近年、フラットパネルディスプレイは、省エネルギー、省スペース、可搬性などの点から据え置き型、壁掛け型、携帯型の様々な用途の画像表示装置として利用されている。
特に携帯型においては、携帯時に落下させても破損しないような耐衝撃性や、軽量化、薄型化などの点からプラスチック化への要求がある。また、壁掛け型においても円柱状の柱へのディスプレイの設置という点から可撓性のディスプレイへの要求がある。
しかしながら、従来のフラットパネルディスプレイは、何れもガラス基板上に製造された物であり、プラスチック基板上に製造することは難しかった。
その理由は、従来のフラットパネルディスプレイの部材の作製には高温での加熱工程とフォトリソ工程が含まれているためである。
例えば、液晶ディスプレイ用のカラーフィルターの製造にあたっては、感光性樹脂のパターニングにあたって、現像、洗浄、ベーキングなどの工程があり、プラスチック基板の熱による損傷や伸縮が生じてしまう。
また、ディスプレイの駆動電極である薄膜トランジスタの製造工程では、シリコン半導体や、絶縁膜の形成には300℃以上の高温工程を含み、プラスチック基板の耐熱性を上回っていた。
また、フォトリソ工程は、製膜、露光、現像、剥離を材料毎に行うので、製造設備も大掛かりとなり、製造のコストが高い。
以上のことから、プラスチック基材上への精密なパターニングが可能な印刷方法が求められていた。
プラスチック基材上への印刷法の一つとして、インクジェット法が検討されている。インクジェット法は、所定の部分にのみ所定の材料をパターニングできることから材料の利用効率が高く、版も使用しないことから、もっとも簡便なパターニング方法として期待されている。
しかしながら、現状のインクジェットのインク液滴の直径は数十μm程度であり、着弾精度も数μm程度ある。
また、インクジェット法を用いて精密なパターニングをするためには、あらかじめ基板上にフォトリソ工程により隔壁を形成しなければならず、カラーフィルターのブラックマトリクスや印刷方式の薄膜トランジスタ配線などの10μm程度のパターンを形成する方法としては、採用することができない。
インクジェット法以外の方法としては、スクリーン印刷法が挙げられる。スクリーン印刷法は、電子部品における配線や抵抗体、誘電体の印刷などで実用化されている。
しかしながら、孔版印刷であることからインキはペースト状の高粘度のものに限られ、また、スクリーンメッシュの精細度から数十μm程度の厚膜の印刷法としては採用できても、やはり10μm前後のパターンを形成する方法としては、採用できない。
そこで、インクジェット法およびスクリーン印刷法以外の方法として、フィルムへ乾燥インキ膜をあらかじめ設けた、いわゆるドライフィルムを熱圧によりパターン除去した後、残ったパターンを目的の基材に転写する転写方法が考案された(特許文献1参照)。
しかしながら、フィルムからインキ層を転写する際に熱圧を用いるために、フィルム基材の膨張・収縮や版の膨張、インキ層の溶融・軟化を伴うことから、数十μm程度の微小なパターンの再現性を得る事が困難である。また、熱圧を均一に与える為の装置も複雑になり、大画面への対応も困難となってしまう。
また、胴に巻き付けたブランケット上にインキを塗工・予備乾燥してインキ膜を形成し、その後、非画像部パターンが形成された凸版をインキ膜に押圧することによりブランケット上に画像パターンを形成し、最後に、ブランケット上の画像パターンを被印刷基材上に転写し、被印刷基材上に画像パターンを形成する印刷方法が試みられている。(特許文献2参照)
この方法は、インキ膜厚を調整することが容易である。この印刷法ではインキ剥離性のブランケット上に画像パターンを形成することから、被印刷基材へのインキ転写性が良好である。また、薄膜での微細パターン形成が可能である。
特開平9−90117号公報
特開2001−56405号公報
しかしながら、特許文献2の方法は、シリコーンゴムまたはシリコーン樹脂からなるブランケット上でインキの予備乾燥を行う時に、ブランケット表面のインキ濡れ性や転写性が不安定になるという問題点を有していた。これはブランケットが胴に固定されたまま乾燥を行うために均一な予備乾燥が困難であり、塗工されたインキ中の溶剤がブランケット内に吸収され膨潤していき、部分的な転写性や精度のバラツキができてしまうことが原因である。
また、転写後のクリーニングやブランケットの乾燥による膨潤量の調整を転写毎に行う必要があるため、連続加工に不向きである。また、ブランケットが胴に固定されているので、あるパターンが形成された基材上に転写する場合に、ブランケット上のパターンと基材上のマークとの位置合わせが困難であった。
本発明の課題は、ガラス基材やプラスチックフィルム、特に生産効率の良い長尺状のプラスチックフィルムなどの可撓性基材上へ、連続的に高精細パターンを形成する印刷方法および印刷装置を提供するものである。
