JP4802761B2 - 印刷物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、プラスチックフィルム、特に生産効率のよい長尺状のプラスチックフィルム等の可撓性基材上へ高精細パターンを形成した印刷物の製造方法に関するものである。印刷物としては、液晶表示装置用カラーフィルタ、有機EL素子、回路基材、薄膜トランジスタ、マイクロレンズ、バイオチップ等を例示することができる。
近年、フラットパネルディスプレイは、省エネルギ、省スペース、可搬性等の点から据え置き型、壁掛け型、携帯型の様々な用途の画像表示装置として利用されている。特に携帯型においては、携帯時に落下させても破損しないような耐衝撃性や、軽量化、薄型等の点からプラスチック化への要求がある。また、壁掛け型においても円柱状の柱へのディスプレイの設置という点から可撓性のディスプレイへの要求がある。
しかしながら、従来のフラットパネルディスプレイは、いずれもガラス基板上に製造する方法であり、プラスチック基板上に製造することは難しかった。すなわち、従来のフラットパネルディスプレイの部材の作製にはフォトリソ工程と高温での加熱工程とが含まれている。例えば液晶ディスプレイ用のカラーフィルタの製造にあたっては、感光性樹脂のパターニングにあたって、現像、洗浄、ベーキング等の工程があり、プラスチック基板の損傷や伸縮が生じてしまう。また、ディスプレイの駆動電極である薄膜トランジスタの製造工程では、シリコン半導体や絶縁膜の形成に300℃以上の高温工程を含み、プラスチック基板の耐熱性を上回っていた。更に、フォトリソ工程は、製膜、露光、現像、剥離を材料ごとに行うプロセスであり、製造設備も大掛かりとなり、製造のコストの点からも大きな課題を抱えている。
このような課題から、プラスチック上で精密なパターニングが可能な印刷方法が求められていた。そこで印刷法の一つとしてスクリーン印刷法が挙げられる。スクリーン印刷法は、電子部品における配線や抵抗体、誘電体の印刷等で実用化されている。しかしながら、孔版印刷であることからインキはペースト状の高粘度のものに限られ、また、スクリーンメッシュの精細度から数十μm程度の厚膜の印刷法としては採用できても、やはり10μm前後のパターニング法としては、採用できない。
また、他の方法としてインクジェット法が検討されている。インクジェット法は、所定の部分にのみ所定の材料をパターニングできることから材料の利用効率が高く、版も使用しないことから、最も簡便なパターニング方法として期待されている。しかしながら、現状のインクジェットのインク液滴の直径は数十μm程度であり、また着弾精度も数μm程度である。特に直線のパターニングの場合は、ノズルから複数個のインク液滴を直線状に吐出する方式のため、微視的に見ると円形のインク液滴の連続となり直線性に劣る。このような特徴から、精密なパターニングのためには、あらかじめ基板上にフォトリソ工程による隔壁等の形成が必要である。そのため、カラーフィルタのブラックマトリクスや印刷方式の薄膜トランジスタの配線等の10μm程度のパターニング方法としては、採用することができない。
一方、被印刷体にガラス基板を用いたものとして、近年新しい印刷方式が開発されてきている。すなわち、転写用平板部材上面に所定の厚さの印刷材料を塗布し、該転写用平板部材に対し印刷版を押圧して該印刷材料を印刷版側に転写し、該印刷版を被印刷体であるガラス基板に押圧して該印刷版上に転写されている前記印刷材料を該ガラス基板側に転写し、以て該ガラス基板上に印刷膜を形成する印刷方法において、前記転写用平板部材が表面に所定の深さのエッチングパターンが設けられているガラス基板より構成されている印刷装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、上記印刷方式は、被印刷体としてプラスチックフィルム、とりわけ生産効率のよい長尺状のプラスチックフィルムには適用が困難で、かつ、転写用平板部材である表面がエッチングされたガラス基板では、このガラス基板のインキの濡れ性が良く、よって印刷版へのインキの転写性(膜厚)が不安定になるので、高精細パターンの再現性が不安定になるという問題点があった。
更に、反転印刷方式という新しい印刷方式も開発されてきている。すなわち、シリンダ状のブランケットにインキ液膜を形成し、予備乾燥の後に、非画像パターンが形成されたガラス版にてブランケット上にインキの画像パターンを残し、次いでブランケット上のインキを基板上に転写する印刷方法である(例えば、特許文献2参照)。
この方法では、あらかじめインキ液膜を作製することによりインキ膜厚を調整することが容易であり、また、インキ剥離性のブランケット上に画像パターンを形成することから、基板へのインキ転写性が良好である等の特徴を持つ。また、予備乾燥を行うために薄膜での微細パターン形成が可能となる。
しかしながら、この印刷方式はシリコーンゴムまたはシリコーン樹脂からなるブランケット上でインキの予備乾燥を行うため、ブランケット表面のインキの濡れ性や転写性が不安定になるという問題点を有していた。
更にこれらの新しい印刷方式において軽視できない別の問題点としては、インキ材料の利用効率が低いことである。均一に塗布したインキ液膜から画像パターンを形成する工程を経るため、基材への転写には使用されずに無駄となる非画像パターンのインキが多く生じることになる。そのため、とりわけ有機EL用インキの様な高価なインキ材料を使用する印刷には不適な方法である。
