JP6030005B2 - 白金族元素の回収方法 - Google Patents
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1)白金族元素を含む合金を硝酸溶液で浸出し濾別することで白金族元素を主成分とする残渣と非白金族元素を主成分とする浸出液に分離する工程と、該白金族元素を主成分とする残渣を塩酸と酸化剤とからなる混合溶液で溶解することで白金族元素を白金族元素イオンの塩化物錯体に転換する工程と、該白金族元素イオンの塩化物錯体を含有する溶液に1価カチオンの塩化物を添加することで白金族元素の晶析物を析出させて、これを濾別回収する工程、とからなることを特徴とする白金族元素の回収方法、
2)前記白金族元素が、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウムからなる群から選択した一種以上の元素であることを特徴とする上記1)記載の白金族元素の回収方法、
3)前記非白金族元素が、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ホウ素からなる群から選択した一種以上の元素であることを特徴とする上記1)又は2)記載の白金族元素の回収方法、
4)白金族元素を含む合金を硝酸溶液で浸出し濾別することで白金族元素を主成分とする残渣と非白金族元素を主成分とする浸出液に分離する工程において、該硝酸溶液の濃度をpH0〜2となるように調整することを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一に記載の白金族元素の回収方法、
5)白金族元素を含む合金を硝酸溶液で浸出し濾別することで白金族元素を主成分とする残渣と非白金族元素を主成分とする浸出液に分離する工程において、該硝酸溶液に連続的または断続的に硝酸を添加することで硝酸濃度を調整することを特徴とする上記4)記載の白金族元素の回収方法、
6)白金族元素を含む合金を硝酸溶液で浸出し濾別することで白金族元素を主成分とする残渣と非白金族元素を主成分とする浸出液に分離する工程において、該硝酸溶液の温度を50〜100℃となるように制御することを特徴とする上記1)〜5)のいずれか一に記載の白金族元素の回収方法、
7)白金族元素を含む合金を硝酸溶液で浸出し濾別することで白金族元素を主成分とする残渣と非白金族元素を主成分とする浸出液に分離する工程において、濾別した浸出液中の白金族元素の濃度が500mg/L以下であることを特徴とする上記1)〜6)のいずれか一に記載の白金族元素の回収方法、
8)該白金族元素を主成分とする残渣を塩酸と酸化剤とからなる混合溶液で溶解することで白金族元素を白金族元素イオンの塩化物錯体に転換する工程において、該混合溶液の温度を30〜100℃となるように制御することを特徴とする上記1)〜7)のいずれか一に記載の白金族元素の回収方法、
9)該白金族元素を主成分とする残渣を塩酸と酸化剤とからなる混合溶液で溶解することで白金族元素を白金族元素イオンの塩化物錯体に転換する工程において、該酸化剤が、過酸化水素水、次亜塩素酸イオンを含む溶液、過炭酸ナトリウム、オゾンを含む溶液、塩素ガス及び塩素ガスを含む溶液の群から選択した一種以上の酸化剤であることを特徴とする上記1)〜8)のいずれか一に記載の白金族元素の回収方法、
10)該白金族元素イオンの塩化物錯体を含有する溶液に1価カチオンの塩化物を添加することで白金族元素の晶析物を析出させて、これを濾別回収する工程において、該1価カチオンの塩化物が、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、塩化アンモニウムの群から選択した一種以上の塩化物であることを特徴とする上記1)〜9)のいずれか一に記載の白金族元素回収方法、
11)さらに、該晶析物を大気中又は不活性ガス雰囲気中、400〜1200℃で焙焼することで白金族元素を回収する工程からなることを特徴とする上記1)〜10)にいずれか一に記載の白金族元素の回収方法、を提供する。
Ni−Pt−Ir合金を純水に浸漬した後、液温80℃に維持しながらpH0〜2になるように硝酸を連続的又は断続的に添加した。これにより、白金族元素(Pt、Ir)が沈殿し、非白金族元素(Ni)が浸出した。pH変動がなくなった後、硝酸の添加を停止し、濾過を行って白金族元素と非白金族元素を分離した。このとき、濾液に含まれる白金族元素(Pt、Ir)の濃度は、1mg/L未満であった。
