JP5403033B2 - ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法に関する。
詳しくは、鉱石処理工程、浸出工程、固液分離工程、中和工程、亜鉛除去工程、硫化工程及び最終中和工程を含む高圧酸浸出法により、ニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを回収する湿式製錬方法において、鉱石処理工程から産出する鉱石スラリーによる配管、ポンプ等の設備の磨耗を抑制し、耐久性を向上させ、最終中和工程から産出する最終中和残渣量を低減し、廃棄される浸出残渣、中和澱物等を貯留するテーリングダムの容量の圧縮によりコスト及び環境リスクを抑えるという課題を達成するとともに、資源化して有効活用することができる不純物成分を分離回収することができるニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法に関する。
近年、石炭、鉄、銅、ニッケル、コバルト、クロム、マンガン等の鉱物資源において、採掘権の寡占化がますます進んだことにより、金属製錬での原料コストが大幅に上昇している。そのため、金属製錬においても、コスト低減のための施策として、従来コスト的に不利であるため対象にならなかった低品位原料を使用するための技術開発が行われている。
例えば、ニッケル製錬では、高温高圧下において耐食性に優れた材料が開発されたこともあり、ニッケル酸化鉱石を硫酸で加圧下に酸浸出する高圧酸浸出(High Pressure Acid Leach)法に基づく湿式製錬方法が注目されている。
この高圧酸浸出法は、従来の一般的なニッケル酸化鉱石の製錬方法である乾式製錬法と異なり、還元工程、乾燥工程等の乾式工程を含まずエネルギーコスト的に有利であるため、今後も低品位ニッケル酸化鉱石の製錬方法として有力な技術であると見られている。このため、製錬プロセスとしての完成度を上げるため、高温加圧下での浸出工程を中心として、ニッケル及びコバルトの浸出率の向上、浸出液の浄液、操業資材使用量の低減等に関し様々な提案がなされている。
ところで、高温加圧下での浸出を利用するプロセスとしては、例えば、ニッケル、コバルト、マンガン等の有価金属を含有する酸化鉱石から、それらの金属を回収するにあたり、下記工程(a)〜(c)からなる酸化鉱石から有価金属を回収する方法(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
工程(a):あらかじめスラリー化した酸化鉱石を、工程(b)で得られた加圧酸浸出液により、硫酸酸性下で常圧浸出し、常圧浸出液と常圧浸出残留物を得る。
工程(b):工程(a)で得られた常圧浸出残留物を、高温高圧下の酸化性雰囲気下で硫酸と反応させて加圧酸浸出液を得る。
工程(c):工程(a)で得られた常圧浸出液に中和剤を加えて中和し、次いで硫化アルカリ化合物を添加し、浸出液中のニッケル及びコバルトを硫化物として回収する。
この方法では、鉱石スラリーを常圧浸出(工程(a))し、次いで常圧浸出残渣を加圧酸浸出(工程(b))する2段浸出を行うことにより、鉱石からのニッケル浸出率を向上させ、同時に加圧酸浸出の浸出液中に含まれる過剰な酸を、常圧浸出残渣に含有されるアルカリ成分によって中和し、中和工程(工程(c))の負荷を低減させるものである。
しかしながら、2段浸出のため、設備点数が増えコストと手間が増加する、及び浸出残渣を洗浄する際発生する多量の薄液の処理にコストを要するという問題点があった。
そこで、これらの問題点を解決するため、高温加圧下での浸出を利用する他のプロセスとして、下記(1)〜(4)からなる工程を含む方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
(1)浸出工程:ニッケル酸化鉱石をスラリー化して硫酸を添加し、220〜280℃の温度で撹拌処理し、浸出スラリーを形成する。
(2)固液分離工程:先の浸出工程で得た浸出スラリーを、多段階のシックナーを用いて洗浄し、ニッケル及びコバルトを含む浸出液と浸出残渣とに分離する。
(3)中和工程:固液分離工程で得た浸出液の酸化を抑制しながら、炭酸カルシウムを用いてpHが4以下となるよう調整し、3価の鉄を含有する中和澱物を生成し、中和澱物スラリーとニッケル回収用母液とに分離する。
(4)硫化工程:硫化工程で得たニッケル回収用母液に硫化水素ガスを吹きこみ、ニッケル及びコバルトを含有する硫化物を生成し、貧液と分離する。
ここで、特許文献2に開示される技術に基づく実用プラントの概要について、図を用いて説明する。
図2は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法(特許文献2)に基づく実用プラントの一例における製錬工程図である。
図2において、ニッケル酸化鉱石8は、最初に、(1)鉱石処理工程で水と混合され、次いで異物除去及び鉱石粒度調整が行われ、鉱石スラリー9を形成する。
次に、鉱石スラリー9は、(2)浸出工程で、硫酸を用いた高温加圧浸出に付され、浸出スラリー10が形成される。
形成した浸出スラリー10は、(3)固液分離工程に付され、多段洗浄された後、ニッケル及びコバルトを含む浸出液11と浸出残渣スラリー12に分離される。
浸出液11は、(4)中和工程に付され、3価の鉄水酸化物を含む中和澱物スラリー13とニッケル回収用の母液(1)14に分離される。
母液(1)14は、硫化剤を添加する(5)亜鉛除去工程に付され、硫化亜鉛を含む硫化亜鉛澱物15とニッケル回収用の母液(2)16とに分離される。
次に、母液(2)16は、(6)硫化工程に付され、ニッケル及びコバルトを含む混合硫化物17とニッケル等が除去された貧液18に分離される。なお、貧液18は、(3)固液分離工程における浸出残渣の洗浄水として使用される。
最後に、浸出残渣スラリー12は、余剰の貧液18とともに、(7)最終中和工程に付され、中和処理され、最終中和残渣19は、テーリングダム20に貯留される。
この方法の特徴としては、固液分離工程で浸出スラリーを多段階で洗浄することにより、中和工程での中和剤消費量と澱物量が削減できること、また浸出残渣の真密度を高めることができるので、固液分離特性を改善することができること、さらに浸出工程を高温加圧浸出のみで行うことでプロセスが簡素化されることなどが挙げられ、特許文献1に提案される方法に対し利点があるとされている。
その上、固液分離工程で用いる洗浄液として貧液を使用すれば、残留する硫酸を利用して浸出残渣に付着したニッケルを浸出させて回収することができ、効果的かつ効率的な水の繰り返し使用を行うことができるとされている。
さらに、中和澱物スラリーを固液分離工程へ送れば、ニッケルのロスを低減することができるので、より有利であるとされている。
しかしながら、この方法による実用プラントでは、以下の課題がある。
(1)設備の磨耗の抑制
ニッケル酸化鉱石は、スラリーとして各工程間を搬送されるが、設備材料の磨耗が著しく促進され、とりわけ浸出工程における配管、ポンプ等の設備では補修頻度が高く、メンテナンスコストの上昇とプラント稼働率の低下の大きな原因となっている。
(2)最終中和残渣量の低減
固液分離工程で得られる浸出残渣は、硫化工程から産出する余剰の貧液と合一され、これに石灰石スラリー又は消石灰スラリーを添加する中和処理により無害化される。