以下に、上記先行技術文献を示す。
特開平5−138860号公報 特開2001−56405号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、、インキ材料の利用効率の高い印刷物の製造方法を提供することにある。また、プラスチックフィルムの如く可撓性基材、特に生産効率に優れる長尺状の可撓性基材に適用可能で、かつ高精細パターンの再現性に優れた印刷物の製造方法を提供することにある。
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明は、可撓性基材上にインキからなる画像パターンを印刷した印刷物の製造方法であって、ステージ上に固定されたガラス基板上に画像パターンに対応したインキ液膜を形成する工程と、該インキ液膜を予備乾燥し、該予備乾燥されたインキ液膜に凸部のパターンが非画像パターンである凸版を押し当て非画像パターンに相当する不要なインキ液膜を該凸版の凸部に転写除去する工程と、ガラス基板上に残ったインキ液膜を可撓性基材へ転写し印刷する工程とを含むことを特徴とする印刷物の製造方法としたものである。
また、請求項2の発明は、前記不要なインキ液膜を該凸版の凸部に転写し除去する工程の後に、凸版の凸部にあるインキ液膜を除去する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷物の製造方法としたものである。
また、請求項3の発明は、可撓性基材上にインキからなる画像パターンを印刷した印刷物の製造方法であって、ステージ上に固定されたガラス基板上に画像パターンに対応したインキ液膜を形成する工程と、該インキ液膜を予備乾燥し、該予備乾燥されたインキ液膜に、凸部のパターンが画像パターンである凸版を押し当て画像パターンに相当するインキ液膜を該凸版の凸部に転写する工程と、該凸版の凸部にあるインキ液膜を可撓性基材へ転写し印刷する工程とを含むことを特徴とする印刷物の製造方法としたものである。
また、請求項4の発明は、前記インキ液膜の画像パターンを該凸版の凸部に転写する工程の後に、前記ガラス基板上に残ったインキ液膜を除去する工程を有することを特徴とする請求項3に記載の印刷物の製造方法としたものである。
また、請求項5の発明は、ガラス基板上へ画像パターンに対応したインキ液膜を形成する工程が、インクジェット装置、ディスペンサのいずれかを用いてガラス基板上にインキ液膜を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の印刷物の製造方法としたものである。
また、請求項6の発明は、前記ガラス基板が、ガラス基板表面にシリコーン樹脂層を積層したものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の印刷物の製造方法としたものである。
また、請求項7の発明は、前記ガラス基板が、ガラス基板表面にシランカップリング剤によりアルキル基、シロキサン基、フッ素原子の少なくともいずれか一つを化学結合させたものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の印刷物の製造方法としたものである。
また、請求項8の発明は、前記可撓性基材の印刷面にインキ受理層が積層されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の印刷物の製造方法としたものである。
本発明は以上の構成とすることにより、下記に示す如き効果がある。
上記請求項1に係る発明によれば、ステージ上に固定されたガラス基板上に画像パターンに対応したインキ液膜を形成する工程と、該インキ液膜を予備乾燥し、該予備乾燥されたインキ液膜に凸部のパターンが非画像パターンである凸版を押し当て非画像パターンに相当する不要なインキ液膜を該凸版の凸部に転写除去する工程と、ガラス基板上に残ったインキ液膜を可撓性基材へ転写し印刷する工程とを含むことを特徴とする印刷物の製造方法とすることにより、インキの利用効率に優れた低い製造コストでの印刷物を製造することが可能となった。また、可撓性基材、とりわけ長尺状の可撓性基材に対し、高精細印刷を行うことが可能となり、高精細なパターンを有する印刷物を製造することが可能となった。
また、上記請求項2に係る発明によれば、前記不要なインキ液膜を該凸版の凸部に転写し除去する工程の後に、凸版の凸部に残ったインキ液膜を除去する工程を有することによって、次々と連続して印刷するに際して凸版の凸部上にインキが堆積することがないため、連続して高精細な印刷物を製造することが可能となった。凸版の凸部上のインキ液膜を除去しないと、連続印刷した際に凸部上にインキ液膜が堆積し、印刷の再現性を不安定にしてしまう。
上記請求項3に係る発明によれば、請求項1と同様に、ステージ上に固定されたガラス基板上に画像パターンに対応したインキ液膜を形成する工程と、該インキ液膜を予備乾燥し、該予備乾燥されたインキ液膜に、凸部のパターンが画像パターンである凸版を押し当て画像パターンに相当するインキ液膜を該凸版の凸部に転写する工程と、該凸版の凸部にあるインキ液膜を可撓性基材へ転写し印刷する工程とを含むことを特徴とする印刷物の製造方法とすることにより、インキの利用効率に優れた低い製造コストでの印刷物を製造することが可能となった。また、可撓性基材、とりわけ長尺状の可撓性基材に対し、高精細印刷を行うことが可能となり、高精細なパターンを有する印刷物を製造することが可能となった。
