JP4225514B2 - ニッケルおよびコバルトの回収方法 - Google Patents

ニッケルおよびコバルトの回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶媒抽出法を用いたニッケルおよびコバルトの回収方法に関する。
ニッケル酸化鉱石に含まれているコバルト酸化物は、ニッケル酸化鉱石から硫酸を用いてニッケルを浸出する際に、ニッケルとともに硫酸水溶液中に浸出される。ニッケル、コバルトはともに有価金属であり、コバルトを含む硫酸水溶液から、それぞれを分離し、回収することが求められている。しかしながら、ニッケルとコバルトは化学的性質が似通っているため分離することは容易ではない(特許文献1)。
コバルトを含むニッケル硫酸水溶液から、ニッケルとコバルトとを分離・回収する方法としては、2価のコバルトを3価のコバルトに酸化してコバルトを優先的に沈殿させる方法(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)、有機溶媒を用いて溶媒抽出する方法などが知られている(特許文献2)。
特開平4−304330号公報 特開平6−264156号公報 CIM Bulletin,October(1978) P121〜P127 Hydrometallurgy,30(1992) P483〜P497 Trans. InstitutionMining and Metallurgy, 90,Sep 1981
しかしながら、非特許文献1、非特許文献2に記載されているように、オゾンを利用してコバルトを2価から3価に酸化してコバルトを優先的に沈殿させる方法は、オゾンをニッケル硫酸水溶液に効率よく溶存させるためには、密閉容器によるオゾン分圧の管理が必要となり、工業的に用いるためには改善の余地を有していた。
また、非特許文献3に記載されているように、過硫酸ナトリウムや過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩を用いてコバルトを2価から3価に酸化してコバルトを優先的に沈殿させる方法は、コバルトよりも先にマンガン、鉄などが優先的に沈殿するため、過硫酸塩の使用量が多くなる。ここで、過硫酸塩は非常に高価であるため、この方法を工業的に用いるためにはコストの面で改善の余地を有していた。
また、特許文献2に記載されているように、ホスフィン酸基を含む有機溶媒を用いた溶媒抽出法により、ニッケルとコバルトとを分離する方法を用いると、コバルトとともに、カルシウムやマグネシウムも抽出されることがあった。そのため、カルシウムやマグネシウムにより、有機溶媒がオーバーロードする状態となるなどの理由により、コバルトの抽出率が低下することがあった。また、カルシウムやマグネシウムが硫酸コバルト溶液中に抽出されることによって、硫酸コバルト溶液から水酸化コバルトを製造する工程においてスケール付着が発生する。このため、設備を停止してスケール除去を行う必要が生じるなどにより、生産性が低下するなど改善の余地を有していた。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、ニッケルとコバルトとを含む硫酸溶液から、ニッケルおよびコバルトを効率よく分離・回収する技術を提供することにある。
本発明によれば、ニッケルおよびコバルトが共存する硫酸溶液からニッケルとコバルトとを分離して回収する回収方法であって、下記一般式(1)
PSOH・・・(1)
(但し、RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよく、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)
で示されるモノチオホスフィン酸化合物を抽出剤として含有する抽出溶媒と前記硫酸溶液とを接触させて、前記硫酸溶液から抽出溶媒にコバルトを選択的に抽出する抽出工程を含むことを特徴とする回収方法が提供される。
この発明によれば、モノチオホスフィン酸化合物を抽出剤として含有する抽出溶媒とニッケルおよびコバルトが共存する硫酸溶液とを接触させることにより、コバルトを硫酸溶液から抽出溶媒中に選択的に抽出することができる。このため、抽出溶媒とニッケルおよびコバルトが共存する硫酸溶液とを接触させることにより、ニッケルを含む硫酸溶液とコバルトを含む抽出溶媒とに分離することができる。したがって、硫酸溶液からニッケルを抽出し、抽出溶媒からコバルトを抽出することにより、ニッケルおよびコバルトを効率よく分離・回収することができる。
本発明によれば、ニッケルおよびコバルトを含む酸化鉱石から、ニッケルおよびコバルトを分離して回収する回収方法であって、硫酸を使用して、酸化鉱石から、ニッケルおよびコバルトを浸出し、ニッケルおよびコバルトを含む硫酸浸出溶液と、浸出残渣と、を得る浸出工程と、浸出残渣を含む硫酸浸出溶液をpH調整し、ニッケルおよびコバルトを含む反応液と、反応残渣と、を得る反応工程と、反応残渣を含む反応液を、中和剤を使用して中和し、ニッケルおよびコバルトを含む中和液と、中和残渣と、を得る中和工程と、中和液と中和残渣とを、凝集剤を使用し、シックナーを用いて固液分離し、中和液と中和残渣とに分離する固液分離工程と、中和液と下記一般式(1)
PSOH・・・(1)
(但し、RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよく、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)
で示されるモノチオホスフィン酸化合物を抽出剤として含有する抽出溶媒とを接触させて、前記中和液から抽出溶媒にコバルトを選択的に抽出する溶媒抽出工程と、を含むことを特徴とする回収方法が提供される。
この発明によれば、モノチオホスフィン酸化合物を抽出剤として含有する抽出溶媒と中和液とを接触させることにより、コバルトを抽出溶媒中に選択的に抽出することができる。このため、抽出溶媒と中和液とを接触させることにより、ニッケルを含む硫酸溶液とコバルトを含む抽出溶媒とに分離することができる。したがって、ニッケルおよびコバルトを含む酸化鉱石から、ニッケルおよびコバルトを効率よく分離・回収することができる。
また、浸出工程の前に、酸化鉱石を、小粒径酸化鉱石と、マグネシウムを含む大粒径酸化鉱石とに分級する分級工程をさらに含み、浸出工程において、小粒径酸化鉱石からニッケル、コバルトを浸出するとともに、反応工程において、浸出残渣を含む硫酸浸出溶液と、大粒径酸化鉱石に含有されるマグネシウムとを反応させてpH調整してもよい。分級工程をさらに含むことにより、少ない硫酸使用量で、鉄を除去するための処理コストを低減しつつ、ニッケルおよびコバルトの、より高い浸出率を得ることができる。したがって、ニッケルおよびコバルトを効率的に分離・回収することができる。
また、浸出工程において、さらにナトリウム塩を用いて、酸化鉱石から、ニッケルおよびコバルトを浸出し、ニッケルおよびコバルトを含む硫酸浸出溶液と、浸出残渣と、を得て、反応工程において、浸出残渣を含む硫酸浸出溶液をpH調整し、ニッケルおよびコバルトを含む反応液と、反応残渣と、を得てもよい。浸出工程においてナトリウム塩を用いることにより、硫酸とナトリウム塩とを使用してナトロジャロサイトを生成し、反応工程においてpH調整することでナトロジャロサイトを沈殿させることにより、反応液中の鉄濃度を減少させることができる。このため、中和工程において、反応液中の鉄濃度を減少させるために多量の中和剤を使用する必要がない。したがって、少ない硫酸使用量で、鉄を除去するための処理コストを低減しつつ、ニッケルおよびコバルトのより高い浸出率を得ることができる。したがって、ニッケルおよびコバルトを効率的に分離・回収することができる。
また、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数3以上であることが、より好ましく、炭素数5以上であることが、さらにより好ましい。また炭素数は25以下であることが、より好ましく、炭素数15以下であることが、さらにより好ましい。こうすることにより、抽出溶媒のハンドリング性が向上するため、ニッケルおよびコバルトを効率的に分離・回収することができる。
また、炭化水素基が、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよく直鎖または側鎖を有するアラルキル基、直鎖または側鎖を有するアルキル基、および直鎖または側鎖を有するアルケニル基からなる群から選択された炭化水素基であってもよい。
