、凝縮物又はその他が観察されるならば、その場合には、このような供給期間中に生成した生成物は、すべての他のパラメーターは一定に保持されていても、劣ったカラーを有するであろうということが予想できる。
【0008】
レイノルズ数は下記式
Re Number =DVρ/μ
式中、Dはフィートで表した出口オリフィスの直径であり、Vはフィート/秒で表した線速度であり、ρはlb/ft3で表した流体密度であり、そしてμはlb/(ft)(秒)で表した流体粘度である、
により決定された無次元数である。ガス状臭素では、60℃においてρ=0.124lb/ft3でありそしてμ=1×10-5lb/(ft)(秒)である。ガス状臭素流は反応塊の液体レベルの表面より下の点まで延びている浸漬管(dip tube)の端部で円筒形オリフィスから供給されることが好ましい。本発明の方法で使用されるレイノルズ数は供給管の排出端部(1つ又は複数)で測定される。
【0009】
レイノルズ数は40,000〜2,000,000の範囲内、最も好ましくは500,000〜1,000,000の範囲内にあることが好ましい。最も高度に好ましいのは600,000〜1,000,000の範囲である。
【0010】
【詳細な説明】
本発明の方法で起こる臭素化は非常に速く起こる。事実、ビスフェノール−Aの実質的にすべてがテトラ臭素化される(tetrabrominated)速さは本発明の高純度の生成物を得るための他の重要事項であると考えられる。本発明の方法により使用される反応塊は有意な量の水を含有し、かくしてテトラ臭素化が非常に速く起こることを義務付ける。もしそうしなければ、大量の水の存在はトリブロモビスフェノール−Aの速すぎる沈殿を生じさせ、これはテトラブロモビスフェノール−A生成物に求められる純度を低下させるであろうということを先行技術は教示している。本発明の方法のための高い温度の使用は速いテトラ臭素化を促進する。しかしながら、このような温度は普通は臭化アルキルの容易な生成も促進すると考えられるであろう。このような懸念にもかかわらず、本発明の方法は盛んな臭化アルキルの生成を示さない。その代わりに、本発明の方法は最小の臭化アルキルの生成を示し、例えば、生成したテトラブロモビスフェノール−Aの沈殿45.4kg(100ポンド)当たり臭化アルキル約4.54〜0.0454kg(10〜0.1ポンド)又はそれ以下を示し、このような生成はプロセスパラメーターに依存している。HBrをBr2に転化するために酸化剤を使用することなく、そして溶媒としてメタノールを使用して、典型的には臭化メチルの生成は生成したテトラブロモビスフェノール−Aの沈殿45.4kg(100ポンド)当たり1.8kg(4ポンド)より少ないことが見いだされそして好ましくは1.8kg(4ポンド)〜0.454kg(1ポンド)又はそれ以下の範囲内にあることが見いだされる。溶媒としてエタノールを使用すると、臭化アルキルの生成を、テトラブロモビスフェノール−A45.4kg(100ポンド)当たり0.91kg(2ポンド)より少なくすることができそして好ましくは0.91kg(2ポンド)〜0.0454kg(0.1ポンド)又はそれ以下の範囲内とすることができる。
【0011】
ビスフェノール−Aは、溶融した形態において又はアルコール溶媒を含んで成る溶液中の溶質として反応塊に加えられるのが好ましい。固体としてビスフェノール−Aを添加することはあまり好ましくない。ビスフェノール−Aは、未反応Br2の上記した濃度を有する反応塊に加えられることは重要な特徴である。このような方法でビスフェノール−Aを加えることは新規でありそして高度に所望される速いテトラ臭素化に寄与すると考えられる。反応塊における特定された未反応Br2の存在によって、ビスフェノール−Aは、それが供給されるにつれて、その速いテトラ臭素化に必要な、しかしビスフェノール−A構造の劣化が実現されるほど多くない利用可能なBr2を常に有する。ビスフェノール−Aの反応塊にBr2を加える先行技術を比較されたい。この後者の場合に、行うのに0.5+時間を要することがあるBr2供給の終わり近くまでテトラ臭素化に利用可能なBr2が不十分である。その場合ですら、先行技術はテトラ臭素化を完了するためのポストキュアリング(post−curing)又はエージング(aging)段階の必要を教示している。このようなポストキュアリング又はエージンク段階は、反応塊の温度を有意に上昇させること及び指定されたキュアリング又はエージング期間にわたり温度を保持することを要する。これらの先行技術の方法の長いテトラ臭素化時間により、反応塊中に約20重量%よりはるかに多くの水を使用することは可能ではない。何故ならば、多量の水は下位臭素化種(under−brominated species)、例えばトリブロモビスフェノール−Aの有意な沈殿を生じさせるからである。このような沈殿はBr2供給が完了する前にすら起こるであろう。
【0012】
反応塊における未反応Br2の特定された濃度の維持は、反応塊にただガス状Br2を加えるだけにより又はガス状Br2を加えそしてその場でBr2を生成させることにより行うことができる。Br2は反応塊に運ばれるけれども、その濃度は、所望のBr2濃度について反応塊を監視し、次いで反応塊へのBr2及び/又はビスフェノール−Aの添加を調節することにより所望のレベルに容易に調節されうる。Br2がその場で生成されるべき場合には、その生成は、Br2及び/又はビスフェノール−Aの添加に対する調節を引き立たせる(compliment)ように調節することができる。これらの監視及び調節方法を以後より完全に説明する。ガス状臭素供給流の入る点は反応塊の表面の下(sub−surface)であることが好ましい。これは、反応容器における浸漬管の使用により都合良く達成される。直接のBr2の添加と共にその場でのBr2生成の使用も好ましい。浸漬管はノズルを備えていることができ又は単に開いた端部を有する管であることができる。
【0013】
Br2を反応塊にビスフェノール−Aと共に共供給する(co−feed)ことがより好ましい。共供給されるビスフェノール−Aは、アルコール溶媒を含んで成る溶媒中の溶質として供給されることがより好ましい。最も好ましい形態においては、溶媒は水も含有するであろう。共供給することは、Br2供給期間とビスフェノール−A又はビスフェノール−A溶液供給期間が少なくとも或る程度お互いに重なることを意味する。(供給期間とは対象供給物のすべてが反応器に供給されるその期間である)。例えば、Br2供給が最初のアルコール/水投入物(initial alcohol/water charge)に対してなされることができ、続いてビスフェノール−A又はビスフェノール−A溶液供給が行われ、Br2及び後の供給はその後終了するまで同時に行われる。他の例は、同じ最初のBr2供給、その後連続しているがしかし間欠的に中断した又は段階的なBr2供給を伴う連続的ビスフェノール−A又はビスフェノール−A溶液の供給のそれであることができる。更に、他の例は、アルコール及び水を予め投入された反応器(alcohol and water pre−charged rector)ヘのBr2の供給を開始し、続いてビスフェノール−A又はビスフェノール−A溶液の供給を行い、それにより特定の量のBr2が供給されるまで2つの供給が同時に行われることである。その点で、ビスフェノール−A又はビスフェノール−A溶液供給のみがそれが終了するまで続く。また、Br2及びビスフェノール−A又はビスフェノール−A溶液供給は、時間的にお互いに完全に同時であることができる。他の共供給(co−feeding)案が可能であり、この案は、ビスフェノール−A反応塊へのBr2の添加に似せる(approximate)よりも、前に特定された未反応Br2濃度を有する反応塊へのビスフェノール−Aの添加により密接に似せなければならないことが要求される。供給期間はその時間の少なくとも75%互いに重なることが好ましく、そしてその時間の少なくとも90%お互いに重なることが最も好ましい。
【0014】
商業的に入手可能なBr2はBr2供給物としての使用に適当である、Br2が望ましくない不純物を含有しているならば、それは慣用の精製技術、例えば、当業者には周知の蒸留又はH2SO4処理により処理することができる。
【0015】
本発明の方法は反応塊中の水及びアルコール溶媒の全量を基準として30〜85重量%の範囲内にある反応塊中の水の使用を特徴とする。好ましくは、反応塊中の水の量は水30〜75重量%の範囲内にある。最も高度に好ましいのは30〜70重量%の範囲である。アルコール溶媒がメタノールである場合には、水の好ましい量は30重量%〜55重量%である。アルコール溶媒がエタノールであるならば、水の好ましい量は40重量%〜65重量%である。
【0016】
反応塊の水含有率は本発明の重要な観点である。前記したように、本発明の目的には、水含有率は、意外にも高純度のテトラブロモビスフェノール−A生成物の高い収率を許容しながら、臭化アルキルの形成を大いに弱めると考えられる。本発明の方法をいかなる理論によっても限定するものではないけれども、ビスフェノール−Aの芳香族部分とBr2との置換臭素化反応により共生成される(co−produced)HBrは反応塊中の大量の水により希釈されるので臭化メチル又は臭化エチルの形成は弱められるということが理論化される。更に、HBrは水と反応してH3OBrを生成し、これは反応塊中のアルコールと反応するのに非常に遅い。前記したとおり、本発明の方法のための弱められた臭化アルキル形成は一般に、生成したテトラブロモビスフェノール−Aの沈殿45.4kg(100ポンド)当たり約4.54kg(10ポンド)を越えない。
【0017】
