JP3703244B2 - アウトリガを有する作業車の自動水平張り出し方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クレーン車のようなアウトリガを有する作業車の自動水平張り出し方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、クレーン車のような作業車は、作業時にアウトリガにより車体を支持して車体を安定させて作業している。また、これら作業車は傾斜地においても車体を水平に保持する必要があるため、「特開平7−137614号公報」に示すように、傾斜地でも車体を自動的に水平に設置する装置が提案されている。
【0003】
前記「特開平7−137614号公報」の車体水平設置装置は、車体の前後および左右の傾斜を検出する2軸傾斜検出器と、各ジャッキシリンダに設けられた油圧検出器と、コントローラとを備え、上記2軸傾斜検出器が検出した車体の傾斜に応じて上記各ジャッキシリンダの伸長量をコントローラで演算し、かつ、各ジャッキシリンダの接地圧力が所定値となるように各ジャッキシリンダ毎に設けられた個別バルブを制御し、ジャッキシリンダを伸長することにより車体を水平にするようにしたものである。
【0004】
これにより、傾斜地に作業車を停止して作業を行う場合、自動水平設置スイッチを操作するだけで、短時間で、かつ車体が低い重心位置で水平になるように設置することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成においては、たとえば作業車が僅かに傾いた状態で、モーメントリミッタの限度近傍で吊り荷作業を行っていた場合に、作業者等が誤って自動水平設置スイッチに接触することがあると、作業者の意思に反して、モーメントリミッタの限度を越す方向に自動水平張り出し作動が始まり、最悪の場合には転倒する恐れがある。
あるいは、実際には車両は前方が上がった状態にあるにもかかわらず、作業者は前方が下がった状態で作業していると錯覚し、これを是正するために自動水平設置スイッチを操作すると、車体水平設置装置は作動を開始し、2軸傾斜検出器は前方上がりを検出して車両の前方を下げる操作を行う。この場合には車両は作業者の予想と反対の作動を行うため、吊り荷を電線等の障害物に接触させる等、極めて危険な状態になる危険性がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたもので、車体水平設置作業を安全に行うことのできるアウトリガを有する作業車の自動水平張出し装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用および効果】
上記の目的を達成するために、本発明に係るアウトリガを有する作業車の自動水平張り出し方法の第1の発明は、作業車に設置された複数のアウトリガの各ジャッキシリンダをジッキアップして車体を水平に制御する作業車のアウトリガ自動張出し方法において、前記作業車のブーム長、ブームの起伏角、あるいはブームの旋回角等のブームの状態、吊り荷の状態、アウトリガの張出し手動スイッチの操作状態、ジブ作業モード、ブーム作業モード等の上部作業モード選択スイッチの操作状態、あるいはアウトリガ作業/オンタイヤ作業選択スイッチの操作状態の少なくとも一つを検出して、これらの検出値から前記車体を水平にするジャッキシリンダの伸長制御が危険な状態にあると判断されるときには、前記ジャッキシリンダをジッキアップして車体を水平に制御する指令信号を遮断することを特徴とする。
【0008】
第1の発明によれば、ブームが長過ぎたり、起伏角が大き過ぎたり、あるいは旋回角が許容範囲にない等の場合、吊り荷が過大の場合、アウトリガの手動張出しスイッチが各ジャッキシリンダの伸び操作側にない場合、選択スイッチにより選択された各上部作業モードにおける吊り荷が過大の場合、あるいはアウトリガ作業/オンタイヤ作業選択スイッチがオンタイヤ作業に選択されている場合の少なくとも一つを検出すると、ジャッキシリンダをジッキアップして車体を水平にする制御が作動しないため、作業車の転倒等の危険を未然に防止して作業の安全性を向上できる。
【0009】
本発明に係るアウトリガを有する作業車の自動水平張り出し方法の第2の発明は、第1の発明において、前記ジャッキシリンダをジッキアップして車体を水平に制御する指令信号を遮断したときには、その状況を音声、あるいは表示装置にて警告することを特徴とする。
