JP2013209266A - 硫酸マンガンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カルシウムを含有する粗硫酸マンガンを精製し、カルシウム濃度の低減された硫酸マンガンを製造する方法を提供する。
【解決手段】カルシウムを含有し、液中のマンガン濃度が飽和濃度以下である粗硫酸マンガンの水溶液を準備する工程1と、次いで、硫酸を添加し、更に液量を調整することにより、硫酸濃度を300g/L以上とし、硫酸マンガンを析出する工程2とを含む硫酸マンガンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、硫酸マンガンの製造方法に関し、とりわけ使用済みのリチウムイオン電池滓を原料として硫酸マンガンを製造する方法に関する。
リチウムイオン電池は、携帯電話、ノートパソコン、それに自動車用などに、近年急速に需要が拡大している。そのため今後、廃棄されるリチウムイオン電池の量も大きくなると予想されている。マンガンなどのレアメタルは、鉱石産出国が限られていることから、今後の価格高騰に備え、国内でリサイクルの方法を確立する必要がある。
マンガンなどのレアメタルをリチウムイオン電池から回収する方法として、例えば、特開2009−193778号公報(特許文献1)に記載される方法がある。
この方法では、Co、Ni及びMnを含有するリチウム酸金属塩を正極活物質として使用したリチウムイオン電池滓を、硫酸や塩酸等の浸出液を用いて浸出する。浸出後液を苛性ソーダ等で中和後に、マンガンを溶媒抽出で分離し、さらに希硫酸で逆抽出することで、硫酸マンガン溶液を得る。その後、この溶液を苛性ソーダや炭酸ソーダ等で中和し、濾過を施してMnをMn(OH)2、MnCO3等として回収することが記載されている。
特開2009−193778号公報
しかしながら、これまでの方法で回収された硫酸マンガンには不純物としてカルシウムが混入されていることが多かった。これは、リチウムイオン電池の正極材中に含まれているもののほか、マンガン回収過程で中和のために添加する水酸化カルシウムや炭酸カルシウムが主な原因である。このような硫酸マンガンでは工業用に市販されている硫酸マンガンよりも品質面で劣っており、また、リチウムイオン電池の正極材において、カルシウムはLiの進入サイトに入る妨害因子と言われているので、カルシウムの濃度が低減された硫酸マンガンが得られることが望ましい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、カルシウムを含有する粗硫酸マンガンを精製し、カルシウム濃度の低減された硫酸マンガンを製造する方法を提供することを課題の一つとする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、カルシウムを含有する粗硫酸マンガンを水で硫酸マンガンの飽和濃度以下になるように溶解したのち、硫酸を添加し、濃縮して硫酸濃度を高めた場合、硫酸カルシウムの飽和濃度の減少率に比べて硫酸マンガンの飽和濃度の減少率が大きいので、硫酸マンガン中のカルシウム濃度を低減でき、効率よく回収できることが分かった。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、カルシウムを含有し、液中のマンガン濃度が飽和濃度以下である粗硫酸マンガンの水溶液を準備する工程1と、次いで、硫酸を添加し、更に液量を調整することにより、硫酸濃度を300g/L以上とし、硫酸マンガンを析出する工程2とを含む硫酸マンガンの製造方法である。
本発明に係る硫酸マンガンの製造方法の一実施形態においては、工程1によって得られた粗硫酸マンガン水溶液の硫酸マンガンの液中濃度が140〜200g/Lである。
本発明に係る硫酸マンガンの製造方法の別の一実施形態においては、前記粗硫酸マンガンの水溶液が、中和処理により不純物を除去する工程および、硫化処理により不純物を除去する工程の少なくともどちらかの工程を経て得られたものである。
本発明に係る硫酸マンガンの製造方法の更に別の一実施形態においては、前記粗硫酸マンガンの水溶液が、Al及びFeの少なくとも1種を含有する粗硫酸マンガンから中和処理によってAl及びFeの少なくとも1種を水酸化物として析出させ、析出物をろ過により除去する工程を経て得られたものである。
本発明に係る硫酸マンガンの製造方法の更に別の一実施形態においては、前記中和処理のpHが4.0〜5.5である。