また、上記請求項4に係る発明によれば、請求項2と同様、前記インキ液膜の画像パターンを該凸版の凸部に転写する工程の後に、前記ガラス基板上に残ったインキ液膜を除去する工程を有することによって、次々と連続して印刷するに際してガラス基板上にインキが堆積することがないため、連続して高精細な印刷物を製造することが可能となった。ガラス基板上のインキ液膜を除去しないと、連続印刷した際にガラス基板上にインキ液膜が堆積し、印刷の再現性を不安定にしてしまう。
また、上記請求項5に係る発明によれば、ガラス基板上へ画像パターンに対応したインキ液膜を形成する工程が、インクジェット装置、ディスペンサのいずれかを用いてガラス基板上にインキ液膜を形成することによって、容易にガラス基板上へ画像パターンに対応したインキ液膜を形成することが可能となった。
また、上記請求項6に係る発明によれば、前記ガラス基板が、ガラス基板表面にシリコーン樹脂層を積層したものであることによって、ガラス基板表面のインキの濡れ性が悪くなり、よって凸版の凸部へのインキ液膜の転写性が良くなり、転写されたインキ液膜の厚みが安定するので、高精細なパターンを有する印刷物を得ることが可能となった。
また、上記請求項7に係る発明によれば、前記ガラス基板が、ガラス基板表面にシランカップリング剤によりアルキル基、シロキサン基、フッ素原子の少なくともいずれか一つを化学結合させたものであることによって、請求項6と同様、ガラス基板表面のインキの濡れ性が悪くなり、よって凸版の凸部へのインキ液膜の転写性が良くなり、転写されたインキ液膜の厚みが安定するので、高精細なパターンを有する印刷物を得ることが可能となった。
また、上記請求項8に係る発明によれば、前記可撓性基材の印刷面にインキ受理層が積層されていることによって、インキ液膜の可撓性基材への転写性がインキ受理性に優れるインキ受理層で向上することにより、高精細なパターンを有する印刷物を得ることが可能となった。
従って本発明は、プラスチックフィルム等可撓性基材、とりわけ長尺状の可撓性基材へ高精細パターンの薄膜印刷を安定して行うことができ、また、無駄となるインキの使用量を抑えてインキ材料の利用効率の高い印刷を行うことができた。本発明により、カラーフィルタのカラーパターン、ブラックマトリクス、ホワイトマトリクス、スペーサ等を高効率の印刷法にて作製することができる。また、本発明により、印刷トランジスタのゲート電極、ソース/ドレイン電極、ゲート絶縁膜、有機半導体材料等の溶液型半導体パターンをこの製造方法にて作製することができる。更にまた、有機EL素子の有機発光層のパターニングを本発明の製造方法により効率良く作製することができる。
本発明に用いられる可撓性基材としては、ガラスやプラスチック板等のように可撓性を有さないもの以外であれば公知のプラスチック材料を使用することができる。具体的には、印刷に適用するインキの乾燥温度に合わせて選定すればよく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ナイロン、アラミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロース等のフィルムやシートを用いることができる。中でも、耐熱性のポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド等が好適である。また、無機フィラーを上記樹脂に添加して耐熱性を向上させた材料から成る基材でも良い。フィルムおよびシートは、延伸でも未延伸でも良い。また、可撓性基材には必要に応じてガスバリア層、平滑化層、すべり層が印刷面または他の面に積層されていても良い。
また、可撓性基材上には被印刷面に対しインキ受理層を形成してもよい。インキ受理層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、アセタール系樹脂等の樹脂成分に、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、珪酸塩、珪酸カルシウム、ポリスチレン等のフィラー成分を添加した材料、或いは、ウレタン系樹脂を主体としたエマルジョン、ゼラチン、硬膜剤等で構成される材料を用いることができる。インキ受理層を設けることにより、インキが可撓性基材に容易に転写、印刷することが可能となる。
可撓性基材上へインキ受理層を形成する方法としては、スピンコート法、ダイコート法、キャップコート法、ロールコート法、アプリケータ法、スプレーコート法、ディスペンサ等を用いた後、乾燥する方法を用いることができる。
インキ液膜の材料としては、画像パターン形成材料に溶媒を溶解又は分散させたものを用いることができる。例えば、カラーフィルタにおいて赤色、緑色、青色からなるカラーパターン(着色層)やブラックマトリックス等を本発明の製造方法により形成する場合、顔料成分と樹脂成分を溶媒中に溶解、分散させることによりインキとなる。