【0010】
第2発明によれば、車体を水平にするジャッキシリンダの伸長制御が作動しない場合には、その状況が音声、あるいは表示装置にて警告されるため、ジャッキシリンダの伸長制御が作動しない原因を解決して、ジャッキシリンダの伸長制御を継続することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係るアウトリガを有する作業車の自動水平張出し方法の実施例について、図面を参照して詳述する。
【0012】
図1はアウトリガを有する作業車の自動水平張出し装置を備えたクレーン車1の側面図である。
下部走行体2には上部旋回体3が旋回自在に搭載され、上部旋回体3には多段式の伸縮ブーム4が起伏シリンダ5により起伏自在に装着されている。下部走行体2には右前アウトリガ10a、右後アウトリガ10b、左前アウトリガ10cおよび左後アウトリガ10dが設けられている。そしてそれぞれのアウトリガ10a,10b,10c,10dにはそれぞれ右前ジャッキシリンダ11a、右後ジャッキシリンダ11b、左前ジャッキシリンダ11cおよび左後ジャッキシリンダ11dが取着されている。
【0013】
下部走行体2には前後、左右の傾斜を検出する2軸傾斜検出器6が取着されており、前後、左右の傾斜を検出してコントローラ40でそれぞれのジャッキシリンダ11a,11b,11c,11dの伸長量を演算し、所定のジャッキシリンダ11を所定量だけ伸長させて車体を自動的に水平にするようになっている。
伸縮ブーム4にはブーム長を検出するブーム長センサ21が設けられている。これはブーム長が所定値に達したときにON/OFFするリミットスイッチでもよい。また、伸縮ブーム4には起伏角を検出する起伏角センサ22が取着されている。
上部旋回体3には上部旋回体3の下部走行体2に対する旋回角を検出する旋回角センサ23が設けられている。これは上部旋回体3の旋回角が所定値に達したときにON/OFFするリミットスイッチでもよい。
24は吊り荷Wの荷重を検出する吊り荷重センサであるが、起伏シリンダ5に圧力センサを設け、その圧力と起伏角センサ22とから荷重を演算する方式であってもよい。
【0014】
図2は本発明のアウトリガ10(10a〜10d)を有する作業車の自動水平張出し装置20の構成を示すブロック図である。
ブーム長センサ21と、起伏角センサ22と、旋回角センサ23と、吊り荷重センサ24とは、コントローラ40に設けられた自動水平張り出し許容/非許容決定部(以後、許容/非許容決定部と称する)41と接続しており、各センサは自動水平張出し制御の作動の許容/非許容決定部41に検出値を送信するようになっている。
ジャッキシリンダ11の伸/縮作動をどちらかに切り換えるジャッキシリンダ伸/縮切換スイッチ31は、切換位置検出器32を介して許容/非許容決定部41と接続し、検出信号を送信するようになっている。また、ジャッキシリンダ11の伸/縮作動か、あるいはアウトリガ10(ジャッキシリンダ11)の左右方向のスライド作動のどちらかに切り換えるジャッキ/スライド切換スイッチ33は、切換位置検出器32を介して許容/非許容決定部41と接続し、検出信号を送信するようになっている。
【0015】
ジブ作業やブーム作業等におけるモーメントリミッタの荷重表はそれぞれの作業モードにより異なる。この作業モードを選択する作業モード選択スイッチ34は、選択位置検出器35を介して許容/非許容決定部41と接続し、検出信号を送信するようになっている。
また、車体をアウトリガ10で支持して作業するアウトリガ作業モードと、車体をタイヤで支持して作業するオンタイヤ作業モードでは、モーメントリミッタの荷重表はそれぞれの作業モード(下部走行体の作業モード)により異なる。この下部走行体の作業モードを選択する下部走行体モード選択スイッチ36は、選択モード検出器37を介して許容/非許容決定部41と接続し、検出信号を送信するようになっている。
【0016】
作業車の自動水平張り出し作業の開始を指示する自動水平張出し指令スイッチ(以後、指令スイッチと称する)43は許容/非許容決定部41を介してコントローラ40に設けられた自動水平張出し制御部(以後、張出し制御部と称する)42に接続しており、指令信号を送信するようになっている。
