図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。本実施例では、ぱちんこ遊技機の一例として、いわゆる「転落抽選機能」を有するものを示す。転落抽選は、特別遊技終了後の特定遊技に移行している場合に実行される。そして、転落抽選において当たった場合、特定遊技が終了する。例えば、通常次の特別遊技を獲得するまで、または所定回数の図柄変動がなされるまで継続する確変状態をその条件が満たされる前に終了させて高確率状態から低確率状態に転落させる。
ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。始動口62は、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62の拡開機構を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動口62の拡開機構が拡開されたとき、始動口62の開口幅が拡がって入球容易性が向上する。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を拡開させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。
大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66はアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。ここで、特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が停止されたときの図柄態様が当たりと定められた図柄であった場合、その停止図柄が表示されたタイミングが大当たり発生タイミングとなる。特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段である。演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイである。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。演出表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、ドラムなどの機械式回転装置やLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は始動口62の拡開機構を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が停止すると、通常、50%から80%程度の確率で始動口62が所定時間拡開する。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、特別図柄表示装置61および演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。特別図柄表示装置61の下方には、抽選保留ランプ20が設けられ、その対称的な位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に作動保留ランプ22が設けられている。抽選保留ランプ20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。作動保留ランプ22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。さらに演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当たりを示す図柄である場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。特別遊技において、大入賞口66は、約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開閉が所定回数、例えば15回繰り返される。
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技が実行される。特定遊技としては、例えば確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)と変動時間短縮遊技(以下、適宜「時短」という)がある。確変では、当たりとなる確率が通常の状態より高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。時短は、特別図柄および装飾図柄の変動時間が通常より短縮され、単位時間当たりの当否抽選の回数が増加して遊技効率が向上する。本実施例のぱちんこ遊技機の場合、前述したように転落抽選機能を含み、転落抽選に当たった場合には特定遊技が所定の終了条件を満たす前に終了する。例えば、確変は、次の特別遊技を獲得するまで基本的には継続するが、転落抽選に当たった場合は特別遊技の獲得に関わらず終了する。また、時短は、所定の変動回数、例えば100回の変動表示がなされるまで基本的には継続するが、転落抽選に当たった場合は所定の変動回数に到達する前に元の変動時間に戻される。確変が開始される場合、確変と時短を一緒に開始してもよいし、確変のみを開始してもよい。確変と時短が一緒に開始される場合、確変の終了条件が満たされるまでまたは転落するまで時短は継続される。したがって、確変と一緒に時短が開始される場合には、時短は所定回数、例えば100回を越えて継続される場合もある。また、時短のみが開始される場合は、所定変動回数に到達するまでまたは転落するまで時短が継続される。なお、特別遊技の終了を契機に確変が発生する機種や特別遊技が発生した場合であってそのときの当たり停止図柄が特定の態様であった場合に、特別遊技の終了後に確変が開始される機種、特別遊技中やその前後に実行される抽選に当たった場合に確変が開始される機種などがある。また、確変中の当否抽選の回数により確変継続期間が決定されている機種もある。そして、いずれの機種に対しても転落抽選を適用できる。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。セット基板39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、転落抽選手段200を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