顔料には、例えば、赤、緑、青の各色で使用できる顔料として次のものが挙げられる。顔料の種類は、カラーインデックス(C.I.)No.で示す。まず、赤色顔料として、97、122、123、149、168、177、180、192、208、209、215などが、緑色顔料として7、36などが、青色顔料として、15、15:1、15:3、15:6、22、60、64などが挙げられる。墨顔料として、カーボンブラック、チタンブラックなどが挙げられる。また、これら赤、緑及び青顔料の色調整及びインキの流動性を改善するために、次に挙げる顔料を必要量添加することができる。
赤色、緑色、青色以外にも、例えば、黄顔料として、17、83、109、110、128などが、紫顔料として、19、23などが、白顔料として、18、21、27、28などが、橙顔料として、38、43などが挙げられる。顔料は、単体以外に、顔料を予め分散剤、有機溶剤に分散させた顔料分散体であっても良い。
また、ブラックマトリックスに用いられる黒色顔料としては、カーボンブラックやチタンブラックが単独又は混合して用いられる。
樹脂成分には、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂からなる群から選ばれる1つ以上のものが使用される。溶剤には、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤及び炭化水素系溶剤などが使用される。エステル系溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、アルコール系溶剤として、1-ブタノール、3メトキシー3メチルー1ブタノール、1-ヘキサノール、1,3ブタンジオール、1-ペンタノール、2-メチル1-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、エーテル系溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、炭化水素系溶剤として、ソルベッソ100、ソルベッソ150(商品名 エクソン化学(株)製)などが挙げられる。
また、有機EL素子において有機発光層を形成する場合、例えば、ポリフェニレンビニレン(PPV)といった高分子発光材料を溶媒としてトルエンやキシレンといった芳香族系有機溶媒に溶解、分散させることによりインキとなる。また、回路基材において、配線を形成する場合、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、ロジウム等の金属微粒子分散液を水やアルコール、グリコール系溶媒に溶解、分散させることによりインキとなる。また、これらのインキには必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、レベリング剤等が添加されてもよい。なお、本発明のインキはこれらに限定されるものではない。
本発明の印刷法は、ステージ上に固定されたガラス基板上に画像パターンに対応したインキ液膜を作製し、該インキ液膜を予備乾燥し、凸版の凸部にインキ液膜を転写する工程までは同一であるが、その後の転写工程は異なる二つの印刷方法である。該予備乾燥されたインキ液膜に、凸部パターンが非画像パターンを有する凸版を押し当て、前記予備乾燥されたインキ液膜を凸版の凸部に転写除去し、前記転写除去工程を経て該インキ剥離性のガラス基板上に残ったインキ液膜の画像パターンを可撓性基材へ転写、印刷する印刷方法(反転印刷方式)と、該予備乾燥されたインキ液膜に、凸部パターンが画像パターンでをある凸版を押し当て、前記予備乾燥されたインキ液膜を該凸版の凸部に転写し、該凸版の凸部に転写されたインキ液膜を可撓性基材へ転写、印刷する印刷方法(フレキソ印刷方式)である。以下にこれらを実施するための最良の形態について具体的に説明する。
(第一の実施の形態)
本実施形態に係る印刷方法はステージ上に固定されたガラス基板上へ概ね所望の画像パターンにパターニングしたインキ液膜を作製し、該インキ液膜を予備乾燥し、該予備乾燥されたインキ液膜に、凸部パターンが非画像パターンである凸版を押し当て、前記予備乾燥されたインキ液膜のうち不要なインキ液膜を凸版の凸部に転写除去し、前記転写除去工程を経て該ガラス基板上に残ったインキ液膜の画像パターンを可撓性基材へ転写する反転印刷方式であることを特徴とする。本実施形態の印刷方法の例を、図1を基に説明する。
本発明に用いられるガラス基板1は、インキの剥離性の向上を目的として、インキ剥離性表面2を有していても良い。ガラス基板は、清浄な面であれば一般に表面エネルギが大きく、各種のインキが濡れ易いが、逆に後の工程でのインキ離れが不良となる。そこで、印刷に用いるインキに応じてガラス基板1上にインキ剥離性表面2を形成する。ガラス基板1上にインキ剥離性表面2を形成する方法について説明する。(図1(a))
インキ剥離性表面2の材料としては、通常のオフセット印刷等で使用するブランケット材料であるシリコーン樹脂を用いることができる。シリコーン樹脂層の厚みは、500μm以下、好ましくは100μm以下、更に好ましくは10μm以下とする。シリコーン樹脂層の厚さが500μmを超えると、基板となるガラスの平坦性が損なわれて印圧のムラが生じ易く、また、インキ成分の溶媒や樹脂分がシリコーン樹脂層に過度に浸透する。シリコーン樹脂層に浸透したインキ成分の溶媒や樹脂分が、印刷条件を変化させる。より安定な印刷を行うためには、シリコーン樹脂層に浸透したインキ成分の溶媒や樹脂分の影響を少なくする必要が有り、シリコーン樹脂層の厚さは500μm以下にすることが好適である。
