JP3964513B2 - トラック搭載型クレーンの安定限界信号発生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はトラック搭載型クレーンの安定限界信号発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のトラック搭載型クレーンを、図2〜図3に基づいて説明する。図2に示すようにトラック搭載型クレーンは、トラックAの運転室Bと荷台Cとの間のシャーシフレーム上に取り付けられた基台1と、基台1に旋回駆動自在に取り付けた旋回台2と、旋回台2に起伏駆動自在に取り付けたブーム3と、ブーム3の先端部に巻上巻下駆動自在に吊下した吊具4と、前記基台1の両側に張り出し可能に取り付けた張出ビーム5a,5aとこれら張出ビーム5a,5aの先端部に垂設したジャッキシリンダ5b,5bとからなる左右一対のアウトリガ5,5とから構成されている。
【0003】
図3は、トラック搭載型クレーンの駆動制御装置を示す。図3において、6は旋回台2を旋回駆動する旋回駆動用の油圧モータ、7はブーム3を起伏駆動する起伏駆動用の油圧シリンダ、8は吊具4を巻上巻下駆動する巻上巻下駆動用の油圧モータである。ジャッキシリンダ5b,5bは、伸長駆動することによってその下端に配置した接地部で地面を押圧しトラックAの前方位を持ち上げるよう構成している。なお、この例では前記ブーム3は伸縮駆動自在な伸縮式のブームで構成されており、ブーム伸縮駆動用の油圧シリンダ9により伸縮駆動されるようになっている。
【0004】
10,11、12,13および14,14は、旋回駆動用の油圧モータ6、起伏駆動用の油圧シリンダ7、巻上巻下駆動用の油圧モータ8、伸縮駆動用の油圧シリンダ9、および、ジャッキシリンダ5b,5bを駆動制御する油圧制御装置である。各油圧制御装置10〜14は、対応する油圧アクチュエータ6〜9、5b,5bの正逆駆動および停止を制御するものであり、四方向三位置型の方向切換弁で構成されている。
【0005】
油圧制御装置10〜14は、適宜の操作手段で操作可能になっている。近年、これら油圧制御装置10〜14の操作手段として遠隔操作装置が用いられるようになった。この遠隔操作装置は、図3に示すように、携帯型の操作部15と、トラック搭載型クレーンの適所に取り付けたコントローラ16で構成されている。操作部15には、前記各油圧アクチュエータ6〜9、5b,5bの正逆駆動および停止を指示する操作部(図示せず)が設けられており、これら操作部を適宜操作することで操作に係る操作信号を出力するようになっている。操作部15から出力される操作信号は、有線または無線で前記コントローラ16に入力される。コントローラ16は、切換制御信号出力部16aを備えており、この切換制御信号出力部16aは、操作部15からの操作信号に基づき操作に対応した油圧制御装置10〜14を操作に対応した方向に切換操作するための切換制御信号を出力するようになっている。
【0006】
即ち、遠隔操作装置は、各油圧制御装置10〜14を、携帯型の操作部15からトラック搭載型クレーンの適所に取り付けたコントローラ16を経由して操作可能に構成しているのである。
【0007】
ところで、このように構成したトラック搭載型クレーンには、ジャッキシリンダ5b,5bのジャッキアップ側油室(伸長動作側の圧油室)5b1,5b1の内圧が所定値以下になったことを検出して安定限界信号を発生する安定限界信号発生装置が取り付けられている。この安定限界信号発生装置は、図3に示す如くジャッキシリンダ5b,5bのジャッキアップ側油室5b1,5b1の内圧を検出する油圧検出器17,17と、これら油圧検出器17,17からの検出信号を受け取り、これら検出信号から該当するジャッキシリンダ5b,5bのジャッキアップ側油室5b1,5b1の内圧が所定値以下であるかどうかを判断し、少なくとも一方の内圧が所定値以下になった時に安定限界信号を出力する演算部18とから構成している。
【0008】
トラック搭載型クレーンを用いてクレーン作業中(アウトリガ5,5によりトラックAを安定支持した状態)に過大な荷物を吊りトラックAが転倒する場合、転倒に先立って一対のアウトリガ5,5うち反転倒側のアウトリガ5におけるジャッキシリンダ5bの支持力が低下する。従って、これらジャッキシリンダ5b,5bの支持力が安全にクレーン作業を行い得る下限を下回った時、換言すればジャッキシリンダ5b,5bのジャッキアップ側油室5b1,5b1の内圧が所定値以下になった時を、トラック搭載型クレーンの安定限界として捕らえることができるのである。上記安定限界信号発生装置は、このことを利用して安定限界信号を出力しようとするものである。安定限界信号発生装置が出力する安定限界信号は、安定限界報知用ブザー19を作動させる信号として、あるいは、トラック搭載型クレーンの作動を停止させるための自動停止装置(図示せず)の作動信号として利用している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のトラック搭載型クレーンの安定限界信号発生装置は、簡単な構成でトラック搭載型クレーンの安定限界信号を出力できるものの、次のような問題があった。
