JP2004001465A - パターン部材の製造方法及び製造装置 - Google Patents

パターン部材の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基板上に複数種類の異なる材料をパターン状に形成するパターン部材の製造において、生産性及び製品品質のいずれをも向上させる。
【解決手段】基板B上に赤、緑、青及び絶縁層をパターン状に形成するパターン部材の製造方法。赤、緑、青及び絶縁層のパターンが形成されているそれぞれの版22上に、赤、緑、青及び絶縁層材料を塗布する工程と、この材料を塗布した版22を乾燥する工程と、基板Bにそれぞれの版22のうち1つの版を、パターンが基板Bに接触するように重ね合わせ位置調整し、基板B及び/又は版22の裏面より押圧することによりパターンを基板Bに転写する操作を複数種類分繰り返して、基板B上に赤、緑、青及び絶縁層をパターン状に形成する工程と、を有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はパターン部材の製造方法及び製造装置に係り、特に、液晶表示素子のカラーフィルタ、有機EL素子用画素等の電子ディスプレイ用途に好適に使用されるパターン部材の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液晶表示素子のカラーフィルタ、有機EL素子用画素等の電子ディスプレイ用材料として、ガラス基板、シート基材、フィルム等の面に、たとえば、赤(R)、緑(G)、青(B)等の単色又は3色の微細(μmレベル)なストライプ状又はマトリックス状のパターンを形成したパターン部材が使用されている。
【0003】
このようなパターン部材の製造方法として、これまで各種の方法が提案、採用されている。たとえば、フォトリソグラフィー、顔料分散法、電着法、印刷法等が挙げられる。これらの製造方法は、一長一短あり、各社において最適と判断される製造方法が採用されているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のパターン部材の製造方法では、品質(パターン精度)面とコスト面との両方を満足させることが困難であるのが現状である。
【0005】
すなわち、フォトリソグラフィー、蒸着法等(たとえば、特開2000−36385号公報、特開平9−204984号公報参照)では、装置が複雑であるうえに、連続可撓性支持体への加工に不適であり量産に不向きである。
【0006】
グラビヤオフセット印刷法(たとえば、特開昭62−85202号公報参照)では、転写の際にパターン形状が乱れ、高精度(数十μmレベル)の加工が困難であるという問題がある。
【0007】
インクジェット方式(たとえば、特開平10−153967号公報参照)では、隔壁を必要とするため、開口率が小さくなるという問題があるうえに、有機の層を多層化するのが困難であるという問題がある。
【0008】
転写方式(たとえば、特開2000−246866号公報参照)は、フィルム上に形成されたパターンをガラス基板等へ転写する技術であるが、パターンを連続するフィルム状の基板等へ転写することには対応できない。
【0009】
他の態様の転写方式(たとえば、特開平8−171008号公報参照)としては、パターンを連続するフィルム状の基板等へ転写する技術が挙げられるが、これは版面に着色固化膜を転写した後にフィルム状の基板等へ転写する方式であり、転写を繰り返す必要がある。したがって、歩留りの低下、パターンの密着力のばらつき、等の問題点を生じる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、基板上に複数種類の異なる材料をパターン状に形成するパターン部材の製造において、生産性及び製品品質(パターン精度)のいずれをも向上させることができる製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、基板上に複数種類の異なる材料をパターン状に形成するパターン部材の製造方法において、それぞれの異なる材料用のパターンが形成されているそれぞれの版上に、該異なる材料を塗布する工程と、前記材料を塗布した版を乾燥する工程と、前記基板に、前記それぞれの版のうち1つの版を、前記パターンが基板に接触するように重ね合わせ位置調整し、前記基板及び/又は前記版の裏面より押圧することにより前記パターンを前記基板に転写する操作を前記複数種類分繰り返して、前記基板上に前記複数種類の異なる材料をパターン状に形成する工程と、を有することを特徴とするパターン部材の製造方法、及びこれに使用される製造装置を提供する。
【0012】
本発明によれば、それぞれ異なる材料、たとえば、赤(R)、緑(G)、青(B)の色彩用のパターンが形成されているそれぞれの版上に、この異なる材料(R、G、B)をパターン状に塗布し、このそれぞれの版を乾燥した後、製品となる基板に、これらの版のうち1つの版を、パターンが基板に接触するように重ね合わせ位置調整し、基板及び/又は版の裏面より押圧することによりパターン状材料を基板に転写できる。そして、これを各材料(R、G、B)毎に繰り返すことにより、パターン部材(たとえば、有機EL素子、液晶表示素子のカラーフィルタ)を形成できる。
【0013】
したがって、本発明の上記方法により、基板上に複数種類の異なる材料をパターン状に形成するパターン部材の製造において、生産性及び製品品質(パターン精度)のいずれをも向上させることができる。
【0014】
本発明において、前記版に形成されている材料用のパターンは、凸版よりなることが好ましい。このような凸版であれば、材料が容易確実に所定パターン状に版上に形成できるからである。
【0015】