音声、あるいはインジケータパネルまたはインジケータランプ等からなる警告装置44は許容/非許容決定部41と接続し、指令信号を受信して警告を発するようになっている。
張出し制御部42はそれぞれのジャッキシリンダ11a,11b,11c,11dの伸縮を制御する右前ジャッキ制御バルブ12a、右後ジャッキ制御バルブ12b、左前ジャッキ制御バルブ12cおよび左後ジャッキ制御バルブ12dと接続しており、前記の指令信号を受信してそれぞれのジャッキ制御バルブ12にジャッキシリンダ11を伸長する制御信号を発信するようになっている。
【0017】
許容/非許容決定部41は各センサあるいは検出装置からの検出結果を受信し、それらの検出結果が所定値に達している場合には、非許容と決定し、指令スイッチ43から張出し制御部42への指令信号を遮断する、いわゆるインタロック装置を構成している。
【0018】
つぎに作動について説明する。
例えば作業車が僅かに傾いた状態で、モーメントリミッタの限度近傍で吊り荷作業を行っていた場合に、作業者等が誤って指令スイッチ43に触れるようなことがあると、指令スイッチ43がONとなり、許容/非許容決定部41に自動水平張出し指令信号を発信するが、次の各場合にインタロックが作動する。
(1)ブーム長センサ21の検出結果が、所定のブーム長以上の場合には、許容/非許容決定部41は、アウトリガ水平制御時の車体の揺れに伴い、ブームが大きく揺れ、近辺の構造物を損傷する可能性があるため、自動水平張出し作業を行うことは危険と判断し、張出し制御部42への自動水平張出し指令信号を遮断する。そのため、長く伸びたブームがアウトリガを張り出す際の車体の揺れにより、近辺の構造物を損傷することなく安全である。
(2)起伏角センサ22の検出結果が、所定の起伏角以上の場合には、許容/非許容決定部41は、後方安定度が危険域となり、作業車が後方に転倒する危険性があると判断し、張出し制御部42への自動水平張出し指令信号を遮断する。そのため、車両が後方に転倒する危険性はなく安全である。
(3)旋回角センサ23の検出結果が、所定の旋回角の範囲、すなわち、側方吊りの許容範囲にない場合には、許容/非許容決定部41は自動水平張出し作業を行うと、車両が転倒する危険があると判断し、張出し制御部42への自動水平張出し指令信号を遮断する。そのため、車両が側方に転倒する危険性はなく安全である。
【0019】
(4)吊り荷重センサ24の検出結果が、所定の吊り荷重を越えた場合には、許容/非許容検定部41は、重心位置が偏っているため自動水平張出し作業を行うことは危険と判断し、張出し制御部42への自動水平張出し指令信号を遮断する。そのため、車両が転倒する危険性は防止され安全である。
(5)切換位置検出器32は、ジャッキ/スライド切換スイッチ33がジャッキ位置に切り換えられており、かつ伸、中立、縮の3位置を備えているジャッキシリンダ伸/縮切換スイッチ31では伸位置に切り換えられているか、あるいは他に自動張出し位置を備えているジャッキシリンダ伸/縮切換スイッチ31では,この自動張出し位置に切換られていると検出した場合以外には、許容/非許容決定部41は、作業者が自動水平張出し作業を行う意思がないものと判断し、張出し制御部42への自動水平張出し指令信号を遮断する。そのためアウトリガ10がスライド中で未だ接地していない状態で自動張出し制御が開始されたり、ジャッキシリンダ11の短縮中にアウトリガ10の自動張出し制御が開始され、自動張出し制御中にオンタイヤ状態になり作業車の支持が不安定になる危険性を防止できる。
【0020】
(6)作業モード選択スイッチ35が選択するジブ作業、ブーム作業等各作業モードを検出した場合には、選択位置検出器34からの検出信号により許容/非許容決定部41は前記各作業モードでの吊り能力値に応じて、張出し制御部42への自動張出し制御指令信号を遮断する。そのため吊り能力値の高い作業モードでは作業能率を向上でき、吊り能力値の低い作業モードでは作業の安全性を向上できる。
(7)下部走行体モード選択スイッチ36がオンタイヤ作業モードを選択していることを検出した場合には、許容/非許容決定部41はオペレータがアウトリガを動かす意志がない、つまり自動水平張出しを行う意志がないと判断し、選択モード検出器37からの信号により張出し制御部42への自動張出し制御指令信号を遮断する。そのため、オペレータの予期しない時にアウトリガがジャッキアップして車体が揺れて付近の構造物を損傷する等の危険を回避できる。
