JP5019660B2 - 液晶シール材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶シール材及びその製造方法、更にそれを用いた液晶表示セルに関する。より詳しくは、特定の分散機器及び方法を用いて硬化性樹脂に有機及び/又は無機微粒子を均一に分散する工程を含む方法によって製造された液晶シール材及びその製造方法に関する。
近年、液晶表示装置の高速応答性向上の為、液晶セルの狭ギャップ化が指向されている。更に、液晶テレビ等へ本格的に用途が拡大したことによりパネルの大型化、生産性向上を目的としたマザーガラス基板の大型化競争が繰り広げられている。こうした市場の動向に伴い、液晶シール材に要求される要求特性として狭ギャップ化、高接着強度等が求められている。
一方、液晶セル製造工程を効率化するため、シール材の硬化手段として光硬化及び熱硬化を併用する方法が提案されている(特許第3162179号公報、特許文献1)。更に、いわゆる液晶滴下方式におけるシール材の硬化手段としても光硬化、或いは光硬化及び熱硬化を併用する方法が提案されている(特開2001−133794号公報、特許文献2)。液晶滴下方式とは、一方の基板に形成された液晶シール材の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせることにより液晶が封止された液晶表示セルを製造する方法である。液晶滴下方式はセル貼り合わせと液晶封止を同時に行うので工程が簡略化され、量産性を飛躍的に向上出来るため、液晶パネル大型化に伴う液晶表示セルへの液晶封入方法として採用、実用化され始めている。現在この工法に適合する液晶シール材としては光照射で仮硬化を行った後、熱で後硬化を行う光熱併用型が主流である。
従来の熱硬化型液晶シール材ではディスペンス性、印刷性を付与するために溶剤を配合し、セル製造工程中にて溶剤乾燥を行う工程(以下プリキュア工程という)を入れて使用することは一般的に行われている。しかし、光熱併用型液晶シール材では、シール材の設計上プリキュア工程を入れて使用することは考えにくく、無溶剤が一般的である。
これら液晶シール材の接着強度を実用上問題ない水準に向上させる為に、無機充填材やゴム微粒子等を配合することは一般的に知られているが、その混合分散方法としては、従来3本ロールミル、ペイントロール等を用いた混合分散方法が挙げられているに留まっている(特許文献1及び特許第3366203号公報、特許文献3)。
特許第3162179号公報 特開2001−133794号公報 特許第3366203号公報
本発明の課題は、液晶シール材の開発、特に一方の基板に形成された液晶シール材の堰の内側に液晶を滴下した後、他方の基板を貼り合わせ、液晶シール部に光照射した後、加熱硬化する液晶滴下工法による液晶表示装置の製造に用いられる液晶シール材の開発にある。より詳細には、狭ギャップ液晶セルの製造に適し、且つ接着強度に優れる液晶シール材を提案することを課題とする。
本発明者らは前記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は、
(1)
分散容器(a)に分散媒体としてメディア(b)を充填して高速回転する撹拌装置(c)により高速回転場でメディア同士を衝突させて凝集粒子の分散を行う湿式分散装置(A)を用いて、溶剤(B)に溶解したエポキシ基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する反応性樹脂(C)に平均粒径3μm以下の有機微粒子(D)を均一に分散し、次いで溶剤(B)を除去することを特徴とする液晶シール材の製造方法。
(2)
湿式分散装置(A)が連続処理方式である上記(1)に記載の液晶シール材の製造方法。
(3)
メディア(b)が、直径0.1〜5mmで、アルミナ、ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ及び窒化硅素から選択されるいずれかの材質のものである、上記(1)又は(2)に記載の液晶シール材の製造方法。
(4)
有機微粒子(D)が架橋ゴム微粒子である上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の液晶シール材の製造方法。
(5)
架橋ゴム微粒子がコアシェル構造架橋ゴム微粒子である上記(4)に記載の液晶シール材の製造方法。
(6)
