JP4294685B2 - ニッケルまたはコバルトの回収方法 - Google Patents

ニッケルまたはコバルトの回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化鉱石からニッケルまたはコバルトを回収する方法に関する。
ニッケル、コバルトを含有する酸化鉱石から、硫酸によりニッケル、コバルトを浸出する方法としては、大気圧のもとでニッケル、コバルトを含む硫酸液を得る常圧浸出方法(非特許文献1、非特許文献2)などが知られている。
Proc.Australas.Inst.Metall.No.265,March.1978 The metallurgical Society,1988 p447 ISIJ International Vol43(2003) No2 p181〜p186
しかしながら、非特許文献2に記載されているように、ニッケル、コバルト、マグネシウムおよび鉄を含有する酸化鉱石を大気圧のもとで硫酸により浸出すると、ニッケル、コバルトの他に鉄も同時に浸出し、ニッケル、コバルトをそれぞれ80重量%以上浸出させようとすると、鉄も15重量%以上浸出することとなる。一般に、ニッケル、コバルトを含有する酸化鉱石はニッケルの10〜40倍もの鉄を含んでいるため、同文献記載の方法では、浸出に必要な硫酸の消費量が多くなり、しかも浸出した液中の鉄濃度も高くなるため、鉄を除去するための処理費も多くなり、コストの面で課題が残されていた。
また、非特許文献3(常圧浸出に関する最近の研究報告)に記載されているように、CO/CO(30vol%/70vol%)の混合ガス雰囲気および700℃の温度のもとで、ニッケルとコバルトを還元することにより金属化し、鉄をマグネタイトに変態させることにより、30℃〜70℃の温度でニッケルの80重量%〜90重量%、鉄の20重量%〜30重量%が浸出可能であることが報告されている。しかし、この方法は、700℃の温度で、しかも還元雰囲気下で浸出を行うことが要求され、エネルギー消費量が多く、実操業に用いるには多くの課題を残している。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、ニッケルまたはコバルトと鉄とを含む酸化鉱石から、ニッケルまたはコバルトを回収する方法において、酸化鉱石の成分含有率に応じた工程を用いることによって、鉄を少量しか含まない液を得ることにより、鉄を除去するための処理コストを低減しつつ、ニッケル、コバルトの高い浸出率を得ることにより、効率的にニッケル、コバルトを回収するところにある。
本発明によれば、ニッケルまたはコバルトと鉄とを含む酸化鉱石から、ニッケルまたはコバルトを回収する方法であって、前記酸化鉱石として、第一の酸化鉱石と、前記第一の酸化鉱石よりもマグネシウム含有率が高い第二の酸化鉱石と、を準備する工程と、前記第一の酸化鉱石を、第一の小粒径酸化鉱石と、第一の大粒径酸化鉱石とに分級し、前記第二の酸化鉱石を、第二の小粒径酸化鉱石と、第二の大粒径酸化鉱石とに分級する分級工程と、硫酸を使用して、前記第一の大粒径酸化鉱石から、ニッケルまたはコバルトを浸出し、ニッケルまたはコバルトを含む硫酸浸出溶液と、浸出残渣と、を得る浸出工程と、前記浸出残渣を含む前記硫酸浸出溶液と前記第二の大粒径酸化鉱石とを混合し、前記硫酸浸出溶液と前記第二の大粒径酸化鉱石に含有されるマグネシウムとを反応させてpH調整し、ニッケルまたはコバルトを含む反応液と、鉄を含む反応残渣と、を得る反応工程と、前記反応残渣を含む前記反応液を、中和剤を使用して中和し、ニッケルまたはコバルトを含む中和液と、鉄を含む中和残渣と、を得る中和工程と、を含むことを特徴とする回収方法が提供される。
また、本発明によれば、ニッケルまたはコバルトと鉄とを含む酸化鉱石から、ニッケルまたはコバルトを回収する方法であって、前記酸化鉱石として、第一の酸化鉱石と、前記第一の酸化鉱石よりもマグネシウム含有率が高い第二の酸化鉱石と、を準備する工程と、前記第一の酸化鉱石を、第一の小粒径酸化鉱石と、第一の大粒径酸化鉱石とに分級し、前記第二の酸化鉱石を、第二の小粒径酸化鉱石と、第二の大粒径酸化鉱石とに分級する分級工程と、硫酸を使用して、前記第一の大粒径酸化鉱石から、ニッケルまたはコバルトを浸出し、ニッケルまたはコバルトを含む硫酸浸出溶液と、浸出残渣と、を得る浸出工程と、硫酸を使用して、前記第一の小粒径酸化鉱石と、前記第二の小粒径酸化鉱石とから、ニッケルまたはコバルトを加圧浸出し、ニッケルまたはコバルトを含む硫酸加圧浸出溶液と、加圧浸出残渣と、を得る加圧浸出工程と、前記浸出残渣を含む前記硫酸浸出溶液と前記第二の大粒径酸化鉱石とを混合し、前記硫酸浸出溶液と前記第二の大粒径酸化鉱石に含有されるマグネシウムとを反応させてpH調整し、ニッケルまたはコバルトを含む反応液と、鉄を含む反応残渣と、を得る反応工程と、を含むことを特徴とする回収方法が提供される。

この発明によれば、反応工程において、硫酸浸出溶液と第二の酸化鉱石とを混合させ、第二の酸化鉱石中のマグネシウムを使用して硫酸浸出溶液中のpHを調整することで反応液中の鉄濃度を減少させることができる。このため、中和工程において、反応液中の鉄濃度を減少させるために多量の中和剤を使用する必要がない。また、反応工程において、第二の酸化鉱石を用いてpHを調整することにより、第二の酸化鉱石中に含まれるニッケル、コバルトを浸出することができる。したがって、ニッケル、コバルトの回収工程において、鉄を除去するための処理コストの低減を図りつつ、ニッケル、コバルトの高い浸出率を得ることにより、効率的にニッケル、コバルトを回収することができる。
また、第二の酸化鉱石の鉄含有率が、前記第一の酸化鉱石の鉄含有率よりも低くてもよい。こうすることにより、浸出工程においては硫酸を効率的に使用してニッケル、コバルトを浸出することができ、反応工程においては、反応液中の鉄濃度上昇を抑制しつつ、ニッケル、コバルトの、より高い浸出率を得ることができる。したがって、より効率的にニッケル、コバルトを回収することができる。
また、浸出工程の前に、第一の酸化鉱石を、第一の小粒径酸化鉱石と、第一の大粒径酸化鉱石とに分級し、第二の酸化鉱石を、第二の小粒径酸化鉱石と、第二の大粒径酸化鉱石とに分級する分級工程をさらに含み、浸出工程において、第一の大粒径酸化鉱石からニッケルまたはコバルトを浸出するとともに、反応工程において、浸出残渣を含む硫酸浸出溶液と、第二の大粒径酸化鉱石に含有されるマグネシウムとを反応させてpH調整し、ニッケルまたはコバルトを含む反応液と、鉄を含む反応残渣と、を得てもよい。こうすることにより、鉄を除去するための処理コストをより低減しつつ、ニッケル、コバルトのより高い浸出率を得ることにより、より効率的にニッケル、コバルトを回収することができる。
また、分級工程の後に、硫酸を使用して、第一の小粒径酸化鉱石と、第二の小粒径酸化鉱石とから、ニッケルまたはコバルトを加圧浸出し、ニッケルまたはコバルトを含む硫酸加圧浸出溶液と、加圧浸出残渣と、を得る加圧浸出工程をさらに含んでもよい。こうすることにより、鉄を除去するための処理コストをより一層低減しつつ、ニッケル、コバルトのより一層高い浸出率を得ることにより、より効率的にニッケル、コバルトを回収することができる。
