JP6479530B2 - クレーン車のジブ駆動装置 - Google Patents

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本発明は、ブームの一側に折り畳んで格納されるジブを備えたクレーン車のジブ駆動装置の改良に関する。
吊荷作業に用いるジブと、ジブをブームの先端に取り付けるためのジブベースと、ジブベースに基部を枢着されたジブを垂直面内で俯仰させるためのジブデリックシリンダとを備えたクレーン車のジブ駆動装置(以下、単にジブ駆動装置という)が既に公知である。
この種のジブ駆動装置は、ジブをブームの一側に折り畳んで格納する必要上、ジブベースの一側がブーム先端の左右の何れか一側にジブベース枢着ピンを介して水平面内で揺動自在な状態で枢着されている。
そして、吊荷作業を行う場合には、ジブベース枢着ピンの周りにジブを揺動させてブーム先端の正面にジブベースを位置させ、ジブベースの他側をジブベース固定ピンによってブーム先端の他側に固定した状態で、ジブベースに一端を枢着されて他端をジブの中間部に枢着されたジブデリックシリンダを伸縮させて、垂直面内においてブームに対してジブが一直線上に並ぶ角度、つまり、ジブデリックシリンダが最縮小化する状態もしくは最伸長化する状態を最大仰角として、必要に応じてジブを垂直面内で俯仰させる。この際、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブがほぼ一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際にジブデリックシリンダを縮小させる構造のもの、つまり、ジブの上面側にジブデリックシリンダを配置した構造のものであれば、ジブデリックシリンダを最縮小化した状態でブームに対してジブが一直線上に並び、また、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際にジブデリックシリンダを伸長させる構造のもの、つまり、ジブの下面側にジブデリックシリンダを配置した構造のものであれば、ジブデリックシリンダを最伸長化した状態でブームに対してジブが一直線上に並ぶことになる。
一方、ジブを格納する場合には、ジブベース固定ピンを外してジブベースをブームに対して揺動可能な状態とし、ジブベースおよびジブをジブベース枢着ピンの周りに揺動させてブームの一側にジブを折り畳み、ジブデリックシリンダを最縮小化した状態もしくは最伸長化した状態、つまり、ブームの一側にジブを平行に沿わせた状態で、ジブ固定手段を用いてジブをブームに固定する。
また、垂直面内でジブを俯仰させるジブデリックシリンダは、ピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室のうち何れか一方の油室に選択的に作動油を供給すると共に他方の油室から排出される作動油の還流を許容する油圧回路によって操作されるようになっている。
既に述べたように、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際の操作がジブデリックシリンダの縮小操作であれば、ピストンロッド側油室に作動油を送り込んでジブデリックシリンダを縮小させた状態でジブは仰角の姿勢をとり、また、これとは逆に垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際の操作がジブデリックシリンダの伸長操作であれば、反ピストンロッド側油室に作動油を送り込んでジブデリックシリンダを伸長させた状態でジブは俯角の姿勢をとることになる。
ここで、図8を参照して、ジブ駆動装置を備えたクレーン車の構成の概略、および、ブームの一側に格納されているジブをブームの先端に振り出す際の操作について簡単に説明する。
前述したように、ジブに仰角の姿勢をとらせる際にジブデリックシリンダを縮小させる構造とジブに仰角の姿勢をとらせる際にジブデリックシリンダを伸長させる構造とが考えられるが、ここでは、ジブに仰角の姿勢をとらせる際にジブデリックシリンダを縮小させる構造、つまり、ジブの上面側にジブデリックシリンダを配置した構造のものを例にとって説明するものとする。
図8(a)はジブを格納した状態のクレーン車の外観について簡略化して示した側面図である。
クレーン車101の主要部は、概略において、下部走行体102と、下部走行体102の上に旋回可能に設置された上部旋回体103、および、上部旋回体103に基部を枢着されて垂直面内で俯仰するブーム104と、このブーム104を俯仰させるためのブーム起伏用油圧シリンダ105によって構成され、上部旋回体103には走行用兼クレーン作業用のキャビン106が一体的に配備されると共に、下部走行体102の四隅には、姿勢安定用のアウトリガー107が装備されている。
吊荷作業に用いられるジブ108は、ジブベース109を介してブーム4の先端に取り付けられており、その格納状態にあっては図8(a)に示されるようにしてブーム104の一側に折り畳まれ、図示しないジブ固定手段によってブーム104に固定されている。図8(a)に示される通り、ジブベース109の一側はジブベース枢着ピン110を介してブーム104の先端の一側つまり此の例ではブーム104の左側面に揺動自在に枢着されている。
図8(a)の格納状態にあるジブ108をブーム104の先端に振り出す際のセットアップ作業は、具体的には、以下のようにして実施される。
まず、ジブ108をブーム104の一側に固定しているジブ固定手段を解除し、図8(a)に示される状態からブーム起伏用油圧シリンダ105を伸長させてブーム104を或る程度の角度に立ち上げ、ブーム104の先端と地面との間に十分な間隙を確保した上で、図8(a)に示されるような最縮小の状態にあるジブデリックシリンダ111を伸長させ、ジブ108を振り出して垂直面内で俯仰させることにより、図8(b)に示されるように、ジブ108がブーム104に対して略直交した状態とする。
次いで、ジブベース枢着ピン110を中心に、ブーム104の左側面から離間する方向に向けて、ジブベース109およびジブ108を180°揺動させることにより、図8(c)に示されるようにしてブーム104の先端正面にジブベース109を位置させる。なお、ジブ108をブーム104に対して略直交させた状態でジブベース枢着ピン110を中心にジブ108を揺動させるのは、ジブ108をジブベース枢着ピン110に接近させてジブベース枢着ピン110を中心とするジブ108の回転半径を小さくすること、つまり、ジブ108のセットアップに必要とされる作業領域を縮小化することが主な目的である。
次いで、ブーム起伏用油圧シリンダ105を縮小させて図8(c)の状態からブーム104を徐々に倒しつつ、ジブデリックシリンダ111を縮小させて図8(c)の状態からジブ108を徐々に立ち上げて行き、最終的に、図8(d)に示されるようにしてブーム104とジブ108を地面に対して略平行な状態とする。
そして、ジブベース固定ピン112を用いてジブベース109の他側をブーム104の先端の他側つまり此の例ではブーム104の先端の右側に固定することにより、ジブベース109をブーム104の先端に強固に固定して、ジブ108を利用した吊荷作業が可能な状態とする。ブーム104とジブ108が地面に対して略平行となった状態ではブーム104の先端が十分に地面に接近しているので、ジブベース固定ピン112を取り付けるための高所作業が不要となるメリットがある。
一方、吊荷作業を終えてジブ108を格納する場合の作業は、上記とは逆に、ブーム104とジブ108を地面に対して略平行な状態としてジブベース固定ピン112を取り外す操作(図8(d)参照)、ブーム104を徐々に立ち上げながらジブ108を徐々に倒してジブ108をブーム104に対して略直交させる操作(図8(c)参照)、ジブベース枢着ピン110を中心にしてジブベース109およびジブ108を前記とは逆の方向に180°揺動させてジブベース109をブーム104の一側に位置決めする操作(図8(b)参照)、ジブデリックシリンダ111を縮小してジブ108を垂直面内で俯仰させることによってブーム104の一側にジブ108を平行に沿わせる操作(図8(a)参照)、ジブ108を図示しないジブ固定手段によってブーム104に固定する操作が順に実施されることになる。
しかしながら、この種のジブ駆動装置にあっては、ジブ108を俯仰させるジブデリックシリンダ111の伸縮速度は、ブーム104の先端正面にジブベース109を位置させてジブ108を振り出した状態で行われる通常の吊荷作業に際して安全が確保されるように制限されているので、ジブ108の俯仰による荷重の移動や衝撃の発生を特に考慮する必要のないジブ108のセットアップ作業や格納作業に際してもジブ108の俯仰速度が過剰に制限されてしまい、ジブ108のセットアップ作業や格納作業が円滑に行えなくなるといった不都合があった。
この種の不都合を改善するための一手段としては、既に、特許文献1に開示されるようなジブ起伏制御装置が提案されている。
特許文献1に開示されるジブ起伏制御装置は、電磁比例制御弁等からなるジブ起伏駆動制御手段に入力する駆動信号を切り替えることによって、吊荷作業時におけるジブデリックシリンダの伸縮速度とジブのセットアップ作業や格納作業時におけるジブデリックシリンダの伸縮速度を変化させるようにしている。
具体的には、特許文献1に開示されるジブ起伏制御装置は、吊荷作業時におけるジブデリックシリンダの伸縮速度に比べてジブのセットアップ作業や格納作業時におけるジブデリックシリンダの伸縮速度を高速化するように構成しており、駆動信号の切り替えは、補正手段に対するオペレータの設定操作によって手動で行うか、もしくは、ジブの振り出しや格納を検出する何らかの検出器を設けて自動的に行うようになっている。コントローラに入力される操作信号の生成源は操作レバーに取り付けられたポテンショメータであるから、特許文献1に開示されるジブ起伏制御装置にあっては、駆動信号の切り替えも電磁比例制御弁等への指令電圧の変更によって実現されているものと考えられる。例えば、ジブのセットアップ作業や格納作業に際して補正手段を作動させることによってポテンショメータからの操作信号にオーバーライドを掛けて電磁比例制御弁等の開度調整を行うようにすれば、吊荷作業時におけるジブデリックシリンダの伸縮速度に比べてジブのセットアップ作業や格納作業時におけるジブデリックシリンダの伸縮速度を容易に高速化することができよう。
特許第4988990号公報(段落0004,0007〜0010,0018,0020,図3,図5〜図7)
