JP2006001817A - ニッケルとコバルトを含む混合水酸化物の還元溶解方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ニッケルとコバルトを含む混合水酸化物を硫酸溶解してニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液を製造する方法において、硫酸に未溶解のニッケル及びコバルト水酸化物を亜硫酸ガスを用いて還元溶解するに際して、ガス反応効率を高め亜硫酸ガスの使用量を節減し、かつニッケルとコバルトを高収率で溶解することができる還元溶解方法を提供する。
【解決手段】混合水酸化物のスラリーに硫酸を添加した後、その硫酸を添加したスラリーを複数個の連結した反応槽からなる多段式溶解装置に通液し、該装置の各反応槽において複数種のSO2濃度の異なるガスと接触させ、かつその際に該装置の最前段の反応槽にSO2濃度の最も低いガスを吹込む一方、最後段の反応槽にSO2濃度の最も高いガスを吹込むことを特徴とするニッケルとコバルトを含む混合水酸化物の還元溶解方法などによって提供される。
【選択図】なし
【解決手段】混合水酸化物のスラリーに硫酸を添加した後、その硫酸を添加したスラリーを複数個の連結した反応槽からなる多段式溶解装置に通液し、該装置の各反応槽において複数種のSO2濃度の異なるガスと接触させ、かつその際に該装置の最前段の反応槽にSO2濃度の最も低いガスを吹込む一方、最後段の反応槽にSO2濃度の最も高いガスを吹込むことを特徴とするニッケルとコバルトを含む混合水酸化物の還元溶解方法などによって提供される。
【選択図】なし
Description
本発明は、ニッケルとコバルトを含む混合水酸化物の還元溶解方法に関し、さらに詳しくは、ニッケルとコバルトを含む混合水酸化物を硫酸溶解してニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液を製造する方法において、硫酸に未溶解のニッケル及びコバルト水酸化物を亜硫酸ガスを用いて還元溶解するに際して、ガス反応効率を高め亜硫酸ガスの使用量を節減し、かつニッケルとコバルトを高収率で溶解することができる還元溶解方法に関する。
ニッケルとコバルトを含む混合水酸化物は、ニッケル塩類、特に硫酸ニッケルの製造原料として使用されている。ニッケル塩類は、一般電解めっきの他、ハードディスク用の無電解めっき等のめっき原料、触媒、電池材料などとして使用されているが、近年、より高純度なニッケル塩類が市場から求められるようになっている。したがって、ニッケル塩類として、最も広く使用される硫酸ニッケルの製造においては、ニッケルを含む原料を溶解して得られる粗硫酸ニッケル水溶液からの不純物元素の除去が、非常に重要になっている。この中で、特に不純物元素として、鉄、銅、亜鉛等の金属元素と塩素等の軽金属が含有されていない高純度なニッケル塩類が望まれている。
従来、硫酸ニッケルの製造においては、例えば、以下の方法で不純物元素の除去が行われる。まず、ニッケルを含む原料を硫酸に溶解して、得られる粗硫酸ニッケル水溶液中の鉄、銅、コバルトなどの不純物元素を除去する。次に、不純物元素を除去した水溶液を加熱蒸発させることにより濃縮し、続いて冷却して硫酸ニッケルの結晶を析出させる。高純度な硫酸ニッケルを製造するためには、晶析前の硫酸ニッケル水溶液中の不純物元素を低下させることが重要である。通常、硫酸ニッケルの製造の原料には、ニッケルの他に鉄、銅、亜鉛などの金属不純物元素が含まれており、さらにニッケルの浸出工程又は精製分離工程での酸化剤等による塩素等が含まれる。これら不純物元素は、原料を溶解するときにニッケルとともに溶解液に浸出されるので、金属カチオンとともに、塩素イオン等のア二オンも完全に除去されなければ高純度の硫酸ニッケル水溶液は得られない。
金属カチオンの除去方法としては、沈殿法、溶媒抽出法、イオン交換法など種々の方法が提案されており、粗硫酸ニッケル水溶液からは比較的容易に除去することができる。
一方、塩素イオン等は、一般に除去が困難である。例えば、電解酸化により液中の塩素イオンを除去する方法が試みられているが、電流効率及びニッケル収率の問題があり実用的でない。したがって、塩素の効率的な除去手段が求められていた。
一方、塩素イオン等は、一般に除去が困難である。例えば、電解酸化により液中の塩素イオンを除去する方法が試みられているが、電流効率及びニッケル収率の問題があり実用的でない。したがって、塩素の効率的な除去手段が求められていた。