更に、硬化剤、硬化促進剤、光重合開始剤、重合禁止剤、カップリング剤、イオン捕捉剤及び酸化防止剤からなる群から選択されるいずれか1種以上を添加して分散を行うか、及び/又は溶剤(B)を除去した後にこれら1種以上を添加する、上記(1)乃至(5)の何れか一項に記載の液晶シール材の製造方法。
本発明の液晶シール材は、狭ギャップ液晶セルの製造に適し、且つ接着強度に優れる。従って、本発明の液晶シール材を用いることにより、狭ギャップに設計された液晶表示セルを製造することが可能になった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる、湿式分散装置(A)としては分散容器(a)、メディア(b)及び高速回転する撹拌装置(c)を備えており、高速回転場でメディア同士を衝突させて凝集粒子の分散を行うことが出来るものであれば特に限定されるものではない。例えば、市販されているビーズミル、ボールミル、サンドミル等と総称されるものを使用することが可能である。また、処理形態はバッチ方式でも連続処理方式でも良い。分散容器(a)は分散処理による温度上昇を防ぐため、ジャケットに冷却媒体を循環させることが出来るものが好ましい。メディアの材質としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ、窒化硅素等から選択されるものが挙げられる。メディアの形状は、通常球形であり、その直径は特に限定されるものではないが、0.1〜5mm程度、好ましくは0.3〜3mm程度が好ましい。高速回転する撹拌装置(c)は特に限定されるものではないが、分散容器内で攪拌羽根を回転させる方式や分散容器を高速で回転させる方式等が挙げられる。
溶剤(B)としては、微粒子(D)の分散対象であるエポキシ基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する反応性樹脂(C)に対して反応性がないものであれば特に限定されるものではない。安全上支障なく、除去し易いものを適宜選択すれば良い。使用しうる溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、などが挙げられる。
エポキシ基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する反応性樹脂(C)は特に限定されるものではないが、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂、及びそのエポキシ(メタ)アクリレート等を挙げることが出来る。液晶汚染の観点からは液晶に対する溶解性が低いものを選択することが好ましいが、このような樹脂としては、特に下記一般式(1)で表されるレゾルシンジグリシジルエーテル多量体やビスフェノールF型エポキシ樹脂のエポキシアクリレート等を挙げることが出来る。
Figure 0005019660
(式中、nは1乃至10の正数を表す。)
本発明で用いられる、平均粒径3μm以下の有機微粒子(D)は、液晶シール材に材料強度、接着強度、応力緩和性等を付与する目的で添加するものである。有機微粒子(D)はセルギャップ形成、材料強度、接着強度等の観点から平均粒径が0.3μm以下であることが更に好ましく、その下限は平均粒径として0.003μm程度である。有機微粒子としては例えば架橋樹脂微粒子、架橋ゴム微粒子等が挙げられ、特に限定されるものではないが、接着強度向上、応力緩和の観点よりコアシェル構造架橋ゴム微粒子が好ましい。本発明で使用するコアシェル構造架橋ゴムは、2層又は3層構造であり、コア層がゴム弾性を示す架橋ゴムであり、コア層をゴム弾性を示さない架橋ポリマーで被覆した構造であればどのようなものでも良い。コア層としては架橋ポリブタジエン、架橋アクリル酸アルキル共重合物、架橋ポリイソプレンなどが挙げられ、シェル層としてはアクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル共重合物、メタクリル酸アルキル−スチレン共重合物、アクリル酸アルキル共重合物などが挙げられる。これらのうちコア層とシェル層との好ましい組み合わせとしては、コア層が架橋ポリブタジエンであり、シェル層がアクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル共重合物又はメタクリル酸アルキル−スチレン共重合物である組み合わせ、コア層が架橋アクリル酸アルキル共重合物であり、シェル層がアクリル酸アルキル共重合物である組み合わせが挙げられる。コアシェル構造架橋ゴムとしては、パラロイドEXL−2602(呉羽化学工業株式会社製)、パラロイドEXL−2655(呉羽化学工業株式会社製)等が一般に入手可能である。これらの微粒子は2種以上を混合して用いても良い。