また、インキ剥離性表面2の材料としては、シランカップリング剤を用いることもできる。シランカップリング剤の例としては、ガラス基板と反応できるトリメトキシシラン類、トリエトキシシラン類等が挙げられる。
シランカップリング剤の一部位としては、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基等の有機化合物との反応性基を選ぶことができる。あるいは、アルキル基や、その一部にフッ素原子が置換された基や、シロキサンが結合して、表面エネルギの小さな表面を形成できる置換基が結合したものを選ぶことができる。前者の反応性基を有するシランカップリング剤を用いる場合には、シランカップリング剤でガラス基板の表面を処理した後、所定の表面自由エネルギになるように他のモノマー成分を塗工し結合させても良い。反応性基を有するシランカップリング剤としては、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を用いることができ、モノマーとしては、スチレン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチルプロパントリグリシジルエーテル、ラウリルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を用いることができる。また、反応性基を有さないシランカップリング剤としてはメチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン等を用いることができる。但し、アルキル基に限定されるものではない。
これにより分子レベルの膜厚のインキ剥離性表面2を作製することができ、ガラス基板の平面性を保てることと、インキ成分の浸透が実質的にない、あるいは、瞬時に飽和状態に達することができ、安定した印刷を行うことができる。
シランカップリング剤をガラス基板1に固定化する方法としては、シランカップリング剤を使用した公知のガラス表面処理方法を用いればよい。例えば、シランカップリング剤を水、酢酸水、水−アルコール混合液、或いは、アルコール溶液に希釈させた溶液を、スピンコート法、ロールコート法、アプリケータ法等を用いてガラス表面に塗工、乾燥する方法を用いることができる。また、反応性基を有するシランカップリング剤を用いた場合には、次いで他のモノマー成分を同様に塗工して結合させることができる。
ガラス基板1若しくはインキ剥離性表面2の濡れ性は、インキ剥離性表面2上へインキを滴下した際の接触角が、10°以上90°以下にするのが好ましく、より好ましくは20°以上70°以下である。接触角が小さいと、表面からのインキ液膜30の剥離性が低下してパターンの欠陥(再現性不良等)が発生し易くなり、接触角が大きいとインキ液膜を形成する際にハジキが生じて、均一なインキ液膜を形成することが困難になる。
次に、インキ剥離性表面2上に画像パターンに対応したインキ液膜30を形成する(図1(b))。このとき、インキ液膜は、概ね画像パターンに対応したパターンを有していれば良いが、所望の画像パターンと比較してパターンサイズが大きく形成されている必要がある。これは、インキ液膜のパターニングは次工程の凸部が非画像パターンである凸版をガラス基板に押し当てることによって、非画像パターンに相当する不要なインキ液膜の除去が行われるからである。なお、インキ液膜は、予備乾燥後に所望の画像パターンと比較してパターンサイズが大きく形成されていれば良い。インキ液膜はガラス基板上で濡れ広がることもあるため、インキをガラス基板に供給するときには、インキ液膜は画像パターンよりも小さいサイズでガラス基板に供給されていても良い。
インキ剥離性表面2上へ画像パターンに対応したインキ液膜30を形成する方法としては、インクジェット装置、ディスペンサを用いることができる。図1の塗工部は例としてインクジェットの装置を示しており、以降インクジェット装置として説明するが、これに限定されるものではない。インクジェット装置は公知のものを使用できるが、インクジェットヘッドの方式は、サーマル方式・バブル方式,静電アクチュエータ方式,ピエゾ方式等のいずれでもよい。また、インクジェット装置以外にはディスペンサを用いることができる。ディスペンサは、内部にインキが充填されたインキシリンダーと印刷用インキを吐出する吐出口とから概略構成されており、公知のものを使用できる。エアパルス方式、スクリュー方式、ジェット方式、プランジャバルブ方式等のいずれの方式のディスペンサも使用できる。
なお、スピンコート法、ダイコート法等を使用して均一なインキ液膜をインキ剥離性ガラス基板全面に塗布した場合と比較して、前記概ね所望の画像パターンにパターニングしたインキ液膜を作製する本方法の場合は、後工程で不必要となる無駄なインキの使用量を抑えてインキ材料の利用効率の高い可撓性基材への印刷を行うことができる。
インキ液膜は、ガラス基板上で予備乾燥される。予備乾燥する方法としては、自然乾燥法、冷風・温風乾燥法、マイクロ波乾燥法、減圧乾燥法、および、紫外線や電子線等の放射線乾燥法等を用いることができる。
