JP6613954B2 - ニッケル水溶液の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ニッケル水溶液の製造方法に関する。さらに詳しくは、溶媒抽出により粗ニッケル水溶液からマグネシウムを除去して高純度ニッケル水溶液を製造する方法に関する。
ニッケル水溶液、特に高純度ニッケル水溶液はニッケル塩類やニッケル化合物の原料として用いられる。例えば、硫酸ニッケル水溶液や塩化ニッケル水溶液を晶析することで硫酸ニッケル結晶や塩化ニッケル結晶が得られる。硫酸ニッケルや塩化ニッケルを焙焼することで酸化ニッケルが得られる。ニッケル水溶液を炭酸化することで炭酸ニッケルが得られる。
ニッケル塩類やニッケル化合物は、一般的なめっき材料、ハードディスク用の無電解めっき材料、触媒材料、コンデンサーやインダクターなどの電子部品用材料、電池用材料などとして用いられる。
近年では、モバイル通信機器やパソコンなどの電子機器、ハイブリッド自動車、電気自動車、電力貯蔵設備などに用いられるニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池の需要が増加している。高純度ニッケル水溶液は二次電池の正極材料の原料としても用いられている。二次電池の正極材料の原料としての高純度ニッケル水溶液は、不純物であるマグネシウムの含有率が低いことが求められる。
ニッケル水溶液からマグネシウムなどの不純物を除去する方法として溶媒抽出法が知られている(例えば、特許文献1、2)。具体的には、ニッケルを担持した酸性抽出剤と不純物を含む粗硫酸ニッケル水溶液とを接触させることにより、酸性抽出剤中のニッケルと粗硫酸ニッケル水溶液中の不純物とを置換して、高純度硫酸ニッケル水溶液を得る。
マグネシウムはコバルト、カルシウム、鉄などの他の不純物に比べて酸性抽出剤に抽出されにくく、その抽出特性はニッケルに近い。そのため、マグネシウムは他の不純物に比べてニッケルと分離し難い。このことから、高純度硫酸ニッケル水溶液にマグネシウムの一部が残存してしまう。
特開平10−030135号公報 特開2013−100204号公報
本発明は上記事情に鑑み、マグネシウム濃度を調整できるニッケル水溶液の製造方法を提供することを目的とする。
第1発明のニッケル水溶液の製造方法は、少なくともマグネシウムを含む粗ニッケル水溶液とニッケルを担持した酸性抽出剤とを接触させて、前記粗ニッケル水溶液中のマグネシウムと前記酸性抽出剤中のニッケルとを置換し、高純度ニッケル水溶液を得るにあたり、得られた前記高純度ニッケル水溶液のマグネシウム濃度が目標値よりも高い場合、抽出温度を高くすることで、前記高純度ニッケル水溶液のマグネシウム濃度を低くすることを特徴とする。
第2発明のニッケル水溶液の製造方法は、第1発明において、抽出温度を48℃以上60℃以下の範囲で調整することを特徴とする。
第3発明のニッケル水溶液の製造方法は、第1または第2発明において、前記粗ニッケル水溶液は粗硫酸ニッケル水溶液であり、前記高純度ニッケル水溶液は高純度硫酸ニッケル水溶液であることを特徴とする。
第4発明のニッケル水溶液の製造方法は、第1、第2または第3発明において、前記酸性抽出剤は2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシルであることを特徴とする。
本発明によれば、抽出温度を調整するだけで、ニッケルの酸性抽出剤への残留率をほとんど変化させることなく、マグネシウム濃度が調整された高純度ニッケル水溶液を得ることができる。
硫酸ニッケル結晶の製造プロセスの全体工程図である。 溶媒抽出工程の詳細工程図である。 試験1における抽出温度と高純度硫酸ニッケル水溶液へのニッケル分配率との関係を示すグラフである。 試験1における抽出温度と高純度硫酸ニッケル水溶液へのマグネシウム分配率との関係を示すグラフである。 試験2におけるpHと有機溶媒へのニッケル分配比との関係を示すグラフである。 試験2におけるpHと有機溶媒へのマグネシウム分配比との関係を示すグラフである。 試験2におけるpHと分離係数との関係を示すグラフである。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の一実施形態に係るニッケル水溶液の製造方法は、少なくともマグネシウムを含む粗ニッケル水溶液とニッケルを担持した酸性抽出剤とを接触させて、粗ニッケル水溶液中のマグネシウムと酸性抽出剤中のニッケルとを置換し、高純度ニッケル水溶液を得る溶媒抽出工程に適用される。