また、加圧浸出工程の後に、加圧浸出残渣を含む硫酸加圧浸出溶液を、中和剤を使用して中和し、ニッケルまたはコバルトを含む中和液と、鉄を含む中和残渣と、を得る中和工程を、さらに含んでもよい。
また、中和工程の後に、中和液と中和残渣とを、凝集剤を使用し、シックナーを用いて固液分離し、中和液と中和残渣とを分離する固液分離工程をさらに含んでいてもよい。
本発明において、浸出工程と反応工程とを、ともに常圧下で行うことができる。こうすることにより、設備コストの上昇を抑制することができる。
なお、常圧とは、常圧近傍をも含むこととする。
また、浸出工程において、さらにナトリウム塩を用いて、第一の酸化鉱石から、ニッケルまたはコバルトを浸出し、ニッケルまたはコバルトを含む硫酸浸出溶液と、浸出残渣とを得て、反応工程において、浸出残渣を含む硫酸浸出溶液と第二の酸化鉱石中のマグネシウムとを反応させてpH調整し、ニッケルまたはコバルトを含む反応液と、鉄を含む反応残渣と、を得てもよい。こうすることにより、浸出工程において、硫酸とナトリウム塩とを使用してナトロジャロサイトを生成し、反応工程においてマグネシウムを使用してpH調整することでナトロジャロサイトを沈殿させることにより、反応液中の鉄濃度をさらに減少させることができる。このため、中和工程において、反応液中の鉄濃度を減少させるために多量の中和剤を使用する必要がない。したがって、ニッケル、コバルトの回収工程において、鉄を除去するための処理コストの低減をより図りつつ、ニッケル、コバルトの高い浸出率を得ることにより、より効率的にニッケル、コバルトを回収することができる。
本発明によれば、ニッケルまたはコバルトと鉄とを含む酸化鉱石から、ニッケルまたはコバルトを回収する方法において、酸化鉱石の成分含有率に応じた工程を用いることによって、鉄を少量しか含まない液を得ることにより、鉄を除去するための処理コストを低減しつつ、ニッケル、コバルトの高い浸出率を得ることにより、効率的にニッケル、コバルトを回収することができる。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
本発明の実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の鉱床分布の概略図である。 本発明の実施の形態に係るフロー図である。
以下に本発明における実施形態について、図面および表を用いて説明する。なお、以下の記載において、使用量および添加量は、各物質の重量を基準とした使用量および添加量である。
本実施形態のフロー図を図2に示す。
図2に示すニッケルまたはコバルトを回収する方法は、以下の工程を含む。
i)酸化鉱石として、第一の酸化鉱石(酸化鉱石102a)と、第一の酸化鉱石よりもマグネシウム含有率が高い第二の酸化鉱石(酸化鉱石102b)と、を準備する工程。
ii)硫酸105を使用して、第一の酸化鉱石から、ニッケルまたはコバルトを浸出し、ニッケルまたはコバルトを含む硫酸浸出溶液(硫酸浸出液108)と、浸出残渣109と、を得る浸出工程。
iii)浸出残渣109を含む硫酸浸出溶液と第二の酸化鉱石とを混合し、硫酸浸出溶液と第二の酸化鉱石中のマグネシウムとを反応させてpH調整し、ニッケルまたはコバルトを含む反応液110と、鉄を含む反応残渣111と、を得る反応工程。
iV)反応残渣111を含む反応液110を、中和剤112を使用して中和し、ニッケルまたはコバルトを含む中和液113と、鉄を含む中和残渣114と、を得る中和工程。
本実施形態においては、酸化鉱石102aおよび酸化鉱石102bとして、たとえば、通称リモナイト鉱石などを用いることができる。ここで、通称リモナイト鉱石とは、ニッケル、コバルト、マグネシウム、鉄を酸化物の形態で含む鉱石のことである。また、たとえば、中和剤として、フェロニッケルスラグなどを用いることができる。ここで、フェロニッケルスラグとは、ニッケル含有量が2重量%以上の通称サプロライト鉱石と言われている物を使用し、乾式製錬法によりフェロニッケルを製造する時に発生するスラグである。
一般的には、リモナイト鉱石とサプロライト鉱石についての、明確な成分範囲の規定はないが、リモナイト鉱石と言われている酸化鉱石と、フェロニッケルスラグの成分を表1に示す。
(表1)
Figure 0004294685
また、本実施形態においては、たとえば、含有金属の成分の異なる2種類のリモナイト鉱石などを用いることができる。表2に、2種類のリモナイト鉱石の成分を示す。表2に示すように、酸化鉱石102aは鉄の含有率が高く、マグネシウムの含有率が低く、酸化鉱石102bは鉄の含有率が低く、マグネシウムの含有率が高いという特徴を有する。
(表2)
Figure 0004294685
図1を用いて、リモナイト鉱石などが産出されるニッケル酸化鉱石鉱床の成分分布を説明する。
ここで、サプロライト鉱石層は主に電気炉を用いた乾式製錬によりフェロニッケルを製造するために用いられる鉱石層であり、リモナイト鉱石層は主に湿式製錬に用いられる鉱石層である。
鉱床におけるニッケル成分含有率は、地表から深くなるにしたがって高くなる傾向にあるが、ベッドロック近傍で急激に低下する。また、酸化鉱石を分級した際のオーバーサイズ(大粒径)鉱石のニッケル成分含有率は、アンダーサイズ(小粒径)鉱石のニッケル成分含有率と比較して、リモナイト鉱石層上層部で高く、リモナイト鉱石層下層部やサプロライト鉱石層では低くなる傾向にある。
コバルト成分含有率は、地表から深くなるにしたがって高くなる傾向にあるが、リモナイト鉱石層下層部とサプロライト鉱石層との境界近傍から急激に低下する。また、酸化鉱石を分級した際のオーバーサイズ鉱石のコバルト成分含有率は、アンダーサイズ鉱石のコバルト成分含有率と比較して、リモナイト鉱石層上層部で高く、リモナイト鉱石層下層部やサプロライト鉱石層では低くなる傾向にある。
鉄成分含有率は、地表から深くなるにしたがって低くなる傾向にあるが、リモナイト鉱石層下層部とサプロライト鉱石層との境界近傍から急激に低下する。また、酸化鉱石を分級した際のオーバーサイズ鉱石の鉄成分含有率は、アンダーサイズ鉱石の鉄成分含有率と比較して、どの鉱石層においても低い傾向にあり、リモナイト鉱石層においては特に低い傾向にある。
マグネシウム成分含有率は、地表から深くなるにしたがって高くなる傾向にあるが、リモナイト鉱石層下層部とサプロライト鉱石層との境界近傍から急激に上昇する。また、酸化鉱石を分級した際のオーバーサイズ鉱石のマグネシウム成分含有率は、アンダーサイズ鉱石のマグネシウム成分含有率と比較して、どの鉱石層においても高い傾向にあり、リモナイト鉱石層においては特に高い傾向にある。
ここで、図1のニッケル酸化鉱石鉱床の成分分布図に示すように、鉄の含有率が高く、マグネシウムの含有率が低い酸化鉱石102aはニッケル酸化鉱石鉱床帯の比較的上層部に存在することが多く、鉄の含有率が低く、マグネシウムの含有率が高い酸化鉱石102bはニッケル酸化鉱石鉱床帯の中間層部に存在することが多い。