当否抽選手段112は、始動口62への遊技球の入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するために乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、当たりまたは外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当たりの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当たりであるか否かを判定する。当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄の形で変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。また、図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を抽選により決定する。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。図柄決定手段114は、特別図柄や普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
図柄決定手段114は、特別図柄を決定するための図柄決定抽選値を取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。図柄決定手段114は、決定した停止図柄を示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。
図柄決定手段114は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための抽選乱数を取得し、その抽選乱数に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。普通図柄の停止図柄が特定の図柄であった場合、開閉制御手段124が始動口62の普通電動役物を所定時間拡開する。
変動パターン決定手段115は、当否抽選の結果に応じて複数種の変動パターンからいずれかの変動パターンを選択する。変動パターン決定手段115は、変動パターンを決定するために参照すべきパターン選択テーブルを保持する。変動パターン決定手段115は、決定した変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。変動パターン決定手段115は、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつとともに、その変動時間にて複数の図柄で構成される装飾図柄による図柄変動も実行されることを前提として規定される。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄および装飾図柄の変動が停止される。
保留制御手段116は、当否抽選手段112により新たに当否抽選が実行されるときにそれ以前の当否抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな当否抽選の結果である当否抽選値を保留球として保持する。当否抽選値は、所定個数を上限にその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留される。保留数の上限は例えば4である。なお、当否抽選手段112により新たに当否抽選が実行されるときとは、例えば、始動口62に入球して当否抽選値が取得されるときとしてもよいし、取得された当否抽選値によって変動が開始されようとするときでもよい。
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、変動パターン決定手段115により決定された変動パターンにしたがって特別図柄の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、特別図柄の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信することにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄の変動を普通図柄表示装置59に表示させる。
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選結果が当たりであった場合に、特別遊技の実行処理を制御する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。単位遊技は例えば15回を上限として繰り返され、1回の単位遊技において大入賞口66を約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の継続回数が上限回数に達していなければ、現在の単位遊技の終了後に次の単位遊技を開始させる。単位遊技の上限回数を消化した場合には、特別遊技を終了させる。
特定遊技実行手段122は、遊技状態を通常状態から特定遊技状態へ移行させる制御と、特定遊技状態から通常状態へ戻す制御を実行する。本実施例における特定遊技には、当否抽選の当選確率を通常確率の状態から高確率の状態へ切り替える確変と、図柄変動時間を通常時間より短時間へ切り替える時短とがある。なお、特定遊技として、確変が開始される場合には一緒に時短が開始され、確変の終了と共に時短も終了する。一方、特定遊技として、時短のみが開始される場合には、時短が単独で開始及び終了する。
