JP4988990B2 - クレーンのジブ起伏制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クレーンのジブ起伏制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のクレーンとして移動式クレーンを例に以下に説明する。移動式クレーンは、車両1上に水平旋回駆動自在に旋回台2を配置し、旋回台2に伸縮ブーム3を起伏自在に配置している。伸縮ブーム3は、基ブーム3aに中間ブーム3bを、中間ブーム3bに先ブーム3cを順次伸縮自在に嵌挿させており、各ブーム間には適宜の伸縮駆動手段を備えている。基ブーム3aと旋回台2の適所間には起伏用油圧シリンダ4を配置し、伸縮ブーム3を起伏駆動可能に構成している。
【0003】
伸縮ブーム3の先端部にはジブ5を伸縮ブーム3の先端部両側にそれぞれ配置した連結ピン7a,7bを介して装着可能に構成しており、ジブ5は、基ブラケット5a、基ジブ5b、先ジブ5cで構成している。基ブラケット5aは側面視三角形状のブラケットになっており、基端側を伸縮ブーム3の先端部に前記連結ピン7a,7bを介して着脱自在に装着され、先端部を基ジブ5bの基端側下部を枢支して基ジブ5bを起伏自在に配置している。基ブラケット5aの基端側上部と基ジブ5bの基端側上部間には、ジブ起伏用油圧シリンダ6を配置している。基ジブ5bには先ジブ5cを伸縮自在に嵌挿させ、基ジブ5bと先ジブ5c間には適宜の伸縮駆動手段(伸縮用の油圧シリンダを配置しているが図示しない。
)を配置している。
【0004】
ジブ起伏用油圧シリンダ6は、図4に図示するように、ジブ起伏操作手段12と、コントローラ13と、ジブ起伏駆動制御手段14で駆動されるようになっている。すなわち、ジブ起伏操作手段12は、ジブを起伏操作する操作手段で、起伏用操作レバー12aと該操作レバー12aの傾動操作により操作信号を出力するポテンショメータ12bで構成している。コントローラ13は、起伏操作手段12の操作信号に基づいてジブ起伏駆動制御手段14に駆動信号を出力する。ジブ起伏駆動制御手段14は、電磁比例制御弁で構成され、駆動信号に基づいてジブ起伏用油圧シリンダ6へ油圧源15からの作動油を給排制御し、ジブ5を起伏駆動制御するようにしている。このようにジブ起伏用油圧シリンダ6,ジブ起伏駆動制御手段14,油圧源15でジブ起伏駆動手段16を構成している。
【0005】
ジブ5の先端部からは伸縮ブーム3の基端側に配置したウインチ8からのワイヤロープ9を伸縮ブーム先端部を経過させてジブの先端部からフック10を吊下げこのフック10に吊荷11を吊持させるようになっている。そしてこのジブ5を用いてクレーン作業を行う場合は、吊荷11を目的の位置に移動させるに適宜伸縮ブーム3を伸縮、起伏、旋回駆動させるとともに、ジブ5を適宜伸縮、起伏駆動させて作業を行うようにしている。
【0006】
このような移動式クレーンAは、ジブ5を使用する時は図2に図示するように伸縮ブーム3の先端部に装着され、非使用時には図3に図示するように伸縮ブーム3の基ブーム3aに沿って格納される。そして格納されたジブ5を伸縮ブーム3の先端部に装着させるために、次のようにしてジブ5は張出操作あるいは格納操作するジブセット作業が行われる。
【0007】
以下ジブ5を張出すジブセット作業について説明する。まず伸縮ブーム3の先端部にジブ5の基ブラケット5aの一側を連結ピン7aで連結する。そして伸縮ブーム3を伸長ならびに起仰させた後、ジブ起伏操作手段12の起伏用操作レバー12aを傾倒して基ジブ5bを基ブラケット5aから倒伏させるようコントローラ13を介してジブ起伏駆動制御手段14によりジブ起伏用油圧シリンダ6を伸長させ、ジブ5を図5の状態にする。
【0008】