図2に、鉄の含有率が高く、マグネシウムの含有率が低い酸化鉱石102a、および鉄の含有率が低く、マグネシウムの含有率が高い酸化鉱石102bからニッケル、コバルトを回収するための工程図を示す。ここで、たとえば、酸化鉱石102aはリモナイト鉱石層上層部、すなわちニッケル酸化鉱石鉱床帯の比較的上層部から産出されたものを用いてもよく、酸化鉱石102bはリモナイト鉱石層下層部、すなわちニッケル酸化鉱石鉱床帯の中間層部から産出されたものを用いてもよい。
以下、本実施形態における工程のフローを説明する。
はじめに、工程a(分級工程)において、酸化鉱石102aおよび酸化鉱石102bを、それぞれオーバーサイズとアンダーサイズとに分級し、アンダーサイズは用水107によりスラリー鉱石130とし、オーバーサイズはそれぞれ粉砕して粉砕品103aおよび103bとし、粉砕品103aは用水107によりスラリー鉱石104とする。
次に、工程b−1(浸出工程)において、スラリー鉱石104を硫酸105により浸出し、ニッケル、コバルトを含む硫酸浸出液108と浸出残渣109とを得る。ここで、浸出残渣109には、スラリー鉱石104から浸出された鉄と硫酸105とナトリウム塩106とが反応して生成されたナトロジャロサイトが含まれていてもよい。
また、工程b−1と並行して、工程b−2(加圧浸出工程)において、スラリー鉱石130を硫酸105により加圧浸出することにより、ニッケル、コバルトを含む硫酸加圧浸出液132と、加圧浸出残渣134とを得る。
つづいて、工程c(反応工程)において、浸出残渣109を含む硫酸浸出液108と、分級工程で粉砕した粉砕品103bとを混合し、浸出残渣109を含む硫酸浸出液108中のフリー硫酸と、分級工程で粉砕した粉砕品103bに含有されるマグネシウムとを反応させることにより、フリー硫酸を消費しpHを調整し、反応液110と反応残渣111とを得る。このpH調整により、反応残渣111中にナトロジャロサイトを沈殿させることにより、反応液110中の鉄濃度を減少させてもよい。
次に、工程d(中和工程)において、反応残渣111を含む反応液110および加圧浸出残渣134を含む硫酸加圧浸出液132との混合液に中和剤112を添加することでpHを調整し、中和液113と中和残渣114とを得る。ここで、前工程の反応工程において、反応液110中の鉄濃度が減少しているので、中和剤112の添加量を低減することができる。
つづいて、工程e(固液分離工程)において、中和残渣114を含む中和液113に凝集剤115を添加し、シックナーを用いて固液分離することで、中和液113と中和残渣114とを分離する。
次に、中和液をニッケル・コバルト回収工程に送り、ニッケル、コバルトを回収する。
以下、各工程について詳細を説明する。
工程a: 分級工程
ニッケル、コバルト、マグネシウムおよび鉄を含有する、たとえばリモナイト鉱石などの酸化鉱石102aおよび102bを、たとえば、振動ふるいのような簡単な装置で、それぞれオーバーサイズとアンダーサイズとに分級する。ここで、「オーバーサイズ」とは、振動ふるいのふるい目よりも大きな寸法を有し、ふるい目を通過せずにふるい上に残った酸化鉱石のことをさす。また、「アンダーサイズ」とは、振動ふるいのふるい目よりも小さな寸法を有し、ふるい目を通過した酸化鉱石のことをさす。酸化鉱石102aのアンダーサイズおよび酸化鉱石102bのアンダーサイズは用水107を用いてスラリー鉱石130とし、酸化鉱石102aのオーバーサイズおよび酸化鉱石102bのオーバーサイズは、たとえばボールミルなどのような装置により、それぞれ粉砕品103aおよび103bとする。次に、粉砕品103aは用水107を用いてスラリー鉱石104とする。ここで、振動ふるいなどによる分級のサイズには、特にこだわらないが、工程安定性向上の観点から、たとえば、0.5mm以上2mm以下の振るい目などを用いることができる。
また、この酸化鉱石を0.5mm〜2mm程度の振るいで分級すると、酸化鉱石102aおよび酸化鉱石102bともにアンダーサイズでは鉄含有量が高くなり、マグネシウム含有量が低くなる傾向を示し、反対にオーバーサイズでは鉄含有量が低くなり、マグネシウム含有量が高くなる傾向を示す。
用水107としては、通常用いられる、河川水や地下水の使用はもちろんのこと、海水を使用することもできる。ここで、本実施形態に係る方法を採用するにあたり、コストなどの経済性を考慮すると、鉱山元で実施することもあり得る。鉱山がある地域の地域性を考慮すると、必ずしも河川水、地下水等の用水を十分確保することが容易ではない場合もあり得るからである。また、用水107として海水を使用することにより、海水中に含まれるナトリウム塩を用いて、後工程である浸出工程および反応工程において、酸化鉱石から浸出された鉄の、浸出液中や反応液中における残存量を制御することができるという効果を得ることができる。
工程b−1: 浸出工程
工程aで得られたスラリー鉱石104は、たとえば、常圧のもと、90℃以上100℃以下の温度で、硫酸105を加えて浸出されることにより、ニッケル、コバルト、マグネシウムおよび鉄を含む硫酸浸出液108と浸出残渣109が得られる。
浸出温度を90℃以上とすることにより、スラリー鉱石104中のニッケル、コバルトの浸出速度を向上させることができる。これにより、スラリー鉱石中に含まれるニッケル、コバルトの浸出時間を短縮することができる。あわせて、ニッケル、コバルトの浸出率を上昇させることができる。また、100℃以下の温度でスラリー鉱石に含まれるニッケル、コバルトを浸出することにより、水の沸点以下の温度でニッケル、コバルトの浸出を行うことができる。そのため、本工程に用いられるニッケル、コバルトの浸出に用いる装置の浸出容器を加圧しなくてよい。したがって、設備コストの上昇を抑制することができる。
なお、浸出温度は90℃以上としたが、たとえば70℃以上の範囲で適宜温度を選択してもよい。また、100℃超過のもとでスラリー鉱石104中のニッケル、コバルトを浸出させてもよい。また、常圧以外の圧力条件のもとで、スラリー鉱石104中のニッケル、コバルトを浸出させてもよい。
硫酸添加量は、酸化鉱石102aのオーバーサイズの使用量に対して、0.5倍重量以上0.8倍重量以下とすることができる。硫酸を0.5倍重量以上添加することにより、ニッケル、コバルトの浸出を十分に行うことができる。また、硫酸の添加量が0.8倍重量付近において、ニッケル、コバルトの浸出率が平衡状態となる。このため、硫酸の添加量を0.8倍重量以下とすることにより、過剰な硫酸(フリー硫酸)の発生量を抑制することができる。したがって、酸化鉱石からのニッケル、コバルトの浸出率を維持しつつ、ニッケル、コバルトの回収コストの上昇を抑制することができる。