この最終的な中和処理工程(以下、最終中和工程と呼称する場合がある。)から産出される最終中和残渣は、テーリングダムで貯留される。しかしながら、最終中和残渣には、浸出残渣中のヘマタイト、クロマイト等の不純物成分のほか、中和処理により形成される石膏を含有するため資源化できず、テーリングダムの建設及び維持管理のための大きなコスト負担があった。
以上のような状況から、上記高圧酸浸出法に基づく湿式製錬方法を用いた実用プラントでは、上記課題の解決策が求められていた。
さらに、上記課題を、効果的かつ経済的に解決するためには、鉱石又は浸出残渣に含まれる不純物成分を効率的に分離回収することが有効な手段であり、これら不純物成分を資源化して有効活用することも求められていた。
そこで、本出願人は、高圧酸浸出法に基づく湿式製錬工程中に、鉱石スラリーからシリカ鉱物、クロマイト又はケイ苦土鉱から選ばれる少なくとも1種を含む粒子を物理分離、回収する工程、浸出残渣スラリー中のヘマタイト粒子を物理分離、回収する工程を含むニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法を特許文献3に提案しているが、鉱石又は浸出残渣に含まれる不純物成分の効率的な分離回収、および分離回収した、これら不純物成分の資源化に、更なる改善を必要とされてきた。
特開平6−116660号公報(第1頁、第2頁) 特開2005−350766号公報(第1頁、第2頁) 特開2010−95788号公報
このような状況に鑑み、本発明は、従来技術の問題点に鑑み、鉱石処理工程、浸出工程、固液分離工程、中和工程、亜鉛除去工程、硫化工程及び最終中和工程を含む高圧酸浸出法により、ニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを回収する湿式製錬方法において、該鉱石処理工程から産出する鉱石スラリーによる配管、ポンプ等の設備の磨耗を抑制し、耐久性を向上させること、鉱石スラリーの固形率を上昇させて、該鉱石処理工程の設備を簡便化すること、また、該最終中和工程から産出する最終中和残渣量を低減し、廃棄される浸出残渣、中和澱物等を貯留するテーリングダムの容量の圧縮によりコスト及び環境リスクを抑えることという課題を達成するとともに、資源化して有効活用することができるクロマイトやヘマタイト等の不純物成分を分離回収することができるニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法の提供を目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために、鉱石処理工程、浸出工程、固液分離工程、中和工程、亜鉛除去工程、硫化工程及び最終中和工程を含む高圧酸浸出法により、ニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを回収する湿式製錬方法において、上記課題の解決策について、鋭意研究を重ねた結果、鉱石処理工程から産出する鉱石スラリー中のクロマイトを含む粒子を特定の方法で分離回収する(A)工程、(A)工程後、浸出工程、固液分離工程後、石膏を作らない特定の方法で中和し、回収する(B)工程の中から選ばれる少なくともひとつの工程を実施したところ、上記課題の解決策として有効であることを見出し、本発明の完成に至ったものである。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、採掘した原料鉱石の異物除去及び鉱石粒度調整を行い、鉱石スラリーを形成する鉱石処理工程、鉱石スラリーに硫酸を添加し、高温高圧下で撹拌処理して、浸出残渣と浸出液からなる浸出スラリーを形成する浸出工程、浸出スラリーを多段洗浄して、ニッケル及びコバルトを含む浸出液と浸出残渣スラリーを得る固液分離工程、浸出液にアルカリを添加し、3価の鉄を含む中和澱物スラリーとニッケル回収用の母液を形成する中和工程、母液に硫化水素ガスを吹きこみ、硫化亜鉛澱物スラリーとニッケル及びコバルト回収用の母液を形成する亜鉛除去工程、ニッケル及びコバルト回収用の母液に、硫化水素を吹き込み、ニッケル及びコバルトを含む混合硫化物と貧液とを生成する硫化工程、及び浸出残渣スラリーに余剰の貧液を加え、pHを8〜9程度に調整し、最終中和残渣を得る最終中和工程を含む高圧酸浸出法を用いて、ニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを回収する湿式製錬方法において、下記(A)工程と(B−1)工程と(B−2)工程を含むことを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。

(A)工程:前記鉱石処理工程から産出する鉱石スラリー中のクロマイト粒子を、比重分離法を含む回収プロセスにより分離回収する工程。
(B−1)工程:前記(A)工程を経てCr品位の下がった鉱石スラリーを前記浸出工程、固液分離工程により処理して生成した浸出液の中和工程であって、中和する際にMg系中和剤を用いて中和する工程。
(B−2)工程:前記(A)工程を経てCr品位の下がった鉱石スラリーを、前記浸出工程、固液分離工程により処理して生成した浸出残渣スラリーの中和工程であって、中和する際にMg系中和剤を用いて中和し、ヘマタイト粒子を回収する工程。
本発明の第2の発明は、第1の発明において前記(B−2)工程を含まずに前記A工程と前記(B−1)工程のみを含むことを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
本発明の第3の発明は、第1の発明において前記(B−1)工程を含まずに前記A工程と前記(B−2)工程のみを含むことを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
本発明の第4の発明は、第1及び第3の発明における(B−2)工程において、中和後のpHを4〜7とし、その後、Mg系中和剤以外のアルカリで最終中和を行うことを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
本発明の第5の発明は、第1、第3及び第4の発明における(B−2)工程において、前記浸出残渣スラリー又はそれを含む中和残渣スラリーをサイクロン分級し、その際、分級された細粒部をヘマタイトの濃縮物として回収することを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
本発明の第の発明は、第1からの発明における前記(A)工程の回収プロセスが、鉱石スラリーにサイクロンによるサイクロン分級を行い、微細な鉄水酸化物粒子を低減させた後、比重分離法を用いてクロマイトの濃縮物として、鉱石スラリー中のクロマイト粒子を鉱石スラリーから回収することを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
本発明の第の発明は、第の発明における前記(A)工程の回収プロセスが、鉱石スラリーのスラリー濃度を希釈せずに、サイクロン分級することを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