【0010】
即ち、安定限界信号発生装置が的確に作動するためには、ジャッキシリンダ5b,5bのジャッキアップ側油室5b1,5b1の内圧が、ジャッキシリンダ5b,5bの支持力を反映している必要があるが、トラック搭載型クレーンによるクレーン作業に先立ちジャッキシリンダ5b,5bを伸長駆動してトラックAの前方位をジャッキアップさせる場合、ジャッキシリンダ5b,5bを全伸長(ストロークエンドまで伸長)させるのが常であり、この場合各ジャッキシリンダ5b,5bのジャッキアップ側油室5b1,5b1に閉じ込み圧が残留する。閉じ込み圧が残留すれば、ジャッキアップ側油室5b1,5b1の内圧がジャッキシリンダ5b,5bの支持力を反映しなくなり、その結果トラック搭載型クレーンの安定限界状態において安定限界信号発生装置から安定限界信号が出力されないという問題があった。
【0011】
このような閉じ込み圧が残留しないようにするには、ジャッキシリンダ5b,5bを伸長駆動してトラックAの前方位をジャッキアップさせた後に、ジャッキシリンダ5b,5bを微小量だけ縮小駆動すれば良いが、その操作が面倒であるばかりでなく、そのような操作を忘れる場合があり危険であった。
【0012】
この発明に係るトラック搭載型クレーンの安定限界信号発生装置は、上記従来の安定限界信号発生装置が持っていた問題点を、遠隔操作装置におけるコントローラ16の構成を一部変更することで解決しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るトラック搭載型クレーンの安定限界信号発生装置は、遠隔操作装置におけるコントローラ16を、当該コントローラ16が携帯型の操作部15からのジャッキシリンダ5b,5bの伸長を指示する操作信号に応じてジャッキシリンダを駆動制御する油圧制御装置14,14を伸長側に切り換えるための切換制御信号を出力している状態で当該切換制御信号が消滅した時に、前記油圧制御装置14,14を縮小側に切り換えるための切換制御信号を微小時間だけ出力するよう構成したのである。
【0014】
このように構成した本発明に係るトラック搭載型クレーンの安定限界信号発生装置は、ジャッキシリンダ5b,5bを伸長駆動してトラックAの前方位をジャッキアップさせた後に、自動的にジャッキシリンダ5b,5bを微小量だけ縮小させるものであるから、各ジャッキシリンダ5b,5bのジャッキアップ側油室5b1,5b1に閉じ込み圧が残留することがなく、このためジャッキシリンダ5b,5bの支持力をジャッキアップ側油室5b1,5b1の内圧に反映させることができ、安定限界信号発生装置から的確な安定限界信号を出力させることができるのである。
【0015】
以下本発明に係るトラック搭載型クレーンの安定限界信号発生装置の実施例を、図1に基づいて説明する。上述したように本発明に係る安定限界信号発生装置は、ジャッキシリンダ5b,5bのジャッキアップ側油室5b1,5b1の内圧が所定値以下になったことを検出して安定限界信号を発生するよう構成してなるトラック搭載型クレーンの安定限界信号発生装置において、遠隔操作装置におけるコントローラ16の構成を一部変更して、ジャッキシリンダ5b,5bのジャッキアップ側油室5b1,5b1に閉じ込み圧が残留するのを自動的に解消するところに特徴があるものであるから、以下の説明においてはこの特徴部分の実施例について図1に基づき説明し、その他の構成については上記従来技術の説明を援用する。
【0016】
図1は、従来技術を示した図3のコントローラ16部分の構成を一部変更して示した図である。図1において、20a,20bは、コントローラ16の切換制御信号出力部16aからジャッキシリンダ5b,5bを駆動制御する油圧制御装置14,14へそれぞれ切換制御信号を出力する信号伝達回路である。20a,20aは、対応する油圧制御装置14、14を伸長側へ切り換えるための切換制御信号を出力する伸長駆動用信号伝達回路であり、20b,20bは対応する油圧制御装置14,14を縮小側へ切り換えるための切換制御信号を出力する縮小駆動用信号伝達回路である。