また、特許文献1に開示されたものとは別の構成によって吊荷作業時におけるジブデリックシリンダの伸縮速度を制限し、吊荷作業の安全を確保するようにしたジブ駆動装置も実用化されている。
その構成は、具体的には、ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室に各々の管路を介して連絡する切換弁を設け、この切換弁の操作によってジブデリックシリンダの伸縮を操作すると共に、更に、ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室のうち、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室、より具体的に、例えば、図8のようにジブの上面側にジブデリックシリンダを配置した構造のものに限定して言えば、ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と切換弁との間の管路にピストンロッド側油室から排出される作動油に対してのみ負荷を与える流量調整弁を設けることによって、吊荷作業時におけるジブデリックシリンダの伸長速度、つまり、ジブの振り下ろし速度に制限を加えようというものである。
このような構成を適用した場合には、ジブデリックシリンダの伸縮速度の変更に電気的な信号を必要としないので、電気的な故障因子によるトラブルがなく、ジブ駆動装置の耐久性や信頼性が向上するといったメリットがある。つまり、特許文献1に開示されるような構成のものにあっては、ジブデリックシリンダの伸縮方向を規定する操作レバーに取り付けられたポテンショメータからの電気信号と通常の吊荷作業中であるのかセットアップ作業中であるのかを識別するために補正手段から出力される電気信号といった2種の電気信号をコントローラが受け、これら2種の電気信号に基いて、電磁比例制御弁等からなるジブ起伏駆動制御手段に出力すべき駆動信号をコントローラが決定するので、通常の吊荷作業とセットアップ作業の双方において共にジブデリックシリンダの伸縮速度を適正に制御できるのは、ポテンショメータと補正手段とコントローラが共に正常に機能している場合のみであり、このうち何れか一つにでも故障が生じれば電磁比例制御弁等からなるジブ起伏駆動制御手段を適切に制御できなくなる不都合があるが、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側のジブデリックシリンダの油室、つまり、図8の構成例で言えばジブデリックシリンダのピストンロッド側油室に流量調整弁を設置するといった単純な構造の油圧回路にあっては、そのような故障は有り得ない。
しかし、その反面、機械的に作用する流量調整弁を利用した油圧回路の構成にあっては、特許文献1に開示されるような公知技術を転用してもジブのセットアップ作業や格納作業に際してジブデリックシリンダの伸縮速度を容易に高速化できないといった不都合がある。
その理由は、セットアップ作業に際してジブデリックシリンダの伸縮速度を高速化するためには、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側のジブデリックシリンダの油室、つまり、図8の構成例で言えばジブデリックシリンダのピストンロッド側油室から排出される作動油に対して負荷を与えている流量調整弁の負荷に打ち勝って単位時間当たりにジブデリックシリンダのピストンロッド側油室に流れ込む作動油の流量を増大させる必要があり、そのためには、強力な油圧源が必要となるからである。
本発明の目的は、強力な油圧源を用いることなく、ジブのセットアップ作業や格納作業を高い信頼性と耐久性で円滑に行うことのできるクレーン車のジブ駆動装置を提供することにある。
本発明は、其の一側がジブベース枢着ピンを介してブーム先端の左右の何れか一側に枢着されて水平面内で揺動自在とされ、其の他側がジブベース固定ピンを介して前記ブーム先端の他側に係脱可能に固定されるジブベースと、
前記ジブベースに基部を枢着されて垂直面内で俯仰自在とされたジブと、
前記ジブベースに一端を枢着されると共に前記ジブの中間部に他端を枢着され、其の伸縮動作により、前記ブームに対して前記ジブが一直線上に並ぶ角度を最大仰角として、前記ジブを垂直面内で俯仰させるジブデリックシリンダと、
前記ジブベースおよび前記ジブを前記ジブベース枢着ピンの周りに揺動させて前記ブームの前記一側に前記ジブを折り畳み、前記ブームの前記一側に前記ジブを沿わせた状態で前記ジブを前記ブームに固定するジブ固定手段と、
前記ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室に各々の管路を介して連絡し、オペレータの切り替え操作に応じて何れか一方の油室に選択的に作動油を供給すると共に他方の油室から排出される作動油の還流を許容する切換弁とを備えたクレーン車のジブ駆動装置であって、
前記ピストンロッド側油室と前記反ピストンロッド側油室のうち、垂直面内において前記ブームに対して前記ジブが交差した状態から前記ブームに対して前記ジブが一直線上に並ぶ方向に向けて前記ジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室と前記切換弁との間の管路に、
前記内容積が増大する側の油室への作動油の供給を容易に許容する一方、前記内容積が増大する側の油室から排出される作動油に対して負荷を与える流量調整弁と、該流量調整弁をバイパスするバイパス管路と、該バイパス管路を開鎖するバイパス開鎖手段とを配置したことを特徴とする構成を有する。
以上の構成において、ブームの一側に沿った状態で折り畳まれたジブを振り出してジブのセットアップ作業を行う場合には、従来と同様に、まず、ジブをブームに固定しているジブ固定手段を解除する。
そして、バイパス開鎖手段を作動状態としてバイパス管路を開く。バイパス管路を開くことにより、流量調整弁は実質的な機能停止状態となり、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側のジブデリックシリンダの油室への作動油の供給と此の油室からの作動油の排出が共に容易な状態に維持されることになる。
次いで、ブームを或る程度の状態に立ち上げ、ブームの先端と地面との間に十分な間隙を確保した上で、ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室に各々の管路を介して連絡して何れか一方の油室に選択的に作動油を供給すると共に他方の油室から排出される作動油の還流を許容する切換弁を操作して、ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室のうち、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が減少する側の油室に作動油を供給することにより、ジブの基部を支点にジブを垂直面内で俯仰させ、ジブがブームに対して略直交した状態とする。
次に、ジブベース枢着ピンを中心としてブームの一側から離間する方向に向けてジブベースおよびジブを180°揺動させることによって、ブームの先端正面にジブベースを位置させる。
次いで、ブームを徐々に倒しつつ切換弁を操作し、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室に作動油を供給してジブを徐々に立ち上げて行き、最終的に、ブームとジブを地面に対して略平行な状態とする。
そして、ジブベース固定ピンを用いてジブベースの他側をブーム先端の他側に固定することにより、ジブベースをブームの先端に強固に固定して、ジブを利用した吊荷作業が可能な状態とする。
以上に述べたジブのセットアップ作業の工程では、流量調整弁をバイパスするバイパス管路を開鎖するバイパス開鎖手段が作動状態を維持してバイパス管路が開いたままの状態となっており、流量調整弁が実質的な機能停止状態とされているので、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が減少する側の油室への作動油の供給と、其れに伴って生じる垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室からの作動油の排出操作、つまり、ブームの一側に沿って格納されていたジブをブームの一側に位置させたままの状態で垂直面内においてブームに対して略直交する角度にまで振り出す操作(図8(a)〜図8(b)に至るジブの姿勢変化に相当)と、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室への作動油の供給と其れに伴って生じる垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が減少する側の油室からの作動油の排出操作、つまり、ジブベースをブームの先端正面に位置させた状態で垂直面内においてブームに対してジブが一直線上に並ぶ角度にまでジブを振り出す操作(図8(c)〜図8(d)に至るジブの姿勢変化に相当)の両方を、油圧源やジブデリックシリンダの本来の作業能力に見合った高速の動作で実現することができる。
このようにしてジブのセットアップ作業が完了した時点で、バイパス開鎖手段を再び非作動状態としてバイパス管路を閉じる。バイパス管路を閉じることにより、ジブを用いた吊荷作業が行われる間、バイパス管路が閉じた状態に維持される。
そして、実際の荷吊作業に際し、切換弁を操作して、ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室のうち、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が減少する側の油室に作動油を供給した状況下にあっては、ジブは垂直面内でジブの基部を支点に俯仰して振り下ろし方向に姿勢を変化させる。これに伴い、ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室のうち、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室から作動油が排出されるが、既に述べた通り、この時点ではバイパス管路が閉じた状態にあるので、この油室から排出された作動油は、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室から排出される作動油に対して負荷を与える流量調整弁を経由して還流することになり、ジブデリックシリンダの伸縮速度つまりジブの振り下ろし速度に制限が加えられることになる。ジブの振り下ろしはジブの先端から下ろしたワイヤで吊られた吊荷を重力に沿って下降させる方向の動作であり、この動作を速くしてしまうと、ジブの振り下ろしを停止させたときにジブやワイヤに過剰な衝撃が作用する問題が生じるが、ジブの振り下ろし速度に制限を加えることにより、荷重の移動や衝撃の発生に伴う危険を未然に回避することができる。