【0021】
また、許容/非許容決定部41は非許容と決定した場合には警告装置44に指令信号を発信して、アウトリガの自動張出し制御が行われない原因等の警告を発する。この警告はブザー等の音声、あるいはインジケータや表示モニタへのメッセージ表示によってなされる。そのため、作業者は操作に何らかの誤りがあることを知ることができ、危険を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアウトリガを有する作業車の自動水平張出し装置を備えたクレーン車の側面図である。
【図2】本発明のアウトリガを有する作業車の自動水平張出し装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
11a 右前ジャッキシリンダ
11b 右後ジャッキシリンダ
11c 左前ジャッキシリンダ
11d 左後ジャッキシリンダ
12a 右前ジャッキ制御バルブ
12b 右後ジャッキ制御バルブ
12c 左前ジャッキ制御バルブ
12d 左後ジャッキ制御バルブ
20 自動水平張出し装置
21 ブーム長センサ
22 起伏角センサ
23 旋回角センサ
24 吊り荷重センサ
31 ジャッキシリンダ伸/縮切換スイッチ
32 切換位置検出器
33 ジャッキ/スライド切換スイッチ
34 作業モード選択スイッチ
35 選択位置検出器
36 下部走行体モード選択スイッチ
37 選択モード検出器
40 コントローラ
41 自動水平張出し許容/非許容決定部
42 自動水平張出し制御部
43 自動水平張出し指令スイッチ
44 警告装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、クレーン車のようなアウトリガを有する作業車の自動水平張り出し方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、クレーン車のような作業車は、作業時にアウトリガにより車体を支持して車体を安定させて作業している。また、これら作業車は傾斜地においても車体を水平に保持する必要があるため、「特開平7−137614号公報」に示すように、傾斜地でも車体を自動的に水平に設置する装置が提案されている。
【0003】
前記「特開平7−137614号公報」の車体水平設置装置は、車体の前後および左右の傾斜を検出する2軸傾斜検出器と、各ジャッキシリンダに設けられた油圧検出器と、コントローラとを備え、上記2軸傾斜検出器が検出した車体の傾斜に応じて上記各ジャッキシリンダの伸長量をコントローラで演算し、かつ、各ジャッキシリンダの接地圧力が所定値となるように各ジャッキシリンダ毎に設けられた個別バルブを制御し、ジャッキシリンダを伸長することにより車体を水平にするようにしたものである。
【0004】
これにより、傾斜地に作業車を停止して作業を行う場合、自動水平設置スイッチを操作するだけで、短時間で、かつ車体が低い重心位置で水平になるように設置することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成においては、たとえば作業車が僅かに傾いた状態で、モーメントリミッタの限度近傍で吊り荷作業を行っていた場合に、作業者等が誤って自動水平設置スイッチに接触することがあると、作業者の意思に反して、モーメントリミッタの限度を越す方向に自動水平張り出し作動が始まり、最悪の場合には転倒する恐れがある。
あるいは、実際には車両は前方が上がった状態にあるにもかかわらず、作業者は前方が下がった状態で作業していると錯覚し、これを是正するために自動水平設置スイッチを操作すると、車体水平設置装置は作動を開始し、2軸傾斜検出器は前方上がりを検出して車両の前方を下げる操作を行う。この場合には車両は作業者の予想と反対の作動を行うため、吊り荷を電線等の障害物に接触させる等、極めて危険な状態になる危険性がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたもので、車体水平設置作業を安全に行うことのできるアウトリガを有する作業車の自動水平張出し装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用および効果】
