JP6969262B2 - ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法 - Google Patents

ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法 Download PDF

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Description

本発明は、硫酸を用いた高圧酸浸出法によるニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法に関する。
近年、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法として、硫酸を用いた高圧酸浸出法(High Pressure Acid Leach)が注目されている。この方法は、例えば、特許文献1に記載されているように、ニッケル酸化鉱石のスラリーを高温高圧の硫酸に浸して浸出液を得る浸出工程、浸出液から洗浄しつつ浸出残渣を分離する固液分離工程、浸出液を中和する中和工程、中和した浸出液に硫化水素ガスを吹き込んでニッケル硫化物を生成し貧液を分離する硫化工程、貧液を中和する貧液中和工程等からなる。また、この方法は、ニッケル酸化鉱石からニッケル品位50質量%程度のニッケル硫化物を湿式処理のみで得ることができ、還元及び乾燥工程等の乾式処理に頼らずにすむので、エネルギー的及びコスト的に有利である。
浸出工程では、回収対象であるニッケル以外にも、鉄、マグネシウム、マンガン、アルミニウム等の不純物元素も硫酸によって浸出されるために、処理には過剰の硫酸が必要であった。硫酸の使用量を低減するために、例えば、特許文献2では、ニッケル酸化鉱石のスラリーから低ニッケル含有粒子を除去してから浸出工程に供給する方法について開示されている。
特開2013−256691号公報 特開2016−156063号公報
しかしながら、低ニッケル含有粒子にも微量ながらもニッケルを含有しているので、当該低ニッケル含有粒子を除去すると、採掘・搬送したニッケルの全量を生かせないことになる。すなわち、浸出工程で使用する硫酸の使用量を低減させるために行うニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーの前処理を施す際に、除去された低ニッケル含有粒子を破棄せずに、当該低ニッケル含有粒子に微量に含まれるニッケルを有効活用してニッケルの回収率を更に向上させることが好ましい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、浸出工程で使用する硫酸等の使用量を大幅に増やさずに、ニッケルの回収率を更に向上させることの可能な、新規かつ改良されたニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、高圧酸浸出法を用いてニッケル酸化鉱石からニッケルを浸出させて回収するニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法であって、前記ニッケル酸化鉱石をスラリー化する鉱石スラリー化工程と、前記鉱石スラリー化工程を経て得られた鉱石スラリーから低ニッケル含有粒子を分別する分別工程と、前記低ニッケル含有粒子を分別した鉱石スラリーに含まれる水分を減じて鉱石成分を濃縮する鉱石スラリー濃縮工程と、前記鉱石スラリー濃縮工程で濃縮された前記鉱石スラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施す浸出工程と、前記浸出工程で得られた浸出スラリーを多段洗浄しながら残渣を分離してニッケルと共に不純物元素を含む浸出液を得る固液分離工程と、前記分別工程で分別された前記低ニッケル含有粒子を粉砕する粉砕工程と、を有し、前記分別工程は、前記鉱石スラリーをハイドロサイクロンに供給して分級分離し、前記ハイドロサイクロンにより分級されたアンダーフローをデンシティセパレータに供給して比重分離する比重分離工程と、前記比重分離工程において前記デンシティセパレータにより分級されたアンダーフローを、目開きが300μm以上500μm以下である振動篩によって篩上と篩下に分離し、該篩上の鉱石スラリーを低ニッケル含有粒子として分別する振動篩工程を有し、前記比重分離工程後のアンダーフロー中の鉱石スラリーに含まれる45μm未満の粒径を有する粒子が固形分中の30質量%以下となるように調整され、前記固液分離工程では、前記粉砕工程で前記低ニッケル含有粒子を、80質量%の粒子の粒径が100μm未満となるよう粉砕して得られた粉砕粒子を前記浸出スラリーに添加してから多段洗浄することを特徴とする。
本発明の一態様によれば、分別工程で分別された低ニッケル含有粒子を粉砕して得られた粉砕粒子を浸出スラリーに添加することによって、浸出スラリーに残留した硫酸で低ニッケル含有粒子に含まれるニッケルの浸出を追加的に行えるので、硫酸の使用量を抑制しながら、ニッケルの回収量を更に増加した上で、この追加的な浸出によって残留硫酸が中和されるので、中和剤の使用量を抑制することができる。