本発明の第の発明は、第6及び第7の発明における前記(A)工程の回収プロセスが、サイクロン分級におけるクロマイトのアンダーフローへの採取が不可避的損失を除く全量が行われることを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
本発明の第の発明は、第1から第の発明における前記比重分離法が、デンシティ セパレーターを用いる工程、スパイラルコンセントレーターを用いる工程、シェーキングテーブルを用いる工程から選ばれる少なくとも一つの工程を含むことを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
本発明の第10の発明は、第の発明におけるスパイラルコンセントレーターに供給されるスラリーのパルプコンテントが、15〜35%Solidであることを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
本発明の第11の発明は、第の発明におけるデンシティ セパレーターに供給されるTeeter Water量が、0.5〜7.0[m・h−1/m]であることを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
本発明の第12の発明は、第1から第11の発明における前記比重分離後に、磁力分離による物理分離に付してマグネタイトを除去し、非磁着物をクロマイト濃縮物として回収することを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
本発明の第13の発明は、第1から第12の発明の鉱石処理工程における鉱石粒度調整が、2mm以下の粒度で篩い分け処理に付すことを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
本発明の第14の発明は、第1から第13の発明における濃縮されたクロマイトのCr品位が45%以上であることを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
本発明のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、鉱石処理工程、浸出工程、固液分離工程、中和工程、亜鉛除去工程、硫化工程及び最終中和工程を含む高圧酸浸出法により、ニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを回収する湿式製錬方法において、(A)工程と(B)工程を採用することにより、以下のように上記課題が解決されるので、その工業的価値は極めて大きい。
(A)工程の採用は、鉱石処理工程から産出する鉱石スラリー中のクロマイトを含む粒子を分離回収することにより、鉱石スラリーの輸送時の配管、ポンプ等の設備の磨耗を抑制することができる。
さらに、湿式製錬前にクロマイトを分離するので、浸出残渣量の減少が期待でき、最終中和残渣量を低減することができる。さらに、分離したクロマイトを濃縮できれば、資源として有効活用することも可能である。
また、(B)工程の採用は、固液分離工程から産出する浸出残渣中のヘマタイトを分離回収するので、最終中和工程から産出する最終中和残渣量の低減が図られ、廃棄される浸出残渣、中和澱物等を貯留するテーリングダムの容量の圧縮によるコスト及び環境リスクを抑えることができるとともに、分離回収したヘマタイトを鉄資源として有効活用することも可能である。
本発明に係るニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法による実施態様の一例を表す製錬工程図である。 従来のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法(特許文献2)に基づく実用プラントの一例を表す製錬工程図である。
本発明のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、鉱石処理工程、浸出工程、固液分離工程、中和工程、亜鉛除去工程、硫化工程及び最終中和工程を含む高圧酸浸出法により、ニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを回収する湿式製錬方法において、下記(A)工程、(B−1)工程、(B−2)工程から選ばれる少なくともひとつの工程を含むことを特徴とする。
[工程]
(A)工程
前記鉱石処理工程から産出する鉱石スラリー中のクロマイト粒子を、比重分離法を含む回収プロセスにより分離回収する工程である。
(B−1)工程
前記(A)工程を経てCr品位の下がった鉱石スラリーを、浸出工程、固液分離工程で処理し、固液分離工程後の浸出液の中和を、Mg(OH)、MgOなどのMg系中和剤で行うものである。
(B−2)工程
前記(A)工程を経てCr品位の下がった鉱石スラリーを、浸出工程、固液分離工程で処理し、固液分離工程後の浸出残渣スラリーの中和を、Mg(OH)、MgOなどのMg系中和剤で行い、ヘマタイト粒子を回収するものである。
本発明の方法において、上記(A)工程、(B−1)工程、(B−2)工程から選ばれる少なくともひとつの工程を含むことが、課題の解決のために重要である。
(A)工程の採用は、前工程の鉱石処理工程から産出する鉱石スラリー中のクロマイトを含む粒子を分離回収することにより、鉱石スラリーの輸送時の配管、ポンプ等の設備の磨耗を抑制するものである。
すなわち、ニッケル酸化鉱石に一般的に含有される極めて硬度が高いクロマイトを分離することにより、磨耗を抑制するものである。
また、湿式製錬前にクロマイトを鉱石スラリーから予め取り除くことで、浸出残渣量の低減が期待され、最終中和残渣量を減らすこともできる。さらに、分離回収したクロマイトを、十分濃縮することが出来れば、資源として有効活用することも可能である。
一方、(B)工程の採用は、固液分離工程から産出する浸出残渣中のヘマタイトを分離回収するので、最終中和工程から産出する最終中和残渣量を低減し、廃棄される浸出残渣、中和澱物等を貯留するテーリングダムの容量の圧縮によるコスト及び環境リスクを抑えることができる。同時に、分離回収したヘマタイトを鉄資源として有効活用することも可能である。
このことは、すなわちニッケル酸化鉱石中の鉄は、浸出工程で高温加水分解されるので、最終中和残渣ではヘマタイトの形態で含有されている。しかしながら、最終中和残渣には、浸出残渣中のクロマイトの他、Caを含む中和剤を用いた中和処理により形成される石膏を含有するため、その鉄品位は30〜40質量%台と低く、製鉄原料などとしてそのまま有効利用することは困難である。
なぜなら、最終中和残渣に含まれるイオウ(石膏;硫酸カルシウム)、クロム(クロマイト)等は、銑鉄中への微量成分の分配、鉄鋼製品の品質等に影響する成分であり、これら不純物元素の含有は抑制することが求められるからであった。
対して、本発明ではMg系中和剤で中和するので、溶解度の大きいMgSOが生成し、固体にイオウを固定することが少ないので、イオウ品位の低いヘマタイトを分離回収することが可能となる。
次に、本発明のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法の概要を、図1を用いて説明する。