また、工程b−1において、分級工程において分級された酸化鉱石102aのオーバーサイズ鉱石の粉砕品103aを使用する理由は以下のとおりである。すなわち、酸化鉱石102aのオーバーサイズ鉱石の粉砕品103aは、酸化鉱石102bのオーバーサイズ鉱石の粉砕品103bと比べて、酸化鉱石中のニッケル、コバルトが浸出されにくい。そのため、まず過剰な硫酸を用いることにより、酸化鉱石中のニッケル、コバルトを、より多く浸出させることによって、ニッケル、コバルトの回収率の向上を図るためである。また、酸化鉱石102bのオーバーサイズ鉱石の粉砕品103bは、酸化鉱石102aのオーバーサイズ鉱石の粉砕品103aと比較してマグネシウムの含有率が高い。そのため、酸化鉱石102bのオーバーサイズ鉱石の粉砕品103bを工程b−1に用いると、浸出に用いるフリー硫酸を消費してしまう可能性がある。したがって、酸化鉱石102aのオーバーサイズ鉱石の粉砕品103aを浸出工程に用いることによって、ニッケル、コバルトの回収率の向上を図るためである。
工程aで、用水107に河川水、地下水を使用する場合は、工程b−1において、たとえば、硫酸ナトリウムや塩化ナトリウムなどのようなナトリウム塩106を加えてもよい。ここで、ナトリウム塩106によるナトリウムの添加量は、酸化鉱石102の使用量に対して、0.01倍重量〜0.05倍重量程度とすることができる。一方、用水107に海水を使用する場合は、海水中にナトリウムが10g/l程度含有されているため、ナトリウム塩を改めて加えなくてもよい。そのため、酸化鉱石からのニッケル、コバルトの浸出率を維持しつつ、ニッケル、コバルトの回収コストの上昇を、さらに抑制することができる。
ここで、ナトリウム添加量が、0.01倍重量以上であることにより、酸化鉱石から浸出された鉄が、硫酸浸出液108中の硫酸ナトリウムと反応することにより、硫酸浸出液108中の鉄の濃度を減少させることができる。
ナトリウムにより、硫酸浸出液108中の鉄の濃度を制御する理由は下記化学反応式(1)〜(3)によるものと考えられる。
FeO(OH)・(酸化鉱石)+3/2HSO
=1/2Fe(SO)・(液)+2HO (1)
Fe(SO・(液)+1/3NaSO+4HO=2/3NaFe(SO(OH)・(固体)+2HSO (2)
Fe(SO・(液)+2/3NaCl+4HO=2/3NaFe(SO(OH)・(固体)+2/3HCl+5/3HSO (3)
すなわち、酸化鉱石中の鉄は過剰な硫酸により浸出されるが、硫酸浸出液中のナトリウムと化合することによりナトロジャロサイトが生成され、浸出された鉄の一部が沈殿する。そのため、酸化鉱石から浸出された鉄が浸出液中に含まれることによって、次工程である反応工程に持ち込まれる量の増加を抑制することができる。ゆえに、反応工程において、ナトロジャロサイトとして、鉄を、より沈殿除去させることができる。したがって、反応工程の次工程である中和工程において、中和液中の鉄を沈殿させるコストの上昇を、より抑制することができる。この結果、酸化鉱石からニッケル、コバルトを回収するコストの上昇を、より抑制することができる。
また、ナトリウム添加量が、0.05倍重量付近において、ナトロジャロサイトの生成率および沈殿率が平衡状態となる。このため、ナトリウムの添加量を0.05倍重量以下とすることにより、過剰なナトリウムの添加を抑制することができる。したがって、酸化鉱石から、ニッケル、コバルトを回収するコストの上昇を、より抑制することができる。
浸出時間は、1時間以上10時間以下とすることができ、また、3時間以上6時間以下とすることもできる。
工程b−2:加圧浸出工程
工程aで得られた酸化鉱石102aのアンダーサイズおよび酸化鉱石102bのアンダーサイズのスラリー鉱石130は、たとえば、オートクレーブなどを用いて、たとえば、温度220℃〜270℃、圧力20atm〜50atmなどの高温高圧条件のもと、硫酸105を加えて浸出されることにより、ニッケル、コバルト、マグネシウムおよび鉄を含む硫酸加圧浸出液132と加圧浸出残渣134とが得られる。ここで、浸出時間は、5分以上90分以下とすることができ、また、10分以上60分以下とすることもできる。
硫酸105の添加量としては、酸化鉱石102aのアンダーサイズの鉱石および酸化鉱石102bのアンダーサイズの鉱石の使用量に対して、0.12倍重量以上0.4倍重量以下とすることができる。硫酸を0.12倍重量以上添加することにより、ニッケル、コバルトの浸出を十分に行うことができる。また、硫酸の添加量が0.4倍重量付近において、ニッケル、コバルトの浸出率が平衡状態となる。このため、硫酸の添加量を0.4倍重量以下とすることにより、過剰な硫酸(フリー硫酸)の発生量を抑制することができる。したがって、酸化鉱石からのニッケル、コバルトの浸出率を維持しつつ、ニッケル、コバルトの回収コストの上昇を抑制することができる。
工程b−2において、分級工程において分級された酸化鉱石102aのアンダーサイズの鉱石および酸化鉱石102bのアンダーサイズの鉱石を使用する理由は以下のとおりである。すなわち、酸化鉱石102aのアンダーサイズの鉱石および酸化鉱石102bのアンダーサイズの鉱石は、酸化鉱石102aのオーバーサイズの鉱石の粉砕品103aおよび酸化鉱石102bのオーバーサイズの鉱石の粉砕品103bに比べて、酸化鉱石中のニッケル、コバルトが浸出されにくい。そのため、オートクレーブなどを用いて、高温高圧の条件のもと、硫酸105を用いて酸化鉱石を加圧浸出することにより、酸化鉱石中のニッケル、コバルトを、より多く浸出させることによって、ニッケル、コバルトの回収率の向上を図ることができる。また、高温高圧条件のもとでは、酸化鉱石中の鉄が硫酸浸出液中に浸出されにくい。そのため、後述する中和工程(工程d)に持ち込まれる鉄の量を減少させることができる。こうすることにより、ニッケル、コバルトが浸出されやすい酸化鉱石102aのオーバーサイズの鉱石を浸出工程(工程b−1)に用いてコストの上昇を抑制しつつ浸出することと、ニッケル、コバルトが浸出されにくい酸化鉱石102aのアンダーサイズの鉱石および酸化鉱石102bのアンダーサイズの鉱石を加圧浸出工程(工程b−2)に用いて、鉄の浸出を抑制しつつ、ニッケル、コバルトを短時間で浸出することにより、各酸化鉱石のニッケル、コバルトの浸出の容易さに合わせて、酸化鉱石を浸出する工程を選択することができる。したがって、浸出工程(工程b−1)と加圧浸出工程(工程b−2)とを併用することによって、酸化鉱石102aおよび酸化鉱石102bから、ニッケル、コバルトを、より効率的に浸出することができる。
また、酸化鉱石102aのオーバーサイズの鉱石および酸化鉱石102bのオーバーサイズの鉱石は、酸化鉱石102aのアンダーサイズの鉱石および酸化鉱石102bのアンダーサイズの鉱石に比べてマグネシウムを多く含有する。このため、酸化鉱石102aのオーバーサイズの鉱石および酸化鉱石102bのオーバーサイズの鉱石を加圧浸出工程(工程b−2)に用いると、オートクレーブなどの加圧浸出装置内部や配管内にマグネシウム塩などがスケールとして付着することがあり得る。したがって、加圧浸出装置を停止して付着スケールを除去する必要が生じるため、稼働率の低下を招くことがあった。これに対して、酸化鉱石102aのアンダーサイズの鉱石および酸化鉱石102bのアンダーサイズの鉱石は上記オーバーサイズの鉱石に比べてマグネシウムの含有率が少ない。このため、加圧浸出工程に用いたときに、加圧浸出装置内部や配管内へのスケール付着の発生などを抑制することができる。したがって、オートクレーブなど加圧浸出装置の設備の稼働率を向上させることができるので、酸化鉱石102aおよび酸化鉱石102bからニッケル、コバルトを効率的に浸出することができる。