特定遊技実行手段122は、当否抽選値が確変状態へ移行すべき値であった場合に、特別遊技後の遊技状態を確変状態へ移行させる。確変状態は原則として次の大当たりが発生するまで続行され、その間は当否抽選手段112による当たり判定の確率が高い値のまま維持される。また、特定遊技実行手段122は、当否抽選値の如何に関わらず、特別遊技後に遊技状態を時短の状態へ移行させる。時短は、特別遊技後の特別図柄の変動回数が所定回数、たとえば100回に至るまで継続される。
転落抽選手段200は、特定遊技中に当否抽選を契機に抽選を実行する。転落抽選に当たった場合、前述した終了条件が満たされる前に特定遊技を終了させて特定遊技状態から通常の遊技状態に転落移行させる。確変の場合は、当否抽選の当選確率を高確率の状態から通常の状態へ切り替える。また、時短の場合は、図柄変動時間を短時間から通常時間へ切り替える。なお、転落抽選手段200による転落抽選が当否抽選より前のタイミングで実行されて転落した場合、当否抽選手段112は当該変動に関する当否判定を低確率の当否テーブルを参照して行うことになる。また、転落抽選手段200による転落抽選が当否抽選より後のタイミングで実行されて転落した場合、当否抽選手段112は当該変動に関する当否判定を高確率の当否テーブルを参照して行い、次回の当否判定から低確率の当否テーブルを参照して行うことになる。転落抽選手段200は、転落抽選の結果を示す情報を特定遊技実行手段122及び演出決定手段132に送出する。転落していた場合、特定遊技実行手段122は特定遊技を終了し、演出決定手段132は特定遊技演出から通常遊技演出に切り替えるか否かを決定する。また、転落抽選は、特定遊技中に当否抽選が実行されるたびに行われてもよいし、特定遊技が開始されたときなど所定のタイミングで行われてもよい。この場合、転落するタイミングも決定され、転落するタイミングに至るまでは特定遊技が継続されるようにしてもよい。
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。
パターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄190の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動演出パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当たりへの期待度の高さを予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。また、パターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動の背景となる背景画像パターンを遊技状態応じて複数保持する。例えば、通常遊技状態のときに現在の状態が通常の遊技状態であることを示唆する通常遊技演出用の背景画像パターンを保持する。また、特定遊技状態のときに現在の状態が特定遊技状態であることを示唆する特定遊技演出用の背景画像パターンを保持する。図4(a)は、演出表示装置60の表示例であり、通常遊技演出用の背景画像パターンを用いた例である。この場合、キャラクタが絨毯に載り山間を飛行している風景を示している。また、図4(b)は、特定遊技演出用の背景画像パターンを用いた例である。この場合、キャラクタが絨毯に載り海上を飛行している風景を示している。遊技者は、背景の違いにより現在の遊技状態が、通常遊技状態か特定遊技状態かを識別できる。なお、背景画像パターンは、図4(a)、図4(b)に示すように画像全体を変更する背景画像パターンでもよいし、同一の風景で一部の特徴を変化させる背景画像パターンでもよい。例えば、通常遊技演出のときは、青を基調にした背景にする背景画像パターンを使用し、特定遊技演出のときには、赤を基調にした背景にする背景画像パターンを使用してもよい。
また、パターン記憶手段130は、現在の遊技状態を識別させるためのパターンとして、例えばスピーカ18介して出力する効果音を変化させるパターンを複数保持してもよい。また、遊技効果ランプ90の点灯状態を変化させるパターンや可動役物140の動作を変化させるパターンを保持してもよい。また、これらを選択的に複合させたパターンを保持してもよい。
演出決定手段132は、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターンに応じて変動演出パターンを決定する。演出決定手段132は、変動演出パターンを決定するために参照すべきパターンテーブルを保持する。演出決定手段132は、決定した変動演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。
変動演出パターンには、通常の外れの図柄組合せを表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当たりの図柄組合せを表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。
また、演出決定手段132は、切替抽選手段202を含む。演出決定手段132は、遊技状態が特定遊技状態から通常の遊技状態に転落移行する場合に基本的には特定遊技演出から通常遊技演出に切り替える。切替抽選手段202は、特定遊技演出から通常遊技演出への切替タイミングを転落移行の移行タイミングに対応させるか否かが保留制御手段116の管理する保留球の数に応じて異なる確率で決定されるような抽選を実行する。図5は、切替抽選手段202が切替抽選を実行するときに参照する表示切替テーブルの一例である。表示切替テーブルは、保留球数、切替抽選値、演出切替の有無の対応関係を定める。図5の例の場合、保留球数が少ないほど遊技演出の切替タイミングが転落移行の移行タイミングに対応するようになっている。例えば、保留球数が「0」のときに切替抽選手段202が切替抽選を実行する場合、100%の確率で通常遊技演出への切り替えが決定される。保留球数が「1」のときには90%の確率で通常遊技演出への切り替えが決定され、保留球数が「2」のときには70%の確率で、保留球数が「3」のときには50%の確率で、保留球数が「4」のときには20%の確率で通常遊技演出への切り替えが決定されるようになっている。