ところで、硫酸ニッケルの製造の原料としては、粗硫酸ニッケル、ニッケルマット、ニッケル金属等の比較的コバルト濃度が低い原料のほかに、ニッケルとコバルトの混合水酸化物のようなコバルト濃度が高い原料が用いられている。近年、ニッケル精錬の原料として、従来から用いられていたニッケルマットのほか、コバルト含有率の高いニッケル酸化鉱が注目されている。したがって、今後、硫酸ニッケルの製造の原料として、ニッケル精錬のコバルト除去工程から得られる混合水酸化物の使用割合が増加することが予想される。
前記ニッケル精錬では、その主製品は金属ニッケルであり、ニッケル精錬方法としては、例えば、硫化物原料を塩素浸出し、得られた浸出生成液からコバルトを除去してニッケル精製液を得て、その後電解採取法等でニッケルを回収する方法が用いられる。この際、コバルトをニッケル水溶液から分離回収する方法として、塩素ガスを用いてコバルトイオンと鉄イオンを酸化して3価とし、その後中和して水酸化物として分離する酸化中和法が広く実施されている。
この方法によれば、コバルトおよび鉄は水酸化第二コバルトおよび鉄として沈殿している。また、水溶液中のコバルト及び鉄を十分に分離除去する条件で行うと、ニッケルの一部が酸化され、水酸化第二ニッケルとして共沈殿する。このとき、酸化剤として塩素を使用することから、一部のコバルト及び鉄は塩素を含む化合物として沈殿し、また、澱物には塩素イオンを含む母液の付着もあるので、得られる混合水酸化物は高濃度で塩素を含有する。
このような混合水酸化物を硫酸ニッケルの製造原料として、有利に使用するためには、該混合水酸化物の溶解工程において塩素を除去するとともにニッケルとコバルトの高溶解収率を得ることが求められる。この対策として、塩素を気化除去するとともに混合水酸化物を溶解する方法が提案されている。例えば、水酸化第二ニッケルと、水酸化第二コバルトとを含む混合水酸化物をスラリー化し、該スラリーに硫酸を添加して温度60℃以上で溶液pHが2.0以下となるように制御しながら溶解させ、塩素分を除去する方法(例えば、特許文献1参照)がある。この提案によって、低塩素濃度のニッケル及びコバルトの混合硫酸水溶液が得られ、ニッケル及びコバルトの30〜90%を溶解することができるが、この方法はスラリー中に残存する塩素を除去することを目的としているため、酸化還元電位が高く、特に水酸化第二コバルトの溶解性が低く、未溶解のニッケル及びコバルト水酸化物が残留するという課題があった。
一方、この解決策として、本出願人による特願2003−352383では、未溶解のニッケル及びコバルト水酸化物を含むスラリーに硫酸と亜硫酸ガス等の還元剤を添加して、pHと酸化還元電位を調整して、溶解する方法が開示されている。これによって、ニッケル及びコバルトを高収率で回収することができる。しかしながら、晶析を含むプロセス全体として経済的に有利な還元剤として亜硫酸ガスを用いた場合にも、低コスト化のための課題がある。例えば、未溶解のニッケル及びコバルト水酸化物を充分に溶解させるためには反応当量以上の過剰なガス吹き込みが必要となり、余剰ガスが気相に逃れるので反応効率を悪化させる。
以上の状況から、前記混合水酸化物から、ニッケルとコバルトを高収率かつ低コストで溶解する方法が求められている。
特開2000−203848号公報(第1〜6頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、ニッケルとコバルトを含む混合水酸化物を硫酸溶解してニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液を製造する方法において、硫酸に未溶解のニッケル及びコバルト水酸化物を亜硫酸ガスを用いて還元溶解するに際して、ガス反応効率を高め亜硫酸ガスの使用量を節減し、かつニッケルとコバルトを高収率で溶解することができる還元溶解方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、ニッケルとコバルトを含む混合水酸化物を硫酸溶解してニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液を製造する方法において、亜硫酸ガスの効率的な添加方法について、鋭意研究を重ねた結果、前記混合水酸化物のスラリーに硫酸を添加した後、そのスラリーを特定の条件で亜硫酸ガスと接触させたところ、亜硫酸ガスのガス反応効率が高くなることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ニッケルとコバルトを含む混合水酸化物を硫酸溶解してニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液を製造する方法において、
