JP5020551B2 - 光学走査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光ビームを走査して感光体を露光する光学走査装置に関するものである。
従来、光学走査装置において、回転多面鏡の回転駆動のアンバランスによる振動や画像形成装置本体の駆動系の振動により、長尺の反射ミラーが両端部を節とし中央部付近をハラとして振動する場合がある。このように長尺の反射ミラーが共振すると、反射ミラーで反射した光束の走査位置が感光体面上でずれてしまう。この結果、静電潜像の位置が所望の画像とならず、画像ムラが発生するという課題がある。
この課題に対する対策としては、反射ミラーの厚みを増やす方法や、反射ミラーに錘を貼り付ける方法がある。これらの方法では反射ミラーの共振周波数を高周波側にシフトさせることによって、装置内外からの反射ミラーに与えられる振動とずらすことができるので、画像ムラが発生することを抑制している。
しかしながら、反射ミラーの厚みを増したり、反射ミラーに錘を貼り付けたりすると、反射ミラーの厚みが増す分だけ装置が大型化し、コストがかかるという別の課題がある。さらに、反射ミラーに錘を貼り付ける方法では、反射ミラーの反射面を撓ませ、感光体面上の走査線の曲がりや走査倍率の変化、結像性能の劣化を招くという課題もある。
そこで、より簡単な構成で反射ミラーの振動を抑制するために、反射ミラーの光走査方向端部の端面に規制部材を当接させる方法が考案されている(特許文献1参照)。この方法では、反射ミラーの端面の動きを規制することにより、反射ミラーの支持部材の支持位置から端面まで振動しなくなるので、その分だけ反射ミラーの振動数を高周波側に移動させることができる。
特開2003−121774
しかしながら、特許文献1の方法では、反射ミラーの共振を抑制できない場合がある。近年、画像形成装置の構造が複雑化しており、光学走査装置内外の各種駆動部の振動源の数は増加している。そのため、各種駆動部による振動と反射ミラーが共振してしまう周波域は広がっている。つまり、反射ミラーが共振しない周波域は狭くなっており、反射ミラーの共振周波数をさらに微細にコントロールすることが必要となる。よって、特許文献1のように反射ミラーの端面の動きを規制しただけでは、その分だけ反射ミラーの共振周波数を高周波域に移動したとしても、反射ミラーの共振を十分に抑制できず、画像ムラが発生してしまう場合がある。このような場合に、反射ミラーの共振周波数を更に微細にコントロールする手法として前述した反射ミラーに錘を貼り付ける方法があるが、それでは装置の大型化や結像性能の劣化を招くという課題がある。
本発明の目的は、装置の大型化や結像性能の劣化を招くことなく、反射ミラーの共振周波数を更に微細にコントロールできるようにして、画像ムラを低減することである。
上記目的を達成するため、本出願に係る発明は、以下のように光学走査装置を構成する。
光源と、前記光源から出射された光を偏向走査する偏向走査手段と、前記偏向走査手段によって偏向走査された光を反射する長尺状の反射部材と、前記光源と前記偏向走査手段と前記反射部材とを収容する光学箱と、前記光学箱に一体的に設けられ、前記反射部材の長手方向で異なる複数箇所で前記反射部材の共通の面を支持する支持部と、前記反射部材の長手方向端面の少なくとも一方に当接し、前記反射部材を拘束する弾性部と、を有し、前記反射部材が前記反射部材の反射面の法線方向で前記支持部に突き当てられた光学走査装置において、前記反射部材に作用する前記弾性部の拘束力の方向は前記反射部材の長手方向から見て前記偏向走査手段の回転軸に対して傾斜し、前記拘束力の分力は、前記反射部材を前記支持部へ突き当てる方向へ作用することを特徴とする。
本発明によれば、反射ミラーの共振周波数を高くする方向にも低くする方向にも微細にコントロールすることができる。よって、反射ミラーの長手方向端面を規制するだけでは共振周波数のコントロールが不十分な場合でも、反射ミラーに与えられる振動の周波数と反射ミラーの共振周波数とを確実にずらすことができ、感光体面上の走査位置ずれによる画像ムラの発生を低減できる。また、反射ミラーの厚みを増やしたり、反射ミラーに錘を貼り付けたりする場合のように装置の大型化や結像性能の劣化を招くこともなく、簡単な構成で画像ムラを低減できる。
