JP5015389B2 - 発電・冷却システム及びその運転方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,自然界の冷熱や各種排熱を利用して,例えば冬季においては発電し,冬季以外の時期においては系外の熱媒を冷却することが可能な発電・冷却システムとその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より,雪氷などの自然界で発生した熱源を利用した各種システムが提案されている。例えば,特公平5−65781号には,冬季に降る雪を利用して物資を冷蔵する方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,従来は,このような未利用エネルギーの活用は極一部に限られており,なかなか活用されていなかった。例えば各種プラントや産業設備などから排出される50℃程度の低温度レベルの温水は,熱源として利用することが難しかった。このように排出された低温度レベルの温水をそのまま廃棄すると,地球温暖化を助長することにもなってしまう。
【0004】
本発明の目的は,自然界で得られる冷熱や各種排熱を有効に利用して,エネルギー回収可能なシステムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決する手段】
本発明によれば,冷媒を蒸発及び凝縮可能な第1の蒸発器凝縮器と第2の蒸発器凝縮器を備え,これら第1の蒸発器凝縮器と第2の蒸発器凝縮器の間に,第1の蒸発器凝縮器で凝縮された冷媒を第2の蒸発器凝縮器に送る第1の管路と,第2の蒸発器凝縮器で凝縮された冷媒を第1の蒸発器凝縮器に送る第2の管路を設け,これら第1の管路と第2の管路を選択可能に構成すると共に,第1の蒸発器凝縮器と第2の蒸発器凝縮器の間で蒸発された冷媒を送る第3の管路を設け,この第3の管路に,蒸発された冷媒の機械的エネルギーによって発電する発電機と,蒸発された冷媒を圧縮させる圧縮機を設け,発電サイクルを行う場合は,蓄熱槽に自然界で作られた氷または雪を投入して冷却した熱媒水を用いることにより,第1の蒸発器凝縮器において,自然界の冷熱を利用して冷媒を凝縮させ,この第1の蒸発器凝縮器で凝縮させた冷媒を第1の管路を経て第2の蒸発器凝縮器に送り,第2の蒸発器凝縮器において,排熱を利用して冷媒を蒸発させ,この第2の蒸発器凝縮器で蒸発させた冷媒を第3の管路を経て第1の蒸発器凝縮器に送るに際し,蒸発された冷媒の機械的エネルギーによって発電し,冷凍サイクルを行う場合は,冷却塔で冷却した熱媒水を用いることにより,第2の蒸発器凝縮器において,自然界の冷熱を利用して冷媒を凝縮させ,この第2の蒸発器凝縮器で凝縮させた冷媒を第2の管路を経て第1の蒸発器凝縮器に送るに際し,膨張弁で減圧させ,第1の蒸発器凝縮器において,冷媒を蒸発させることにより,系外の熱媒を冷却し,この第1の蒸発器凝縮器で蒸発させた冷媒を第3の管路を経て第2の蒸発器凝縮器に送るに際し,圧縮することを特徴とする,発電・冷却システムが提供される。
【0006】
この発電・冷却システムは,自然界の冷熱や各種排熱を利用して,例えば冬季においては発電し,冬季以外においては系外の熱媒を冷却する運転を行うことができ,同一のシステムでありながら,発電と冷却を切換えて行う可逆サイクルを構成できる。
【0007】
即ち,発電サイクルを行う場合は,第1の蒸発器凝縮器において,自然界の冷熱を利用して冷媒を凝縮させる。この場合,例えば氷柱などといった自然界で作られた氷や雪を利用して冷媒を冷却し,凝縮させることができる。そして,この第1の蒸発器凝縮器で凝縮させた冷媒を第1の管路を経て第2の蒸発器凝縮器に送る。この場合,第1の管路に例えば送液ポンプを設け,該送液ポンプの稼動で冷媒を送液すると良い。また,高低差などを利用して,第1の蒸発器凝縮器から第1の管路を経て第2の蒸発器凝縮器に冷媒を送液するようにしても良い。