前記混合水酸化物のスラリーに硫酸を添加した後、その硫酸を添加したスラリーを複数個の連結した反応槽からなる多段式溶解装置に通液し、該装置の各反応槽において複数種のSO2濃度の異なるガスと接触させ、かつその際に該装置の最前段の反応槽にSO2濃度の最も低いガスを吹込む一方、最後段の反応槽にSO2濃度の最も高いガスを吹込むことを特徴とするニッケルとコバルトを含む混合水酸化物の還元溶解方法が提供される。
前記混合水酸化物のスラリーに硫酸を添加した後、その硫酸を添加したスラリーを複数個の連結した反応槽からなる多段式溶解装置に通液し、該装置の各反応槽において複数種のSO2濃度の異なるガスと接触させ、かつその際に該装置の最前段の反応槽にSO2濃度の最も低いガスを吹込む一方、最後段の反応槽にSO2濃度の最も高いガスを吹込むことを特徴とするニッケルとコバルトを含む混合水酸化物の還元溶解方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、最前段の反応槽から順次後段の反応槽に、SO2濃度の低いガスから高いガスの順に吹込むことを特徴とするニッケルとコバルトを含む混合水酸化物の還元溶解方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記最前段の反応槽に吹込むガスのSO2濃度は、1〜5体積%であることを特徴とするニッケルとコバルトを含む混合水酸化物の還元溶解方法が提供される。
本発明のニッケルとコバルトを含む混合水酸化物の還元溶解方法は、前記混合水酸化物を硫酸溶解してニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液を製造する方法において、硫酸に未溶解のニッケル及びコバルト水酸化物を亜硫酸ガスを用いて還元溶解するに際して、ガス反応効率を高め亜硫酸ガスの使用量を節減することができ、かつニッケルとコバルトを高収率で溶解することができるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明のニッケルとコバルトを含む混合水酸化物の還元溶解方法を詳細に説明する。
本発明のニッケルとコバルトを含む混合水酸化物の還元溶解方法は、ニッケルとコバルトを含む混合水酸化物を硫酸溶解してニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液を製造する方法において、前記混合水酸化物のスラリーに硫酸を添加した後、その硫酸を添加したスラリーを複数個の連結した反応槽からなる多段式溶解装置に通液し、該装置の各反応槽において複数種のSO2濃度の異なるガスと接触させ、かつその際に該装置の最前段の反応槽にSO2濃度の最も低いガスを吹込む一方、最後段の反応槽にSO2濃度の最も高いガスを吹込むことを特徴とする。
本発明のニッケルとコバルトを含む混合水酸化物の還元溶解方法は、ニッケルとコバルトを含む混合水酸化物を硫酸溶解してニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液を製造する方法において、前記混合水酸化物のスラリーに硫酸を添加した後、その硫酸を添加したスラリーを複数個の連結した反応槽からなる多段式溶解装置に通液し、該装置の各反応槽において複数種のSO2濃度の異なるガスと接触させ、かつその際に該装置の最前段の反応槽にSO2濃度の最も低いガスを吹込む一方、最後段の反応槽にSO2濃度の最も高いガスを吹込むことを特徴とする。
本発明の還元溶解方法は、前記混合水酸化物を硫酸溶解してニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液を製造する方法の還元溶解工程において用いられるものである。例えば、ニッケルとコバルトを含む混合水酸化物スラリーに硫酸を添加して、塩素を気化除去するとともに混合水酸化物の一部を溶解する工程、及び未溶解の水酸化第二ニッケルと水酸化第二コバルトを還元溶解する工程を含むニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液を製造する方法の後工程として好適である。