本発明において上記課題を達成する為に、まず請求項1の発明は、被印刷基材表面上へ高精細な画像部パターンを印刷する印刷方法であって、巻き取りロールから供給されたインキ剥離性のフィルム基材上に、インキ液膜を塗工して設け、該インキ液膜を予備乾燥し、予備乾燥インキ膜を得た後、前記画像部パターンを凹部とした凸版を該予備乾燥インキ膜に押し当て、加熱を施すことなく非画像部を該凸版の凸部に転移させ、該インキ剥離性のフィルム基材上に残された予備乾燥インキ膜による画像パターンをやはり加熱を施すことなく目的の前記被印刷基材表面上へ転写することを特徴とする印刷方法としたものである。
また請求項2の発明は、前記画像部パターンは他の画像部パターンとの最小間隔が20μm以下であることを特徴とする請求項1記載の印刷方法としたものである。
また請求項3の発明は、同一のインキ剥離性のフィルム基材上に、複数のインキを塗り分けることにより、同一の被印刷基材表面上へ転写することにより印刷を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷方法としたものである。
また請求項4の発明は、前記予備乾燥インキ膜は、前記フィルム基材上において前記予備乾燥がなされることで、残留溶剤量が0.5%から4.0%となることを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の印刷方法としたものである。
また請求項5の発明は、前記インキ剥離性のフィルム基材を巻きだし装置から順次繰り出して常に新しい該インキ剥離性のフィルム基材を使用することを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の印刷方法としたものである。
請求項6の発明は、前記インキ剥離性のフィルム基材が、フィルム基材上にシリコーン樹脂層を積層して設けたことを特徴とする請求項1乃至5何れかに記載の印刷方法としたものである。
請求項7の発明は、前記インキ剥離性のフィルム基材が、フィルム基材上にSiO2、TiO2、ZrO2の無機酸化膜、あるいはこれらの複合酸化物膜を設けた基材面にシランカップリング剤を介してアルキル基、シロキサン基、フッ素原子の少なくとも一種を表面に設けたことを特徴とする請求項1乃至5何れかに記載の印刷方法としたものである。
請求項8の発明は、前記インキ剥離性のフィルム基材が、フィルム基材上にゾル−ゲル法により酸化物膜を設けた基材面にシランカップリング剤を介してアルキル基、シロキサン基、フッ素原子の少なくとも一種を表面に設けたことを特徴とする請求項1乃至5何れかに記載の印刷方法としたものである。
請求項9の発明は、前記インキ剥離性のフィルム基材が光学的に透明であり、前記被印刷基材上にあるアライメント用のパターンを前記フィルム基材と反対側から前記フィルム基材を透かして画像認識することを特徴とする請求項1乃至8何れかに記載の印刷方法としたものである。
請求項10の発明は、前記被印刷基材と前記インキ剥離性のフィルム基材とを平行状態に配置して、顕微鏡カメラを用いて、前記インキ剥離性のフィルム基材上にあるアライメント用のパターンと前記被印刷基材表面上にあるアライメント用のパターンとの位置合わせを行うことを特徴とする請求項1乃至9何れかに記載の印刷方法としたものである。
前記予備乾燥インキ膜を除去するための凸版として、ガラスもしくは樹脂製の版を使用してもよい。
請求項11の発明は、前記インキ剥離性のフィルム基材上に、インキ液膜を塗工する際に、後の工程で予定される非画像パターンを除去する転移と、該インキ剥離性のフィルム基材上に残される画像パターンを被印刷基材表面上へ転写する処理に対応した領域ごとに、不連続に塗工することを特徴とする請求項1乃至10何れかに記載の印刷方法としたものである。
請求項12の発明は、前記被印刷基材表面上に複数層からなる転写パターンを、位置合わせして形成するに際して、非画像パターンを除去されたインキ剥離性のフィルム基材上から引き続き転写するように、該インキ剥離性フィルム基材上に異なる層のパターンが引き続いて形成されることを特徴とする請求項1乃至11何れかに記載の印刷方法としたものである。
請求項13の発明は、前記インキ剥離性のフィルム基材上に、インキ液膜を塗工することに先行して、一連の引き続く工程の中で、インキ剥離性を付与するための表面処理を行うにあたり、後で塗工されるインキ液膜の剥離転写性に最適な表面処理を不連続に分割して行うことを特徴とする請求項1乃至12何れかに記載の印刷方法としたものである。
本発明は以上の特徴を持つことから、下記に示す効果がある。
即ち、上記請求項1又は2に係る発明によれば、巻き取りロールから供給されたインキ剥離性のフィルム基材上に、インキ液膜を塗工して設け、該インキ液膜を予備乾燥し、予備乾燥インキ膜を得た後必要な画像部パターンを凹部とした凸版を該予備乾燥インキ膜に押し当て、非画像部を該凸版の凸部に転移させ、該インキ剥離性のフィルム基材上に残された予備乾燥インキ膜による画像パターンを目的の被印刷基材表面上へ転写するため、高精細な印刷方法とすることができる。