このようにすれば、分別工程で比重分離工程と振動篩工程の2段階の工程を経ることによって、鉱石スラリーから低ニッケル含有粒子を確実に分別できるので、浸出工程での硫酸使用量や最終中和工程での消石灰等の中和剤使用量を効果的に低減できる。
このようにすれば、篩上への高ニッケル含有粒子の残留を抑制しながら、篩下への低ニッケル含有粒子の混入を抑制できるので、ニッケルの回収率が更に向上しながら、硫酸や中和剤を節約できる。
このようにすれば、低ニッケル含有粒子に含まれるニッケルが浸出スラリーに残留した微量の硫酸に反応し易くなるので、低ニッケル含有粒子に含まれるニッケルの浸出及び残留硫酸の中和が進むこととなり、その結果、硫酸や中和剤の使用量を抑制しながら、ニッケルの回収量を更に増加できる。
以上説明したように本発明によれば、浸出工程の硫酸使用量を増加させずに、ニッケルの回収量を更に増加させることができる。
本発明の一実施形態に係るニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法のフローの一例を示す工程図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
まず、本発明の一実施形態に係るニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法のフローについて、図面を使用しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法のフローの一例を示す工程図である。
本発明の一実施形態に係るニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、高圧酸浸出法(HPAL法)を用いて、ニッケル酸化鉱石からニッケルを浸出させて回収する製錬プロセスである。本発明の一実施形態に係るニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、図1に示すように、鉱石スラリー化工程S1と、分別工程S2と、鉱石スラリー濃縮工程S3と、浸出工程S4と、固液分離工程S5と、中和工程S6と、硫化工程S7と、最終中和工程S8と、粉砕工程S9とを有する。
本実施形態では、鉱石スラリーに対する硫酸による浸出処理を施す前に、スラリー化した鉱石に含まれる低ニッケル含有粒子を分別する分別工程S2を有すること、及び当該分別工程S2によって分別された低ニッケル含有粒子を粉砕工程S9で粉砕して、当該粉砕工程S9で得られた粉砕粒子を浸出スラリーに添加することを特徴とする。以下、本発明の一実施形態に係るニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法の各工程について、詳細に説明する。
(1)鉱石スラリー化工程
鉱石スラリー化工程S1は、ニッケル酸化鉱石をスラリー化する。具体的には、本実施形態の鉱石スラリー化工程S1では、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に対して、所定の分級点で分級してオーバーサイズの鉱石粒子を除去した後に、アンダーサイズの鉱石粒子に水を添加して鉱石スラリーとする。
ここで、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石は、ニッケルやコバルトを含有する鉱石であり、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱が用いられる。ラテライト鉱のニッケル含有量は、一般的には0.8質量%〜2.5質量%であり、ニッケルは、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、鉄の含有量は、10質量%〜50質量%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態であるが、一部2価の鉄がケイ苦土鉱物に含有される。また、このようなラテライト鉱の他に、ニッケル、コバルト、マンガン、銅等の有価金属を含有する酸化鉱石、例えば、深海底に賦存するマンガン瘤等が用いられる。
ニッケル酸化鉱石の分級方法については、所望の粒径に基づいて鉱石を分級できるものであれば特に限定されず、例えば、一般的なグリズリーや振動篩等を用いた篩分けによって行うことができる。また、その分級点についても特に限定されず、所望の粒径値以下の鉱石粒子からなる鉱石スラリーを得るための分級点を適宜設定することができる。
(2)分別工程
分別工程S2では、鉱石スラリー化工程S1で生成された鉱石スラリーに対して浸出処理を施すに先立ち、鉱石スラリーに前処理を施す。本実施形態では、分別工程S2では、鉱石スラリー化工程S1を経て得られた鉱石スラリーから低ニッケル含有粒子を分別する。