一方、実際の荷吊作業に際し、切換弁を操作し、ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室のうち、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室に作動油を供給した状況下にあっては、ジブは垂直面内でジブの基部を支点に俯仰して立ち上げ方向に姿勢を変化させる。既に述べた通り、この時点でバイパス管路は閉じた状態にあるので、この油室に供給される作動油は流量調整弁を経由して油室に導かれることになるが、流量調整弁は、この油室から排出される作動油に対して負荷を与えるのみであって、この油室への作動油の供給は容易に許容する構造である。従って、ジブの立ち上げ速度には油圧回路による制限は特に加えられないが、ジブの立ち上げはジブの先端から下ろしたワイヤで吊られた吊荷を重力に抗して持ち上げる方向の動作であって、この立ち上げ速度には吊荷の荷重に起因した負荷による制限が加えられるので、油圧回路あるいは他の格別な手段を用いてジブの立ち上げ速度に格別な制限を加える必要性はない。無論、著しく軽い吊荷を吊り上げるといった状況も考えられ、其の場合、吊荷の荷重によるジブの立ち上げ速度の制限は期待できないが、この場合は、吊荷それ自体が軽いため、そもそも、荷重の移動やワイヤに作用する衝撃を安全上の問題として考慮する必要性それ自体がない。
そして、吊荷作業を終えてジブを格納する場合には、従来と同様に、まず、ブームとジブを地面に対して略平行な状態としてジブベース固定ピンを取り外す操作を行う。
そして、バイパス開鎖手段を作動状態としてバイパス管路を開く。バイパス管路を開くことにより、ジブの格納作業に際しては流量調整弁が実質的な機能停止状態となり、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側のジブデリックシリンダの油室への作動油の供給と此の油室からの作動油の排出が共に容易な状態に維持されることになる。
次いで、ジブの先端と地面との間に間隙を確保した状態を保ちながら、ブームを徐々に立ち上げつつ切換弁を操作し、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が減少する側の油室に作動油を供給してジブを倒す方向に俯仰して行き、最終的に、ジブがブームに対して略直交した状態とする。
次に、セットアップ操作の際とは逆に、ジブベース枢着ピンを中心としてブームの一側に接近する方向に向けてジブベースおよびジブを180°揺動させることにより、ブームの一側にジブベースを位置させる。
次いで、切換弁を操作して、ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室のうち、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室に作動油を供給することにより、ジブの基部を支点にジブを垂直面内で俯仰させ、ブームの一側に位置するジブがブームに沿った状態となるまでジブの姿勢を変化させて、最終的に、ジブ固定手段を操作してジブをブームの一側に固定する。
以上に述べたジブの格納作業の工程では、流量調整弁をバイパスするバイパス管路を開鎖するバイパス開鎖手段が作動状態を維持してバイパス管路が開いたままの状態となり、流量調整弁が実質的な機能停止状態とされているので、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が減少する側の油室への作動油の供給と其れに伴って生じる垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室からの作動油の排出操作、つまり、ブームの先端正面に位置してブームに対して一直線上に並んでいたジブをブームの先端正面に位置させたままの状態でブームに対して略直交する角度にまで倒す操作(図8(d)〜図8(c)に至るジブの姿勢変化に相当)と、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室への作動油の供給と其れに伴って生じる垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が減少する側の油室からの作動油の排出操作、つまり、ジブベースをブームの一側に位置させたままの状態でブームに沿う角度までジブを俯仰させる操作(図8(b)〜図8(a)に至るジブの姿勢変化に相当)の両方を、油圧源やジブデリックシリンダの本来の作業能力に見合った高速の動作で実現することができる。
より望ましくは、前記ブーム先端の前記他側もしくは前記ジブベースの前記他側に、前記ジブベース固定ピンの取り外しを検知する固定ピン取付状態検知手段を設け、
前記固定ピン取付状態検知手段が前記ジブベース固定ピンの取り外しを検知した状況下においてのみ、前記バイパス開鎖手段を作動させて前記バイパス管路を開く構成とするとよい。
このような構成を適用した場合も、ブームの一側に沿った状態で折り畳まれたジブを振り出してジブのセットアップ作業を行う場合には、上記と同様に、まず、ジブをブームに固定しているジブ固定手段を解除する。
ジブをブームの一側に折り畳んだ格納状態にあってはジブベースの他端をブームに固定するジブベース固定ピンは取り外された状態となっているので、ジブベース固定ピンの取り外しを検知する固定ピン取付状態検知手段はジブベース固定ピンの取り外しを検知した状態となり、流量調整弁をバイパスするバイパス管路を開鎖するバイパス開鎖手段が作動状態となって、バイパス管路は開いた状態に維持される。
従って、ジブのセットアップ作業に際しては流量調整弁は自動的に実質的な機能停止状態となり、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側のジブデリックシリンダの油室への作動油の供給と此の油室からの作動油の排出が共に容易な状態に維持されることになる。
次いで、ブームを或る程度の状態に立ち上げ、ブームの先端と地面との間に十分な間隙を確保した上で、ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室に各々の管路を介して連絡して何れか一方の油室に選択的に作動油を供給すると共に他方の油室から排出される作動油の還流を許容する切換弁を操作して、ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室のうち、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が減少する側の油室に作動油を供給することにより、ジブの基部を支点にジブを垂直面内で俯仰させ、ジブがブームに対して略直交した状態とする。
次に、ジブベース枢着ピンを中心としてブームの一側から離間する方向に向けてジブベースおよびジブを180°揺動させることによって、ブームの先端正面にジブベースを位置させる。
次いで、ブームを徐々に倒しつつ切換弁を操作し、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室に作動油を供給してジブを徐々に立ち上げて行き、最終的に、ブームとジブを地面に対して略平行な状態とする。
そして、ジブベース固定ピンを用いてジブベースの他側をブーム先端の他側に固定することにより、ジブベースをブームの先端に強固に固定して、ジブを利用した吊荷作業が可能な状態とする。
このようにしてジブのセットアップ作業が完了した時点では、ジブベースの他端をブームに固定するジブベース固定ピンが既に取り付けられた状態となっているので、ジブベース固定ピンの取り外しを検知する固定ピン取付状態検知手段はジブベース固定ピンの取り外しを検知しない状態となり、流量調整弁をバイパスするバイパス管路を開鎖するバイパス開鎖手段は非作動常態(原位置復帰状態)となっており、ジブを用いた吊荷作業が行われる間、バイパス管路は自動的に閉じた状態に維持される。
そして、実際の荷吊作業に際し、切換弁を操作して、ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室のうち、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が減少する側の油室に作動油を供給した状況下にあっては、ジブは垂直面内でジブの基部を支点に俯仰して振り下ろし方向に姿勢を変化させる。これに伴い、ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室のうち、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室から作動油が排出されるが、既に述べた通り、この時点ではバイパス管路が閉じた状態にあるので、この油室から排出された作動油は、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室から排出される作動油に対して負荷を与える流量調整弁を経由して還流することになり、ジブデリックシリンダの伸縮速度つまりジブの振り下ろし速度に制限が加えられることになる。ジブの振り下ろしはジブの先端から下ろしたワイヤで吊られた吊荷を重力に沿って下降させる方向の動作であり、この動作を速くしてしまうと、ジブの振り下ろしを停止させたときにジブやワイヤに過剰な衝撃が作用する問題が生じるが、ジブの振り下ろし速度に制限を加えることにより、荷重の移動や衝撃の発生に伴う危険を未然に回避することができる。
一方、実際の荷吊作業に際し、切換弁を操作し、ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室のうち、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室に作動油を供給した状況下にあっては、ジブは垂直面内でジブの基部を支点に俯仰して立ち上げ方向に姿勢を変化させる。既に述べた通り、この時点でバイパス管路は閉じた状態にあるので、この油室に供給される作動油は流量調整弁を経由して油室に導かれることになるが、流量調整弁は、この油室から排出される作動油に対して負荷を与えるのみであって、この油室への作動油の供給は容易に許容する構造である。従って、ジブの立ち上げ速度には油圧回路による制限は特に加えられないが、ジブの立ち上げはジブの先端から下ろしたワイヤで吊られた吊荷を重力に抗して持ち上げる方向の動作であって、この立ち上げ速度には吊荷の荷重に起因した負荷による制限が加えられるので、油圧回路あるいは他の格別な手段を用いてジブの立ち上げ速度に格別な制限を加える必要性はない。無論、著しく軽い吊荷を吊り上げるといった状況も考えられ、其の場合、吊荷の荷重によるジブの立ち上げ速度の制限は期待できないが、この場合は、吊荷それ自体が軽いため、そもそも、荷重の移動やワイヤに作用する衝撃を安全上の問題として考慮する必要性それ自体がない。