ニッケル水溶液として硫酸ニッケル水溶液、塩化ニッケル水溶液などが挙げられる。粗ニッケル水溶液とはマグネシウムなどの不純物を含むニッケル水溶液である。高純度ニッケル水溶液とは溶媒抽出により不純物が除去された後のニッケル水溶液である。不純物を含む硫酸ニッケル水溶液を粗硫酸ニッケル水溶液という。溶媒抽出により不純物が除去された後の硫酸ニッケル水溶液を高純度硫酸ニッケル水溶液という。
(硫酸ニッケル結晶製造プロセス)
本実施形態のニッケル水溶液の製造方法は、硫酸ニッケル結晶の製造プロセスの溶媒抽出工程に適用される。まず、図1に基づき、硫酸ニッケル結晶の製造プロセスを説明する。
原料としてニッケル・コバルト混合硫化物(MS:ミックスサルファイド)が用いられる。低品位ラテライト鉱などのニッケル酸化鉱石を加圧酸浸出(HPAL:High Pressure Acid Leaching)し、浸出液から鉄などの不純物を除去した後、硫化水素ガスを浸出液に吹き込むことで硫化反応を生じさせ、ニッケル・コバルト混合硫化物が得られる。
ニッケル・コバルト混合硫化物の組成は、ニッケルが50〜60重量%、コバルトが4〜6重量%、硫黄が30〜34重量%(いずれも乾燥量基準)である。ニッケル・コバルト混合硫化物には、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛などの不純物が含まれている。ニッケル・コバルト混合硫化物にはマグネシウムが比較的多く含まれており、その含有率は80〜150ppmである。
加圧浸出工程では、ニッケル・コバルト混合硫化物を含むスラリーを、オートクレーブで加圧浸出する。浸出条件は、例えば圧力1.8〜2.0MPaG、温度140〜180℃である。加圧浸出により、ニッケル・コバルト混合硫化物に含まれるニッケル、コバルト、その他の不純物が浸出され、粗硫酸ニッケル水溶液が得られる。
加圧浸出反応は、以下の式1および式2で表される。
NiS+2O2→Ni2++SO4 2-・・・(式1)
CoS+2O2→Co2++SO4 2-・・・(式2)
脱鉄工程では、粗硫酸ニッケル水溶液に中和剤を添加して中和することで、粗硫酸ニッケル水溶液に含まれる鉄を中和澱物として除去する。中和剤としては、例えば消石灰が用いられる。消石灰にはマグネシウムが含まれている。
脱鉄反応は、以下の式3で表される。
4FeSO4+4Ca(OH)2+O2+2H2O→4Fe(OH)3+4CaSO4・・・(式3)
溶媒抽出工程では、溶媒抽出により粗硫酸ニッケル水溶液から不純物を除去して高純度硫酸ニッケル水溶液を得る。溶媒抽出工程の詳細は後に説明する。
晶析工程では、晶析装置を用いて高純度硫酸ニッケル水溶液を濃縮し、硫酸ニッケル結晶を回収する。
原料であるニッケル・コバルト混合硫化物にはマグネシウムが比較的多く含まれている。また、脱鉄工程で添加される消石灰にはマグネシウムが含まれている。さらに、各工程で用いられる工業用水にはある程度のマグネシウムが含まれている。そのため、溶媒抽出工程に供給される粗硫酸ニッケル水溶液にはマグネシウムが含まれている。
粗硫酸ニッケル水溶液に含まれるマグネシウムは溶媒抽出工程で除去される。しかし、溶媒抽出工程におけるマグネシウムの除去には限界があり、高純度硫酸ニッケル水溶液に少量のマグネシウムが残存する。
晶析工程では、析出した硫酸ニッケル結晶を脱水して得られる母液を、晶析装置に繰り返し供給している。そのため、晶析装置の運転を継続するにしたがい、母液の不純物濃度が上昇してくる。
そこで、母液の不純物濃度が高くなった場合に、晶析工程から母液を排出し、排出分を新たな高純度硫酸ニッケル水溶液に入れ替える操作を行う。これにより、晶析工程から不純物を排出し、硫酸ニッケル結晶の不純物含有率を抑えることができる。晶析工程から排出された母液は溶媒抽出工程などの上流工程に供給される。これにより、ニッケルロスを低減している。