【0017】
21,21は、各伸長駆動用信号伝達回路20a,20aからの切換制御信号を監視し、コントローラ16(コントローラ16における切換制御信号出力部16a)が携帯型の操作部15からのジャッキシリンダ5b,5bの伸長を指示する操作信号に応じてジャッキシリンダ5b,5bを駆動制御する油圧制御装置14,14を伸長側に切り換えるための切換制御信号を出力している状態(伸長駆動用信号伝達回路20a,20aに信号を出力している状態)で当該切換制御信号が消滅した時を検出し、対応する油圧制御装置14,14への縮小駆動用信号伝達回路20b,20bに当該油圧制御装置14,14を微小時間だけ縮小側に切り換えるための切換制御信号を出力(縮小駆動用信号伝達回路20b,20bへ出力)する自動縮小駆動信号発生部である。
【0018】
このように構成したコントローラ16によれば、ジャッキシリンダ5b,5bをストロークエンドになるまで伸長させた場合であっても、その伸長駆動の終了時に自動的に微小時間だけ縮小駆動されるので、ジャッキシリンダ5b,5bのジャッキアップ側油室5b1,5b1の閉じ込み圧が確実に解消されるのである。従って、安定限界信号発生装置から的確な安定限界信号を出力することができるのである。
【0019】
【発明の効果】
本発明に係るトラック搭載型クレーンの安定限界信号発生装置は、遠隔操作装置におけるコントローラ16の構成を一部変更するだけで、的確な安定限界信号を発生することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトラック搭載型クレーンの安定限界信号発生装置の説明図である。
【図2】トラック搭載型クレーンの説明図である。
【図3】従来の安定限界信号発生装置の説明図である。
【符号の説明】
A;トラック、2;運転室、3;荷台、1;基台、2;旋回台、3;ブーム、4;吊具、5,5;アウトリガ、5a,5a;張り出しビーム、5b,5b;ジャッキシリンダ、6;油圧モータ(旋回駆動用)、7;油圧シリンダ(起伏駆動用)、8;油圧モータ(巻上巻下駆動用)、9;油圧シリンダ(伸縮駆動用)、10;油圧制御装置(旋回駆動用)、11;油圧駆動装置(起伏駆動用)、12;油圧制御装置(巻上巻下駆動用)、13;油圧制御装置(伸縮駆動用)、14,14;油圧制御装置(ジャッキシリンダ用)、15;操作部、16;コントローラ、16a;切換制御信号出力部、17,17;油圧検出器、18;演算部、19;ブザー、20a,20a;信号伝達回路(油圧制御装置14,14を伸長側に切り換える信号を伝達)20b,20b;信号伝達回路(油圧制御装置14,14を縮小側に切り換える信号を伝達)、21;自動縮小駆動信号発生部、
Claims (1)
- トラックAの運転室Bと荷台Cとの間のシャーシフレーム上に取り付けられた基台1と、基台1に旋回駆動自在に取り付けた旋回台2と、旋回台2に起伏駆動自在に取り付けたブーム3と、ブーム3の先端部に巻上巻下駆動自在に吊下した吊具4と、前記基台1の両側に張り出し可能に取り付けた張出ビーム5a,5aとこれら張出ビーム5a,5aの先端部に垂設したジャッキシリンダ5b,5bとからなる左右一対のアウトリガ5,5とからなり、前記旋回台2の旋回駆動、ブーム3の起伏駆動、吊具4の巻上巻下駆動、および、左右一対のアウトリガ5,5におけるジャッキシリンダ5b,5bの伸縮駆動を制御する各油圧制御装置10〜14を、携帯型の操作部15からトラック搭載型クレーンの適所に取り付けたコントローラ16を経由して操作可能に構成したトラック搭載型クレーンに用いられ、前記ジャッキシリンダ5b,5bのジャッキアップ側油室5b1,5b1の内圧が所定値以下になったことを検出して安定限界信号を発生するよう構成してなるトラック搭載型クレーンの安定限界信号発生装置において、
前記コントローラ16を、当該コントローラ16が携帯型の操作部15からのジャッキシリンダ5b,5bの伸長を指示する操作信号に応じてジャッキシリンダを駆動制御する油圧制御装置14,14を伸長側に切り換えるための切換制御信号を出力している状態で当該切換制御信号が消滅した時に、前記油圧制御装置14,14を縮小側に切り換えるための切換制御信号を微小時間だけ出力するよう構成したことを特徴とするトラック搭載型クレーンの安定限界信号発生装置。
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1997
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