図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入球口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。始動口62は、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62の拡開機構を開放させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動口62の拡開機構が開放されたとき、始動口62の開口幅が拡がって入球容易性が向上する。本実施例における始動口62は、拡開機構が閉じた状態でも遊技球が入球し得るが、拡開機構が開放された状態の方が開いた羽根が遊技球を誘導するので、遊技球が入球しやすくなる。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を拡開させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。
大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66はアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。ここで、特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が停止されたときの図柄態様が当たりと定められた図柄であった場合、その停止図柄が表示されたタイミングが大当たり発生タイミングとなる。特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段である。演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイである。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。演出表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、ドラムなどの機械式回転装置やLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。作動入球口(以下、「作動口」という)68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は始動口62の拡開機構を開放させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、あらかじめ設定された変動時間にて、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。開放抽選の当選確率はあらかじめ設定される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。設定された変動時間の経過後に普通図柄変動が停止され、開放抽選の結果が当たりであれば、あらかじめ設定された開放時間にて始動口62が開放される。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、特別図柄表示装置61および演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。演出表示装置60の下方には、抽選保留ランプ20が設けられ、その対称的な位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に作動保留ランプ22が設けられている。抽選保留ランプ20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。作動保留ランプ22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。操作ボタン82は、遊技者が遊技機側所定の指示へ入力するために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当たりを示す図柄である場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。特別遊技において、大入賞口66は、約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開閉が所定回数、例えば15回繰り返される。
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである変動短縮遊技(以下、適宜「時短」という)が開始される。変動短縮遊技においては、特別図柄および装飾図柄の変動時間が通常より短縮されるとともに、開放抽選の当選確率が通常より相対的に高い状態にされ、始動口62の拡開機構の開放時間が通常より相対的に長い状態にされ、普通図柄の変動時間が通常より相対的に短い状態にされる。特別図柄および装飾図柄の変動時間は、所定の変動回数の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻される。開放抽選の当選確率、拡開機構の開放時間、および普通図柄の変動時間は、それぞれ個別のタイミングで元の状態に戻される。開放抽選の当選確率、拡開機構の開放時間、および普通図柄の変動時間の状態は、それぞれ普図時短ランプ92の点灯または消灯により示される。また、特別遊技が発生した場合であってそのときの当たり停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである確率変動遊技がさらに開始される。確率変動遊技においては、通常の確率状態より当たりの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。セット基盤39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、開放抽選手段126を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