本発明によれば、ニッケルとコバルトとを含む硫酸溶液から、ニッケルおよびコバルトを効率よく分離・回収する技術を提供することができる。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によって、さらに明らかになる。
実施の形態に係る工程フロー図である。 実施の形態に係る工程フロー図である。 実施の形態に係る工程に用いられる装置の概略図である。 実施例に係る工程フロー図である。 実施例に係る図6のデータをグラフ化した図である。 実施例に係る各元素の各pHにおける抽出率を示す図である。 実施例に係る液の液濃度を示す図である。 比較例に係る図9のデータをグラフ化した図である。 比較例に係る各元素の各pHにおける抽出率を示す図である。 比較例に係る液の液濃度を示す図である。 実施例に係る各元素の抽出量を示す図である。 実施例に係る図11のデータをグラフ化した図である。 実施例に係る各元素の抽出量を示すグラフである。 実施例に係る各元素の抽出量を示す図である。 実施例に係る液の液濃度を示す図である。
以下に本発明における実施形態について、図面および表を用いて説明する。なお、以下の記載において、使用量および添加量は、各物質の重量を基準とした使用量および添加量である。
図1に示すフローは、ニッケルおよびコバルトが共存する硫酸溶液(中和液113)からニッケルとコバルトとを分離して回収する回収方法を示す。
このフローは、下記一般式(1)
PSOH (1)
(但し、RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよく、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)
で示されるモノチオホスフィン酸化合物を抽出剤として含有する抽出溶媒と前記硫酸溶液とを接触させて、前記硫酸溶液から抽出溶媒にコバルトを選択的に抽出する抽出工程を含むものである。
図1に示すニッケルおよびコバルトの回収方法は、以下の工程を含む。
i)硫酸105を使用して、酸化鉱石102から、ニッケルおよびコバルトを浸出し、ニッケルおよびコバルトを含む硫酸浸出溶液(硫酸浸出液108)と、浸出残渣109と、を得る浸出工程。
ii)浸出残渣109を含む硫酸浸出溶液をpH調整し、ニッケルおよびコバルトを含む反応液110と、反応残渣111と、を得る反応工程。
iii)反応残渣111を含む反応液110を、中和剤112を使用して中和し、ニッケルおよびコバルトを含む中和液113と、中和残渣114と、を得る中和工程。
iv)中和液113と中和残渣114とを、凝集剤115を使用し、シックナーを用いて固液分離し、中和液113と中和残渣114とに分離する固液分離工程。
v)中和液113と下記一般式(1)
PSOH (1)
(但し、RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよく、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)
で示されるモノチオホスフィン酸化合物を抽出剤として含有する抽出溶媒とを接触させて、前記中和液から抽出溶媒にコバルトを選択的に抽出する溶媒抽出工程。
本実施形態においては、酸化鉱石102として、たとえば、通称リモナイト鉱石などを用いることができる。ここで、通称リモナイト鉱石とは、ニッケル、コバルト、マグネシウム、鉄を酸化物の形態で含む鉱石のことである。また、たとえば、中和剤として、フェロニッケルスラグなどを用いることができる。ここで、フェロニッケルスラグとは、ニッケル含有量が2重量%以上の通称サプロライト鉱石と言われている物を使用し、乾式製錬法によりフェロニッケルを製造する時に発生するスラグである。
一般的には、リモナイト鉱石とサプロライト鉱石についての、明確な成分範囲の規定はないが、リモナイト鉱石と言われている酸化鉱石と、フェロニッケルスラグの成分を表1に示す。
(表1)
Figure 0004225514
はじめに、工程a(分級工程)において、酸化鉱石102を、オーバーサイズとアンダーサイズに分級し、アンダーサイズは用水107によりスラリー鉱石104とし、オーバーサイズは粉砕して粉砕品103とする。
次に、工程b(浸出工程)において、スラリー鉱石104を硫酸105により浸出し、ニッケル、コバルトを含む硫酸浸出液108と浸出残渣109とを得る。ここで、浸出残渣109には、スラリー鉱石104から浸出された鉄と硫酸105とナトリウム塩106とが反応して生成されたナトロジャロサイトが含まれていてもよい。
つづいて、工程c(反応工程)において、浸出残渣109を含む硫酸浸出液108中のフリー硫酸と、たとえば、分級工程で粉砕した粉砕品103に含有されるマグネシウムとを反応させることにより、フリー硫酸を消費しpHを調整し、反応液110と反応残渣111とを得る。
次に、工程d(中和工程)において、反応残渣111を含む反応液110に中和剤112を添加することでpHを調整し、中和液113と中和残渣114とを得る。
つづいて、工程e(固液分離工程)において、中和残渣114を含む中和液113に凝集剤115を添加し、シックナーを用いて固液分離することで、中和液113と中和残渣114とを分離する。
次に、工程f(溶媒抽出工程)において、抽出溶媒である有機溶媒134を用いて、中和液113に含まれるニッケルとコバルトとを、硫酸ニッケル溶液130と硫酸コバルト溶液132とに分離して、それぞれニッケル回収工程とコバルト回収工程に送る。ここで、有機溶媒134としてモノチオホスフィン酸基を有する有機溶媒を用いることにより、マグネシウム、マンガンやカルシウムをほとんど含まない硫酸コバルト溶液132を得ることができる。
以下、各工程について詳細を説明する。
工程a: 分級工程
ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、マンガン、亜鉛及び鉄を含有する、たとえばリモナイト鉱石などの酸化鉱石102を、例えば、振動ふるいのような簡単な装置で、オーバーサイズとアンダーサイズとに分級し、アンダーサイズは用水107を用いてスラリー鉱石104とし、オーバーサイズは、例えばボールミルなどのような装置により粉砕品103とする。ここで、「オーバーサイズ」とは、振動ふるいのふるい目よりも大きな寸法を有し、ふるい目を通過せずにふるい上に残った酸化鉱石のことをさす。また、「アンダーサイズ」とは、振動ふるいのふるい目よりも小さな寸法を有し、ふるい目を通過した酸化鉱石のことをさす。振動ふるいなどによる分級のサイズには、特にこだわらないが、工程安定性向上の観点から、たとえば、0.5mm以上2mm以下のふるい目などを用いることができる。
また、この酸化鉱石を0.5mm〜2mm程度のふるいで分級すると、アンダーサイズでは鉄含有量が高くなり、マグネシウム含有量が低くなる傾向を示し、反対にオーバーサイズでは鉄含有量が低くなり、マグネシウム含有量が高くなる傾向を示す。
用水107としては、通常用いられる、河川水や地下水の使用はもちろんのこと、海水を使用してもよい。用水107として海水を使用することにより、海水中に含まれるナトリウム塩を用いて、後工程である浸出工程および反応工程において、酸化鉱石から浸出された鉄の、浸出液中や反応液中における残存量を制御することができるという効果を、さらに得ることができる。
工程b: 浸出工程
工程aで得られたスラリー鉱石104は、たとえば、常圧のもと、90℃以上100℃以下の温度で、硫酸105を加えて浸出されることにより、ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、マンガン、亜鉛及び鉄を含む硫酸浸出液108と浸出残渣109が得られる。
浸出温度を90℃以上とすることにより、スラリー鉱石104中のニッケルおよびコバルトの浸出速度を向上させることができる。これにより、スラリー鉱石104中に含まれるニッケルおよびコバルトの浸出時間を短縮することができる。あわせて、ニッケルおよびコバルトの浸出率を上昇させることができる。また、100℃以下の温度でスラリー鉱石104に含まれるニッケルおよびコバルトを浸出することにより、水の沸点以下の温度でニッケルおよびコバルトの浸出を行うことができる。そのため、ニッケルおよびコバルトの浸出に用いる装置の浸出容器を加圧しなくてよい。したがって、設備コストの上昇を抑制することができる。
なお、浸出温度は90℃以上としたが、たとえば70℃以上の範囲で適宜温度を選択してもよい。また、100℃超過のもとでスラリー鉱石104中のニッケルおよびコバルトを浸出させてもよい。また、常圧以外の圧力条件のもとで、スラリー鉱石104中のニッケルおよびコバルトを浸出させてもよい。