高純度のテトラブロモビスフェノール−A生成物の高い収率に関して、本発明の方法からの典型的な生成物は回収された生成物の全重量を基準として少なくとも95重量%のテトラブロモビスフェノール−A純度及び供給されたビスフェノール−Aを基準として少なくとも90%のテトラブロモビスフェノール−A収率を有することに留意される。この収率及び純度は反応塊中の水の大きな濃度によるものであると考えられる。いかなる特定の理論にも限定されるものではないが、水は反応塊中の臭素化性種(brominating species)の存在を増進すると考えられる。この増進によって、中間体トリブロモビスフェノール−Aが有意な量の沈殿を形成するための十分な機会を有する全く前に、完全に(all of the way)テトラブロモビスフェノール−Aへのビスフェノール−Aの速い臭素化が支援される。臭素化性種の増進は前記したとおりHBrが水と反応してH3OBr酸を形成するという事実によるものであると考えられる。H3OBr酸はHBrが反応するのと同じ程容易にはBr2と反応しない。これは重要である。何故ならば、H3OBrが形成されなかったならば、大量のHBrがBr2と反応してHBr3を形成するのに利用可能であるからである。HBr3は反応塊中の弱い臭素化性種でありそしてその形成はBr2を消費するので所望されない。利用可能なBr2がより少なければ、臭素化反応は遅くなる。この遅くなることはトリブロモビスフェノール−Aの沈殿の増加をもたらすことがある。
【0018】
反応塊中の水は、単に直接の水の供給物として反応器に供給することにより反応塊に供給することができ、又はそれはビスフェノール−A/アルコール溶媒溶液の構成成分として供給することができ、あるいはそれは直接の水供給により及びビスフェノール−A/アルコール溶媒の構成成分として供給することができる。このような溶液の一部として水を供給することは好都合でありそして好ましい。水を別の供給流として反応塊に導入するならば、その場合には、それはビスフェノール−A/アルコール溶媒溶液の供給と本質的に同じ時間にわたり供給されてもされなくてもよい。更に、すべてではないとしても、水の一部をガス状Br2供給と共にスチーム又はスチーム凝縮物として供給することができる。スチームはBr2を蒸発させてガス状供給物を形成するのに使用することができたであろう。他の例は、供給を開始する前に水を反応器への投入物又は投入物の一部として供給し、そして後で供給される水の量を調節して、反応塊における所望の水含有率を得ることを特徴とする。過酸化水素を本方法で使用する場合には、水の一部を過酸化水素供給とともに供給することができる。また、過酸化水素の使用はそれがHBrを酸化するにつれて水を形成するであろう。この酸化の水を水のソースとして使用することもできる。水は反応塊に供給されるけれども、それはビスフェノール−Aの供給の実質的すべての間適正な量の水が反応塊中に存在するようなものであることが好ましい。
【0019】
使用される水の量が範囲、例えば30〜35重量%の下端にありそして他のプロセスパラメータが最適に選ばれていないこれらの場合には、ビスフェノール−Aの供給の終わりにいくらかの追加の水を加えることが望ましいことがある。このような添加の可能な利点は追加の水が反応塊からのテトラブロモビスフェノール−Aの更なる沈殿を引き起こすことがあるということである。更なる沈殿は本方法の収率を増加させる。
【0020】
アルコール溶媒は、個々の供給物として又はビスフェノール−A溶液供給物の構成成分として又はその両方として供給することができる。しかし実際の観点からは、アルコール溶媒は溶液構成成分として供給されるのが最善である。反応塊中のアルコール溶媒の量は、水の存在下で、ビスフェノール−A並びにその下位臭素化中間体、即ち、モノ−、ジ−及びトリ−ブロモビスフェノール−Aが本質的に可溶性であること及び所望のテトラブロモビスフェノール−Aが高度に不溶性であることを保証するその量である。このような量は、本明細書では「溶媒量」と呼ぶ。一般に、使用されるアルコール溶媒の量は、アルコール対供給されたビスフェノール−Aの重量比として表して、0.5:1〜10:1の範囲内にある。メタノールで好ましいのは2〜5の範囲である。エタノールでは、好ましい範囲は1〜4である。メタノールでの最も好ましい範囲は2.5〜4である。エタノールで最も好ましい範囲は1〜2である。ビスフェノール−Aがアルコール溶媒中の溶液として供給されるべきであるならば、アルコール溶媒は溶液供給を介して又は溶液供給物の一部として反応塊に供給することができ、そして残りは別のアルコール供給を介して反応塊に供給することができる。溶液中のアルコール溶媒の量は、最小で、少なくとも流動性スラリー、好ましくは自由流動性液体を与えるその量である。専門家(practitioner)は特定のアルコールの必要な最小量及び選ばれた供給温度を経験的に決定することができる。
【0021】
アルコール対供給されたビスフェノール−Aの重量比を選ぶ場合に、より低い割合、例えば、1.3〜2は反応塊中のHBrの高い濃度をもたらすことがあることに留意するべきである。35重量%をはるかに越えるHBrの反応塊濃度は一般に回避されるべきである。35+重量%、特に40+重量%のHBr濃度は生成物の劣化及び/又は劣った生成物を生じることがあると考えられる。専門家がより低いアルコール対ビスフェノール−A重量比を使用することができるように、反応塊に酸化剤、例えばH22又はCl2を供給してHBrをBr2に酸化することによって反応塊中のHBr濃度を減少させることが望ましい。このようにして、HBr濃度を減少させ、そしてBr2を反応塊に利用可能ならしめ、この後者の効果は反応器に供給される必要のあるBr2の量を減少させる。
【0022】
最も好ましい形態においては、ビスフェノール−Aはアルコール溶媒及び水と共に溶液中の溶質として供給される。最も高度に好ましい操作方式は、ビスフェノール−A、アルコール溶媒及び水の本質的にすべてをこのような溶液を介して反応塊に供給することである。(いくらかの水は、臭化アルキルの形成の結果として、及びH22を使用してHBrをBr2に酸化するこれらの場合に反応塊に導入することができる。この水は反応塊中の全体の水になる)。このような好ましい方式は、適性な反応塊組成を保証することを簡単にする。実際、ビスフェノール−A/アルコール溶媒/水の溶液が実質的に反応塊のアルコール溶媒/水組成に、例えば組成反応塊の75%以内で近似する(mimic)ことが最も好ましい。かくして好ましい溶液はアルコール溶媒及び水の重量を基準として水30〜85重量%を含有するであろう。他の好ましい範囲は反応塊のための好ましい範囲に近似する。
【0023】
アルコール溶媒は、反応条件下に指定された量においてBr2、ビスフェノール−A、モノブロモビスフェノール−A、ジブロモビスフェノール−A及びトリブロモビスフェノール−Aを溶解することができるC1〜C4アルコールである。特に重要な反応条件は、反応塊温度、反応塊中の未反応Br2の存在及び反応塊水含有率である。更に、アルコールはH3OBr及びテトラブロモビスフェノール−Aへのビスフェノール−Aの芳香族臭素化(ar−bromination)に関して実質的に不活性であるべきである。アルコールは面倒な量のカラー体(color bodies)、イオン性臭化物及び/又は加水分解性臭化物の生成に寄与するべきでもない。加水分解性臭化物は、1−ブロモ−2−メトキシ−2−(3',5'−ジブロモ−4'−ヒドロキシフエニル)プロパン、1,1−ジブロモ−2−メトキシ−2−(3',5'−ジブロモ−4'−ヒドロキシフエニル)プロパン、1,3−ジブロモ−2−メトキシ−2−(3',5'−ジブロモ−4'−ヒドロキシフエニル)プロパン及び1,1,3−トリブロモ−2−メトキシ−2−(3',5'−ジブロモ−4'−ヒドロキシフエニル)プロパンを包含する。アルコールは、水及び本発明の方法の反応条件と組み合わせて考えるとき、或る小さなテトラブロモビスフェノール−A溶解能力を有することができるが、反応収率のためには、溶解力は低くあるべきであり、例えば、反応塊の液相中で該液相の重量を基準として溶解したテトラブロモビスフェノール−A約10重量%以下、好ましくは約5重量%以下であるべきである。
【0024】
好ましいアルコール溶媒の例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、及びこれらのいずれかの2種又はそれ以上の混合物である。多価アルコール、例えばエチレングリコール及びグリセリン及びそれらの任意の混合物も適当である。更に、本発明のアルコールのいずれかの任意の混合物が示唆される。最も好ましいのはメタノール、エタノール及びプロパノールであり、メタノール及びエタノールが特に好ましい溶媒である。メタノール及びエタノールは相対的に安価であり、そしてリサイクルのために簡単な蒸留技術により容易に回収される。本発明の方法においては多量の水が存在するので、アルコールを低い水含有率で回収することは必要ではなく、かくしてアルコール回収コストを減少させる。エタノールが使用されるならば、系に追加の副生物を生じないように変性物(denaturate)が選ばれるべきである。好ましい変性物は酢酸エチルである。何故ならばそれは系に新しい副生物を導入しないからである。
【0025】
使用されるベきアルコールを選ぶ際には、専門家は選ばれたアルコールが生成される臭化アルキルを決定するであろうということを考慮すべきである。この故に、メタノールは臭化メチルを生じそしてエタノールは臭化エチルを生じるであろう。本発明の方法により生成される臭化アルキルの量は少ないけれども、生成される臭化アルキルに対するいくらかの優先性があり、その優先性は選ばれたアルコールにより定められる(addressed)。最も好ましいアルコールはエタノールである。