本実施形態では、分別工程S2は、鉱石スラリー化工程S1を経て得られた鉱石スラリーを45μm未満の粒径を有する粒子が固形分中の30質量%以下である粗粒部と粒径45μm未満の粒子の割合が粗粒部よりも高い細粒部に比重分離して、その細粒部を浸出工程S4における浸出処理に供給する比重分離工程S21と、分離した粗粒部を振動篩によって篩上と篩下に分離し、その篩下の鉱石スラリーを浸出工程S4における浸出処理に供給する振動篩工程S22とを有する。
比重分離工程S21では、ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーを45μm未満の粒径を有する粒子が固形分中の30質量%以下である「粗粒部」と、粒径45μm未満の粒子の割合が粗粒部よりも高い「細粒部」とに分離する。分離して得られた細粒部は、鉱石スラリー化工程S1で得られた鉱石スラリーから粒径45μm未満の粒子を取り出したものであり、粒径45μm未満の粒子の占める割合は、鉱石スラリー化工程S1で得られた鉱石スラリーよりも高く、例えば、65質量%以上、好ましくは、89質量%以上である。この細粒部は、そのまま、浸出処理に供給する鉱石スラリーとして使用できる。比重分離工程S21では、分級分離設備、又は比重分離設備を使用して、鉱石スラリー中の粒径45μm未満の粒子の割合が30質量%以下である粗粒部と、粒径45μm未満の粒子の割合が粗粒部よりも高い細粒部に分離することができる。
ここで、後述する次工程の振動篩工程S22に供給する粗粒部の鉱石中で粒径45μm未満の粒子の割合が30質量%を超えると、粒径45μm未満の粒子が粗粒の低ニッケル含有粒子に付着してしまい、その低ニッケル含有粒子と共に振動篩の篩上に分別されてしまう。一方で、振動篩に供給する粗粒部の鉱石中で粒径45μm未満の粒子の割合が小さいほど、粗粒部を分離した細粒部に粗粒の低ニッケル含有粒子が混じり易い。粗粒部の鉱石中での粒径45μm未満の粒子の割合が例えば10質量%では、細粒部に粗粒の低ニッケル含有粒子が僅かに混じることがある。一方、30質量%では、細粒部に粗粒の低ニッケル含有粒子が殆ど見られない。このため、本実施形態では、比重分離工程S21における閾値を鉱石スラリーの粗粒部で45μm未満の粒径を有する粒子が固形分中に10質量%以上ある場合でも、30質量%以下に抑えるようにしている。
鉱石スラリーに含まれる45μm未満の粒径を有する粒子が固形分中の30質量%以下となるように、粗粒の鉱石、即ち低ニッケル含有粒子を比重分離によって分別する。45μm未満の粒径を有する粒子を全固形分中の30質量%以下に低減させる方法としては、公知の分級分離方法又は比重分離方法を用いることができ、その組み合わせについて限定しない。
比重分離工程S21における分離処理では、ハイドロサイクロン、デンシティセパレーターの何れか1つ以上を用いて行うことが好ましい。ハイドロサイクロンやデンシティセパレーターを用いた分離処理では、その鉱石スラリーを粒度によってアンダーフローとオーバーフローとに精度良く分離することができるためである。また、本実施形態における比重分離工程S21は、鉱石スラリーをハイドロサイクロンに供給して分級分離する分級分離工程と、分級分離工程にてハイドロサイクロンにより分級されたアンダーフローをデンシティセパレーターに供給して比重分離する比重分離工程とを有するものであることがより好ましい。
その理由としては、湿式製錬方法にて処理するニッケル酸化鉱石(鉱石スラリー)は、大量であり、また、その鉱石スラリーの粒子は、例えば、その粒子の80質量%〜95質量%が粒径45μm未満と細かいからである。そのため、比重分離工程S21においては、最初に、大量の鉱石スラリーの処理に適し、かつ、細粒部からなるオーバーフローへの分配が多い場合の処理に適するハイドロサイクロンによる分級分離処理を施すことが好ましい。そして、続いて、処理すべき量が大きく減少した鉱石スラリーを処理量が比較的少なく、アンダーフローとオーバーフローとへの分配の割合がほぼ同じ場合の処理に適するデンシティセパレーターによる比重分離処理を施すことが好ましい。
このように、比重分離工程S21において、ハイドロサイクロンによる分級分離処理と、デンシティセパレーターによる比重分離処理とによる分離処理を施すことによって、鉱石スラリー中の脈石成分を含む粗粒の粒子、すなわち低ニッケル含有粒子を効率的に分離することができる。
また、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスでは、浸出工程S4の浸出処理にて使用する硫酸量は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる金属元素でニッケルやコバルト以外の鉄、マグネシウム、マンガン、アルミニウム等の元素の存在により増加することが知られている。このような金属元素は、主に脈石成分として、浸出処理に供するニッケル酸化鉱石のスラリー(鉱石スラリー)に混入している。かかる脈石成分は、鉱石スラリー中における粗粒の粒子、例えば、粒径45μm以上の粗粒の粒子として存在している。