本発明の液晶シール材には、必要に応じて硬化剤、硬化促進剤、充填材、光重合開始剤、重合禁止剤、カップリング剤、イオン捕捉剤、酸化防止剤等のその他成分を配合しても良い。
用いても良い熱硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応して硬化物を形成するものであれば特に限定されるものではないが、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、ヘキサデカン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド等の脂肪酸骨格からなる脂肪族二塩基酸ジヒドラジド類、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジド、4,4’−ビスベンゼンカルボン酸ジヒドラジド、1,4−ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジド、2,6−ピリジンジカルボン酸ジヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸テトラヒドラジド等の芳香族多価カルボン酸ヒドラジド類、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等のバリンヒダントイン骨格を有するジヒドラジド類、多価フェノール類等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
用いても良い硬化促進剤としては、例えばイミダゾール類、イミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、ジシアンジアミド等のアミド類及び該アミド類とフェノール類、上記多価カルボン酸類、又はホスフイン酸類との塩類、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のジアザ化合物及び該ジアザ化合物とフェノール類、上記多価カルボン酸類、又はホスフィン酸類との塩類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類、2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、アミンアダクト等が挙げられる。
用いても良い充填材としては、特に限定されるものではなく、例えば溶融シリカ、結晶シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられ、好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムであり、更に好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、タルク等である。上記の充填剤は2種以上を混合して用いても良い。これらの充填材の平均粒径は、3μm以下のものが好ましい。平均粒径が3μmより大きいと、液晶セル製造時の上下ガラス基板の貼り合わせ時のギャップ形成が適切にできなくなる恐れがある。
用いても良い重合禁止剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、メトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。その使用量は反応原料混合物に対して好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重量%である。
用いても良い光重合開始剤としては、液晶の特性に比較的影響が小さいi線(365nm)付近に感度を持ち、なお且つ液晶汚染性が低いラジカル発生型光重合開始剤であることが好ましい。使用しうるラジカル発生型光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、2−エチルアンスラキノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール、1,7−ビス(9−アクリジル)ヘプタン等があげられ、好ましいものとしては、例えば3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール等のカルバゾール系光重合開始剤、1,7−ビス(9−アクリジル)ヘプタン等のアクリジン系光重合開始剤があげられる。