上記の入替操作は、ニッケルが濃縮した母液をニッケルが濃縮していない高純度硫酸ニッケル水溶液で入れ替えるため、ニッケルの濃縮に用いたエネルギーが無駄になる。また、硫酸ニッケル結晶の歩留まりが低下して生産量が減少する。さらに、母液を溶媒抽出工などの上流工程で処理するためのコストがかかる。そのため、入替操作の回数は少ない方が好ましい。そのためには、溶媒抽出工程においてマグネシウムなどの不純物の除去効率を高めることが求められる。
(溶媒抽出工程)
つぎに、図2に基づき、溶媒抽出工程の詳細を説明する。なお、図2において実線矢印は水相の流れを意味し、破線矢印は有機相の流れを意味する。
溶媒抽出工程には酸性抽出剤が用いられる。酸性抽出剤としては、特に限定されないが、ジ−(2−エチルヘキシル)ホスホン酸(通称D2EHPA)などの燐酸エステル系酸性抽出剤が用いられる。特に、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシルが好ましい。
一般に、酸性抽出剤は希釈剤で希釈して用いられる。有機溶媒の酸性抽出剤濃度は10〜40体積%に調整される。酸性抽出剤を希釈するのは、有機溶媒を適正な粘性に調整して、油水分離性、すなわち分相性を良くするためである。希釈剤としては、水への溶解度が低く、粘性が低く、酸性抽出剤と反応をしないものであれば特に限定されないが、例えば飽和炭化水素が用いられる。
溶媒抽出工程は、抽出段、洗浄段、交換段、ニッケル回収段、コバルト回収段、逆抽出段からなる。これらの工程には、向流多段方式の抽出装置、特にミキサーセトラーが用いられる。以下、順に説明する。
抽出段:
抽出段には洗浄段から洗浄後液が供給される。洗浄後液は硫酸ニッケル水溶液である。抽出段では、洗浄後液中のニッケルを有機相に抽出し、酸性抽出剤にニッケルを担持させる。得られた有機相をニッケル保持有機相と称する。洗浄後液にはカルシウム、マグネシウムなどのニッケルよりも低いpHで有機相に抽出される不純物が含まれている。抽出段ではこれらの不純物も有機相に抽出される。そのため、ニッケル保持有機相にはこれらの不純物も含まれている。
酸性抽出剤を用いた溶媒抽出では、抽出反応に水素イオンが関与するため、pHによって抽出率が変化する。抽出率は金属によって異なり、Fe>Zn>Cu>Mn>Co>Ca>Mg>Niの順に抽出されやすい。抽出段、洗浄段、交換段、ニッケル回収段、コバルト回収段、逆抽出段と、有機相の流れに従って順にpHを下げていくと、それぞれの段で各金属を分離回収できる。
酸性抽出剤による抽出反応は、以下の式4で表される。ここで、式中のRは官能基を含む有機化合物全体を表す。式4に示した通り、金属イオンの抽出に伴い、水素イオンが放出される。
2R−H+Ni2+→R2−Ni+2H+・・・(式4)
水素イオンが放出されるとpHが下がる。不純物を除去するためには適正なpHを維持する必要があるため、抽出段では、苛性ソーダなどのアルカリを添加してpHを調整する。
洗浄段:
抽出段で得られたニッケル保持有機相は洗浄段に送られる。洗浄段では、ニッケル保持有機相を、ニッケルを含有する洗浄液で洗浄する。洗浄液は交換段にて精製された高純度硫酸ニッケル水溶液の一部と晶析工程から排出された母液とを水で希釈したものである。洗浄後液は抽出段に供給される。
抽出段では有機相に微細な液滴粒子が残留する場合がある。抽出段で苛性ソーダを添加した場合、有機相中の液滴粒子にナトリウムが含まれる。すなわち、ニッケル保持有機相にナトリウムが含まれる。洗浄段では、ニッケル保持有機相に含まれたナトリウムが除去される。
交換段:
交換段では、洗浄後のニッケル保持有機相(ニッケルを担持した酸性抽出剤)と粗硫酸ニッケル水溶液とを接触させて、ニッケル保持有機相中のニッケルと粗硫酸ニッケル水溶液中の不純物とを置換し、高純度硫酸ニッケル水溶液を得る。
ニッケル保持有機相中のニッケルと粗硫酸ニッケル水溶液中の不純物との置換反応は、以下の式5、式6で表される。ここで、式中のRは官能基を含む有機化合物全体を表す。
2−Ni+Co2+→R2−Co+Ni2+・・・(式5)
2−Ni+Mg2+→R2−Mg+Ni2+・・・(式6)
式5で表される反応は、コバルトイオンが酸性抽出剤に抽出される際に生成される水素イオンにより酸性抽出剤のニッケルが水溶液に逆抽出されるという反応である。ニッケルがコバルトよりも酸性抽出剤に抽出されにくい性質を利用した反応である。