このため、本実施形態では、浸出工程S4における浸出処理に供する鉱石スラリー中の低ニッケル含有粒子となる粗粒の鉱石を分離して、当該粗粒の鉱石を更に振動篩によってその粗粒の鉱石を分別する前処理を施すことによって、浸出工程S4における硫酸使用量や最終中和工程S8における消石灰使用量を効果的に低減するようにしている。すなわち、鉱石スラリーに対して、前処理を施すことによって、鉱石スラリーから鉄、マグネシウム、マンガン、アルミニウム等の脈石成分を分離させられるので、浸出工程S4における硫酸使用量や最終中和工程S8における消石灰等の中和剤使用量を効果的に低減させることができる。
振動篩工程S22では、比重分離工程S21にて分離した45μm未満の粒径を有する粒子が固形分中の30質量%以下である粗粒部の鉱石スラリーを振動篩で篩上と篩下に分別し、その篩下の鉱石スラリーを浸出工程S4における浸出処理に供給する。一方、振動篩の篩上に分別された低ニッケル品位の鉱石粒である低ニッケル含有粒子に関しては、その後、粉砕工程S9で粉砕処理して、当該粉砕処理で得られた粉砕粒子を浸出工程S4から排出される硫酸酸性の浸出スラリーに添加して、残留硫酸によりニッケルを液中に浸出回収する。
このように、本実施形態では、振動篩による処理を施すことで、低ニッケル品位の鉱石粒を分離すると共に、鉱石粒を脱水することができるため、脱水工程等を別途設けることなく鉱石粒をそのまま堆積させることができる。また、振動篩で分別された低ニッケル含有粒子に関しては、その後、粉砕工程S9で粉砕処理して浸出スラリーに添加するので、低ニッケル含有粒子に含まれる微量のニッケルも回収できるようになる。
振動篩処理に用いる振動篩の目開きとしては、特に限定されないが、300μm〜500μm程度とすることが望ましい。振動篩の目開きが300μm未満であると、篩上に残留する鉱石粒の割合が増加し、これに伴って鉱石粒に付着して篩上に残ってしまう高ニッケル含有率の微細粒が増加してしまう可能性がある。一方で、振動篩の目開きが500μmを超えると、篩下に低ニッケル品位の鉱石粒が混入してしまうことがある。このため、本実施形態では、振動篩の目開きが300μm以上500μm以下となるように構成することによって、篩上への高ニッケル含有粒子の残留や、篩下への低ニッケル含有粒子の混入の増加を抑制できるので、ニッケルの回収率が更に向上するようになる。
分別工程S2における比重分離工程S21にて分離した細粒部を含む鉱石スラリーや、振動篩工程S22にて篩下に分けられた鉱石スラリーは、鉱石スラリー濃縮工程S3を経て浸出工程S4における浸出処理に供給される。
このように、本実施形態に係る分別工程S2は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法の浸出処理に供給する鉱石スラリーに対して、45μm未満の粒径を有する粒子が固形分中の30質量%以下である粗粒部と粒径45μm未満の粒子の割合が粗粒部よりも高い細粒部とに分離する比重分離工程S21と、分離した粗粒部を振動篩により篩分け処理する振動篩工程S22とを有する。このため、振動篩工程S22を経て得られた篩上に鉄、マグネシウム、マンガン、アルミニウム等の脈石成分を効率的に分離することができる。
そして、その他の分離成分、すなわち、比重分離工程S21にて分離された細粒部と振動篩の篩下の成分とを鉱石スラリーとして浸出処理に供給するようにすることによって、浸出工程S4で硫酸濃度の低下を最小限に抑えて、高ニッケル含有粒子を速やかに浸出して回収することができる。さらに、本実施形態では、振動篩で篩上に分別された低ニッケル含有粒子を粉砕工程S9で粉砕処理して浸出スラリーに添加するので、低ニッケル含有粒子に含まれる微量のニッケルも回収できることとなり、ニッケルの回収率が更に向上する。
(3)鉱石スラリー濃縮工程
鉱石スラリー濃縮工程S3では、前述した分別工程S2における比重分離工程S21にて分離した細粒部を含む鉱石スラリーと、振動篩工程S22にて分離した篩下の鉱石粒子を含む鉱石スラリーとを固液分離装置に装入し、その鉱石スラリー中に含まれる水分を分離除去して鉱石成分を濃縮し、濃縮された鉱石スラリーを得る。この濃縮された鉱石スラリーが浸出工程S4における浸出処理に供される鉱石スラリーとなる。
具体的には、鉱石スラリー濃縮工程S3では、例えば、シックナー等の固液分離装置にそれぞれの鉱石スラリーを装入し、固形成分を沈降させて装置の下部から取り出し、一方で上澄みとなった水分を装置の上部からオーバーフローさせる固液分離を行う。この固液分離処理により、鉱石スラリー中の水分を低減させ、スラリー中の鉱石成分を濃縮させることによって、例えば固形分濃度として40重量%程度の鉱石スラリーを得る。比重分離工程S21で分離した細粒部と振動篩工程S22で分離した篩下の鉱石粒子は、予め混合した上で固液分離装置に装入することができるが、他の方法として、それぞれに専用の固液分離装置を用意して、そこに装入したり、同一の固液分離装置に時間差を設けて装入したりしてもよい。
なお、以上のように、鉱石スラリー化工程S1と、比重分離工程S21と振動篩工程S22とを含む分別工程S2と、鉱石スラリー濃縮工程S3とを経ることによって、後述する浸出工程S4における浸出処理に供する鉱石スラリーを製造することができ、これらの工程を含む方法を鉱石スラリーの製造方法として定義することができる。