【0026】
反応塊は本質的に2相系−液相及び固相−である。前者は反応体、副生物HBr、アルコール溶媒及び水を含んで成り、後者はテトラブロモビスフェノール−A沈殿を含んで成るであろう。反応塊は水に混和性の有機化合物により与えられうる液相のような第2の液相を必要としない。米国特許第3,929,907号参照。液相の容積は一般に存在するアルコール溶媒及び水の量により規定され、他の構成成分は僅かな寄与しかしない。液相容積は撹拌可能な且つ取り扱い可能な反応塊を与えることと調和しているべきであるが、該容積が過剰に大きな反応器の必要及び材料取り扱い問題の重荷をプロセスに負わせる程大きくするべきではない。
【0027】
供給流は好ましくは所望の反応塊温度を効率良く得ることを促進する温度である。適当なガス状Br2供給流温度はその沸点乃至120℃である。好ましい範囲は80℃〜110℃である。ビスフェノール−A/アルコール溶媒溶液及び/又は個々の供給温度は、反応塊を不利に冷却又は加熱しない、そして供給物がガス状臭素を除いて液体状態になることを許容する温度であるべきである。
【0028】
Br2及びビスフェノール−A/アルコール溶媒及び/又は別の供給物はすべて反応器中の反応塊の形成に寄与する。反応器に供給された及び/又はその場で生成したBr2の一部は臭素化反応において消費されるであろう。消費されなかったBr2は、それが消費されるまで、液相中の前記した過剰の未反応Br2を与えることが好ましい。
【0029】
一般的原理の記述として、反応塊中の未反応Br2の存在はビスフェノール−A供給の前に反応塊中のBr2含有率を保つ目的のためであり、かくして望まない副作用なしに過臭素化条件(perbromination condition)を保証する。液相中の未反応Br2の存在はビスフェノール−Aが供給されているとき残存している(extant)。未反応Br2の存在はビスフェノール−Aの供給と同じ時間にわたることが好ましい。しかしながら、テトラブロモビスフェノール−A反応生成物中で許容されうる下位臭素化種(under−brominated species)のレベル及び/又は実現される下位臭素化種の沈殿の程度に依存して、短い時間の期間にわたり未反応Br2含有率が前記で特定した範囲から外れることは許容できる。実際、該時間の期間が非常に短くそして好ましい反応パラメータが選ばれるならば、これらの下位臭素化沈殿の形成は何ら認められる程度には起こらないことがある。専門家は、プロセスを観察し、そして未反応Br2含有率の特定の範囲からの短い時間の逸脱(brief straying)に対する選ばれた反応条件の感受性を経験的方法により決定しなければならない。かくして、本発明の目的には、「未反応Br2の存在」は、未反応Br2含有率が特定の範囲内にはないが、許容できないテトラブロモビスフェノール−A生成物、例えば、約95重量%より少ないテトラブロモビスフェノール−Aを含有する生成物を生じる程度には下位臭素化種を形成させない短い時間の期間を包含することができる。
【0030】
反応塊液相中の未反応Br2の好ましい量を定量化することは試行錯誤方法により最善に取り扱われる。試行方法は、最初未反応Br2レベル及び他のプロセスパラメータを選ぶことにより規定される。プロセスからの生成したテトラブロモビスフェノール−A生成物のトリブロモビスフェノール−A及びテトラブロモビスフェノール−A含有率を分析する。トリブロモビスフェノール−Aのレベルがあまりにも高ければ、より高い未反応Br2レベルにより又は異なるプロセスパラメータにより、例えば、反応塊温度を上昇させるか又は滞留時間を増加させることにより他の試行プロセスを構築する。所望の生成物が得られるまでこの手順を繰り返す。プロセスパラメータを調節する場合に、望まない副生物、例えばトリブロモフェノールの生成が問題とならないことを保証するように注意を払うべきである。所望の生成物が得られると、使用される未反応Br2含有率を次いで測定する。
【0031】
未反応Br2含有率の測定は測色法(colorimetric techniques)の使用により行うことができる。1つの方法は、最初に酸性(HBr)水及びメタノール溶液を形成することを含む。このサンプルからいくつかの等容積のサンプルを抜き取る。各サンプルに異なる測定した量のBr2を加える。次いでこれらのサンプル溶液のカラーを試験プロセスで使用した反応塊液相のカラーと測色法により比較する。カラーが合えば、反応塊の液相中のBr2含有率はサンプルのそれに等しいことを示す。未反応Br2の測色法による決定はカラーが未反応Br2含有率とうまく相関するので適当である。低い濃度は淡黄色を与え、中間濃度は強い黄色を与え、高い濃度は橙色を与え、そして最も高い濃度は暗赤色を与える。本明細書で開示されたプロセス条件の広い範囲にわたり50ppmより多いが約20,000ppmより少ない未反応Br2濃度が考慮されるべきである。好ましくは、未反応Br2含有率は50〜15,000ppmの範囲内にあり、そして最も好ましくは1,000〜8,000ppmの範囲内にあるであろう。最善の範囲は2,000〜6,000ppmである。ppm値は反応塊液相(液体部分)の重量を基準としている。
【0032】
プロセスパラメータが選ばれると、反応塊中の未反応Br2濃度の維持は、ビスフェノール−A供給期間中例えば上記した測色法によりBr2濃度を測定し、次いでBr2供給、ビスフェノール−A供給又はその両方を調節して、再び測色法により決定して所望のBr2濃度を得ることにより達成することができる。反応塊中のテトラブロモビスフェノール−A沈殿があるであろう故、測色法による監視は、小さな流れを反応器から採取しそしてろ過して測色法に付される前に固体を除去することを必要とすることがある。除去及びろ過が困難であるならば、反応塊のカラーは反応塊から反射された光の強度を測定する反射率法の使用により読み取ることができる。またカラー比較はポータブルHunter Mini−Scan/EX測色計の使用によりそしてサンプル及び反応塊のHunter「a」値(Hunter “a” values)を比較することにより行うことができる。「a」値は過剰のBr2含有率と良く相関しているようである。Mini−Scan/EX測色計は、サンプル上に白色光のフラッシュを生じさせることにより操作される。反射光はホログラフイー格子によりダイオードアレー検出器上へと分散される。400〜680nmの10nm毎に百分率反射率データが得られる。このデータを使用してL、a、b及びYI値を計算する。測色法の場合のすべてにおいて、反応塊の液相のカラーは決定的ファクターである。
【0033】
反応塊中の所望の未反応Br2レベルを得るための監視において測色法以外の方法を使用することができることは理解されるべきである。使用される特定の方法は本発明の方法にとって臨界的(critical)ではないけれども、測色法の使用は非常に好ましい。
【0034】
所望の未反応Br2レベルを得るために使用される方法は前記した供給の調節以外の方法によることができることも理解されるべきである。例えば、酸化剤を使用してHBrをBr2に転化する場合に、発生したBr2の量は反応塊に供給された酸化剤の量を制御することにより調節することができる。HBrの酸化により反応塊に寄与した未反応Br2の量は生成したテトラブロモビスフェノール−A各モルに対して4モルのHBrが発生すると実質的にみなすことができる。かくして、追加のBr2が必要とされる場合には、専門家はHBrの酸化を使用して所望の未反応Br2レベルを得るのに必要なBr2の少なくとも一部を発生させることができる。
【0035】
HBrをBr2に酸化するための酸化剤の使用によって、本発明の方法は、供給されるビスフェノール−Aの1モル毎に反応器に約2モル又はそれより僅かに多くのBr2だけを供給することにより良好な結果を得ることができる。(ビスフェノール−Aのモル当たり供給されるBr2の量について言うときは、その状況はこれらの2つの供給物の全体的総量の間の関係であり、反応塊における或る一時点での関係を示すことを意味するものではない)。必要とされる他の2モルのBr2は共発生した(co−generated)HBrの完全な酸化により与えることができる。HBr酸化が完全より少なければ、反応器に供給されるBr2の全量は、酸化により形成されるBr2との和において、少なくとも化学量論的量のBr2を与えるその量であり、好ましくは化学量論的量より僅かに過剰、例えば化学量論的量の0.1%〜3%過剰である量であろう。ビスフェノール−Aの芳香族テトラ臭素化のための化学量論的Br2はビスフェノール−A1モル当たり4モルのBr2である。認められるとおり、HBrの酸化がプロセスの一部ではないならば、Br2供給は少なくとも化学量論的であり(供給されたビスフェノール−A1モル当たり4モルのBr2)、僅かな過剰、例えば、供給されたビスフェノール−A1モル当たり約4.1〜4.25モルまでのBr2が好ましい。
【0036】
バッチ法では、プロセスの完了後に存在する過剰のBr2は反応塊を還元剤、例えば、亜硫酸ナトリウム又はヒドラジンで処理することにより、あるいは、本質的にすべての臭素が反応するまで過剰のビスフェノール−Aをゆっくりと供給することにより除去することができる。
【0037】
酸化剤を使用してHBrをBr2に転化させるならば、酸化剤は反応塊中で本発明のプロセス条件下に高純度及び高収率でのテトラブロモビスフェノール−Aの製造に全く悪影響を与えることなくHBrをBr2に酸化することができるいかなる酸化剤であってもよい。好ましい酸化剤は反応器へのそれらの供給を容易にする液体又はガス形態の酸化剤である。好ましい酸化剤は塩素及び過酸化水素である。