本発明の方法において原料として用いるニッケルとコバルトを含む混合水酸化物としては、特に限定されるものではなく、ニッケル精錬プロセスにおいて副生するニッケル、コバルト、鉄等が3価で含有される水酸化物が用いられるが、特に、上記塩素を気化除去する工程から得られる硫酸に未溶解の水酸化第二ニッケルと水酸化第二コバルトを含む混合水酸化物がを用いるのが効果的である。
前記混合水酸化物は、不純物元素としてコバルト、鉄等を含む水溶液に塩素ガス等の酸化剤を添加して生成されるものであり、水酸化第二ニッケルと水酸化第二コバルトが主成分であり、鉄換算で1〜10重量%の水酸化第二鉄の他、1〜10重量%の塩素を含む澱物である。なお、通常コバルトに対して0.5〜3倍のニッケルが含有される。
前記混合水酸化物は、不純物元素としてコバルト、鉄等を含む水溶液に塩素ガス等の酸化剤を添加して生成されるものであり、水酸化第二ニッケルと水酸化第二コバルトが主成分であり、鉄換算で1〜10重量%の水酸化第二鉄の他、1〜10重量%の塩素を含む澱物である。なお、通常コバルトに対して0.5〜3倍のニッケルが含有される。
上記塩素を気化除去する工程は、例えば、上記混合水酸化物のスラリーに硫酸を添加して、温度60〜100℃で、pHを0.5〜2.0の範囲に調整して行われる。
本発明の還元溶解方法では、上記混合水酸化物のスラリーに硫酸を添加した後、亜硫酸ガスを吹込んで水酸化第二ニッケルと水酸化第二コバルトを還元溶解する。ここで、下記の式1及び2の反応式にしたがって、未溶解の水酸化第二ニッケル及び水酸化第二コバルトが溶解される。
式1:2Ni(OH)3+SO2+H2SO4 → 2NiSO4+4H2O
式2:2Co(OH)3+SO2+H2SO4 → 2CoSO4+4H2O
式2:2Co(OH)3+SO2+H2SO4 → 2CoSO4+4H2O
前記反応では、未溶解の水酸化第二ニッケル及び水酸化第二コバルトが亜硫酸ガスによって還元溶解される。ここでは、上記混合水酸化物のスラリーに硫酸を添加してpHを調整し、かつ亜硫酸ガスを添加して酸化還元電位を調整して、反応が進行される。
本発明の方法では、硫酸を添加した混合水酸化物スラリーを、連結された複数個の反応槽からなる多段式溶解装置に通液して、各反応槽で複数種のSO2濃度の異なるガスと接触させるとともに、SO2濃度の最も低いガスを最前段の反応槽に吹き込み、一方SO2濃度の最も高いガスを最後段の反応槽に吹き込むことが重要である。
すなわち、還元溶解反応は、混合水酸化物スラリーに吹込まれた亜硫酸ガスがまず溶液中に溶解した後に進行する。このとき、溶解されなかった亜硫酸ガスは反応槽の気相部に排出されるため、反応に利用されない。したがって、SO2ガス濃度が高いガスを単独の反応槽に直接吹込む方法では、反応初期に気相に逃げる亜硫酸ガス量が増加して亜硫酸ガス反応効率が低下する。
すなわち、還元溶解反応は、混合水酸化物スラリーに吹込まれた亜硫酸ガスがまず溶液中に溶解した後に進行する。このとき、溶解されなかった亜硫酸ガスは反応槽の気相部に排出されるため、反応に利用されない。したがって、SO2ガス濃度が高いガスを単独の反応槽に直接吹込む方法では、反応初期に気相に逃げる亜硫酸ガス量が増加して亜硫酸ガス反応効率が低下する。
この解決策として、反応槽を多段化して、最前段の反応槽に吹込む亜硫酸ガス量を低減させ、後段の反応槽において還元反応に必要とされる量(反応当量)の亜硫酸ガスを吹き込む方法が効果的である。ここで、最前段の反応槽で吹込む亜硫酸ガス量を低減させる手段としては、吹込みガスの流量そのものを低下させることと吹込みガス中のSO2濃度を低下させることとが行われるが、前者では液量に対するガス流量が低くなり、気液接触量が低下して反応効率が悪化するので、後者の方が効率的である。すなわち、多段式溶解装置の各反応槽で複数種のSO2濃度の異なるガスを吹込むとともに、SO2濃度の最も低いガスを最前段の反応槽に吹き込み、一方SO2濃度の最も高いガスを最後段の反応槽に吹き込むことで、亜硫酸ガスのガス反応効率を高めることができる。
さらに、最前段の反応槽から順次後段の反応槽に、SO2濃度の低いガスから高いガスの順に吹込むことがより好ましい。これによって、亜硫酸ガスのガス反応効率をさらに高めることができる。
本発明の方法に用いる多段式溶解装置としては、特に限定されるものではなく、複数個の連結した反応槽からなる反応装置が用いられるが、スラリーが複数個の反応槽を連続して移送される構造で、各反応槽に撹拌手段とガス吹込み手段を保有するものが好ましい。
