JP5014565B2 - 高純度v2o5及びその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、高純度V及びその製造方法に関する。
Ni−7wt%V合金は電子回路におけるバンプ用材料として注目されている材料である。一般に、このNi−7wt%V合金材料はスパッタリングにより微小薄膜回路上に形成されるが、回路が微小化するにしたがって、これらの材料から放出される放射線(α放射)が、わずかな量の電子電荷に悪影響を与えるという問題が指摘されている。
一般に、Ni−7wt%V合金の製造に際し、V原料はVを還元して得るものであるが、このV原料となる五酸化バナジウム(V)中に、U及びThが10〜0.5wtppm程度含有されている。
したがって、これらの原料に含有されるU、Thからの放射線が、薄膜回路に大きな障害となる可能性がある。
従来、Ni−7wt%V合金スパッタリングターゲットのアルファ放射が問題となっているという指摘の文献がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、この文献はターゲット中のアルファ放射を問題にするだけで、具体的に原料から低減させる提案はなく、また原料中のアルファ放射を引き起こす材料の除去という問題を提起している訳ではない。
この他、Vを5〜20wt%含有するNi合金からなるスパッタリングターゲットからなり、環境問題となるCrを含まない電極材料の提案(例えば、特許文献2参照)、
不純物を含む五酸化バナジウム及びメタバナジン酸アンモニウムからなる群から選ばれたバナジウム化合物をアルカリ又は中性条件下で溶媒に加熱溶解させた後、酸を加えて酸性条件下でバナジウムイオンを加熱重合させてトリバナジン酸アンモニウムを析出させ、濾液に不純物を抽出分離し、ついで精製されたトリバナジン酸アンモニウムを空気雰囲気下で400〜690°Cの温度で処理する提案(例えば、特許文献3参照)、廃触媒からのバナジウム等の回収方法(例えば、特許文献4、5参照)がある。
しかし、いずれもU、Thを極めて微量に低減する具体的方法を提示するものではなく、上記の問題を解決する具体的手段は無いに等しい。
特開2000−313954号公報 特開2000−169957号公報 特開平10−114525号公報 特公昭58−24383号公報 特開平5−156375号公報
本発明は、Ni−7wt%V合金等の材料を用いて、スパッタリングにより微小薄膜回路上に形成される電子材料の放射線(α放射)の発生を抑制するため、該材料の原料となる五酸化バナジウム(V)中のU、Thを減少させた高純度V及びその製造方法を提供するものであり、これによって電子回路等におけるわずかな量の電子電荷に悪影響を与えるアルファ線の問題を解決することを目的とする。
本発明は、1)U及びThが、それぞれ0.1wtppm以下であることを特徴とする高純度V、2)U及びThが、それぞれ0.01wtppm以下である高純度V、3)ガス成分を除く、その他の不純物の含有量合計が100wtppm以下である1)又は2)記載の高純度V、4)原料Vを酸溶解する工程、濾過後溶媒抽出を行う工程、結晶析出させる工程、からなる高純度Vの製造方法、を提供する。
本発明は、Ni−7wt%V合金等のスパッタリングターゲットの原材料となるVを高純度化し、U、Thを減少させることにより、スパッタリングにより微小薄膜回路上に形成される電子材料の放射線(α放射)の発生を抑制し、それによって電子回路等におけるわずかな量の電子電荷に悪影響を与えるアルファ線発生を防止できるという優れた効果を有する。
本発明は、原料Vを、まず塩酸水溶液又は硝酸水溶液で酸溶解する。V原料となる五酸化バナジウム(V)は2N(99wt%)レベル程度の純度のものを使用する。通常、この原料中に、U及びThが10〜0.5wtppm程度含有されている。これを酸で浸出する。酸は塩酸、硝酸などが好ましい。
次に、これを濾過し、濾過後酸化トリオクチルホスフィン(TOPO)等を用いて溶媒抽出を行う。
分液後、必要に応じて活性炭処理して有機物を除去する。次に、アンモニア等を用いて水酸化物を晶出させる。
このようにして得られた結晶を、純水を使用して洗浄及び濾過し、乾燥する。これによって、純度99.99wt%の高純度Vが得られる。
回収率は約50〜95%である。不純物のUは0.1wtppm以下、Th0.1wtppm以下の高純度Vが得られる。