本発明に係る硫酸マンガンの製造方法の更に別の一実施形態においては、前記粗硫酸マンガンの水溶液が、Cu、Co、Cd、Zn及びNiの少なくとも1種を含有する粗硫酸マンガンから硫化処理によって、Cu、Co、Cd及びNiの少なくとも1種を硫化物として析出させ、析出物をろ過により除去する工程を経て得られたものである。
本発明に係る硫酸マンガンの製造方法の更に別の一実施形態においては、前記硫化処理のpHが3.0〜4.5である。
本発明に係る硫酸マンガンの製造方法の更に別の一実施形態においては、Cu、Fe、Co及びNiの少なくとも1種を含有する硫酸マンガンがリチウムイオン電池を原料とする。
本発明によれば、カルシウムを不純物として含む粗硫酸マンガンからカルシウム濃度の低減された硫酸マンガンを製造することが可能となる。例えば、リチウムイオン電池滓を原料としてカルシウム濃度の低減された硫酸マンガンを製造することができる。本発明は使用済みのリチウムイオン電池をリサイクルための要素技術として極めて有用である。
本発明を用いてリチウムイオン電池から硫酸マンガンを製造するための処理フローの一例を示す。
本発明に係る硫酸マンガンの製造方法は一実施形態において、
カルシウムを含有し、液中のマンガン濃度が飽和濃度以下である粗硫酸マンガンの水溶液を準備する工程1と、次いで、硫酸を添加し、更に液量を調整することにより、硫酸濃度を300g/L以上とし、硫酸マンガンを析出する工程2とを含む。
工程1ではカルシウムを含有し、液中のマンガン濃度が飽和濃度以下である粗硫酸マンガンの水溶液を準備する。粗硫酸マンガンの水溶液は、例えば、リチウムイオン電池滓、典型的にはリチウムイオン電池の正極材を硫酸浸出して得られた浸出後液に対して、溶媒抽出及び硫酸による逆抽出を経て得られた逆抽出液を濃縮し、固液分離した後の固体として得られた結晶を溶解した溶液を、硫化処理や中和処理により不純物を除去して得られる。
リチウムイオン電池の正極材としては、限定的ではないが、使用済みのリチウムイオン電池から回収した正極材、製造過程等で発生した規格外(オフスペック)の正極材、品質管理上の抜取検査処理用の正極材、リチウムイオン電池の破砕粉及び製造過程で発生した端材等が挙げられる。正極材はアルミニウム箔等の集電体がバインダーを介して正極活物質と接着した構成で提供されることが多いが、集電体は剥離しておくことが望ましい。剥離する方法としては、限定的ではないが、バインダーを選択的に熱分解する方法、バインダーを焼却する方法、バインダーを薬品で溶解する方法、機械的に剥離する方法などがある。ただし、その場合でも、剥離しきれなかったアルミニウムの他、正極活物質の材料中に含まれるアルミニウムに由来して、浸出後液中にアルミニウムが含まれることが多い。
また、正極活物質中には、コバルト、ニッケル、リチウム、マンガン等の金属が含まれており、浸出後液にはこれらの金属も含まれているのが一般的である。その他、鉄、ナトリウム、銅、カルシウム、亜鉛、カドミウムなどの金属も浸出後液中に存在することが多い。これらの金属成分には正極材由来のものもあるが、大部分は正極材以外のリチウムイオン電池の部材に由来すると考えられる。
当該浸出後液を溶媒抽出することによりアルミニウム、マンガン及び銅を同時に溶媒へ抽出することができる。すなわち、アルミニウム、マンガン及び銅は溶媒へ移行するが、その他の金属成分は大部分が浸出後液中に留まることにより、アルミニウム、マンガン及び銅を他の金属から分離することができる。但し、アルミニウム、マンガン及び銅以外の金属も抽出される場合がある。
抽出剤としては、限定的ではないが、酸性リン酸エステル系抽出剤が好ましい。また、酸性リン酸エステル系抽出剤の中でも、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフェートは、アルミニウムを抽出するためのpH値及びマンガンを抽出するためのpH値が近いため、アルミニウム及びマンガンの同時抽出用の抽出剤として特に好ましい。
溶媒抽出は、上記抽出剤を炭化水素系溶剤で希釈して調整した溶媒と、硫酸酸性溶液とを混合して行うことができる。この抽出剤と炭化水素系溶剤との体積混合比は、抽出剤:炭化水素系溶剤=1:1〜1:5とするのが好ましく1:3であるのがより好ましい。炭化水素系溶剤としては、芳香族系、パラフィン系、ナフテン系溶剤等が利用可能であり、なかでもナフテン系溶剤がより好ましい。