具体的には、表示切替テーブルは、例えば0〜99の切替抽選値と演出切替の有無を対応づけている。例えば、保留球数「0」の場合、切替抽選値「0〜99」のいずれが選択されても演出切替を行う。つまり、転落移行の移行タイミングに対応させて特定遊技演出から通常遊技演出に切り替える。保留球数「1」の場合、切替抽選値「0〜9」が選択されると「演出切替なし」、つまり、転落していても特定遊技演出から通常遊技演出への切り替えを転落移行タイミングに対応させずに特定遊技演出を維持させる。一方、切替抽選値「10〜99」が選択された場合は「演出切替あり」、つまり、転落移行の移行タイミングに対応させて特定遊技演出から通常遊技演出に切り替える。同様に、保留球数「2」の場合は切替抽選値「0〜29」が選択されると「演出切替なし」、切替抽選値「30〜99」が選択されると「演出切替あり」となる。保留球数「3」の場合、切替抽選値「0〜49」が選択されると「演出切替なし」、切替抽選値「50〜99」が選択されると「演出切替あり」となり、保留球数「4」の場合、切替抽選値「0〜79」が選択されると「演出切替なし」、切替抽選値「80〜99」が選択されると「演出切替あり」となる。なお、既に転落していて過去の切替抽選で「演出切替なし」の判定が行われていて特定遊技演出が継続表示されている場合であって、今回の切替抽選で「演出切替あり」の判定が行われた場合、そのタイミングで特定遊技演出から通常遊技演出へ切り替えられる。
前述したように転落抽選手段200による転落抽選は内部的に実行されるので、遊技者は実際に転落したか否かを演出状態の変化によって判断することになる。例えば、図4(b)に示す背景画像から図4(a)に示す背景画像に変化したときに「転落」したと判断することができる。このとき、保留球数によって、背景画像の切替タイミングが実際の転落タイミングより遅延する確率が変化するようにすることで、保留球数のコントロールにより遊技状態、つまり転落するか否かが変化するというイメージを遊技者に与えやすくできる。その結果、転落するか否かの結果を待つ間でも転落が「運」だけではなく遊技者の技量によって変化できるという印象を与え易く保留球数のコントロールのために積極的な遊技球の発射操作を行おうという気持ちを抱かせ易くできる。このように、転落抽選に技術介入ができるように見せることで、遊技意欲を向上させ、「今が止めどき」と感じさせ難い面白みのある新たな遊技性を提供できる。また、保留状態を維持するような積極的な遊技球の発射操作を継続させ易くできるので、止め打ちや単発打ちを控えるような気分に誘導し易くなる。その結果、遊技機の稼働率を向上させることに寄与できる。
図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄の組合せとその配置を、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段131は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
装飾図柄の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば当否抽選手段112による判定結果が特別遊技への移行を示す場合は「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄として揃える数字には、特別図柄と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、特別図柄が「3」の場合は装飾図柄が「333」となる。当否抽選手段112による判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。ただし、当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合であって、リーチ付きの外れを示す特別図柄の変動パターンや装飾図柄の変動演出パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当たり態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけの通常予告演出や、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出がある。また、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当たりへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出がさらに含まれる。
予告演出パターンには、装飾図柄190の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄190が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
演出決定手段132は、当否抽選の結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定するとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否抽選の結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、当否抽選が当たりの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否抽選の結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当たりへの期待度の高さを示唆することができる。
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動演出パターンデータにしたがって演出表示装置60へ装飾図柄を含む演出画像を変動表示させる。