そして、吊荷作業を終えてジブを格納する場合には、従来と同様に、まず、ブームとジブを地面に対して略平行な状態としてジブベース固定ピンを取り外す操作を行う。
すると、ジブベース固定ピンの取り外しを検知する固定ピン取付状態検知手段はジブベース固定ピンの取り外しを検知した状態となり、流量調整弁をバイパスするバイパス管路を開鎖するバイパス開鎖手段が作動して、バイパス管路が開かれた状態となる。
従って、ジブの格納作業に際しては流量調整弁は自動的に実質的な機能停止状態となり、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側のジブデリックシリンダの油室への作動油の供給と此の油室からの作動油の排出が共に容易な状態に維持されることになる。
次いで、ジブの先端と地面との間に間隙を確保した状態を保ちながら、ブームを徐々に立ち上げつつ切換弁を操作し、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が減少する側の油室に作動油を供給してジブを倒す方向に俯仰して行き、最終的に、ジブがブームに対して略直交した状態とする。
次に、セットアップ操作の際とは逆に、ジブベース枢着ピンを中心としてブームの一側に接近する方向に向けてジブベースおよびジブを180°揺動させることにより、ブームの一側にジブベースを位置させる。
次いで、切換弁を操作して、ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室のうち、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室に作動油を供給することにより、ジブの基部を支点にジブを垂直面内で俯仰させ、ブームの一側に位置するジブがブームに沿った状態となるまでジブの姿勢を変化させて、最終的に、ジブ固定手段を操作してジブをブームの一側に固定する。
本発明におけるクレーン車のジブ駆動装置は、オペレータの切り替え操作に応じてジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室の何れか一方の油室に選択的に作動油を供給すると共に他方の油室から排出される作動油の還流を許容する切換弁によってジブデリックシリンダの伸縮つまりジブの俯仰動作を制御すると共に、ピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室のうち、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室と切換弁との間の管路に、当該油室への作動油の供給を容易に許容する一方、この油室から排出される作動油に対して負荷を与える流量調整弁と、流量調整弁をバイパスするバイパス管路と、バイパス管路を開鎖するバイパス開鎖手段とを配置しているので、吊荷作業時においては、バイパス管路を閉鎖して垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室から排出される作動油に流量調整弁の負荷を作用させてジブの振り下ろし速度を制限し、ジブの振り下ろしの停止に伴う荷重移動やジブおよびワイヤに作用する過剰な衝撃の発生を防止して安全な吊荷作業を行うことができる。また、ジブのセットアップ作業や格納作業に際しては、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室から排出される作動油をバイパス管路に逃がしてジブの振り下ろし速度の制限を解除することで、油圧源やジブデリックシリンダの本来の作業能力に見合った高速の動作でジブのセットアップ作業や格納作業を実施することができる。
しかも、ジブのセットアップ作業や格納作業に際してジブの振り下ろし速度を高速化する際に流量調整弁の負荷に打ち勝って作動油の流量を増大させるのではなく、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室から排出される作動油をバイパス管路に逃がして還流させることで作動油の流量を増大させるようにしているので、強力な油圧源を使用する必要がない。
また、ジブデリックシリンダの伸縮速度の変更に電気的な信号を必要としないので、電気的な故障因子によるトラブルがなく、クレーン車のジブ駆動装置の耐久性や信頼性が向上する。
特に、ブーム先端の他側もしくはジブベースの他側にジブベース固定ピンの取り外しを検知する固定ピン取付状態検知手段を設け、固定ピン取付状態検知手段がジブベース固定ピンの取り外しを検知した状況下においてのみバイパス開鎖手段を作動させてバイパス管路を開く構成を採用した場合にあっては、ジブベース固定ピンを外してジブベースをジブベース枢着ピンの周りに揺動自在な状態とすることを前提として行われるジブのセットアップ作業や格納作業に際しては、自動的にバイパス回路を開いて垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室から排出される作動油をバイパス管路に逃がしてジブの振り下ろし速度の制限を解除して油圧源やジブデリックシリンダの本来の作業能力に見合った高速の動作でジブのセットアップ作業や格納作業を実施することができ、また、ブームの先端正面にジブベースを位置決めしてジブベース固定ピンで固定することを前提として行われる吊荷作業に際しては、自動的にバイパス管路を閉鎖して垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室から排出される作動油に負荷を作用させてジブの振り下ろし速度を制限し、ジブの振り下ろしの停止に伴う荷重移動やジブおよびワイヤに作用する過剰な衝撃の発生を防止して安全な吊荷作業を行うことができる。
この際、仮に、固定ピン取付状態検知手段が故障した場合にあっては、ジブベース固定ピンの取り外しの有無に関わりなく固定ピン取付状態検知手段がジブベース固定ピンの取り外しを検知しない状態が維持されることになるが、其の場合はバイパス管路は閉鎖したままとなり、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室から排出される作動油に流量調整弁の負荷が定常的に作用してジブの振り下ろし速度に制限が加わったままの状態となるので、固定ピン取付状態検知手段における故障の有無に関らず吊荷作業を支障なく安全に実施することができる。
また、固定ピン取付状態検知手段が故障した場合には、ジブの振り下ろし速度に制限が加わって作業の所要時間が冗長するものの、ジブのセットアップ作業や格納作業それ自体は支障なく実施することが可能である。
しかも、リストリクションバルブもしくはチェック弁と絞り弁等によって構成される流量調整弁とバイパス管路および当該バイパス管路を開鎖するソレノイド等のバイパス開鎖手段を設置するだけでジブの振り下ろし速度の制限や解除を自由に行える構成であるので、既存のジブ駆動装置に対してジブの振り下ろし速度の制限解除機能を後付けすることも可能である。
ジブをブームの先端に振り出す際の具体的な操作について説明した概念図であり、このうち、図1(a)は本発明におけるクレーン車のジブ駆動装置を実装した一実施形態のクレーン車をジブを格納した状態で簡略化して示した側面図、図1(b)はジブをブームの側方に位置させたままジブデリックシリンダを縮小させてブームに対してジブを略直交させた状態を示した側面図、図1(c)はジブをブームに対して略直交させた状態のままブーム先端の正面にジブベースを位置させた状態を示した側面図、図1(d)はブームとジブを地面に対して略平行な状態とする作業工程とジブベース固定ピンでジブベースの他側をブーム先端の他側に固定する工程を示した側面図である。 ジブベースを含むジブの基部構造について具体的に示した斜視図であり、このうち、図2(a)はジブベースをジブの下面側に位置させたジブ格納態勢でジブの基部構造を示した斜視図、また、図2(b)はジブの基部からジブベースを振り出したジブ装着・格納準備態勢でジブの基部構造を示した斜視図である。 ジブをブームの一側に格納する際に利用されるジブ固定手段の構成の概略について示した斜視図であり、このうち、図3(a)はジブ固定手段の全体的な構成を示した斜視図、図3(b)はジブ固定手段の一部を構成するジブブラケットとジブ格納ピンについて示した斜視図、図3(c)はジブ格納ピンを取り外してジブをブームの側方に僅かに振り出した状態を示した斜視図である。 ジブベースの周辺構造を示した斜視図であり、このうち、図4(a)はジブベースの一側をブームの先端一側に枢着した状態を示した斜視図、また、図4(b)はジブベースをブームの先端正面に位置させてジブベース固定ピンによりジブベースの他側をブームの先端他側に固定した状態を示した斜視図である。 ジブ駆動装置の主要部を構成する油圧回路の一例について簡略化して示した油圧回路図である。 ジブ駆動装置の主要部を構成する油圧回路の他の一例について簡略化して示した油圧回路図である。 ジブ駆動装置の主要部を構成する油圧回路の更に他の一例について簡略化して示した油圧回路図である。 ジブをブームの先端に振り出す際の具体的な操作について説明した概念図であり、図8(a)はジブを格納したクレーン車の外観について簡略化して示した側面図、図8(b)はジブをブームの側方に位置させたままジブデリックシリンダを伸長させてブームに対してジブを略直交させた状態を示した側面図、図8(c)はジブをブームに対して略直交させた状態のままブーム先端の正面にジブベースを位置させた状態を示した側面図、図8(d)はブームとジブを地面に対して略平行な状態としてジブベース固定ピンでジブベースの他側をブーム先端の他側に固定した状態を示した側面図である。
次に、本発明を適用したクレーン車のジブ駆動装置(以下、単にジブ駆動装置という)の実施形態の幾つかについて、図面を参照して、具体的に説明する。
図1は本発明を適用したジブ駆動装置を実装した一実施形態のクレーン車の外観とジブのセットアップ作業について簡略化して示した側面図、図2はジブベースを含むジブの基部構造について具体的に示した斜視図、図3はブームの一側にジブを格納する際に利用されるジブ固定手段の構成の概略について示した斜視図、図4はジブベースの周辺構造を示した斜視図である。