溶媒抽出の手順は常法に従えばよい。一例を挙げれば、浸出後液(水相)と前記抽出剤(有機相)を接触させ、典型的にはミキサーでこれらを攪拌混合(例:200〜500rpmで5〜30分)し、浸出後液中の金属イオンを抽出剤と反応させる。溶媒抽出は、常温(例:15〜25℃)〜60℃以下で実施することができ、有機相の劣化を防止するなどの理由により35〜45℃で実施することが好ましい。その後、セトラーにより、混合した有機相と水相を比重差により分離する。溶媒抽出は繰り返し行ってもよく、例えば有機相と水相が向流接触するようにした多段方式とすることもできる。
O/A比(水相に対する油相の体積比)は、想定する浸出液の金属イオン濃度により変化するため限定的ではないが、経済的な理由により0.1〜5とするのが好ましく、1〜3とするのがより好ましい。
マンガン及びアルミニウム抽出時の平衡pHは、2.6〜3.0の範囲に調整するのが好ましい。pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等を使用することができる。平衡pHが3.0よりも高いと、Co及びNiの抽出率が上昇して除去効率が低下する傾向にある。また、浸出後液中に含まれるアルミニウムの水酸化物が発生し、装置の配管を詰まらせる場合がある。また、pHが2.6よりも低いとマンガン及びアルミニウムの抽出率が低下してしまい、浸出液からのマンガン及びアルミニウムの抽出分離が十分にできない場合がある。
溶媒抽出後、溶媒中のアルミニウム及びマンガンは、硫酸で逆抽出することでマンガン及びアルミニウムが溶解した硫酸酸性水溶液が得られる。硫酸酸性水溶液中で、マンガンは硫酸マンガン(MnSO4)として、アルミニウムは硫酸アルミニウム(Al2(SO43)としてそれぞれ存在すると考えられる。逆抽出に使用する硫酸の濃度としては25〜200g/Lが好ましく、30〜100g/Lがより好ましい。硫酸濃度が25g/L未満であるとマンガンの逆抽出が不十分になる可能性があり、200g/L超であるとコストがかかるという問題がある。
上記硫酸酸性水溶液(逆抽出液)を加熱濃縮することにより、硫酸マンガンを析出する。加熱濃縮時の温度としては、濃縮を行う時間を短縮するために80℃以上が好ましく、85℃〜95℃が更に好ましい。加熱濃縮によって析出した粗硫酸マンガンを固液分離により回収する。固液分離の方法は限定的ではないが、濾過、デカンテーション等により行えばよく、付着水をできるだけ取り除くためには、濾過がより好ましい。
得られた粗硫酸マンガンの固体は、アルミニウム、鉄、銅、コバルト、カドミウム及びカルシウム等の不純物を含んでいるので、精製することが望ましい。これらの金属を除去するには中和処理及び硫化処理を行うことが有効である。
中和処理を行う場合、まず、粗硫酸マンガンを水、好ましくは純水によって溶解しておく。このときのpHは7.0以下、典型的には4.5〜5.5とするのがアルミニウムの除去が良好でマンガンロスが少ないという理由により好ましい。中和処理に用いる中和剤はアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物水溶液又は炭酸化物水溶液であればよく、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム及び炭酸カルシウム等の水溶液を用いることができるが、経済的な理由により、水酸化カルシウムを使用することが好ましい。pHが高くなるにつれて金属の除去率は高くなるが、高すぎるとマンガンの損失量も多くなることから、中和時のpHは4.0〜5.5とするのが好ましく、5.0〜5.5とするのがより好ましい。また、中和時の液温は15〜65℃とするのが好ましく、45〜60℃とするのがより好ましい。更に、鉄の除去を良好にする為、酸化還元電位(vs.Ag−AgCl電極)を300mV以上、典型的には350〜600mVにしながら中和処理を行うことが好ましい。これは例えば中和処理中に空気や酸素などの酸化剤を吹き込むことや過酸化水素水等の酸化剤を添加することで達成可能である。中和処理によって、主にアルミニウム及び鉄が水酸化物として析出し、これらは濾過等の固液分離によって除去することができる。