工程c: 反応工程
工程b−1で得られた硫酸浸出液108および浸出残渣109と、工程aで得られた酸化鉱石102bのオーバーサイズの鉱石の粉砕品103bとを混合し、たとえば、大気圧のもとで、90℃以上100℃以下の温度で、後述する式(4)〜(7)に基づいて反応させる。後述する反応式に基づき、ニッケル、コバルト、マグネシウムおよび少量の鉄を含む反応液110と反応残渣111とが得られる。
粉砕品103bの添加方法は、そのまま固体で加えてもよいし、用水を用いてスラリーとして加えてもよい。本工程の用水は、河川水、地下水または海水のいずれを使用してもよい。また、これらの用水に硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムのようなナトリウム塩106を加えて使用してもよい。
ここで、反応温度が90℃以上であることにより、粉砕品103bに含有されるニッケル、コバルトの浸出率を向上させることができる。また、工程b−1で浸出させた鉄をナトロジャロサイトとして沈殿除去する効率を向上させることができる。また、100℃以下の温度で反応させることにより、水の沸点以下の温度で、後述する化学式に基づく反応をさせることができる。このため、上記反応に用いる装置の反応容器を加圧しなくてもよい。したがって、設備コストの上昇を抑制することができる。
ここで、浸出温度が90℃未満または100℃超過のもとで後述する化学式に基づく反応をさせてもよい。また、大気圧以外の圧力条件のもとで、後述する化学式に基づく反応をさせてもよい。
本実施形態においては、工程b−1における硫酸浸出液108の鉄濃度は30g/l〜90g/lであり、フリー硫酸は30g/l以上含有されているが、フリー硫酸と粉砕品103bに含まれるマグネシウムとが反応することにより、反応前の硫酸浸出液108と比較して、鉄濃度は1/10以下、フリー硫酸も1/3以下に低下する。このとき、反応前の硫酸浸出液108のpHは、たとえば、pH0.2〜pH0.8の範囲であり、反応後の液のpHはpH1〜pH3の範囲とすることができ、また、pH1.5〜pH2の範囲とすることもできる。
この理由は、以下の化学反応式(4)〜(7)によるものと考えられる。
SO(フリー硫酸)+MgO(酸化鉱石)=MgSO(液)+HO (4)
Fe(SO・(液)+1/3NaSO+4HO=2/3NaFe(SO(OH)・(固体)+2HSO (5)
Fe(SO・(液)+2/3NaCl+4HO=2/3NaFe(SO(OH)・(固体)+2/3HCl+5/3HSO (6)
Fe(SO・(液)+4HO=2FeO(OH)・(固体)+3HSO (7)
すなわち、式(4)によって、硫酸浸出液108中のフリー硫酸と粉砕品103bに含まれるマグネシウムとが反応し、フリー硫酸の量が減少することによって、液中のpHが上昇する。このため、液中のpHの上昇にともない、式(5)〜(7)により、ナトロジャロサイトとゲーサイトが生成し、鉄が沈殿する。
ここで、酸化鉱石102aのオーバーサイズの粉砕品103aおよび酸化鉱石102bのオーバーサイズの粉砕品103bに鉄とマグネシウムとが含まれていることにより、より効率良く上記反応を起こさせることができる。たとえば、マグネシウム/鉄の成分比が0.03以上においては、酸化鉱石102aのオーバーサイズの粉砕品103aおよび酸化鉱石102bのオーバーサイズの粉砕品103bに含有される鉄の量が比較的少ないため、式(1)により、浸出工程において酸化鉱石から浸出される鉄の量が比較的少なくなる。そのため、反応液中の鉄濃度も低くさせることができる。また、酸化鉱石102aおよび酸化鉱石102bに含有されるマグネシウムの量が比較的多いため、硫酸浸出液108から反応工程に持ち込まれるフリー硫酸と反応するマグネシウムの量が比較的多くなる。このため、式(4)の反応により、マグネシウムを用いて、硫酸浸出液108中のフリー硫酸を十分に消費することができ、pHを調整することができる。
上述したように、酸化鉱石102aのオーバーサイズの粉砕品103aおよび酸化鉱石102bのオーバーサイズの粉砕品103b中に鉄とマグネシウムとが含有されることにより、式(5)〜(7)による鉄の沈殿を十分に行うことができ、反応液110中に残存する鉄の濃度を減少させることができる。このため、反応液110中に残存し、中和工程に持ち込まれる鉄の量が減少する。したがって、中和工程において、鉄を沈殿させるために要するコストの上昇を抑制することができる。この結果、ニッケル、コバルトの回収に要するコストの上昇を抑制することができる。
なお、マグネシウム/鉄の成分比には上限はなく、たとえば、0.75以上であっても問題ない。
また、工程cにおいて酸化鉱石102bのオーバーサイズの粉砕品103bを使用する理由は、オーバーサイズの粉砕品103bは、酸化鉱石102aのオーバーサイズの粉砕品103aよりもマグネシウムの含有量が高いため、式(4)〜(7)の反応が、より効果的に進むからである。反応時間は、3時間以上10時間以下とすることができ、また、4時間以上6時間以下とすることもでき、分級前の酸化鉱石を用いた場合よりも短い時間で式(4)〜(7)の反応を終了させることができる。ここで、オーバーサイズの粉砕品103bには、ニッケル、コバルトが含有されているので、フリー硫酸をマグネシウムと反応させてpHを調整しつつ、粉砕品103b中のニッケル、コバルトを浸出することによって、ニッケル、コバルトの回収率の更なる向上を図ることができる。したがって、ニッケル、コバルトの回収に要するコストの上昇を抑制しつつ、ニッケル、コバルトの回収率の更なる向上を図ることができる。
ここで、反応に必要な設備は、たとえば、一般的に使用されているような攪拌機付の容器などで十分であり、その材質も、たとえば、ステンレスあるいは鋼材にゴムライニングしたものなどが用いられる。
さらに、本工程で、オーバーサイズの粉砕品103bと同時に、中和工程で使用するフェロニッケルスラグのうち、比較的ニッケル含有率の高いものを同時に使用してもよい。この場合、反応時の最終pHを3未満となる範囲とすることができる。pHが3未満であることにより、液中にフリー硫酸が存在することによって、酸化鉱石からのニッケルの浸出効率低下を抑制することができるからである。
工程d:中和工程
工程cで得られた反応液110と反応残渣111と、工程b−2で得られた硫酸加圧浸出液132と加圧浸出残渣134と、中和剤112とを使用して中和反応させる。中和反応時のpHは、pH2〜pH6の範囲とすることができ、また、pH3〜pH5の範囲とすることもできる。このことにより、鉄濃度が1g/l以下であるニッケル、コバルト、マグネシウムを含む中和液113と中和残渣114とが得られる。ここで、pHが2以上であることにより、鉄の沈殿を十分にすることができ、pHが6以下であることにより、ニッケル、コバルトの共沈を抑制しつつ、鉄のほとんどが沈殿除去される。したがって、ニッケル、コバルトの回収率を向上させることができる。