交換段に供給される粗硫酸ニッケル水溶液の組成は、ニッケル濃度が110〜130g/L、コバルト濃度が8〜15g/L、カルシウム濃度が0.3〜0.6g/L、鉄濃度が約0.01g/L、マグネシウム濃度が0.02〜0.1g/Lである。
交換反応後の高純度硫酸ニッケル水溶液の組成は、ニッケル濃度が110〜130g/L、コバルト濃度が1〜6mg/L、カルシウム濃度が1〜15mg/L、鉄濃度が1〜5mg/L、マグネシウム濃度が1〜6mg/Lである。
不純物の除去効率を高めるために、ニッケル保持有機相のニッケル濃度は、置換反応後の有機相にある程度の量のニッケルが残留するような過剰量に調整されている。そのため、置換後有機相にはニッケルが担持されている。
ニッケル回収段:
ニッケル回収段では、置換後有機相に硫酸を添加してpH4.0程度に調整する。これにより、有機相に担持されたニッケルの大部分を逆抽出して、ニッケル回収液を得る。ニッケル回収液はコバルトやマグネシウムなどの不純物を含む硫酸ニッケル水溶液である。
コバルト回収段:
ニッケルを逆抽出した後のニッケル回収後有機相はコバルト回収段に送られる。コバルト回収段では、有機相に塩酸を添加してpH1.0程度に調整する。これにより、有機相に担持されたコバルトを逆抽出して、コバルト回収液を得る。コバルト回収液は塩化コバルト水溶液である。コバルト回収液には、カルシウム、マグネシウム、銅、亜鉛なども同時に逆抽出されている。
逆抽出段:
コバルトを逆抽出した後のコバルト回収後有機相は逆抽出段に送られる。逆抽出段では、有機相に硫酸を添加して有機相に残存する不純物を除去する。逆抽出段で不純物が除去された有機相は、抽出段と交換段とに繰り返し供給される。
(抽出温度調整)
本実施形態のニッケル水溶液の製造方法は、前記交換段に適用される。交換段では、マグネシウムなどの不純物を含む粗硫酸ニッケル水溶液とニッケルを担持した酸性抽出剤(ニッケル保持有機相)とを接触させて、粗硫酸ニッケル水溶液中の不純物と酸性抽出剤中のニッケルとを置換し、高純度硫酸ニッケル水溶液を得る。ここで、抽出温度を調整することで、高純度硫酸ニッケル水溶液のマグネシウム濃度を調整する。具体的には粗硫酸ニッケル水溶液と酸性抽出剤との混合液の温度を調整する。
抽出温度を調整するだけで、ニッケルの酸性抽出剤への残留率をほとんど変化させることなく、マグネシウム濃度が調整された高純度硫酸ニッケル水溶液を得ることができる。
より詳細には、抽出温度を高くするほど、ニッケルとマグネシウムとが分離しやすくなり、マグネシム濃度が低い高純度硫酸ニッケル水溶液を得ることができる。
特に、抽出温度を48℃以上に調整することが好ましい。そうすれば、マグネシウム濃度の低い高純度硫酸ニッケル水溶液を得ることができる。また、抽出温度を60℃以下に調整することが好ましい。そうすれば、希釈剤が揮発しにくいからである。
マグネシウム濃度の低い高純度硫酸ニッケル水溶液を得られれば、晶析工程における入替操作の回数を低減できる。交換段において昇温のコストはかかるものの、晶析工程において、エネルギーコストを低減でき、生産量を増加させることができ、母液の処理コストを低減できる。
(試験1)
つぎに、実操業の交換段において、高純度硫酸ニッケル水溶液へのニッケル分配率およびマグネシウム分配率を求めた試験を説明する。
交換段への粗硫酸ニッケル水溶液の流量は80〜105L/分である。粗硫酸ニッケル水溶液の流量に対する有機溶媒の流量比を2.4とした。なお、流量比は有機溶媒の流量を粗硫酸ニッケル水溶液の流量で除算することで得られる。酸性抽出剤として2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシルを用いた。抽出反応後の高純度硫酸ニッケル水溶液のpHは4.4〜4.5の範囲である。pH条件をほとんど変化させずに抽出温度を変えて操業を行った。
高純度硫酸ニッケル水溶液へのニッケル分配率およびマグネシウム分配率を求めた。ここで、ニッケル分配率およびマグネシウム分配率は以下の式で求められる。
〔ニッケル分配率〕=〔高純度硫酸ニッケル水溶液のニッケル量〕÷(〔置換後有機相のニッケル量〕+〔高純度硫酸ニッケル水溶液のニッケル量〕)×100%