硫化処理を行う場合、まず、粗硫酸マンガンを水、好ましくは純水によって溶解しておく。このときのpHは硫酸により5.0以下、典型的には3.0〜4.5とするのがコバルトの除去が良好で、マンガンのロスが少ない為より好ましい。硫化処理に用いる硫化剤は限定的ではないが、硫化水素、水硫化ナトリウム及び多硫化ナトリウムが挙げられ、取り扱いが容易の理由により、水硫化ナトリウムを使用することが好ましい。pHが高くなるにつれて金属の除去率は高くなる。具体的にはpHを3以上とするのが好ましく、3.25以上とするのがより好ましい。但し、高すぎるとマンガンも沈澱することから、硫化時のpHは5.0以下とするのが好ましく、4.5以下とするのがより好ましい。また、硫化時の液温は沈澱を大きくする理由から15〜65℃とするのが好ましく、45〜65℃とするのがより好ましい。硫化処理によって、主に銅、カドミウム及びコバルトが硫化物として析出し、これらを濾過等の固液分離によって除去することができる。
中和処理と硫化処理の順序は問わない。また、不純物の種類や量によっては何れか一方のみを実施してもよい。但し、両方を実施する場合は、硫化処理に好適なpH領域よりも中和処理に好適なpH領域の方が高いので、最初に硫化処理を行い、引き続いてpHを上昇させて中和処理を行うのが工程短縮につながる。この場合、先に実施する硫化処理の後に固液分離せずに中和処理を実施し、最後に一括して固液分離することもできる。
中和処理及び硫化処理を経た後の濾液は、これらの工程で除去されなかったマンガン及びカルシウムを硫酸塩の形態で含有している。当該濾液から精製硫酸マンガンの結晶を得る方法(工程2)について述べる。
濾液(粗硫酸マンガン水溶液)に硫酸を添加し、更に液量を調整(典型的には加熱濃縮によって)することにより、硫酸濃度を300g/L以上とし、硫酸マンガンを析出する。硫酸濃度を300g/L以上とすることによって、液中のマンガンのほとんどを硫酸マンガンとして析出することが可能である。この際、カルシウムも析出するが、硫酸カルシウムの飽和濃度の減少率に比べて硫酸マンガンの飽和濃度の減少率が大きいので、析出した硫酸マンガン中のカルシウム濃度は低減される。硫酸濃度は350g/L以上とするのが好ましく、400g/L以上とすることがより好ましく、硫酸濃度を450g/L以上とすることが更により好ましい。但し、硫酸濃度を高くし過ぎると濃縮装置を腐食することから、600g/L以下とするのが好ましく、550g/L以下とするのがより好ましい。
また、粗硫酸マンガン水溶液の硫酸マンガンの液中濃度は、濃縮量や濃縮時間を抑え、効率的に硫酸マンガンを析出させる為に、硫酸を添加する前に、飽和濃度以下としておくのが好ましく、150〜200g/Lとなるように液量を調整しておくことがより好ましい。
析出した硫酸マンガンは、濾過等によって固液分離することで単離可能である。硫酸カルシウムの飽和濃度は30〜40℃で最大なることから、固液分離は25〜40℃程度好ましくは30〜40℃に冷やした後に実施するのが好ましい。純度を高めるために、その後、水洗、乾燥等を行うことも出来る。
以下、本発明の実施例を説明するが、実施例は例示目的であって発明が限定されることを意図しない。
(実施例1〜5 中和処理時のpHの影響)
表1に示す濃度で各種の金属成分を含有する試験液を調製した。この試験液は、使用済みリチウムイオン電池を解体、焼却、及び硫酸浸出して得られる浸出後液に対して、溶媒抽出を行ってMn、Al及びCu等を油相側に抽出した後、硫酸を用いて逆抽出することにより得られる逆抽出液を模したものである。
Figure 2013209266
この試験液を80〜95℃で加熱濃縮して粗硫酸マンガンを析出させて、これを濾過により回収した。得られた粗硫酸マンガンの結晶中の各金属成分の品位を表2に示す。各金属成分の濃度は一部を溶解し、ICP発光法で測定した。
Figure 2013209266
上記で得られた粗硫酸マンガン585gを1000mLの純水で溶解して硫酸マンガン水溶液とした。この水溶液のpHは5.2であった。この硫酸マンガン水溶液中の各金属成分の品位を表3に示す。各金属成分の濃度はICP発光法で測定した。
Figure 2013209266
次いで、中和処理工程に於いて、当該硫酸マンガン水溶液を50〜55℃に加熱し、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を添加し、pHを4.25、4.75、5.25として3時間反応させて水酸化物を析出させた。中和反応の間は液中に空気の吹き込みを継続することにより、酸化還元電位(vs.Ag−AgCl電極)を300〜550mVに保持した。水酸化物を濾過により除去した後の硫酸マンガン水溶液中の各金属成分の品位を表4に示す。各金属成分の濃度はICP発光法で測定した。