次に、連結ピン7aを中心にジブ5を回動(回動は手動によるものであってもよいし、適宜の駆動手段を準備しておき当該駆動手段で回動させるようにしてもよい。)させ、図6に図示する如くジブ5を伸縮ブーム3の前方に位置させる。
【0009】
そして伸縮ブーム3を倒伏させながらジブ5を起仰させる。この時、ジブ起伏操作手段12の起伏用操作レバー12aを傾倒して基ジブ5bを基ブラケット5aから起仰させるようコントローラ13を介してジブ起伏駆動制御手段14によりジブ起伏用油圧シリンダ6を縮小させ、ジブ5を図7の状態にする。伸縮ブーム3の延長線上にジブ5が位置するようにした後、伸縮ブーム3の先端部他側とジブ5の基ブラケット5aの基端側他側を連結ピン7bで連結する。
【0010】
連結を終了するとウインチ8からのワイヤロープ9を繰出し、伸縮ブーム3の先端部を経過させジブ5の先端部からワイヤロープ9の先端に係止したフック10を吊下げる。このようにして伸縮ブーム3の先端部にジブ5を張出し操作をするのであるが、伸縮ブーム3の基ブーム3aにジブ5を沿わせた格納状態にする格納操作時のジブセット作業は上記と逆にして行えばよい。
【0011】
【発明が解決しょうとする課題】
ところで、ジブ5を伸縮ブーム3に装着したジブ5の使用時には、ジブ5により吊荷11を吊下していることによりジブ5の起伏駆動速度を速くすると伸縮ブーム3やジブ5に急激に負荷をかけることになったり、急激な起伏操作にともない吊荷11を揺れ動かすこととなり危険なクレーン作業になることから、ジブ起伏操作手段12でのジブ5の起伏駆動速度は所定以上速くならないように設定されている。
【0012】
ところが、上記したようにジブ5を張出し操作あるいは格納操作するジブセット作業する際にはジブ5を起伏駆動するようにしているが、ジブ5の使用時に合わせてジブ5の起伏駆動速度は所定以上速くならないように設定されていることから、ジブ5の張出し操作あるいは格納操作のジブセット作業時にジブ5の起伏駆動速度が遅く、ジブセット時間が長くなり、ジブセット作業が煩わしい作業になっていた。
【0013】
本発明はこのような課題を解決したクレーンのジブ起伏制御装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明におけるクレーンのジブ起伏制御装置は、使用時にはブームの先端部に装着され非使用時にはブームに沿って格納されるジブを使用時と張出しまたは格納するジブセット作業時に起伏駆動するジブ起伏駆動手段と、ジブを起伏操作するジブ起伏操作手段と、ジブ起伏操作手段からの操作信号に基づいてジブ起伏駆動手段に駆動信号を出力するコントローラを備えたクレーンのジブ起伏制御装置であって、使用時あるいはジブセット作業時であることを前記コントローラに入力するジブ状態入力手段を設け、ジブ状態入力手段からの入力信号がジブセット作業時である場合にはジブ起伏操作手段からの操作信号に対してジブの起伏駆動速度をジブの使用時と比較して変更するようジブ起伏駆動手段へ補正した駆動信号を出力する補正手段を前記コントローラに配置したことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明におけるクレーンのジブ起伏制御装置は、請求項1において、前記補正手段は、ジブ状態入力手段からの入力信号がジブセット作業時である場合にはジブ起伏操作手段からの操作信号に対してジブの起伏駆動速度をジブの使用時と比較して所定以上の速度がでるようにジブ起伏駆動手段へ補正した駆動信号を出力するものであることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係るクレーンのジブ起伏制御装置の実施形態について、従来技術で説明した移動式クレーン車を例に図1に基づいて以下に説明する。なお、本発明に係るクレーンのジブ起伏制御装置を説明するにあたり、従来の技術の説明で使用した符号1〜12,符号14〜16,符号3a〜3c,符号5a〜5c,符号12a,符号12b,符号Aは、従来の技術で説明したものと同じであるので詳細な説明を省略し以下の説明にも同符号を用いる。