当否抽選手段112は、始動口62への遊技球の入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するために乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、当たりまたは外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当たりの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当たりであるか否かを判定する。当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄の形で変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄と変動パターンを、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。図柄決定手段114は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、変動パターンを決定するために参照すべきパターン決定テーブルを保持する。
図柄決定手段114は、特別図柄を決定するための図柄決定抽選値を取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。図柄決定手段114は、当否抽選手段112による当否判定結果に応じて複数の変動パターンからいずれかのパターンを選択する。図柄決定手段114は、決定した停止図柄および変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118および演出決定手段132へ送出する。
図柄決定手段114は、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。
開放抽選手段126は、遊技球が作動口68を通過したときに、始動口62の拡開機構を開放させるか否かを決定する開放抽選の抽選乱数を取得し、その抽選乱数が所定の当選値に一致するか否かに応じて開放抽選の結果を判定する。開放抽選の当選確率は、通常状態と時短状態とで異なる。たとえば、通常状態で50%で当たりになる確率であるところ、時短状態では80%で当たりになる確率に設定される。このように、時短状態においては通常状態に比べて高い当選確率が設定される。開放抽選の結果が当たりの場合は普通図柄を当たり図柄に設定し、開放抽選の結果が外れの場合は普通図柄を外れ図柄に設定する。当選確率が高い分、時短状態では通常状態より始動口62が開放されやすく、その入球数が増えるため、大当たりの発生可能性や出玉獲得の面で有利となる。
保留制御手段116は、当否抽選手段112により取得された当否抽選値を保留球として保持する。当否抽選値は、その保留数が所定の上限に達するまで蓄積される。保留数の上限は4である。保留制御手段116は、開放抽選手段126により取得された開放抽選値をさらに保留球として保持する。開放抽選値は、その保留数が所定の上限に達するまで蓄積される。保留数の上限は4である。
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、図柄決定手段114により決定された変動パターンにしたがって特別図柄の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、特別図柄の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信することにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、あらかじめ設定された変動時間にて普通図柄の変動を普通図柄表示装置59に表示させる。普通図柄の変動時間は、通常状態においてはたとえば1分間に設定され、時短状態においてはたとえば5秒に設定される。このように、時短状態においては通常状態に比べて短い変動時間が設定されるので、変動時間が短い分、時短状態では通常状態より短時間で次々と開放抽選が行われ、大当たりの発生可能性や出玉獲得の面で有利となる。また、一定時間内の開放抽選の数が多いほど、開放抽選の保留の消化が早いため、その保留が上限を超えにくくなって作動口68への無駄な入球が減る。
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選結果が当たりであった場合に、特別遊技の実行処理を制御する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした1回または複数回の単位遊技で構成される。単位遊技は例えば15回を上限として繰り返され、1回の単位遊技において大入賞口66を約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の継続回数が上限回数に達していなければ、現在の単位遊技の終了後に次の単位遊技を開始させる。単位遊技の上限回数を消化した場合には、特別遊技を終了させる。
特定遊技実行手段122は、遊技状態を通常状態から特定遊技状態へ移行させる制御と、特定遊技状態から通常状態へ戻す制御を実行する。本実施例における特定遊技には、当否抽選の当選確率を通常確率の状態から高確率の状態へ切り替える確率変動状態(以下、「確変」ないし「確変状態」という)と、特別図柄の変動時間を通常時間より短時間へ切り替える特別図柄の時短状態(以下、適宜「特図時短」ないし「特図時短状態」という)と、普通図柄の変動時間を通常時間より短時間へ切り替える普通図柄の時短状態(以下、適宜「普図時短」ないし「普図時短状態」という)とがある。
特定遊技実行手段122は、当否抽選値が確変状態へ移行すべき値であった場合に、特別遊技後の遊技状態を確変状態へ移行させる。確変状態は原則として次の大当たりが発生するまで続行され、その間は当否抽選手段112による当たり判定の確率が高い値のまま維持される。また、特定遊技実行手段122は、当否抽選値の如何に関わらず、特別遊技後に遊技状態を特図時短および普図時短の状態へ移行させる。特図時短は、特別遊技後の特別図柄の変動回数が所定回数、たとえば100回に至るまで継続される。普図時短は、後述する終期抽選が所定の結果となるまで継続される。