この高純度Vは、金属Alにより還元することにより高純度Vを得ることができる。そして、このVをさらに電子ビーム溶解することにより、揮発性、低融点の不純物を除去できる。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想の範囲内で、実施例以外の態様あるいは変形を全て包含するものである。
(実施例1)
純度99wt%の原料V100gを、HNO:600ml、H:30ml、HO:1400mlの硝酸水溶液を用いて酸溶解した。この原料中に、Uが1.0wtppm、Thが0.5wtppm含有されていた。
次に、これを濾過して2000mlの溶液を得、濾過後TOPO10vol%−nパラフィン1000mlを使用して溶媒抽出を行った。抽出時1時間攪拌を行った。
分液後、酸洗浄した活性炭処理して有機物を除去した。次に、25%アンモニア水252mlを用いて中和を行い、pH2とした。これによって、黄土色の結晶(V)を得た。このようにして得られた結晶を、大気雰囲気炉等を使用して、300°C、10時間焙焼した。
これによって、純度99.99wt%の高純度V76.50gが得られた。回収率は76.50%であった。U<0.005wtppm、Th:0.005wtppmであった。このように、低U、ThのVを得ることができた。
(実施例2)
純度98wt%の原料V100gを、HNO:600ml、H:40ml、HO:1400mlの硝酸水溶液を用いて酸溶解した。この原料中に、Uが10wtppm、Thが2.0wtppm含有されていた。
次に、25%アンモニア水200mlを用いてpH調整を行った(3.16N→1.86N)。これを濾過して2000mlの溶液を得、濾過後TOPO10vol%−nパラフィン1000mlを使用して溶媒抽出を5回行った。抽出時1時間攪拌を行った。
分液後、酸洗浄した活性炭処理して有機物を除去した。次に、25%アンモニア水500mlを用いて中和を行い、pH8した。これによって、濃灰色の結晶(V)を得た。
このようにして得られた結晶を、純水2000mlを使用して2回洗浄し、濾過した。さらに、大気雰囲気炉等を使用して、500°C、5時間焙焼した。
これによって、純度99.9wt%の高純度V48.54gが得られた。回収率は48.54%であった。U:0.008wtppm、Th:0.007wtppmであった。このように、低U、ThのVを得ることができた。
(実施例3)
純度99.9wt%の原料V100gを、HCl:1000ml、H:150ml、HO:1000mlの硝酸水溶液を用いて酸溶解した。この原料中に、Uが0.5wtppm、Thが0.5wtppm含有されていた。
次に、これを濾過して2000mlの溶液を得、濾過後TOPO10vol%−nパラフィン1000mlを使用して溶媒抽出を行った。抽出時1時間攪拌を行った。
分液後、酸洗浄した活性炭処理して有機物を除去した。次に、25%アンモニア水252ml+H150mlを用いて中和を行い、pH2とした。これによって、黄土色の結晶(V)を得た。これは濾過性が極めて良好であった。
このようにして得られた結晶を、大気雰囲気炉等を使用して、900°C、1時間焙焼した。これによって、純度99.99wt%の高純度V81.34gが得られた。回収率は81.34%であった。U<0.005wtppm、Th<0.005wtppmであった。
このように、低U、ThのVを得ることができた。
(比較例1)
実施例1と同様の純度99wt%の原料を使用し、この原料を酸溶解後、溶媒抽出を行わずに、中和してVを得た。しかし、U:0.9wtppm、Th:0.4wtppmであり、殆ど除去できなかった。
本発明は、上記のように低U、ThのVを得ることができので、この材料を使用してNi−7wt%V合金等のスパッタリングターゲットを得ることが可能であり、スパッタリングにより微小薄膜回路上に形成される電子材料の放射線(α放射)の発生を効果的に抑制できる電子回路等の材料に適用できる。
精製高純度Vの製造方法のフローを示す図である。

Claims (2)

  1. 原料Vを酸溶解する工程、酸溶解した液を濾過後溶媒抽出する工程、溶媒抽出後活性炭処理して有機物を除去する工程、アンモニア水を用いて水酸化物の結晶を析出させる工程及び大気雰囲気下で焙焼する工程からなり、ガス成分を除く、その他の不純物の含有量合計が100wtppm以下であることを特徴とする高純度Vの製造方法。
  2. U及びThが、それぞれ0.1wtppm以下であることを特徴とする請求項1記載の高純度Vの製造方法。
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