(第1実施形態)
図を用いて本発明に適用できる第1実施形態を説明する。説明にあたっては、光学走査装置1、反射ミラー12の支持部20について説明した後、特徴部分である反射ミラーの長手方向端面に当接する弾性部材50の構成及び作用について詳細に説明する。
(光学走査装置1)
図1は本実施形態における光学走査装置1の内部構成を説明した図である。光源であるレーザーユニット2から出射された光束3は、入射ミラー13によって角度を変えられ、第1fθレンズ4を通過した後、回転多面鏡5の光束反射面に集光される。回転多面鏡5は、モータ7によって回転駆動され、入射した光束8を偏向する。偏向走査手段は、回転多面鏡5とモータ7とによって構成される。本実施形態では、入射した光束を偏向する手段としては回転多面鏡を用いて説明するが、回転軸を有し光を偏向する手段であれば回転多面鏡に限定されるものではなく、例えば回転軸を有する回転型振動ミラーであってもよい。偏向走査手段によって偏向された光束8は、再度、第1fθレンズ4を通過後、反射部材であるガラス製の反射ミラー12によって角度を変えられ、第2fθレンズ9を通過した後、感光ドラム10上に集光する。感光ドラム10上に集光、走査された光束8によって静電潜像が形成される。反射ミラー12やモータ7などの光学部品は樹脂製の光学箱11に内包される。光学箱11の上部開口は図示しないカバーによって閉塞される。
(反射ミラー12の支持部20の構成)
反射ミラー12の支持構成について詳細に説明する。図2は反射ミラーを光学箱に取り付けた状態を説明する図である。具体的には、図2(a)は図1に示すA方向の矢視図であり、図2(b)は図2(a)に示すB方向の矢視図である。20は光学箱に一体に成形されたミラー支持部であって、反射ミラー長手方向反対側も同形状である。ミラー支持部20は、載置面として、光束反射面40を支持する支持部材である台座41と、光束反射面40に隣接する面42を支持する支持部材である台座43とを有する。反射ミラー12は台座41と台座43に支持された状態でバネ26によって光学箱11に固定される。さらに反射ミラーの長手方向両端の近傍にそれぞれ設けられた弾性部材50が、反射ミラー12の端面22をそれぞれ互いが向き合う方向に押している。弾性部材50は光学箱11に一体に形成されている。
次に反射ミラーの支持点距離が振動に与える影響について説明する。図3は、反射ミラー12のモードシェイプ(振動の様子)を示す図である。具体的には、図3(a)は本実施形態の反射ミラー12のモードシェイプを示し、図3(b)は弾性部材50がない場合のモードシェイプを示している。尚、図3(a)、(b)では、反射ミラーのモードシェイプを把握しやすいように、振幅量を誇張して示している。
図3(a)から分かるように、本実施形態の場合、反射ミラー12の長手方向両端面は弾性部材50と接触しているので反射ミラー12のモードシェイプの節と節の距離は図中Wで示される。これは見かけ上、反射ミラー12の支持点距離Lが短くなったことを意味する。
一方、弾性部材50がない従来の構成においては、反射ミラー12のモードシェイプの節と節との支持点距離Lは図3(b)で示すように、押圧部材26a、26bが反射ミラー12の光反射面の背面をそれぞれ押圧している位置の間の距離である。
ここで、反射ミラーを両端支持した場合の反射ミラーの共振周波数fは次式で示される。
Figure 0005020551
この数式から分かるように、反射ミラーの共振周波数は、支持点距離の二乗に反比例する。
よって、弾性部材50で反射ミラー12を長手方向に挟持した場合は、見かけ上の支持点距離が距離Lから距離Wへと短くなるので、数式1で表される共振周波数fは大きくなる。このように、弾性部材50で反射ミラー12を長手方向に挟持すると、弾性部材のない固定方式と比較して反射ミラー12の共振周波数fを高くすることができる。