図1(a)および図1(b)に示されるように、クレーン車1の主要部は、下部走行体2と、下部走行体2の上に旋回可能に設置された上部旋回体3、および、上部旋回体3に基部を枢着されて垂直面内で俯仰する多段式のブーム4と、このブーム4を俯仰させるためのブーム起伏用油圧シリンダ5によって構成され、下部走行体2には走行用キャビン6が配備される一方、上部旋回体3にはクレーン作業用キャビン7が設置されている。また、下部走行体2の四隅には姿勢安定用のアウトリガー8が設けられている。
なお、図1(a)〜図1(d)中に示した符号GLはグランドラインを表したものである。
図1(a)に示される通り、吊荷作業に用いられるジブ9は、ジブ枢着ピン15を介して其の基部をジブベース10に枢着されることによってジブベース10に対して垂直面内で俯仰自在とされており、ジブベース10に一端を枢着されると共にジブ9の中間部に他端を枢着されたジブデリックシリンダ16の伸縮動作に応じ、ジブベース10をブーム4の先端正面に位置させた状態で、ブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ角度を最大仰角として、垂直面内で俯仰されるようになっている。
この実施形態にあっては、図8を用いて説明した関連技術とは異なり、ジブデリックシリンダ16がジブ9の下面側に位置するので、ジブデリックシリンダ16を伸長させてジブ9に仰角の姿勢をとらせる構造である。
従って、ジブデリックシリンダ16のピストンロッド側油室16aと反ピストンロッド側油室16bのうち、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室が反ピストンロッド側油室16bであり、その際に内容積が減少する側の油室がピストンロッド側油室16aである。
ジブ9は、その格納状態にあっては、例えば、図1(a)に示されるようにしてブーム4の一側、つまり、この実施形態にあってはクレーン作業用キャビン7からブーム4を見渡した際に左側に位置する面に沿った状態で折り畳まれ、更に、図3(a)に示されるようにして、ジブ9の中央部を支えるブーム4側のジブホルダー11とジブ9の先端部を支えるブーム4側のジブブラケット12、および、ジブブラケット12にジブ9の先端部を固定するジブ格納ピン13等からなるジブ固定手段14によってブーム4の一側に固定されている。
ジブ固定手段14の構造に関しては既に様々なものが公知であるので、詳細な説明は省略する。
また、この実施形態におけるジブベース10は、ブーム4の一側にジブ9を格納した状態でクレーン車1を走行させる際のオーバーハングを減らしてクレーン車1の最大回転半径を小さくするため、ジブ9の格納時にあっては、図2(a)に示されるように、ジブデリックシリンダ16の最縮小化によって、ジブ枢着ピン15を支点としてジブ9の下面に接近する方向に90°回転してジブ9の下面側に移動するジブ格納態勢の姿勢がとれるようになっている。
図2(b)では、図2(a)の状態からジブデリックシリンダ16を伸長させてジブ装着・格納準備態勢にまでジブベース10を振り出した際の状態について示している。
このジブ装着・格納準備態勢は、ブーム4の先端一側の上下に突設されたダボ18,18の先端を上下に貫通して穿設されたジブベースピン枢着孔19,19の位置とジブベース10の一側の上下に設けられたジブベースピン枢着孔17,17の位置とを合わせ、ジブベース10の一側から上下に向けて突出するジブベース枢着ピン20を此れらのジブベースピン枢着孔17,19に挿通することによってジブベース10の一側をブーム4の先端一側に枢着する際に用いられる姿勢である。
なお、ここで言うジブベース10の一側とは、例えば、図1(d)に示されるようにしてジブベース10をブーム4の先端正面に位置させた状態においてクレーン作業用キャビン7からブーム4を見渡した際に左方に位置する側の面である。
ジブベース10は、例えば図4(a)に示されるようにして、ジブベース10側に設けられたジブベースピン枢着孔17,17の位置とブーム4側のダボ18,18に設けられたジブベースピン枢着孔19,19の位置とを合わせ(ジブベースピン枢着孔17,17および19,19については図2(b)参照)、ジブベース10の一側から上下に向けて突出するジブベース枢着ピン20をジブベースピン枢着孔17,19に挿通してブーム4の先端一側に枢着された時点で、ブーム4に対して水平面内で揺動自在とされる。
なお、図3(a)ではジブベース10をジブ装着・格納準備態勢に振り出した状態を示しているが、実際の格納状態においては、ジブベース10は、図2(a)に示されるようにしてジブ9の下面側に格納されている。
また、図4(b)では、図4(a)の状態からジブベース10をジブベース枢着ピン20,20を支点として180°揺動させ、ジブベース10をブーム4の先端正面に位置させた状態について、ブーム4およびジブベース10を右側面からの視点、つまり、図4(a)を基準にして言えば、背面側から示した図である。
図4(b)に示される通り、ジブベース10の他側の上下には、ブーム4側に設置されて上下に突出するジブベース固定ピン21,21を挿通するためのピン係合穴22,22が穿設されており、ブーム4の先端他側から上下に向けて突出するジブベース固定ピン21,21をピン係合穴22,22に突入させることで、ブーム4の先端正面に位置するジブベース10をブーム4の先端に強固に固定できるようになっている。
図5はジブ駆動装置の主要部を構成する油圧回路23の一例について簡略化して示した油圧回路図である。
油圧回路23は、ジブデリックシリンダ16のピストンロッド側油室16aと反ピストンロッド側油室16bに各々の管路24a,24bを介して連絡し、オペレータの切り替え操作に応じて何れか一方の油室に選択的に油圧ポンプPからの作動油を供給すると共に他方の油室から排出される作動油をタンクTへ還流させる切換弁25を備える。
そして、ピストンロッド側油室16aと反ピストンロッド側油室16bのうち、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室である反ピストンロッド側油室16bと切換弁25との間の管路24bには、反ピストンロッド側油室16bへの作動油の供給を容易に許容する一方、反ピストンロッド側油室16bから排出される作動油に対して負荷を与える流量調整弁として機能するリストリクションバルブ26と、このリストリクションバルブ26をバイパスするバイパス管路27と、バイパス管路27を開鎖するバイパス開鎖手段として機能するソレノイドバルブ28とが配置されている。
管路24b上において並列的に配置されたリストリクションバルブ26およびバイパス管路27と反ピストンロッド側油室16bとの間に介装されたカウンタバランス弁29は、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が一直線上に並んだ状態からブーム4に対してジブ9が交差する方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室、要するに、ジブ9の振り下ろしに際して内容積が増大する側の油室であるピストンロッド側油室16aに作動油を供給する管路24aの内圧をパイロット圧として作動することによって管路24bを開放する構造のもので、管路24a内の圧力が規定値よりも低い状態、つまり、オペレータによる切換弁25の明示的な切り換え操作によって積極的にジブデリックシリンダ16のピストンロッド側油室16aに作動油が供給されてジブ9の振り下ろし操作が行われてはいない状況下、例えば、切換弁25を中立位置に保持したような状況下で、反ピストンロッド側油室16bからの作動油の漏れ出しを防止して、荷吊作業時におけるジブ9の停止姿勢を確保するためのものである。
また、ソレノイドバルブ28の切り換え操作は、固定ピン取付状態検知手段として機能するリミットスイッチ30の開閉状態によって自動的に制御されるようになっている。
図4(b)では特に図示していないが、この実施形態にあっては、ブーム4先端の他側、つまり、図4(b)で言えば手前側において、ジブベース固定ピン21の取り外し状態にあることを検知できる位置に、ノーマリー・クローズのリミットスイッチ30が配置されている。より具体的には、リミットスイッチ30は、ブーム4側に設置されて上下に突出するジブベース固定ピン21,21が相互に接近するようにしてジブベース10側のピン係合穴22,22から退避した状態を検知する。
但し、ここで言うノーマリー・クローズの意味合いは、ジブベース固定ピン21,21の取り外しを検知している状態、つまり、この実施形態で言えばジブベース固定ピン21,21がピン係合穴22,22から退避している状態でスイッチが閉路し、それ以外の全ての状況下でスイッチが開路状態に維持される構造である。
具体的には、このリミットスイッチ30は、図5に示される通り、クレーン車1の車載電源とソレノイドバルブ28のソレノイドとを接続する回路上に直列的に配置されており、リミットスイッチ30がジブベース固定ピン21,21の取り外しを検知して閉路している状態では車載電源からソレノイドへの電力供給を許容してソレノイドバルブ28を作動状態とし、ソレノイドバルブ28のスリーブを図5に示される原位置復帰の状態から左側にシフトさせてバイパス管路27を開通させ、また、リミットスイッチ30がジブベース固定ピン21,21の取り外しを検知せずに開路している状態では車載電源からソレノイドへの電力供給を断ってソレノイドバルブ28を非作動状態とし、ソレノイドバルブ28のスリーブを図5に示される原位置復帰の状態に保持し、バイパス管路27の閉鎖状態を維持する。また、クレーン車1の車載電源とソレノイドバルブ28のソレノイドとを接続する回路上に断線が発生している状況下ではソレノイドへの電力は供給はなされないので、ジブベース固定ピン21,21が取り外されているか否かに関わりなく、ソレノイドバルブ28のスリーブは図5に示される原位置復帰状態に保持されて、バイパス管路27は閉鎖状態に保持されることになる。
このリミットスイッチ30と同様の機能を実現できるものであれば、近接センサやフォトカプラ等を始めとする各種の公知要素を固定ピン取付状態検知手段として利用することが可能である。
以上に述べた通り、この実施形態のジブ駆動装置は、少なくとも、ジブ9,ジブベース10,ジブ固定手段14,ジブデリックシリンダ16,切換弁25,流量調整弁として機能するリストリクションバルブ26,バイパス管路27,バイパス開鎖手段として機能するソレノイドバルブ28,固定ピン取付状態検知手段として機能するリミットスイッチ30を含んで構成されている。