演出表示制御手段134は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段132により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を演出表示装置60へ表示させる。演出表示制御手段134は、特定遊技実行手段122からの情報と切替抽選手段202の抽選結果にしたがって、特定遊技演出または通常遊技演出のいずれかを演出表示装置60に表示させる。例えば、転落により特定遊技実行手段122から特定遊技の終了が通知されても、切替抽選手段202の抽選結果が通常遊技演出に切り替える旨を示すものでない場合は、演出表示制御手段134は特定遊技演出の表示を維持する。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。特定遊技演出または通常遊技演出を演出表示装置60に背景画像の変化として表示するのではなく、遊技効果ランプ90の点灯制御やスピーカ18からの音声出力によって実施するようにしてもよい。この場合、演出表示制御手段134は、切替抽選手段202の抽選結果にしたがって、遊技効果ランプ90やスピーカ18の制御を行う。
このように、転落した以降も特定遊技が継続されているかのように特定遊技演出を継続させることにより、転落したか否かを遊技者に認識され難くすることができる。言い換えれば、遊技者に図柄の変動パターンの選択のされ方などを観察させて、転落しているか否かを判断させるような新たな遊技を提供できる。この場合、図柄の変動を含め遊技制御装置100全体の変化に遊技者の意識を集中させ易く、遊技を継続させ易くできる。
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。なお、役物制御手段136は、演出決定手段132からの情報に基づき、特定遊技演出のときと通常遊技演出のときとで、可動役物140を異なる動作で動かしたり、異なる可動役物140を動作させるようにしてもよい。
図6は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入賞した場合の処理を実行する(S10)。特別遊技中でなければ(S12のN)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、特別遊技中であれば(S12のY)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、S10からS16までの処理における各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
図7は、図6におけるS10の入賞処理を詳細に示すフローチャートである。始動口62に入球があった場合(S20のY)、始動口62に対応する賞球数をセットする(S21)。始動口62への入球であれば保留制御手段116による保留数が4未満であるか否かを参照し、さらなる保留が可能な状態であれば(S22のY)、当否抽選手段112が当否抽選値を取得して(S23)、当否抽選値を保留制御手段116に保留する(S24)。S20において始動口62への入球がない場合はS22からS24までの処理をスキップする(S20のN)。S22において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合はS23およびS24の処理をスキップする(S22のN)。一般入賞口72に入球があった場合は(S25のY)、一般入賞口72に対応する賞球数をセットし(S26)、一般入賞口72への入球がないときはS26をスキップする(S25のN)。大入賞口66に入球があった場合は(S27のY)、大入賞口66に対応する賞球数をセットし(S28)、大入賞口66への入球がないときはS28をスキップする(S27のN)。
図8は、図6におけるS14の通常遊技制御処理の前半部分を詳細に示すフローチャートである。通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄が変動表示中ではなく(S32のN)、特定遊技中の場合(S34のY)、転落抽選手段200が転落抽選を実行する(S36)。転落抽選の結果、転落に該当する結果を得た場合(S38のY)、特定遊技実行手段122は特定遊技を終了する(S40)。そして、演出決定手段132が遊技状態を示す遊技演出の内容を決定する遊技演出処理を実行する(S42)。そして、演出決定手段132の決定結果に応じて演出表示制御手段134が演出表示装置60の背景画像の切り替え制御を実行する。続いて、当否抽選手段112が当否判定処理を実行する(S44)。その判定結果に応じてメイン表示制御手段118が変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段134へ送信し、これを受信した演出表示制御手段134が変動パターンデータにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S46)。なお、S38の転落抽選で転落に該当しない結果が得られた場合(S38のN)、S40とS42の処理をスキップする。また、S34で特定遊技中ではない場合(S34のN)、S36からS40の処理をスキップする。また、S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS46までの処理がスキップされ、S32において図柄が変動表示中であった場合は(S32のY)、S34からS46の処理がスキップされる。
図9は、図6におけるS14の通常遊技制御処理の後半部分を詳細に示すフローチャートである。既に図柄の変動表示が開始されている場合で(S48のY)、所定の変動時間が経過して図柄表示の停止タイミングに達したときは(S50のY)、表示中の図柄変動を停止する(S52)。このとき、演出表示装置60において特定遊技演出が表示中であり(S54のY)、現在の遊技状態が特定遊技中で(S56のY)、当該変動が当たりの場合(S58のY)、特別遊技制御手段120によって特別遊技へ移行する旨が決定されると共に、特定遊技実行手段122は特定遊技を終了する(S60)。また、演出決定手段132は、演出表示制御手段134に特定遊技演出から通常遊技演出に切り替えるように情報を送信して特定遊技演出を終了させる(S62)。