(反射ミラーの長手方向端面に当接する弾性部材50の構成)
次に、本実施形態の特徴部分である、反射ミラーの長手方向端面に当接する弾性部材50の構成について説明する。図4(a)及び図4(b)は本実施形態における弾性部材の構成を示す図である。具体的には、図4(a)は反射ミラーの長手方向から見た光学走査装置の断面図であり、図4(b)は図4(a)の反射ミラー近傍の部分拡大図である。一方、図5(a)及び図5(b)は本実施形態との比較例となる弾性部材の構成を示す図である。具体的には、図5(a)は反射ミラー12の長手方向から見た光学走査装置の断面図であり、図5(b)は図5(a)の反射ミラー近傍の部分拡大図である。図4及び図5において同一の部品は同じ番号で記述している。
本実施形態では、弾性部材50は、反射ミラー12の両側に2箇所設けられ、光学箱11の一部となるように一体に形成されている。弾性部材50を光学箱11と一体に形成することによって、部材点数を更に削減することができ、コスト低減に貢献し、組立性に優れ、かつ安定した走査光8を発射することができる。
また、それぞれの弾性部材50は、反射ミラー12の長手方向両端面と当接し、互いに向き合う方向に付勢している。これにより、装置の周囲の環境変化によって走査光学装置1の内部又は外部の温度が変化した場合に、光学箱11と反射ミラー12はそれぞれ固有の線膨張係数により伸縮したとしても、光学箱11と反射ミラー12の線膨張係数の差を吸収することができる。よって、周囲の環境が変わっても、光学箱11の一部である弾性部材50は、常に反射ミラー12を確実に保持し、反射ミラー12の共振周波数を維持することができる。
次に、反射ミラーの長手方向から見て、反射ミラー12の光反射面40と弾性部材50の反射ミラーに対する拘束力Pの作用方向とのなす角度が振動に与える影響について説明する。
図4(b)に示すように、弾性部材50は、反射ミラー12の長手方向端面と当接することによって、反射ミラー12に対する拘束力Pを作用する。60は、弾性部材50が反射ミラー12に対して作用する拘束力Pの作用点であり、61は、弾性部材50を支持する光学箱11の支点である。作用点60と支点61とを結んだ直線をGとすると、拘束力Pは直線G方向に作用する。
図4(a)に示すように、本実施形態では、作用点60と支点61とを結んだ直線Gと回転多面鏡5の回転軸Rとのなす角度αは30°である。一方、図5(a)に示す比較例の弾性部材の構成では、角度αは0°である。また、図4(a)及び図5(a)に示すように、反射ミラー12の光反射面40の法線Kと回転軸Rとのなす角度θはどちらも40°で設計されているので、反射ミラー12の光反射面40と直線Gのなす角度βは、本実施形態ではβ=100°、比較例の構成ではβ=130°となる。
続いて図6を用いて角度βと反射ミラーの共振周波数との関係について説明する。図6は、角度βと共振周波数の関係を示す実験結果である。本実施形態と比較例との構成が角度βを除いて共通の実験条件となるようにし、反射ミラー12の厚みhを5mm、幅を10mm、支持点距離Lを260mm、オーバーハング量Hを10mmに設定している。オーバーハング量Hとは、図3(a)に示すように、支持部41から反射ミラー12の端面22までの距離である。
図6の縦軸は、図5(a)、(b)で示した比較例の弾性部材の固定方式を用いたときの反射ミラーの共振周波数を1(基準値)として、共振周波数の上昇比率及びそのときの共振周波数f[Hz]を示している。比較例の構成(角度α=0°、角度β=130°)では、共振周波数は198Hzとなった。これに対して、本実施形態(角度α=30°、角度β=100°)では、共振周波数は216Hz、上昇比率は1.1となり、比較例の構成に対して反射ミラー12の共振周波数が18Hz上昇した。