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、開放抽選手段126による開放抽選が当たりとなって普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、あらかじめ設定された開放時間にて始動口62の拡開機構を開放させる。拡開機構の開放時間は、通常状態においてはたとえば0.8秒に設定され、時短状態においてはたとえば3.0秒に設定される。このように、時短状態における開放時間は通常状態の開放時間と比べて長く時間に設定されるので、開放時間が長い分、時短状態では通常状態より遊技球が始動口62に入球しやすくなり、大当たりの発生可能性や出玉獲得の面で有利となる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。開閉制御手段124は、開放抽選の結果が外れの場合は始動口62の拡開機構を拡開しない。
パターン記憶手段130は、装飾図柄を含む演出画像の変動パターンとして変動表示における変動開始から停止までの変動過程が定められた複数の変動パターンデータを保持する。変動パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、あと一つ同種の図柄が揃えば大当たりとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当たり図柄を表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい演出画像の変動パターンを選択する。
演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄の組合せとその配置および変動パターンを、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターンに応じて決定する。演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、変動パターンを決定するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
装飾図柄の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば当否抽選手段112による判定結果が特別遊技への移行を示す場合は「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄として揃える数字には、特別図柄と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、特別図柄が「3」の場合は装飾図柄が「333」となる。当否抽選手段112による判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。ただし、当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合であって、リーチ付きの外れを示す特別図柄の変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄と演出画像の変動パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動パターンデータにしたがって演出表示装置60へ演出画像を変動表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。
特定遊技実行手段122は、普図時短状態において始動口62への入球容易性を向上させるために設定変更する複数のパラメータを有する。この複数のパラメータは、開放抽選の当選確率を通常確率と高確率のいずれかに設定するための当選確率パラメータと、始動口62の拡開機構の開放時間を通常時間と長時間のいずれかに設定するための開放時間パラメータと、普通図柄の変動時間を通常時間と短時間のいずれかに設定するための変動時間パラメータと、を含む。特定遊技実行手段122は、特別遊技終了後に、当選確率パラメータを通常確率から高確率に設定変更し、開放時間パラメータを通常時間から長時間へ設定変更し、変動時間パラメータを通常時間から短時間へ設定変更する。これにより、遊技状態が普図時短状態へ移行する。各パラメータの値は、普図時短ランプ92の点灯または消灯の状態によってそれぞれ表される。具体的には、普図時短ランプ92は3つのランプで構成され、特定遊技実行手段122は、普図時短状態となったときに3つのランプを点灯させる。
特定遊技実行手段122は、普図時短状態の間、普図時短の終期を決定するための抽選である終期抽選を、所定の入球口へ遊技球が入球したことを契機として実行する。本実施例においては、始動口62へ遊技球が入球したことを契機として終期抽選を実行する、ただし、変形例においては作動口68へ遊技球が入球するたびに終期抽選を実行する構成でもよい。
特定遊技実行手段122は、終期抽選の結果判定をし、その判定結果がパラメータのリセットを示す結果になるたびに複数のパラメータのうちいずれか一つを元の設定へ戻すことにより段階的に特定遊技状態から通常状態へ戻していく。本実施例においては、複数のパラメータとして当選確率パラメータ、開放時間パラメータ、変動時間パラメータの3種類を有するので、終期抽選がリセットを示す判定結果になることを3回繰り返すとすべてのパラメータが元に戻り、その時点で遊技状態が完全に通常状態へ戻る。各パラメータを元の状態に戻す順序はランダムであるが、変形例としてはあらかじめ決められた順序で戻す構成でもよい。特定遊技実行手段122は、当選確率パラメータ、開放時間パラメータ、変動時間パラメータのいずれかを元の設定に戻すとき、普図時短ランプ92に含まれるランプのうち対応するランプを消灯する。このように、特定遊技実行手段122は、複数のパラメータの設定状態を普図時短ランプ92の点灯有無によって遊技者に報知することにより、遊技者の有利性の状態を明確に示すことができる。また、他の変形例としては、終期抽選の結果判定をしてその判定結果がパラメータのリセットを示す結果になるたびに、遊技者が操作ボタン82を操作することで複数のパラメータのうちいずれをリセットするか選択できる構成としてもよい。この場合、遊技者はどのパラメータがリセットされるのが最も不利益が少ないかについて自己の判断で決めることができるという新たな遊技性を提供することができる。