ただし、この「それぞれの異なる材料用のパターンが形成されている版」は、必ずしも凸版に限られず、PS版等の平版であってもよい。材料用のパターンが形成されており、コート手段により材料を版に塗布する際に、この材料がこの所定パターン状に版上に形成できればよいからである。
【0016】
また、本発明において、前記基板は帯状可撓性支持体であることが好ましい。このように、基板が帯状可撓性支持体(たとえば、フレキシブルフィルム)であれば、基板の搬送が容易であり、生産性に優れる。また、基板が帯状可撓性支持体であれば、有機EL等の各種用途への適用が可能だからである。
【0017】
また、本発明において、前記パターン状材料を前記基板に転写した後に、前記版を洗浄、乾燥することにより該版を繰り返し使用可能とすることが好ましい。版を繰り返し使用できれば、設備費用等が低減できるうえに、版等の在庫スペース等も縮小でき、生産設備面でも望ましいからである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係るパターン部材の製造方法及び製造装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0019】
図1に、本発明のパターン部材の製造方法のプロセスフローが一例として示される。また、図2〜図4に、本発明のパターン部材の製造装置の概要が示される。図2は、パターン部材の製造装置10のレイアウトを示す平面図である。このパターン部材の製造装置10のうち、版の乾燥手段(版乾燥機)18の構成図が図3に、転写手段24の構成図が図4に、それぞれ示される。
【0020】
本実施の形態では、各種の版22としては、図1に示されるように、赤(R)用の版22R、緑(G)用の版22G、青(B)用の版22B及び絶縁層(I)用の版22Iの4種類の版が使用される。各種の版22として凸版が使用されている。この凸版は、いずれも所期のパターンのみが凸状に形成されている。したがって、塗布手段12により各種の異なる材料(パターン材料)Pが版22に塗布された際に、パターン材料Pがパターン部22Aにのみ塗布・形成されるようになっている。
【0021】
なお、塗布手段12により各種の異なる材料(パターン材料)Pが版22に塗布された際に、パターン材料Pがパターン部22Aのみならずパターン部22A以外の部分に塗布・形成されても、後述する転写手段24においてパターン材料Pがパターン状に基板Bに形成できればよい。
【0022】
たとえば、パターン材料Pの塗布・形成時に、パターン部22A以外の部分にパターン材料Pが塗布・形成されても、その後に乾燥工程でパターン材料Pの厚さが減少し、転写手段24においてパターン材料Pのみがパターン状に基板Bに形成できる場合である。
【0023】
なお、各種の版22には必要に応じて、後述する転写工程における重ね合わせ位置調整時に使用される位置合わせマークが形成される。
【0024】
このような凸版である版22の材質としては、ガラス板、シリコン基板、金属板等が使用できる。版22上の凸部であるパターン部22Aの形成方法としては、フォトリソグラフィー、機械加工、放電加工、レーザ加工等、版22の材質、パターン部22Aの形状等に応じて公知の各種方法が採用できる。
【0025】
パターン部材の製造に先立って、各種の版22の洗浄・乾燥がなされる。すなわち、本実施の形態では、各種の版22は、洗浄・乾燥することにより繰り返し使用可能となっている。このための版洗浄機(版の洗浄手段)16及び版乾燥機(版の乾燥手段)18がパターン部材の製造装置10に設けられている。
【0026】
版洗浄機16としては、版22の材質、版22のサイズ、パターン部22Aの形状等に応じて公知の各種方式の装置が使用できるが、代表的な装置としては、超音波洗浄機、酸素プラズマ洗浄機、高圧洗浄機、スクラブ洗浄機等が好適に使用できる。すなわち、版洗浄機16としては、版22に傷をつけたり、版22を変形させたりしなければよい。
【0027】
版洗浄機16で使用される洗浄液は、純水、各種洗剤、有機溶媒等、版22の材質、版22のサイズ、パターン部22Aの形状等に応じて公知の各種材料が採用できる。
【0028】
版乾燥機18としては、熱風式乾燥機、遠赤外線式乾燥機、真空式乾燥機、溶剤蒸気式乾燥機等、公知の各種方式の装置が使用できる。図3に示される本実施の形態では、版乾燥機18は、ノズル30、30より噴出されるエアナイフにより版22上の水分等を吹き飛ばす水切りゾーン18A、熱風により版22を乾燥させる熱風乾燥ゾーン18B、及び、版22を常温まで冷却させる冷却ゾーン18C、とで構成されている。このように、版22を常温まで冷却させて使用することが好ましい。
【0029】
なお、エアナイフは必須の構成要件ではない。同様に、熱風乾燥ゾーン18Bの設定温度が低い場合には、冷却ゾーン18Cは必ずしも必須の構成要件ではない。
【0030】
図3において、版22は、コンベア32により支持されて各ゾーンを移動可能とされている。また、熱風乾燥ゾーン18B及び冷却ゾーン18Cにおいて、搬送路の上下には熱風噴出し面34、34及び冷風噴出し面36、36が形成されており、版22の乾燥及び冷却が可能となっている。
【0031】
塗布装置(塗布手段)12としては、公知の各種塗布手段が採用できる。具体的には、アプリケーション系では、ローラ塗布方法、ディップ塗布方法、ファウンテン塗布方法等が、計量系では、エアーナイフ塗布方法、ブレード塗布方法、バー塗布方法等が適用できる。また、アプリケーション系と計量系とを同一の部分で担当するものとして、エクストルージョン塗布方法、スライドビード塗布方法、カーテン塗布方法等が適用できる。
【0032】