図1は、本発明に係るニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法による実施態様の一例を表す製錬工程図である。
図1に示すように、まずニッケル酸化鉱石8は、[1]鉱石処理工程で水と混合され、次いで異物除去及び鉱石粒度調整が行われて鉱石スラリー9を形成する。
その後、この鉱石スラリー9は、新たに設けた(A)工程に付され、クロマイト23を分離回収する。一方のオートクレーブ供給スラリー22は、[2]浸出工程に供される。
ここで、オートクレーブ供給スラリー22は、オートクレーブなどを用いてニッケル、コバルト等の有価成分を硫酸で浸出して浸出スラリー10となる。
形成された浸出スラリー10は、多段のシックナーなどを用いた[3]固液分離工程に供され、ニッケル及びコバルトを含む浸出液11と浸出残渣スラリー12とに分離される。
続いて、浸出液11は、(B−1)工程に供され、3価の鉄水酸化物を主成分とする(B−1)工程残渣26とニッケルを含む母液(1)14とに分離される。
母液(1)14は、硫化剤を添加する[5]亜鉛除去工程に付され、硫化亜鉛を含む硫化亜鉛澱物15とニッケル回収用の母液(2)16とに分離される。
次いで、母液(2)16は、硫化剤を添加する[6]硫化工程に付され、ニッケル及びコバルトを含む混合硫化物17と貧液18とに分離される。
なお、貧液18は、[3]固液分離工程における浸出残渣の洗浄水として使用される他に、貧液18は、最終中和工程に供される場合もある。
最後に、浸出残渣スラリー12の一部は、余剰の貧液18とともに、(B−2)工程に供され、中和処理され、ヘマタイト28を分離回収される。
その際、(B−2)工程後処理液27と(B−2)工程に供されなかった浸出残渣スラリー12は、[7]最終中和工程に供され、pH8〜9程度に中和される。
得られた最終中和残渣19は、テーリングダム20に貯留される。
以下に、各工程をさらに詳細に説明する。
[1]鉱石処理工程及び(A)工程
鉱石処理工程は、異物除去及び鉱石粒度調整を行い、鉱石スラリーを形成する工程である。
この工程では、ニッケル酸化鉱石を、湿式篩等で篩い分けし、浸出工程で浸出できない異物、ポンプで流送困難な粒度の鉱石等を分離する。
通常、篩分け粒度は、2mm程度であり、それ以上の粒度の鉱石は、破砕処理される。
破砕−篩分け処理を通過した鉱石によりスラリーが形成され、次いで沈降させて濃縮し、スラリー中の固体濃度(以下、スラリー濃度と称す)を調整したオートクレーブ供給スラリーを調製する。なお、スラリー濃度としては、通常、30〜45質量%程度に調整すると良い。
本発明の湿式製錬法で処理される原料となるニッケル酸化鉱石は、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱である。
このラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.8〜2.5質量%であり、ニッケルは水酸化物、又は含水ケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。
また、鉄の含有量は、10〜50質量%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態であるが、一部2価の鉄が含水ケイ苦土鉱物等に含有される。珪酸分は、石英、クリストバライト(無定形シリカ)等のシリカ鉱物及び含水ケイ苦土鉱物に含有されている。
さらに、クロム分の多くは、鉄又はマグネシウムを含むクロマイト鉱物として含有される。また、マグネシア分は、含水ケイ苦土鉱物のほか、未風化で硬度が高いニッケルをほとんど含有しないケイ苦土鉱物に含有される。
以上のように、ラテライト鉱において、シリカ鉱物、クロマイト鉱物及びケイ苦土鉱物は、ニッケルをほとんど含有していない、いわゆる脈石成分である。
つまり、この鉱石処理工程から産出する鉱石スラリーには、一般的に浸出工程の配管、ポンプ等の設備の磨耗に大きな影響を及ぼすクロマイトが含まれていることになる。
そのため、鉱石処理工程で調製する鉱石スラリーから、クロマイトを事前に鉱石処理工程において分離回収しておくことが望ましい。
ここで、鉱石スラリーを構成する鉱石粒子での各成分の分布状態について説明する。
ニッケル酸化鉱石のEPMA観察では、クロム含有量の高い部分は、鉄含有量の高い部分とは独立した単独相として存在する比率が高く、かつ20〜1000μmの粒径であるものが多い。
このことは、クロムを含む鉱物は、約20μm以上の粒子に多く含まれており、一方、ニッケル及び鉄を含む鉱物は、約20μm以下の粒子に多く含まれていることを示している。
したがって、鉱石スラリーからクロマイトを効果的に分離回収するためには、粗大な粒子を除いた後の鉱石をスラリー化し、この鉱石スラリー中のニッケル酸化鉱石を適切な粒度になるように解砕し、適切な分級粒度を設定することが肝要である。
なお、この時の解砕粒度としては、鉱石スラリーを形成する際の本来の目的を考慮して決められるが、約2mm以下が好ましい。
表1に、約2mm以下の粒度に破砕して得た鉱石スラリーの鉱石粒度分布と各粒度区分での各成分の品位の一例を示す。
表1より、75μm以上の粗粒部に、クロム、珪素、マグネシウム等が濃縮されることが分かる。一方、75μm以下の細粒部には鉄が濃縮されることがわかる。
Figure 0005403033
次に、(A)工程は、鉱石処理工程から産出する鉱石スラリー中のクロマイトを分離回収する工程である。工程中間物としてシリカ鉱物、又はケイ苦土鉱等の鉱物粒子を分離除去することも可能となる。
なお、(A)工程は、鉱石処理工程内に含めて実施する、或いは鉱石処理工程に続いて実施することもできる。
(A)工程の方法としては、特に限定されるものではなく、鉱石スラリーからクロマイトを分離する種々の物理分離手段を用いた方法が適用できるが、この中で、鉱石スラリーを構成する鉱石粒子での各成分の分布状態の解析から、クロマイトを分離回収した後、資源化が容易な、例えば45質量%Crまでクロマイトを濃縮するためには、比重分離法を含む湿式の物理分離法が必須である。
すなわち、表1に示すように、分級で濃縮できる品位には限界があり、分級だけでなく、比重差を利用した分離が必要となる。
この分級における分級粒度としては、細粒部のニッケルが含有されるゲーサイトが効率良く分離できれば良く、好ましくは20〜150μm、より好ましくは45〜75μmの範囲から選ばれることが好ましい。
すなわち、工業的に実施可能な分級点の下限は、おおむね20μmである上、この分級粒度が20μm未満では、粗粒部へのクロマイトの濃縮が不十分であるとともに、浸出工程で用いる鉱石スラリー中のニッケルがロスすることとなる。一方、分級粒度が150μmを超えると、細粒部でシリカ鉱物、クロマイト及びケイ苦土鉱の除去が不十分となってしまう。
また、この分級における手法は、特に限定されるものではないが、高性能で大量処理が可能なサイクロン分級を選択することが望ましい。
一般に、クロマイトの比重はゲーサイト等の水酸化鉄のそれよりも大きいことが知られており、粗大で比重が大きいクロマイトと微細で比重が小さいゲーサイトは、サイクロンにより効率良く分離することが可能である。