この予備乾燥では、前記インキ液膜30の粘度またはチキソトロピー性、脆性を挙げることを目的とするもので、インキ液膜の完全乾燥はさせない。乾燥が不十分な場合は、後工程の凸版の凸部を押し当て剥離する際に、インキ液膜が断裂し不良が発生し、逆に乾燥が行過ぎた場合は、前記凸版23上にインキ液膜30が転写していかない。そのため使用するインキの組成によって乾燥状態を調整する。
次に、非画像パターンを有する凸版23を概ね所望の画像パターンにパターニングしたインキ液膜30に接触させて、完全に所望の画像パターンをインキ剥離性ガラス基板上に形成するように、インキ液膜30から一部不要な非画像パターン33に相当するインキ液膜を凸版23の凸部に転写除去することにより、画像パターン31をインキ剥離性表面2上へ形成する。(図1(c))
凸版23としては、ナイロン、アクリル、シリコーン樹脂、スチレン−ジエン共重合体といった樹脂材料、および、エチレンプロピレン系、ブチル系、ウレタン系のゴム等のゴム材料から成る凸版印刷やフレキソ印刷用の樹脂製の凸版を用いることができる。
凸版23の製造方法としては、型に樹脂を流し込む方法、彫刻する方法等を用いることができる。また感光性樹脂を用い、フォトリソグラフィー法により凸部を形成することにより高精度のものが作製できる。凸版23は円筒状の版胴22に装着され、使用される。
次に、前記転写除去工程を経て該インキ剥離性のガラス基板上に残ったインキ液膜の画像パターン31をバックロール26で押圧することにより、可撓性基材5へ転写して印刷パターン32を印刷する。(図1(d))
本実施形態において、凸版23から非画像パターン33(残留インキ)を粘着性基材によって除去する例を、図1(d)(e)を基に説明する。なお、残留インキを溶剤で洗浄する方法等を用いてもよい。
まず、凸版23上の非画像パターン33を粘着性基材25と接触させる。(図1(d))
粘着性基材25の材料としては、アクリル系、オレフィン系、ポリウレタン系、シリコーン系、合成ゴム系等からなる粘着性シートを用いることができる。
非画像パターン33を粘着性基材25と接触させる方法としては、粘着性基材25に非画像パターン33を残留インキ除去用ロール24で押圧する方法を用いることができる。
最後に、凸版23から粘着性基材25を離すことにより、凸版23から非画像パターン33(残留インキ)を除去する。(図1(e))
凸版23から粘着性基材25を離す方法としては、残留インキ除去用ロール24を凸版23から離す方法を用いることができる。
次に、本発明による印刷装置の例を、図1を基に説明する。
印刷装置には、ステージ20、インクジェット装置21、凸版23、凸版23を固定するための版胴22、残留インキ除去用ロール24、バックロール26、インキ剥離性表面2を有するガラス基板1が配設される。
ステージ20は、可動する必要があり、ボールネジやリニアモータ等で駆動するものを用いることができ、金属製、石製等のものがある。また、ステージ20は、少なくとも水平方向に水平を保ったまま往復運動することができ、このステージ20には、ガラス基板1を固定する。
インクジェット装置21とインキ剥離性表面2との距離は印刷開始前に設定する。
ステージ20の搬送により、インキ剥離性表面2がインクジェット装置21の下に達した時に塗工部のインクジェットヘッドからインキの吐出を開始して、インキ剥離性表面2上に概ね所望のパターンにパターニングしたインキ液膜30を形成する。
インキ剥離性表面2は、凸版が装着された版胴22の方向に搬送されるが、途中にオーブン、温風送風機、減圧乾燥機、紫外線照射機等の乾燥機を設けてもよい。
版胴22には凸版23を固定する。版胴22には、ステージ20の搬送状態に合わせて、上下動させる機構を設けても良い。
ステージ20の搬送に合わせて版胴22を回転させ、版胴22に固定された凸版23の凸部と接した概ね所望の画像パターンにパターニングしたインキ液膜30の非画像パターン33が、凸版23の凸部に転写する。
可撓性基材5は、バックロール26によって、画像パターン31に接触することができる。このバックロール26の回転により、インキ剥離性表面2上に形成された画像パターン31が可撓性基材5上に転写されて、印刷パターン32を得ることができる。
次に、凸版23に付着した非画像パターン33を除去する装置の一例を、図1を基に説明する。
残留インキ除去用ロール24は、粘着性基材25を介して凸版23と接しており、残留インキ除去用ロール24の回転により、凸版23上の非画像パターン33が粘着テープ等からなる粘着性基材25に転写して、凸版23から非画像パターン33を除去することができる。
(第二の実施の形態)
本実施形態に係る印刷方法は該予備乾燥された概ね所望の画像パターンにパターニングしたインキ液膜に、凸部のパターンが画像パターンである凸版の凸部を押し当て、前記予備乾燥されたインキ液膜を凸版の凸部に転写し、該凸版の凸部に転写されたインキ液膜を可撓性基材へ転写することを特徴とする。それ以外は第一の実施の形態と同じである。
本実施形態の印刷方法の例を、図2を基に説明する。図1と同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。
先ず、図1(a)の工程と同様にインキ剥離性ガラス基板として、ガラス基板1上にインキ剥離性表面2を形成する。(図2(a))