(4)浸出工程
浸出工程S4では、製造した鉱石スラリーに対して、例えば、オートクレーブ等の圧力容器や保温容器を使用して、高圧酸浸出法を用いた浸出処理を施す。具体的には、原料となるニッケル酸化鉱石を含有する鉱石スラリーに硫酸を添加し、220℃〜280℃の高い温度条件下で加圧しながら鉱石スラリーを攪拌し、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを生成させる。すなわち、浸出工程S4では、製造された鉱石スラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施す。
浸出工程S4における浸出処理では、下記式(i)〜(iii)で表される浸出反応と下記式(iv)及び(v)で表される高温熱加水分解反応が生じ、ニッケルやコバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われる。
・浸出反応
a/2O+HSO→Ma/2SO+HO ・・・(i)
(なお、式中Mは、Ni、Co、Fe、Zn、Cu、Mg、Cr、Mn等を表し、aは、価数を表す。)
2Fe(OH)+3HSO→Fe(SO+6HO ・・・(ii)
FeO+HSO→FeSO+HO ・・・(iii)
・高温熱加水分解反応
2FeSO+HSO+1/2O→Fe(SO+HO ・・・(iv)
Fe(SO+3HO→Fe+3HSO ・・・(v)
ニッケル酸化鉱石には、ニッケルやコバルト以外にも、鉄、マグネシウム、マンガン、アルミニウム等の不純物も含まれ、これら不純物も硫酸により浸出され、浸出に伴い硫酸を消費する。このため、ニッケルやコバルトの浸出で消費される硫酸に加えて、不純物の浸出で消費される硫酸も必要となる。不純物による硫酸の消費に関して、本実施形態では、浸出工程S4における浸出処理に供する鉱石スラリーに対して、前述した分別工程S2において特定の前処理を施しているので、その鉱石スラリーに含まれる不純物濃度を低減させることができ、浸出処理に用いる硫酸添加量を効果的に低減させることができる。
また、ニッケル酸化鉱石におけるニッケル品位やコバルト品位は、例えば、Niを約1質量%、Coを約0.1質量%含有した乾燥鉱石が流通していることから分かるように低いため、反応速度が遅い。このため、反応速度を高めるために、不純物量を加味した当量を超えて硫酸を添加して高濃度で浸出反応を行う。ここで、本実施形態では、浸出工程S4における浸出処理に供する鉱石スラリーに対して、前述した分別工程S2において特定の前処理を施しているので、その鉱石スラリーに含まれるニッケル濃度を向上させることができる。高濃度の硫酸と高濃度のニッケルを反応させることによって、反応速度が相乗的に向上する。そのため、同じ硫酸添加量では、短時間にニッケルを浸出することができ、同じ量のニッケルを浸出するのに、硫酸添加量を少なく抑えることができる。
さらに、浸出工程S4において未反応で残った硫酸は、分別工程S2で取り分けた低ニッケル含有粒子の浸出に用いることで有効利用することができる。その際に、分別工程S2で取り分けた低ニッケル含有粒子の浸出に用いることを見越して浸出工程S4の硫酸添加量を多くして、浸出工程S4を短時間で行うこともできる。分別工程S2で取り分けた低ニッケル含有粒子は、浸出工程S4において未反応で残った硫酸を含有する浸出スラリーに混合する前に、後述する粉砕工程S9で処理しておくことによって、反応性を高めて効力を高めることができる。
分別工程S2で取り分けた低ニッケル含有粒子は、ニッケル等を浸出されることによって未反応の硫酸を消費するので、浸出スラリーの酸性が弱まり、後述する中和工程S6で浸出液の中和に用いる中和剤や最終中和工程S8で浸出残渣の中和に用いる中和剤を節約することができる。換言すると、分別工程S2で取り分けた低ニッケル含有粒子は、ニッケル源かつ中和剤として活用できる。
(5)固液分離工程
固液分離工程S5では、浸出工程S4を経て得られた浸出スラリーを多段で洗浄しながら、ニッケル及びコバルトと共に不純物元素を含む浸出液と、浸出残渣とを分離する。本実施形態の固液分離工程S5では、例えば、浸出スラリーを洗浄液と混合した後、シックナー等の固液分離設備により固液分離処理を施す。具体的には、先ず、浸出スラリーが洗浄液により希釈され、次に、スラリー中の浸出残渣がシックナーの沈降物として濃縮される。これにより、浸出残渣に付着するニッケル分をその希釈の度合いに応じて減少させることができる。なお、固液分離処理においては、例えば、アニオン系の凝集剤を添加して行うようにしてもよい。
また、固液分離工程S5では、浸出スラリーを多段洗浄しながら固液分離をすることが好ましい。多段洗浄方法としては、例えば、浸出スラリーに対して洗浄液を向流に接触させる連続向流洗浄法を用いることができる。これにより、系内に新たに導入する洗浄液を削減できると共に、ニッケル及びコバルトの回収率を95%以上に向上させることができる。固液分離工程S5で使用する洗浄液(洗浄水)としては、特に限定されないが、ニッケルを含まず、工程に影響を及ぼさないものを用いることが好ましい。例えば、洗浄液として、好ましくは、後工程の硫化工程S7で得られる貧液を繰り返して利用することができる。