【0038】
Cl2が酸化剤であるならば、それはガスとして又は液体として反応塊に供給することができる。ガス状供給物が好ましい。塩素化ビスフェノール−Aの形成を減少させるために、Cl2をBr2供給の開始の後供給するのが好ましい。最初のBr2の供給の後、Cl2をBr2供給と同じ時間にわたり供給することができる。この供給シーケンスですら、いくらかのブロモクロロビスフェノール−A化合物が形成されるであろう。幸いにも、これらのブロモクロロ種は非常に僅かな量、例えば、沈殿の全重量を基準として50〜500ppmの量で存在する。最も主要なブロモクロロ種は大抵の場合にクロロトリブロモビスフェノール−Aであろう。
【0039】
酸化剤がH22である場合には、安全性のため、それが約90重量%以下のH22を含有する水性溶液として反応塊に供給されることが好ましい。30〜80重量%H22を含有する水性溶液が好ましい。最も好ましい溶液は50〜70重量%H22を含有する溶液である。
【0040】
22はいつでも反応塊に供給することができる。バッチ操作では、H22はBr2の大部分、例えば約50%以上が供給された後に供給されることが好ましい。連続操作では、H22供給は最も好ましくはBr2供給の少なくとも大部分と同じ時間にわたり行われるであろう。最も好ましくは、H22供給はBr2供給を開始した後始まるであろう。
【0041】
酸化剤は、Br2供給とは別々に又は或る場合にはBr2供給と共に反応塊に供給することができる。Cl2はBr2と同じ供給導管を通して供給されそしてBr2が供給されている間に供給されうることが好ましい。特に、H22は好ましくは別の供給流として供給される。
【0042】
供給される酸化剤の量は好ましくは所望の量のBr2を生じるのに必要なHBrのその量を酸化するのに必要なその量である。H22及びCl2の両方ともHBrを2モルに対して1モルで酸化することができる。かくして、酸化剤対ビスフェノール−A供給に関係してそして酸化のために調節されるHBrの量に依存して、H22又はCl2対ビスフェノール−Aの典型的なモル比は1:1〜2:1の範囲内にあるであろう。より好ましいモル比は1.5:1〜1.9:1である。H22が酸化剤である場合にはより高い酸化剤比率が好ましく、Cl2が酸化剤である場合には中間範囲の比率、例えば、1.5〜1.8:1が好ましい。Cl2ではより低い酸化剤比率が好ましい理由は、酸化されるHBrの量と許容されうるクロロブロモ種の量との釣り合いがあるということである。クロロブロモ種を或る最小量に保持する必要がなければ、その場合にはより多くのCl2が許容される。選ばれた酸化剤がHBr2モルを1モルで酸化しない場合には、上記範囲に対する調節が必要である。これらの場合に、その範囲は1対2の関係の変動に比例して調節される。
【0043】
本発明の方法を実施する際の他の重要な考慮事項は反応塊の温度である。ビスフェノール−Aのテトラブロモビスフェノール−Aへの臭素化がトリブロモビスフェノール−A沈殿の形成を弱めるのに十分に速いように相対的に高い温度を使用することが望ましい。しかしながら、温度をいかに高くすることができるかに関しては実際の限界がある。例えば、専門家は許容できないレベルの望まない副生物の生成又はテトラブロモビスフェノール−A生成物の劣化を引き起こす温度を使用することは望まないであろう。
【0044】
反応体、即ち、この場合にはビスフェノール−Aの添加中に相対的に高い温度でテトラブロモビスフェノール−Aプロセスを操作することは普通ではない。これは臭化アルキルの生成が最小にされるべき場合に特にそうである。高い温度は多量の臭化アルキルを生じると予想するのが普通である。テトラブロモビスフェノール−Aの沈殿がそれが形成されるやいなや反応条件下に起こるべき場合には、(このような沈殿は本発明の方法の特徴である)高い温度の使用は普通ではない。高い温度は、溶媒溶液中のテトラブロモビスフェノール−Aの溶解性を増加させることによりこのような沈殿を邪魔し(frustrate)そして所望の沈殿を達成するための反応塊の最終的冷却又は反応塊への水の添加を必要とすることが予想されるであろう。本発明の方法は、このような影響を受けもしなければ、テトラブロモビスフェノール−Aの沈殿を得るための冷却段階を必要ともしない。更に、本発明のより高い温度の使用はプロセスコストを減少させる。何故ならば、本方法は、低温方法により必要とされる冷凍を使用しなければならない代わりに、冷却塔の水を使用することができるからである。
【0045】
好ましい反応塊温度は30〜100℃の範囲内にある。より高度に好ましい温度は40〜100℃の範囲内にある。最も高度に好ましい温度は50〜75℃の範囲内にある。50℃〜65℃の範囲内の温度が最善である。
【0046】
ビスフェノール−Aの臭素化は、酸化剤によるHBrの酸化と同様に発熱反応である。反応塊温度を制御するために、反応塊から熱を除去することが必要となりうる。熱の除去は、熱の除去を容易にするコンデンサーを使用して反応を還流で行うことにより達成することができる。反応混合物の大気沸点以下の温度で操作することが望まれるならば、反応は大気圧より低い圧力下に行うことができる。
【0047】
一般に、本発明の方法の基本的概念は、プロセス圧力により認められる程に影響を受けない。かくして、本方法は大気圧より低い圧力、大気圧又は大気圧より高い圧力下に行うことができる。
【0048】
プロセス開始時に、液体反応前投入物(liquid pre−reaction charge)を反応器に投入する(charge)ことが望ましい。この液体反応前投入物は供給を開始すると反応塊の一部となるであろう。この液体投入物は撹拌可能な反応塊を与えそして反応塊の温度変化を適度にする熱シンクとして作用するであろう。液体投入物は、好ましくは、ビスフェノール−A溶液中に供給される且つ実質的に同じ割合の水とアルコール溶媒を含んで成る。更に、溶媒は溶解したテトラブロモビスフェノール−Aで飽和されることが好ましい。反応器にテトラブロモビスフェノール−Aの種粒子(seed particles)投入することも好ましい。溶媒の飽和及び種粒子の存在の両方共臭素化中に生成したテトラブロモビスフェノール−Aの沈殿を高める作用をする。この最初の投入物は酸性であることができ、例えば、ハロゲン化水素酸、例えばHBr、HCl等の如き酸1〜20重量%を含有する。酸は生成した最初のテトラブロモビスフェノール−Aの良好な色を促進すると思われる。液体投入物として本発明の先に運転されたプロセスからのヒール(heel)を使用するのが最も実際的である。テトラブロモビスフェノール−A種粒子は先の運転から持ってくることができ、又は別に加えることができる。ヒールを入手できなければ、水、アルコール溶媒及び所望により随意の酸の別々の反応前投入物を使用することもできる。この案に対する唯一の警告は、本発明の方法を規定する種々のパラメータに依然として従うように種々の供給物の配分がされなければならないということである。
【0049】
反応塊液体部分は性質において酸性であることを保証することは有利である。これは、反応期間の少なくとも一部の期間中、好ましくは反応期間のすべての期間中反応塊におけるHBrの存在を許容することにより容易に達成されうる。芳香族臭素化から生成したHBrのどれもBr2に酸化されないか又は該HBrのすべてではないものがBr2に酸化されるならば、その場合には、そのHBrは酸性化を達成する作用をすることができる。一般的に言えば、反応塊液体部分は反応塊の液体部分の全重量を基準として1重量%〜20重量%未満のHBrを含有するべきである。最も好ましいのは、7重量%〜約20重量%未満のHBrの範囲である。最も高度に望ましいのは、10〜18重量%のHBrであり、11〜15重量%のHBrが最も好ましい。プロセス開始時に酸性化された反応塊を有することは最も好ましい。これは、前記した「ヒール」又は酸/アルコール溶媒/水の先投入物(pre−charge)を使用することによって達成することができる。最初の酸性条件を有することは本方法をバッチ方式で行う場合にはより重要である。何故ならば、このような条件なしで生成した生成物が生成した全体生成物の一部となるからである。連続方式では、最初の酸条件なしで生成される生成物がプロセス開始の最初の数時間の間生成されるであろう。この標準以下の生成物を次いで回収しそして捨てることができる。連続法を更に行うにつれて、反応塊における酸蓄積(acid−build−up)(ビスフェノール−Aの臭素化による)は定常状態に達しそして十分になる。次いでこれらの酸条件下に生成した生成物を最初に生成した生成物からの汚染なしで回収することができる。酸化剤を使用してHBrをBr2に転化する場合に、反応塊中のHBrのすべてを酸化しないように、従って酸条件を与えそして色の利益を得るのに十分なHBrを存在させるように注意を払わなければならない。HBrは好ましい酸であるが、他の鉱酸、HCl、HF,HI又はその混合物を使用することができる。しかしながら、これらの非臭素酸(non−bromine acids)は反応塊に加えられなければならないであろう。存在する酸の量を選択する際に注意を払わなければならない。多量の酸はより良好なカラーを生じるであろうが、しかしそれはより高いイオン性物質(ionics)含有率を有するテトラブロモビスフェノール−Aも生成する。専門家に所望の生成物を与える酸の量を選ぶことにより2つの品質間のバランスが最善に得られる。酸含有率を低くすれば、APHAカラーは上昇し、酸含有率が上昇すれば、イオン性物質のレベルは上昇するであろう。かくして、非臭素酸が使用されるならば、臭素化反応により生成したHBrの一部は、過剰量の酸が存在しないように酸化されるか又は反応塊から除去される必要がありうる。