上記の目的を達成するために、本発明に係るアウトリガを有する作業車の自動水平張り出し方法の第1の発明は、作業車に設置された複数のアウトリガの各ジャッキシリンダをジッキアップして車体を水平に制御する作業車のアウトリガ自動張出し方法において、前記作業車のブーム長、ブームの起伏角、あるいはブームの旋回角等のブームの状態、吊り荷の状態、アウトリガの張出し手動スイッチの操作状態、ジブ作業モード、ブーム作業モード等の上部作業モード選択スイッチの操作状態、あるいはアウトリガ作業/オンタイヤ作業選択スイッチの操作状態の少なくとも一つを検出して、これらの検出値から前記車体を水平にするジャッキシリンダの伸長制御が危険な状態にあると判断されるときには、前記ジャッキシリンダをジッキアップして車体を水平に制御する指令信号を遮断することを特徴とする。
【0008】
第1の発明によれば、ブームが長過ぎたり、起伏角が大き過ぎたり、あるいは旋回角が許容範囲にない等の場合、吊り荷が過大の場合、アウトリガの手動張出しスイッチが各ジャッキシリンダの伸び操作側にない場合、選択スイッチにより選択された各上部作業モードにおける吊り荷が過大の場合、あるいはアウトリガ作業/オンタイヤ作業選択スイッチがオンタイヤ作業に選択されている場合の少なくとも一つを検出すると、ジャッキシリンダをジッキアップして車体を水平にする制御が作動しないため、作業車の転倒等の危険を未然に防止して作業の安全性を向上できる。
【0009】
本発明に係るアウトリガを有する作業車の自動水平張り出し方法の第2の発明は、第1の発明において、前記ジャッキシリンダをジッキアップして車体を水平に制御する指令信号を遮断したときには、その状況を音声、あるいは表示装置にて警告することを特徴とする。
【0010】
第2発明によれば、車体を水平にするジャッキシリンダの伸長制御が作動しない場合には、その状況が音声、あるいは表示装置にて警告されるため、ジャッキシリンダの伸長制御が作動しない原因を解決して、ジャッキシリンダの伸長制御を継続することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係るアウトリガを有する作業車の自動水平張出し方法の実施例について、図面を参照して詳述する。
【0012】
図1はアウトリガを有する作業車の自動水平張出し装置を備えたクレーン車1の側面図である。
下部走行体2には上部旋回体3が旋回自在に搭載され、上部旋回体3には多段式の伸縮ブーム4が起伏シリンダ5により起伏自在に装着されている。下部走行体2には右前アウトリガ10a、右後アウトリガ10b、左前アウトリガ10cおよび左後アウトリガ10dが設けられている。そしてそれぞれのアウトリガ10a,10b,10c,10dにはそれぞれ右前ジャッキシリンダ11a、右後ジャッキシリンダ11b、左前ジャッキシリンダ11cおよび左後ジャッキシリンダ11dが取着されている。
【0013】
下部走行体2には前後、左右の傾斜を検出する2軸傾斜検出器6が取着されており、前後、左右の傾斜を検出してコントローラ40でそれぞれのジャッキシリンダ11a,11b,11c,11dの伸長量を演算し、所定のジャッキシリンダ11を所定量だけ伸長させて車体を自動的に水平にするようになっている。
伸縮ブーム4にはブーム長を検出するブーム長センサ21が設けられている。これはブーム長が所定値に達したときにON/OFFするリミットスイッチでもよい。また、伸縮ブーム4には起伏角を検出する起伏角センサ22が取着されている。
上部旋回体3には上部旋回体3の下部走行体2に対する旋回角を検出する旋回角センサ23が設けられている。これは上部旋回体3の旋回角が所定値に達したときにON/OFFするリミットスイッチでもよい。
24は吊り荷Wの荷重を検出する吊り荷重センサであるが、起伏シリンダ5に圧力センサを設け、その圧力と起伏角センサ22とから荷重を演算する方式であってもよい。
【0014】
図2は本発明のアウトリガ10(10a〜10d)を有する作業車の自動水平張出し装置20の構成を示すブロック図である。
ブーム長センサ21と、起伏角センサ22と、旋回角センサ23と、吊り荷重センサ24とは、コントローラ40に設けられた自動水平張り出し許容/非許容決定部(以後、許容/非許容決定部と称する)41と接続しており、各センサは自動水平張出し制御の作動の許容/非許容決定部41に検出値を送信するようになっている。