ここで、本工程における圧力には特に制限はなく、たとえば、大気圧のもとで、反応液110と反応残渣111と硫酸加圧浸出液132と加圧浸出残渣134と中和剤112を使用して中和反応をさせてもよいし、大気圧以外の圧力条件のもとで中和反応をさせることもできる。
中和剤112としては、一般的によく使用されている、アルカリ金属の水酸化物である水酸化ナトリウムなど、アルカリ金属の炭酸化物である炭酸ナトリウムなど、アルカリ土類金属の水酸化物である水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど、アルカリ土類金属の酸化物である酸化カルシウム、酸化マグネシウムなど、アルカリ土類金属の炭酸化物である炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどを使用することができる。また、表1に示すような成分のフェロニッケルスラグを使用することもできる。また、上記した中和剤を、1種類で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
ここで、フェロニッケルスラグとは、ニッケルが2重量%以上含有されているマグネシウムを含む鉱石を用いて、乾式製錬法によりフェロニッケルを製造する際に発生するマグネシウムを含むスラグのことをさす。乾式製錬法におけるフェロニッケルスラグの発生量は、ニッケル1に対して、30倍量〜35倍量程度になるが、有効利用されているのはその一部である。
中和剤112として、たとえば、マグネシウムを含むフェロニッケルスラグを用いることにより、フェロニッケルスラグに含まれるマグネシウムを中和剤として有効利用することができつつ、反応液110と反応残渣111と硫酸加圧浸出液132と加圧浸出残渣134とを中和することができる。したがって、資源を有効活用するとともに、ニッケル、コバルトの回収コストの上昇を抑制することができる。
また、中和剤112としては、反応液110と反応残渣111と硫酸加圧浸出液132と加圧浸出残渣134とを中和させることができれば、フェロニッケルスラグ以外の、たとえば、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどを用いてもよい。
工程e: 固液分離工程
工程dで得られた中和液113と中和残渣114は、凝集剤115が添加されることにより分離される。凝集剤115としては、たとえば、高分子凝集剤などが用いられる。この固液分離には、一般的に行われているシックナー方式が採用され、6段以上のシックナーによる向流洗浄方式を用いることができる。これにより、中和液中のニッケル、コバルトが、99重量%以上の高歩留まりで、かつ、鉄濃度が1g/l以下と鉄含有量の少ない、ニッケル、コバルト、マグネシウムを含む中和液113と中和残渣114とに容易に、効率よく固液分離される。
ここで、凝集剤115は、高分子凝集剤以外であっても、中和液113と中和残渣114とに分離させることができる凝集剤であればよい。
また、6段以上のシックナーによる向流洗浄方式以外の、他の固液分離装置を用いて、中和液113と中和残渣114とに固液分離してもよい。
このようにして得られた中和液113から、ニッケルとコバルトを回収する方法としては、中和液113に、たとえば、特開平6−81050号公報に記載された、水硫化ソーダ、硫化ソーダ、硫化アンモン、硫化水素などを添加して、ニッケルとコバルトの混合硫化物として沈殿回収する方法や、特開平12−234130号公報に記載された水酸化物、酸化物および炭酸化物を加えてニッケルとコバルトの混合水酸化物あるいは混合炭酸化物として沈殿回収する方法などが用いられる。ここで、ニッケルとコバルトの混合硫化物の沈殿は、湿式製錬法により金属ニッケル、金属コバルトの形態で回収される。また、ニッケルとコバルトの混合水酸化物あるいは混合炭酸化物は、乾式製錬法によりフェロニッケルの形態で回収される。
以上述べたプロセスにより、酸化鉱石102aおよび酸化鉱石102bからニッケルおよびコバルトが効率良く回収される。
以上、発明の好適な実施の形態を説明した。しかし、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施形態を変形可能なことはもちろんである。
たとえば、本実施形態においては、ニッケルおよびコバルトの両方を含む酸化鉱石を用いてニッケルおよびコバルトを回収する形態について説明したが、ニッケルのみを含む酸化鉱石を用いてニッケルを回収してもよいし、コバルトのみを含む鉱石を用いてコバルトを回収してもよいし、ニッケルおよびコバルトの両方を含む酸化鉱石を用いてニッケルのみを回収してもよいし、コバルトのみを回収してもよい。
また、本実施形態においては、ニッケル、コバルトを含む酸化鉱石を分級する工程aを設ける形態について説明したが、この工程を省略してもよい。
また、本実施形態においては、スラリー鉱石130を硫酸105を用いて加圧浸出する工程b−2を設ける形態について説明したが、この工程を省略してもよい。
また、本実施形態においては、分級工程(工程a)により分級した酸化鉱石102bのオーバーサイズの粉砕品103bを用いて、反応工程(工程c)によりpH調整を行う形態について説明したが、粉砕品103bとともに、酸化鉱石以外のマグネシウムを含むものを用いてもよい。
また、本実施形態においては、加圧浸出工程(工程b−2)により得られた加圧浸出残渣134を含む硫酸加圧浸出液132と、反応工程(工程c)により得られた反応残渣111を含む反応液110とを合わせて中和工程で中和する形態について説明したが、それぞれ別の工程で中和してもよい。
また、本実施形態においては、加圧浸出工程(工程b−2)により得られた加圧浸出残渣134を含む硫酸加圧浸出液132と、反応工程(工程c)により得られた反応残渣111を含む反応液110とを中和工程においてあわせて中和する形態について説明したが、中和工程において中和する前に6段シックナーなどを用いて固液分離してもよい。
また、浸出工程(工程b−1)において、硫酸とともに還元剤を用いて浸出することにより、ニッケル、コバルトの浸出率をさらに向上させてもよい。
ここで、還元剤としては、たとえば、鉄粉、亜硫酸ナトリウム、あるいはこれらを混合したものなどが用いられる。鉄粉を用いる場合は、酸化鉱石102aおよび酸化鉱石102bのオーバーサイズ鉱石の使用量に対して、0.1重量%以上1重量%以下の範囲で添加することができ、また、0.2重量%以上0.5重量%以下の範囲で添加することもできる。ここで、鉄粉の粒径としては、直径1mm程度のものを用いることができ、また、表面が酸化していないものを用いることができる。また、亜硫酸ナトリウムを使用する場合は、酸化鉱石102aおよび酸化鉱石102bのオーバーサイズ鉱石の使用量に対して、1重量%以上10重量%以下の範囲で添加することができ、また、5重量%以上8重量%以下の範囲で添加することもできる。