本発明の液晶シール剤においては、その接着強度を向上させるために、シランカップリング剤を用いても良い。使用しうるシランカップリング剤としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。これらシランカップリング剤は2種以上を混合して用いても良い。これらのうち、より良好な接着強度を得るためにはシランカップリング剤がアミノ基を有するシランカップリング剤であることが好ましい。シランカップリング剤を使用することにより接着強度が向上し、耐湿信頼性が優れた液晶シール剤が得られる。
本発明の液晶シール剤には必要に応じて更にイオン捕捉剤を含有せしめてもよい。イオン捕捉剤の添加は、液晶シール剤の不純物無機イオンを吸着、固定化して液晶に溶出する無機イオンを低減するため、液晶の比抵抗値の低下を防ぐ効果がある。イオン捕捉剤としては、イオン捕捉能を有する無機化合物であることが好ましい。ここで言うイオン捕捉能は、リン酸、亜リン酸、有機酸アニオン、ハロゲンアニオン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン等を捕捉することによりイオン性不純物を減少させる能力である。用いうるイオン捕捉剤としては、例えば一般式BiO(OH)(NO[ここで、Xは0.9〜1.1、Yは0.6〜0.8、Zは0.2〜0.4の正数である]で表される酸化ビスマス系イオン捕捉剤、酸化アンチモン系イオン捕捉剤、リン酸チタン系イオン捕捉剤、リン酸ジルコニウム系イオン捕捉剤、一般式MgAl(OH)2X+3Y-2Z(CO・mHO[ここで、X、Y、Zは2X+3Y−2Z≧0を満たす正数、mは正数である]で表されるハイドロタルサイト系イオン捕捉剤等が挙げられる。これらのイオン捕捉剤は、例えば、IXE−100(東亞合成株式会社製、リン酸ジルコニウム系イオン捕捉剤)、IXE−300(東亞合成株式会社製、酸化アンチモン系イオン捕捉剤)、IXE−400(東亞合成株式会社製、リン酸チタン系イオン捕捉剤)、IXE−500(東亞合成株式会社製、酸化ビスマス系イオン捕捉剤)、IXE−600(東亞合成株式会社製、酸化アンチモン・酸化ビスマス系イオン捕捉剤)、DHT−4A(ハイドロタルサイト系イオン捕捉剤、協和化学工業株式会社製)、キョーワードKW−2000(ハイドロタルサイト系イオン捕捉剤、協和化学工業株式会社製)として市販されている。これらは単独でも2種以上を混合して用いても良い。イオン捕捉剤は液晶シール剤組成物中で通常0.01〜5重量%を占める割合で用いるのが好ましい。
本発明の液晶シール材を得るには、まず、上記(B)、(C)、及び(D)成分並びに必要に応じてその他の成分を公知の混合装置で予備混合した後、湿式分散装置(A)を用いて微粒子(D)の凝集物が認められなくなるまで分散処理を施す。次いで、溶剤(B)を除去し、必要に応じてその他の成分を添加する。夾雑物を除く為に、濾過処理を施してもよい。分散混合物の微粒子(D)による凝集物の有無もしくはその程度は光学顕微鏡(約500倍)を用いて容易に確認することができる。よって、凝集物が認められなくなるまで適宜分散処理を施すことで、本発明の目的にかなった凝集物のない分散処理工程が達成される。
本発明の液晶表示セルは、第1には、基板に所定の電極を形成した一対の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された本発明の液晶シール材の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせてギャップ形成を行い、次いで光及び/又は熱により硬化してなる液晶表示セルである。また、第2には、基板に所定の電極を形成した一対の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一対の基板を本発明のシール材で貼り合わせてギャップ形成を行い、光及び/又は熱により硬化してセルを形成した後、液晶を注入し、次いで注入口をエンドシール材で封止してなる液晶表示セルである。