【0050】
本発明の方法をバッチ法として行う場合には、Br2及びビスフェノール−A供給物はそれらが消尽されるまで撹拌式反応器に供給される。反応条件下に、ビスフェノール−Aのテトラブロモビスフェノール−Aへの臭素化は極めて速く起こるので、供給後の熱処理(post−feed cook)又はいかなる有意な長さのエージング期間(aging period)の必要もない。また、反応塊の水含有率は非常に大きいので且つテトラブロモビスフェノール−Aはこのような量の水の存在下に非常に不溶性であるので、一般に、更なる沈殿を得るために最終反応塊を冷却する必要はないか、又は最終反応塊を冷却することによりせいぜい僅かな利益しか得られない。冷却の利益は、主として、液体−固体分離の前に、反応塊中の溶媒和したガス状臭化物、例えば臭化メチル又は臭化エチルの蒸気圧を減少させることにある。これらの臭化物の形成がいくらか遅くなることもありうる。最後に、使用した分離技術に依存して、反応塊の冷却は反応器から下流で反応塊を取り扱うことを容易にすることができる。かくして、上記のどれも重要ではないか又は相対的な価値しかないならば、その場合には、ビスフェノール−A供給が終わるやいなや、反応塊を単に液体−固体分離に付すことができる。しかし実際の観点から、いくらかの時間が経過するであろう。何故ならば、反応塊は分離装置に輸送される必要があるからである。しかしながら、冷却が望まれるならば、冷却時間は、反応塊がいかに冷却されるべきか及び反応塊がどの温度に冷却されるべきかに依存するであろう。実験室の設定では、冷却時間は1〜30分の範囲にあることができる。
【0051】
液体から固体の回収の後、固体は、好ましくは、水と反応に使用された特定のアルコールとの溶液で洗浄される。この洗浄は固体から本質的にすべての母液を除去する。母液はトリブロモフェノール、HBr及び加水分解性不純物のような不純物を含有する。典型的な洗浄液(wash)は水溶液中の30重量%のメタノール又はエタノールであることができる。洗浄された固体は次いで脱イオン水で再洗浄されて第1洗浄からのいかなる残存する水に混和性の溶媒も除去されて、生成物を乾燥するとき放出(emission)問題を最小にする。
【0052】
連続方式で行う場合に、反応器は好ましくは連続的撹拌式タンク反応器である。反応塊は連続的に形成され、そしてその一部は反応塊の形成中に反応器から連続的に除去される。反応器の設計は、反応器における平均滞留時間がビスフェノール−Aの実質的にすべてのテトラ臭素化を保証するのに十分であるような設計であるべきである。反応器への供給及び沈殿の除去はそれらが反復される(recurrent)かぎり、中断することができる。「連続的供給」及び「連続的取り出し」という用語は、連続して行うこと(continued occurrence)又は反復(recurrence)により特徴付けられることを意味し、そして中断された供給又は取り出しを排除することを意味するものではない。一般に、このような中断は短い期間でありそして反応器の規模及び設計に依存して適当であることができる。例えば、テトラブロモビスフェノール−Aの沈殿は反応器の底部の近くに沈降する傾向があるので、取り出しを行うことができ、次いで、次の取り出しの前に沈殿の蓄積が起こるのを可能とする時間にわたり取り出しを中止することができる。このような取り出しは、取り出しが反応器供給の完了を待たずそして反復して行われるという意味で連続的であると考えるべきである。このような特徴は一般にバッチ法の特徴であるとは考えられていない。
【0053】
連続的取り出しは中断されようとされまいと、取り出しの結果、反応塊中の液体の一部及び固体の一部が一緒に取り出される。固体部分は主としてテトラブロモビスフェノール−Aであろう。固体部分はろ過することができ、そして沈殿は、前記したバッチ方式の場合に行われる如く、洗浄される。
【0054】
生成物純度に対する高い温度の利益は、生成物純度とトリブロモビスフェノール−A中間体の臭素化及び沈殿の相対的速度との相関を支持する研究から理解される。温度を上昇させると、反応塊液相中のトリブロモビスフェノール−Aの反応速度及び溶解度の両方に利益があり、かくして純粋な生成物を得ることを促進する。液相のアルコール及び水含有率を減少させることにより液相中のBr2濃度の増加又はトリブロモビスフェノール−Aの濃度の増加はトリブロモビスフェノール−Aの臭素化速度を増加させることができるが、両方ともそれら自身の問題を提起する。高いBr2濃度は望ましくない副生物の形成を引き起こすことがあり、液相のアルコール及び水含有率の減少は反応塊のHBr含有率を増加させるであろう。その結果テトラブロモビスフェノール−A生成物の純度は減少する。
【0055】
連続操作方式では、好ましい反応器滞留時間は連続的撹拌式タンク反応器及びその操作方式に対して好ましいプロセス条件を使用する場合には、10〜150分の範囲内にあるべきであると予想される。更に好ましい滞留時間は30〜90分の範囲内にある。最も好ましいのは約30〜70分である。本明細書で使用した反応器滞留時間は、スラリーを反応器から除去する流速で割った反応器内容物の容積である。
【0056】
本発明の方法により製造されたテトラブロモビスフェノール−A生成物は、テトラブロモビスフェノール−A少なくとも約95重量%、好ましくはテトラブロモビスフェノール−A少なくとも約97.5重量%、最も好ましくは少なくとも約98.5重量%を含有する。最善の生成物は約99重量%以上のテトラブロモビスフェノール−Aを有する生成物である。すべての重量%及びppm値は乾燥沈殿の全重量を基準としている。生成物品質は優秀であり、約50より少ないAPHAカラー(アセトン100ml中のテトラブロモビスフェノール−A80グラム)を有する。好ましくは、APHAカラーの範囲は25〜50である。加水分解性臭化物も低く保たれており、一般に約60ppm以下、好ましくは20ppm以下である。イオン性物質は好ましくは100ppm以下であ。プロセス収率は印象的であり、収率は少なくとも約90%であり、好ましくは95〜99%の範囲にある。
【0057】
前記から認められるとおり、ガス状Br2供給、その供給のためのレイノルズ数、ビスフェノール−A供給、反応塊中の水含有率、ビスフェノール−A供給期間中の反応塊における反応温度及びBr2含有率はすべて所望のテトラブロモビスフェノール−A生成物を効率的に得ることに寄与する。所望の結果をうるためのこれらのプロセスパラメータの各々についての特定の値の選択は、各専門家の要求及び入手可能な装置に依存するであろう。1人の専門家は他の可能な利益にまさる本発明の方法を使用することの1つの利益を強調することができる。かくして、その専門家は他の利益を強調ことを望む他の専門家により選ばれるプロセスパラメータ値とは異なるプロセスパラメータ値を選ぶことができる。
【0058】
プロセスパラメータの好ましい組は、0.7:1〜5:1(好ましくは約1:1)のアルコール/BPA重量比(アルコールはエタノールである)、約2,000〜6,000ppm(好ましくは約5,000ppm)の反応塊中のBr2含有率、40〜60℃(好ましくは約50℃)のプロセス温度、約30〜70分(好ましくは約60分)の滞留時間(連続方式)、H2O及びアルコール溶媒の重量を基準として約35〜60重量%(好ましくは約50重量%)のH2O重量%、及びHBr10〜20重量%(好ましくは約12重量%)である。最も好ましい範囲は、1〜4のアルコール/BPA重量比、約3,000〜6,000の反応塊中のBr2含有率、約45〜55℃のプロセス温度、50〜70分の滞留時間(連続方式)、H2O及びアルコール溶媒の重量を基準として40〜55重量%のH2O重量%、及び反応塊の液相の重量を基準としてHBr10〜15重量%の組を形成する。
【0059】
本発明の方法に使用される反応器は撹拌式反応器である。撹拌は、ブレード付き撹拌器(bladed agitator)、例えば、標準プファウドラー後退ブレード(standard Pfaudler retreat blade)により与えられるのが好ましい。撹拌レベルは、反応塊1,000ガロン当たりの馬力で測定して、2.5〜8馬力/1,000ガロンであることができる。チップ速度は20〜25フィート/秒である。良好な撹拌を与えることにより、テトラブロモビスフェノール−A生成物の粒径(particle size)は低く保たれ、同時に吸蔵された(occluded)HBr含有率もまた低く保たれる。吸蔵されたHBrは簡単な乾燥により生成物から除去されないそのHBrである。
【0060】
Br2を発生させるための酸化の使用は、反応器への供給物中の同等な量のBr2を与えるコストより該酸化の方がより経済的なこれらの場合には特に魅力的である。4モルのBr2を供給するコスト−回収されるHBrの価値が2モルのBr2を供給するコスト+HBrの酸化のコストより大きいこれらの場合には、通常経済的な利点が存在する。
【0061】
HBrの酸化の前記説明は反応器又は反応塊中で酸化されるHBrについて一般的に説明しているが、共生成したHBrを反応器から除去すること及びそれを反応器の外側で酸化し、次いでそのように生成したBr2を反応器に送り戻すことは本発明の方法の範囲内にある。
【0062】
反応器中の反応以外のソースから反応器にHBrを与えることもまた本発明の範囲内にある。この非固有(non−indigenous)HBrは、共発生した(co−generated)HBrと共に酸化されてBr2を生じさせることができる。非固有HBrから生成したBr2を次いでプロセスの全Br2要求に対して計算することができ、そしてBr2供給における適当な調節をすることができる。非固有HBr供給はHBrの酸化にかかわりなく酸性反応媒体を保証するように調節することもできる。