図1に示される塗布装置(塗布手段)12としては、ローラ塗布装置が採用されている。このローラ塗布装置において、図示の方向に回転するアプリケータロール12Aの下を、矢印の方向に版22が所定速度で移動することにより、版22のパターン部22A上に所定厚さのパターン材料Pが塗布される。アプリケータロール12Aの背面にはメタリングロール12Bが配されており、アプリケータロール12Aへのパターン材料Pの供給量が均一になるようにコントロールがなされている。
【0033】
塗布装置12は、1台で各種のパターン材料Pを塗布するようにしてもよいが、各種のパターン材料P毎に塗布装置12を備えることが生産性(ジョブチェンジ、装置の洗浄等)、品質管理(パターン材料Pの混入防止等)、歩留り向上等の点で好ましい。本実施形態のパターン部材の製造装置10においては、塗布装置12が4台設けられており、それぞれが赤(R)、緑(G)、青(B)及び絶縁層(I)のパターン材料Pに対応するようになっている。
【0034】
なお、既述のように、塗布装置12は、版22のパターン部22A上に所定厚さのパターン材料Pが塗布できれば、方式は問わない。また、上記塗布方法以外の上位概念である膜形成方法、たとえば、蒸着法等を採用することもできる。
【0035】
パターン材料Pが塗布された版22は、塗液乾燥機(乾燥手段)14に送られ、パターン材料Pの乾燥がなされる。これに使用される塗液乾燥機14としては、熱風循環式乾燥機、遠赤外線式乾燥機、真空式乾燥機等、公知の各種方式の装置が使用できる。
【0036】
パターン材料Pが有機ELの発光層である場合、この発光層はごみや水分に弱く、水分が製品寿命に大きく影響することより、乾燥を充分に行なう必要がある。この場合には、たとえば、熱風循環式乾燥機(クリーンオーブン)内に版22を多数枚収納できるようにし、先入れ・先出し方式で順次処理するようにすることが好ましい。このようにすれば、生産効率がよい。本実施形態のパターン部材の製造装置10においては、図2に示されるように、塗液乾燥機14が2台設けられている。
【0037】
上記一連の工程は、図2に示される第1の移載装置26により版22が自動的にハンドリングされることが、品質上からも(たとえば、ダストフリー)、生産効率上からも好ましい。第1の移載装置26としては、たとえば、公知の自動倉庫用ロボットが使用できる。この版22の流れが図2において矢印で示されている。
【0038】
また、上記一連の工程は、良好な無塵度及び最適な温湿度の環境下で実施されることが好ましい。したがって、クリーンルーム内で行なわれるのが好ましく、特に、塗布手段12及び乾燥手段14は、クラス100以下の環境下に設置されるのが好ましい。このためには、ダウンフローのクリーンルーム又はクリーンベンチを併用する形態が採用できる。
【0039】
特に、パターン材料Pが有機ELの発光層である場合、この発光層は水分が製品寿命に大きく影響することより、低湿度の環境に維持することが好ましい。具体的には、露点マイナス20°C以下の空気又は窒素ガス雰囲気であることが好ましい。相対湿度(RH)も可能な限り低くすることが好ましい。
【0040】
塗液乾燥機(乾燥手段)14で乾燥が終了した版22は、既述のように第1の移載装置26により自動的にハンドリングされ、第2の移載装置28に載せ変えられる。第2の移載装置28は、図2において左右方向に移動自在に構成されるとともに、第1の移載装置26より版22を受け取って、この版22を転写装置(転写手段)24に供給できるように構成されている。この第2の移載装置28としては、公知の各種移載手段が採用できる。
【0041】
転写工程に使用される転写装置(転写手段)24は、基板Bに、それぞれの版22のうち1つの版を、パターンが基板Bに接触するように重ね合わせ位置調整し、基板B及び/又は版22の裏面より押圧することによりパターン材料Pを基板Bに転写する装置である。
【0042】
この転写工程で供給される基板Bの材質としては、ガラス板(たとえば、液晶表示素子のカラーフィルタ用)、シリコン基板、金属板等が使用できるが、有機EL素子には帯状可撓性支持体の基板Bが好ましく使用できる。
【0043】
以下、帯状可撓性支持体の基板Bを使用した態様について説明する。図4に示される転写手段24の構成図において、帯状可撓性支持体の基板Bは、送り出しゾーン(UW部)40のローラ42より繰出され、除塵機等よりなる除塵ゾーン46を経て位置合わせ転写ゾーン50に送られる。この位置合わせ転写ゾーン50でパターン材料Pが基板Bに転写される。その後、基板Bは、巻取りゾーン(W部)56のEPC(エッジ位置制御装置)54等を経て、ローラ58に巻き取られる。
【0044】
転写手段24において、サクションローラ44、48、52は、帯状可撓性支持体の基板Bを吸引保持しながら搬送できるセクショナルドライブ方式のものであり、サクションローラ44、48、52の前後で各々張力を決定することができる。
【0045】
ダンサーローラ57、59は、帯状可撓性支持体の基板Bの張力の制御及びサクションローラ44、48、52の回転速度を制御するためのもので、エアシリンダ等により任意の張力を帯状可撓性支持体の基板Bに与えることができる。また、ダンサーローラ57、59は、その位置を変えることにより、一定速度で帯状可撓性支持体の基板Bの搬送速度を制御できる(フィードバック制御が行える)。
【0046】
除塵ゾーン46において、除塵機により帯状可撓性支持体の基板Bに付着している塵埃が除去される。この際、10kPa程度の圧力のエアが吹き付けられ、このエアと塵埃とが回収される。このとき、帯状可撓性支持体の基板Bに10kg/m程度の張力が付与されていないと、基板Bが浮き上がったりして蛇行の原因となる。
【0047】
一方、位置合わせ転写ゾーン50において、基板Bは版22と高精度で位置合わせされることより、基板Bに付与される張力は小さいことが好ましい。すなわち、基板Bの弾性変形は極力抑えることが高精度の位置合わせには好ましい。特に、基板Bが基板支持ベース60に吸着支持される際には、張力は付与されないことが好ましい。