さらに、本実施形態では、固液分離工程S5は、粉砕工程S9で低ニッケル含有粒子を粉砕して得られた粉砕粒子を浸出スラリーに添加してから多段洗浄することを特徴とする。すなわち、本実施形態では、固液分離工程S5は、振動篩工程S22において振動篩で篩上に分別された低ニッケル含有粒子を粉砕工程S9で粉砕処理して浸出スラリーに添加したものを多段洗浄しながら固液分離することによって、低ニッケル含有粒子に含まれる微量のニッケルも回収できるので、ニッケルの回収率が更に向上する。
(6)中和工程
中和工程S6では、固液分離工程S5にて分離された浸出液のpHを調整して、不純物元素を含む中和澱物を分離して、ニッケルやコバルトを含む中和終液を得る。具体的には、中和工程S6では、分離された浸出液の酸化を抑制しながら、得られる中和終液のpHが4以下、好ましくは3.0〜3.5、より好ましくは3.1〜3.2になるように、その浸出液に炭酸カルシウム等の中和剤を添加して、中和終液と不純物元素として3価の鉄やアルミニウム等を含む中和澱物とを生成させる。中和工程S6では、このようにして不純物を中和澱物として除去し、ニッケル回収用の母液となる中和終液を得る。
(7)硫化工程
硫化工程S7では、ニッケル回収用の母液である中和終液に対して、硫化水素ガス等の硫化剤を吹き込んで硫化反応を生じさせて、ニッケル(及びコバルト)を含む硫化物(以下、単に「ニッケル硫化物」ともいう)と貧液とを生成させる。ニッケル回収用の母液である中和終液は、浸出液から中和工程S6を経て不純物成分が低減された硫酸溶液である。なお、このニッケル回収用母液には、不純物成分として鉄、マグネシウム、マンガン等が数g/L程度含まれている可能性があるが、これら不純物成分は、硫化物としての安定性が低く(回収するニッケル及びコバルトに対して)、生成するニッケル硫化物に含有されることはない。
硫化工程S7における硫化処理は、ニッケル回収設備にて実行される。ニッケル回収設備は、例えば、母液である中和終液に対して硫化水素ガス等を吹き込んで硫化反応を行う硫化反応槽と、硫化反応後液からニッケル硫化物を分離回収する固液分離槽とを備える。固液分離槽は、例えば、シックナー等によって構成され、ニッケル硫化物を含んだ硫化反応後のスラリーに対して沈降分離処理を施すことで、沈殿物であるニッケル硫化物をシックナーの底部より分離回収する。一方で、水溶液成分はオーバーフローさせて貧液として回収する。なお、回収した貧液は、ニッケル等の有価金属濃度の極めて低い溶液であり、硫化されずに残留した鉄、マグネシウム、マンガン等の不純物元素を含む。この貧液は、後述する最終中和工程S8に移送されて無害化処理される。
(8)最終中和工程
最終中和工程S8では、硫化工程S7にて排出された鉄、マグネシウム、マンガン等の不純物元素を含む貧液に対して、排出基準を満たす所定のpH範囲に調整する中和処理による無害化処理を施す。この最終中和工程S8では、固液分離工程S5における固液分離処理から排出された浸出残渣も併せて処理することもできる。
最終中和工程S8における無害化処理の方法、すなわち、pHの調整方法としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム(石灰石)スラリーや水酸化カルシウム(消石灰)スラリー等の中和剤を添加することによって所定の範囲に調整することができる。
最終中和工程S8における最終中和処理では、石灰石を中和剤として用いた第1段階の中和処理(第1最終中和工程S81)と、消石灰を中和剤として用いた第2段階の中和処理(第2最終中和工程S82)とからなる段階的な中和処理を行うようにすることができる。このように段階的な中和処理を行うことによって、効率的にかつ効果的な中和処理を行うことができる。
具体的に、第1最終中和工程S81では、硫化工程S7から排出され回収した貧液や固液分離工程S5にて分離した浸出残渣を中和処理槽に装入し、石灰石スラリーを添加して攪拌処理を施す。この第1最終中和工程S81では、石灰石スラリーを添加することによって、貧液等の処理対象溶液のpHを4〜5に調整する。
次に、第2最終中和工程S82では、石灰石スラリーを添加して第1段階の中和処理を施した溶液に対して、消石灰スラリーを添加して撹拌処理を施す。この第2最終中和工程S82では、消石灰スラリーを添加することによって、処理対象溶液のpHを8〜9に引き上げる。
このような2段階の中和処理を施すことによって、中和処理残渣が生成され、テーリングダムに貯留される(テーリング残渣)。一方、中和処理後の溶液は、排出基準を満たすものとなり、系外に排出される。
ここで、最終中和工程における処理では、貧液中に残留しているマグネシウムイオンやマンガンイオン等の不純物元素イオンの量に応じて、消石灰等の中和剤の量が決定される。本実施形態においては、浸出工程S4における浸出処理に供する鉱石スラリーに対して、前述した分別工程S2において特定の前処理を施すようにしていることにより、その鉱石スラリーに含まれるマグネシウムやマンガン等の不純物元素を低減させることができる。これにより、貧液中に含まれるこれらの元素濃度を減少させることができ、最終中和工程S8における中和処理に用いる中和剤使用量を効果的に低減させることができる。