【0063】
【実施例】
下記の実施例は本発明の方法の原理を説明する。
【0064】
実施例I−IXにおいては、本質的に水、メタノール、HBr及びはるかに少ない量の不純物を含有する反応前投入物又は「母液」を使用した。一般に、母液は水約30重量%及びメタノール約55重量%及びHBr約8〜20重量%を含有していた。
【0065】
実施例I〜IIで使用した母液はMitchell及びMcKinnieにより米国特許第4,628,124号に記載された如くして製造されたTBBPAから得られた。
【0066】
実施例III〜VIでは、異なる母液を使用した。実施例III及びIVで使用した母液は、メタノール及び水を含有する反応塊中でのビスフェノール−Aと臭素との反応によりテトラブロモビスフェノール−Aを製造した一連の先の実験から得られた。これらの先の実験は本発明の実験ではないか(水の量及び温度が規定されたパラメータの外側にあった)又は相反するそして結論に達しない結果を与えた。本発明のではない第1実験からの母液は第2の実験等に使用された。最後の実験からの母液は実施例IIIのための母液を与えた。
【0067】
すべての実施例において、特記しないかぎり、生成物に関連した%はガスクロマトグラフィー(GC)面積百分率と考えられるべきである。GC分析は、スプリットインジェクション(split injection)を使用して2.65ミクロンのフイルム厚さの5メートル×0.53mmHP−1メガボア毛細管カラム(megabore capillary column)で行った。カラムを10℃/分で加熱して100℃から300℃まで操作した。フレームイオン化検出器を使用した。
【0068】
実施例I〜IIIは、共生成したHBrのBr2への随伴的酸化を伴う高品質テトラブロモビスフェノール−A生成物の製造を説明する。該Br2はビスフェノール−Aの所望のテトラブロモビスフェノール−A生成物への臭素化に寄与するように使用された。
【0069】
実施例X及びXIにおいて、各実験はエタノールと水の1:1混合物(重量基準)を有する反応器中の先投入(pre−charge)で始まった。反応器をテトラブロモビスフェノール−Aの定常状態生成に達するのに十分な時間(一般に反応器滞留時間の5〜10倍である)連続的に運転した。
【0070】
【実施例】
実施例I(参考例)
1リットルの丸底フラスコは、機械的撹拌器、コンデンサー、温度計、添加漏斗、加熱マントルを備え、そして臭素を供給するための0.3175cm(1/8インチ)外径の浸漬管及びビスフェノール−A溶液を供給するための、蒸気空間で終わっている0.3175cm(1/8インチ)供給管を備えていた。フラスコにHBr9.5重量%及びテトラブロモビスフェノール−A約5.0グラムを含有する母液200mlを加えた。添加されたテトラブロモビスフェノール−Aは、母液を飽和させそして生成されるべきテトラブロモビスフェノール−Aの沈殿を助けるための種粒子を与える作用をした。
【0071】
ビスフェノール−A100グラム、メタノール(2%水)300ml及び水200mlよりなる溶液を製造した。窒素入り口及び反応器中の0.3175cm(1/8インチ)浸漬管に接続されたガス出口を有する250mlの加熱式フラスコから成る蒸発器にBr2143グラム(46ml)を入れた。母液及びテトラブロモビスフェノール−Aの反応前投入物(pre−reaction charge)を約55℃の温度にした。蒸発器を通して窒素をパージングし(約200〜500ml/分)そして液体臭素を加熱することによりBr2供給を開始した。反応器前投入物(pre−reactor charge)が黄色を呈するやいなや、蠕動ポンプの使用により溶液供給を開始した。ポンピング速度を変えることによってBr2供給をビスフェノール−A供給より化学量論的に過剰に保ち、結果として反応塊は黄色を有していた。供給を1時間15分続け、そのときBr2供給を終えた。溶液供給は、反応塊の液相が無色になるまで続けた。添加漏斗に水性H22(30重量%)100グラムを加え、滴下による添加をビスフェノール−A溶液の連続した供給と共に開始した。水性供給及び溶液供給を反応塊の液体部分が黄色を保つように周期的に調節した。反応塊の温度を水性H22供給中60〜63℃に保った。H22のすべてを添加した後、反応塊は黄色であった。ビスフェノール−A溶液の連続した添加は反応塊を淡黄色にしたが、溶液供給を中止するとより深い黄色になったであろう。この期間中反応温度は58〜62℃であった。最後に、水性過酸化水素供給の中止の20分後、反応塊が無色になるまでビスフェノール−A溶液を加えた。反応塊を約1/2時間60〜65℃の温度に保持し、次いで約55℃に冷却した。反応塊沈殿をろ過により母液から分離し、次いで水溶液中の20重量%メタノール125mlで洗浄した。脱イオン水による第2の洗浄を行った。洗浄した沈殿を乾燥しそして分析した。GC分析はトリブロモビスフェノール−A0.64%及びテトラブロモビスフェノール−A99.3%を示した。母液はHBr3.7重量%を含有することが見いだされた。
【0072】
実施例II(参考例)
1リットルに丸底フラスコに、添加漏斗がないこと及び臭素蒸発器から浸漬管への接続部までの配管に塩素ガスを添加するためのT字管があることを除いて、上記した如く装備した。母液(150グラム)及び固体テトラブロモビスフェノール−A3グラムをフラスコに加えそして約55℃の温度に加熱した。浸漬管を介してフラスコへのBr2蒸気及びN2供給を開始し、続いてビスフェノール−A80.0グラム、メタノール(2重量%水)400ml及び水200mlから製造された溶液を供給した。供給されるべきBr2の全量は141グラムであった。数分の後僅かなガス状Cl2供給を開始した。ビスフェノール−A及びCl2供給を調節することにより反応塊の液体部分を黄色に保った。Br2のすべては約1.5時間で供給された。Cl2供給を90ml/分以上に増加させそしてビスフェノール−Aが約6ml/分で供給されるにつれて反応塊の液体部分を黄色に保つように連続的に調節した。Cl2及びビスフェノール−Aのすべては2時間後に供給された。これらの供給の中止から2分の後、2滴のヒドラジン(66重量%)を加えて過剰のBr2を破壊した。ヒドラジンは反応塊の液体部分を無色にした。反応塊を20℃に冷却した。沈殿を集めそして水中の30重量%メタノール125mlで洗浄した。脱イオン水による第2の洗浄によって湿潤ケークが得られ、これを次いで120〜130℃でオーブン乾燥して生成物189.8グラムを得た。GC分析はトリブロモビスフェノール−A0.79%、クロロトリブロモビスフェノール−A0.01%、o,p−テトラブロモビスフェノール−A0.04%及びテトラブロモビスフェノール−A99.1%を示した。
【0073】
実施例III(参考例)
1リットルのフラスコに、窒素供給部に塩素ガスを添加するためのT字管を配置したことを除いて、実施例IVにおける如く臭素を供給するようにして実施例IVにおける如く装備した。反応器に実施例IIと同様な反応混合物から得られた母液150mlを加えた。これを約55℃に加熱しそして臭素蒸気の添加を開始した。反応塊が黄色を呈すると、ビスフェノール−A90.0グラム、メタノール450ml及び水180mlから製造された溶液の添加を開始した。5分の後、塩素ガス150〜200ml/分の添加を開始した。反応混合物を約55℃に保ち、そして溶液流速を調節することにより黄色を保たせた。更に20分の後、塩素流を約250ml/分に増加させ、更に30分の後、塩素流を300ml/分に増加させた。20分後、すべての臭素が添加された。臭素47mlが添加された。反応塊を黄色に維持するように塩素流速を増加させた。8分の後、すべての溶液が供給され、その時点で塩素添加を中止した。7分の後、約2mlの飽和亜硫酸ナトリウム溶液を加えて臭素を破壊した。次いで反応混合物を30℃に冷却した。固体をろ過により母液から分離し、次いで30%メタノール125ml及び次いで脱イオン水125mlでろ過器上で洗浄した。固体をオーブン乾燥して209.2グラムを残し、このものはGC分析によればトリブロモビスフェノール−A1.25%、クロロトリブロモビスフェノール−A0.013%及びテトラブロモビスフェノール−A98.7%であった。この固体は20APHAのアセトンカラー(アセトン100ml中の80グラム)、6ppmのイオン性臭化物及び16ppmの加水分解可能な臭化物を有していた。母液の分析は、それがトリブロモフェノール0.09重量%、テトラブロモビスフェノール−A0.21重量%、トリブロモビスフェノール−A約3ppm及び他のフェノール系不純物約0.04重量%を含有することを示した。
【0074】
下記の実施例は本発明の方法の原理を説明するが、該方法は反応体Br2を与えるためのHBrの酸化を特徴とするものではない。
【0075】
実施例IV(参考例)
1リットルの丸底フラスコは、機械的攪拌器、コンデンサー、温度計、加熱マントルを備えており、そして臭素を供給するための0.3175cm(1/8インチ)外径の浸漬管及びビスフェノール−A溶液を供給するための、蒸気空間で終わっている0.3175cm(1/8インチ)供給管を備えていた。フラスコに母液150ml及びテトラブロモビスフェノール−A約5.0グラムを加えた。添加されたテトラブロモビスフェノール−Aは、母液を飽和させそして生成されるべきテトラブロモビスフェノール−Aの沈殿を助けるための種粒子を与える作用をした。
【0076】