【0008】
そして,第2の蒸発器凝縮器では,排熱を利用して冷媒を加熱し,蒸発させる。この場合,例えば50℃程度の排熱により冷媒を加熱し,蒸発させることが可能である。このため,従来利用困難であった低温度レベルの温排熱やコージェネレーションからの排熱であって,暖房や給湯などの他用途に使った後の,いわば排排熱でも加熱源に利用でき,低温度レベルの熱落差を利用した熱駆動サイクルの構築が可能となる。工場などのプロセス排熱を加熱源に利用しても良い。
【0009】
そして,この第2の蒸発器凝縮器で蒸発させた冷媒を第3の管路を経て第1の蒸発器凝縮器に送り,その際に,蒸発された冷媒の機械的エネルギーによって,例えばタービンを回転駆動させ,発電する。タービンを駆動することにより,減圧した冷媒(蒸気)は,第1の蒸発器凝縮器に送られた後,再び自然界の冷熱を利用して冷却され,凝縮させられる。
【0010】
一方,冷凍サイクルを行う場合は,第2の蒸発器凝縮器において,自然界の冷熱を利用して冷媒を冷却し,凝縮させる。この場合,例えば冷却塔に循環させた冷却水などを利用して冷媒を冷却し,凝縮させることができる。なお,このように第2の蒸発器凝縮器において,冷却塔に循環させた冷却水を利用して冷媒を冷却する場合,冷却塔において気化蒸発作用で潜熱を奪う「外気」が自然界の冷熱である。他に海水,地中と土壌との冷熱などを自然界の冷熱として例示できる。そして,この第2の蒸発器凝縮器で凝縮させた冷媒を第2の管路を経て第1の蒸発器凝縮器に送る。なお,第2の管路には,膨張弁を設けておくと良い。
【0011】
そして,第1の蒸発器凝縮器において,冷媒を系外の熱媒と熱的に接触(熱交換)させ,系外の熱媒から熱を奪って冷媒を蒸発させることにより,系外の熱媒を冷却する。これにより,例えば冷水を作り出し,作り出した冷水を冷房等に利用することができる。そして,この第1の蒸発器凝縮器で蒸発させた冷媒を第3の管路を経て第2の蒸発器凝縮器に送る。その際に,冷媒(蒸気)を圧縮する。こうして高温高圧の状態で,第2の蒸発器凝縮器に送り込まれた冷媒(蒸気)は,再び自然界の冷熱を利用して冷却され,凝縮させられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態を,図面を参照にして説明する。図1,2は,いずれも本発明の実施の形態にかかる発電・冷却システム1の基本構成を示す説明図であり,図1は,発電・冷却システム1において発電サイクルを行う状態を示し,図2は,発電・冷却システム1において冷凍サイクルを行う状態を示している。
【0013】
この発電・冷却システム1は,冷媒を蒸発及び凝縮可能な第1の蒸発器凝縮器10と第2の蒸発器凝縮器11を備えている。また,これら第1の蒸発器凝縮器10と第2の蒸発器凝縮器11の間で冷媒を循環させるための,第1の管路12,第2の管路13及び第3の管路14が設けられている。
【0014】
第1の蒸発器凝縮器10は,発電・冷却システム1において循環させられる冷媒を加熱して蒸発させ,また,冷却して凝縮させるものである。第1の蒸発器凝縮器10は,コイル20を備えており,蓄熱槽21に入れられた熱媒水22が,送水ポンプ23の動力によって,往管24及び復管25を介して,このコイル20に循環供給されている。第1の蒸発器凝縮器10では,コイル20の表面に冷媒(液または蒸気)を供給することにより,これら往管24及び復管25を介して供給される熱媒水22を冷媒と熱交換させる。
【0015】
第2の蒸発器凝縮器11も同様に,発電・冷却システム1において循環させられる冷媒を加熱して蒸発させ,また,冷却して凝縮させるものである。第2の蒸発器凝縮器11は,コイル30を備えており,このコイル30には,熱媒水が,往管31及び復管32を介して循環供給されている。
【0016】