次に、インキ剥離性表面2上に概ね所望の画像パターンにパターニングしたインキ液膜30を形成し、予備乾燥する(図2(b))。このとき、インキ液膜は、概ね画像パターンに対応したパターンを有していれば良いが、所望の画像パターンと比較してパターンサイズが大きく形成されている必要がある。これは、インキ液膜のパターニングは次工程の凸部が画像パターンである凸版をガラス基板に押し当てることによっておこなわれるからである。なお、インキ液膜は、予備乾燥後に所望の画像パターンと比較してパターンサイズが大きく形成されていれば良い。
次に、予備乾燥した概ね所望の画像パターンにパターニングしたインキ液膜30に画像パターンを有する凸版23を接触させて転写し、所望の画像パターン31を凸版23の凸部上へ形成する。(図2(c))
最終的に、凸版23の凸部上へ形成された画像パターン31をバックロール26で押圧することにより、可撓性基材5へ転写して印刷パターン32を印刷する。(図2(d))
本実施形態において、インキ剥離性表面2から非画像パターン33(残留インキ)を除去する例を、図2(d)(e)を基に説明する。
まず、インキ剥離性表面2上の非画像パターン33を粘着性基材25と接触させる。(図2(d))
非画像パターン33を粘着性基材25と接触させる方法としては、粘着性基材25に非画像パターン33を残留インキ除去用ロール24で押圧する方法を用いることができる。
最後に、インキ剥離性表面2から粘着性基材25を離すことにより、インキ剥離性表面2から非画像パターン33(残留インキ)を除去する。(図2(e))
次に、本実施形態の印刷装置の例を、図2を基に説明する。
印刷装置には、ステージ20、インクジェット装置21、凸版23、凸版23を固定するための版胴22、残留インキ除去用ロール24、バックロール26、インキ剥離性表面2を有するガラス基板1が配設される。
ステージ20の搬送により、インキ剥離性表面2がインクジェット装置21の下に達した時に塗工部インクジェットヘッドからインキの吐出を開始して、インキ剥離性表面2上に概ね所望の画像パターンにパターニングしたインキ液膜30を形成する。
ステージ20の搬送に合わせて版胴22を回転させ、版胴22に固定された凸版23の凸部をインキ液膜30に押し当てることにより、画像パターン31に相当するインキ液膜が、凸版23の凸部に転写される。
可撓性基材5は、版胴22に固定された凸版23とそれに接するバックロール26との間に挟持されており、バックロール26の押圧によって画像パターン31に接触することができる。このバックロール26の回転により、凸版23の凸部上に形成されたインキ液膜31が可撓性基材5上に転写されて、印刷パターン32を得ることができる。
次に、インキ剥離性表面2に付着した非画像パターン33を除去する装置の一例を、図2を基に説明する。
残留インキ除去用バックロール24は、粘着テープ等からなる粘着性基材25をインキ剥離性表面2上の非画像パターン33へ押圧することができる。この残留インキ除去用ロール24の回転により、インキ剥離性表面2上の非画像パターン33が粘着性基材25上に転写されて、インキ剥離性表面2から非画像パターン33を除去することができる。
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
図1に示す印刷工程図の要領でカラーフィルタ用赤色インキを使用してポリエチレンナフタレート(PEN)基材(帝人デュポン社製)への印刷を行った。
上記カラーフィルタ用赤色インキは次の要領で調製した。まず、下記の組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmメッシュフィルタで濾過して赤色顔料の分散体を作製した。
・C.I.Pigment Red 254 (チバ スペシャルティ ケミカルズ社製
イルガフォーレッド B−CFJ) 18重量部
・C.I.Pigment Red 177 (チバ スペシャルティ ケミカルズ社製 クロモフタールレッド A2BJ) 2重量部
・アクリルワニス(固形分20%) 108重量部
次に、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmメッシュフィルタで濾過してカラーフィルタ用赤色インキを得た。
・上記赤色顔料の分散体 100重量部
・メチル化メチロールメラミン:MW−30(三洋化成社製) 20重量部
・レベリング剤:メガファックF−483SF(大日本インキ化学工業社製)1重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 85重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45重量部
インキ剥離性のガラス基板は次の要領で表面を処理した。厚さ700μmのガラス基板上に、n−ヘキシルトリメトキシシランをイソプロピルアルコールに溶解させた溶液を、スピンコート法を用いて塗布した後、120℃で乾燥し、インキ剥離性表面を形成した。
次に、インキ剥離性のガラス基板上に、カラーフィルタ用赤色インキをインクジェット装置を用いて概ね所望の画像パターンにパターニングした後、25℃で予備乾燥してカラーフィルタ用赤色インキ液膜を形成した。