ビスフェノール−A59.93グラム、メタノール(2%水)360ml及び水123mlよりなる溶液を製造した。窒素入り口及び反応器中の0.3175cm(1/8インチ)浸漬管に接続されたガス出口を有する250mlの加熱式フラスコから成る蒸発器にBr2168.2グラムを入れた。母液及びテトラブロモビスフェノール−A5グラムの反応前投入物を約67℃の温度にした。蒸発器を通して窒素をパージングし(約200〜500ml/分)そして液体臭素を加熱することによりBr2供給を開始した。反応器前投入物が黄色を呈するやいなや、蠕動ポンプの使用により溶液供給を開始した。ポンピング速度を変えることによってBr2供給をビスフェノール−A供給より化学量論的に過剰に保ち、結果として反応塊は橙色を有していた。供給を1時間38分続け、そのときBr2供給を終えた。添加されなかった約20mlの溶液供給が残った。溶液供給を終えた後、反応塊を約67〜69℃で更に20分間保持した。反応塊は無色であった。固体をろ過により集め、そして水中の30%メタノール、次いで水で洗浄し、そして約125℃の温度で乾燥した。ガスクロマトグラフィー(GC)は、固体がトリブロモビスフェノール−A0.22%及びテトラブロモビスフェノール−A99.8%より成ることを示した。
【0077】
実施例V(参考例)
特に言及したことを除いては、実施例IVにおけると本質的に同じ方法に従った。実施例IVのろ液から得られた母液(150ml)及びテトラブロモビスフェノール−A5グラムを最初にフラスコに加えた。供給溶液はビスフェノール−A80.0グラム、メタノール400ml及び水210mlから製造された。Br2225.4グラムを使用した。溶液を約6ml/分で供給しそしてBr2を200〜500ml/分のN2掃気(sweep)と共に供給した。反応塊を55〜60℃の温度に保ち、そして供給速度の僅かな変化により暗黄色に保った。溶液及びBr2供給を本質的に同時に完了した。溶液がそれから供給されたところのフラスコをメタノール10mlで洗浄した。次いで洗浄液を反応フラスコに供給した。得られる反応塊は、洗浄液供給後並びに溶液及びBr2供給の中止から5分後淡黄色を有していた。3滴の63%ヒドラジンを反応フラスコに加えて残存するいかなるBr2も脱活性化した。反応塊を熱を加えないで1.5時間攪拌し、次いで固体をろ過により集めそして水性40%メタノール溶液で洗浄し、次いで水により洗浄した。GCは、固体がトリブロモフェノール0.02%、トリブロモビスフェノール−A0.84%及びテトラブロモビスフェノール−A99%を含有することを示した。
【0078】
実施例VI(参考例)
特に言及したことを除いては、実施例Vにおけると同じ方法に従った。母液(150ml)は実施例IVのろ液から得られた。テトラブロモビスフェノール−A3グラムを母液と共に使用した。溶液はビスフェノール−A80.16グラム、メタノール380ml及び水300mlを含有していた。Br2225.1グラムを供給した。母液を55℃に加熱し、次いでBr2及び溶液供給を開始した。反応塊をBr2供給を調節することにより黄色に保った。2つの供給を約2時間で終え、反応温度を添加全体にわたり55〜60℃に維持した。溶液容器を約10mlのメタノールで洗浄し、次いでそれを反応フラスコに加えた。そうすると反応塊は淡黄色であった。供給が終わって(そしてメタノール洗浄液を加えた)約7分後、2滴のヒドラジンを反応塊に加えた。反応塊は無色になった。反応塊を室温に冷却させそして沈降させた。反応塊の液体部分のサンプルを採取した。水で希釈し、塩化メチレンで抽出し、続いて内部標準としてテトラデカンを使用するGC分析による分析は、液体がトリブロモフェノール0.036重量%、テトラブロモビスフェノール−A0.040重量%、トリブロモビスフェノール−A約0.001%及び他の不純物約0.027重量%を含有しており、これは理論の約0.5%の収率損失に相当することを示した。
【0079】
洗浄されそして乾燥された固体が反応塊から回収され、GCによりトリブロモビスフェノール−A1.8%及びテトラブロモビスフェノール−A98.2%を含有することが示された。
【0080】
実施例VII(参考例)
2リットルの丸底フラスコは、液体臭素及び窒素流(30〜100ml/分)を沸騰水中に保持された1.83メートル(6フィート)長さの0.635cm(1/4インチ)のテフロン管に供給して臭素を蒸発させることを除いては、実施例IVにおけると同様に装備していた。この蒸発した臭素を次いで0.3175cm(1/8インチ)浸漬管に供給した。既にビスフェノール−A20グラム及びメタノール100mlを含有している2L反応器に20分にわたりBr218mlを加えることにより反応前投入物を形成した。反応器内容物をBr2添加期間中加熱還流し、Br2供給が完了した後5分間そのように維持した。次いで水100mlを反応器に加えた。得られる反応器内容物は反応前投入物を含んで成っていた。
【0081】
反応前投入物の形成に続いて、液体Br294mlと、ビスフェノール−A130グラム、メタノール650ml及び水950mlから製造されたビスフェノール−A溶液約1400mlとを含んで成る共供給物(co−feed)を1時間にわたって加えた。共供給の間、反応塊は黄色乃至橙色であり、そして57〜60℃の温度に保たれた。追加のビスフェノール−A溶液(約3ml)を、共供給後反応塊が淡黄色になるまで加えた。反応塊を約35℃に冷却しそしてろ過して沈殿を得、これを30%水性メタノール溶液で洗浄した。次いで、沈殿を脱イオン水250mlで洗浄した。オーブン乾燥の後、沈殿の重量を測定しそして295グラムの重量であることが見いだされた。GC分析は、トリブロモフェノール0.03%、トリブロモビスフェノール−A1.16%、o,p−テトラブロモビスフェノール−A0.064%及びテトラブロモビスフェノール−A98.7%を見いだした。
【0082】
実施例VIII(参考例)
500mlのフラスコに、実施例VIIの臭素添加方法を含めて、実施例VIIにおける如く装備をした。反応混合物を除去するためのポンプに取り付けられた0.635cm(1/4インチ)テフロン浸漬管も含まれていた。167ml/分をポンピングすることができるこのポンプは、45秒毎に約3秒だけフラスコから反応混合物をポンピングするように、タイマーに取り付けられていた。
【0083】
反応器に先の実験からの反応混合物400mlを加えそして67℃に加熱した。次いで臭素蒸気の添加を開始した。混合物が黄色になるやいなや、ビスフェノール−Aの溶液(MeOH(3.74%水)5200ml及び水1670ml中のビスフェノール−A1000g)の添加を約12ml/分の速度で開始した。反応混合物のフラクションを63%ヒドラジン1/2mlを入れたエルレンマイヤーフラスコに集めた。臭素供給速度を反応混合物を黄色に保つように制御しそして反応温度を69〜71℃に維持した。反応器レベルを、反応混合物がフラスコからポンピングされる速度の小さな調節により約400mlに維持した。フラクションを集めた後、それらを母液からろ過により分離し、固体をろ過器上で30%MeOHで洗浄し次いで脱イオン水で洗浄した。表Iに結果を示す。サンプル番号5はヒドラジンを加えないで集められた。その母液の分析は360ppm臭素を示した。内部標準としてテトラデカンを使用して5メートルのHP−1メガボア(megabore)キャピラリーカラムでの母液の2つのGC分析を表IIに示す。
【0084】
【表1】
Figure 0005031142
【0085】
【表2】
Figure 0005031142
【0086】
実施例IX(参考例)
1リットルの丸底フラスコに、フラスコのジャケットにおける循環浴により温度制御がなされることを除いて、実施例IVにおける如く装備をした。実験室バリアック(laboratory variac)で制御された電気加熱テープにより熱を加えることを除いて、実施例VIIにおける如くして臭素を蒸発させた。更に、反応器蒸気空間において終わっている0.3175cm(1/8インチ)外径の管を通して蠕動ポンプを使用して35%H22水性溶液を加えた。重力が流れを高めるように勾配をつけられたジャケット付き加熱式管により密封された受け入れフラスコに取り付けられた反応器に0.9525cm(3/8インチ)直径のガラス浸漬管もつけ加えた。147秒毎に約7秒のみポンピングするようにタイマに取り付けられた167ml/分をポンピングすることができる蠕動ポンプにより受け入れフラスコに対して真空を周期的にかける。実施例VIIIからのこの変更は、反応器から約60重量%固体のスラリーを絶えず取り出すのに必要であった。
【0087】
400mlの反応前投入物が先の実験作業からの反応器中に存在していた。混合物は、供給流により発生させられるとほぼ同じ割合でTBBPA粒子、エタノール、水及びHBrを含んで成っていた。混合物を40℃に加熱した後、臭素の添加を1.15ml/分で開始した。混合物が黄色になると直ちに、ビスフェノール−Aの溶液(無水エタノール75グラム中のビスフェノール−A100gの相対的割合)の添加を3.75ml/分の速度で開始した。次いで35%H22溶液供給を1.30ml/分で開始した。すべての必要な水はH22溶液により、、水として又はHBr再酸化反応の生成物として、与えられた。反応混合物の温度はビスフェノール−A及びH22の供給を開始すると72℃に急速に上昇し、そして実験が進むにつれて66℃に下がった。反応混合物を黄色に保つためにH22又は臭素供給速度の僅かな変更を行った。反応混合物のフラクションを受け入れフラスコに集めた。この受け入れフラスコのサイズは反応器(400ml)中の液体の容積に合っている。一杯になると、これらの受け入れフラスコを系から取り出し、そして過剰の臭素を35%ヒドラジン水性溶液を滴下により加えることによってクエンチする。