以下に本実験結果の原理を説明する。図5(b)に示すように、弾性部材50の反射ミラーに対する拘束力Pは、法線K方向の力Pkとそれに直交する方向の力Pjとにベクトル分解することができる。ここで、反射ミラー12の共振周波数は、図3(a)、(b)に示すようなK方向のモードシェイプの周波数を指しているので、反射ミラーの法線K方向の拘束力Pkの大きさに依存する。拘束力Pkが大きいほど反射ミラー12の共振周波数は高くなる。すなわち、拘束力Pが一定の場合、角度βが90°のときにPk=Pとなり共振周波数は最大になる。図4(b)と図5(b)を比較すると、本実施形態の拘束力Pk(図4(b))のほうが比較例の構成の拘束力Pk(図5(b))よりも大きいので反射ミラー12の共振周波数は高くなる。なお、図4(b)と図5(b)の拘束力Pは同じ大きさである。
本実施形態では、回転多面鏡5の回転軸Rと直線Gとのなす角度αを30°とし、反射ミラー12の光反射面40と直線Gとのなす角度βを100°としたが、図6に示すように角度α、βは任意に設定することが可能である。よって、角度α、βを、基準となる角度(比較例の構成の角度α=0°、角度β=130°)より大きくなる方向に設定すれば、反射ミラー12の法線K方向の拘束力Pkは小さくなり、反射ミラー12の共振周波数は低くなる。なお、角度αは基準角度0°から反射ミラーの法線Kに近づく方向を正の角度とし、遠ざかる方向を負の角度としている。
以上のように、本実施形態によれば、回転多面鏡5の回転軸Rと弾性部材50の反射ミラー12に対して作用する拘束力Pの方向とのなす角度αや、反射ミラー12の光反射面40と拘束力Pとのなす角度βを変化させて弾性部材50を形成するだけで、共振周波数を高くする方向にも低くする方向にも微細にコントロールすることができる。よって、反射ミラーの長手方向端面に弾性部材50を当接させて、反射ミラーの共振周波数を高周波側に移動させるだけでは、反射ミラーの共振による画像ムラの発生を十分に抑制できない場合でも、さらに角度α、βを変化させて弾性部材50を形成すれば、画像ムラの発生を容易に抑制することが可能である。また、従来から用いられていた反射ミラーの板厚増加や錘の貼付といった方法を付加する場合と比較して、非常に安価な構成で共振回避を達成できる。加えて、反射ミラーの長手方向を弾性部材で押圧しているので、反射面に垂直な方向のミラー湾曲はほとんど生じない。したがって感光ドラム面上の走査線の曲りや走査倍率の変化、結像性能の劣化を抑制することができる。
また、共振周波数をコントロールする手法として、オーバーハング量Hを変化させることも考案されているが、反射ミラー12周りのスペース確保が困難でオーバーハング量Hを大きくすることが不可能な場合がある。そのような場合であっても、本実施形態を用いれば共振周波数を移動させることができる。
(第2実施形態)
図を用いて本発明に適用できる第2の実施形態を説明する。前述した実施形態と同様の構成については同符号を付し、説明を省略する。図7(a)及び図7(b)は本実施形態における弾性部材の構成を示す図である。具体的には、図7(a)は反射ミラーの長手方向から見た光学走査装置の断面図であり、図7(b)は図7(a)の反射ミラー近傍の部分拡大図である。
本実施形態では金属製の弾性部材62を用いており、それぞれの弾性部材62は、反射ミラー12の長手方向両端面と当接し、互いに向き合う方向に付勢している。弾性部材62は光学箱11にビス63によって固定される。光学箱11には複数の基準ピン64、複数のビス穴65が設けられているので、弾性部材62を取り付ける位置を選択することができる。このように、製品組立後でも角度α、βを容易に変更することができる角度調整機構を有する構成となっている。なお、角度α、βの変化に伴い、反射ミラー12の共振周波数が変わる原理については第1実施形態で説明したとおりである。