また、上記請求項3に係る発明によれば、多色印刷の場合などの様に、複数のインキでも対応可能な、高精細な印刷方法とすることができる。
また、上記請求項4に係る発明によれば、予備乾燥インキ膜がインキ液膜の予備乾燥によって粘着性を有し、形状は保っているが常温において外力により容易に形状が変化する半乾燥状態であることで、加熱処理を施すことなく、一部パターン除去や被転写基材への転写を行うことが可能となり、インキ剥離性やフィルム基材や被転写基材の熱膨張やパターンの熱溶融による形状変化の影響の受けることの無い、精密なパターンの印刷方法とすることができる。
また、上記請求項5に係る発明によれば、インキ剥離性のフィルム基材を巻きだし装置から順次繰り出して常に新しいインキ剥離性のフィルム基材を印刷に使用することができ、安定した連続印刷性が可能な印刷方法とすることができる。
また、上記請求項6に係る発明によれば、インキ剥離性のフィルム基材が、フィルム基材上にシリコーン樹脂層を積層して設けられることで、凸版や目的の被印刷基材表面への転写性を高め、再現性の高い高精細パターンの印刷方法とすることができる。
また、上記請求項7に係る発明によれば、インキ剥離性のフィルム基材が、フィルム基材上にSiO2、TiO2、ZrO2の無機酸化膜、あるいはこれらの複合酸化物膜を設けた基材面にシランカップリング剤を介してアルキル基、シロキサン基、フッ素原子の少なくとも一種を表面に設けることによって、フィルム基材表面の平滑性を維持したままフィルム基材表面の濡れ性を低くすることが可能で、凸版や被印刷基材表面への転写性を高め、再現性の高い高精細パターンの印刷方法とすることができる。
また、上記請求項8に係る発明によれば、インキ剥離性のフィルム基材が、フィルム基材上にゾル−ゲル法により酸化物膜を設けた基材面にシランカップリング剤を介してアルキル基、シロキサン基、フッ素原子の少なくとも一種を表面に設けることによって、フィルム基材表面の平滑性を維持したままフィルム基材表面の濡れ性を効果的に低くすることが可能で、凸版や被印刷基材表面への転写性を高め、再現性の高い高精細パターンの印刷方法とすることができる。
また、上記請求項9に係る発明によれば、インキ剥離性のフィルム基材が光学的に透明な基材とすることで、インキ剥離性のフィルム基材表面に残った画像パターンやアライメントマーク越しに、被印刷基材上の画像パターンやアライメントマークを確認することができることから、転写位置を正確に合わせこむことが容易となり再現性の高い高精細パターンの印刷方法とすることができる。
また、上記請求項10に係る発明によれば、インキ剥離性のフィルム基材上に残された予備乾燥インキ膜による画像パターンを、すでに画像パターンが設けられている被印刷基材表面に転写する際に、被印刷基材と該インキ剥離性のフィルム基材とを平行に近づけ、該インキ剥離性のフィルム基材を介して、あるいは、被印刷基材と該インキ剥離性のフィルム基材との間からカメラ等の観察機器を用いて該インキ剥離性のフィルム基材上に残された画像部パターンと被印刷基材表面に設けられた画像パターンもしくは孔等のマークとの位置合わせを行うことにより、より再現性の高い高精細パターンの印刷方法とすることができる。
また、予備乾燥インキ膜を除去するための凸版として、ガラスもしくは樹脂製の版を使用すれば、高精細パターンの印刷方法とすることができる。
また、上記請求項11に係る発明によれば、インキ剥離性のフィルム基材上に、インキ液膜を塗工する際に、後の工程で予定される非画像パターンを除去する転移と、該インキ剥離性のフィルム基材上に残される画像パターンを被印刷基材表面上へ転写する処理に対応した領域ごとに、不連続に塗工することにより、インキ材料の利用効率が高く、転写処理領域ごとの設計の自由度の高い印刷方法とすることができる。
また、上記請求項12に係る発明によれば、被印刷基材表面上に複数層からなる転写パターンを、位置合わせして形成するに際して、非画像パターンを除去されたインキ剥離性のフィルム基材上から引き続き転写するように、該インキ剥離性フィルム基材上に異なる層のパターンが引き続いて形成されることにより、多層の印刷を1台の装置で連続して行うことが可能になり、装置全体の小型化、生産性の向上に有効であるばかりでなく、異なる層の間の位置合わせにも有利な印刷方法とすることができる。
また、上記請求項13に係る発明によれば、インキ剥離性のフィルム基材上に、インキ液膜を塗工することに先行して、一連の引き続く工程の中で、インキ剥離性を付与するための表面処理を行うにあたり、後で塗工されるインキ液膜の剥離転写性に最適な表面処理を不連続に分割して行うことにより、インキ剥離性処理材料の利用効率を高めるばかりでなく、異なる層のインキパターンの形成をいずれも確実にする工程マージンの大きい、高品質の印刷方法とすることができる。