硫酸添加量は、酸化鉱石102の使用量に対して、0.5倍重量以上0.8倍重量以下(50重量%以上80重量%以下)とすることができる。硫酸を0.5倍重量(50重量%)以上添加することにより、ニッケルおよびコバルトの浸出を十分に行うことができる。また、硫酸の添加量が0.8倍重量(80重量%)付近において、ニッケルおよびコバルトの浸出率が平衡状態となる。このため、硫酸の添加量を0.8倍重量(80重量%)以下とすることにより、過剰な硫酸(フリー硫酸)の発生量を抑制することができる。したがって、ニッケルおよびコバルトの回収コストの上昇を抑制しつつ、酸化鉱石からのニッケルおよびコバルトの浸出率を維持することができる。この結果、効率的にニッケルおよびコバルトを回収することができる。
また、工程bにおいて、分級工程において分級したアンダーサイズの鉱石を使用してもよい。こうすることにより、以下の効果を得ることができる。すなわち、アンダーサイズの鉱石は、オーバーサイズ鉱石の粉砕品103に比べて、酸化鉱石中のニッケルおよびコバルトが浸出されにくい。また、オーバーサイズ鉱石の粉砕品103は、アンダーサイズの鉱石と比較して、マグネシウムの含有率が高いため、浸出に用いるフリー硫酸を消費してしまう可能性がある。そのため、まず過剰な硫酸を用いることにより、酸化鉱石中のニッケルおよびコバルトを、より多く浸出させることによって、ニッケルおよびコバルトの、より効率的な回収を図るためである。
工程aで、用水107に河川水、地下水を使用する場合は、工程bにおいて、たとえば、硫酸ナトリウムや塩化ナトリウムなどのようなナトリウム塩106を加えてもよい。ここで、ナトリウム塩106によるナトリウムの添加量は、酸化鉱石102の使用量に対して、0.01倍重量〜0.05倍重量(1重量%〜5重量%)程度とすることができる。一方、用水107に海水を使用する場合は、海水中にナトリウムが10g/l程度含有されているため、ナトリウム塩を改めて加えなくてもよい。そのため、酸化鉱石からのニッケルおよびコバルトの浸出率を維持しつつ、ニッケルおよびコバルトの回収コストの上昇を、さらに抑制することができる。したがって、効率的にニッケルおよびコバルトを回収することができる。
ここで、ナトリウム添加量が、0.01倍重量(1重量%)以上であることにより、酸化鉱石から浸出された鉄が、硫酸浸出液108中の硫酸ナトリウムと反応することにより、硫酸浸出液108中の鉄の濃度を減少させることができる。
ナトリウムにより、硫酸浸出液中の鉄の濃度を制御する理由は下記化学反応式(2)〜(4)によるものと考えられる。
FeO(OH)・(酸化鉱石)+3/2HSO=1/2Fe(SO)・(液)+2HO・・・(2)
Fe(SO・(液)+1/3NaSO+4HO=2/3NaFe(SO(OH)・(固体)+2HSO・・・(3)
Fe(SO・(液)+2/3NaCl+4HO=2/3NaFe(SO(OH)・(固体)+2/3HCl+5/3HSO・・・(4)
すなわち、酸化鉱石中の鉄は過剰な硫酸により浸出されるが、硫酸浸出液中のナトリウムと化合することによりナトロジャロサイトが生成され、浸出された鉄の一部が沈殿する。そのため、酸化鉱石から浸出された鉄が浸出液中に含まれることによって、次工程である反応工程に持ち込まれる量の増加を抑制することができる。ゆえに、反応工程において、ナトロジャロサイトとして十分に沈殿除去させることができる。したがって、反応工程の次工程である中和工程において、中和液中の鉄を沈殿させるコストの上昇を抑制することができる。この結果、酸化鉱石からニッケルおよびコバルトを回収するコストの上昇を抑制することができ、ニッケルおよびコバルトを効率的に回収することができる。
また、ナトリウム添加量が、0.05倍重量(5重量%)付近において、ナトロジャロサイトの生成率および沈殿率が平衡状態となる。このため、ナトリウムの添加量を0.05倍重量(5重量%)以下とすることにより、過剰なナトリウムの添加を抑制することができる。したがって、酸化鉱石から、ニッケルおよびコバルトを回収するコストの上昇を抑制することができる。この結果、ニッケルおよびコバルトを効率的に回収することができる。
浸出時間は、1時間以上10時間以下とすることができ、3時間以上6時間以下とすることもできる。ここで、浸出工程に必要な設備は、たとえば、一般的に使用されているような攪拌機付の容器などで十分であり、その材質も、たとえば、ステンレスあるいは鋼材にゴムライニングしたものなどが用いられる。そのため、高温高圧による加圧浸出で使用する、たとえば、チタンライニングのオートクレーブのような高価な設備を用いることなく、酸化鉱石102からニッケルおよびコバルトを浸出させることができる。したがって、ニッケルおよびコバルトの回収に要するコストの上昇を抑制することができ、ニッケルおよびコバルトを効率的に回収することができる。
工程c: 反応工程
工程bで得られた硫酸浸出液108および浸出残渣109と、たとえば、工程aで得られたオーバーサイズ鉱石の粉砕品103とを、たとえば、大気圧のもとで、90℃以上100℃以下の温度で、後述する式(5)〜(8)に基づいて反応させる。後述する反応式に基づき、ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、マンガン、亜鉛および少量の鉄を含む反応液110と反応残渣111とが得られる。
粉砕品103の添加方法は、そのまま固体で加えてもよいし、用水を用いてスラリーとして加えてもよい。本工程の用水は、河川水、地下水または海水のいずれを使用してもよい。また、これらの用水に硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムのようなナトリウム塩106を加えて使用してもよい。
ここで、反応温度が90℃以上であることにより、粉砕品103に含有されるニッケルおよびコバルトの浸出率を向上させることができる。また、工程bで浸出させた鉄をナトロジャロサイトとして沈殿除去する効率を向上させることができる。また、100℃以下の温度で反応させることにより、水の沸点以下の温度で、後述する化学式に基づく反応をさせることができる。このため、上記反応に用いる装置の反応容器を加圧しなくてもよい。したがって、設備コストの上昇を抑制することができる。
ここで、浸出温度が90℃未満または100℃超過のもとで後述する化学式に基づく反応をさせてもよい。また、大気圧以外の圧力条件のもとで、後述する化学式に基づく反応をさせてもよい。
本実施形態においては、工程bにおける硫酸浸出液108の鉄濃度は30g/l〜90g/lであり、フリー硫酸は30g/l以上含有されているが、フリー硫酸と粉砕品103に含まれるマグネシウムとが反応することにより、反応前の硫酸浸出液108と比較して、鉄濃度は1/10以下、フリー硫酸も1/3以下に低下する。このとき、反応前の硫酸浸出液108のpHは、たとえば、pH0.2〜pH0.8の範囲であり、反応後の液のpHは、pH1〜pH3の範囲であったり、pH1.5〜pH2の範囲であったりする。
この理由は、以下の化学反応式(5)〜(8)によるものと考えられる。
SO(フリー硫酸)+MgO(酸化鉱石)=MgSO(液)+HO・・・(5)
Fe(SO・(液)+1/3NaSO+4HO=2/3NaFe(SO(OH)・(固体)+2HSO・・・(6)
Fe(SO・(液)+2/3NaCl+4HO=2/3NaFe(SO(OH)・(固体)+2/3HCl+5/3HSO・・・(7)
Fe(SO・(液)+4HO=2FeO(OH)・(固体)+3HSO・・・(8)
すなわち、式(5)によって、硫酸浸出液108中のフリー硫酸と粉砕品103に含まれるマグネシウムとが反応し、フリー硫酸の量が減少することによって、液中のpHが上昇する。このため、液中のpHの上昇にともない、式(6)〜(8)により、ナトロジャロサイトとゲーサイトが生成し、鉄が沈殿する。
ここで、酸化鉱石102に鉄とマグネシウムが含まれていることにより、より効率良く上記反応を起こさせることができる。たとえば、マグネシウム/鉄の成分比が0.125以上においては、酸化鉱石102に含有される鉄の量が比較的少ないため、式(2)により、浸出工程において酸化鉱石から浸出される鉄の量が比較的少なくなる。そのため、反応液中の鉄濃度も低くさせることができる。また、酸化鉱石102に含有されるマグネシウムの量が比較的多いため、硫酸浸出液108から反応工程に持ち込まれるフリー硫酸と反応するマグネシウムの量が比較的多くなる。このため、式(5)の反応により、マグネシウムを用いて、硫酸浸出液108中のフリー硫酸を十分に消費することができ、pHを調整することができる。