次に、この実施形態のジブ駆動装置を用いたジブ9のセットアップ作業と格納作業ならびに通常の吊荷作業について具体的に説明する。
まず、ジブ9のセットアップ作業について説明するが、この時点では、ジブ9は図1(a)に示されるようにしてブーム4の一側に沿った状態で折り畳まれて図3(a)に示されるようなジブ固定手段14によってブーム4の一側に固定され、ジブベース10は図2(a)に示されるようにしてジブ9の下面に位置するジブ格納態勢をとっており、アウトリガー8は既に接地されているものとする。
このように、ジブ9をブーム4の一側に折り畳んだ格納状態にあってはブーム4側に設置されたジブベース固定ピン21,21が相互に接近するようにしてジブベース10側のピン係合穴22,22から退避した状態となっているので、ジブベース固定ピン21,21の取り外しを検知するリミットスイッチ30は、ジブベース固定ピン21,21の取り外しを検知した状態となり、流量調整弁として機能するリストリクションバルブ26をバイパスするバイパス管路27を開鎖するバイパス開鎖手段であるソレノイドバルブ28は自動的に作動状態となって、バイパス管路27は開いた状態に維持されている。
従って、ジブ9のセットアップ作業に際してはリストリクションバルブ26は実質的な機能停止状態となり、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側のジブデリックシリンダ16の油室つまり反ピストンロッド側油室16bへの作動油の供給と反ピストンロッド側油室16bからの作動油の排出が共に容易に許容される状態に維持されることになる。
ブーム4の一側に沿った状態で折り畳まれたジブ9を振り出してジブ9のセットアップ作業を行う場合には、まず、ジブデリックシリンダ16を伸長させて図2(a)のジブ格納態勢にあるジブベース10をジブ枢着ピン15を支点としてジブ9の下面から離間する方向に90°回転させ、図2(b)に示されるようなジブ装着・格納準備態勢にまで振り出す。
次いで、ジブ固定手段14の一部を構成するブーム4側のジブブラケット12にジブ9の先端を固定しているジブ格納ピン13を図3(b)に示されるようにして引き抜き、ジブ固定手段14の他部を構成するブーム4側のジブホルダー11とジブ9との枢着点を支点として、ジブ9の先端を図3(c)に示されようにしてブーム4の一側から僅かに外側に向けて振り出し、ジブ9の基部側つまりジブベース10を枢着した側をブーム4の先端の一側に接近させる。
そして、ジブベース10の一側の上下に設けられたジブベースピン枢着孔17,17の位置とブーム4の先端一側の上下に突設されたダボ18,18の先端に設けられたジブベースピン枢着孔19,19の位置とを合わせ、此れらのジブベースピン枢着孔17,19にジブベース枢着ピン20を挿通することによってジブベース10の一側をブーム4の先端一側に枢着し、ブーム4側のジブホルダー11とジブ9との結合を解除して、ジブベース10をブーム4に対して水平面内で揺動自在な状態とする。
この実施形態にあっては、ジブベース10の一側から上下に向けて突出するジブベース枢着ピン20,20の突出操作は、ジブベース10に内蔵された図示しないソレノイドと其の操作スイッチを利用した半自動操作によって実現されるようになっている。
次いで、ブーム起伏用油圧シリンダ5に対応して設けられた図示しない切換弁を操作してブーム4を或る程度の状態に立ち上げ、図1(b)に示されるようにブーム4の先端と地面(GL)との間に十分な間隙を確保した上で、ジブデリックシリンダ16のピストンロッド側油室16aと反ピストンロッド側油室16bに各々の管路24a,24bを介して連絡して何れか一方の油室に選択的に作動油を供給すると共に他方の油室から排出される作動油の還流を許容する切換弁25を操作し、ジブデリックシリンダ16のピストンロッド側油室16aと反ピストンロッド側油室16bのうち、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が減少する側の油室、つまり、ピストンロッド側油室16aに作動油を供給することによってジブデリックシリンダ16を縮小させて、ジブ9の基部を支点にジブ9を垂直面内で図1(b)中の矢印方向に俯仰させ、図1(b)に示されるように、ジブ9がブーム4に対して略直交した状態とする。
次に、ジブベース枢着ピン20を中心としてジブベース10がブーム4の一側から離間する方向つまり図1(c)中の矢印の方向に向けてジブベース10およびジブ9を180°揺動させることによって、ブーム4の先端正面にジブベース10を位置させる。
なお、この実施形態にあっては、ジブベース10がジブ格納態勢(図2(a)参照)からジブ装着・格納準備態勢(図2(b)参照)への振り出しを終えた時点で、ジブベース10に取り付けられているジブセットシリンダ31のピストンロッドの先端をブーム4の先端に枢着することにより、ジブセットシリンダ31の伸縮操作によってジブベース10およびジブ9の180°の揺動操作が実施できるようになっているが、油圧シリンダを利用したジブベース10およびジブ9の揺動機構に関しては既に公知であるので、この部分に関する具体的な説明は省略する。
このようにしてジブベース枢着ピン20を中心とするジブベース10およびジブ9の180°の揺動が完了した時点で、ブーム4の先端他側に設けられたジブベース固定ピン21,21の位置とジブベース10側のピン係合穴22,22の位置とが合致する。この実施形態にあっては、ブーム4の先端他側から上下に向けて突出するジブベース固定ピン21,21の突出操作はブーム4の先端に内蔵された図示しないソレノイドと其のスイッチを利用した半自動操作によって実現されるようになっているが、このソレノイドを作動させるスイッチはブーム4の先端に設けられているので、事情はジブベース固定ピン21,21を手動で取り付ける場合と全く同様である。無論、従来のものと同様、ジブベース固定ピン21,21の取り付けを手動で行う方式としてもよい。
次いで、ブーム起伏用油圧シリンダ5に対応して設けられた図示しない切換弁を操作して図1(d)中で右側に位置する矢印の方向に向けてブーム4を徐々に倒しつつ切換弁25を操作し、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室である反ピストンロッド側油室16bに作動油を供給して、図1(d)中で左側に位置する矢印の方向に向けてジブ9を徐々に立ち上げて行き、最終的に、ブーム4とジブ9を地面(GL)に対して略平行な状態とする。
なお、図1(d)はブーム4とジブ9の姿勢変化の過程を段階的に示したものであって、ブーム4やジブ9が複数個存在することを示すものではない。符号4,9で示されるブームとジブは協調動作開始直後のブームとジブの姿勢を示し、また、符号4’,9’で示されるブームとジブは協調動作が半ば進んだ時点でのブームとジブの姿勢を示し、更に、符号4”,9”で示されるブームとジブは協調動作が完了してブーム4とジブ9が地面(GL)に対して略平行となった状態を示している。
そして、最終的に、ブーム4とジブ9が地面(GL)に対して略平行な状態となった時点で、ジブベース固定ピン21,21を突出させるブーム4先端の図示しないソレノイドのスイッチを操作し、図4(b)に示されるようにジブベース固定ピン21,21をブーム4の先端他側から上下に向けて突出させてジブベース10の他側のピン係合穴22,22に突入させることにより、ジブベース10の他側をブーム4先端の他側に強固に固定して、ジブ9を利用した吊荷作業が可能な状態とする。
以上に述べたジブ9のセットアップ作業の工程では、流量調整弁として機能するリストリクションバルブ26をバイパスするバイパス管路27を開鎖するバイパス開鎖手段であるソレノイドバルブ28が作動状態を維持してバイパス管路27が開いたままの状態となっており、リストリクションバルブ26が実質的な機能停止状態とされているので、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が減少する側の油室つまりピストンロッド側油室16aへの作動油の供給と、其れに伴って生じる垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室つまり反ピストンロッド側油室16bからの作動油の排出操作、要するに、ブーム4の一側に沿って格納されていたジブ9をブーム4の一側に位置させたままの状態で垂直面内においてブーム4に対して略直交する角度にまで振り出す操作(図1(a)〜図1(b)に至るジブ9の姿勢変化に相当)と、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室つまり反ピストンロッド側油室16bへの作動油の供給と其れに伴って生じる垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が減少する側の油室つまりピストンロッド側油室16aからの作動油の排出操作、要するに、ジブベース10をブーム4の先端正面に位置させた状態で垂直面内においてブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ角度にまでジブ9を振り出す操作(図1(d)おけるジブ9の姿勢変化に相当)の両方を、油圧源であるポンプPやジブデリックシリンダ16の本来の作業能力に見合った高速の動作で実現することができる。
このようにしてジブ9のセットアップ作業が完了した時点では、ジブベース10の他側のピン係合穴22,22にジブベース固定ピン21,21が突入した状態、つまり、ジブベース10の他端をブーム4に固定するジブベース固定ピン21,21が既に取り付けられた状態となっているので、ジブベース固定ピン21,21の取り外しを検知する固定ピン取付状態検知手段として機能するリミットスイッチ30はジブベース固定ピン21,21の取り外しを検知しない状態となり、流量調整弁として機能するリストリクションバルブ26をバイパスするバイパス管路27を開鎖するバイパス開鎖手段であるソレノイドバルブ28は自動的に非作動常態(原位置復帰状態)となっており、ジブ9を用いた吊荷作業が行われる間、バイパス管路27が閉じた状態に維持される。
ここで、実際の荷吊作業に際し、切換弁25を操作して、ジブデリックシリンダ16のピストンロッド側油室16aと反ピストンロッド側油室16bのうち、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が減少する側の油室つまりピストンロッド側油室16aに作動油を供給した状況下にあっては、ジブ9は垂直面内でジブ9の基部を支点に俯仰して振り下ろし方向に姿勢を変化させる。