【0048】
巻取りゾーン(W部)56において、帯状可撓性支持体の基板Bが巻取られる際に基板Bにかかる面圧(基板Bの平面に垂直な圧力)が高過ぎると、転写されたパターン材料Pに悪影響を与えることがあるので、基板Bにかかる面圧は常に一定以下の値に維持されることが好ましい。そして、ローラ58の巻き径が大きくなっても、常に巻取りトルクが一定になるように、基板Bに付与される張力が制御されることが好ましい。
【0049】
このように、除塵ゾーン46、位置合わせ転写ゾーン50、及び、巻取りゾーン(W部)56における基板Bに付与される好ましい張力は異なる。したがって、各ゾーン毎に基板Bに付与される張力がコントロールされることが好ましく、これはサクションローラ44、48、52及びダンサーローラ57、59により行なわれる。なお、基板Bの搬送速度、基板Bに付与される張力を制御する手段としては、サクションローラ44、48、52及びダンサーローラ57、59を使用せず、他の公知手段を採用してもよい。
【0050】
帯状可撓性支持体の基板Bは、予め別な装置によって陰極・電子輸送層をスパッタリング、真空蒸着法等により付与されたバリヤ機能を有するものであってもよいし、有機膜に正孔を供給する陽極を備えてもよい。陰極及び陽極についての詳細は後述する。
【0051】
なお、図示の転写装置(転写手段)24は、帯状可撓性支持体の基板Bに対応した態様であるが、ガラス板、シリコン基板、金属板等の板状体の基板Bについても搬送手段が相違するのみで、基本的な構成は略同様である。
【0052】
次に、位置合わせ転写ゾーン50における詳細について、図1を使用して説明する。位置合わせ転写ゾーン50は、版22を支持するとともに、版22のX、Y、Z及びθ方向の位置合わせを行なう図示しない版支持ベースと、表面(下面)が平坦に形成され、基板Bの裏面(上面)を吸着支持する基板支持ベース60と、版22の両端部近傍に位置決めできるように設けられ、版22の位置決めマーク又は版22のパターン部22Aを検出できる2個以上の位置決め検出手段(図示略)と、基板B及び/又は版22の裏面より押圧することによりパターン材料Pを基板Bに転写するための押圧手段(図示略)とより構成される。
【0053】
基板支持ベース60における版22のX、Y、Z及びθ方向の位置合わせ手段は、慣用の手段、たとえば、ボールねじとステッピングモータの組み合わせで構成できる。基板支持ベース60における基板Bの吸着支持は、たとえば、基板支持ベース60表面に設ける複数の微細な真空吸着孔と、これと連通する吸引手段(たとえば、ロータリ式真空ポンプ)の組み合わせで構成できる。位置決め検出手段は、顕微鏡又はデジタルカメラと、これに接続されるCRTモニタの組み合わせで構成できる。
【0054】
押圧手段は慣用の手段、たとえば、エアシリンダとレギュレータの組み合わせにより面状に押圧する構成が採用できる。また、面状に押圧する構成に代えて、ローラ部材を使用した線状の押圧方法も採用できる。すなわち、基板B及び/又は版22の裏面よりローラ部材で押圧しながらこのローラ部材を移動させる構成も可能である。
【0055】
なお、位置決め検出手段の検出結果を見ながら、作業者が位置合わせ手段により版22のX、Y、Z及びθ方向の位置合わせを行なう手動方式であっても、位置決め検出手段の検出結果により、自動的に版22のX、Y、Z及びθ方向の位置合わせが行なわれる自動方式であってもよい。
【0056】
図1に示される状態から、先ず、基板支持ベース60が下降し、基板Bの裏面(上面)に略接触する位置で、基板Bを吸着支持する。次に、版支持ベースが版22を支持(たとえば、真空吸引)するとともに、版22を基板Bに接近かつ相対させた状態で、版22のX、Y、Z及びθ方向の位置合わせを行なう。
【0057】
位置合わせが完了した時点で、押圧手段により基板B及び/又は版22の裏面より押圧することによりパターン材料Pが基板Bに転写される。転写の際にはパターン材料Pの形状、材質に応じて所定の圧力と必要に応じて所定の加熱が加えられるように構成されることが好ましい。加熱手段としては、たとえば、基板支持ベース60にシースヒータを設ける構成が採用できる。
【0058】
第1種目のパターン材料Pの転写が終了した時点で、基板支持ベース60及びこれに支持された基板Bはそのままの状態で待機する。そして、第1種目の版22が他の版22と交換される。この際、他の版22は、ストライプ又はマトリックスパターンの1ピッチ分ずらして位置決めされる。
【0059】
第2種目以降の版22の位置合わせは、基板B表面に既に形成された第1種目のパターン材料Pと適正な位置関係となるように、版22の両端部近傍に形成された位置合わせマークを位置決め検出手段で読み取るか、第1種目のパターン材料Pを位置決め検出手段で読み取って位置合わせを行なう。このような作業を版22の全種類について行い、パターン材料Pの基板Bへの転写が完了する。
【0060】
なお、第1種目等のパターン材料Pを位置決め検出手段で読み取って位置合わせを行なう場合、基板支持ベース60の一部を透明性の材料で形成するか、基板支持ベース60の一部を切り欠いておけば、この基板支持ベース60を透過して第1種目等のパターン材料Pを位置決め検出手段で読み取ることができ便宜である。
【0061】
また、版支持ベースに版22を支持(たとえば、真空吸引)させる際には、版支持ベースに3箇所の位置決めピンを設け、版22の2辺をこの位置決めピンに押し当てることにより、各版22が同じ位置に支持できるような構成とするのが好ましい。同様に、版支持ベースと版22との位置合わせ位置に貫通孔を設け、この貫通孔同士を貫通ピン(この場合はテーパ状のものが好ましい)で連結することにより位置決めする構成も採り得る。