上述したように、酸化鉱石102中に鉄とマグネシウムが含有されることにより、式(6)〜(8)による鉄の沈殿を十分に行うことができ、反応液110中に残存する鉄の濃度を減少させることができる。このため、反応液110中に残存し、中和工程に持ち込まれる鉄の量が減少する。したがって、中和工程において、鉄を沈殿させるために要するコストの上昇を抑制することができる。この結果、ニッケルおよびコバルトの回収に要するコストの上昇を抑制することができ、ニッケルおよびコバルトを効率的に回収することができる。
なお、マグネシウム/鉄の成分比には上限はなく、たとえば、0.75以上であっても問題ない。なお、本実施形態において使用する酸化鉱石102は、鉄を20重量%以上50重量%以下、マグネシウムを2.5重量%以上15重量%以下含有するリモナイト鉱石であることから、マグネシウム/鉄の成分比は0.75以上とはならない。
また、工程cでオーバーサイズの粉砕品103を使用することにより以下の効果を得ることができる。すなわち、オーバーサイズの粉砕品103は、アンダーサイズよりもマグネシウムの含有量が高いため、式(5)〜(8)の反応が、より効果的に進むからである。反応時間は、3時間以上10時間以下とすることができ、また、4時間以上6時間以下とすることもでき、分級前の酸化鉱石を用いた場合よりも短い時間で式(5)〜(8)の反応を終了させることができる。ここで、オーバーサイズの粉砕品103には、ニッケルおよびコバルトが含有されているので、フリー硫酸をマグネシウムと反応させてpHを調整しつつ、粉砕品103中のニッケルおよびコバルトを浸出することによって、ニッケルおよびコバルトの回収率の更なる向上を図ることができる。したがって、ニッケルおよびコバルトの回収に要するコストの上昇を抑制しつつ、ニッケルおよびコバルトの回収率の更なる向上を図ることができ、ニッケルおよびコバルトを効率的に回収することができる。
ここで、反応に必要な設備は、たとえば、一般的に使用されているような攪拌機付の容器などで十分であり、その材質も、たとえば、ステンレスあるいは鋼材にゴムライニングしたものなどで十分である。そのため、高温高圧による反応で使用する、たとえば、チタンライニングのオートクレーブのような高価な設備を用いることなく、本工程の反応をさせることができる。したがって、ニッケルおよびコバルトの回収に要するコストの上昇を抑制することができる。この結果、ニッケルおよびコバルトを効率的に回収することができる。
さらに、本工程で、オーバーサイズの粉砕品と同時に、中和工程で使用するフェロニッケルスラグのうち、比較的ニッケル含有率の高いものを同時に使用してもよい。この場合、反応時の最終pHは3未満となる範囲で用いることができる。pHが3未満であることにより、液中にフリー硫酸が存在することによって、酸化鉱石からのニッケルの浸出効率低下を抑制することができるからである。
工程d:中和工程
工程cで得られた反応液110と反応残渣111と中和剤112を使用して、pH2〜pH6の範囲で中和反応させることができ、また、pH3〜pH5の範囲で中和反応させることもできる。こうすることにより、鉄濃度が1g/l以下であるニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、マンガンおよび亜鉛を含む中和液113と中和残渣114とが得られる。ここで、pHが2以上であることにより、鉄の沈殿を十分にすることができ、pHが6以下であることにより、ニッケル、コバルトの共沈を抑制しつつ、鉄のほとんどが沈殿除去される。したがって、ニッケルおよびコバルトの回収率を向上させることができ、ニッケルおよびコバルトを効率的に回収することができる。
ここで、本工程における圧力には特に制限はなく、たとえば、大気圧のもとで、反応液110と反応残渣111と中和剤112を使用して中和反応をさせてもよいし、大気圧以外の圧力条件のもとで中和反応をさせることもできる。
中和剤112としては、一般的によく使用されている、アルカリ金属の水酸化物である水酸化ナトリウムなど、アルカリ金属の炭酸化物である炭酸ナトリウムなど、アルカリ土類金属の水酸化物である水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど、アルカリ土類金属の酸化物である酸化カルシウム、酸化マグネシウムなど、アルカリ土類金属の炭酸化物である炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどを使用することができる。また、表1に示すような成分のフェロニッケルスラグを使用することもできる。また、上記した中和剤を、1種類で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
ここで、フェロニッケルスラグとは、ニッケルが2重量%以上含有されているマグネシウムを含む鉱石を用いて、乾式製錬法によりフェロニッケルを製造する際に発生するマグネシウムを含むスラグのことをさす。乾式製錬法におけるフェロニッケルスラグの発生量は、ニッケル1に対して、30倍重量〜35倍重量程度になるが、有効利用されているのはその一部である。
中和剤112として、たとえば、マグネシウムを含むフェロニッケルスラグを用いることにより、フェロニッケルスラグに含まれるマグネシウムを中和剤として有効利用することができつつ、反応液110と反応残渣111とを中和することができる。したがって、資源を有効活用するとともに、ニッケルおよびコバルトの回収コストの上昇を抑制することができる。
また、中和剤112としては、反応液110と反応残渣111を中和させることができれば、フェロニッケルスラグ以外の、たとえば、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどを用いてもよい。
工程e: 固液分離工程
工程dで得られた中和液113と中和残渣114は、凝集剤115が添加されることにより分離される。凝集剤115としては、たとえば、高分子凝集剤などが用いられる。この固液分離には、一般的に行われているシックナー方式が採用され、6段以上のシックナーによる向流洗浄方式を用いることができる。こうすることにより、中和液中のニッケル、コバルトが、99重量%以上の高歩留まりで、かつ、鉄濃度が1g/l以下と鉄含有量の少ない、ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、マンガンおよび亜鉛を含む中和液113と中和残渣114とに容易に、効率よく固液分離される。
ここで、凝集剤115は、高分子凝集剤以外であっても、中和液113と中和残渣114とに分離させることができる凝集剤であればよい。
また、6段以上のシックナーによる向流洗浄方式以外の、他の固液分離装置を用いて、中和液113と中和残渣114とに固液分離してもよい。
工程f: 溶媒抽出工程
図2は、ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、マンガンおよび亜鉛を含有する中和液113から、モノチオホスフィン酸基を含む有機溶媒134を用いて硫酸ニッケル溶液130と硫酸コバルト溶液132とに分離する溶媒抽出工程を説明するためのフロー図である。本実施形態においては、五段の抽出工程と、二段の逆抽出工程と、一段の洗浄工程とからなる溶媒抽出工程について説明する。ここで、モノチオホスフィン酸基を含む有機溶媒134の化学式を一般式(1)に示す。
PSOH・・・(1)
式(1)中、R、Rは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基である。また、炭化水素基は、より好ましくは炭素数3以上25以下であり、さらにより好ましくは炭素数5以上15以下である。また、炭化水素基は極性を有しなくてもよい。また、RとRは同じ炭化水素基であってもよいし、異なる炭化水素基であってもよい。置換基としては、たとえば、ハロゲン基、オキシ基、カルボニル基、アミド結合基などが挙げられる。R、Rの炭化水素基としては、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよく直鎖または側鎖を有するアラルキル基、直鎖または側鎖を有するアルキル基、および直鎖または側鎖を有するアルケニル基を用いることができる。ここで、R、Rの炭素数が3以上の場合には、有機溶媒134は水に溶けにくい性質を有し、抽出時に水溶液に溶出されにくい性質を有することとなる。そのため、有機溶媒134のハンドリング性が向上する。したがって、溶媒抽出工程に用いることができる。さらに、R、Rの炭素数が5以上の場合には、有機溶媒134はさらに水に溶けにくい性質を有し、抽出時にさらに水溶液に溶出されにくい性質を有することとなる。そのため、有機溶媒134のハンドリング性が、さらに向上する。したがって、溶媒抽出工程に用いることができる。また、R、Rの炭素数が25以下の場合には、有機溶媒134は後述するShellsol(Shell Chemichals社製(商標))やExxsol(商標) D80(ExxonMobil Chemichal社製)などの希釈剤に溶けやすくなる。そのため、有機溶媒134のハンドリング性が向上する。したがって、溶媒抽出工程に用いることができる。さらに、R、Rの炭素数が15以下の場合には、有機溶媒134はShellsol(Shell Chemichals社製(商標))やExxsol(商標) D80(ExxonMobil Chemichal社製)などの希釈剤にさらに溶けやすくなる。そのため、有機溶媒134のハンドリング性がさらに向上する。したがって、溶媒抽出工程に用いることができる。