従って、本発明はガラス基材あるいはプラスチック等可撓性基材、とりわけ長尺状の可撓性基材へ高精細パターンの印刷を連続に安定しておこなうことができ、ディスプレイ部材となるカラーフィルターのブラックマトリックス、ホワイトマトリックス、カラーパターン、スペーサーなどを作製することができる。また、印刷トランジスタのゲート電極、ソース/ドレイン電極、ゲート絶縁膜、有機半導体などの溶液型半導体パターンをこの印刷法にて作製することができる。さらに、高分子型有機ELの発光層のパターニングをこのような印刷法により効率良く作製することができる。
本発明に用いるインキ剥離性のフィルム基材は、プラスチック等の可撓性基材に加工し、用いることが可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ナイロン、アラミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロースなどのフィルム、シートを用いることができる。さらに光透過性の基材を用いることにより、パターンの重ね合わせ時にアライメントを容易とすることができる。これら可撓性基材は長尺の巻き取りロールで供給され、ブランケットへ加工された後使用される。
本発明に用いるインキ剥離性のフィルム基材は、上記基材へシリコーンオイル、シリコーンワニスで代表される離型剤を塗っても良いし、あるいはシリコーンゴムの薄膜層を形成してもよい。また同じ目的でフッ素系樹脂、フッ素系ゴムも利用されうるし、フッ素樹脂微粉末をシリコーンゴムあるいは、普通のゴムに混ぜて剥離性を出すなどの使い方をしてもよい。これらシリコーン系の塗膜は通常フィルム基材との密着が低いが、熱硬化または紫外線硬化性のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、最表面に設けるシリコーン層に対して、より基材との接着性の高い樹脂層を、アンカー層としてあらかじめフィルム基材上に設け、その上層に設けることもできる。
いずれも適度のインキ受容性を有すると同時に、一度受容したインキの完全なインキ剥離性を有することが望ましい。
具体的なシリコーンとしては、ジメチルポリシロキサンの各種分子量のもの、その他メチルハイドロジエンポリシロキサン、メチルフェニルシリコーンオイル、メチル塩素化フェニルシリコーンオイル、あるいはこれらポリシロキサンと有機化合物との共重合体など、変成したものを用いることができる。
シリコーンゴムとしては、二液型のジオルガノポリシロキサンと架橋剤としての三官能性以上のシラン、またはシロキサン及び硬化触媒を組み合わせたもの、あるいは一液型ではジオルガノポリシロキサンとアセトンオキシム、各種メトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等の組み合わせなどが用いられ、その他ゴム硬度を調節するためのポリシロキサンが適宜用いられる。
また、本発明に用いるインキ剥離性のフィルム基材として、上記基材に無機膜を設けた後、シランカップリング剤による表面処理を施したものを用いることもできる。
シランカップリング剤としては、トリメトキシシラン類、トリエトキシシラン類などを用いることができる。このシランカップリング剤の一部位は、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基などの有機化合物との反応性基を持つものから選ぶことができ、あるいはアルキル基やその一部にフッ素原子が置換されたものやシロキサンが結合して、表面自由エネルギーの小さな表面を形成できる置換基が結合したものを用いることができる。前者の反応性基を有するシランカップリング剤を用いる場合には、シランカップリング剤で基材表面を処理した後、所定の表面自由エネルギーになるような他のモノマー成分を塗工して、結合させることができる。反応性基を有するシランカップリング剤としては、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを用いることができ、モノマーとして、スチレン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチルプロパントリグリシジルエーテル、ラウリルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどを用いることができる。また、反応性基を有さないシランカップリング剤としてはメチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシランなどを用いることができる。但し、アルキル基に限定されるものではない。