次に、白金族元素を主成分とする濾過残渣に、塩酸と過酸化水素の混合溶液を添加し、液温80℃となるように加熱して、濾過残渣を全て溶解し、白金族元素イオンの塩化物錯体を形成した。このとき、溶液に含まれる白金族元素(Pt、Ir)の濃度は50g/Lであり、また、非白金族元素(Ni)の濃度は10g/Lであった。
その後、この白金族元素イオンの塩化物錯体の溶液に、塩化アンモニウムを添加し、数時間経過後、白金族元素のアンモニウム結晶を析出した。これを濾過して、液中に生成した晶析物を濾別した。さらに、この白金族元素の晶析物を水素雰囲気中、700℃で2時間加熱処理することにより、高純度の白金族元素を回収した。
この回収した白金族元素に対して、GDMS(グロー放電質量分析)を行った結果、主な不純物であるNiの含有量が20wtppm未満であった。また、その他の不純物含有量も合計で50wtpp未満であった。そして、濾液に含まれる白金族元素の含有量は500wtppm未満であり、白金族元素の回収率は90%以上であった。
Cr−Fe−Co−Cu−B−Ru−Pd合金を純水に浸漬した後、液温100℃に維持しながらpH0〜2になるように硝酸を連続的又は断続的に添加した。これにより、白金族元素(Ru、Pd)が沈殿し、非白金族元素(Cr、Fe、Co、Cu、B)が浸出した。pH変動がなくなった後、硝酸の添加を停止し、濾過を行って白金族元素と非白金族元素を分離した。このとき、濾液に含まれる白金族元素(Ru、Pd)の濃度は、1mg/L未満であった。
次に、白金族元素を主成分とする濾過残渣に、塩酸と過酸化水素の混合溶液を添加し、液温100℃となるように加熱して、濾過残渣を全て溶解し、白金族元素イオンの塩化物錯体を形成した。このとき、溶液に含まれる白金族元素(Ru、Pd)の濃度は30g/Lであり、また、非白金族元素(Cr、Fe、Co、Cu、B)の濃度は10g/Lであった。
その後、この白金族元素イオンの塩化物錯体の溶液に、塩化アンモニウムを添加し、数時間経過後、白金族元素のアンモニウム結晶を析出した。これを濾過して、液中に生成した晶析物を濾別した。さらに、この白金族元素の晶析物を水素雰囲気中、1200℃で2時間加熱処理することにより、高純度の白金族元素を回収した。
この回収した白金族元素に対して、GDMS(グロー放電質量分析)を行った結果、主な不純物であるCr、Fe、Co、Cu、Bの合計含有量が100wtppm未満であった。また、その他の不純物含有量も合計で500wtpp未満であった。そして、濾液に含まれる白金族元素の含有量は500wtppm未満であり、白金族元素の回収率は90%以上であった。
Mn−Ni−Ru−Ir合金を純水に浸漬した後、液温50℃に維持しながらpH0〜2になるように硝酸を連続的又は断続的に添加した。これにより、白金族元素(Ru、Ir)が沈殿し、非白金族元素(Mn、Ni)が浸出した。pH変動がなくなった後、硝酸の添加を停止し、濾過を行って白金族元素と非白金族元素を分離した。このとき、濾液に含まれる白金族元素(Ru、Ir)の濃度は、1mg/L未満であった。
次に、白金族元素を主成分とする濾過残渣に、塩酸と過酸化水素の混合溶液を添加し、液温30℃となるように加熱して、濾過残渣を全て溶解し、白金族元素イオンの塩化物錯体を形成した。このとき、溶液に含まれる白金族元素(Ru、Ir)の濃度は30g/Lであり、また、非白金族元素(Mn、Ni)の濃度は3g/Lであった。
その後、この白金族元素イオンの塩化物錯体の溶液に、塩化アンモニウムを添加し、数時間経過後、白金族元素のアンモニウム結晶を析出した。これを濾過して、液中に生成した晶析物を濾別した。さらに、この白金族元素の晶析物を水素雰囲気中、1200℃で2時間加熱処理することにより、高純度の白金族元素を回収した。
この回収した白金族元素に対して、GDMS(グロー放電質量分析)を行った結果、主な不純物であるMn、Niの合計含有量が50wtppm未満であった。また、その他の不純物含有量も合計で100wtpp未満であった。そして、濾液に含まれる白金族元素の含有量は500wtppm未満であり、白金族元素の回収率は、90%以上であった。
Mn−Ni−Rh合金を純水に浸漬した後、液温80℃に維持しながらpH0〜2になるように硝酸を連続的又は断続的に添加した。これにより、白金族元素(Rh)が沈殿し、非白金族元素(Mn、Ni)が浸出した。pH変動がなくなった後、硝酸の添加を停止し、濾過を行って白金族元素と非白金族元素を分離した。このとき、濾液に含まれる白金族元素(Rh)の濃度は、1mg/L未満であった。