〔マグネシウム分配率〕=〔高純度硫酸ニッケル水溶液のマグネシウム量〕÷(〔置換後有機相のマグネシウム量〕+〔高純度硫酸ニッケル水溶液のマグネシウム量〕)×100%
図3に抽出温度と高純度硫酸ニッケル水溶液へのニッケル分配率との関係を示す。図3より、ニッケルは、抽出温度が変化しても、分配率がほとんど変化しないことが分かる。
図4に抽出温度と高純度硫酸ニッケル水溶液へのマグネシウム分配率との関係を示す。図4より、マグネシウムは、抽出温度が高くなるほど、分配率が小さくなることが分かる。抽出温度を38℃から43℃へ5℃昇温するだけで、高純度硫酸ニッケル水溶液のマグネシウム濃度を約40%削減することができる。
図3、図4に示した測定点の一部について、測定結果の詳細を表1に示す。
表1からも分かるように、抽出温度とマグネシウム分配率との間には強い相関関係がある。このことから、抽出温度を調整することで、高純度硫酸ニッケル水溶液のマグネシウム濃度を調整できることが確認できた。
(試験2)
つぎに、ニッケル分配比およびマグネシウム分配比を求めた試験を説明する。
実操業の脱鉄工程から得られた粗硫酸ニッケル水溶液50mLと、洗浄段から得られたニッケルを保持する有機溶媒40mLと、逆抽出段から得られた有機溶媒80mLとを、表2に示す各条件下で15分間撹拌混合して、溶媒抽出を行った。なお、酸性抽出剤として2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシルを用いている。
表2に示したニッケル分配比とは、置換後有機のニッケル濃度を高純度硫酸ニッケル水溶液のニッケル濃度で除算したものである。マグネシウム分配比とは、置換後有機のマグネシウム濃度を高純度硫酸ニッケル水溶液のマグネシウム濃度で除算したものである。分配比が高いと、有機溶媒に分配しやすいことになる。また、分離係数とは、マグネシウム分配比をニッケル分配比で除算したものである。分離係数が高いと、ニッケルとマグネシウムとを分離しやすいことになる。
図5にpHとニッケル分配比との関係を示す。図6にpHとマグネシウム分配比との関係を示す。図7にpHと分離係数との関係を示す。図5より、ニッケルは抽出温度が変化しても分配比がほとんど変化しないことが分かる。図6より、マグネシウムは抽出温度が高いほど分配比が高くなることが分かる。図7より、抽出温度が高いほど分離係数が高くなることが分かる。すなわり、抽出温度が高いほどニッケルとマグネシウムとを分離しやすいことが分かる。
以上より、抽出温度を調整するだけで、ニッケルの酸性抽出剤への残留率をほとんど変化させることなく、マグネシウム濃度が調整された高純度硫酸ニッケル水溶液を得ることができることが確認できた。また、抽出温度を48℃以上に調整すれば、マグネシウム濃度の低い高純度硫酸ニッケル水溶液を得ることができることが確認できた。

Claims (4)

  1. 少なくともマグネシウムを含む粗ニッケル水溶液とニッケルを担持した酸性抽出剤とを接触させて、前記粗ニッケル水溶液中のマグネシウムと前記酸性抽出剤中のニッケルとを置換し、高純度ニッケル水溶液を得るにあたり、
    得られた前記高純度ニッケル水溶液のマグネシウム濃度が目標値よりも高い場合、抽出温度を高くすることで、前記高純度ニッケル水溶液のマグネシウム濃度を低くする
    ことを特徴とするニッケル水溶液の製造方法。
  2. 抽出温度を48℃以上60℃以下の範囲で調整する
    ことを特徴とする請求項1記載のニッケル水溶液の製造方法。
  3. 前記粗ニッケル水溶液は粗硫酸ニッケル水溶液であり、
    前記高純度ニッケル水溶液は高純度硫酸ニッケル水溶液である
    ことを特徴とする請求項1または2記載のニッケル水溶液の製造方法。
  4. 前記酸性抽出剤は2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシルである
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載のニッケル水溶液の製造方法。
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