ここで、有機溶媒134として用いられ得るのは、具体的には、ジ−(2,4,4−トリメチルペンチル)−モノチオホスフィン酸、ジ−(2−エチルヘキシル)−モノチオホスフィン酸、ジ−(n−オクチル)−モノチオホスフィン酸、ジ−(2−メチル−5−ヘキセニル)−モノチオホスフィン酸、ジ−(p−メチルシクロヘキシル)−モノチオホスフィン酸、ジ−(シクロヘキシル)−モノチオホスフィン酸、ジフェニルモノチオホスフィン酸、ジ−(p−エチルフェニル)−モノチオホスフィン酸、ジ−(p−メチルフェニル)−モノチオホスフィン酸などである。
また、溶媒抽出工程においては、たとえば、図3に示すようなミキサーセトラーなどの溶媒抽出分離装置が複数個接続されて、溶媒抽出装置を構成する。ミキサーセトラー150は、溶媒と硫酸溶液とを攪拌するミキサー部152と、ミキサー部で攪拌された溶媒と硫酸溶液とを静置して溶媒相156と溶液相158とに分離するセトラー部154とから構成される。
図2中、実線は溶液相の流れを示し、破線は溶媒相の流れを示す。ここで、本実施形態においては、ジ−(2,4,4−トリメチルペンチル)−モノチオホスフィン酸を主成分として有するCyanex(商標)302(サイアナミド社製)を有機溶媒134として用いた。また、溶媒の希釈剤としてShellsol(Shell Chemichals社製(商標))やExxsol(商標) D80(ExxonMobil Chemichal社製)などを用いてもよい。Cyanex(商標)302(サイアナミド社製)の主成分を構成するジ−(2,4,4−トリメチルペンチル)−モノチオホスフィン酸の化学式を以下の式(9)〜(10)に示す。
RRPSOH・・・(9)
R=CHC(CHCHCH(CH)CH ・・・(10)
図2に示すように、中和液113は抽出5段に供給され、抽出4段、抽出3段、抽出2段、抽出1段と移行していく。一方、逆抽出後のCyanex(商標)302(サイアナミド社製)などの有機溶媒134は、逆抽出2段からポンプなどを用いて抽出1段に供給され、抽出2段、抽出3段、抽出4段、抽出5段、洗浄1段、逆抽出1段、逆抽出2段と移行し、溶媒抽出工程内を循環する。ここで、抽出1段〜5段のpHは、各段においてコバルトの抽出に用いることができるpHに調整される(pH調整工程)。ここで、Cyanex(商標)302(サイアナミド社製)などのモノチオホスフィン酸基を含有する有機溶媒134を用いた場合のコバルトの抽出の際のpHは、pH2.5以上pH5.5以下の範囲とすることができ、また、pH2.5以上pH4.5以下の範囲とすることもできる。また、硫酸は逆抽出2段に供給され、逆抽出1段に移行する。また、洗浄1段により温水などの水を用いて洗浄し、有機溶媒134中にコンタミした微粒子を除去した後の洗浄後液は、中和液113とともに抽出5段に移行する。
本工程により、抽出5段に供給された中和液113のコバルト成分は、抽出溶媒であるCyanex(商標)302(サイアナミド社製)などの有機溶媒134がコバルト成分を抽出するために、移行するにつれてコバルト含有率が低くなり、抽出1段を通過した液はコバルトをほとんど含まない硫酸ニッケル溶液130となる。ここで、硫酸ニッケル溶液130には、中和液113中のマグネシウム成分、カルシウム成分およびマンガン成分も含まれる。
一方、抽出溶媒であるCyanex(商標)302(サイアナミド社製)などの有機溶媒134は抽出1段から5段において、中和液113からコバルトを抽出する。そのため、有機溶媒134が抽出各段を移行するにつれて有機溶媒134中のコバルト含有率が高くなる。次に、コバルト含有率が高い有機溶媒134が逆抽出1段、2段において、逆抽出2段に供給される硫酸と混合されることにより、硫酸中にコバルトが逆抽出され、逆抽出2段を通過した有機溶媒134はコバルトをほとんど含まない有機溶媒134となる。また、逆抽出1段を通過した硫酸にはコバルトが逆抽出されているので、硫酸コバルト溶液132となる。ここで、逆抽出に用いる硫酸量は、逆抽出2段後の有機溶媒134にコバルトが含まれないようなpHになるように調整される。なお、亜鉛は、コバルトより逆抽出されにくいため、逆抽出2段で亜鉛を分離できる低いpHとすることにより、亜鉛とコバルトを同時に逆抽出してもよいし、コバルトを逆抽出した後、再度硫酸を用いて亜鉛を逆抽出してもよい。
本工程において、Cyanex(商標)302(サイアナミド社製)などのモノチオホスフィン酸基を有する有機溶媒134を用いることにより、効率よく、ニッケルとコバルトとを分離し、回収することができる。
すなわち、特許文献2記載の技術をはじめとする従来の技術においては、有機溶媒を用いた溶媒抽出の際に、マグネシウム成分、カルシウム成分およびマンガン成分もコバルト成分とともに抽出されていた。そのため、マグネシウム成分、カルシウム成分およびマンガン成分により、有機溶媒がオーバーロードする状態となり、コバルトの抽出率が低下することがあった。これに対して、本実施形態においては、Cyanex(商標)302(サイアナミド社製)などのモノチオホスフィン酸基を有する有機溶媒134を用いることにより、中和液113からコバルト成分と亜鉛成分を選択的に抽出することができる。このため、有機溶媒134にカルシウム成分、マグネシウム成分およびマンガン成分が抽出されることと、カルシウム成分、マグネシウム成分およびマンガン成分が抽出されることにより有機溶媒134がコバルトを抽出する余地が減少する、いわゆるオーバーロードの発生を抑制することができる。したがって、有機溶媒134のコバルト抽出性能が低下することを抑制することができる。この結果、効率的にニッケルおよびコバルトをそれぞれ分離し、回収することができる。
また、特許文献2記載の技術をはじめとする従来の技術においては、マグネシウム成分、カルシウム成分およびマンガン成分もコバルト成分とともに抽出されて、硫酸コバルト溶液に存在していた。特に、カルシウム成分は硫酸溶液中での溶解度が小さい。そのため、硫酸溶液中で過飽和となって硫酸カルシウムとして沈殿しやすく、沈殿物がスケールとして溶媒抽出装置に付着するという課題を有していた。さらに、硫酸コバルト溶液から硫化物、水酸化物、炭酸化物などの形態で回収する工程において、カルシウムの沈殿物以外に、マグネシウム成分の一部、マンガン成分の一部も沈殿し、不純物として硫化物、水酸化物、炭酸化物に含有されることから、純度の高いコバルト回収物を得ることが困難であるという課題を有していた。これに対して、本実施形態においては、Cyanex(商標)302(サイアナミド社製)などモノチオホスフィン酸基を有する有機溶媒134がコバルト成分と亜鉛成分とを選択的に抽出するため、硫酸コバルト溶液132に含まれるマグネシウム成分、カルシウム成分およびマンガン成分の含有量を制御することができる。このため、硫酸コバルト溶液132中に硫酸カルシウムの沈殿が発生することを抑制することができ、溶媒抽出装置にスケールが付着することを抑制することができる。したがって、スケール除去のために溶媒抽出装置を停止する時間が発生することを抑制することができ、効率的にニッケルおよびコバルトをそれぞれ分離し、回収することができる。また、マンガン成分、マグネシウム成分の含有量が増大することを抑制することにより、純度の高い硫化物、水酸化物、炭酸化物などのコバルト回収物を回収することができる。したがって、効率的にニッケルおよびコバルトをそれぞれ分離し、回収することができる。
また、コバルトを選択的に抽出することができるモノチオホスフィン酸基を有する有機溶媒134を用いて、中和液113からコバルトを分離することにより、工程d(中和工程)において、マグネシウムやカルシウムを中和剤として用いることができる。すなわち、工程f(溶媒抽出工程)において、有機溶媒134は、中和液113からコバルト成分と亜鉛成分とを選択的に抽出することができるので、中和剤としてマグネシウムやカルシウムを用いることにより、中和液113におけるマグネシウム成分やカルシウム成分が増加するとしても、有機溶媒134にカルシウム成分やマグネシウム成分が抽出されることによるオーバーロードの発生を抑制することができる。したがって、有機溶媒134のコバルト抽出性能が低下することを抑制することができる。この結果、比較的安価なカルシウムやマグネシウムを中和剤として用いることにより、より効率的にニッケルおよびコバルトをそれぞれ分離し、回収することができる。