ここで,第2の蒸発器凝縮器11のコイル30には,図1のように発電サイクルを行う場合は,例えば各種産業設備,各種プラント,ビル等の建物,電線,ケーブル,圧縮機等の各種設備機器などで発生する排熱を利用して加熱された熱媒水(温水)や,それら各種産業設備などで冷却に用いられて加熱された熱媒水(温水)そのものが往管31及び復管32を介して供給される。一方,図2のように冷凍サイクルを行う場合は,例えば冷却塔で冷却された熱媒水(冷却水)が往管31及び復管32を介してコイル30に供給される。第2の蒸発器凝縮器11では,コイル30の表面に冷媒(液及び蒸気)を供給することにより,これら往管31及び復管32を介して供給される熱媒水と冷媒を熱交換させる。
【0017】
第1の管路12には,送液ポンプ35と開閉弁36が設けられている。図1のように発電サイクルを行う場合は,開閉弁36を開き,送液ポンプ35を稼動することにより,第1の管路12を経て,第1の蒸発器凝縮器10から第2の蒸発器凝縮器11に冷媒を送るようになっている。一方,図2のように冷凍サイクルを行う場合は,開閉弁36を閉じ,送液ポンプ35の稼動を停止することにより,第1の管路12には冷媒が流れない状態となる。
【0018】
第2の管路13には,膨張弁40が設けられている。図1のように発電サイクルを行う場合は,膨張弁40を閉じ,第2の管路13には冷媒が流れない状態となる。一方,図2のように冷凍サイクルを行う場合は,膨張弁40を開くことにより,第2の管路13を経て,第2の蒸発器凝縮器11から第1の蒸発器凝縮器10に冷媒が流量を調節されて送られる状態となる。
【0019】
第3の管路14には,発電機と圧縮機の機能を兼ね備えた発電圧縮手段45が設けられている。発電圧縮手段45は,第3の管路14を流れる冷媒(蒸気)と接触するタービン46と発電電動部47を回転軸48で接続した構成を有する。図1のように発電サイクルを行う場合は,第2の蒸発器凝縮器11から第1の蒸発器凝縮器10に向かって第3の管路14を流れる冷媒(蒸気)の機械的エネルギーによってタービン46が回転させられる。そして,回転軸48を介して入力された回転動力により,発電電動部47は発電を行う。一方,図2のように冷凍サイクルを行う場合は,発電電動部47によってタービン46を回転駆動させ,第1の蒸発器凝縮器10から第2の蒸発器凝縮器11に向かって第3の管路14を流れる冷媒(蒸気)を圧縮させるようになっている。
【0020】
さて,以上のように構成された本発明の実施の形態にかかる発電・冷却システム1において,例えば冬季において発電サイクルを行う場合は,開閉弁36を開き,送液ポンプ35を稼動することにより,図1に示すように,第1の管路12を経て,第1の蒸発器凝縮器10から第2の蒸発器凝縮器11に冷媒を送る状態にする。この場合,膨張弁40を閉じ,第2の管路13には冷媒が流れない状態にする。そして,蓄熱槽21には,例えば氷柱などといった自然界で作られた氷や雪を投入し,自然界の冷熱を利用して冷却した熱媒水22を,送水ポンプ23の動力によって,第1の蒸発器凝縮器10のコイル20に循環供給する。この場合,第1の蒸発器凝縮器10のコイル20には,例えば約5℃程度の冷却水を供給することが可能である。また,第2の蒸発器凝縮器11のコイル30には,例えば各種産業設備などで発生する排熱を利用して加熱した熱媒水(温水)を供給する。この場合,第2の蒸発器凝縮器11のコイル30には,約50〜60℃程度の温水を供給することが可能である。
【0021】
そして,第1の蒸発器凝縮器10では,コイル20の表面に冷媒(蒸気)が供給され,冷媒は熱媒水22と熱交換することによって冷却されて,凝縮させられる。一方,コイル20表面にて冷媒と熱交換することによって加熱されたは熱媒水22は,復管25を経て蓄熱槽21に戻され,蓄熱槽21に投入された氷や雪を融解することにより再び冷却される。
【0022】
