JP5447824B2 - 亜硝酸ロジウム錯イオン溶液の精製方法と、そのアンモニウム塩の製造方法。 - Google Patents
亜硝酸ロジウム錯イオン溶液の精製方法と、そのアンモニウム塩の製造方法。 Download PDFInfo
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Description
〔1〕ロジウム含有溶液に亜硝酸塩を加えて亜硝酸ロジウム錯イオン溶液を回収する工程において、アンモニウムイオンを含むロジウム含有溶液について、pH1以上に調整した後に亜硝酸塩を添加し、液温40℃以下、pH7以下を維持して、1時間以上攪拌して亜硝酸ロジウム錯イオンの生成とアンモニウムイオンの分解を進め、次に、液温を70℃以上に上げて1時間以上攪拌して亜硝酸ロジウム錯イオンの生成をさらに進めると共に溶存金属を沈澱化し、生成した沈殿物を固液分離して精製された亜硝酸ロジウム錯イオン溶液を回収することを特徴とするロジウム含有溶液の精製方法。
〔2〕上記[1]に記載する方法によって精製した亜硝酸ロジウム錯イオン溶液にアンモニウム塩を添加して亜硝酸ロジウムアンモニウムを生成させる亜硝酸ロジウム塩の製造方法。
〔3〕上記[2]の方法によって回収した亜硝酸ロジウムアンモニウムを溶解し、該溶液に亜硝酸塩を添加し、液温およびpHを上記範囲に調整して再びアンモニウムイオン分解工程および亜硝酸化工程を進め、生成した沈殿物を固液分離する精製処理を繰り返すロジウム含有溶液の精製方法。
本発明の精製方法の概略を図1に示す。図示するように、本発明の精製方法は、ロジウム含有溶液に亜硝酸塩を加えて亜硝酸ロジウム錯イオン溶液を回収する工程において、アンモニウムイオンを含むロジウム含有溶液について、pH1以上に調整した後に亜硝酸塩を添加し、液温40℃以下、pH7以下を維持して、1時間以上攪拌して亜硝酸ロジウム錯イオンの生成とアンモニウムイオンの分解を進め、次に、液温を70℃以上に上げて1時間以上攪拌して亜硝酸ロジウム錯イオンの生成をさらに進めると共に溶存金属を沈澱化し、生成した沈殿物を固液分離して精製された亜硝酸ロジウム錯イオン溶液を回収することを特徴とするロジウム含有溶液の精製方法である。
ロジウム含有溶液としては、例えば、銅製錬の脱銅電解スライムの塩酸浸出液から金、白金族元素などの貴金属、およびセレン、テルルなどを回収した処理残渣をさらに塩酸浸出した溶液などを用いることができる。この塩酸浸出液にはロジウムなどの白金族元素が含まれている。また、自動車排ガス処理触媒などの使用済み廃触媒には白金族元素が含まれており、この浸出液などを用いることができる。
本発明の精製方法は、第一段階として、アンモニウムイオンを含むロジウム含有溶液について、pH1以上に調整した後、亜硝酸塩を添加して液温40℃以下、pH7以下に維持しながら、1時間以上攪拌して反応させる。ロジウム含有溶液に亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウム等)を添加すると、ロジウムイオン(Rh3+等)が亜硝酸イオン(NO2 -)と反応して亜硝酸ロジウム錯イオン〔Rh(NO2)6 3-〕を生成する(亜硝酸化反応)。また、上記溶液に含まれるベースメタル等の不純物が加水分解して水酸化物になり沈澱する。
本発明の精製方法は、第二段階として液温を70℃以上に高めて、1時間以上攪拌する。液温を高めて反応させることによって、ロジウムイオンの亜硝酸化が十分に進む。また、溶液中に含まれているベースメタル等の加水分解による析出が進むので、ベースメタル等の不純物を十分に除去することができる。
冷却後、生成した沈澱物を固液分離することによってベースメタル等の不純物が除去され、純度の高い精製された亜硝酸ロジウム錯イオン溶液を得ることができる。
精製された亜硝酸ロジウム錯イオン溶液(pH5〜9)にアンモニウム塩を添加して亜硝酸ロジウムアンモニウム〔(NH4)3Rh(NO2)6〕を析出させる。アンモニウム塩としては塩化アンモニウム(NH4Cl)などを用いることができる。析出した亜硝酸ロジウムアンモニウムを固液分離して回収する。亜硝酸ロジウムアンモニウムはロジウムブラックの原料となり、ロジウムブラックを還元雰囲気で焼成することによって金属ロジウムを得ることができる。