本発明の液晶シール材の微粒子成分は均一に分散されている為、セルギャップより大きな凝集体が存在することによるギャップ形成時の不良が発生しない。また、封入される液晶の種類は特に限定されない。ここで、基板は、ガラス、石英、プラスチック、シリコン等からなる少なくとも一方に光透過性がある組み合わせの基板から構成される。その製法は、例えば本発明の液晶シール材に、グラスファイバー等のスペーサー(間隙制御材)を添加した後、該一対の基板の一方にディスペンサー等により該液晶シール材を堰状に塗布した後、該液晶シール材の堰の内側に液晶を滴下し、真空中にてもう一方のガラス基板を重ね合わせ、ギャップ出しを行う。ギャップ形成の後、紫外線照射機により液晶シール部に紫外線を照射させて光硬化させる。紫外線照射量は、通常500mJ/cm〜6000mJ/cm、好ましくは1000mJ/cm〜4000mJ/cmの照射量である。その後、90〜130℃で1〜2時間硬化することにより本発明の液晶表示セルを得ることができる。スペーサーとしては、例えばグラスファイバー、シリカビーズ、ポリマービーズ等があげられる。
本発明の液晶シール材は、狭ギャップ液晶セルの製造に適し、且つ接着強度に優れる。
本発明の液晶シール材を用いることにより、狭ギャップに設計された液晶表示セルを製造することが可能になった。
以下に示す実施例により本発明を更に詳しく説明する。
[実施例1]
エポキシ樹脂DRGE(日本化薬株式会社製;レゾルシンジグリシジルエーテル多量体)30重量部、エポキシアクリレート樹脂R−94100(日本化薬株式会社製;ビスフェノールF型エポキシ樹脂のエポキシアクリレート)120重量部、溶融破砕シリカ(クリスタライト1FF、龍森株式会社製、平均粒径1.0μm)35重量部、コアシェル構造架橋ゴム(パラロイドEXL−2655、呉羽化学工業株式会社製、コア層:架橋ポリブタジエン、シェル層:メタクリル酸アルキル−スチレン共重合物、平均粒子径200nm)5重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル60重量部をプラネタリーミキサー(浅田鉄工株式会社製、PVM−50)にて予備混合した後、連続式サンドミル(浅田鉄工株式会社製、GMH−L)にてメディア(アルミナ、直径1mm)を用いて分散処理した。20回処理を繰り返した分散液をガラス板に挟み顕微鏡で観察し、凝集物がなくなっていることを確認した。次いで、溶剤を除去した分散処理液にラジカル発生型光重合開始剤3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール(旭電化工業(株)製、アデカオプトマーN−1414)1.8重量部、アミノシランカップリング剤(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン(株)製、KBM−603)0.5重量部を添加し、更にイソフタル酸ジヒドラジド(商品名IDH−S;大塚化学(株)製ジェットミル粉砕グレードを更にジェットミルで微粉砕したもの、融点224℃、活性水素当量48.5g/eq、平均粒径1.3μm)15重量部を混合した後、攪拌脱泡、ろ過して本発明の液晶シール材を得た。
[実施例2]
エポキシ樹脂DRGE(日本化薬株式会社製;レゾルシンジグリシジルエーテル多量体)30重量部、エポキシアクリレート樹脂R−94100(日本化薬株式会社製;ビスフェノールF型エポキシ樹脂のエポキシアクリレート)120重量部、アルミナ(SPC−Al、シーアイ化成株式会社製、平均粒径0.05μm)35重量部、コアシェル構造架橋ゴム(パラロイドEXL−2655、呉羽化学工業株式会社製、コア層:架橋ポリブタジエン、シェル層:メタクリル酸アルキル−スチレン共重合物、平均粒子径200nm)5重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル60重量部をプラネタリーミキサー(浅田鉄工株式会社製、PVM−50)にて予備混合した後、連続式サンドミル(浅田鉄工株式会社製、GMH−L)にてメディア(アルミナ、直径1mm)を用いて分散処理した。20回処理を繰り返した分散液をガラス板に挟み、顕微鏡で観察し、凝集物がなくなっていることを確認した。次いで、溶剤を除去した分散処理液にラジカル発生型光重合開始剤3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール(旭電化工業(株)製、アデカオプトマーN−1414)1.8重量部、アミノシランカップリング剤(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン(株)製、KBM−603)0.5重量部を添加、更にイソフタル酸ジヒドラジド(商品名IDH−S;大塚化学(株)製ジェットミル粉砕グレードを更にジェットミルで微粉砕したもの、融点224℃、活性水素当量48.5g/eq、平均粒径1.3μm)15重量部を混合した後、攪拌脱泡、ろ過して本発明の液晶シール材を得た。
[実施例3]