上記シランカップリング剤を上記基材に固定化する方法としては、シランカップリング剤を使用した公知の表面処理方法を用いることができる。例えば、シランカップリング剤を水、酢酸水溶液、水−アルコール混合液、あるいはアルコール溶液に希釈させた溶液を調製する。前記溶液を公知の塗工方法であるグラビアコーター、ロールコーター、ダイコーター等を用いて基材表面に塗工し、次いで乾燥させることでシランカップリング剤を固定化できる。また、反応性基を有するシランカップリング剤を用いた場合には、次いで他のモノマー成分を同様に塗工して結合させることができる。
上記シランカップリング剤を基材上に固定化するためには、あらかじめ基材上にSiO2やTiO2、ZrO2もしくはこれらの複合膜が設けられていることが好ましい。これら無機酸化膜は既知の蒸着法やスパッタ法を用いて設けたものを用いることができる。
また、上記無機酸化膜を設ける方法として、一般式M(OR)nで表される金属アルコキシド(MはSi,Ti,Al,Zrなどの金属、RはCH3,C2H5などのアルキル基)を水、アルコールの共存下で加水分解反応および縮重合反応させて得られたゲル溶液を表面にコーティング後、加熱することで無機酸化物膜を設ける、いわゆるゾル−ゲル法を用いることができる。
さらに、上記ゾル−ゲル法で用いる金属アルコキシド溶液中にあらかじめ上記シランカップリング剤を添加しておくこともできる。この場合、表面性改質に特に効果が得られる。
このようにして得られるインキ剥離性のフィルム基材に対するインキ剥離性は、処理面へインキを滴下した際の接触角が、10°以上90°以下となるのが好ましく、より好ましくは20°以上70°以下である。この接触角が小さいと後工程でのインキ剥離性が低下してパターンの欠陥(再現性不良等)が発生しやすくなり、接触角が大きいとインキ液膜を形成する際にハジキが生じて、均一なインキ液膜を形成することが困難になる。
上記に示したインキ剥離性のフィルム基材上へインキ液膜を形成する方法としては、インキの粘度や溶媒の乾燥性によって公知の塗工方法を用いることができる。すなわち、例えばディッピング法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等が挙げられる。中でも、ダイコート、キャップコート、ロールコート、アプリケータは、広い範囲の粘度のインキについて均一なインキ液膜を形成することができ、さらにその中でも可動するインキ剥離性のフィルム基材上へ連続的に形成する場合は、ダイコートが最も効率的で好適な形成方法である。
インキ剥離性のフィルム基材上へ前記方法によりインキ液膜を形成した後に、前記インキ液膜を予備乾燥する。この予備乾燥には自然乾燥、冷風・温風乾燥、マイクロ波、減圧乾燥などを用いることができ、また、紫外線、電子線などの放射線を用いることもできる。
この予備乾燥では、前記インキ液膜の粘度またはチキソトロピー性、脆性を上げることを目的とする。予備乾燥による乾燥が不十分な場合は、後工程の凸版の凸部を押し当て剥離する際に、インキ液膜が断裂し不良が発生してしまう。逆に乾燥が行き過ぎた場合は、インキ膜表面のタック性が無くなり、前記凸版にインキが転写されない。そのため、使用するインキの組成によって乾燥状態を乾燥時間や雰囲気温度により調節するが、乾燥したインキ膜に対して0.5%から4%の溶剤の残留が認められる状態が好ましい。
いわゆるドライフィルムといわれるppmオーダーの溶剤残留量では乾燥が行き過ぎであり、インキが転写されない不具合や、版の押し付けによりインキ膜が部分的に剥離してゴミの原因になったりする不具合があるため、予備乾燥インキ膜の条件として適さない。
凸版としては、無アルカリガラス等の低膨張ガラス表面に感光性樹脂を用いてマスクパターンを形成した後、既存のドライエッチング処理やウエットエッチング処理、もしくはサンドブラスト処理を用いて、2μmから30μmの版深を設けたものを用いることができる。
また、凸版にはナイロン、アクリル、シリコーン樹脂、スチレン−ジエン共重合体などからなるものを用いることもできる。またエチレン−プロピレン系、ブチル系、ウレタン系ゴムなどのゴム製の版を用いることもできる。このような樹脂製の凸版は、すでに凸版印刷やフレキソ印刷用に用いられており、予め作製した型に所定の樹脂を流し込んで版とする、あるいは彫刻によっても作製することができるが、感光性樹脂を用いる方法がより高精度のものを作製できる。
インキ剥離性のフィルム基材上へインキ液膜を形成する場合、ダイコートなどにより連続均一に塗工する以外の方法もある。すなわち、フラットパネルディスプレイにおけるパターン形成の例に見られるように、被印刷物が枚葉ガラス基板であれ長尺状のプラスチックフィルムであれ、パターン形成単位を有しており、本発明においても、インキ剥離性のフィルム基材上に残される画像パターンを被印刷基材表面上へ連続して転写する処理に対応した領域が一単位となる。インキ剥離性のフィルム基材上で上記の各単位間をつなぐ領域はパターン形成における無効領域とされるので、インキの塗工はこの無効領域を除いて不連続に行えば、インキの使用効率が良くなる。各塗工単位ごとの膜厚を必要に応じて変更したり、基材上に存在する欠陥部分を避けて本来有効領域とする予定であった特定の領域をスキップすることも本方式により可能となるなど、工程の自由度も高くできる。