以上の構成により、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、回転多面鏡5の回転軸Rと弾性部材50の反射ミラー12に対する拘束力Pとのなす角度αや、弾性部材62の反射ミラー12に対する拘束力Pと反射ミラー12の光反射面40とのなす角度βを変化させるために弾性部材62の取り付け位置を替えるだけで、共振周波数を高くする方向にも低くする方向にも微細にコントロールすることができる。よって、反射ミラーの長手方向端面に弾性部材62を当接させて、反射ミラーの共振周波数を高周波側に移動させるだけでは、反射ミラーの共振による画像ムラの発生を十分に抑制できない場合でも、さらに角度α、βを変化させれば、画像ムラの発生を容易に抑制することが可能である。加えて、製品開発時に、画像形成装置のプロセス速度の変更等の理由により反射ミラーの共振周波数の変更を余儀なくされた場合であっても、角度α、βが最適な値になるように弾性部材62を取り付ければよいので、光学箱の金型修正や弾性部材の形状変更を行わずとも非常に簡単に共振周波数を変更することができる。
当然のことながら角度α、βの角度調整機構は本実施形態で示すようなビス止めタイプに限定されるものではなく、例えば、スナップフィット等のいかなる手段であっても良い。
(第3実施形態)
図を用いて本発明に適用できる第3実施形態について説明する。前述した実施形態と同様の構成については同符号を付し、説明を省略する。図9及び図10は本発明の第3の実施例を示す図である。図9は反射ミラー12の端部付近の部分拡大斜視図である。図10は図9を矢印A方向からみた矢視図である。また図8は本実施形態とは異なる参考例を示す図であって、本実施形態の特徴部分となる形状を分かりやすく説明するために掲載している。
本実施形態では、光学箱11に一体的に形成された弾性部材50を支持する支持部の形状が前述した実施形態や図8に示す参考例と異なる。図8に示す参考例では弾性部材50を支持する光学箱の支持部の形状としては両側ともスリット72(a)、72(b)が設けられている。これに対して、本実施形態では、図9に示すように、スリット72のうち片側のスリット72(b)を閉塞している。これにより、弾性部材50は反射ミラー12の端面を付勢する際、自身を矢印Eの方向に自転しながら撓む。そのとき、弾性部材50が反射ミラー12に対して作用する拘束力Pの作用点60と、弾性部材50を支持する光学箱11の支点61は図10に示す位置関係となる。拘束力Pは作用点60と支点61を結んだ直線上に作用するので、拘束力Pと反射ミラー12の光反射面とのなす角度はβ’となる。一方、図8に示す参考例における拘束力Pや角度βは、前述した比較例の構成(図5(b))と同様であり、本実施形態の角度β’のほうが参考例の角度βよりも90°に近くなる。すなわち、図6を用いて前述したように、本実施形態では参考例と比較して反射ミラー12の共振周波数を高くすることができる。また、逆に、スリット72(a)のみを閉塞すれば、上述の原理から反射ミラーの基本周波数を低くすることができる。
以上の構成により、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、弾性部材50の反射ミラー12に対する拘束力Pと反射ミラー12の光反射面とのなす角度βを変化させるために弾性部材を支持する光学箱の支持部の形状を変更するだけで、共振周波数を高くする方向にも低くする方向にも微細にコントロールすることができる。よって、反射ミラーの長手方向端面に弾性部材62を当接させて、反射ミラーの共振周波数を高周波側に移動させるだけでは、反射ミラーの共振による画像ムラの発生を十分に抑制できない場合でも、さらに角度βを変化させれば、画像ムラの発生を容易に抑制することが可能である。これに加えて、一般的に樹脂製光学箱の金型の型割方向は回転多面鏡の回転軸Rの方向と一致しており、弾性部材が型割方向に突出している本実施形態のほうが第1実施形態よりも金型作成プロセスが容易で、かつ成型性が安定するので成型品の形状精度が優れている。したがって、より高い製品信頼性を確保することができる。尚、本実施例では、角度βについてのみ述べたが、第1、第2の実施形態で示したような偏向走査手段を有するものであれば、偏向走査手段の回転軸と弾性部材50の反射ミラー12に対する拘束力Pとのなす角度αについても同様の効果がいえる。また、本実施形態における弾性部材を支持する支持部の形状はスリットが設けられた形状に限定されるものではく、反射ミラーの共振周波数を移動可能とする形状であれば良い。