これに伴い、ジブデリックシリンダ16のピストンロッド側油室16aと反ピストンロッド側油室16bのうち、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室つまり反ピストンロッド側油室16bから作動油が排出されるが、既に述べた通り、この時点ではバイパス管路27が閉じた状態にあるので、反ピストンロッド側油室16bから排出された作動油は、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室つまり反ピストンロッド側油室16bから排出される作動油に対して負荷を与える流量調整弁であるリストリクションバルブ26を経由して還流することになり、ジブデリックシリンダ16の縮小速度つまりジブ9の振り下ろし速度に制限が加えられることになる。
ジブ9の振り下ろしはジブ9の先端から下ろしたワイヤで吊られた吊荷を重力に沿って下降させる方向の動作であり、この動作を速くしてしまうと、ジブ9の振り下ろしを停止させたときにジブ9やワイヤに過剰な衝撃が作用する問題が生じるが、ジブ9の振り下ろし速度に制限を加えることにより、荷重の移動や衝撃の発生に伴う危険を未然に回避することができる。
また、反ピストンロッド側油室16bにはカウンタバランス弁29が接続されているので、ピストンロッド側油室16aに対する作動油の積極的な供給を停止した状況下、例えば、切換弁25を中立位置にしてジブ9の振り下ろしを停止し、重い吊荷を支えたままジブ9の姿勢を保持するような状況下において、反ピストンロッド側油室16bからの作動油の流出が防止され(管路24a内の圧力が上昇せずカウンタバランス弁29が非作動状態を維持して反ピストンロッド側油室16bからの作動油の流出を塞き止めるため)、ジブ9の定位置保持機能が向上する。
一方、実際の荷吊作業に際し、切換弁25を操作し、ジブデリックシリンダ16のピストンロッド側油室16aと反ピストンロッド側油室16bのうち、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室つまり反ピストンロッド側油室16bに作動油を供給した状況下にあっては、ジブ9は垂直面内でジブ9の基部を支点に俯仰して立ち上げ方向に姿勢を変化させる。既に述べた通り、この時点でバイパス管路27は閉じた状態にあるので、反ピストンロッド側油室16bに供給される作動油は流量調整弁であるリストリクションバルブ26を経由して反ピストンロッド側油室16bに導かれることになるが、リストリクションバルブ26は、反ピストンロッド側油室16bから排出される作動油に対して負荷を与えるのみであって、反ピストンロッド側油室16bへの作動油の供給は容易に許容する。
従って、ジブ9の立ち上げ速度には油圧回路23による制限は特に加えられないが、ジブ9の立ち上げはジブ9の先端から下ろしたワイヤで吊られた吊荷を重力に抗して持ち上げる方向の動作であって、この立ち上げ速度には吊荷の荷重に起因した負荷による制限が加えられるので、油圧回路23あるいは他の格別な手段を用いてジブ9の立ち上げ速度に格別な制限を加える必要性はない。
無論、著しく軽い吊荷を吊り上げるといった状況も考えられ、其の場合、吊荷の荷重によるジブ9の立ち上げ速度の制限は期待できないが、其の場合は、吊荷それ自体が軽いため、そもそも、荷重の移動やワイヤに作用する衝撃を安全上の問題として考慮する必要性それ自体がない。
そして、吊荷作業を終えてジブ9を格納する場合には、既に図1(d)を参照して説明した協調動作の手順(段落0047参照)に従って、まず、ブーム4とジブ9を地面(GL)に対して略平行な状態となるようにする。
そして、最終的に、ブーム4とジブ9が地面(GL)に対して略平行な状態となった時点で、ジブベース固定ピン21,21を突出させるブーム4先端の図示しないソレノイドのスイッチを操作してブーム4側のジブベース固定ピン21,21をジブベース10側のピン係合穴22,22から退避させ、ジブベース枢着ピン20を中心としてジブベース10およびジブ9が揺動可能な状態とする。
すると、ジブベース10側のピン係合穴22,22からのジブベース固定ピン21,21の退避、すなわち、ジブベース固定ピン21,21の取り外しが固定ピン取付状態検知手段として機能するリミットスイッチ30によって検知され、バイパス開鎖手段として機能するソレノイドバルブ28が自動的に作動して、バイパス管路27が開通した状態となる。
従って、ジブ9の格納作業に際してはリストリクションバルブ26は実質的な機能停止状態となり、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側のジブデリックシリンダ16の油室つまり反ピストンロッド側油室16bへの作動油の供給と反ピストンロッド側油室16bからの作動油の排出が共に容易に許容される状態が維持されることになる。
次いで、ジブ9の先端と地面(GL)との間に間隙を確保した状態を保ちながら、ブーム起伏用油圧シリンダ5に対応して設けられた図示しない切換弁を操作してブーム4を徐々に立ち上げつつ切換弁25を操作し、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が減少する側の油室つまりピストンロッド側油室16aに作動油を供給してジブ9を振り下ろす方向に俯仰して行き、最終的に、ジブ9がブーム4に対して略直交した状態とする。
この協調動作開始時点でのブームとジブの姿勢は図1(d)中の符号4”,9”で表され、協調動作が半ば進んだ時点でのブームとジブの姿勢は図1(d)中の符号4’,9’で表され、協調動作完了時点でのブームとジブの姿勢は図1(d)中の符号4,9、もしくは、図1(c)中の符号4,9で表される。
次に、セットアップ操作の際とは逆に、ジブベース枢着ピン20を中心としてジブベース10ブーム4の一側に接近する方向つまり図1(c)中の矢印とは逆の方向に向けてジブベース10およびジブ9を180°揺動させることにより、ブーム4の一側にジブベース9を位置させる。既に述べた通り、この作業はジブセットシリンダ31を用いた操作によって実現可能である。
次いで、切換弁25を操作し、ジブデリックシリンダ16のピストンロッド側油室16aと反ピストンロッド側油室16bのうち、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室、つまり、反ピストンロッド側油室16bに作動油を供給することにより、ジブ9の基部を支点にジブ9を垂直面内で図1(b)中の矢印方向と逆の向きに俯仰させ、ブーム4の一側に位置するジブ9がブーム4に沿った状態となるまでジブ9の姿勢を変化させる。
そして、ブーム起伏用油圧シリンダ5に対応して設けられた図示しない切換弁を操作してブーム4を倒すことにより、ジブ9を伴ったブーム4を図1(a)に示されるような略水平の姿勢とし、ジブセットシリンダ31のピストンロッドの先端をブーム4の先端から取り外す。
次いで、ブーム4の一側から僅かに側方に離間した位置にあるジブ9をジブベース枢着ピン20を支点に揺動してブーム4の一側に更に接近させ、図3(c)に示されるようにしてジブ9の下面をジブブラケット12の上面でガイドしつつ、図3(b)に示されるように、ジブ9の一側がブーム4に密着する位置にまでジブ9を更に揺動させて、ジブホルダー11とジブブラケット12からなるジブ固定手段14によって、ブーム4の一側にジブ9を格納姿勢のまま固定する。
最終的に、ジブベース枢着ピン20,20を突出させる図示しないソレノイドのスイッチを操作して、ジブベース10側のジブベース枢着ピン20,20をブーム4側のジブベースピン枢着孔19,19から退避させて、ジブベース10側のジブベース枢着ピン20,20とブーム4とのリンケージを解除し、切換弁25を操作して垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が減少する側の油室つまりピストンロッド側油室16aに作動油を供給してジブデリックシリンダ16を縮小させることにより、図2(b)に示されるようなジブ装着・格納準備態勢にあるジブベース10をジブ枢着ピン15を支点としてジブ9の下面に接近する方向に90°揺動させて、図2(a)に示されるようなジブ格納態勢に姿勢変化させる。
以上に述べたジブ9の格納作業の工程では、流量調整弁として機能するリストリクションバルブ26をバイパスするバイパス管路27を開鎖するバイパス開鎖手段であるソレノイドバルブ28が作動状態を維持してバイパス管路27が開いたままの状態となっており、ソレノイドバルブ28が実質的な機能停止状態とされているので、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が減少する側の油室つまりピストンロッド側油室16aへの作動油の供給と其れに伴って生じる垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室つまり反ピストンロッド側油室16bからの作動油の排出操作、要するに、ブーム4の先端正面に位置してブーム4に対して一直線上に並んでいたジブ9をブーム4の先端正面に位置させたままの状態でブーム4に対して略直交する角度にまで振り下ろす操作(図1(d)〜図1(c)に至るジブ9の姿勢変化に相当)と、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室つまり反ピストンロッド側油室16bへの作動油の供給と其れに伴って生じる垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が減少する側の油室つまりピストンロッド側油室16aからの作動油の排出操作、要するに、ジブベース10をブーム4の一側に位置させたままの状態でブーム4に沿う角度にまでジブ9を俯仰させて姿勢を変化させる操作(図1(b)〜図1(a)に至るジブ9の姿勢変化に相当)の両方を、油圧源であるポンプPやジブデリックシリンダ16の本来の作業能力に見合った高速の動作で実現することができる。