【0062】
パターン材料Pの位置決め精度がラフでよい場合には、前記のような位置決め検出手段を採用せずに、上記の位置決めピンのみでも可能である。
【0063】
転写工程の終了後、既述のように、サクションローラ52、EPC54を経ることによって、パターン材料Pと基板Bとの接着力が確保された状態で、巻取りゾーン(W部)56のローラ58に巻き取られる。
【0064】
以下、パターン部材の製造装置10を使用した基板Bの製造の流れについて説明する。新規の版22又は転写工程の終了した版22は、版洗浄機16及び版乾燥機18により洗浄・乾燥され、それぞれのパターン材料Pに対応する各塗布装置12(塗布装置1〜4)に搬入される。この際、版乾燥機18において、版22は水切りゾーン18Aで水切りされ、次いで、熱風乾燥ゾーン18Bで真空下で100〜300°Cの適宜の温度で乾燥され、次いで、冷却ゾーン18Cで室温まで冷却される。
【0065】
塗布装置12において、アプリケータロール12Aにより版22のパターン部22A上に所定厚さのパターン材料Pが塗布される。塗布される膜の条件として、一例であるが、パターン材料Pを含んだ粘度が数十mPa.sの液がμm又はサブμmオーダーの膜厚にパターン部22A上に塗布される。この膜厚は、乾燥後には約1/30に減少する。塗布時の膜厚のばらつきは±5%以内に抑えることが好ましい。
【0066】
塗布終了後の版22は、塗液乾燥機14に送られ、パターン材料Pの乾燥がなされる。乾燥条件は、塗布液の組成により適宜に選択できるが、塗布液の溶媒が水である場合には、乾燥条件は、真空下で50〜150°Cの条件下で3分以上行なわれることが好ましい。乾燥終了後の版22は、転写装置24に送られる。
【0067】
転写装置24において供給される基板Bが帯状可撓性支持体であり、予め別な装置によって陰極・電子輸送層をスパッタリング、真空蒸着法等により付与されたバリヤ機能を有するものである場合、以下の構成が一例として採用できる。
【0068】
転写装置24において、既述のように、それぞれの版22のうち1つの版22を、パターン材料Pが基板Bに接触するように重ね合わせ位置調整し、基板B及び/又は版22の裏面より押圧することによりパターン材料Pを基板Bに転写する。そしてこの操作を複数種類分繰り返して、基板B上に複数種類の異なるパターン材料Pを転写する。
【0069】
この際、第1種目のパターン材料Pの転写時には、版22の厳密な位置決めは不要であり、版22と基板Bとが平行になるように配置されていればよい。第2種目以降のパターン材料Pの転写時には、版22の正確な位置決めが、精度のよい製品を得るうえで重要である。
【0070】
転写条件はパターン材料Pの材質、基板Bの材質等に応じて最適な条件を選択する必要がある。転写時の押圧力は、たとえば、ローラ部材(ゴムローラ等の弾性ローラ)を使用した線状の押圧の場合、線圧として0.5〜5kg/cmが採用できる。
【0071】
また、転写時の加熱温度は、一般的には40〜250°Cが好ましく、60〜180°Cがより好ましく採用できる。なお、版22及び/又は基板B(基板支持ベース60)を余熱させておけば生産性が向上するので好ましい。
【0072】
転写終了後の基板Bは、既述のように、サクションローラ52、EPC(エッジ位置制御装置)54を経ることによって、パターン材料Pと基板Bとの接着力が確保された状態で、巻取り部(W部)56のローラ58に巻き取られる。同時に、転写終了後の版22は、版洗浄機16に搬送され、繰り返し使用される。
【0073】
図5は、転写が終了した基板Bの構成図である。この基板Bの表面には、3種類(R、G、B)のパターン材料Pが所定幅、所定ピッチ毎に繰り返し形成されている。
【0074】
以上、本発明に係るパターン部材の製造方法及び製造装置の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
【0075】
たとえば、版22の種類、枚数、塗布装置12、塗液乾燥機14等の台数、レイアウト等、移載装置の配置等は、パターン部材の製品サイズ、製品の種別、生産数量等に応じて上記実施形態以外の各種態様が選択できる。
【0076】
また、たとえば、転写装置24において、次の版22をストライプ又はマトリックスパターンの1ピッチ分ずらして位置決めする構成に代えて、基板支持ベース60(基板B)を1ピッチ分ずらして位置決めする構成としてもよい。
【0077】
以下、本発明により有機EL素子を製作する場合の材料等について詳説する。基板Bとしては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルやポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネイト、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン−ポリエチレン共重合体等の高分子材料、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、金箔、銀箔等の金属箔やポリイミド、液晶性ポリマーのプラスチックシート等からなるものであってもよい。
【0078】
本実施形態では、壊れにくさ、折り曲げ易さ、軽さ等の観点より、可撓性のある基板Bを用いるのが好ましい。このような基板Bを形成する材料としては、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性及び加工性に優れ、かつ、低通気性及び低吸湿性であるポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネイト、ポリエーテルスルホン、金属箔(アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、金箔、銀箔等)、液晶性ポリマーのプラスチックシート、フッ素原子を含む高分子材料(ポリクロロトリフルオロエチレン、テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン−ポリエチレン共重合体等)等が好ましい。