そして,第1の蒸発器凝縮器10において凝縮させられた冷媒(液体)は,送液ポンプ35により,第1の管路12を経て第2の蒸発器凝縮器11に送られる。そして,第2の蒸発器凝縮器11において,冷媒(液体)は,コイル30の表面に供給され,各種産業設備などで発生する排熱で加熱された熱媒水(温水)と熱交換する。これにより,第2の蒸発器凝縮器11では,冷媒(液体)は加熱されて蒸発する。一方,コイル30表面にて冷媒と熱交換することによって冷却されたは熱媒水は,復管32に戻され,各種産業設備などで発生する排熱によって再び加熱される。この場合,例えば往管31を経て約60℃程度の熱媒水をコイル30に供給し,コイル30表面にて冷媒と熱交換することによって約55℃程度に冷却された熱媒水を,復管32に戻すことができる。
【0023】
そして,第2の蒸発器凝縮器11において蒸発させられた冷媒(蒸気)は,第3の管路14を経て,第1の蒸発器凝縮器10に送られる。このように第3の管路14を通過する際に,冷媒(蒸気)の機械的エネルギーにより,タービン46が回転させられ,その回転動力により,発電電動部47は発電を行う。こうして発電された電力は,一般電力として利用することができる。
【0024】
そして,タービン46を駆動することにより,減圧した冷媒(蒸気)は,第1の蒸発器凝縮器10に送られた後,再び自然界の冷熱を利用して冷却され,凝縮させられる。
【0025】
このように,発電・冷却システム1において発電サイクルを行えば,従来利用困難であった50〜60℃程度の温水や,氷柱や雪などといった自然界の冷熱を利用して発電し,エネルギー回収を行うことができる。
【0026】
また,本発明の実施の形態にかかる発電・冷却システム1において,例えば冬季以外の時期において冷凍サイクルを行う場合は,膨張弁40を開くことにより,図2のように,第2の管路13を経て,第2の蒸発器凝縮器11から第1の蒸発器凝縮器10に冷媒が流れる状態にする。この場合,開閉弁36を閉じ,送液ポンプ35の稼動を停止することにより,第1の管路12には冷媒が流れない状態にする。そして,第2の蒸発器凝縮器11のコイル30に,例えば冷却塔で冷却した熱媒水(冷却水)を供給する。また,第1の蒸発器凝縮器10のコイル20には,蓄熱槽21に蓄えた熱媒水22を,送水ポンプ23の動力によって循環供給する。
【0027】
そして,第2の蒸発器凝縮器11では,コイル30の表面に冷媒(蒸気)が供給され,冷媒は熱媒水と熱交換することによって冷却されて,凝縮させられる。この場合,例えば往管31を経て約32℃程度の熱媒水をコイル30に供給し,コイル30表面にて冷媒と熱交換することによって約37℃程度に加熱された熱媒水を,復管32に戻すことができる。こうして加熱されたは熱媒水は,例えば冷却塔(図示せず)に戻され,自然界の冷熱(例えば外気)を利用して再び約32℃程度まで冷却される。
【0028】
そして,第2の蒸発器凝縮器11において凝縮させられた冷媒(液体)は,第2の管路13に設けられた膨張弁40を経て,第1の蒸発器凝縮器10に送られる。そして,第1の蒸発器凝縮器10において,冷媒(液体)は,コイル20の表面に供給され,蓄熱槽21から往管24を経て供給される熱媒水22と熱交換して蒸発し,熱媒水22を冷却する。こうして冷却されたは熱媒水は,復管25を経て蓄熱槽21に戻され,冷房等に供される。
【0029】
そして,第1の蒸発器凝縮器10において蒸発させられた冷媒(蒸気)は,第3の管路14を経て,第2の蒸発器凝縮器11に送られる。このように第3の管路14を通過する際に,発電電動部47によって回転駆動させられたタービン46により圧縮させられる。こうして高圧となった冷媒(蒸気)が,第2の蒸発器凝縮器11に戻され,第2の蒸発器凝縮器11では,冷媒(蒸気)は熱媒水と熱交換することによって冷却されて,再び凝縮させられる。なお,タービン46を回転させる発電電動部47(モータなど)は誘電モータを用いれば,発電機としての機能を兼ね備えることができるが,発電機とモータを別体とし,第3の管路14を通過する冷媒(蒸気)を発電機とモータに導くバイパス管路を設け,該バイパス管路の切換えにより,冷媒(蒸気)を発電機とモータに選択的に導くようにしても良い。