Figure 2013209266
中和工程後の硫酸マンガン水溶液を次の硫化工程へ送った。当該硫酸マンガン水溶液を50〜55℃に加熱し、硫酸を加えてpHを3.5にしてCu、Cd、Co及びNiの合計量に対して2当量の水硫化ナトリウム(NaSH)を添加し、硫酸及び水酸化ナトリウム溶液を適宜添加することにより、pH3.5に維持して1時間反応させて硫化物を析出させた。水溶液の液温を保持した状態で硫化物を濾過により除去した。液温を室温に冷却した後の硫酸マンガン水溶液中の各金属成分の品位を表5に示す。各金属成分の濃度はICP発光法で測定した。
Figure 2013209266
硫化工程後の硫酸マンガン水溶液に硫酸を添加して、硫酸濃度を100g/Lとした。次いで、硫酸マンガン水溶液を加熱して硫酸濃度が400g/Lになるまで濃縮した。濃縮後、室温(約25℃)まで冷やした後、析出した硫酸マンガンを濾過により回収、水洗し、分析した結果を表6に示す。各金属成分の濃度は一部を溶解し、ICP発光法で測定した。参考用に工業薬品の硫酸マンガンの品位も表6に掲載した。本発明によって得られた精製硫酸マンガンは工業薬品以上の純度を有していることが分かる。また、マンガンの回収率は90%以上であった。
Figure 2013209266
ここで、実施例4及び5について考察する。実施例4及び5は、中和工程のpHをそれぞれ3.75及び5.75とした以外は、実施例1〜3と同じ工程で処理した例である。中和処理工程及び硫化化処理工程後の硫酸マンガン溶液の金属成分濃度は表4及び5に示した通りである。中和処理工程のpHが3.75の場合、中和処理後の溶液にアルミニウムが270mg/L残存する。その後、硫化処理及び濃縮して析出した硫酸マンガン中のアルミニウム品位は、46ppmとなり、工業薬品より劣る。中和処理工程のpHが5.75の場合、中和処理後の溶液中のマンガン濃度が147g/Lに減少し、マンガンが24%ロスするため、経済的に有効でない。
(実施例6〜10 硫化処理時のpHの影響)
表3に示した硫酸マンガン水溶液を50〜55℃に加熱し、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を添加し、pHを5.25として3時間反応させて水酸化物を析出させた。中和反応の間は液中に空気の吹き込みを継続することにより、酸化還元電位(vs.Ag−AgCl電極)を300〜550mVに保持した。水酸化物を濾過により除去した後の硫酸マンガン水溶液中の各金属成分の品位を表7に示す。各金属成分の濃度はICP発光法で測定した。
Figure 2013209266
中和処理した硫酸マンガン水溶液を50〜55℃に加熱し、Cu、Cd、Co及びNiの合計量に対して2当量の水硫化ナトリウム(NaSH)を添加し、1時間反応させて硫化物を析出させた。この際、pHを2.75、3.25、3.75、4.25、4.75と変化させた。水溶液の液温を保持した状態で、硫化物を濾過により除去した。液温を室温まで冷却した後の硫酸マンガン水溶液中の各金属成分の品位を表8に示す。各金属成分の濃度はICP発光法で測定した。
Figure 2013209266
硫化工程後の硫酸マンガン水溶液に硫酸を添加して、硫酸濃度を100g/Lとした。次いで、硫酸マンガン水溶液を加熱して硫酸濃度が400g/Lになるまで濃縮した。濃縮後、室温(約25℃)まで冷やした後、析出した硫酸マンガンを濾過により回収、水洗し、分析した結果を表9に示す。各金属成分の濃度は一部を溶解し、ICP発光法で測定した。参考用に工業薬品の硫酸マンガンの品位も表6に掲載した。本発明によって得られた精製硫酸マンガンは工業薬品以上の純度を有していることが分かる。また、マンガンの回収率は90%以上であった。
Figure 2013209266
ここで、実施例9及び10について考察する。実施例9及び10は硫化工程のpHを2.75及び4.75とした以外は、実施例6〜8と同じ工程で処理した。硫化化処理工程後の硫酸マンガン溶液の金属成分濃度は表8に示す通りである。硫化処理工程のpHが2.75の場合、硫化処理後の溶液にコバルトが150g/L残存する。その後、濃縮して析出した硫酸マンガン中のコバルト品位は、36ppmであった。硫化処理工程のpHが4.75の場合、中和処理後の溶液中のマンガン濃度が135g/Lに減少し、マンガンが30%ロスするため、経済的に有効でない。
(実施例11〜16)