(9)粉砕工程
粉砕工程S9は、分別工程S2で分別された低ニッケル含有粒子を粉砕する。本発明者らは、前述した目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、浸出工程S4に供するニッケル酸化鉱石のスラリー中の低ニッケル含有粒子、即ち粗粒の鉱石を比重分離法とそれに続く振動篩によって分別して、その後、当該低ニッケル含有粒子を粉砕して、浸出工程S4から排出される浸出スラリーに添加することによって、硫酸使用量を増加させずに低ニッケル含有粒子からニッケルを回収できることを見出し、本発明を完成するに至った。
粉砕工程S9では、分別工程S2で分別された低ニッケル含有粒子を粉砕して、80質量%の粒子の粒径が100μm未満である粉砕粒子としている。これによって、粉砕粒子との接触効率が高まるので、低ニッケル含有粒子に含まれるニッケルの浸出及び浸出スラリーに残留した硫酸の中和が確実に進み、中和剤の使用量を抑制しながら、ニッケルの回収量を更に増加できるようになる。なお、粉砕には、例えば、石臼やボールミル、タワーミル等の公知の粉砕装置を用いることができる。
次に、本発明の一実施形態に係るニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法について、実施例により詳しく説明する。なお、本発明は、当該実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、下記の表1に示す組成を有するニッケル酸化鉱石を水と混合してスラリー化し(鉱石スラリー化工程)、ハイドロサイクロン(ソルターサイクロン社製、SC1030−P型)へ固形分60t/hの流量で供給し、当該ハイドロサイクロンからのアンダーフローをデンシティセパレーター(シーエフエス社製、6×6型)へ供給し比重分離を行った。デンシティセパレーターのアンダーフローの固形分を分析したところ、ニッケルを0.85質量%、マグネシウムを5.3質量%含有しており、粒径45μm未満の粒子が固形分全体の25質量%を占めていた。デンシティセパレーターからのアンダーフローを20質量%の固形分濃度となるように水を添加した上で目開き300μmの篩を備える振動篩(サイズテック社製、VDS27−6型)に供給した。振動篩では、篩上としてニッケル品位0.83質量%、マグネシウム7.5質量%の固形分を得た。篩下は、比重分離工程の細粒部分(各オーバーフロー)と共にシックナーにより鉱石スラリーを濃縮した上で浸出工程に供給した。
Figure 0006969262
振動篩からの篩上の固形分(低ニッケル含有粒子)を粉砕タワーミル(NIPPON EIRICH社製KW−700MS型)にて粉砕し、水を添加して固形分濃度30質量%の粉砕粒子スラリーとした。そして、浸出工程のオートクレーブから排出された硫酸酸性の浸出スラリーに当該粉砕粒子スラリーを添加し、混合スラリーを得た。混合スラリーの液体部分を分析したところ、鉱石スラリー化工程に供給した鉱石中のニッケルのうち92%が回収スラリー(混合スラリー)の液中に浸出回収されたことが確認できた。また、浸出工程での硫酸消費量は272kg/乾燥鉱石トンであった。さらに、最終中和工程の消石灰消費は42kg/乾燥鉱石トンであった。
(実施例2)
デンシティセパレーターのアンダーフロー固形分中に占める粒径45μm未満の粒子の割合が30質量%となるように比重分離工程の分配比率を調整した点以外は、実施例1と同様の操作を行った。振動篩では、篩上としてニッケル品位0.84質量%、マグネシウム7.4質量%の固形分を得た。
また、鉱石スラリー化工程に供給した鉱石中のニッケルのうち、92%を回収スラリー(混合スラリー)の液中に浸出回収されたことが確認できた。さらに、浸出工程での硫酸消費量は、272kg/乾燥鉱石トンであった。また、最終中和工程の消石灰消費は、42kg/乾燥鉱石トンであった。
(比較例1)
振動篩で得る篩上の固形分を粉砕する代わりに工程外へ払い出し、粉砕粒子スラリーを浸出スラリーに添加しなかった点以外は、実施例1と同様の操作を行った。振動篩では、篩上としてニッケル品位0.83質量%、マグネシウム7.5質量%の固形分を得た。鉱石スラリー化工程に供給した鉱石中のニッケルのうち、89%を回収スラリー(浸出スラリー)の液中に浸出回収されたことが確認できた。浸出工程での硫酸消費量は、272kg/乾燥鉱石トンであった。また、最終中和工程の消石灰消費は、36kg/乾燥鉱石トンであった。
(比較例2)
振動篩で得る篩上の固形分を粉砕する代わりに工程外へ払い出し、粉砕粒子スラリーを浸出スラリーに添加しなかった点以外は、実施例2と同様の操作を行った。振動篩では、篩上としてニッケル品位0.84質量%、マグネシウム7.4質量%の固形分を得た。鉱石スラリー化工程に供給した鉱石中のニッケルのうち、89%を混合スラリーの液中に浸出回収することができた。浸出工程での硫酸消費量は、272kg/乾燥鉱石トンであった。また、最終中和工程の消石灰消費は、36kg/乾燥鉱石トンであった。