そのサイクロンの運転圧力は、分離性能と処理速度を考慮すると0.1〜0.3MPaが望ましい。
サイクロンの形状は、アンダーフローのパルプコンテントが50wt%以上となるように形状を調整することが望ましい。
また、サイクロンに供する鉱石スラリーのパルプコンテントについては、特に限定しないが、10〜30wt%が好ましく、更に好ましくは15〜20wt%が好ましい。
サイクロンの分離としては10wt%以下でも可能だが、水を大量に必要とする上、後工程の沈降濃縮にも不利である。また、30wt%を超えるとスラリーの粘度が上昇し、分離が困難になる場合がある。
すなわち、鉱石処理工程後のパルプコンテントを上記範囲の10〜30wt%に設定すれば、更に新たに水を供給する必要がなく、希釈のためのタンクも不要になるため、好ましい。
以上のように、パルプコンテント、サイクロン運転圧力、サイクロン形状を最適化することにより、オーバーフローへのクロマイトの分配を、殆どなくすことは可能であり、クロマイト回収の観点から好ましい。
上記サイクロンを用いた分級によりニッケルが含有されるゲーサイトを極力、分離除去した後に、比重分離装置によりクロマイトを更に濃縮する。
使用する比重分離装置は、特に限定されるものではないが、シェーキングテーブル、デンシティ セパレーター、スパイラルコンセントレーターの少なくとも1種を選択することが好ましく、大量処理に適したデンシティ セパレーター、スパイラルコンセントレーターの少なくとも1種を選択することが更に好ましい。
なお、スパイラルコンセントレーターを用いる場合には、これに供給するスラリーのパルプコンテントは15wt%を超えて35wt%未満が好ましく、20wt%を超えて30wt%未満が更に好ましい。
15wt%以下であると、分離性能が悪化する場合があり、35wt%以上であると、スパイラルコンセントレーターで分離中にクロマイト濃縮側(内側)で粒子の流れが滞留してビルドアップが起こり、分離が十分に行われなくなる場合がある。
また、デンシティ セパレーターを用いる場合においては、Teeter Water量を0.5〜7.0[m・h−1/m]とすることが望ましい。
0.5未満であると干渉落下の効果が小さくなり、比重分離が効率良く行われない。
一方、7.0より大きいと、クロマイト粒子まで上昇させ、オーバーフロー側に損失する場合がある。この場合、浸出工程に供給されるスラリー中のクロマイトが多くなり、クロマイトの回収のみならず、ヘマタイト中Cr品位低減の観点からも不利になる。
また、この比重分離だけでもクロマイトのCr品位で45〜48wt%以上までの濃縮が可能であるが、更に濃縮するためには微量に含まれるマグネタイトを分離除去することが望ましい。
マグネタイトの比重はクロマイトの比重に極めて近いので磁気分離を利用する。
磁気分離に際して、その磁界強度は特に限定されるものではなく、ベルトの速度やベルトの厚さ、他装置により異なるが、200[Oe]〜2000[Oe]の範囲であることが好ましい。
200[Oe]未満であると磁界が弱すぎて、マグネタイトの分離除去が不十分な場合がある。一方、2000[Oe]を超えるとマグネタイトの除去は問題ないが、クロマイトまで磁着される場合がある。
特に望ましくは、低磁界磁力選鉱機を使用すると良い。
[2]浸出工程
浸出工程は、鉱石処理工程及び(A)工程を経て得られた鉱石スラリーに硫酸を添加し、220〜280℃の温度下で撹拌処理して、浸出残渣と浸出液からなる浸出スラリーを形成する工程である。この工程では、主要設備として、プレヒーター、オートクレーブ、及びフラッシュタンクが用いられる。
この浸出工程においては、下記の反応式(1)〜(3)で表される浸出反応と反応式(4)〜(5)で表される高温熱加水分解反応によって、ニッケル、コバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われる。
しかしながら、鉄イオンの固定化は、完全には進行しないので得られる浸出スラリーの液部分には、ニッケル、コバルト等のほか、2価と3価の鉄イオンが含まれるのが通常である。
Figure 0005403033
Figure 0005403033
浸出工程における反応温度は、220〜280℃、好ましくは240〜270℃である。
すなわち、この温度範囲で反応を行うことにより、鉄はヘマタイトとして固定される。
反応温度が220℃未満では、高温熱加水分解反応の速度が遅いため反応溶液中に鉄が溶存して残るので、鉄を除去するための浄液負荷が増加し、ニッケルとの分離が非常に困難となる。一方、温度が280℃を超えると、高温熱加水分解反応自体は促進されるものの、高温加圧浸出に用いる容器の材質の選定が難しいだけでなく、温度上昇にかかる蒸気コストが上昇するため不適当である。
浸出工程で用いる硫酸使用量は、特に限定されるものではなく、鉱石中の鉄が浸出され、へマタイトに変化するのに必要な化学当量よりもやや過剰量、例えば、鉱石1トン当り300〜400kgが用いられる。特に、鉱石1トン当りの硫酸添加量が400kgを超えると、硫酸コスト及び後工程での中和剤コストが増加し好ましくない。また、浸出工程生成物から見た硫酸使用量としては、浸出終了時の遊離硫酸の濃度が25〜50g/Lを目標とし、好ましくは35〜45g/Lになるような硫酸使用量とする。
以上の条件を満足することによって、浸出残渣の真密度を高め高密度の浸出残渣を安定的に産出し、スラリーの固液分離性を向上させるので、次工程である固液分離工程の設備の簡素化を行うことができる。
すなわち、その濃度が25g/L未満では、浸出残渣を含むスラリーを沈降する際に、固形分の沈降濃縮が不完全となり、上澄みに浮遊固形分が残存する。これは、高温熱加水分解の反応速度が遅く、水酸化鉄の脱水が十分に進まず、真密度の低いヘマタイトが形成されることによる。
一方、その濃度が50g/Lを超えると、浸出設備の耐久性を向上させることが必要になり、また酸の中和に必要とされる中和剤の使用量が著しく増加するのでコスト的に不利になる。
[3]固液分離工程
固液分離工程は、前工程の浸出工程で形成された浸出スラリーを多段洗浄して、ニッケル及びコバルトを含む浸出液と、浸出残渣を得る工程である。これによって、浸出残渣に付着して廃棄されるニッケル等を浸出液中に回収する。
[4]中和工程[(B−1)の工程および(B−2)の工程]
(4−1)中和工程1[浸出液の処理]
・(B−1)の工程
この(B−1)工程は、前工程の固液分離工程で分離された浸出液11を中和するもので、浸出工程で得られた浸出液11の酸化を抑制しながら、pHが4以下、好ましくは3.2〜3.8の範囲になるように中和剤(pH調整剤)を添加し、3価の鉄を含む中和澱物スラリーの(B−1)工程残渣26とニッケル回収用の母液(1)14を形成する工程である。
この工程を用いることによって、浸出工程で用いた過剰の酸の中和を行うとともに、浸出液中に残留する3価の鉄イオンの除去を行うものである。
すなわち、pHが4を超えると、ニッケルの水酸化物の発生が多くなる。
中和剤として、CaCO等のCaを含むものを使用すると、石膏が生成するが、本工程で発生する中和澱物スラリーの(B−1)工程残渣26は、一部を固液分離工程に戻し、繰り返すため、浸出残渣スラリー中への石膏の混入が起こってしまう。
そこで、中和剤にはCaを含まない、Mg(OH)等のMg系アルカリや、浸出液に溶けてアルカリ性を示すMgO等のMg系中和剤を使用する。