【0079】
基板Bの形状、構造、大きさ等は、有機薄膜素子の用途及び目的に応じて適宜選択することができる。構造は、単層構造であっても積層構造であってもよい。基板Bは、単一の部材で形成しても、2以上の部材で形成してもよい。また、基板Bは、透明又は不透明のいずれのものも用いることができる。ただし、後述する透明電極が発光層を含む有機層より基板B側にある等により発光を支持体側から取り出す場合、基板Bは無色透明又は有色透明であるのが好ましく、光の散乱、減衰を抑える観点より、無色透明が好ましい。
【0080】
電極を形成して発光素子を作製したときに、短絡しない可撓性基板Bとして、金属箔の片面又は両面に絶縁層を設けた基板Bが好ましい。金属箔の種類は特に限定されず、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、金箔、銀箔等の金属箔を用いることができる。中でも加工の容易さ及びコストの観点より、アルミニウム箔又は銅箔が好ましい。
【0081】
絶縁層は、特に限定的ではなく、たとえば無機酸化物や無機窒化物等の無機物や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネイト、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリイミド等のプラスチックにより形成することができる。
【0082】
基板Bは、熱線膨張係数が20ppm/°C以下であるのが好ましい。熱膨張係数は、一定速度で加熱し、試料の長さの変化を検知する方法で測定され、主にTMA法により測定される。熱線膨張係数が20ppm/°Cを超えると、貼合せ工程や使用時の熱等で電極や有機薄膜層の剥がれの原因となり、耐久性悪化の原因となる。
【0083】
基板Bに設けた絶縁層の熱線膨張係数も20ppm/°C以下であるのが好ましい。熱線膨張係数が20ppm/°C以下の絶縁層を形成する材料としては、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化銅等の金属酸化物や、窒化ケイ素、窒化ゲルマニウム、窒化アルミニウム等の金属窒化物が好ましく、これらの一種又は二種以上を組合せて用いることができる。
【0084】
金属酸化物及び/又は金属窒化物の無機絶縁層の厚さは、10nm〜1000nmであるのが好ましい。無機絶縁層が10nmより薄いと、絶縁性が低すぎる。また、無機絶縁層が1000nmより厚いと、クラックが生じやすくなり、ピンホールができて絶縁性が低下する。
【0085】
金属酸化物及び/又は金属窒化物の絶縁層を製膜する方法は、限定的でなく、蒸着法、スパッタリング法、CVD法等の乾式法や、ゾル−ゲル法等の湿式法、又は金属酸化物及び/又は金属窒化物の粒子を溶剤に分散し塗布する方法等を使用することができる。
【0086】
熱線膨張係数が20ppm以下のプラスチック材料としては、特にポリイミドや液晶ポリマーを好ましく用いることができる。これらのプラスチック材料の性質等の詳細については、「プラスチック・データブック」(旭化成アミダス(株)「プラスチック」編集部編)等に記載されている。
【0087】
ポリイミド等を絶縁層として用いる場合には、ポリイミド等のシートとアルミニウム箔を積層するのが好ましい。ポリイミド等のシートの厚さは、10μm〜200μmであるのが好ましい。ポリイミド等のシートの厚さが10μmより薄いと、積層時のハンドリングが困難になる。一方、ポリイミド等のシートの厚さが200μmよりも厚いと、可撓性が損なわれ、ハンドリングが不便になる。
【0088】
絶縁層は、金属箔の片面だけに設けてもよいが、両面に設けてもよい。絶縁層を金属箔の両面に設ける場合、両面とも金属酸化物及び/又は金属窒化物であってもよく、また、両面ともポリイミドのようなプラスチック絶縁層であってもよい。また一方の片面が金属酸化物及び/又は金属窒化物からなる絶縁層であり、他方の片面がポリイミドシート絶縁層であってもよい。更に、必要によりハードコート層やアンダーコート層を設けてもよい。
【0089】
基板Bの電極側の面、電極と反対側の面、又はその両方に透湿防止層(ガスバリア層)を設けてもよい。透湿防止層を構成する材料としては、窒化ケイ素、酸化ケイ素等の無機物を用いるのが好ましい。透湿防止層は、高周波スパッタリング法等により成膜できる。また、基板Bには、必要に応じてハードコート層やアンダーコート層を設けてもよい。
【0090】
また、金属箔の片面又は両面に絶縁層を設けた基板Bであることが好ましい。金属箔の種類は特に限定されず、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、金箔、銀箔等の金属箔を用いることができる。中でも、加工の容易さ及びコストの観点より、アルミニウム箔又は銅箔が好ましい。
【0091】
絶縁層は、特に限定的でなく、たとえば、無機酸化物や無機窒化物等の無機物や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジギリコールカーボネイト、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリイミド、等のプラスチックにより形成することができる。
【0092】
基板Bの水分透過率は、0.1g/m2 ・day以下であることが好ましく、0.05g/m2 ・day以下であることがより好ましく、0.01g/m2 ・day以下であることが特に好ましい。