S56において特定遊技中でありS58において当該変動が外れであった場合で(S58のN)、現在の遊技状態が確変中の場合は(S64のY)、このフローを終了する。この場合は、特定遊技実行手段122における処理は内部的に確変であり、演出決定手段132における処理でも確変状態である旨を示唆する演出を継続させていることになる。また、S64において確変中ではない場合、つまり時短中である場合は(S64のN)、特定遊技実行手段122は変動回数をインクリメントする(S66)。この場合は、特定遊技実行手段122における処理は内部的に時短であり、演出決定手段132における処理でも時短状態である旨を示唆演出を継続させていることになる。そして、特定遊技実行手段122は、変動回数が設定回数に達し(S68のY)、その時点で特定遊技が終了済みではない場合(S70のN)、S60に移行して特定遊技を終了する(S60)。また、演出決定手段132は特定遊技演出を終了させる(S62)。S70において、その時点で特定遊技が終了済みである場合、つまり、既に転落抽選手段200の転落抽選に当たって転落しているが、切替抽選手段202の抽選結果に基づいて特定遊技演出の表示が継続されていた場合(S70のY)、演出表示制御手段134は特定遊技演出を終了させる(S62)。この場合は、実際には転落して特定遊技が終了しているものの演出決定手段132の制御により特定遊技演出のみが継続されていた場合であり、特定遊技演出の画面中に時短の経過状況を示す変動回数表示がなされている。S68において変動回数が設定回数に達していない場合(S68のN)、変動回数を表示したままこのフローを終了する。また、S56において、特定遊技演出が表示されているが転落により既に特定遊技が終了している場合で(S56のN)、特定遊技演出として時短画面が表示されていた場合(S72のY)、S66に移行し時短回数の表示処理を実行する。この場合、特定遊技実行手段122における処理は内部的に時短を終了させているが、演出決定手段132における処理では演出上、時短状態が継続しているかのうように見せている。S72において、時短画面が表示されていない場合、つまり、転落後に継続して表示されている特定遊技演出が確変であることを示す演出になっている場合は(S72のN)、このフローを終了する。この場合、特定遊技実行手段122における処理は内部的に確変を終了させているが、演出決定手段132における処理では演出上、確変状態が継続しているかのうように見せている。
S48において、図柄変動が開始されていない場合(S48のN)、S50において図柄変動は開始されているが停止タイミングになっていない場合(S50のN)、S54において特定遊技演出が表示されていない場合は(S54のN)、このフローを終了する。
図10は、図8におけるS42の遊技演出処理を詳細に示すフローチャートである。現在、特定遊技演出が表示中であり(S80のY)、転落抽選手段200の転落抽選に当たり既に転落している場合(S82のY)、切替抽選手段202は、保留制御手段116から保留球の数を取得して(S84)、特定遊技演出から通常遊技演出へ切り替えるか否かを決定する切替抽選を実行する(S86)。その結果、切り替える旨の決定がなされた場合は(S88のY)、演出決定手段132は、特定遊技演出から通常遊技演出に切り替える旨の情報を演出表示制御手段134に送出する。そして、演出表示制御手段134は通常遊技演出に表示を切り替える(S90)。S88において、切り替えを行わない旨が決定された場合(S88のN)、演出表示制御手段134は特定遊技演出の表示を継続させる。S80において、特定遊技演出が表示されていない場合、つまり、演出表示装置60に通常遊技演出が表示されていた場合(S80のN)、S82からS90の処理をスキップしてこのフローを終了する。また、S82において、まだ転落していないと判断された場合には(S82のN)、S84からS90の処理をスキップしてこのフローを終了する。
図11は、図8におけるS44の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、当否抽選手段112が当否抽選値を読み出して(S91)、現在の遊技状態が確変中の場合(S92のY)、当たる確率が通常より高い確変用の当否テーブルを参照して(S93)、取得した当否抽選値に基づいて当否を判定する(S94)。また、S92において、確変中でない場合は(S92のN)、確変用の当否テーブルよりは当たりの確率が低い通常用の当否テーブルを参照して(S95)、取得した当否抽選値に基づいて当否を判定する(S94)。続いて、図柄決定手段114は、当否判定結果に基づいて特別図柄の停止図柄を決定し(S96)、特別図柄の変動パターンを選択する(S97)。演出決定手段132は、当否判定結果および特別図柄に基づいて装飾図柄の停止図柄組合せを決定し(S98)、特別図柄の変動パターンに応じて装飾図柄の変動パターンを選択する(S99)。
図12は、図6におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。まず、大入賞口66が開放済でなければ(S100のN)、演出表示制御手段134が特別遊技の演出処理を開始し(S102)、開閉制御手段124が大入賞口66を開放する(S104)。大入賞口66が開放済であればS102およびS104をスキップする(S100のY)。大入賞口66が開放されてから所定の開放時間が経過した場合(S106のY)、または、開放時間が経過していないものの(S106のN)、大入賞口66へ遊技球が9球以上入球した場合(S108のY)、開閉制御手段124が大入賞口66を閉鎖させる(S110)。開放時間が経過しておらず(S106のN)、大入賞口66への入球数も9球以上に達していない場合は(S108のN)、S110以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