[5]亜鉛除去工程
この亜鉛除去工程は、ニッケル及びコバルトを硫化物として分離する工程に先だって、前工程で得られた母液に、硫化水素ガスを吹きこみ、亜鉛を含む硫化物を生成し、硫化亜鉛澱物スラリーと、ニッケル及びコバルト回収用の母液を形成する工程である。
これは硫化反応の際に弱い条件を作り出すことで硫化反応の速度を抑制し、亜鉛と比較して濃度の高い共存するニッケルの共沈を抑制することにより、亜鉛を選択的に除去するものである。
この得られた硫化亜鉛澱物スラリーは、中和工程で得られる中和澱物スラリーと同様に最終中和工程(7)へ送られ処理することができる。
[6]硫化工程
この硫化工程は、脱亜鉛工程で得られたニッケル及びコバルト回収用の母液(2)に、硫化水素を吹き込み、ニッケル及びコバルトを含む混合硫化物17と貧液18とを生成する工程である。
ここで、得られた貧液18は、pHが1〜3程度、硫化されずに含まれる鉄、マグネシウム、マンガン等の不純物のほかに、回収ロスであるニッケル及びコバルトを僅かに含んでいるので、固液分離工程における浸出残渣の洗浄水、及び中和工程で産出する中和残渣の洗浄水として使用される。
(4−2)中和工程2[浸出残渣スラリーの処理]
・(B−2)工程
この(B−2)工程は、固液分離工程から産出する浸出残渣(浸出残渣スラリー12)の一部をMg(OH)等のMg系アルカリやMgOなどのMg系中和剤で中和し、ヘマタイト粒子を回収する工程である。
(B−2)工程の方法としては、特に限定されるものではないが、中和剤はCa系アルカリは用いない。例えば、中和剤としてCaCOを使用した場合、付着硫酸と反応して石膏が生成する。この石膏の溶解度は小さいので固体として析出し、残渣中のイオウ品位を上げてしまう。一方、MgSOは溶解度が大きいので固体として析出しにくく、イオウの低減に有効である。
従って、中和剤としてはMg系アルカリであるMg(OH)が好ましいが、MgOのようなMg系中和剤であれば良い。
ここで、浸出残渣スラリー12を構成する鉱石粒子における各成分の分布状態の解析について、説明する。
まず、表2に、約2mm以下の粒度に解砕して得た鉱石スラリーを浸出した際に得られた浸出残渣の鉱石粒度分布と各粒度区分での各成分の品位の一例を示す。
Figure 0005403033
表2より、75μm以下の細粒部に鉄が濃縮され、この部分では珪素が分離されていることが分かる。なお、浸出残渣の分析は、浸出残渣スラリーを水洗浄して、付着硫酸を除去したものについて行った。
以上の結果より、鉄を高含有量で含む粒子は、クロム、珪素等を高含有量で含む粒子よりも細粒であることを利用し、分級法などの選別手段によって、クロム、珪素等を高含有量で含む粗粒部と分離して系外に払い出し、ヘマタイトを資源として回収することができる。
分級法としては大量処理が可能なサイクロン等による処理が好ましい。
[7]最終中和工程
この最終中和工程は、(B−2)工程で得られる(B−2)工程後処理液27、固液分離工程後の浸出残渣スラリー12のうち、(B−2)工程では処理しなかったスラリーと、(B−1)工程残渣26、或いは、必要に応じて、これに亜鉛除去工程で得られる硫化亜鉛澱物15をスラリー化したものを加えて、さらに石灰石スラリーと消石灰スラリーを添加し、そのpHを8〜9程度に調整することによって、液中の金属イオンを中和澱物として沈殿させ、最終中和残渣19を得る工程である。なお、得られた最終中和残渣19は、テーリングダム20で貯留される。
以下に、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例では、金属の分析に蛍光X線分析法、又はICP発光分析法を用いて分析を行っている。
(A)工程で使用する分級装置として、ハイドロサイクロン(アタカ大機株式会社製、MD−9型)を用い、表3に組成を示す鉱石スラリーの分級を行った。
実施例1では、スラリー濃度は15質量%、スラリーの温度を常温とし、運転圧力を0.2MPaの条件で分級を行った。
鉱石スラリー組成と、ハイドロサイクロンのアンダーフロー組成を、表3に併せて記す。なお、以下の表の単位は質量%とした。
Figure 0005403033
表3から、ハイドロサイクロンにより得られる粗粒部(アンダーフロー)では、Crは、給鉱中の2.9質量%に対し8.1質量%に、SiOは給鉱中の4.1質量%に対し5.5質量%に上昇したが、一方、Feは、給鉱中の鉄品位50.8質量%に対し45.8質量%に低下した。
以上より、鉱石スラリーの分級により、粗粒部にシリカ鉱物、クロマイト濃縮され、分離されていることが分かる。
次に、ハイドロサイクロンのアンダーフロー(スラリー濃度:33質量%)を、フローテックス デンシティ セパレーター(Floatex(商標) Density Separator:Outotec Inc.製、「Tanksizer TS−Lab」、タンク内径228.6mm)に供給した。
その供給速度を56.7[kg/Hr]、スラリーの温度を常温とした。
この時のTeeter Water量は、5.5[m・h−1/m]、Set Point(密度計の設定値)を21として行った。
ンシティ セパレーターのフィード(ハイドロサイクロンのアンダーフロー)およびデンシティ セパレーターのアンダーフローの組成を表4に記す。
Figure 0005403033
表4から、デンシティ セパレーターにより得られる粗粒部(DS−UF)では、Crは、サイクロン分級時(HC−UF)の8.1質量%に対し16.8質量%に、SiOは5.5質量%に対し6.4質量%に上昇したが、一方、鉄は45.8質量%に対し、37.8質量%に低下した。
以上より、デンシティ セパレーター処理により、粗粒部にシリカ鉱物、クロマイト濃縮され、分離されることが分かる。
そのアンダーフロー(DS−UF:スラリー濃度50質量%)を水で希釈してスラリー濃度を25質量%とし、シェーキングテーブル(Shaking Table:Outotec Inc.製、「Wilfley(商標) concentrating table 13A」)にて処理するテーブル試験を行った。
供給水量は7.57[リットル/分]とした。
テーブル試験の結果を表5に記す。なお、表内の「−」表記は、未測定の場合を表している。
Figure 0005403033
表5から、シェーキングテーブルにより得られる「Concentrate」では、Crは、給鉱中の16.8質量%に対し43.7質量%に上昇した。一方、Middlingでは15.9質量%、Tailingでは1.3質量%、Slimesでは1.7質量%となった。
この結果からシェーキングテーブル処理により、クロマイトが分離されることが分かる。
テーブル試験で得られた「Concentrate」を、30メッシュで篩った後、その篩い下を低磁界磁力選鉱装置(Outotec Inc.製、「MOS(10)111−15」)に供給し、磁着物(Mag)と非磁着物(Non−mag)を得た。
その結果を表6に記す。なお、表内の「−」表記は、未測定の場合を表している。
Figure 0005403033
表6から、低磁界磁力選鉱により得られるCr(非磁着物/Non−mag)は、給鉱中の43.7質量%に対し48.1質量%に上昇した。一方、Feは26.2質量%から20.8質量%に低下した。