ジャッキシリンダ11の伸/縮作動をどちらかに切り換えるジャッキシリンダ伸/縮切換スイッチ31は、切換位置検出器32を介して許容/非許容決定部41と接続し、検出信号を送信するようになっている。また、ジャッキシリンダ11の伸/縮作動か、あるいはアウトリガ10(ジャッキシリンダ11)の左右方向のスライド作動のどちらかに切り換えるジャッキ/スライド切換スイッチ33は、切換位置検出器32を介して許容/非許容決定部41と接続し、検出信号を送信するようになっている。
【0015】
ジブ作業やブーム作業等におけるモーメントリミッタの荷重表はそれぞれの作業モードにより異なる。この作業モードを選択する作業モード選択スイッチ34は、選択位置検出器35を介して許容/非許容決定部41と接続し、検出信号を送信するようになっている。
また、車体をアウトリガ10で支持して作業するアウトリガ作業モードと、車体をタイヤで支持して作業するオンタイヤ作業モードでは、モーメントリミッタの荷重表はそれぞれの作業モード(下部走行体の作業モード)により異なる。この下部走行体の作業モードを選択する下部走行体モード選択スイッチ36は、選択モード検出器37を介して許容/非許容決定部41と接続し、検出信号を送信するようになっている。
【0016】
作業車の自動水平張り出し作業の開始を指示する自動水平張出し指令スイッチ(以後、指令スイッチと称する)43は許容/非許容決定部41を介してコントローラ40に設けられた自動水平張出し制御部(以後、張出し制御部と称する)42に接続しており、指令信号を送信するようになっている。
音声、あるいはインジケータパネルまたはインジケータランプ等からなる警告装置44は許容/非許容決定部41と接続し、指令信号を受信して警告を発するようになっている。
張出し制御部42はそれぞれのジャッキシリンダ11a,11b,11c,11dの伸縮を制御する右前ジャッキ制御バルブ12a、右後ジャッキ制御バルブ12b、左前ジャッキ制御バルブ12cおよび左後ジャッキ制御バルブ12dと接続しており、前記の指令信号を受信してそれぞれのジャッキ制御バルブ12にジャッキシリンダ11を伸長する制御信号を発信するようになっている。
【0017】
許容/非許容決定部41は各センサあるいは検出装置からの検出結果を受信し、それらの検出結果が所定値に達している場合には、非許容と決定し、指令スイッチ43から張出し制御部42への指令信号を遮断する、いわゆるインタロック装置を構成している。
【0018】
つぎに作動について説明する。
例えば作業車が僅かに傾いた状態で、モーメントリミッタの限度近傍で吊り荷作業を行っていた場合に、作業者等が誤って指令スイッチ43に触れるようなことがあると、指令スイッチ43がONとなり、許容/非許容決定部41に自動水平張出し指令信号を発信するが、次の各場合にインタロックが作動する。
(1)ブーム長センサ21の検出結果が、所定のブーム長以上の場合には、許容/非許容決定部41は、アウトリガ水平制御時の車体の揺れに伴い、ブームが大きく揺れ、近辺の構造物を損傷する可能性があるため、自動水平張出し作業を行うことは危険と判断し、張出し制御部42への自動水平張出し指令信号を遮断する。そのため、長く伸びたブームがアウトリガを張り出す際の車体の揺れにより、近辺の構造物を損傷することなく安全である。
(2)起伏角センサ22の検出結果が、所定の起伏角以上の場合には、許容/非許容決定部41は、後方安定度が危険域となり、作業車が後方に転倒する危険性があると判断し、張出し制御部42への自動水平張出し指令信号を遮断する。そのため、車両が後方に転倒する危険性はなく安全である。
(3)旋回角センサ23の検出結果が、所定の旋回角の範囲、すなわち、側方吊りの許容範囲にない場合には、許容/非許容決定部41は自動水平張出し作業を行うと、車両が転倒する危険があると判断し、張出し制御部42への自動水平張出し指令信号を遮断する。そのため、車両が側方に転倒する危険性はなく安全である。
【0019】
(4)吊り荷重センサ24の検出結果が、所定の吊り荷重を越えた場合には、許容/非許容検定部41は、重心位置が偏っているため自動水平張出し作業を行うことは危険と判断し、張出し制御部42への自動水平張出し指令信号を遮断する。そのため、車両が転倒する危険性は防止され安全である。