エポキシ樹脂RE−203(日本化薬株式会社製;エチレンオキサイド付加ビスフェノールSのジグリシジルエーテル)20重量部、エポキシアクリレート樹脂R−94100(日本化薬株式会社製;ビスフェノールF型エポキシ樹脂のエポキシアクリレート)80重量部、チタン系黒色顔料(チタンブラック13R、三菱マテリアル製、平均粒子径73nm)25重量部、コアシェル構造架橋ゴム(パラロイドEXL−2655、呉羽化学工業株式会社製、コア層:架橋ポリブタジエン、シェル層:メタクリル酸アルキル−スチレン共重合物、平均粒子径200nm)5.8重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル60重量部をプラネタリーミキサー(浅田鉄工株式会社製、PVM−50)にて予備混合した後、連続式サンドミル(浅田鉄工株式会社製、GMH−L)にてメディア(アルミナ、直径1mm)を用いて分散処理した。20回処理を繰り返した分散液をガラス板に挟み顕微鏡で観察し、凝集物がなくなっていることを確認した。次いで、溶剤を除去した分散処理液にラジカル発生型光重合開始剤3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール(旭電化工業(株)製、アデカオプトマーN−1414)3.6重量部、アミノシランカップリング剤(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン(株)製、KBM−603)0.2重量部を添加、更にアジピン酸ジヒドラジド(商品名ADH−S;大塚化学(株)製ジェットミル粉砕グレードを更にジェットミルで微粉砕したもの、融点190℃、活性水素当量43.5g/eq、平均粒径1.3μm)13.5重量部を混合した後、攪拌脱泡、ろ過して本発明の液晶シール材を得た。
[比較例1]
エポキシ樹脂DRGE(日本化薬株式会社製;レゾルシンジグリシジルエーテル多量体)30重量部、エポキシアクリレート樹脂R−94100(日本化薬株式会社製;ビスフェノールF型エポキシ樹脂のエポキシアクリレート)120重量部、溶融破砕シリカ(クリスタライト1FF、龍森株式会社製、平均粒径1.0μm)35重量部、コアシェル構造架橋ゴム(パラロイドEXL−2655、呉羽化学工業株式会社製、コア層:架橋ポリブタジエン、シェル層:メタクリル酸アルキル−スチレン共重合物、平均粒子径200nm)5重量部、をプラネタリーミキサーにて仮混合した後、3本ロール(ノリタケカンパニーリミテド製)にて分散処理した。20回処理を繰り返した分散液をガラス板に挟み、顕微鏡で観察したところ微少な凝集物が確認された。次いで、この分散処理液にラジカル発生型光重合開始剤3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール(旭電化工業(株)製、アデカオプトマーN−1414)1.8重量部、アミノシランカップリング剤(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン(株)製、KBM−603)0.5重量部を添加、更にイソフタル酸ジヒドラジド(商品名IDH−S;大塚化学(株)製ジェットミル粉砕グレードを更にジェットミルで微粉砕したもの、融点224℃、活性水素当量48.5g/eq、平均粒径1.3μm)15重量部を混合した後、攪拌脱泡、ろ過して液晶シール材を得た。
[比較例2]
エポキシ樹脂DRGE(日本化薬株式会社製;レゾルシンジグリシジルエーテル多量体)30重量部、エポキシアクリレート樹脂R−94100(日本化薬株式会社製;ビスフェノールF型エポキシ樹脂のエポキシアクリレート)120重量部、アルミナ(SPC−Al、シーアイ化成株式会社製、平均粒径0.05μm)35重量部、コアシェル構造架橋ゴム(パラロイドEXL−2655、呉羽化学工業株式会社製、コア層:架橋ポリブタジエン、シェル層:メタクリル酸アルキル−スチレン共重合物、平均粒子径200nm)5重量部、をプラネタリーミキサーにて仮混合した後、3本ロール(ノリタケカンパニーリミテド製)にて分散処理した。20回処理を繰り返した分散液をガラス板に挟み顕微鏡で観察したところ微少な凝集物が確認された。次いで、この分散処理液にラジカル発生型光重合開始剤3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール(旭電化工業(株)製、アデカオプトマーN−1414)1.8重量部、アミノシランカップリング剤(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン(株)製、KBM−603)0.5重量部を添加し、更にイソフタル酸ジヒドラジド(商品名IDH−S;大塚化学(株)製ジェットミル粉砕グレードを更にジェットミルで微粉砕したもの、融点224℃、活性水素当量48.5g/eq、平均粒径1.3μm)15重量部を混合した後、攪拌脱泡、ろ過して液晶シール材を得た。