【0016】
図1において、20は、ジブ5が張出しあるいは格納操作のジブセット作業時である時に手動設定され、設定信号を出力するジブ状態入力手段である。したがって、ジブ5が伸縮ブーム3に装着された使用時にあってはジブ状態入力手段20は設定されず設定信号は出力されない。21は、コントローラであって、従来技術で説明したコントローラとは次に説明する補正手段22を備えている点で相違している。
【0017】
22は、補正手段であって、ジブ起伏操作手段12とジブ状態入力手段20からの信号を受けて次のようにしてジブ起伏駆動制御手段14に駆動信号を出力する。すなわち、ジブ状態入力手段20から設定信号が入力されない場合には従来技術で説明した場合と同様に、ジブ起伏操作手段12の操作信号に対応してジブ起伏駆動制御手段14に駆動信号を出力する。(この場合はジブ5の起伏駆動速度は所定の速度までしか速度がでないように設定されている。)一方ジブ状態入力手段20から設定信号が入力された場合は、ジブ起伏操作手段12の操作信号に対してジブ5の起伏駆動速度がジブ5の使用時に比較して所定以上の速度がでるようにジブ起伏駆動手段14の駆動速度を変更するよう補正した駆動信号がジブ起伏駆動制御手段14に出力されるようになっている。
【0018】
このように構成した本発明に係るクレーンのジブ起伏制御装置は、次のように作用する。すなわち、ジブ5を張出しあるいは格納操作するジブセット作業を行う場合には、オペレータはジブ状態入力手段20を設定し、ジブ起伏操作手段12の起伏用操作レバー12aを傾倒操作してジブ5を起伏駆動制御する。この時ジブ状態入力手段20からは設定信号がコントローラ21に入力されているものだから、補正手段22によりジブ起伏操作手段12の操作信号に対してジブ5の起伏駆動速度が所定以上まで駆動速度がでるように変更されているものだから当該補正した駆動信号がジブ起伏駆動制御手段14に出力されて、ジブ起伏用油圧シリンダ6はジブ5の使用時に比較して速く起伏駆動することができる。よって、ジブ5の張出し操作あるいは格納操作するジブセット作業時間が従来の場合と比較して早くなり、煩わしい作業となっていたジブ5のセット作業を可及的に早く済ませることができる。
【0019】
また、ジブ5を伸縮ブーム3の先端部に装着した使用時にあっては、オペレータはジブ状態入力手段20を設定しないので、ジブ状態入力手段20からは設定信号がコントローラ21に入力されず、補正手段22によりジブ起伏操作手段12の操作信号に対してジブ5の起伏速度が所定以上の速度がでるよう変更し補正した駆動信号がジブ起伏駆動手段14に出力されず、従来の技術で説明したジブ起伏操作手段12の操作に基づいた駆動信号がジブ起伏駆動制御手段14に出力される。よってジブ5の使用時には従来通りの安全なジブ起伏速度でジブ5によるクレーン作業が可能である。
【0020】
なお、上記実施形態では、ジブ状態入力手段20を手動で設定して設定信号をコントローラ21に入力させるようにしたが、手動で設定せずにジブを張出しあるいは格納するジブセット作業時を検出して当該検出器により自動的に設定するようにしてもよい。
【0021】
また、上記実施形態では、ジブ起伏駆動制御手段14を電磁比例制御弁で構成した場合について説明したが、油圧パイロット制御弁と油圧パイロット制御弁の油圧パイロット圧を制御する電磁式制御弁(電磁式減圧弁,電磁式リリーフ弁等)で構成しコントローラ21からの駆動信号を電磁式制御弁に出力して油圧パイロット制御弁を制御するように構成したものであってもよい。