次に、非画像パターンを有するフレキソ版(東洋紡績社製)の凸部をインキ液膜に接触させた後に離すことにより、インキ剥離性のガラス基板上に画像パターンを形成した。
最後に、インキ剥離性のガラス基板上の画像パターンにPEN(ポリエチレンナフタレート)(帝人デュポン社製)を接触させ、PEN基材上に画像パターンを形成した。
図2に示す印刷工程図の要領で導電性インキを使用して、インキ受理層を積層したポリエチレンテレフタレート(PET)基材への印刷を行った。
厚さ700μmのガラス基板上に、ドデシルトリメトキシシランをイソプロピルアルコールに溶解させた溶液を、スピンコート法を用いて塗布した後、120℃で乾燥し、インキ剥離性表面を形成した。
次に、インキ剥離性のガラス基板上に、銀粒子水分散液(平均粒径20nm)からなる導電性インキをインクジェット装置を用いて概ね所望の画像パターンにパターニングした後、60℃で予備乾燥してインキ液膜を形成した。
次に、画像パターンを有するフレキソ版(東洋紡績社製)の凸部をインキ液膜に接触させた後に離すことにより、フレキソ版の凸部上に画像パターンを形成した。
次に、PET上へアクリル系水系エマルジョン材料をバーコーターで塗布後、60℃で乾燥してインキ受理層を積層した。
最後に、フレキソ版の凸部上の画像パターンにPETを接触させ、インキ受理層を積層したPET基材上に画像パターンを形成した。
上記実施例1および実施例2では、優れた再現性を有する高精細パターンを安定して印刷できた。
本発明の印刷物の製造方法は、プラスチックフィルム等可撓性基材、とりわけ長尺状の可撓性基材へ高精細パターンの薄膜印刷を安定して行うことができるので、カラーパターン、ブラックマトリクス、ホワイトマトリクス、スペーサ等のカラーフィルタ部材、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、ゲート絶縁膜、有機半導体材料等のトランジスタ部材、有機発光層等の有機EL素子の製造に利用できる。
本発明の第一の実施形態の印刷物の製造方法および印刷装置の一例を説明するための断面図である。 本発明の第二の実施形態の印刷物の製造方法および印刷装置の一例を説明するための断面図である。
符号の説明
1・・・・ガラス基板
2・・・・インキ剥離性表面
5・・・・可撓性基材
20・・・ステージ
21・・・インクジェット装置
22・・・版胴
23・・・凸版
24・・・残留インキ除去用ロール
25・・・粘着性基材
26・・・バックロール
30・・・画像パターンに対応したインキ液膜
31・・・画像パターン
32・・・印刷パターン(可撓性基材上)
33・・・非画像パターン

Claims (8)

  1. 可撓性基材上にインキからなる画像パターンを印刷した印刷物の製造方法であって、
    ステージ上に固定されたガラス基板上に画像パターンに対応したインキ液膜を形成する工程と、
    該インキ液膜を予備乾燥し、該予備乾燥されたインキ液膜に凸部のパターンが非画像パターンである凸版を押し当て非画像パターンに相当する不要なインキ液膜を該凸版の凸部に転写除去する工程と、
    ガラス基板上に残ったインキ液膜を可撓性基材へ転写し印刷する工程とを含むことを特徴とする印刷物の製造方法。
  2. 前記不要なインキ液膜を該凸版の凸部に転写し除去する工程の後に、凸版の凸部にあるインキ液膜を除去する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷物の製造方法。
  3. 可撓性基材上にインキからなる画像パターンを印刷した印刷物の製造方法であって、
    ステージ上に固定されたガラス基板上に画像パターンに対応したインキ液膜を形成する工程と、
    該インキ液膜を予備乾燥し、該予備乾燥されたインキ液膜に、凸部のパターンが画像パターンである凸版を押し当て画像パターンに相当するインキ液膜を該凸版の凸部に転写する工程と、
    該凸版の凸部にあるインキ液膜を可撓性基材へ転写し印刷する工程とを含むことを特徴とする印刷物の製造方法。
  4. 前記インキ液膜の画像パターンを該凸版の凸部に転写する工程の後に、前記ガラス基板上に残ったインキ液膜を除去する工程を有することを特徴とする請求項3に記載の印刷物の製造方法。
  5. ガラス基板上へ画像パターンに対応したインキ液膜を形成する工程が、インクジェット装置、ディスペンサのいずれかを用いてガラス基板上にインキ液膜を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
  6. 前記ガラス基板が、ガラス基板表面にシリコーン樹脂層を積層したものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
  7. 前記ガラス基板が、ガラス基板表面にシランカップリング剤によりアルキル基、シロキサン基、フッ素原子の少なくともいずれか一つを化学結合させたものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
  8. 前記可撓性基材の印刷面にインキ受理層が積層されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
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