対して、Cr(磁着物/Mag)のFe品位は37.8質量%と、Fe品位が高いことからも、磁力選鉱によりマグネタイトが分離除去され、クロマイトのCr品位が上昇したことがわかる。
以上の結果から、実施例1で示される本発明の製錬方法では、一般に市販されるクロマイトのCr品位を上回る濃度まで濃縮が可能であると言える。
分級装置として、ハイドロサイクロン(アタカ大機株式会社製、MD−9型)を用いて、表7に示す鉱石スラリーの分級を行った。ここで、スラリー濃度を15質量%、スラリーの温度を常温とし、運転圧力を0.2MPaとした。
鉱石とハイドロサイクロンのアンダーフロー組成を表7に記す。
Figure 0005403033
表7から、ハイドロサイクロンにより得られる粗粒部(HC−UF)では、Crは、給鉱中の3.4質量%に対し9.2質量%に、SiOは給鉱中の4.4質量%に対し6.0質量%に上昇したが、一方、Feは、給鉱中の鉄品位51.5質量%に対し45.2質量%に低下した。
以上より、鉱石スラリーの分級により、粗粒部にシリカ鉱物、クロマイトが濃縮、分離されることが分かる。
次に、ハイドロサイクロンのアンダーフロー(HC−UF:スラリー濃度33質量%)を、デンシティ セパレーター(Outotec Inc.製、「Tanksizer TS−Lab」)に供給した。供給速度は56.7[kg/Hr]とし、スラリーの温度は常温とした。
この時のTeeter Water量は6.9[m・h−1/m]、Set Point(密度計の設定値)は20とした。
ンシティ セパレーターのフィード(給鉱/装入物:HC−UF)およびアンダーフロー(DS−UF)、及びオーバーフロー(DS−OF)の組成を表8に記す。
Figure 0005403033
表8から、デンシティ セパレーターにより得られる粗粒部(DS−UF)では、Crは、給鉱中の9.2質量%に対し35.0質量%に上昇したが、一方、鉄は、給鉱中の45.2質量%に対し25.7質量%に低下した。
以上より、デンシティ セパレーター処理により、粗粒部にクロマイト濃縮され、分離されることが分かる。
そのアンダーフロー(DS−UF:スラリー濃度50質量%)を水で希釈してスラリー濃度:25質量%とし、スパイラルコンセントレーター(Spiral Concentrator:Outotec Inc.製、「MC7000」)にて処理してスパイラル試験を行った。
そのスパイラル試験の結果を表9に記す。
Figure 0005403033
表9から、スパイラルコンセントレーターにより得られる「Concentrate」では、Crは、給鉱中の35.0質量%に対し48.8質量%に上昇した。
一方、「Middling」では45.0質量%、「Tailing」では14.1質量%、「Slimes」では9.4質量%となった。
以上より、スパイラルコンセントレーター処理により、クロマイトが濃縮分離されることが分かる。
このスパイラル試験で得られた「Concentrate」をスラリー濃度20%に希釈し、供給速度45.4[kg/Hr]で低磁界磁力選鉱装置(Outotec Inc.製、「Inprosys benchtop LIMS」)に供給し、磁着物(Mag)と非磁着物(Non−mag)を得た。
その結果を表10に記す。
Figure 0005403033
表10から、低磁界磁力選鉱により得られるCr(非磁着物/Non−mag)は、給鉱中の48.8質量%に対し50.0質量%に上昇した。一方、Feは21.3質量%から19.5質量%に低下した。
Cr(磁着物/Mag)は、そのFe品位が37.8質量%と高いことからも、磁力選鉱によりマグネタイトが分離除去され、クロマイトのCr品位が上昇したことがわかる。
これは、一般に市販されているクロマイトのCr品位を上回る濃度まで濃縮が可能であることを意味している。
(比較例1)
分級装置として、ハイドロサイクロン(アタカ大樹株式会社製、「MD−9型」)を用いて、鉱石スラリーの分級を行った。
ここで、スラリー濃度を9.8質量%、スラリーの温度は常温とし、運転圧力0.22MPaの条件で分級を行った。
ハイドロサイクロンのアンダーフロー(スラリー濃度;33質量%)をスラリー濃度4.9質量%まで希釈し、ハイメッシュセパレーター(株式会社気工社製、「KUC−612S」)に装入した。
ハイメッシュセパレーターへの供給速度は0.98[m/時]、バケットの回転数は0.8rpm、バケット長は75mm、バケットは4mm直径の孔が6mmピッチで開いており、開孔率は40%である。
洗浄水量は6m/時とした。
鉱石とハイドロサイクロンのアンダーフローの組成、及びハイメッシュセパレーターのアンダーフロー組成を表11に記す。
Figure 0005403033
表11から明らかなように、鉱石スラリーのCr品位4.1%からハイドロサイクロン粗粒部(HC−UF)で13.0%、ハイメッシュセパレーター粗粒部(HMS−UF)で19.1%と濃縮されているが、目的とする市販レベル組成には至らなかった。
この工程の中では、特にハイドロサイクロンによる濃縮には問題は見られなかったが、ハイメッシュセパレーターでの濃縮が不十分であると判定できる。
そこで、その原因について以下の調査を行った。
それぞれのアンダーフロー(HC−UF、HMS−UF)を75μmで篩い、その上下の分析を実施したところ、表12に示す結果が得られた。
Figure 0005403033
表12からは、ハイメッシュセパレーターのアンダーフローのCr品位は14.2%(20.7%;Cr)とハイドロサイクロンのアンダーフローの16.7%(24.4%;Cr)よりも低く、比重分離が全くできていないことが明らかになった。
この結果から、ハイメッシュセパレーターはスライム除去の仕事しかしておらず、比重分離の仕事をしていない。
このように市販レベルのCr品位を持つクロマイトは、比重分離を行わない限り、濃縮できないことがわかる。
実施例2のハイドロサイクロンのオーバーフローと、デンシティ セパレーターのオーバーフローを、固体重量77:15の割合でオートクレーブに装入し、これに98%硫酸を添加して、以下の条件で高温加圧硫酸浸出を行い、浸出スラリー10を作製した。
さらに、作製した浸出スラリーを固液分離工程により浸出液11と浸出残渣スラリー12に分離した。
[浸出条件]
浸出温度:245℃
浸出時間:60分
最終(浸出終了時の)遊離硫酸濃度:40[g/L]
スラリー濃度:30重量%
オートクレーブ容量:5L
次に、この浸出残渣スラリー12中のCr品位を知るために、浸出残渣スラリー12に濃度20質量%の中和剤のMg(OH)スラリーを添加し、70℃で、pH2.5になるように中和した。
次に、このスラリーを5C濾紙で固液分離し、さらにMg(OH)スラリーをpH6になるまで添加した後、さらに5C濾紙で固液分離した。
得られた最終中和残渣のCr品位は2.4%であった。生成するMgSOの溶解度が大きいため、残渣のイオウ品位は0.13%であった。
(比較例2)
実施例2の鉱石スラリーをハイドロサイクロンと、デンシティ セパレーターで処理することなくオートクレーブに装入し、それ以外は実施例3と同様に処理したところ、得られた最終中和残渣のCr品位は4.1%であった。
生成するMgSOの溶解度が大きいため、残渣のイオウ品位は0.13%であった。