以上の構成により、普図時短を段階的に元の状態に戻すことで普通図柄の変動や抽選に遊技者を注目させることができ、新たな遊技性を提供することができる。
図4は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入賞した場合や、遊技球が作動口68を通過した場合の処理を実行し(S10)、特別遊技中でなければ(S12のN)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、特別遊技中であれば(S12のY)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、S10からS16までの処理における各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
図5は、図4におけるS10の入賞処理を詳細に示すフローチャートである。入球判定手段110が始動口62への入球を判定すると(S42のY)、始動口62の入賞に対応する賞球数を設定し(S44)、当否抽選手段112が当否抽選値を取得して保留する(S46)。そのとき普図時短状態にある場合は(S48のY)、普図時短の終期抽選を実行する(S50)。始動口62への入球がなかった場合は(S42のN)、S44からS50までの処理をスキップし、普図時短中でない場合は(S48のN)、S50の処理をスキップする。入球判定手段110が作動口68への入球を判定すると(S52のY)、開放抽選手段126が開放抽選値を取得する(S54)。作動口68への入球がないときは(S52のN)、S54の処理をスキップする。入球判定手段110が一般入賞口72への入球を判定すると(S56のY)、その入賞に対応する賞球数を設定する(S58)。一般入賞口72への入球がなかったときは(S56のN)、S58の処理をスキップする。入球判定手段110が大入賞口66への入球を判定すると(S60のY)、その入賞に対応する賞球数を設定する(S62)。大入賞口66への入球がなかったときは(S60のN)、S62の処理をスキップする。
図6は、図4におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。通常遊技制御処理においては、当否抽選の実行や特別図柄および装飾図柄の変動処理を実行し(S20)、開放抽選の実行や普通図柄の変動処理を実行し(S22)、始動口62の開放処理を実行する(S24)。
図7は、図6におけるS20の当否抽選処理を詳細に示すフローチャートである。まず、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、特別図柄および装飾図柄の図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否抽選手段112が当否抽選値を読み出して当否判定処理を実行する(S34)。その判定結果に応じてメイン表示制御手段118が変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段134へ送信し、これを受信した演出表示制御手段134が変動パターンデータにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S36)。S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS36までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34およびS36の処理がスキップされる。続いて、特別図柄および装飾図柄の図柄変動表示がすでに開始されていれば(S38のY)、図柄変動表示処理を実行し(S40)、図柄変動表示が開始されていないときは(S38のN)、S40をスキップする。
図8は、図6におけるS22の開放抽選処理を詳細に示すフローチャートである。まず、開放抽選値の保留がなされている場合であって(S90のY)、普通図柄の図柄変動が表示中でなければ(S92のN)、開放抽選手段126が開放抽選値を読み出して開放抽選の結果を判定し(S94)、普通図柄の変動表示を開始する(S96)。S90において開放抽選値が保留されていなかった場合は(S90のN)、S92からS96までの処理がスキップされ、S92において普通図柄が変動表示中であった場合は(S92のY)、S94およびS96の処理がスキップされる。普通図柄の図柄変動表示がすでに開始されていれば(S98のY)、図柄変動表示処理を実行し(S100)、図柄変動表示が開始されていないときは(S98のN)、S100をスキップする。ここで、普図時短状態にある場合であって始動口62への入球を契機とした終期抽選の結果がパラメータのリセットを示す結果であった場合(S102のY)、特定遊技実行手段122は普図時短の状態を示す当選確率パラメータ、開放時間パラメータ、変動時間パラメータのうちいずれかを元の設定に戻し(S104)、設定を戻したパラメータに対応するランプを消灯する(S106)。普図時短の状態を示す各パラメータがすべて元の設定に戻ったとき(S108のY)、普図時短が終了される(S110)。S102において普図時短状態でない場合や終期抽選の結果がパラメータリセットを示す結果でない場合は(S102のN)、S104からS110をスキップし、S108においてまだ元の戻っていないパラメータが残っているときは(S108のN)、S110をスキップする。
図9は、図8におけるS100の変動表示処理を詳細に示すフローチャートである。メイン表示制御手段118は、普通図柄の図柄変動表示を構成する一つの普通図柄を表示し(S130)、あらかじめ設定された変動時間が経過したときは(S132のY)、普通図柄の変動を停止させ(S134)、開放抽選手段126によって判定された開放抽選が当たりであったときは(S136のY)、開閉制御手段124が始動口62の拡開機構を開放する(S138)。S132において普通図柄の変動時間がまだ設定時間まで経過していないときは(S132のN)、S134からS138までの処理をスキップし、S136において開放抽選が当たりでなかったときはS138の処理をスキップする。