[試験例]
[垂直接着強度]
得られた液晶シール材100gにスペーサーとして直径5μmのガラスファイバー1gを添加して混合撹拌を行った。室温にてガラス基板(15mm×30mm×厚み0.7mm)に針でシール材を塗布し、もう一枚のガラス基板と交差するように貼り合わせて軽く押さえ、バインダークリップで固定した。UV照射機により3000mJ/cmの紫外線を照射した後、120℃オーブンに1時間投入して硬化させた。マイクロスコープにて接着面の直径を測定して接着面の面積を求めた。測定サンプルの直径は0.8μm〜1.2μmの範囲になるようにした。測定サンプルを冶具により固定し、引っ張り速度を約20mm/minに設定して対向基板を垂直方向に引っ張り、剥離強度を測定した。垂直接着強度を次式により求めた。
垂直接着強度(MPa)=[剥離強度(N)/シール面積(mm)]
測定は10回行い、平均値をそのシール材の垂直接着強度とした。実施例及び比較例の結果を表1に示す。
[ギャップ形成試験]
得られた液晶シール材100gにスペーサーとしてガラスファイバー1gを添加して混合撹拌を行った。室温にてガラス基板(15mm×30mm×厚み0.7mm)に針でシール材を塗布し、もう一枚のガラス基板と交差するように貼り合わせて軽く押さえ、バインダークリップで固定した。UV照射機により3000mJ/cmの紫外線を照射した後、120℃オーブンに1時間投入して硬化し、マイクロスコープにて接着面を観察した。シール材がスペーサーの直径までつぶれて所望のギャップ形成が出来ている場合、スペーサーがガラス基板に接触しているのではっきりと視認出来る(評価を○とする)が、シール材がスペーサーの直径までつぶれず、ギャップ形成が出来ていない場合はスペーサーは視認出来ない(評価を×とする)。スペーサーの直径が5μm及び2μmの場合についてそれぞれ確認を行った。実施例及び比較例の結果を表1に示す。
Figure 0005019660
表1から明らかなように、本発明の製造方法で製造した実施例1〜3は接着強度及びギャップ形成能に優れるが、同組成であっても製造方法が異なる比較例1〜2はこれらの要求物性が著しく劣る。これは、分散成分の無機フィラー及びゴム粒子が均一に分散していないためと考えられる。
本発明の液晶シール材は、基板への塗布作業性と貼り合わせ性に優れ、かつ接着強度及びギャップ形成能に優れている。本発明の液晶シール材を液晶滴下工法に使用することにより、高速応答性、信頼性が向上した液晶表示セルを製造することができる。

Claims (6)

  1. 分散容器(a)に分散媒体としてメディア(b)を充填して高速回転する撹拌装置(c)により高速回転場でメディア同士を衝突させて凝集粒子の分散を行う湿式分散装置(A)を用いて、溶剤(B)に溶解したエポキシ基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する反応性樹脂(C)に平均粒径3μm以下の有機微粒子(D)を均一に分散し、次いで溶剤(B)を除去することを特徴とする液晶シール材の製造方法。
  2. 湿式分散装置(A)が連続処理方式である請求項1に記載の液晶シール材の製造方法。
  3. メディア(b)が、直径0.1〜5mmで、アルミナ、ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ及び窒化硅素から選択されるいずれかの材質のものである、請求項1又は2に記載の液晶シール材の製造方法。
  4. 有機微粒子(D)が架橋ゴム微粒子である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶シール材の製造方法。
  5. 架橋ゴム微粒子がコアシェル構造架橋ゴム微粒子である請求項4に記載の液晶シール材の製造方法。
  6. 更に、硬化剤、硬化促進剤、光重合開始剤、重合禁止剤、カップリング剤、イオン捕捉剤及び酸化防止剤からなる群から選択されるいずれか1種以上を添加して分散を行うか、及び/又は溶剤(B)を除去した後にこれら1種以上を添加して得られる請求項1乃至5の何れか一項に記載の液晶シール材の製造方法。
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