還元剤を上記範囲で添加することにより、還元剤の効果を十分に発揮することが可能となり、他工程における鉄濃度の制御などとの相乗効果により、ニッケル、コバルトの浸出率、特にコバルトの浸出率を効率的にさらに向上させることができる。したがって、鉄を除去するコストの低減を図りつつ、ニッケル、コバルトの回収率の更なる向上を図ることができる。
還元剤を加えることにより、ニッケル、コバルトの浸出率、特にコバルトの浸出率の向上に効果がある理由は、以下のように考えられる。
すなわち、酸化鉱石102aおよび酸化鉱石102bのオーバーサイズ鉱石中のコバルトは2価の酸化物(CoO)と3価の酸化物(Co)の形態で存在し、その存在比率は鉱石の産地によって異なっていると推定される。このようなコバルトと酸素との結合状態は、CoのほうがCoOより強く安定であり、硫酸105によって、スラリー鉱石104に含有される3価のコバルト酸化物におけるコバルトと酸素との結合を壊すことは容易ではない。そこで、硫酸105に加えて還元剤を添加することにより、3価のコバルト酸化物におけるコバルトと酸素の結合力を弱め、コバルトの価数が3価から2価に還元され、硫酸105によるコバルトの浸出が、より容易となったことによるものと推測される。
(実施例)
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。また、以下の表3〜表6における酸化鉱石の各成分は、酸化鉱石の重量を基準として、各成分を重量%で表した。
表3〜表6に実験例1〜実験例4の条件と結果を示す。
(表3)
Figure 0004294685
(表4)
Figure 0004294685
(表5)
Figure 0004294685
(表6)
Figure 0004294685
(実験例1)
本実験例においては、Ni:1.10%、Co:0.090%、Fe:45.0%、Mg:1.5%の成分を含有し、Mg/Fe比:0.03のニッケル酸化鉱石鉱床帯の比較的上層部に存在する酸化鉱石L−1と、Ni:1.80%、Co:0.120%、Fe:25.0%、Mg:9.3%の成分を含有し、Mg/Fe比:0.37のニッケル酸化鉱石鉱床帯の中間層に存在する酸化鉱石L−2とを使用した。ここで、L−1とL−2との混合比率は、ニッケル酸化鉱石鉱床帯におけるL−1とL−2の存在比率とほぼ同じとなるような比率とするために、L−1を80%、L−2を20%とした。表3に示すように、L−1は鉄の含有量が高く、マグネシウムの含有量が低い鉱石であり、L−2は鉄の含有量が低く、マグネシウムの含有量が高い鉱石である。
L−1、L−2をそれぞれ2mmのふるい目を有するふるいを用いて分級し、L−1からは15重量%の+2mmの酸化鉱石と85重量%の−2mmの酸化鉱石とを得て、L−2からは25重量%の+2mmの酸化鉱石と75重量%の−2mmの酸化鉱石とを得た。こうして得られた+2mmの酸化鉱石の合計量のうち、L−1の比率は71重量%であり、L−2の比率は29重量%である。それぞれの+2mm酸化鉱石は、L−1の+2mm酸化鉱石が、Ni:1.25%、Co:0.120%、Fe:25.0%、Mg:6.0%の成分を含有し、Mg/Fe比:0.24であり、L−2の+2mm酸化鉱石が、Ni:1.65%、Co:0.105%、Fe:10.0%、Mg:22.0%の成分を含有し、Mg/Fe比:2.20であった。表3に示すように、L−1の−2mm酸化鉱石のマグネシウム含有率、および、L−2の−2mm酸化鉱石のマグネシウム含有率は、L−1の+2mm酸化鉱石のマグネシウム含有率、および、L−2の+2mm酸化鉱石のマグネシウム含有率よりも低い。
L−1の+2mm酸化鉱石を粉砕し、全量を−2mmとした後、河川水を加えて28重量%濃度のスラリー鉱石とし、98重量%濃度の硫酸をL−1の+2mm酸化鉱石とL−2の+2mm酸化鉱石との合計重量に対して0.63倍重量加え、95℃の温度、大気圧の条件のもとで6時間攪拌し、浸出した。
このようにして得られた硫酸浸出液および浸出残渣に、L−2の+2mm酸化鉱石の粉砕品に河川水を加えることにより40重量%濃度のスラリー鉱石とした酸化鉱石を加え、95℃の温度、大気圧の条件のもとで6時間混合攪拌し、常圧反応した。この常圧反応後の浸出率を調べたところ、Ni:87.5%、Co:83.6%、Fe:3.8%、Mg:83.7%であり、また、常圧反応液のFe濃度:3.25g/l、Fe/Ni濃度比:0.65、フリー硫酸:12g/l、pH:1.8であり、ニッケル、コバルトの浸出率向上と同時に、鉄の浸出率の制御が達成された。
一方、ふるいによって分級された、L−1とL−2それぞれの−2mm酸化鉱石を混合し、オートクレーブを用いて、温度240℃、圧力35g/cm(約34atm)の条件のもとで硫酸により加圧浸出した。加圧浸出後の浸出率は、Ni:93%、Co:94%、Fe:0.6%であった。
すなわち、酸化鉱石L−1およびL−2を用いた、常圧浸出による各成分の浸出率と加圧浸出による各成分の浸出率とを合わせた浸出率は、Ni:91.8%、Co:92%、Fe:0.9%であり、ニッケル、コバルトの浸出率向上と同時に、鉄の浸出率を、より一層制御することができた。
常圧反応させた後の液と加圧浸出させた後の液とを混合した後、混合液に、中和剤としてのフェロニッケルスラグを添加することでpHを調整し、中和液と中和残渣とを得た。次に、中和残渣を含む中和液に高分子凝集剤を添加し、向流式6段シックナーを用いて固液分離することで中和液と中和残渣とを分離した。ついで、中和液をニッケル・コバルト回収工程に送り、ニッケルおよびコバルトを回収した。
(実験例2)
用水として河川水の代わりに海水を使用した以外は、実験例1と同じ条件で実施した。
このときの常圧反応後の浸出率は、Ni:89.6%、Co:85.2%、Fe:0.8%、Mg84.6%であり、また、常圧反応液のFe濃度:0.67g/l、Fe/Ni濃度比:0.13、フリー硫酸:5g/l、pH:2.4であり、ニッケル、コバルトの浸出率向上と同時に、鉄の浸出率の制御が達成された。一方、L−1とL−2それぞれの−2mm酸化鉱石を混合し、オートクレーブを用いて、温度240℃、圧力35g/cm(約34atm)の条件のもとで硫酸により加圧浸出した。浸出率は、Ni:93%、Co:94%、Fe:0.6%であった。すなわち、酸化鉱石L−1およびL−2を用いた、常圧浸出による各成分の浸出率と加圧浸出による各成分の浸出率とを合わせた浸出率は、Ni:92.2%、Co:92.3%、Fe:0.6%であり、ニッケル、コバルトの浸出率向上と同時に、鉄の浸出率を、より一層制御することができた。
(実験例3)
用水として河川水の代わりに海水を使用し、浸出工程において還元剤として鉄粉(粒径1mm)を全酸化鉱石量に対して0.003倍量加えた以外は、実験例1と同じ条件で実施した。