【0093】
酸素透過率は、0.1ml/m2 ・day・atm以下であることが好ましく、0.05ml/m2 ・day・atm以下であることがより好ましく、0.01ml/m2 ・day・atm以下であることが特に好ましい。
【0094】
水分透過率は、JIS K7129B法に準拠した方法(主としてMOCON法)により測定できる。酸素透過率は、JIS K7126B法に準拠した方法(主としてMOCON法)により測定できる。このようにすることにより、発光素子内に耐久性悪化の原因となる水分や酸素の侵入を防ぐことが可能となる。
【0095】
基板Bに処理する電極としては、透明導電層も背面電極も、どちらでも陰極又は陽極として用いることができる。このうちのいずれであるかは、有機薄膜素子を構成する組成によって決まる。陽極としては、通常、有機薄膜層にホール(正孔)を供給する陽極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途及び目的に応じて、公知の電極のうちより適宜選択することができる。
【0096】
陰極を形成する材料としては、金属単体や、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物等を用いることができ、好ましくは仕事関数が4.5eV以下の材料を用いることができる。この具体例としては、アルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえば、Mg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、希土類金属(イッテルビウム等)等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点より、2種以上のものを併用することが好ましい。
【0097】
これらの中でも、電子注入性の観点より、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性の観点より、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。ここで、アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単体のみならず、アルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属との合金若しくは混合物、又は、アルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ土類金属との合金(たとえば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金等)若しくは混合物をいう。
【0098】
陰極側から光を取り出す場合、透明陰極を使用する必要がある。透明陰極は、光に対して実質的に透明であればよい。電子注入性及び透明性を両立させるためには、薄膜の金属層と透明な導電層の2層構造とすることもできる。なお、薄膜金属層の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されている。この薄膜の金属層の厚さは、1nm〜50nmであることが好ましい。厚さが1nm未満であると、均一に薄膜層を製膜することが困難になる。一方、厚さが50nmを超えると、光に対する透明性が悪くなる。
【0099】
透明導電層に用いる材料としては、導電性又は半導性を有する透明材料であれば特に限定されず、上記陽極に使用した材料を好ましく用いることができる。好ましい材料としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等を挙げることができる。
【0100】
透明導電層の厚さは、30nm〜500nmであることが好ましい。透明導電層が30nm未満であると、導電性又は半導性が劣り、一方、透明導電層が500nmを超えると、生産性が悪い。
【0101】
陰極の形成方法は限定的ではなく、公知の方法を採用することができる。陰極の形成は、真空機器内で行うのが好ましい。たとえば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式等により、陰極の材料との適性を考慮して適宜選択すればよい。たとえば、陰極の材料として金属等を選択する場合、1種又は2種以上の金属を同時に又は順次スパッタ法等によって形成することができる。また、有機伝導性材料を用いる場合には、湿式製膜法を用いてもよい。
【0102】
陰極のパターニングは、フォトリソグラフィー等による化学的エッチング、レーザー等を用いた物理的エッチング、マスクを用いた真空蒸着法やスパッタリング法、又はリフトオフ法や印刷法により行うことができる。
【0103】
陰極と有機薄膜層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物等による誘電体層を0.1nm〜5nmの厚さで挿入してもよい。誘電体層は、たとえば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
【0104】
【実施例】
既述の図1〜図4に示されるプロセスにより、パターン部材の製造を行った。版22として3枚の凸版を使用し、有機EL用のR、G、Bのインクを塗布した。インクの塗布厚さは、乾燥状態で0.05μmとなるように調整した。
【0105】
R、G、Bのインク(パターン材料P)の組成としては、以下の化学式で示される化合物1を1質量部と、
【0106】
【化1】
Figure 2004001465
以下の化学式で示される(質量平均分子量1.7万)化合物2を40質量部と、
【0107】
【化2】
Figure 2004001465