本発明の印刷方法は、被印刷基材表面上に複数層からなる転写パターンを、位置合わせして形成するに際して、特に有効である。すなわち、インキ剥離性のフィルム基材上に異なる層のパターンを引き続き形成しておき、被印刷基材表面上の特定領域にそれらの各パターンを順次重ね合わせて転写していくことにより、多層印刷膜を効率良く作製できる。
インキ剥離性のフィルム基材における剥離性付与のための表面処理は、上記の各種方法により均一処理され、予め準備したものをインキ液膜を塗工する工程以降に供することもできるが、インキ液膜の塗工に先立って、一連の引き続く工程の中で、処理しても良い。また、その際の剥離性付与のための表面処理は、後で塗工されるインキ液膜に対応して、剥離転写性に最適な表面処理を不連続に独立・分割して行うことができる。すなわち、パターン形成単位ごとの各領域において剥離性付与のための表面処理層とその後のインキ液膜の塗工層との組み合わせを自由に選んで最適化することができる。従って、剥離転写性に関係する材料間の選択範囲を広げることに役立つ。
本発明の印刷方法は、ガラスやプラスチック板などへの印刷に適用できるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ナイロン、アラミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロースなどのフィルム、シートを用いることもできる。印刷に適用するインキの乾燥条件に合わせて選定すればよく、耐熱性のものとしてはポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミドなどが好適である。また、無機フィラーを樹脂に添加して耐熱性を向上させた材料からなる基材でもよい。フィルムおよびシートは、延伸フィルムでもよく、未延伸フィルムでもよく、また、可撓性基材には必要に応じてガスバリア層や平滑化層、インキ受像層が印刷面または他の面に積層されていても良い。
インキ液膜の材料としては、画像パターン形成材料に溶媒を溶解又は分散させたものを用いることができる。例えば、カラーフィルターにおいて赤色、緑色、青色からなるカラーパターン(着色層)やブラックマトリックス等を本発明の製造方法により形成する場合、顔料成分と樹脂成分を溶媒中に溶解、分散させることによりインキとなる。
顔料には、例えば、赤、緑、青の各色で使用できる顔料として次のものが挙げられる。顔料の種類は、カラーインデックス(C.I.)No.で示す。まず、赤色顔料として、97、122、123、149、168、177、180、192、208、209、215などが、緑色顔料として7、36などが、青色顔料として、15、15:1、15:3、15:6、22、60、64などが挙げられる。墨顔料として、カーボンブラック、チタンブラックなどが挙げられる。また、これら赤、緑及び青顔料の色調整及びインキの流動性を改善するために、次に挙げる顔料を必要量添加することができる。
赤色、緑色、青色以外にも、例えば、黄顔料として、17、83、109、110、128などが、紫顔料として、19、23などが、白顔料として、18、21、27、28などが、橙顔料として、38、43などが挙げられる。顔料は、単体以外に、顔料を予め分散剤、有機溶剤に分散させた顔料分散体であっても良い。
また、ブラックマトリックスに用いられる黒色顔料としては、カーボンブラックやチタンブラックが単独又は混合して用いられる。
樹脂成分には、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂からなる群から選ばれる1つ以上のものが使用される。溶剤には、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤及び炭化水素系溶剤などが使用される。エステル系溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、アルコール系溶剤として、1−ブタノール、3メトキシ−3メチル−1ブタノール、1−ヘキサノール、1,3ブタンジオール、1−ペンタノール、2−メチル1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、エーテル系溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、炭化水素系溶剤として、ソルベッソ100、ソルベッソ150(製品名エクソン化学社製)などが挙げられる。