回収した亜硝酸ロジウムアンモニウムを塩酸性溶液に溶解し、この溶液に再び亜硝酸塩を加え、上記精製処理(アンモニウムイオン分解工程および亜硝酸化工程)を繰り返すことによって、亜硝酸ロジウムアンモニウムの純度を高めることができる。この再精製処理を繰り返しても、溶存するアンモニウムイオンを十分に分解して亜硝酸化を進めるので、ロジウムの損失を防ぐことができ、ロジウムの高い回収率を維持することができる。
〔実施例1〕
アンモニウムイオンを含むロジウム含有溶液(Rh:16.2g/l)100mlに水酸化ナトリウムを添加してpH2に調整した。このロジウム含有溶液190mlに、亜硝酸ナトリウム26.2gを添加し、液温40℃で1時間撹拌した。この溶液のpHは4.5であった。次いで、液温が70℃になるまで加熱して、さらに1時間撹拌した。生成した沈殿物を固液分離し、亜硝酸ロジウム錯イオン溶液185mlを得た。この溶液の(Rh3+)濃度は8710mg/l、不純物濃度80mg/l、沈殿物中のロジウム含有量は6.9mgであった。このときロジウムの回収率は99.5%であった。
実施例1と同様の第一工程のアンモニウムイオンを含むロジウム含有溶液について、第一工程の亜硝酸ナトリウム添加量、pHおよび液温、第二工程の液温を表1に示すように調整した以外は実施例1と同様にして反応させて沈殿物を固液分離した。精製された濾液を回収し、この濾液に塩化アンモニウムを加えて亜硝酸ロジウムアンモニウムを沈澱させ、固液分離して回収した。この亜硝酸ロジウムアンモニウムを6N塩酸100mlに溶解して完全に溶解した後にpH2に調整した。この溶液に亜硝酸ナトリウムを添加して本発明の第一工程および第二工程の反応を繰り返した。
アンモニウムイオンを含むロジウム含有溶液(Rh:16.2g/l)100mlに水酸化ナトリウムを添加してpH2に調整した。このロジウム含有溶液190mlに亜硝酸ナトリウム26.2gを添加し、第一工程のpHおよび液温、第二工程の液温を表1に示すように調整して反応させ、沈殿物を固液分離して、精製された濾液を回収した。この精製濾液180mlに塩化アンモニウム9.7gを加えて亜硝酸ロジウムアンモニウムを沈澱させ、固液分離して回収した。この回収した亜硝酸ロジウムアンモニウム7.1gを6N塩酸100mlに溶解し、完全に溶解した後、水酸化ナトリウムを添加してpH2に調整した。この亜硝酸ロジウムアンモニウム溶解液180mlに亜硝酸ナトリウム24.9gを添加して本発明の第一工程および第二工程を前回と同様のpHおよび液温で繰り返した。
アンモニウムイオン分解工程のpHおよび液温、亜硝酸化の液温を表1に示すように調整した以外は実施例1と同様にし、ロジウム含有溶液(Rh:16.2g/l)100mlをpH2に調整した。このロジウム含有溶液195mlに亜硝酸ナトリウム26.9gを添加して反応させた。
Claims (3)
- ロジウム含有溶液に亜硝酸塩を加えて亜硝酸ロジウム錯イオン溶液を回収する工程において、アンモニウムイオンを含むロジウム含有溶液について、pH1以上に調整した後に亜硝酸塩を添加し、液温40℃以下、pH7以下を維持して、1時間以上攪拌して亜硝酸ロジウム錯イオンの生成とアンモニウムイオンの分解を進め、次に、液温を70℃以上に上げて1時間以上攪拌して亜硝酸ロジウム錯イオンの生成をさらに進めると共に溶存金属を沈澱化し、生成した沈殿物を固液分離して精製された亜硝酸ロジウム錯イオン溶液を回収することを特徴とするロジウム含有溶液の精製方法。
- 請求項1に記載する方法によって精製した亜硝酸ロジウム錯イオン溶液にアンモニウム塩を添加して亜硝酸ロジウムアンモニウムを生成させる亜硝酸ロジウム塩の製造方法。
- 請求項2の方法によって回収した亜硝酸ロジウムアンモニウムを溶解し、該溶液に亜硝酸塩を添加し、液温およびpHを上記範囲に調整して再びアンモニウムイオン分解工程および亜硝酸化工程を進め、生成した沈殿物を固液分離する精製処理を繰り返すロジウム含有溶液の精製方法。
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