このようにして得られた硫酸ニッケル溶液130と硫酸コバルト溶液132は、それぞれ、水硫化ソーダ、硫化ソーダ、硫化アンモン、硫化水素などを添加して硫化物としてそれぞれ沈殿回収する方法や、水酸化物、酸化物、炭酸化物を加えて水酸化物あるいは炭酸化物としてそれぞれ沈殿回収する方法を用いて、ニッケルおよびコバルトをそれぞれ回収する。
以上述べたプロセスにより、酸化鉱石102からニッケルおよびコバルトが効率良く分離・回収される。
以上、発明の好適な実施の形態を説明した。しかし、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施形態を変形可能なことはもちろんである。
たとえば、上記実施形態においては、ニッケルおよびコバルトを含む酸化鉱石を分級する工程aを設ける形態について説明したが、この工程を省略してもよい。
また、上記実施形態においては、工程bと工程cにおいて、ナトリウム塩を添加する形態について説明したが、ナトリウム塩を添加しなくてもよい。
また、上記実施形態においては、工程aにより分級したオーバーサイズのマグネシウムを含む酸化鉱石を用いて、工程cによりpH調整を行う形態について説明したが、たとえば、ニッケルの含有率が1重量%以下、マグネシウムの含有率が15重量%以上であって、通常はニッケルおよびコバルトの回収に用いられない、比較的ニッケル品位が低く、マグネシウム品位が高い酸化鉱石などを用いてもよい。なお、こういった酸化鉱石は、たとえば、ニッケル鉱山やコバルト鉱山の深い層などに存在することが多く、鉄の含有率が比較的低いという特徴を有する。したがって、上記酸化鉱石を工程cに用いることにより、ニッケルおよびコバルトを硫酸液中に浸出させつつ、マグネシウムでpH調整を行い、鉄の浸出量が増大するのを抑制することができる。この結果、ニッケルおよびコバルトの回収率の減少を抑制しつつ、ニッケルおよびコバルトの回収コストの低減を図ることができる。また、酸化鉱石以外であってもマグネシウムを含むものを用いてもよい。
また、工程cによりpH調整を行う際に、工程aにより分級したオーバーサイズのマグネシウムを含む酸化鉱石とともに、上記ニッケル品位が低く、マグネシウム品位が高い酸化鉱石を用いてもよい。
また、工程cによりpH調整を行う際に、工程aにより分級したオーバーサイズのマグネシウムを含む酸化鉱石とともに、酸化鉱石以外のマグネシウムを含むものを用いてもよい。
また、工程cによりpH調整を行う際に、上記ニッケル品位が低く、マグネシウム品位が高い酸化鉱石を用いるとともに、酸化鉱石以外のマグネシウムを含むものを用いてもよい。
また、工程cによりpH調整を行う際に、工程aにより分級したオーバーサイズのマグネシウムを含む酸化鉱石と、上記ニッケル品位が低く、マグネシウム品位が高い酸化鉱石と、酸化鉱石以外のマグネシウムを含むものを合わせて用いてもよい。
また、上記実施形態においては、工程cにおいて、マグネシウムを用いてpH調整を行う形態について説明したが、このpH調整を省略してもよい。
また、工程bまたは工程cにおいて、鉄や亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を用いてもよい。こうすることにより、ニッケルおよびコバルトの浸出率をさらに向上させることができ、ニッケルおよびコバルトを効率的に回収することができる。
ここで、還元剤としては、たとえば、鉄粉、亜硫酸ナトリウム、あるいはこれらを混合したものなどが用いられる。鉄粉を用いる場合は、酸化鉱石102の使用量に対して0.1重量%以上1重量%以下の範囲で添加することができ、また、0.2重量%以上0.5重量%以下の範囲で添加することもできる。ここで、鉄粉の粒径としては、直径1mm程度のものを用いることができ、また、表面が酸化していないものを用いることができる。また、亜硫酸ナトリウムを使用する場合は、酸化鉱石102の使用量に対して1重量%以上10重量%以下で添加することができ、また、5重量%以上8重量%以下の範囲で添加することもできる。
還元剤を上記範囲で添加することにより、還元剤の効果を十分に発揮することが可能となり、他工程における鉄濃度の制御などとの相乗効果により、ニッケルおよびコバルトの浸出率、特にコバルトの浸出率を効率的に、さらに向上させることができる。したがって、鉄を除去するコストの低減を図りつつ、ニッケルおよびコバルトの回収率の更なる向上を図ることができる。
還元剤を加えることにより、ニッケルおよびコバルトの浸出率、特にコバルトの浸出率の向上に効果がある理由は、以下のように考えられる。
すなわち、酸化鉱石102中のコバルトは2価の酸化物(CoO)と3価の酸化物(Co)の形態で存在し、その存在比率は鉱石の産地によって異なっていると推定される。このようなコバルトと酸素との結合状態は、CoのほうがCoOより強く安定であり、硫酸105によって、スラリー鉱石104に含有される3価のコバルト酸化物におけるコバルトと酸素との結合を壊すことは容易ではない。そこで、硫酸105に加えて還元剤を添加することにより、3価のコバルト酸化物におけるコバルトと酸素との結合力を弱め、コバルトの価数が3価から2価に還元され、硫酸105によるコバルトの浸出がより容易となったことによるものと推測される。
また、上記実施形態においては、抽出の段数を5段、洗浄を1段、逆抽出を2段としてニッケルとコバルトとを分離・回収する形態について説明したが、ニッケルとコバルトとを分離・回収することができる段数であれば、たとえば、抽出を7段、洗浄を2段、逆抽出を3段などのように、段数を変えてもよい。
また、上記実施形態においては、中和液113と有機溶媒134とを接触させてニッケルおよびコバルトを分離する形態について説明したが、中和液113以外のニッケルおよびコバルトが共存する硫酸溶液と抽出溶媒である有機溶媒134とを接触させてニッケルおよびコバルトを分離・回収してもよい。
(実施例)
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)
モノチオホスフィン酸基を主成分として有するCyanex(商標)302(サイアナミド社製)を有機溶媒として用いて、ニッケル、マンガン、マグネシウム、亜鉛、コバルトの各成分について、図4のフロー図に示す方法で溶媒抽出実験を行った。
Cyanex(商標)302(サイアナミド社製)の主成分を構成するジ−(2,4,4−トリメチルペンチル)−モノチオホスフィン酸の化学式を以下の式(13)〜(14)に示す。
RRPSOH ・・・(13)
R=CHC(CHCHCH(CH)CH− ・・・(14)
図5〜図7に、実験の条件および結果を示す。図5は図6のデータをグラフ化したものである。以下、O:Aとは、有機相の体積をO:水相の体積をAとしたときの比である。
本実施例に使用した溶液は、後述する中和液からあらかじめ鉄、アルミニウムなどの不純物を除去した、図7に示す濃度の原液である。原液中の液濃度(各元素の含有率)は、Ni:4.4g/l、Mn:0.8g/l、Mg:32.3g/l、Zn:0.1g/l、Co:0.2g/l、Ca:0.4g/lである。なお、本実施例に用いた中和液は、マグネシウムなどを用いて反応させることにより、硫酸浸出液を反応前のpH0.2〜pH0.8の範囲から、pH1〜pH3の範囲に調整した反応液を中和剤を用いて中和した液である。有機溶媒としては、Cyanex(商標)302(サイアナミド社製)とShellsol(Shell Chemichals社製(商標))とを混合し、20重量%Cyanex(商標)302−80重量%Shellsol(商標)に希釈したものを使用した。
以下、本実施例に用いた中和液の作製方法を詳細に説明する。
はじめに、ニッケル、コバルト、鉄およびマグネシウムを含む酸化鉱石を、ふるい目が2mmの振動ふるいを用いて、粒径が2mmを超えるオーバーサイズの鉱石と2mm以下のアンダーサイズの鉱石とに分級した。次に、アンダーサイズの鉱石は海水を用いてスラリー鉱石とし、オーバーサイズの鉱石は粉砕して粉砕品とした(分級工程)。
ついで、スラリー鉱石に、硫酸と、還元剤としての鉄粉(粒径1mm)とを加え、温度95℃、常圧の条件下で5時間浸出し、ニッケル、コバルトを含む硫酸浸出液と浸出残渣とを得た(浸出工程)。浸出工程における硫酸の使用量は酸化鉱石の重量の65重量%であり、鉄粉の使用量は酸化鉱石の重量の0.4重量%(0.004倍重量)であった。ここで、X線回折法による分析を行ったところ、浸出残渣には、スラリー鉱石から浸出された鉄と硫酸と海水中のナトリウム塩とが反応して生成されたナトロジャロサイトが含まれていた。