【0088】
集めたフラクションをろ過により母液から分離し、そして固体をろ過器上で30%EtOHで洗浄し次いで脱イオン水で洗浄した。得られる固体をオーブン乾燥し、アセトンに溶解し、GCにより分析してTBBPA純度を決定した。
【0089】
フラクション3は、反応器における第3の滞留時間を表し、TBBPA99.6%の製品純度、Br3BPA0.4%、137ミクロンの平均粒径(average particle size)を有していた。母液はTBP0.54%及びTBBPA0.35%を含有していた。
【0090】
フラクション4はTBBPA99.3%の製品純度、Br3BPA0.7%、152ミクロンの平均粒径を有していた。母液はTBP0.45%及びTBBPA0.31%を含有していた。反応塊は固体58重量%であることが見いだされた。
【0091】
フラクション5はTBBPA99.2%の製品純度、Br3PPA0.8%、156ミクロンの平均粒径を有していた。母液はTBP0.43%及びTBBPA0.34%を含有していた。
【0092】
先の実験に対する母液中のTBPの相対的量の増加は製造速度の増加によるものではなく、むしろこの実験において存在する少量の溶媒によるものである。固体サンプルは痕跡量以外のいかなる有意なTBPの存在も示さなかった。
【0093】
実施例X(本発明例)
20ガロンのプファウドラー(Pfaudler)ガラス内張り反応器は、塔頂コンデンサ、機械的攪拌器、温度及び圧力指示計、液体レベルより下の蒸気臭素を供給するための浸漬管、各供給流における質量流制御装置(mass flow control)及びスチーム加熱式多管式臭素蒸発器(steam heated,shell and tube bromine vaporizer)を備えていた。反応器に、蒸気臭素浸漬管の端部を浸漬したレベルにエタノール及び水の1:1重量混合物を加えた。最終反応塊の所望の沸騰温度を与えるための所望の反応器圧力に達すると、エタノールに溶解されたビスフェノール−Aの供給溶液及び臭素供給を開始した。HBrレベルを液相中10重量%より大きく増やすに十分な時間の後、過酸化水素供給を最終反応塊中の所望の%HBrを達成するための値で開始した。水を加えて最終反応塊中の所望の溶媒相組成を達成した。反応体及び溶媒の各々の供給速度は、定常操作モードにおける反応器の所望の条件を達成する定常状態物質収支に基づいて選ばれる。スラリーをポンプにより反応器から周期的に取り出し、遠心機に供給し、そこで母液を固体から分離し、次いで固体を洗浄して不純物を除去し、湿潤固体を排出して、最終製品形態に更に処理する。
【0094】
蒸気臭素浸漬管レイノルズ数の重要性は下記の比較実験において明らかである。各実験の定常状態反応器条件は下記のとおりである。
【0095】
Figure 0005031142
製品の性質は、反応器が定常状態操作に達した後、典型的には反応器の滞留時間の5倍より長い時間の後測定した。製品の性質は、定常操作に達すると時間と共に一定であった。これらの2つの比較実験は、ガス状臭素供給のレイノルズ数が高ければ高い程、反応器条件での製品において達成されるアセトンカラーはより低いことを示す。
【0096】
実施例XI(本発明例)
反応変数が下記の範囲内に入るように調節して、実施例Xの装置及び方法を数回行った。
【0097】
Figure 0005031142
製品純度は典型的には98%より高いTBBPAであった。種々の製品のアセトンカラーを図1に示す。図から明らかなとおり、臭素浸漬管レイノルズ数は、反応塊の液相中のHBrが約20重量%HBrより少ない場合にはアセトンカラーに対する主要な効果である。レイノルズ数が高ければ高い程、製品APHAカラーは低い。
【0098】
上記から認識されるとおり且つまたそれらの広い観点から見た場合に、本発明の方法は、中間体、トリブロモビスフェノール−Aの有意な沈殿のための機会が不十分であるような速度で、テトラブロモビスフェノール−Aの沈殿が直接形成される反応系を提供することによって、高純度のテトラブロモビスフェノール−A製品の高収率製造を達成する。
【0099】
前記したように、本発明の方法の特徴は、テトラブロモビスフェノール−Aの沈殿が反応器へのビスフェノール−Aの供給中に起こること、及びそのように形成された沈殿がテトラブロモビスフェノール−Aを少なくとも95重量%含有しておりそして供給されたビスフェノール−Aを基準として少なくとも90%の収率を伴うと言うことである。この特徴は、本方法がバッチであろうが連続的であろうが成り立つ。本方法を連続式で行う場合には、この特徴は反応系からの高純度のテトラブロモビスフェノール−Aの連続的回収をもたらす。更に、本方法をバッチ式で行う場合には、この特徴は、反応体供給の最後が完了した後反応塊熱処理時間(reaction mass cook time)を必要とすることなく高純度のテトラブロモビスフェノール−Aを得させる。実際、沈殿は、材料取り扱いの観点から直ちに又はできる限り早く、バッチ反応塊から回収することができる。本発明の方法は、反応に供給されたビスフェノール−Aを基準として90%〜99.5%の範囲内の収率を示すことができる。好ましい収率は95%〜99%の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 テトラブロモビスフェノール−A生成物のAPHAカラー対異なる生成物を生成するのに使用された反応塊の液相中のHBrの重量%のグラフである。2つのプロットは、1つは17,000のレイノルズ数の場合であり、他方は50,000のレイノルズ数の場合である。

Claims (22)

  1. (a)ビスフェノール−A、水及び水に混和性のアルコール溶媒を含んで成る溶液を反応器に供給して水15重量%〜65重量%を含有する液相を含んでなる反応混合物を形成し、該重量%は該液相中の水及び水に混和性のアルコール溶媒の量を基準としており、
    (b)(a)の間に、該反応混合物に≧40,000のレイノルズ数を有しているガス状臭素を供給し、
    (c)(a)の間に、該反応混合物中に(i)未反応臭素50〜20,000ppm及び(ii)HBr10〜18重量%を存在させ、該ppm及びHBr重量%の値は該反応混合物の液相の全重量を基準としており、そして
    (d)(a)の間に、テトラブロモビスフェノール−A少なくとも96重量%を含んで成る沈殿相を形成し、該重量%は該沈殿相の全重量を基準としている、
    ことを含んで成るテトラブロモビスフェノール−Aを製造する方法。
  2. 水に混和性のアルコール溶媒がメタノール、エタノール又はその混合物である請求項1に記載の方法。
  3. 水に混和性のアルコール溶媒がエタノールである請求項2に記載の方法。
  4. 水の重量%が35〜65重量%の範囲内にある請求項1に記載の方法。
  5. 供給溶媒中のメタノール又はエタノール対ビスフェノール−Aの重量比が0.5:1〜10:1の範囲内にある請求項2に記載の方法。
  6. レイノルズ数が50,000〜1,000,000の範囲内にある請求項1に記載の方法。
  7. 未反応臭素の量が1,000〜8,000ppmの範囲内にある請求項1に記載の方法。
  8. 未反応臭素の量が2,000〜6,000ppmの範囲内にある請求項1に記載の方法。
  9. 水に混和性のアルコール溶媒がエタノールであり、水の重量%が35〜65重量%の範囲内にあり、供給溶液中のエタノール対ビスフェノール−Aの重量比が0.7:1〜10:1の範囲内にあり、レイノルズ数が50,000〜1,000,000の範囲内にあり、未反応臭素の量が50〜15,000ppmの範囲内にある請求項に記載の方法。
  10. 該方法が連続法である請求項1に記載の方法。
  11. 反応に際し副生したHBrを酸化剤により酸化して臭素を生じさせる請求項1に記載の方法。
  12. 酸化を(a)の間に行う請求項11に記載の方法。
  13. 酸化剤がH22である請求項11に記載の方法。
  14. 酸化剤を(a)の間に反応混合物に供給して反応混合物中のHBrを酸化して臭素を生じさせる請求項1に記載の方法。
  15. 酸化剤がH22である請求項14に記載の方法。
  16. 反応混合物がHBr10〜15重量%を含有する請求項に記載の方法。
  17. 水に混和性のアルコール溶媒がエタノールであり、水の重量%が35〜65重量%の範囲内にあり、供給溶液中のエタノール対ビスフェノール−Aの重量比が0.7:1〜10:1の範囲内にあり、レイノルズ数が50,000〜1,000,000の範囲内にあり、そして未反応臭素の量が50〜15,000ppmの範囲内にある請求項16に記載の方法。
  18. 供給溶液がビスフェノール−A、水及び水に混和性のアルコール溶媒を含んで成る請求項1に記載の方法。
  19. 水に混和性のアルコール溶媒がメタノール、エタノール又はその混合物である請求項18に記載の方法。
  20. 反応混合物中の水の少なくとも75重量%がビスフェノール−A、水、及び水に混和性のアルコール溶媒を含んでなる供給溶液中の水により与えられ、反応混合物中の水の残りが、HBrをBr2に酸化するのにH22を使用した場合に生成する臭化アルキル及び/又は水の逐次形成からの副生水から得られたものである、請求項18に記載の方法。
  21. レイノルズ数が50,000〜1,000,000の範囲内にある請求項18に記載の方法。
  22. 反応混合物中の水の量がアルコール溶媒及び水の重量を基にして30〜85重量%である請求項20の方法。
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