(他の実施形態)
図を用いて本発明に適用できる他の実施形態について説明する。前述した実施形態と同様の構成については同符号を付し、説明を省略する。図11は、本実施形態における反射ミラーと弾性部材の構成を示す断面図である。第1〜第3の実施形態では、弾性部材50が反射ミラー12の長手方向両端面と当接する構成について説明したが、本実施形態では、弾性部材が反射ミラー12の長手方向一端面のみと当接する構成について説明する。図11に示すように、弾性部材24が反射ミラー12の長手方向一端面12eと当接し、ストッパ23が反射ミラー12のもう一方の端面12dと当接している。このような構成において、一端側のみの弾性部材に第1〜第3の実施形態で説明した弾性部材の構成を適用した場合でも、共振周波数を高くする方向にも低くする方向にも微細にコントロールすることができる。すなわち、弾性部材50が反射ミラー12の長手方向一端面とだけ当接する構成でも、十分に効果を発揮できる。
さらには、弾性部材が、光学箱と一体ではなく、図11に示すような別体の弾性部材24であっても、また、光学箱に設けられるのではなく、光学蓋に一体に設けられるものであっても、上述した第1〜第3の実施形態と同等の効果を得ることができる。
第1実施形態の光学走査装置全体を示す斜視図である。 第1実施形態の光学走査装置の反射ミラー近傍を示す図である。 (a)は第1実施形態の光学走査装置のメカニズムを説明する図、(b)は従来方式の光学走査装置のメカニズムを説明する図である。 (a)は第1実施形態の光学走査装置の反射ミラー近傍を示す図、(b)は図4(a)の部分拡大図である。 (a)は比較例の光学走査装置の反射ミラー近傍を示す図、(b)は図5(a)の部分拡大図である。 第1実施形態の光学走査装置の角度α、βと共振周波数の関係を示すグラフである。 (a)は第2実施形態の光学走査装置の反射ミラー近傍を示す図、(b)は図7(a)の部分拡大図である。 参考例の光学走査装置の形態を示す部分斜視図である。 第3実施形態の光学走査装置の形態を示す部分斜視図である。 第3実施形態の光学走査装置のメカニズムを示す図である。 他の実施形態の光学走査装置の反射ミラー近傍を示す図である。
符号の説明
1 光学走査装置
2 レーザーユニット
5 回転多面鏡
7 モータ
11 光学箱
12 反射ミラー
24,50,62 弾性部材
P 拘束力

Claims (3)

  1. 光源と、前記光源から出射された光を偏向走査する偏向走査手段と、前記偏向走査手段によって偏向走査された光を反射する長尺状の反射部材と、前記光源と前記偏向走査手段と前記反射部材とを収容する光学箱と、前記光学箱に一体的に設けられ、前記反射部材の長手方向で異なる複数箇所で前記反射部材の共通の面を支持する支持部と、前記反射部材の長手方向端面の少なくとも一方に当接し、前記反射部材を拘束する弾性部と、を有し、前記反射部材が前記反射部材の反射面の法線方向で前記支持部に突き当てられた光学走査装置において、
    前記反射部材に作用する前記弾性部の拘束力の方向は前記反射部材の長手方向から見て前記偏向走査手段の回転軸に対して傾斜し、前記拘束力の分力は、前記反射部材を前記支持部へ突き当てる方向へ作用することを特徴とする光学走査装置。
  2. 前記弾性部は前記光学箱と一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学走査装置。
  3. 前記反射部材の反射面の背面に当接し、前記反射部材の反射面を前記支持部へ突き当てる別の弾性部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学走査装置。
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