つづいて、浸出残渣を含む硫酸浸出液中のフリー硫酸と、分級工程で粉砕したオーバーサイズの鉱石の粉砕品に含有されるマグネシウムとを、温度95℃、常圧の条件下で5時間反応させることにより、フリー硫酸を消費してpHを1〜3程度に調整し、反応液と反応残渣とを得た(反応工程)。ここで、X線回折法による分析を行ったところ、反応残渣にはナトロジャロサイトが含まれていた。
次に、反応残渣を含む反応液に、中和剤としてマグネシウムを含むフェロニッケルスラグを添加することでpHを5に調整し、中和液と中和残渣とを得た(中和工程)。
次に、中和残渣を含む中和液に高分子凝集剤を添加し、向流洗浄方式の6段シックナーを用いて固液分離することで、中和液と中和残渣とを分離した(固液分離工程)。ここで、ICP法による元素分析(成分分析)を行ったところ、中和液には、ニッケル、コバルト、マンガン、カルシウム、亜鉛、鉄、マグネシウムが含まれていた。以上のプロセスにより、本実施例に用いた中和液が得られた。
以下、図4のフロー図に示す溶媒抽出実験を説明する。まず、ニッケル、コバルト、マンガン、マグネシウム、カルシウム、亜鉛を所定量含む硫酸塩液(原液)と有機溶媒とを5:1の容量比率(O:A=1:5)で、温度50℃の湯浴にて、pH調整剤を加えて5分間混合攪拌して(pH調整工程)所定の元素を有機溶媒中に抽出した後、分液ロートに移して十分に静置し、抽出後溶媒と抽出後液とを分取した(抽出操作)。
抽出後液は、その液量を測定し、ICP法を用いて各元素(成分)濃度を分析し、pHを測定した。測定されたpHが、pH0.91、pH1.91、pH2.42、pH2.77、pH3.44、pH4.06、pH4.93、pH5.44のそれぞれの場合における抽出後液中のNi,Mn、Mg,Zn、Co,Caの含有率(液濃度)を図7に示す。一方、所定元素を抽出した有機溶媒は、有機溶媒中に懸濁した微量な液を除去する目的で、水と有機溶媒とを1:1の容量比率で、温度50℃の湯浴にて5分間混合攪拌して洗浄した後、分液ロートに移して十分に静置し、洗浄後溶媒と洗浄後液とを分取した(洗浄操作)。
洗浄後液は、その液量を測定し、ICP法を用いて各元素(成分)濃度を分析し、pHを測定した。一方、洗浄後溶媒は、3規定の硫酸液を加えることにより、1:1の容量比率で、温度50℃の湯浴にて、pH調整剤を加えて5分間混合攪拌して硫酸液中に逆抽出した後、分液ロートに移して十分に静置し、逆抽出後溶媒と逆抽出後液とを分取した(逆抽出操作)。
逆抽出後液は、その液量を測定し、ICP法を用いて各元素(成分)濃度を分析し、pHを測定した。測定されたpHが、pH0.91、pH1.91、pH2.42、pH2.77、pH3.44、pH4.06、pH4.93、pH5.44のそれぞれの場合における逆抽出後液中のNi、Mn、Mg、Zn、Co,Caの含有率(液濃度)を図7に示す。
各元素の抽出率は、((逆抽出後液の元素重量)/(逆抽出亜路液の元素重量+抽出後液の元素重量))×100の計算式で求めた。上述したそれぞれのpHにおける各元素の抽出率を図6に示す。
なお、洗浄後液には各元素濃度が検知されなかったため、抽出率の計算から除外した。
(実施例2)
本実施例においては、抽出操作における湯浴の温度を70℃、混合攪拌時間を1分とし、洗浄操作における湯浴の温度を70℃、混合攪拌時間を30秒とし、逆抽出操作における湯浴の温度を70℃、混合攪拌時間を1分としたこと以外は実施例1と同じ条件で実験を行った。本実施例で用いた中和液は実施例1で用いた中和液と同じ方法で作製した。pH0.53、pH1、pH1.32、pH1.72、pH2.29、pH3.2、pH4.45、pH5.1のそれぞれの場合のpHにおける各元素の抽出率を図14に示す。
(比較例)
ホスフィン酸基を主成分として有するCyanex(商標)272(サイアナミド社製)を溶媒として用いた以外は、実施例1と同じ条件および同じ方法で、ニッケル、コバルト、マンガン、マグネシウム、カルシウム、亜鉛の各成分について、図4のフロー図に示す方法で、溶媒抽出実験を行った。本比較例で用いた中和液は実施例1で用いた中和液と同じ方法で作製された。なお、原液の各元素の含有率は図10に示すように、Ni:4.5g/l、Mn:0.8g/l、Mg:31.7g/l、Zn:0g/l、Co:0.2g/l、Ca:0.5g/lであり、実施例1および実施例2で用いた原液における液濃度(各元素の含有率)とほぼ同様である。
Cyanex(商標)272(サイアナミド社製)の主成分を構成するジ−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィン酸の化学式を以下の式(11)〜(12)に示す。
RRPOOH・・・(11)
R=CHC(CHCHCH(CH)CH−・・・(12)
図8〜図10に比較例の実験条件および実験結果を示す。図8は図9のデータをグラフ化したものである。
Cyanex(商標)272(サイアナミド社製)を有機溶媒として用いた比較例においては、図8および図9に示すように、コバルトの抽出領域であるpH4〜pH6近傍において、コバルトとともにカルシウム、マグネシウム、マンガンが有機溶媒に抽出されることがわかった。具体的には、pH=6.12において、有機溶媒への抽出量は、コバルト:8.5mg、カルシウム:10mg、マグネシウム105mg、マンガン:48mgである。このため、本比較例において、Cyanex(商標)272(サイアナミド社製)を有機溶媒として溶媒抽出工程を行うと、コバルトの抽出量に対して、カルシウム、マグネシウム、マンガンが、それぞれ1.13倍、5.6倍、12.4倍の量で有機溶媒中に存在することがわかった。
これに対して、Cyanex(商標)302(サイアナミド社製)を有機溶媒として用いた実施例1および実施例2においては、図5、図6および図14に示すように、コバルトの抽出領域であるpH4近傍において、コバルトと亜鉛以外の成分はほとんど有機溶媒に抽出されないことがわかった。これは、マンガン、ニッケルの抽出曲線がコバルトの抽出曲線よりも高いpH側に位置しているためである。
以上の実験結果により、有機溶媒としてCyanex(商標)272(サイアナミド社製)ではなく、Cyanex(商標)302(サイアナミド社製)を用いることにより、ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、マンガン、亜鉛を含む中和液に由来する硫酸液から、コバルトと亜鉛とを有機溶媒中に選択的に抽出できることがわかった。
(実施例3)
実施例1の方法で得られた中和液を用いて、抽出の5段階、洗浄、逆抽出を実施例1と同じ実験方法で行い、有機溶媒中に抽出された各元素の各抽出段数における挙動について実験を行った。
溶媒量/液量=0.2、液温度:50℃、pH=4.01で1段目の抽出を行って有機溶媒と液を分離した。次に、コバルトなどが抽出された有機溶媒と新しい液とを接触させて、1段目の抽出と同じ条件で2段目の抽出を行って有機溶媒と液を分離した。以下、この手順を繰り返し、3段目の抽出(pH=4.00)、4段目の抽出(pH=4.00)、5段目の抽出(pH=4.03)を行った(抽出操作)。
次に、5段目の抽出後の有機溶媒を有機溶媒/水=2、液温度:50℃で洗浄を行った(洗浄操作)。
ついで、洗浄した有機溶媒を3規定の硫酸を用いて、有機溶媒/硫酸(3規定)=2、液温度:50℃で逆抽出を行った(逆抽出操作)。
以上の工程で得られたそれぞれの段階の液(たとえば、3段目の抽出後の液など)に含まれる元素濃度を分析し、各抽出段後の累計抽出量と、洗浄後の液および逆抽出後の液に含まれる各元素量を測定した。測定結果を図11〜図13に示す。ここで、抽出操作後の液の濃度分析をし、減少した部分を抽出量として累積した。図中、マイナス側は、抽出操作後濃度が上がった部分を溶媒から水相に移行したものとした。図12は図11のデータをグラフ化したものである。また、図13は、図12のグラフの縦軸の抽出量(g)を抽出量(mmol)として示したグラフである。
図11〜図13に示すように、多段階の抽出操作により、亜鉛およびコバルトは抽出の段階が進むにつれて有機溶媒相への抽出量が増加する。一方、ニッケル、マンガンおよびマグネシウムは一度有機溶媒相に抽出されるが、抽出の段階が進むにつれて有機溶媒相から溶液相へと戻っている。また、マグネシウムおよびニッケルは洗浄で除去される。
抽出操作の各段階における元素による挙動の違いは当該元素の錯体の安定度の大小に由来するものと考えられる。すなわち、本実施例より、錯体の安定度は、亜鉛>コバルト>>マンガン>ニッケル>マグネシウムと推定できる。