次に、白金族元素を主成分とする濾過残渣に、塩酸と過酸化水素の混合溶液を添加し、液温80℃となるように加熱して、濾過残渣を全て溶解し、白金族元素イオンの塩化物錯体を形成した。このとき、溶液に含まれる白金族元素(Rh)の濃度は20g/Lであり、また、非白金族元素(Mn、Ni)の濃度は3g/Lであった。
その後、この白金族元素イオンの塩化物錯体の溶液に、塩化アンモニウムを添加し、数時間経過後、白金族元素のアンモニウム結晶を析出した。これを濾過して、液中に生成した晶析物を濾別した。さらに、この白金族元素の晶析物を水素雰囲気中、700℃で2時間加熱処理することにより、高純度の白金族元素を回収した。
この回収した白金族元素に対して、GDMS(グロー放電質量分析)を行った結果、主な不純物であるMn、Niの合計含有量が20wtppm未満であった。また、その他の不純物含有量も合計で50wtpp未満であった。そして、濾液に含まれる白金族元素の含有量は500wtppm未満であり、白金族元素の回収率は、90%以上であった。
Fe−Ni−Co−Pt合金を純水に浸漬した後、液温90℃に維持しながらpH0〜2になるように硝酸を連続的又は断続的に添加した。これにより、白金が沈殿し、非白金族元素(Fe、Ni、Co)が浸出した。pH変動がなくなった後、硝酸の添加を停止し、濾過を行って白金族元素と非白金族元素を分離した。このとき、濾液に含まれる白金元素の濃度は、1mg/L未満であった。
次に、白金元素を主成分とする濾過残渣に、塩酸と過酸化水素の混合溶液を添加し、液温90℃となるように加熱して、濾過残渣を全て溶解し、白金族元素イオンの塩化物錯体を形成した。このとき、溶液に含まれる白金元素の濃度は50g/Lであり、また、非白金族元素(Fe、Ni、Co)の濃度は10g/Lであった。
その後、この白金元素イオンの塩化物錯体の溶液に、塩化アンモニウムを添加し、数時間経過後、白金元素のアンモニウム結晶を析出した。これを濾過して、液中に生成した晶析物を濾別した。さらに、この白金元素の晶析物を大気雰囲気中、800℃で2時間加熱処理することにより、高純度の白金元素を回収した。
この回収した白金元素に対して、GDMS(グロー放電質量分析)を行った結果、主な不純物であるFe、Ni、Coの合計含有量が20wtppm未満であった。また、その他の不純物含有量も合計で50wtpp未満であった。そして、濾液に含まれる白金族元素の含有量は500wtppm未満であり、白金族元素の回収率は90%以上であった。
Ni−Pt−Ir合金を純水に浸漬した後、液温40℃に維持しながらpH0〜2になるように硝酸を連続的又は断続的に添加した。これにより、白金族元素(Rt、Ir)が沈殿し、非白金族元素(Ni)が浸出した。pH変動がなくなった後、硝酸の添加を停止し、濾過を行って白金族元素と非白金族元素を分離した。
比較例1では、pHの変動がなくなった時点において、合金の50%近くが未溶解のままで残った。次に、白金族元素を主成分とする濾過残渣に、塩酸と過酸化水素の混合溶液を添加し、液温80℃となるように加熱して、濾過残渣を全て溶解し、白金族元素イオンの塩化物錯体を形成した。このとき、溶液に含まれる白金族元素(Pt、Ir)の濃度は20g/Lであった。
その後、この白金族元素イオンの塩化物錯体の溶液に、塩化アンモニウムを添加し、数時間経過後、白金族元素のアンモニウム結晶を析出した。これを濾過して、液中に生成した晶析物を濾別した。さらに、この白金族元素の晶析物を水素雰囲気中、700℃で2時間加熱処理することにより、白金族元素を回収した。この回収した白金族元素に対して、GDMS(グロー放電質量分析)を行った結果、主な不純物であるNiの含有量が1000wtppm以上含まれていた。
以上から、硝酸溶液の液温が比較的低い場合には、非白金族元素の浸出が十分に行われず、回収した白金族元素の純度が低下した。但し、このような溶解温度であっても、白金族元素の分離回収は可能である。
Ni−Pt−Ir合金を純水に浸漬した後、液温80℃に維持しながらpHマイナスになるように硝酸を連続的又は断続的に添加した。これにより、白金族元素(Pt、Ir)が沈殿し、非白金族元素(Ni)が浸出した。pHの変動がなくなった後、硝酸の添加を停止し、濾過を行って白金族元素と非白金族元素を分離した。このとき、濾液に含まれる白金族元素(Pt、Ir)の濃度は、500mg/L以上であった。
以上から、硝酸溶液のpHが比較的低い場合には、白金族元素も若干浸出してしまい、白金族元素の回収率が低下した。但し、このような硝酸濃度であっても、白金族元素の分離回収は可能である。
Claims (11)