【0030】
ここで,図3は,発電・冷却システム1をコージェネレーションシステム2と組み合わせた形態を示している。この図3に示す発電・冷却システム1は,発電・冷却システム1の構成自体は,先に図1,2で説明したものと同様であるが,発電サイクルを行う場合において,第2の蒸発器凝縮器11にて冷媒を加熱する際に,コージェネレーション2の排熱を利用している。
【0031】
即ち,コージェネレーションシステム2において,エンジン,タービン,ボイラーなどの原動機50に管路51を経てポンプ52により冷却水を循環させ,その冷却水の熱(温熱)を,第2の蒸発器凝縮器11に,熱交換器53を介して供給することにより,発電・冷却システム1の冷媒を加熱する構成になっている。また,図示の例では,管路51を循環する冷却水の熱(温熱)を,熱交換器53よりも上流において熱交換器54にて取り出すことにより,暖房や給湯などにも利用できる構成になっている。また,例えば吸収式冷凍機を熱交換器54に連結すれば,温熱を冷熱に変換して冷房に供することができる。その後,50〜60℃の低下した低温排熱を熱交換器53に供給して,発電・冷却システム1の冷媒の加熱に利用できる構成になっている。更に,原動機50の動力によって発電機55を駆動し,発生した電力で,発電・冷却システム1の発電電動部47を稼動できる構成になっている。
【0032】
このように発電・冷却システム1をコージェネレーションシステム2と組み合わせることにより,原動機50の冷却によって生じた排熱をカスケードを利用して低温度まで利用でき,例えば,発電サイクルを行う場合は,冷却水を高温域で暖房,給湯,冷房などに利用し,低温域で発電・冷却システム1の冷媒を加熱することに利用できる。また,冷凍サイクルを行う場合は,コージェネレーションシステム2発生した電力で,発電・冷却システム1の発電電動部47を稼動することも可能である。
【0033】
また図4は,コージェネレーションの排熱を利用して回転動力を得る駆動システム3と発電・冷却システム1を組み合わせた形態を示している。この図4に示す発電・冷却システム1は,発電・冷却システム1の構成自体は,先に図1,2で説明したものと同様である。
【0034】
駆動システム3は,2つの熱交換器60,61を備えており,熱交換器60から熱交換器61に冷媒を流す管路62と,熱交換器61から熱交換器60に冷媒を流す管路63が接続されている。熱交換器60のコイル65には,発電・冷却システム1のコイル30と同様,例えば冷却塔などで約32℃程度まで冷却された冷却水が供給可能である。熱交換器61のコイル66には,例えばコージェネレーションから排熱された約85℃程度の低温排熱(温水)を供給可能である。管路63には,タービン70が設けてあり,このタービン70で得た回転動力を,軸71を介して,発電・冷却システム1のタービン46に伝達できるようになっている。なお,軸71には,回転動力の伝達をON/OFFするためのクラッチ72が設けてある。
【0035】
そして,駆動システム3において,熱交換器60では,コイル65の表面に冷媒(蒸気)が供給され,冷媒は冷却水と熱交換することによって冷却されて,凝縮させられる。こうして凝縮させられた冷媒(液体)は,管路62を経て熱交換器61に送られて,コイル66の表面に供給され,コージェネレーションから排熱された低温排熱(温水)と熱交換する。これにより,熱交換器61では,冷媒(液体)は加熱されて蒸発する。そして,熱交換器61において蒸発させられた冷媒(蒸気)は,管路63を経て,熱交換器60に送られるが,管路63を通過する際に,冷媒(蒸気)の機械的エネルギーにより,タービン70が回転させられる。こうして得られる回転動力により,発電・冷却システム1のタービン46を回転駆動(あるいは,発電電動部47と共にタービン46を回転駆動)することが可能となる。