ジタロロエタンを3200質量部と、を調合した。
【0108】
このうち、Rのインク(パターン材料P)は、化合物1のR−1、R−2、R−3より選択し、Gのインク(パターン材料P)は、化合物1のG−1、G−2より選択し、Bのインク(パターン材料P)は、化合物1のB−1、B−2より選択した。
【0109】
各色のインクの組み合わせは、上記の化合物1のうちより5種類の組み合わせを作り(後述する図6参照)、パターン状の転写を行った。
【0110】
基板Bとしては、厚さ50μmのポリイミドフイルム(宇部興産製、商品名:UPILEX−50S)を使用した。基板Bに表面処理を施した後、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmの電極を形成した。その上に、更にLiFをAl層と同一パターンで蒸着し、膜厚3nmの誘電体層を形成した。
【0111】
パターンの転写は、図1に示されるように、版22と基板Bとを対面させ、120℃に加熱した基板支持ベース60により、12MPaの圧力で15秒加圧することにより行った。版22と基板Bとの位置合せを行いながら、この操作を3回繰り返した。
【0112】
パターンの転写結果は、光学顕微鏡を使用し、目視による観察で評価した。主に、パターニングの均一性に着目し、欠陥がなければ○と、欠陥があれば×と評価し、図6に示される表にまとめた。評価結果は、いずれの色のインクの組み合わせであっても良好であった。
【0113】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、それぞれ異なる材料、たとえば、赤(R)、緑(G)、青(B)の色彩用のパターンが形成されているそれぞれの版上に、この異なる材料(R、G、B)をパターン状に塗布し、このそれぞれの版を乾燥した後、製品となる基板に、これらの版のうち1つの版を、パターンが基板に接触するように重ね合わせ位置調整し、基板及び/又は版の裏面より押圧することによりパターン状材料を基板に転写できる。そして、これを各材料(R、G、B)毎に繰り返すことにより、パターン部材(たとえば、有機EL素子、液晶表示素子のカラーフィルタ)を形成できる。
【0114】
したがって、本発明により、基板上に複数種類の異なる材料をパターン状に形成するパターン部材の製造において、生産性及び製品品質(パターン精度)のいずれをも向上させることができる。
【0115】
本発明において、版に形成されている材料用のパターンを、凸版よりなることとすれば、材料が容易確実に所定パターン状に版上に形成できる。
【0116】
また、本発明において、基板を帯状可撓性支持体(たとえば、フレキシブルフィルム)とすれば、基板の搬送が容易であり、生産性に優れる。また、基板が帯状可撓性支持体であれば、有機EL等の各種用途への適用が可能となる。
【0117】
また、本発明において、パターン状材料を基板に転写した後に、版を洗浄、乾燥することにより版を繰り返し使用可能とすれば、設備費用等が低減できるうえに、版等の在庫スペース等も縮小でき、生産設備面でも望ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパターン部材の製造方法のフローを示す概念図
【図2】パターン部材の製造装置のレイアウトを示す概念図
【図3】版の乾燥手段の構成図
【図4】転写手段の構成図
【図5】転写が終了した基板の構成図
【図6】転写の評価結果を示す表
【符号の説明】
10…パターン部材の製造装置、12…塗布装置(塗布手段)、14…塗液乾燥機(乾燥手段)、16…版洗浄機(版の洗浄手段)、18…版乾燥機(版の乾燥手段)、20…移載装置、22…版、24…転写装置(転写手段)、P…パターン材料、B…基板

Claims (6)

  1. 基板上に複数種類の異なる材料をパターン状に形成するパターン部材の製造方法において、
    それぞれの異なる材料用のパターンが形成されているそれぞれの版上に、該異なる材料を塗布する工程と、
    前記材料を塗布した版を乾燥する工程と、
    前記基板に、前記それぞれの版のうち1つの版を、前記パターンが基板に接触するように重ね合わせ位置調整し、前記基板及び/又は前記版の裏面より押圧することにより前記パターンを前記基板に転写する操作を前記複数種類分繰り返して、前記基板上に前記複数種類の異なる材料をパターン状に形成する工程と、
    を有することを特徴とするパターン部材の製造方法。
  2. 前記版に形成されている材料用のパターンは、凸版よりなる請求項1に記載のパターン部材の製造方法。
  3. 前記基板は帯状可撓性支持体である請求項1又は2のいずれかに記載のパターン部材の製造方法。
  4. 前記パターン状材料を前記基板に転写した後に、前記版を洗浄、乾燥することにより該版を繰り返し使用可能とする請求項1、2又は3のいずれかに記載のパターン部材の製造方法。
  5. 前記複数種類の異なる材料には、少なくとも赤(R)、緑(G)、青(B)の色彩用の材料が含まれる請求項1、2、3又は4のいずれかに記載のパターン部材の製造方法。
  6. 基板上に複数種類の異なる材料をパターン状に形成するパターン部材の製造装置において、
    それぞれの異なる材料用のパターンが形成されているそれぞれの版上に、該異なる材料を塗布する塗布手段と、
    前記材料を塗布した版を乾燥する乾燥手段と、
    前記基板に、前記それぞれの版のうち1つの版を、前記パターンが基板に接触するように重ね合わせ位置調整し、前記基板及び/又は前記版の裏面より押圧することにより前記パターンを前記基板に転写する転写手段と、
    を有することを特徴とするパターン部材の製造装置。
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