本実施例により、溶液相のpHを4程度とすることにより、5段程度の抽出と1段の水洗浄と1段の硫酸液による逆抽出を行うことによって、ニッケルとコバルトとを十分に分離することが可能であることがわかった。
(実施例4)
5段階の抽出、洗浄、逆抽出を実施の形態で説明した図3の装置を用いて図2の方法を実施し、有機溶媒中に抽出された各元素の各抽出段階における挙動について実験した。本実施例に用いた液は実施例1で用いた液と同じ方法で作製されたpH5の弱硫酸性の溶液であり(以下、硫酸液)、硫酸液中の各元素の含有率は、Ni:3.49g/l、Mn:1.22g/l、Mg:37.4g/l、Zn:0.032g/l、Co:0.258g/l、Ca:0.434g/lであった。なお、抽出操作、洗浄操作、逆抽出操作における液温度、混合攪拌時間などの条件は実施例2とほぼ同じ条件で行った。
有機溶媒量/硫酸液量=0.2、液温度:70℃、pH=3.5で1段目の抽出を行って有機溶媒と硫酸液とを分離した。pH調整剤としては炭酸ナトリウムが用いられた。次に、コバルトなどが抽出された有機溶媒と新しい硫酸液とを接触させて、1段目の抽出と同じ条件で2段目の抽出を行って有機溶媒と硫酸液とを分離した。以下、この手順を繰り返し、3段目の抽出、4段目の抽出、5段目の抽出を行った(抽出操作)。
次に、5段目の抽出後の有機溶媒を溶媒/水=2、液温度:70℃で純水により洗浄を行い、pH=4.5とした(洗浄操作)。
ついで、洗浄した有機溶媒を3規定の硫酸を用いて、有機溶媒/硫酸(3規定)=2、液温度:70℃で逆抽出を行った(逆抽出操作)。逆抽出操作におけるpHは1.5であった。
以上の工程で得られた抽出1段目の液に含まれる元素濃度(抽出後液濃度)を分析したところ、図15に示すように、Ni:2.91g/l、Mn:1.002g/l、Mg:31.15g/l、Zn:0.002g/l、Co:0.003g/lであった。また、逆抽出操作後の液に含まれる元素濃度(逆抽出後液濃度)を分析したところ、図15に示すように、Ni:0.007g/l、Mn:0.011g/l、Mg:0.015g/l、Zn:0.018g/l、Co:1.293g/lであった。
本実施例により、抽出操作時の溶液相のpHを4.5程度とすることにより、5段階の抽出と1段の純水による水洗浄と1段の硫酸液による逆抽出とを行うことによって、ニッケルとコバルトとを十分に分離することが可能であることがわかった。また、混合攪拌時の温度が70℃程度であり、混合攪拌時間が30秒〜1分程度であるときにもニッケルとコバルトとを十分に分離することが可能であることがわかった。

Claims (17)

  1. ニッケルおよびコバルトが共存する硫酸溶液からニッケルとコバルトとを分離して回収する回収方法であって、
    下記一般式(1)
    PSOH (1)
    (但し、RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよく、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)
    で示されるモノチオホスフィン酸化合物を抽出剤として含有する抽出溶媒と前記硫酸溶液とを接触させて、前記硫酸溶液から抽出溶媒にコバルトを選択的に抽出する抽出工程を含むことを特徴とする回収方法。
  2. 請求項1に記載の回収方法において、
    前記抽出工程の後に、硫酸ニッケル溶液と硫酸コバルト溶液とを得ることを特徴とする回収方法。
  3. 請求項1または2に記載の回収方法において、
    前記抽出工程の前に、前記抽出溶媒と前記硫酸溶液とを接触させた後に、前記硫酸溶液と前記抽出溶媒との混合液のpHを調整するpH調整工程を含み、
    前記混合液のpHは、2.5以上5.5以下の関係を満たすことを特徴とする回収方法。
  4. ニッケルおよびコバルトを含む酸化鉱石から、ニッケルおよびコバルトを分離して回収する回収方法であって、
    硫酸を使用して、前記酸化鉱石から、ニッケルおよびコバルトを浸出し、ニッケルおよびコバルトを含む硫酸浸出溶液と、浸出残渣と、を得る浸出工程と、
    前記浸出残渣を含む前記硫酸浸出溶液をpH調整し、ニッケルおよびコバルトを含む反応液と、反応残渣と、を得る反応工程と、
    前記反応残渣を含む前記反応液を、中和剤を使用して中和し、ニッケルおよびコバルトを含む中和液と、中和残渣と、を得る中和工程と、
    前記中和液と前記中和残渣とを、凝集剤を使用し、シックナーを用いて固液分離し、前記中和液と前記中和残渣とに分離する固液分離工程と、
    前記中和液と下記一般式(1)
    PSOH (1)
    (但し、RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよく、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)
    で示されるモノチオホスフィン酸化合物を抽出剤として含有する抽出溶媒とを接触させて、前記中和液から抽出溶媒にコバルトを選択的に抽出する溶媒抽出工程と、
    を含むことを特徴とする回収方法。
  5. 請求項4に記載の回収方法において、
    前記浸出工程の前に、前記酸化鉱石を、小粒径酸化鉱石と、マグネシウムを含む大粒径酸化鉱石とに分級する分級工程をさらに含み、
    前記浸出工程において、前記小粒径酸化鉱石からニッケルおよびコバルトを浸出するとともに、
    前記反応工程において、前記浸出残渣を含む前記硫酸浸出溶液と、前記大粒径酸化鉱石に含有されるマグネシウムとを反応させてpH調整することを特徴とする回収方法。
  6. 請求項4または5に記載の回収方法において、
    前記浸出工程において、さらにナトリウム塩を用いて、前記酸化鉱石から、ニッケルおよびコバルトを浸出し、ニッケルおよびコバルトを含む硫酸浸出溶液と、浸出残渣と、を得て、
    前記反応工程において、前記浸出残渣を含む前記硫酸浸出溶液をpH調整し、ニッケルおよびコバルトを含む反応液と、反応残渣と、を得ることを特徴とする回収方法。
  7. 請求項6に記載の回収方法において、
    前記ナトリウム塩が、海水中に含まれるナトリウム塩であることを特徴とする回収方法。
  8. 請求項1乃至7いずれかに記載の回収方法において、
    前記RとRとは、それぞれ独立して、炭素数3以上25以下であることを特徴とする回収方法。
  9. 請求項1乃至8いずれかに記載の回収方法において、
    前記炭化水素基が、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよく直鎖または側鎖を有するアラルキル基、直鎖または側鎖を有するアルキル基、および直鎖または側鎖を有するアルケニル基、からなる群から選択された炭化水素基であることを特徴とする回収方法。
  10. 請求項1乃至9いずれかに記載の回収方法において、
    前記Rと前記Rとが、R=R=CHC(CHCHCH(CH)CHで表されることを特徴とする回収方法。
  11. 請求項4乃至10いずれかに記載の回収方法において、
    前記浸出工程と、前記反応工程とを、ともに90℃以上の温度下で行うことを特徴とする回収方法。
  12. 請求項4乃至11いずれかに記載の回収方法において、
    前記浸出工程と、前記反応工程とを、ともに常圧下で行うことを特徴とする回収方法。
  13. 請求項4乃至12いずれかに記載の回収方法において、
    前記硫酸の使用量は、前記酸化鉱石の重量の50重量%以上80重量%以下であることを特徴とする回収方法。
  14. 請求項4乃至13いずれかに記載の回収方法において、
    前記中和剤は、マグネシウムを含むスラグであることを特徴とする回収方法。
  15. 請求項4乃至14いずれかに記載の回収方法において、
    前記浸出工程において、還元剤をさらに加え、前記酸化鉱石から、ニッケルおよびコバルトを浸出し、ニッケルおよびコバルトを含む硫酸浸出溶液と、浸出残渣と、を得ることを特徴とする回収方法。
  16. 請求項15に記載の回収方法において、
    前記還元剤は鉄粉であることを特徴とする回収方法。
  17. 請求項4乃至16いずれかに記載の回収方法において、
    前記固液分離工程と前記溶媒抽出工程との間に、前記中和液と前記抽出溶媒とを混合させた混合液のpHを調整するpH調整工程を含み、
    前記混合液のpHは、2.5以上5.5以下の関係を満たすことを特徴とする回収方法。
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