(5)切換位置検出器32は、ジャッキ/スライド切換スイッチ33がジャッキ位置に切り換えられており、かつ伸、中立、縮の3位置を備えているジャッキシリンダ伸/縮切換スイッチ31では伸位置に切り換えられているか、あるいは他に自動張出し位置を備えているジャッキシリンダ伸/縮切換スイッチ31では,この自動張出し位置に切換られていると検出した場合以外には、許容/非許容決定部41は、作業者が自動水平張出し作業を行う意思がないものと判断し、張出し制御部42への自動水平張出し指令信号を遮断する。そのためアウトリガ10がスライド中で未だ接地していない状態で自動張出し制御が開始されたり、ジャッキシリンダ11の短縮中にアウトリガ10の自動張出し制御が開始され、自動張出し制御中にオンタイヤ状態になり作業車の支持が不安定になる危険性を防止できる。
【0020】
(6)作業モード選択スイッチ35が選択するジブ作業、ブーム作業等各作業モードを検出した場合には、選択位置検出器34からの検出信号により許容/非許容決定部41は前記各作業モードでの吊り能力値に応じて、張出し制御部42への自動張出し制御指令信号を遮断する。そのため吊り能力値の高い作業モードでは作業能率を向上でき、吊り能力値の低い作業モードでは作業の安全性を向上できる。
(7)下部走行体モード選択スイッチ36がオンタイヤ作業モードを選択していることを検出した場合には、許容/非許容決定部41はオペレータがアウトリガを動かす意志がない、つまり自動水平張出しを行う意志がないと判断し、選択モード検出器37からの信号により張出し制御部42への自動張出し制御指令信号を遮断する。そのため、オペレータの予期しない時にアウトリガがジャッキアップして車体が揺れて付近の構造物を損傷する等の危険を回避できる。
【0021】
また、許容/非許容決定部41は非許容と決定した場合には警告装置44に指令信号を発信して、アウトリガの自動張出し制御が行われない原因等の警告を発する。この警告はブザー等の音声、あるいはインジケータや表示モニタへのメッセージ表示によってなされる。そのため、作業者は操作に何らかの誤りがあることを知ることができ、危険を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアウトリガを有する作業車の自動水平張出し装置を備えたクレーン車の側面図である。
【図2】本発明のアウトリガを有する作業車の自動水平張出し装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
11a 右前ジャッキシリンダ
11b 右後ジャッキシリンダ
11c 左前ジャッキシリンダ
11d 左後ジャッキシリンダ
12a 右前ジャッキ制御バルブ
12b 右後ジャッキ制御バルブ
12c 左前ジャッキ制御バルブ
12d 左後ジャッキ制御バルブ
20 自動水平張出し装置
21 ブーム長センサ
22 起伏角センサ
23 旋回角センサ
24 吊り荷重センサ
31 ジャッキシリンダ伸/縮切換スイッチ
32 切換位置検出器
33 ジャッキ/スライド切換スイッチ
34 作業モード選択スイッチ
35 選択位置検出器
36 下部走行体モード選択スイッチ
37 選択モード検出器
40 コントローラ
41 自動水平張出し許容/非許容決定部
42 自動水平張出し制御部
43 自動水平張出し指令スイッチ
44 警告装置
Claims (2)
- 作業車に設置された複数のアウトリガの各ジャッキシリンダをジャッキアップして車体を水平に制御するアウトリガを有する作業車の自動水平張り出し方法において、前記作業車のブーム長、ブームの起伏角、あるいはブームの旋回角等のブームの状態、吊り荷の状態、アウトリガの張出し手動スイッチの操作状態、ジブ作業モード、ブーム作業モード等の上部作業モード選択スイッチの操作状態、あるいはアウトリガ作業/オンタイヤ作業選択スイッチの操作状態の少なくとも一つを検出して、これらの検出値から前記車体を水平にするジャッキシリンダの伸長制御が危険な状態にあると判断されるときには、前記ジャッキシリンダをジャッキアップして車体を水平に制御する指令信号を遮断することを特徴とするアウトリガを有する作業車の自動水平張り出し方法。
- 請求項1記載のアウトリガを有する作業車の自動水平張り出し方法において、前記ジャッキシリンダをジャッキアップして車体を水平に制御する指令信号を遮断したときには、その状況を音声、あるいは表示装置にて警告することを特徴とするアウトリガを有する作業車の自動水平張り出し方法。
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