表3に示した硫酸マンガン水溶液を50〜55℃に加熱し、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を添加し、pHを5.25として3時間反応させて水酸化物を析出させた。中和反応の間は過酸化水素水を添加することにより、酸化還元電位(vs.Ag−AgCl電極)を300〜550mVに保持した。水酸化物を濾過により除去した後、60〜65℃に加熱し、Cu、Cd、Co及びNiの合計量に対して2当量の水硫化ナトリウム(NaSH)を添加し、pHを4.25として、1時間反応させて硫化物を析出させた。水溶液の液温を保持した状態で、硫化物を濾過により除去した。液温を室温まで冷却した後の硫酸マンガン水溶液中の各金属成分の品位を表10に示す。各金属成分の濃度はICP発光法で測定した。
Figure 2013209266
(実施例11)
表10に示した硫酸マンガン水溶液に表11に示すように硫酸を添加し、硫酸濃度50g/Lとした。この溶液を70〜95℃に加熱し、硫酸濃度が400g/Lになるまで硫酸マンガン溶液を濃縮した。濃縮後、室温(約30℃)まで冷やした。表11に、冷却後の濃縮後溶液中のMn、Ca、及びH2SO4の濃度及び当該溶液の液量を示す。析出した硫酸マンガンを濾過により回収、水洗し、分析した結果を表12に示す。各金属成分の濃度は一部を溶解し、ICP発光法で測定した。
(実施例12−16)
実施例12−16は、濃縮前の硫酸濃度及び濃縮後の硫酸濃度を表11に示すように変更した以外は同様の処理を表10に示した硫酸マンガン水溶液に対して行なった。本発明によって得られた精製硫酸マンガンは工業薬品以上の純度を有していることが分かる。また、マンガンの回収率は90%以上であった。
(比較例1〜2)
比較例1〜2は、濃縮前の硫酸濃度及び濃縮後の硫酸濃度を表11に示すように変更した以外は同様の処理を表10に示した硫酸マンガン水溶液に対して行なった。比較例によって得られた精製硫酸マンガンは工業薬品以上の純度を有しているが、マンガンの回収率は70%程度と低く、生産性が劣るものであった。
Figure 2013209266
Figure 2013209266

Claims (8)

  1. カルシウムを含有し、液中のマンガン濃度が飽和濃度以下である粗硫酸マンガンの水溶液を準備する工程1と、次いで、硫酸を添加し、更に液量を調整することにより、硫酸濃度を300g/L以上とし、硫酸マンガンを析出する工程2とを含む硫酸マンガンの製造方法。
  2. 工程1によって得られた粗硫酸マンガン水溶液の硫酸マンガンの液中濃度が140〜200g/Lである請求項1に記載の硫酸マンガンの製造方法。
  3. 前記粗硫酸マンガンの水溶液が、中和処理により不純物を除去する工程および、硫化処理により不純物を除去する工程の少なくともどちらかの工程を経て得られたものである請求項1又は2に記載の硫酸マンガンの製造方法。
  4. 前記粗硫酸マンガンの水溶液が、Al及びFeの少なくとも1種を含有する粗硫酸マンガンから中和処理によってAl及びFeの少なくとも1種を水酸化物として析出させ、析出物をろ過により除去する工程を経て得られたものである請求項1〜3の何れか一項に記載の硫酸マンガンの製造方法。
  5. 前記中和処理のpHが4.0〜5.5である請求項3又は4に記載の硫酸マンガンの製造方法。
  6. 前記粗硫酸マンガンの水溶液が、Cu、Co、Cd、Zn及びNiの少なくとも1種を含有する粗硫酸マンガンから硫化処理によって、Cu、Co、Cd及びNiの少なくとも1種を硫化物として析出させ、析出物をろ過により除去する工程を経て得られたものである請求項1〜5の何れか一項に記載の硫酸マンガンの製造方法。
  7. 前記硫化処理のpHが3.0〜4.5である請求項3又は6に記載の硫酸マンガンの製造方法。
  8. Cu、Fe、Co及びNiの少なくとも1種を含有する硫酸マンガンがリチウムイオン電池を原料とする請求項1〜7の何れか一項に記載の硫酸マンガンの製造方法。
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JP2019530795A (ja) * 2016-10-31 2019-10-24 湖南金源新材料股▲ふん▼有限公司 電池廃棄物による硫酸ニッケル、硫酸マンガン、硫酸リチウム、硫酸コバルト及び四酸化三コバルトの製造方法

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