実施例3と比較例2の比較から明らかなように、先ずハイドロサイクロンで分級し、次に比重分離装置の一つであるデンシティ セパレーターで処理することにより、鉱石スラリー中のクロマイトを分離除去し、残渣中のCr品位を半減させることができた。
(比較例3)
実施例3と同様にして浸出残渣スラリー12を作製し、その全量に濃度25質量%の消石灰スラリーを中和剤として添加し、60℃で、pH8.5になるように中和して、金属イオンを澱物として沈殿させ、固液分離により中和残渣と中和後処理液を得た。
この中和残渣をサイクロン分級してヘマタイト28を分離した。
ヘマタイト28を分離した残りの中和残渣と中和後処理液を混合した混合液に、濃度25質量%の消石灰スラリーを添加した後、5C濾紙での固液分離を繰り返して最終中和残渣を得た。
得られた最終中和残渣のCr品位は2.3%であった。生成するCaSOの溶解度が小さいため、残渣のイオウ品位は5.72%で、Ca品位は8.49であった。
以上より明らかなように、本発明のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、ニッケル酸化鉱の湿式製錬分野で利用される高圧浸出に基づく製錬方法として好適である。
8 ニッケル酸化鉱石
9 鉱石スラリー
10 浸出スラリー
11 浸出液
12 浸出残渣スラリー
14 母液(1)
15 硫化亜鉛澱物
16 母液(2)
17 Ni,Co混合硫化物
18 貧液
19 最終中和残渣
20 テーリングダム
22 オートクレーブ供給スラリー
23 クロマイト
26 (B−1)工程残渣
27 (B−2)工程後処理液
28 ヘマタイト

Claims (14)

  1. 採掘した原料鉱石の異物除去及び鉱石粒度調整を行い、鉱石スラリーを形成する鉱石処理工程、前記鉱石スラリーに硫酸を添加し、高温高圧下で撹拌処理して、浸出残渣と浸出液からなる浸出スラリーを形成する浸出工程、前記浸出スラリーを多段洗浄して、ニッケル及びコバルトを含む浸出液と浸出残渣スラリーを得る固液分離工程、前記浸出液にアルカリを添加し、3価の鉄を含む中和澱物スラリーとニッケル回収用の母液を形成する中和工程、前記母液に硫化水素ガスを吹きこみ、硫化亜鉛澱物スラリーとニッケル及びコバルト回収用の母液を形成する亜鉛除去工程、前記ニッケル及びコバルト回収用の母液に、硫化水素を吹き込み、ニッケル及びコバルトを含む混合硫化物と貧液とを生成する硫化工程、及び前記浸出残渣スラリーに余剰の前記貧液を加え、pHを8〜9に調整し、最終中和残渣を得る最終中和工程を含む高圧酸浸出法を用いてニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを回収する湿式製錬方法において、
    下記(A)工程と(B−1)工程と(B−2)工程を含むことを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。


    (A)工程:前記鉱石処理工程から産出する鉱石スラリー中のクロマイト粒子を、比重分離法を含む回収プロセスにより分離回収する工程。
    (B−1)工程:前記(A)工程を経てCr品位の下がった鉱石スラリーを、前記浸出工程、固液分離工程により処理して生成した浸出液の中和工程であって、中和する際にMg系中和剤を用いて中和する工程。
    (B−2)工程:前記(A)工程を経てCr品位の下がった鉱石スラリーを、前記浸出工程、固液分離工程により処理して生成した浸出残渣スラリーの中和工程であって、中和する際にMg系中和剤を用いて中和し、ヘマタイト粒子を回収する工程。
  2. 記A工程と前記(B−1)工程のみを含むことを特徴とする請求項記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  3. 前記A工程と前記(B−2)工程のみを含むことを特徴とする請求項1記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  4. 前記(B−2)工程において、中和後のpHを4〜7とし、その後、Mg系中和剤以外のアルカリで最終中和を行うことを特徴とする請求項1又は3に記載のニッケル酸化鉱石の製錬方法。
  5. 前記(B−2)工程において、前記浸出残渣スラリー又はそれを含む中和残渣スラリーをサイクロン分級し、その際、分級された細粒部をヘマタイトの濃縮物として回収することを特徴とする請求項1、3、4のいずれか1項に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  6. 前記(A)工程の回収プロセスが、前記鉱石スラリーにサイクロンによるサイクロン分級を行い、微細な鉄水酸化物粒子を低減させた後、比重分離法を用いてクロマイトの濃縮物として、前記鉱石スラリー中のクロマイト粒子を前記鉱石スラリーから回収することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  7. 前記(A)工程の回収プロセスが、前記鉱石スラリーのスラリー濃度を希釈せずに、サイクロン分級することを特徴とする請求項に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  8. 前記(A)工程の回収プロセスが、サイクロン分級におけるクロマイトのアンダーフローへの採取が、不可避的損失を除く全量が行われることを特徴とする請求項6又は7に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  9. 前記比重分離法が、デンシティ セパレーターを用いる工程、スパイラルコンセントレーターを用いる工程、シェーキングテーブルを用いる工程から選ばれる少なくとも一つの工程を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  10. 前記スパイラルコンセントレーターに供給されるスラリーのパルプコンテントが、15〜35%Solidであることを特徴とする請求項に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  11. 記デンシティ セパレーターに供給されるTeeter Water量が、0.5〜7.0[m・h−1/m]であることを特徴とする請求項に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  12. 前記比重分離後に磁力分離による物理分離に付してマグネタイトを除去し、非磁着物をクロマイト濃縮物として回収することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  13. 前記鉱石処理工程における鉱石粒度調整が、2mm以下の粒度で篩い分け処理に付すことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  14. 濃縮されたクロマイトのCr品位が、45%以上であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
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