【0036】
このように発電・冷却システム1を,コージェネレーションの排熱を利用して回転動力を得る駆動システム3と組み合わせることによっても,排熱をカスケード利用して低温度まで利用することが可能となる。これにより,発電電動部47の回転に要するエネルギーを削減できる。
【0037】
なお,クラッチ72をOFFにすることにより,タービン46への回転動力の伝達を切ることも可能である。また,この駆動システム3において,図4中に点線で記入した管路75及び膨張弁76を設けることにより,駆動システム3を発電・冷却システム1と同様の構成にすることも可能である。
【0038】
以上,本発明の好ましい実施の形態の一例を示したが,本発明はここに例示した形態に限定されない。例えば,発電機と圧縮機の機能を兼ね備えた発電圧縮手段45を用いたが,発電機と圧縮機をそれぞれ別個に備えても良い(その場合,発電機と圧縮機に冷媒を選択的に供給できるように構成すると良い)。また,発電サイクルを行う場合,寒冷地で実施されている幹線道路などで除雪された雪を蓄熱槽21に投入しても良い。そうすれば,地方自治体や国道管理事務所などで行われる除雪作業とタイアップすることにより,冷熱源を安価に収集することが可能となる。また,雪や氷がないときは,別系統の冷熱を利用して発電してもよい。例えば夜間に氷を作り,それを利用して昼間に発電を行うことも可能である。また,取り出した回転動力によって発電を行わず,他の動力源に活用しても良い。更に,コージェネレーションシステムの排熱の他,清掃工場の排熱,その他の高温の都市排熱等を利用したり,他の設備で利用した後の排熱を更にカスケード利用することができる。その他,冷却塔からの冷却水に代えて,井水,河川水,雑用水(中水)なども利用できる。
【0039】
【実施例】
図3に示した発電・冷却システム1(コージェネレーションシステム2と組み合わせた発電・冷却システム1)について,発電サイクル時のエネルギーバランスを試算した。試算条件及び冷媒の状態点は,次の通りである。
使用冷媒:R−123
第1の蒸発器凝縮器10の出口において;熱媒水22の温度5℃,冷媒凝縮条件:温度8℃,圧力0.47kg/cm,エンタルピ 102kal/kg
送液ポンプ35の出口において;冷媒温度8℃,圧力2.5kg/cm,エンタルピ 102kal/kg
第2の蒸発器凝縮器11の出口(タービン46の入口に同じ)において;排熱温度60℃,冷媒蒸発条件:温度55℃,圧力2.5kg/cm,エンタルピ150kal/kg
タービン46の出口(第1の蒸発器凝縮器10の入口に同じ)において;冷媒温度8℃,圧力0.47kg/cm,エンタルピ 144kal/kg
【0040】
雪氷熱量500Rtの場合について試算したところ,以下の通りとなった。
冷媒循環量:36,000kg/h
第2の蒸発器凝縮器11の加熱量:1,728Mcal/h
発電量:290kW
発電効率:60℃低温排熱からみて約14%(発電効率は,排熱温度が高いほど(=冷媒蒸発圧力が高くなるため)高くなる。)
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば,冬季は雪氷や排熱などの未利用熱エネルギーを利用した発電システムを行い,冬季以外の時期は冷凍サイクルを行うといった可逆サイクルを実現できる。特に発電システムを行う場合,従来利用することが難しかった低温度レベルの温水を加熱源として利用でき,エネルギー価値の低い低温の熱エネルギーから付加価値の高い電気エネルギーを製造できる。また,低温度レベルの温水からも熱エネルギーを得るので,地球温暖化を防止できる。夏季などには,冷凍サイクルを行って冷房需要などに供することで,システムの利用向上がはかれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる発電・冷却システムの基本構成を示す説明図であり,発電サイクルを行う状態を示している。