本発明の方法におけるpHは、特に限定されるものではないが、0.5〜2.0が好ましい。すなわち、このpH範囲において所定の酸化還元電位のもとで、水酸化第二ニッケル及び水酸化第二コバルトが完全に溶解される。
本発明の方法における最後段での酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)は、450〜550mVが好ましい。すなわち、酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が550mVを超えると、還元性が低いので未溶解のニッケルとコバルトの水酸化物の還元溶解が十分でない。一方、450mV未満では、還元剤の使用量が増加し、還元剤コスト及び未反応還元剤を中和するための薬剤コストが問題になる。
本発明の方法におけるスラリー濃度は、特に限定されるものではないが、硫酸溶解前の濃度で400〜600g/Lが好ましい。また、温度は、特に限定されるものではないが、40〜70℃が好ましい。
本発明の方法に用いる最前段の反応槽に吹込むガスのSO2濃度は、特に限定されるものではなく、1〜5体積%のものが用いられるが、硫化鉱石の乾式製錬系、例えば、焙焼工程等から排出される排ガスを利用することが経済的にも好ましい。
本発明の方法に用いる最後段の反応槽に吹込むガスのSO2濃度は、特に限定されるものではなく、10〜100体積%のものが用いられるが、イオウ燃焼バーナーで発生させたもの、又は市販のガスボンベから供給した亜硫酸ガス等を利用することができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いたSO2濃度の測定方法は、検知管法で行った。
また、実施例及び比較例で用いたニッケルとコバルトを含む混合水酸化物スラリーは、Ni濃度30重量%及びCo濃度15重量%の固形分をスラリー濃度500g/Lで含むものである。
また、実施例及び比較例で用いたニッケルとコバルトを含む混合水酸化物スラリーは、Ni濃度30重量%及びCo濃度15重量%の固形分をスラリー濃度500g/Lで含むものである。
(実施例1)
3段の反応槽を有する多段式溶解装置を用いて、ニッケルとコバルトを含む混合水酸化物スラリーの還元溶解工程を行った。
まず、上記混合水酸化物スラリー4.8m3に対し、濃度70重量%の硫酸700Lを添加して、pHを1.4とした。次に、上記多段式溶解装置の第1反応槽へ前記スラリーを一定流量(25L/分)で送液し、第1反応槽には乾式製錬工程からの排ガス(SO2濃度:5.0体積%)を184m3/hの流量で、第2及び第3反応槽には硫黄燃焼バーナーで発生させたSO2ガス(SO2濃度:11.2体積%)をそれぞれ72m3/h、108m3/hの流量で吹込んだ。
その際、反応槽から排出される排ガス風量とそのSO2濃度を測定し、SO2ガス効率((装入SO2ガス中のSO2量−排ガス中のSO2量)/装入SO2ガス中のSO2量)を求めた。結果を表1に示す。なお、得られたニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)は490mVであり、最終的にスラリー中のニッケルとコバルトを完全に還元溶解することができた。
3段の反応槽を有する多段式溶解装置を用いて、ニッケルとコバルトを含む混合水酸化物スラリーの還元溶解工程を行った。
まず、上記混合水酸化物スラリー4.8m3に対し、濃度70重量%の硫酸700Lを添加して、pHを1.4とした。次に、上記多段式溶解装置の第1反応槽へ前記スラリーを一定流量(25L/分)で送液し、第1反応槽には乾式製錬工程からの排ガス(SO2濃度:5.0体積%)を184m3/hの流量で、第2及び第3反応槽には硫黄燃焼バーナーで発生させたSO2ガス(SO2濃度:11.2体積%)をそれぞれ72m3/h、108m3/hの流量で吹込んだ。
その際、反応槽から排出される排ガス風量とそのSO2濃度を測定し、SO2ガス効率((装入SO2ガス中のSO2量−排ガス中のSO2量)/装入SO2ガス中のSO2量)を求めた。結果を表1に示す。なお、得られたニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)は490mVであり、最終的にスラリー中のニッケルとコバルトを完全に還元溶解することができた。
(実施例2)