また、有機EL素子において有機発光層を形成する場合、例えば、ポリフェニレンビニレン(PPV)といった高分子発光材料を溶媒としてトルエンやキシレンといった芳香族系有機溶媒に溶解、分散させることによりインキとなる。また、回路基材において、配線を形成する場合、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、ロジウム等の金属微粒子分散液を水やアルコール、グリコール系溶媒に溶解、分散させることによりインキとなる。また、これらのインキには必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、レベリング剤等が添加されてもよい。なお、本発明のインキはこれらに限定されるものではない。
以下にこれら材料を用いて精密パターンの転写を実施するための最良の形態について説明する。
本実施形態に係る印刷方法は、巻き取りロール状で供給されたインキ剥離性のフィルム基材へインキ液膜を塗工し、該インキ液膜を予備乾燥した予備乾燥インキ膜に、凸部パターンが非画像パターンである凸版を押し当て、予備乾燥インキ膜の不要なパターンを版の凸部に転写除去し、該インキ剥離性のフィルム基材上に残った画像パターンを被印刷基材へ転写することを特徴とする。
次に、本発明による印刷方法を具体化する印刷装置の一例を、被印刷基材を可撓性基材とした場合として図1に示し、実際のパターニング工程に従って説明する。
印刷装置は、インキ剥離性フィルム基材巻き出し部101、インキ剥離性フィルム基材巻き取り部107、被印刷基材巻き出し部108、被印刷基材巻き取り部110等のインキ剥離性フィルム基材または、被印刷基材の搬送に関わる装置部と、塗工部102、乾燥部103、パターン除去部104、アライメント部105、印刷部106、被印刷基材乾燥部109によって構成される。
インキ剥離性フィルム基材巻き出し部101、インキ剥離性フィルム基材巻き取り部107、被印刷基材巻き出し部108、被印刷基材巻き取り部110等の搬送部は、それぞれ巻き取りロールで供給される原反を設置または、巻き取るため直径3インチから30インチの芯を装着できるマウンターを備えたシリンダーと、回転やテンションを制御してフィルム基材を搬送するためのモーターを備える。装着されるフィルム原反幅は100mm〜1000mmが選択できるが、パターンの実用性と転写位置精度を考慮し300mm幅が選択される。
また、フィルム基材のテンションの制御は、これら装置以外に搬送系にニップ部を設置して基材を保持することでも調節を行うことができる。ニップ部は、主に搬送ロールに備わったエアー吸着孔による吸着ニップが用いられる。
搬送は、各工程で必要な時間差を緩和し、フィルムの連続搬送を行うためのバッファを備えた場合、5m/sec〜10m/secの連続搬送を行うことができるが、インキ剥離性フィルム基材や被印刷基材を、工程毎に必要な長さ繰り出す方式を用いるのが好ましい。
塗工部102は、可動ステージと、可動ステージ上に設けられたインキ剥離性フィルム基材に対しインキを塗布する塗工装置が設置されている。可動ステージは、ボールねじやリニアモーター等で駆動するものを用いることができ、金属製、石製などのものを用いることができるが少なくとも水平方向に水平を保ったまま往復運動することができ、インキ剥離性フィルム基材を吸着することができる。吸着による表面の凹凸を防ぐためにフィルムのエッジ付近のみ吸着孔を設ける方法や、多孔質性材料を用いた吸着表面を用いる方法を選択することができる。
塗工装置は、連続加工や膜厚の均一性が優れるダイ方式のものについて説明するが、これに限定するものではない。ダイヘッドには、別に用意されたインキ供給用のポンプから所定量のインキを供給することができる。このダイヘッドとインキ剥離性フィルム基材とのギャップは印刷開始前に設定してもよく、また可動式ステージの搬送に合わせてダイヘッドを上下動させて調整してもよい。
乾燥部103は、上記塗工部102でインキ剥離性フィルム基材へ塗工したインキを乾燥させるために設置されるもので、ホットプレート、オーブン、温風、減圧乾燥、紫外線照射などの乾燥装置を設けてもよい。
パターン除去部104は、可動ステージに樹脂製またはガラス製の凸版が吸着により装着されており、インキ剥離性フィルム基材上のインキ塗工面を該凸版に近づけた後、可動ステージの移動とともに圧胴による荷重をかけ、凸版の凸部と接した塗工膜を凸版に転移させる。
アライメント部105は、可動性ステージと複数の顕微鏡カメラから構成されており、可動性ステージ上に吸着した被印刷基材上に、インキ剥離性フィルム基材上の予備乾燥インキ膜面を100〜250μmに近づけた後、インキ剥離性フィルム基材が透明なことを利用して、インキ剥離性フィルム基材上に得られたパターンの一部やアライメント用のマークパターンと、被印刷基材上のパターンを透過画像で認識し、それぞれの基材パターンを認識した画像を基に可動性ステージを動作させ転写位置の補正を行うことができる。