- 白金族元素を含む合金を硝酸溶液で浸出し濾別することで白金族元素を主成分とする残渣と非白金族元素を主成分とする浸出液に分離する工程と、該白金族元素を主成分とする残渣を塩酸と酸化剤とからなる混合溶液で溶解することで白金族元素を白金族元素イオンの塩化物錯体に転換する工程と、該白金族元素イオンの塩化物錯体を含有する溶液に1価カチオンの塩化物を添加することで白金族元素の晶析物を析出させて、これを濾別回収する工程、とからなり、得られる白金族元素の純度が99.9wt%以上であることを特徴とする白金族元素の回収方法。
- 前記白金族元素が、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウムからなる群から選択した一種以上の元素であることを特徴とする請求項1に記載の白金族元素の回収方法。
- 前記非白金族元素が、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ホウ素からなる群から選択した一種以上の元素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の白金族元素の回収方法。
- 白金族元素を含む合金を硝酸溶液で浸出し濾別することで白金族元素を主成分とする残渣と非白金族元素を主成分とする浸出液に分離する工程において、該硝酸溶液の濃度をpH0〜2となるように調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の白金族元素の回収方法。
- 白金族元素を含む合金を硝酸溶液で浸出し濾別することで白金族元素を主成分とする残渣と非白金族元素を主成分とする浸出液に分離する工程において、該硝酸溶液に連続的または断続的に硝酸を添加することで硝酸濃度を調整することを特徴とする請求項4に記載の白金族元素の回収方法。
- 白金族元素を含む合金を硝酸溶液で浸出し濾別することで白金族元素を主成分とする残渣と非白金族元素を主成分とする浸出液に分離する工程において、該硝酸溶液の温度を50〜100℃となるように制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の白金族元素の回収方法。
- 白金族元素を含む合金を硝酸溶液で浸出し濾別することで白金族元素を主成分とする残渣と非白金族元素を主成分とする浸出液に分離する工程において、濾別した浸出液中の白金族元素の濃度が500mg/L以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の白金族元素の回収方法。
- 該白金族元素を主成分とする残渣を塩酸と酸化剤とからなる混合溶液で溶解することで白金族元素を白金族元素イオンの塩化物錯体に転換する工程において、該混合溶液の温度を30〜100℃となるように制御することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の白金族元素の回収方法。
- 該白金族元素を主成分とする残渣を塩酸と酸化剤とからなる混合溶液で溶解することで白金族元素を白金族元素イオンの塩化物錯体に転換する工程において、該酸化剤が、過酸化水素水、次亜塩素酸イオンを含む溶液、過炭酸ナトリウム、オゾンを含む溶液、塩素ガス及び塩素ガスを含む溶液の群から選択した一種以上の酸化剤であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の白金族元素の回収方法。
- 該白金族元素イオンの塩化物錯体を含有する溶液に1価カチオンの塩化物を添加することで白金族元素の晶析物を析出させて、これを濾別回収する工程において、該1価カチオンの塩化物が、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、塩化アンモニウムの群から選択した一種以上の塩化物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の白金族元素回収方法。
- さらに、該晶析物を大気中、水素雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中、400〜1200℃で焙焼することで白金族元素を回収する工程からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の白金族元素の回収方法。
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