【図2】本発明の実施の形態にかかる発電・冷却システムの基本構成を示す説明図であり,冷凍サイクルを行う状態を示している。
【図3】コージェネレーションシステムと組み合わせた発電・冷却システムの説明図である。
【図4】コージェネレーションの排熱を利用して回転動力を得る駆動システムと発電・冷却システムを組み合わせた形態の説明図である。
【符号の説明】
1 発電・冷却システム
10 第1の蒸発器凝縮器
11 第2の蒸発器凝縮器
12 第1の管路
13 第2の管路
14 第3の管路
35 送液ポンプ
40 膨張弁
45 発電圧縮手段
46 タービン
47 発電電動部

Claims (3)

  1. 冷媒を蒸発及び凝縮可能な第1の蒸発器凝縮器と第2の蒸発器凝縮器を備え,これら第1の蒸発器凝縮器と第2の蒸発器凝縮器の間に,第1の蒸発器凝縮器で凝縮された冷媒を第2の蒸発器凝縮器に送る第1の管路と,第2の蒸発器凝縮器で凝縮された冷媒を第1の蒸発器凝縮器に送る第2の管路を設け,これら第1の管路と第2の管路を選択可能に構成すると共に,第1の蒸発器凝縮器と第2の蒸発器凝縮器の間で蒸発された冷媒を送る第3の管路を設け,この第3の管路に,蒸発された冷媒の機械的エネルギーによって発電する発電機と,蒸発された冷媒を圧縮させる圧縮機を設け
    発電サイクルを行う場合は,蓄熱槽に自然界で作られた氷または雪を投入して冷却した熱媒水を用いることにより,第1の蒸発器凝縮器において,自然界の冷熱を利用して冷媒を凝縮させ,この第1の蒸発器凝縮器で凝縮させた冷媒を第1の管路を経て第2の蒸発器凝縮器に送り,第2の蒸発器凝縮器において,排熱を利用して冷媒を蒸発させ,この第2の蒸発器凝縮器で蒸発させた冷媒を第3の管路を経て第1の蒸発器凝縮器に送るに際し,蒸発された冷媒の機械的エネルギーによって発電し,
    冷凍サイクルを行う場合は,冷却塔で冷却した熱媒水を用いることにより,第2の蒸発器凝縮器において,自然界の冷熱を利用して冷媒を凝縮させ,この第2の蒸発器凝縮器で凝縮させた冷媒を第2の管路を経て第1の蒸発器凝縮器に送るに際し,膨張弁で減圧させ,第1の蒸発器凝縮器において,冷媒を蒸発させることにより,系外の熱媒を冷却し,この第1の蒸発器凝縮器で蒸発させた冷媒を第3の管路を経て第2の蒸発器凝縮器に送るに際し,圧縮することを特徴とする,発電・冷却システム。
  2. 請求項1の発電・冷却システムを運転する方法であって,蓄熱槽に自然界で作られた氷または雪を投入して冷却した熱媒水を用いることにより,第1の蒸発器凝縮器において,自然界の冷熱を利用して冷媒を凝縮させ,この第1の蒸発器凝縮器で凝縮させた冷媒を第1の管路を経て第2の蒸発器凝縮器に送り,第2の蒸発器凝縮器において,排熱を利用して冷媒を蒸発させ,この第2の蒸発器凝縮器で蒸発させた冷媒を第3の管路を経て第1の蒸発器凝縮器に送るに際し,蒸発された冷媒の機械的エネルギーによって発電することを特徴とする,運転方法。
  3. 請求項1の発電・冷却システムを運転する方法であって,冷却塔で冷却した熱媒水を用いることにより,第2の蒸発器凝縮器において,自然界の冷熱を利用して冷媒を凝縮させ,この第2の蒸発器凝縮器で凝縮させた冷媒を第2の管路を経て第1の蒸発器凝縮器に送るに際し,膨張弁で減圧させ,第1の蒸発器凝縮器において,冷媒を蒸発させることにより,系外の熱媒を冷却し,この第1の蒸発器凝縮器で蒸発させた冷媒を第3の管路を経て第2の蒸発器凝縮器に送るに際し,圧縮することを特徴とする,運転方法。
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