また、インキ剥離性フィルム基材と被印刷基材の間に顕微鏡カメラを挿入し、それぞれの基材上のパターンを認識した画像を基に位置の補正を行う方法も選択できる。
上記顕微鏡カメラは光学顕微鏡、CCD(Charge Coupled Device)顕微鏡のどちらであっても良いが、オートフォーカス、電気的に制御可能な手動焦点制御機構のいずれか、もしくはその両方の機能を必要とし、観察の為に外部に設置したモニターや位置補正の為の画像処理装置へのインターフェースを持つものとすることができる。
印刷部106には、前記アライメント部105に設置された可動性ステージ上に金属ローラーまたはゴムローラーが設けられる。
可動性ステージに固定された被印刷基材と、わずかな隙間をあけて設置されたインキ剥離性フィルム基材の上からローラーを押し当て、可動性ステージの移動と共にローラーを回転させながら印圧をかけ、つぎにインキ剥離性フィルム基材を被印刷基材から剥がすことにより画像部パターンを被印刷基材上へ転写することができる。
被印刷基材乾燥部109は、被印刷基材上に転写された画像パターンを乾燥させるために設置されるもので、ホットプレート、オーブン、温風、減圧乾燥、紫外線照射などの乾燥装置を設けることが可能であるが、被印刷基材の巻き取り時のブロッキングを防止する為に必要な乾燥が可能であればよく、具体的には120℃で3分から5分間の熱乾燥を行うのが良い。
次に、本発明による印刷方法を具体化する印刷装置の他の一例として、インキ剥離性フィルム基材上へのインキの塗布を不連続に分割して行う場合を図1または/および図2に示し、実際のパターニング工程に従って説明する。
印刷装置は、インキ剥離性フィルム基材巻き出し部101、インキ剥離性フィルム基材巻き取り部107、被印刷基材巻き出し部108、被印刷基材巻き取り部110等のインキ剥離性フィルム基材または、被印刷基材の搬送に関わる装置部と、塗工部102、乾燥部103、パターン除去部104、アライメント部105、印刷部106、被印刷基材乾燥部109によって構成されるのは上述の場合と同様であるが、図2ではインキ塗工部102がインキ塗工部(1)1021とインキ塗工部(2)1022という複数の塗工部から成る。
インキ塗工部102または1021および1022によるインキ剥離性フィルム基材上への塗工が不連続に分割して行われる。連続して塗工される一単位は、被印刷物で一回に処理される領域に対応する。構成される塗工部の各要素とそれらの動きは前述の説明と同じである。また、塗工部以外の他の構成要素とそれらの動きも前述の説明と同じである。
次に、本発明による印刷方法を具体化する印刷装置の他の一例として、インキ剥離性フィルム基材上へのインキの塗布に先立って、一連の引き続く工程の中で、インキ剥離性を付与するための表面処理を行うにあたり、後で塗工されるインキ液膜の剥離転写性に最適な表面処理を不連続に分割して行う場合を図3に示し、実際のパターニング工程に従って説明する。
図3において、印刷装置は、インキ剥離性フィルム基材巻き出し部101、インキ剥離性フィルム基材巻き取り部107、被印刷基材巻き出し部108、被印刷基材巻き取り部110等のインキ剥離性フィルム基材または、被印刷基材の搬送に関わる装置部と、インキ剥離層塗工部(1)81、インキ剥離層塗工部(2)82、インキ剥離層乾燥部90、インキ塗工部(1)1021、インキ塗工部(2)1022、インキ予備乾燥部103、パターン除去部104、アライメント部105、印刷部106、被印刷基材乾燥部109によって構成される。
インキ剥離層塗工部81および82によるインキ剥離性フィルム基材上への剥離処理(剥離層塗工)が不連続に分割して行われる。連続して塗工される一単位は、被印刷物で一回に処理される領域を含む領域に対応する。インキ剥離層を塗工後、インキ剥離層乾燥部90により乾燥される。次いで、インキ塗工部1021および1022により、前記81および82により塗工された剥離層の何れかの領域に選択的に不連続かつ分割して塗工する。いずれの剥離層の上にいずれのインキを塗工すべきかは材料間の剥離転写性に最適な組み合わせを選べば良いが剥離層領域からはみ出ない領域内にインキが塗布されなければならない。構成される塗工部の各要素とそれらの動きは前述のインキ塗工部の説明と同じである。また、塗工部以外の他の構成要素とそれらの動きも前述の説明と同じである。
図4にインキ剥離性フィルム上に塗り分けられたインキの状態を模式的に示す(図4(1))とともに、インキ剥離層21〜24も不連続分割塗工された場合のインキ11〜14の塗り分け状態を図4(2)に示す。4色多層に適用した場合の図であるが、色数、層数によらず、同様の処理が複数層に対して適用できる。