【0022】
更に、上記実施形態で補正手段22は、ジブ状態入力手段20からの設定信号を受けてジブ起伏操作手段12からの操作信号に対してジブ5の起伏速度を変更し補正した駆動信号をジブ起伏駆動制御手段14に出力するようにしたが、ジブ5の伸縮長さを検出するジブ長さ検出手段23を配置し、ジブ状態入力手段20からの設定信号を受けてジブ使用時である場合に、ジブ長さ検出手段23からの信号を受けジブ5の長さによってジブ5の起伏駆動速度を変更するようにしてもよい。
【0023】
すなわち、ジブ5の長さが長くなるにつれて少しのジブ起伏角の変化がジブ先端部から吊持された吊荷11には大きな移動量として変化する度合いが高まることから、ジブ5の長さが長くなるほどジブ5の起伏駆動速度を遅くなるようにするものである。このようにすることによつて、ジブ5の長さが変化してもジブ5の起伏角変化による吊荷11の移動変化を少なくし、ジブ5によるクレーン作業の操作をし易くすることができる。
【0024】
以上のように上記実施形態では、ジブ5を伸縮ブーム3より下方に起伏させてジブセット作業を行う移動式クレーンを例に説明したが、ジブ5を伸縮ブーム3より上方に起伏させてジブセット作業を行うクレーンにも適用できる。要するに、ジブを備えジブセット作業時にジブの起伏操作をともなうクレーンであれば本発明を適用できること勿論のことである。
【0025】
【発明の効果】
本発明のクレーンのジブ起伏制御装置は、以上の如く作用し構成するものであるから、ジブの張出し操作あるいは格納操作するジブセット作業時間が従来の場合と比較して早くなり、煩わしい作業となっていたジブセット作業を可及的に早く済ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクレーンのジブ起伏制御装置を説明する説明図である。
【図2】クレーンのジブ装着状態を説明する説明図である。
【図3】クレーンのジブ格納状態を説明する説明図である。
【図4】従来のクレーンのジブ起伏制御装置を説明する説明図である。
【図5】クレーンのジブ張出し状態を説明する説明図である。
【図6】クレーンのジブ張出し状態を説明する説明図である。
【図7】クレーンのジブ張出し状態を説明する説明図である。
【符号の説明】
3 伸縮ブーム
5 ジブ
12 ジブ起伏操作手段
16 ジブ起伏駆動手段
21 コントローラ
22 補正手段

Claims (2)

  1. 使用時にはブームの先端部に装着され非使用時にはブームに沿って格納されるジブを使用時と張出しまたは格納するジブセット作業時に起伏駆動するジブ起伏駆動手段と、ジブを起伏操作するジブ起伏操作手段と、ジブ起伏操作手段からの操作信号に基づいてジブ起伏駆動手段に駆動信号を出力するコントローラを備えたクレーンのジブ起伏制御装置であって、
    使用時あるいはジブセット作業時であることを前記コントローラに入力するジブ状態入力手段を設け、ジブ状態入力手段からの入力信号がジブセット作業時である場合にはジブ起伏操作手段からの操作信号に対してジブの起伏駆動速度をジブの使用時と比較して変更するようジブ起伏駆動手段へ補正した駆動信号を出力する補正手段を前記コントローラに配置したことを特徴とするクレーンのジブ起伏制御装置。
  2. 請求項1において、前記補正手段は、ジブ状態入力手段からの入力信号がジブセット作業時である場合にはジブ起伏操作手段からの操作信号に対してジブの起伏駆動速度をジブの使用時と比較して所定以上の速度がでるようにジブ起伏駆動手段へ補正した駆動信号を出力するものであることを特徴とするクレーンのジブ起伏制御装置。
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