図10は、図6におけるS24の開放処理を詳細に示すフローチャートである。始動口62の拡開機構がすでに開放されている場合であって(S25のY)、あらかじめ設定された開放時間が経過したときは(S26のY)、始動口62の拡開機構を閉じる(S27)。始動口62が開放中でないときは(S25のN)、S26とS27をスキップし、始動口62の開放時間が設定された時間まで経過していないときは(S26のN)、S27をスキップする。
図11は、図4におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。まず、大入賞口66が開放済でなければ(S70のN)、演出表示制御手段134が特別遊技の演出処理を開始し(S72)、開閉制御手段124が大入賞口66を開放する(S74)。大入賞口66が開放済であればS72およびS74をスキップする(S70のY)。大入賞口66が開放されてから所定の開放時間が経過した場合(S76のY)、または、開放時間が経過していないものの(S76のN)、大入賞口66へ遊技球が9球以上入球した場合(S78のY)、開閉制御手段124が大入賞口66を閉鎖させる(S80)。開放時間が経過しておらず(S76のN)、大入賞口66への入球数も9球以上に達していない場合は(S78のN)、S80以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
S80における大入賞口66の閉鎖後、単位遊技のラウンド数が15に達していた場合(S82のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の演出処理を終了させ(S84)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させ(S86)、特定遊技を開始させる(S88)。ラウンド数が15に達していなければ(S82のN)、ラウンド数に1を加算してS16のフローを終了する(S90)。
図12は、図11におけるS88の特定遊技開始処理を詳細に示すフローチャートである。特定遊技実行手段122は、特別図柄および装飾図柄の基本的な変動時間を短時間に設定することにより特図時短を開始し(S112)、普図時短の状態を示すパラメータとして、当選確率パラメータを高確率に、開放時間パラメータを長時間に、変動時間パラメータを短時間に設定する(S114)。特定遊技実行手段122は、普図時短の各パラメータの状態を示す普図時短ランプ92を3つとも点灯させる(S116)。当否抽選値が確変を示す値であった場合(S118のY)、特定遊技実行手段122は当否抽選の当否確率を高確率に設定し(S120)、当否抽選値が確変を示す値でなかった場合(S118のN)、特定遊技実行手段122は当否抽選の当否確率を通常確率に設定する(S122)。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
上記の実施例においては、普図時短の状態を示す複数のパラメータとして、普通図柄の当否確率パラメータ、始動口62の開放時間パラメータ、普通図柄の変動時間パラメータの設定を変化させる構成を例示した。変形例においては、普図時短の状態を示す複数のパラメータとして、当否確率パラメータ、開放時間パラメータ、変動時間パラメータのうちいずれか二つのパラメータの設定を変化させる構成であってもよい。たとえば、当否確率パラメータと開放時間パラメータの二つだけを変化させる構成や、当否確率パラメータと変動時間パラメータの二つだけを変化させる構成、開放時間パラメータと変動時間パラメータの二つだけを変化させる構成である。これらの場合、三つのパラメータを変化させる場合と比較して、普図時短が元の状態に戻る過程に含まれる段階数が少ない。しかし、普図時短を段階的に元の状態に戻す点に変わりはなく、普通図柄の変動や抽選に遊技者を注目させることができ、新たな遊技性を提供することができる。
上記の実施例においては、普図時短の状態を普図時短ランプ92の点灯と消灯により示す構成とした。変形例においては、ランプの点灯ではなく演出表示装置60の画面上における表示により遊技者へ報知してもよい。そのような表示によっても遊技者へ有利性の状態を明確に示すことができる。
上記の実施例においては、いわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明したが、当然ながらそのような機種に限定する趣旨ではなく、普通図柄変動と始動口拡開の機能を有する他の機種のぱちんこ遊技機にて実現してもよい。たとえば、特許請求の範囲にいう「始動入球口」は、当否抽選の契機となる第1の始動口と、所定の大入賞口開放の契機となる第2の始動口を含み、第1の始動口への入球を契機とした当否抽選によりいわゆる第1種ぱちんこ遊技に相当する遊技を実行し、第2の始動口への入球を契機とした羽根の開放によりいわゆる第2種ぱちんこ遊技に相当する遊技を実行する機種が考えられる。そのような機種においては、作動入球口への入球により開放抽選がなされ、その抽選が当たりになると第2の始動口の拡開機構が開放される。また、いわゆる第2種ぱちんこ遊技機に近似した遊技性をもつ遊技機として実現してもよい。その場合もまた、作動入球口への入球により開放抽選がなされ、その抽選が当たりになると始動入球口の拡開機構が開放される。普図時短の状態を示すパラメータとしては、開放抽選の当否確率パラメータと、第2の始動口の開放時間パラメータと、普通図柄の変動時間パラメータとがあり、そのうちの二つまたは三つを変化させる構成とする。このような態様においても、普図時短を段階的に元の状態に戻すことにより普通図柄の変動や抽選に遊技者を注目させることができ、新たな遊技性を提供することができる。
10 ぱちんこ遊技機、 20 抽選保留ランプ、 22 作動保留ランプ、 50 遊技盤、 52 遊技領域、 59 普通図柄表示装置、 60 演出表示装置、 61 特別図柄表示装置、 62 始動口、 68 作動口、 76 普通電動役物ソレノイド、 90 遊技効果ランプ、 92 普図時短ランプ、 100 遊技制御装置、 110 入球判定手段、 112 当否抽選手段、 114 図柄決定手段、 116 保留制御手段、 118 メイン表示制御手段、 120 特別遊技制御手段、 122 特定遊技実行手段、 124 開閉制御手段、 126 開放抽選手段。