各反応槽へのSO2ガスの種類と吹込み流量を変えた以外は実施例1と同様に行い、SO2ガス効率を求めた。結果を表1に示す。ここで、第1反応槽には乾式製錬工程からの排ガス(SO2濃度:5.0体積%)を178m3/hの流量で、第2反応槽には硫黄燃焼バーナーで発生させたSO2ガス(SO2濃度:11.2体積%)を118m3/hの流量で、及び第3反応槽にはSO2ガスボンベから供給したSO2ガス(SO2濃度:98体積%)を7m3/hの流量で吹込んだ。
なお、得られたニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)は450mVであり、最終的にスラリー中のニッケルとコバルトを完全に還元溶解することができた。
各反応槽へのSO2ガスの種類と吹込み流量を変えた以外は実施例1と同様に行い、SO2ガス効率を求めた。結果を表1に示す。ここで、第1反応槽には乾式製錬工程からの排ガス(SO2濃度:5.0体積%)を178m3/hの流量で、第2反応槽には硫黄燃焼バーナーで発生させたSO2ガス(SO2濃度:11.2体積%)を118m3/hの流量で、及び第3反応槽にはSO2ガスボンベから供給したSO2ガス(SO2濃度:98体積%)を7m3/hの流量で吹込んだ。
なお、得られたニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)は450mVであり、最終的にスラリー中のニッケルとコバルトを完全に還元溶解することができた。
(比較例1)
各反応槽へのSO2ガスの種類と吹込み流量を変えた以外は実施例1と同様に行い、SO2ガス効率を求めた。結果を表1に示す。ここで、第1反応槽にはガスを吹込まず、第2及び3反応槽には硫黄燃焼バーナーで発生させたSO2ガス(SO2濃度:11.2体積%)をそれぞれ168m3/h、72m3/hの流量で吹込んだ。
各反応槽へのSO2ガスの種類と吹込み流量を変えた以外は実施例1と同様に行い、SO2ガス効率を求めた。結果を表1に示す。ここで、第1反応槽にはガスを吹込まず、第2及び3反応槽には硫黄燃焼バーナーで発生させたSO2ガス(SO2濃度:11.2体積%)をそれぞれ168m3/h、72m3/hの流量で吹込んだ。
表1より、実施例1又は2では、各反応槽で複数種のSO2濃度の異なるガスと接触させるとともに、SO2濃度の最も低いガスを最前段の反応槽に吹込み、一方SO2濃度の最も高いガスを最後段の反応槽に吹込むことで、本発明の方法にしたがって行われたので、亜硫酸ガスのガス反応効率を高めることができることが分る。特に、実施例2では、順次SO2濃度の高いガスを吹き込んだので、高いガス反応効率が得られた。しかも、ニッケルとコバルトを完全に還元溶解することができた。
これに対して、比較例1では、反応槽へのガスの吹込みがこれらの条件に合わないので、ガス反応効率において満足すべき結果が得られないことが分かる。
これに対して、比較例1では、反応槽へのガスの吹込みがこれらの条件に合わないので、ガス反応効率において満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明のニッケルとコバルトを含む混合水酸化物の還元溶解方法は、ニッケル精錬分野でニッケルとコバルトを含む混合水酸化物からニッケルとコバルトを高収率かつ低コストで還元溶解する方法として利用される。
Claims (3)
- ニッケルとコバルトを含む混合水酸化物を硫酸溶解してニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液を製造する方法において、
前記混合水酸化物のスラリーに硫酸を添加した後、その硫酸を添加したスラリーを複数個の連結した反応槽からなる多段式溶解装置に通液し、該装置の各反応槽において複数種のSO2濃度の異なるガスと接触させ、かつその際に該装置の最前段の反応槽にSO2濃度の最も低いガスを吹込む一方、最後段の反応槽にSO2濃度の最も高いガスを吹込むことを特徴とするニッケルとコバルトを含む混合水酸化物の還元溶解方法。 - 最前段の反応槽から順次後段の反応槽に、SO2濃度の低いガスから高いガスの順に吹込むことを特徴とする請求項1に記載のニッケルとコバルトを含む混合水酸化物の還元溶解方法。
- 前記最前段の反応槽に吹込むガスのSO2濃度は、1〜5体積%であることを特徴とする請求項1に記載のニッケルとコバルトを含む混合水酸化物の還元溶解方法。
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