このときの常圧反応後の浸出率は、Ni:90.3%、Co:91.5%、Fe:1.2%、Mg:82.9%であり、また、常圧反応液のFe濃度:1.00g/l、Fe/Ni濃度比:0.20、フリー硫酸:5g/l、pH:2.4であり、ニッケル、コバルトの浸出率をより向上させると同時に、鉄の浸出率の制御が達成された。一方、L−1とL−2それぞれの−2mm酸化鉱石を混合し、オートクレーブを用いて、温度240℃、圧力35g/cm(約34atm)の条件のもとで硫酸により加圧浸出した。浸出率は、Ni:93%、Co:94%、Fe:0.6%であった。すなわち、酸化鉱石L−1およびL−2を用いた、常圧浸出による各成分の浸出率と加圧浸出による各成分の浸出率とを合わせた浸出率は、Ni:92.3%、Co:93.5%、Fe:0.7%であり、ニッケル、コバルトの浸出率向上と同時に、鉄の浸出率を、より一層制御することができた。
(実験例4)
L−1とL−2それぞれの+2mm酸化鉱石を用いた常圧浸出を行わず、ふるいによって分級された−2mm酸化鉱石のみをオートクレーブを用いて、温度240℃、圧力35g/cm(約34atm)の条件のもとで硫酸により加圧浸出した場合、加圧浸出による浸出率は、Ni:93%、Co:94%、Fe:0.6%であるが、+2mm酸化鉱石を含めた全酸化鉱石(L−1およびL−2)の重量を基準とした浸出率は、Ni:75.3%、Co:74.8%、Fe:0.3%であった。
実験例1〜実験例3より、マグネシウムの含有率が異なる2種類の酸化鉱石を用いることによって、鉄の浸出率の制御を達成しつつ、ニッケル、コバルトの浸出率の向上を達成できることと、反応液の中和に要するコストを低減できることがわかった。また、実験例1〜実験例4より、+2mm酸化鉱石を常圧浸出し、−2mm酸化鉱石を加圧浸出することにより、鉄の浸出率を、より一層制御しつつ、ニッケル、コバルトの浸出率の向上を達成できることがわかった。

Claims (14)

  1. ニッケルまたはコバルトと鉄とを含む酸化鉱石から、ニッケルまたはコバルトを回収する方法であって、
    前記酸化鉱石として、第一の酸化鉱石と、前記第一の酸化鉱石よりもマグネシウム含有率が高い第二の酸化鉱石と、を準備する工程と、
    前記第一の酸化鉱石を、第一の小粒径酸化鉱石と、第一の大粒径酸化鉱石とに分級し、前記第二の酸化鉱石を、第二の小粒径酸化鉱石と、第二の大粒径酸化鉱石とに分級する分級工程と、
    硫酸を使用して、前記第一の大粒径酸化鉱石から、ニッケルまたはコバルトを浸出し、ニッケルまたはコバルトを含む硫酸浸出溶液と、浸出残渣と、を得る浸出工程と、
    前記浸出残渣を含む前記硫酸浸出溶液と前記第二の大粒径酸化鉱石とを混合し、前記硫酸浸出溶液と前記第二の大粒径酸化鉱石に含有されるマグネシウムとを反応させてpH調整し、ニッケルまたはコバルトを含む反応液と、鉄を含む反応残渣と、を得る反応工程と、
    前記反応残渣を含む前記反応液を、中和剤を使用して中和し、ニッケルまたはコバルトを含む中和液と、鉄を含む中和残渣と、を得る中和工程と、
    を含むことを特徴とする回収方法。
  2. 請求項1に記載の回収方法において、
    前記分級工程の後に、硫酸を使用して、前記第一の小粒径酸化鉱石と、前記第二の小粒径酸化鉱石とから、ニッケルまたはコバルトを加圧浸出し、ニッケルまたはコバルトを含む硫酸加圧浸出溶液と、加圧浸出残渣と、を得る加圧浸出工程をさらに含むことを特徴とする回収方法。
  3. ニッケルまたはコバルトと鉄とを含む酸化鉱石から、ニッケルまたはコバルトを回収する方法であって、
    前記酸化鉱石として、第一の酸化鉱石と、前記第一の酸化鉱石よりもマグネシウム含有率が高い第二の酸化鉱石と、を準備する工程と、
    前記第一の酸化鉱石を、第一の小粒径酸化鉱石と、第一の大粒径酸化鉱石とに分級し、前記第二の酸化鉱石を、第二の小粒径酸化鉱石と、第二の大粒径酸化鉱石とに分級する分級工程と、
    硫酸を使用して、前記第一の大粒径酸化鉱石から、ニッケルまたはコバルトを浸出し、ニッケルまたはコバルトを含む硫酸浸出溶液と、浸出残渣と、を得る浸出工程と、
    硫酸を使用して、前記第一の小粒径酸化鉱石と、前記第二の小粒径酸化鉱石とから、ニッケルまたはコバルトを加圧浸出し、ニッケルまたはコバルトを含む硫酸加圧浸出溶液と、加圧浸出残渣と、を得る加圧浸出工程と、
    前記浸出残渣を含む前記硫酸浸出溶液と前記第二の大粒径酸化鉱石とを混合し、前記硫酸浸出溶液と前記第二の大粒径酸化鉱石に含有されるマグネシウムとを反応させてpH調整し、ニッケルまたはコバルトを含む反応液と、鉄を含む反応残渣と、を得る反応工程と、を含むことを特徴とする回収方法。
  4. 請求項1乃至3いずれかに記載の回収方法において、
    前記第二の酸化鉱石の鉄含有率が、前記第一の酸化鉱石の鉄含有率よりも低いことを特徴とする回収方法。
  5. 請求項2又は3に記載の回収方法において、
    前記加圧浸出工程の後に、前記加圧浸出残渣を含む前記硫酸加圧浸出溶液を、中和剤を使用して中和し、ニッケルまたはコバルトを含む中和液と、鉄を含む中和残渣と、を得る中和工程を、さらに含むことを特徴とする回収方法。
  6. 請求項乃至5いずれかに記載の回収方法において、
    前記第一の小粒径酸化鉱石のマグネシウム含有率、および、前記第二の小粒径酸化鉱石のマグネシウム含有率は、前記第一の大粒径酸化鉱石のマグネシウム含有率、および、前記第二の大粒径酸化鉱石のマグネシウム含有率よりも低いことを特徴とする回収方法。
  7. 請求項1乃至6いずれかに記載の回収方法において、
    前記中和工程の後に、前記中和液と前記中和残渣とを、凝集剤を使用し、シックナーを用いて固液分離し、前記中和液と前記中和残渣とを分離する固液分離工程を、さらに含むことを特徴とする回収方法。
  8. 請求項1乃至7いずれかに記載の回収方法において、
    前記浸出工程と、前記反応工程とを、ともに常圧下で行うことを特徴とする回収方法。
  9. 請求項1乃至8いずれかに記載の回収方法において、
    前記浸出工程において、さらにナトリウム塩を用いて、前記第一の酸化鉱石から、ニッケルまたはコバルトを浸出し、ニッケルまたはコバルトを含む硫酸浸出溶液と、浸出残渣と、を得ることを特徴とする回収方法。
  10. 請求項1乃至9いずれかに記載の回収方法において、
    前記浸出工程と、前記反応工程とを、ともに90℃以上の温度下で行うことを特徴とする回収方法。
  11. 請求項1乃至10いずれかに記載の回収方法において、
    前記浸出工程において、前記硫酸の使用量は、前記第一の酸化鉱石の使用量の50重量%以上80重量%以下であることを特徴とする回収方法。
  12. 請求項1乃至11いずれかに記載の回収方法において、
    前記中和剤は、マグネシウムを含むスラグであることを特徴とする回収方法。
  13. 請求項1乃至12いずれかに記載の回収方法において、
    前記浸出工程において、還元剤をさらに加えて、前記第一の酸化鉱石からニッケルまたはコバルトを浸出し、ニッケルまたはコバルトを含む硫酸浸出溶液と、浸出残渣と、を得ることを特徴とする回収方法。
  14. 請求項13に記載の回収方法において、
    前記還元剤は鉄粉であることを特徴とする回収方法。
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