S110における大入賞口66の閉鎖後、単位遊技のラウンド数が15に達していた場合(S112のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の演出処理を終了させ(S114)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させる(S116)。そして、特定遊技実行手段122が特定遊技を開始すると共に(S118)、演出決定手段132が演出表示制御手段134に特定遊技演出の表示を開始させる(S120)。なお、S118において、確変に移行する条件が満たされている場合には、特定遊技実行手段122は確変と一緒に時短が実行されるように特定遊技を開始する。また、特定遊技には移行するものの確変に移行する条件が満たされていない場合には、特定遊技実行手段122は時短のみが実行されるように特定遊技を開始する。S112において、ラウンド数が15に達していなければ(S112のN)、ラウンド数に1を加算してS16のフローを終了する(S119)。
図5の表示切替テーブルを用いた上述の実施例において、演出決定手段132は保留制御手段116の保留の数が多いほど特定遊技演出から通常遊技演出への切替タイミングが転落移行タイミングより遅延し易くなるように確率が定められた切替抽選を実行するようにした。つまり、保留が多ければ特定遊技演出が継続し易くなる。その結果、保留を多くすれば特定遊技が継続され易くなるという印象を遊技者に与え易く、保留の多い状態を維持するための遊技球の発射操作を遊技者に継続させ易くできる。つまり、「今が止めどき」と感じられ難くできると共に、特定遊技中の止め打ちや単発打ちを抑制できるので、ぱちんこ遊技機10の稼働率を向上させることができる。一方、図13に示す表示切替テーブルは、保留の数が多いほど特定遊技演出から通常遊技演出への切替タイミングが転落移行タイミングより遅延し難くなるように確率が定められている。つまり、保留を多くしておけば、特定遊技の終了に伴う特定遊技演出から通常遊技演出への切り替えが行われ易くなる。その結果、遊技者の技術介入によって遊技継続の可否判断の精度が向上するという遊技性を提供できる。遊技者は、転落したら遊技を止めようと考えることが多いので、遊技を止めるまでは発射する遊技球の数は最小限にしたいと考える傾向がある。しかし、図13のような表示切替テーブルを用いることで、遊技者は転落のタイミングを見極めるために、保留の多い状態を維持するように遊技球の発射操作を継続する。その結果、特定遊技中の止め打ちや単発打ちの抑制ができるので、遊技機の稼働率向上に寄与できる。
図14は、図5の表示切替テーブルの変形例である。図5の表示切替テーブルを用いる場合、演出決定手段132は転落移行する旨が決定された場合に特定遊技演出から通常遊技演出への切り替えがなされるまで、当否抽選が実行されるたびに切替抽選手段202による切替抽選を実行する。つまり、特定遊技演出の表示の遅延は次回の当否抽選までとなる。切替抽選を通常遊技演出への切り替えがなされるまで当否抽選毎に実行することにより、保留数の違いにより特定遊技演出の継続し易さまたはし難さに違いがあることを遊技者に分かり易くできる。その結果、保留の増減に遊技者の注意を向け易く保留状態と演出の関連を探るような新たな遊技性を提供できると共に、保留状態を維持するように遊技球の発射操作を継続させ易くできるので、遊技機の稼働率向上に寄与できる。
一方、図14に示す表示切替テーブルの場合、切替抽選手段202が取得した切替抽選値に応じて特定遊技演出の表示の遅延期間を定めている。なお、図14は、図5と同様に保留の数が多いほど特定遊技演出から通常遊技演出への切替タイミングが転落移行タイミングより遅延し易くなるように確率が定められている。遅延期間としては、例えば、図5と同様に、次回抽選まで特定遊技演出を維持するものの他に、切替抽選後所定回数の当否抽選が実行されるまで特定遊技演出を継続させるものがある。また、切替抽選後所定時間経過するまで特定遊技演出を継続させるようにしてもよい。このように、次の当否抽選までの期間より長い遅延期間を設定する場合、その間の切替抽選は省略され処理の軽減ができる。遅延期間が終了した場合、その時点で特定遊技演出から通常遊技演出への切り替えを実行してもよいし、再度切替抽選を実行してもよい。また、遅延期間が決定された場合、その遅延期間を演出表示装置60に表示して遊技者に期待感や緊張感を持たせるようにしてもよい。
また、上述の実施例では、特定遊技演出から通常遊技演出への切替のタイミングを転落のタイミングより遅延させる例を示したが、別の実施例では、転落のタイミングより特定遊技演出から通常遊技演出への切替のタイミングを早めるようなダミー切替を行ってもよい。つまり、実際には転落しておらず特定遊技が継続している場合に、特定遊技演出から通常遊技演出へ切り替えて転落したように見せるための抽選を実行してもよい。この場合も保留球の数に応じて異なる確率で切替が決定されるように定めた抽選を実行することができる。この場合、転落したかのように見えても特定遊技が継続しているので実際に転落した場合より特別遊技に移行しやすい。つまり、転落後でも大当たりになる可能性が通常よりは高いという印象を遊技者に与え易くなり、転落後でも遊技を継続してみようという遊技意欲を持たせ易い遊技機にできる。なお、上述のように、特定遊技演出から通常遊技演出へダミー切替を行った後に、保留球の数に応じた確率で特定遊技演出へ復活させる抽選を行ってもよい。例えば、保留球の数が多いほど特定遊技演出へ復活し易くなるように確率が定められた抽選を実行するようにする。その結果、転落した後も保留球を多く維持すれば特定遊技が復活するように見せることが可能になり、転落後も積極的に遊技球の発射操作を行おうという意欲を遊技者に生じさせ易くなる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。