(比較例3)
鉱石スラリー化工程でスラリー化したニッケル酸化鉱石を比重分離することなく鉱石スラリー濃縮工程に供給した点以外は、比較例1と同様の操作を行った。鉱石スラリー化工程に供給した鉱石中のニッケルのうち、92%を回収スラリー(浸出スラリー)の液中に浸出回収することができた。酸消費量は、287kg/乾燥鉱石トンであった。また、最終中和工程の消石灰使用量は、44kg/乾燥鉱石トンであった。
実施例1、2と比較例1、2、3の振動篩への供給スラリーの固形分と振動篩回収粒子に関して成分と流量を下記の表2にまとめた。
Figure 0006969262
また、実施例1、2と比較例1、2、3における浸出工程への供給スラリーの固形分の品位と流量、酸消費量、最終中和工程の消石灰消費量、及びニッケル回収率に関して下記の表3にまとめた。
Figure 0006969262
表3に示すように、実施例1、2を比較例1、2と比較すると、振動篩上に回収された低ニッケル含有粒子を粉砕して、浸出スラリーに添加することによって、混合スラリーの液中に3%多くのニッケルを回収できることが分かった。一方、振動篩上に回収された低ニッケル含有粒子を粉砕し、浸出スラリーに添加することによって、当該低ニッケル含有粒子中のマグネシウムも浸出されるので、最終中和工程の消石灰消費量が6kg/乾燥鉱石トン増加した。
また、表3に示すように、実施例1、2と比較例3と比較すると、振動篩上に回収された低ニッケル含有粒子を粉砕して、浸出スラリーに添加することによって、酸消費量を10kg/乾燥鉱石トン低く抑え、かつ、最終中和工程での消石灰の消費量を2kg/乾燥鉱石トン低く抑えることができた。
このように、振動篩上に回収された低ニッケル含有粒子を粉砕して、浸出スラリーに添加することによって、従来、廃棄されていた低ニッケル含有粒子に微量に含まれるニッケルも回収するので、残土としての廃棄量を減少させてニッケルの回収率を更に向上できる。また、未反応の硫酸を有効活用し、低ニッケル含有粒子については、不純物元素を過剰に浸出せずに済むので、硫酸や中和剤の使用量を抑制できることが分かった。
なお、上記のように本発明の一実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法の動作も本発明の一実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
S1 鉱石スラリー化工程、S2 分別工程、S3 鉱石スラリー濃縮工程、S4 浸出工程、S5 固液分離工程、S6 中和工程、S7 硫化工程、S8 最終中和工程、S9 粉砕工程、S21 比重分離工程、S22 振動篩工程、S81 第1最終中和工程、S82 第2最終中和工程

Claims (1)

  1. 高圧酸浸出法を用いてニッケル酸化鉱石からニッケルを浸出させて回収するニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法であって、
    前記ニッケル酸化鉱石をスラリー化する鉱石スラリー化工程と、
    前記鉱石スラリー化工程を経て得られた鉱石スラリーから低ニッケル含有粒子を分別する分別工程と、
    前記低ニッケル含有粒子を分別した鉱石スラリーに含まれる水分を減じて鉱石成分を濃縮する鉱石スラリー濃縮工程と、
    前記鉱石スラリー濃縮工程で濃縮された前記鉱石スラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施す浸出工程と、
    前記浸出工程で得られた浸出スラリーを多段洗浄しながら残渣を分離してニッケルと共に不純物元素を含む浸出液を得る固液分離工程と、
    前記分別工程で分別された前記低ニッケル含有粒子を粉砕する粉砕工程と、を有し、
    前記分別工程は、
    前記鉱石スラリーをハイドロサイクロンに供給して分級分離し、前記ハイドロサイクロンにより分級されたアンダーフローをデンシティセパレータに供給して比重分離する比重分離工程と、
    前記比重分離工程において前記デンシティセパレータにより分級されたアンダーフローを、目開きが300μm以上500μm以下である振動篩によって篩上と篩下に分離し、該篩上の鉱石スラリーを低ニッケル含有粒子として分別する振動篩工程を有し、
    前記比重分離工程後のアンダーフロー中の鉱石スラリーに含まれる45μm未満の粒径を有する粒子が固形分中の30質量%以下となるように調整され、
    前記固液分離工程では、前記粉砕工程で前記低ニッケル含有粒子を、80質量%の粒子の粒径が100μm未満となるよう粉砕して得られた粉砕粒子を前記浸出スラリーに添加してから多段洗浄することを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
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