以上に述べた通り、この実施形態におけるジブ駆動装置は、オペレータの切り替え操作に応じてジブデリックシリンダ16のピストンロッド側油室16aと反ピストンロッド側油室16bの何れか一方の油室に選択的に作動油を供給すると共に他方の油室から排出される作動油の還流を許容する切換弁25によってジブデリックシリンダ16の伸縮すなわちジブ9の俯仰動作を制御すると共に、ピストンロッド側油室16aと反ピストンロッド側油室16bのうち、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室である反ピストンロッド側油室16bと切換弁25との間の管路24bに、反ピストンロッド側油室16bへの作動油の供給を容易に許容する一方、反ピストンロッド側油室16bから排出される作動油に対して負荷を与えるリストリクションバルブ26とリストリクションバルブ26をバイパスするバイパス管路27とを配置し、更に、吊荷作業時にブーム4の先端正面に位置決めされたジブベース10をブーム4の先端に固定するジブベース固定ピン21の取り外しを検知するリミットスイッチ30を設けて、リミットスイッチ30がジブベース固定ピン21の取り外しを検知した状況下においてのみバイパス管路27を開くように構成している。
従って、ブーム4の先端正面にジブベース10を位置決めしてジブベース固定ピン21で固定することを前提として開始される吊荷作業、つまり、リミットスイッチ30がジブベース固定ピン21の取り外しを検知していない吊荷作業時においては、自動的にバイパス管路27を閉鎖して反ピストンロッド側油室16bから排出される作動油にリストリクションバルブ26の負荷を作用させてジブ9の振り下ろし速度を制限し、ジブ9の振り下ろしの停止に伴う荷重移動やジブ9およびワイヤに作用する過剰な衝撃の発生を防止して安全な吊荷作業を行うことができる。
また、ジブベース固定ピン21を外してジブベース10をジブベース枢着ピン20の周りに揺動自在な状態とすることを前提として行われるジブ9のセットアップ作業や格納作業、つまり、リミットスイッチ30がジブベース固定ピン21の取り外しを検知しているジブ9のセットアップ作業や格納作業に際しては、自動的にバイパス管路27を開いて反ピストンロッド側油室16bから排出される作動油をバイパス管路27に逃がしてジブ9の振り下ろし速度の制限を解除して油圧ポンプPやジブデリックシリンダ16の本来の作業能力に見合った高速の動作でジブ9のセットアップ作業や格納作業を実施することができる。
しかも、ジブ9のセットアップ作業や格納作業に際してジブ9の振り下ろし速度を高速化する際にリストリクションバルブ26の負荷に打ち勝って作動油の流量を増大させるのではなく、反ピストンロッド側油室16bから排出される作動油をバイパス管路27に逃がして還流させることで作動油の流量を増大させるようにしているので、強力な油圧ポンプを使用する必要がない。
また、ジブデリックシリンダ16の伸縮速度の変更に電気的な信号を必要としないので、電気的な故障因子によるトラブルがなく、ジブ駆動装置の耐久性や信頼性が向上する。
仮に、固定ピン取付状態検知手段として機能するリミットスイッチ30が故障したりバイパス管路27を開鎖するソレノイドバルブ28への電力供給線に断線が生じた場合にあっては、ジブベース固定ピン21の取り外しの有無に関わりなくバイパス管路27が閉鎖したままとなるので、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室である反ピストンロッド側油室16bから排出される作動油にリストリクションバルブ26の負荷が定常的に作用してジブ9の振り下ろし速度に制限が加わったままの状態となるので、吊荷作業を支障なく安全に実施することができる。
また、固定ピン取付状態検知手段であるリミットスイッチ30が故障した場合、ジブ9の振り下ろし速度に制限が加わって作業の所要時間が冗長するものの、ジブ9のセットアップ作業や格納作業それ自体は支障なく実施することが可能である。
図6は前述の油圧回路23に代えて適用可能な他の油圧回路について簡略化して示した油圧回路図である。
この油圧回路32は、図5を参照して説明した油圧回路23と同様に、ジブデリックシリンダ16のピストンロッド側油室16aに連絡する管路24aと、ジブデリックシリンダ16の反ピストンロッド側油室16bに連絡する管路24bと、切換弁25と、カウンタバランス弁29を備える。
そして、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室であるジブデリックシリンダ16の反ピストンロッド側油室16bと切換弁25との間の管路24bには、並列されたチェック弁34と絞り弁35によって構成される流量調整弁38とバイパス管路27とを内蔵したスプール39と、スプール39をシフトして流量調整弁38とバイパス管路27のうち何れか一方を其の入出力ポートA,Bに接続するソレノイド40とを備えた一方向絞り弁36が固定的に配置されている。
チェック弁34と絞り弁35によって構成される流量調整弁38は図5に示したリストリクションバルブ26に相当するもので、反ピストンロッド側油室16bへの作動油の供給を容易に許容する一方、反ピストンロッド側油室16bから排出される作動油に対して負荷を与える機能を有する。
スプール39をシフトするソレノイド40の切り換え操作は、図5に示したソレノイドバルブ28の場合と同様、固定ピン取付状態検知手段として機能するリミットスイッチ30の開閉状態によって制御されるようになっている。
図6ではリミットスイッチ30がジブベース固定ピン21,21の取り外しを検知せずにソレノイド40が非作動状態となった状況下における一方向絞り弁36の状態、つまり、一方向絞り弁36の原位置復帰状態を示しており、この状態で、チェック弁34と絞り弁35によって構成される流量調整弁38が一方向絞り弁36の入出力ポートA,Bに接続されて、反ピストンロッド側油室16bから排出される作動油に対して負荷を与えるようになっている。より具体的には、流量調整弁38の構成要素のうちチェック弁34は反ピストンロッド側油室16bから排出される作動油の排出を全く受け入れず、これに並列して設置された絞り弁35がピストンロッド側油室16bから排出される作動油に負荷を与えることなる。
チェック弁34は反ピストンロッド側油室16bに供給される作動油を容易に通過させるので、反ピストンロッド側油室16bに供給される作動油に過剰な負荷が作用することはない。
一方、リミットスイッチ30がジブベース固定ピン21,21の取り外しを検知してソレノイド40が作動状態となった状況下では、一方向絞り弁36のスリーブ39は図6に示される原位置復帰の状態から左側がシフトされ、スリーブ39に形成されているバイパス管路27が一方向絞り弁36の入出力ポートA,Bに接続される。この状況下では流量調整弁38は機能しないので、ピストンロッド側油室16bからの作動油の排出とピストンロッド側油室16bへの作動油の供給が共に容易に許容される状態となる。
以上に述べた通り、油圧回路32の機能は既に説明した油圧回路23と実質的に等価である。
従って、油圧回路23に代えて油圧回路32を利用しても、既に述べた通りの機能,作用,効果を達成することができる。
図7は前述の油圧回路23,32に代えて適用可能な更に他の油圧回路について簡略化して示した油圧回路図である。
この油圧回路33は、図5を参照して説明した油圧回路23や図6を参照して説明した油圧回路32と同様に、ジブデリックシリンダ16のピストンロッド側油室16aに連絡する管路24aと、ジブデリックシリンダ16の反ピストンロッド側油室16bに連絡する管路24bと、切換弁25と、カウンタバランス弁29を備える。
そして、垂直面内においてブーム4に対してジブ9が交差した状態からブーム4に対してジブ9が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ9を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室であるジブデリックシリンダ16の反ピストンロッド側油室16bと切換弁25との間の管路24bには、並列されたチェック弁34と絞り弁35によって構成される流量調整弁38とバイパス管路27とを内蔵したスプール39と、スプール39をシフトして流量調整弁38とバイパス管路27のうち何れか一方を其の第一の入出力ポートA,Bに接続するソレノイド40とを備えた一方向絞り弁37が固定的に配置されている。
この一方向絞り弁37は、更に、流量調整弁38が第一の入出力ポートA,Bに接続した際に其の第二の入出力ポートC,Dに接続して管路24aの一部を構成する内装管路41と、バイパス管路27が第一の入出力ポートA,Bに接続した際に其の第二の入出力ポートC,Dに接続して管路24aの一部を構成する内装管路42とを備えており、この点が、図6を参照して説明した一方向絞り弁36と相違する。
スプール39をシフトするソレノイド40の切り換え操作は、図5に示したソレノイドバルブ28や図6に示した一方向絞り弁36の場合と同様、固定ピン取付状態検知手段として機能するリミットスイッチ30の開閉状態によって制御されるようになっている。
図7ではリミットスイッチ30がジブベース固定ピン21,21の取り外しを検知せずにソレノイド40が非作動状態となった状況下における一方向絞り弁37の状態、つまり、一方向絞り弁37の原位置復帰状態を示しており、この状態で、チェック弁34と絞り弁35によって構成される流量調整弁38が一方向絞り弁37の第一の入出力ポートA,Bに接続されて、反ピストンロッド側油室16bから排出される作動油に対して負荷を与えるようになっている。より具体的には、流量調整弁38の構成要素のうちチェック弁34は反ピストンロッド側油室16bから排出される作動油の排出を全く受け入れず、これに並列して設置された絞り弁35がピストンロッド側油室16bから排出される作動油に負荷を与えることなる。
チェック弁34は反ピストンロッド側油室16bに供給される作動油を容易に通過させるので、反ピストンロッド側油室16bに供給される作動油に過剰な負荷が作用することはない。
また、この状態ではスプール39の内装管路41が一方向絞り弁37の第二の入出力ポートC,Dに接続して管路24aの一部を構成する。
一方、リミットスイッチ30がジブベース固定ピン21,21の取り外しを検知してソレノイド40が作動状態となった状況下では、一方向絞り弁37のスリーブ39は図7に示される原位置復帰の状態から左側がシフトされ、スリーブ39に形成されているバイパス管路27が一方向絞り弁37の第一の入出力ポートA,Bに接続される。この状況下では流量調整弁38は機能しないので、ピストンロッド側油室16bからの作動油の排出とピストンロッド側油室16bへの作動油の供給が共に容易に許容される状態となる。
また、この状態ではスプール39の内装管路42が一方向絞り弁37の第二の入出力ポートC,Dに接続して管路24aの一部を構成する。
以上に述べた通り、油圧回路33の機能は既に説明した油圧回路32や油圧回路23と実質的に等価である。
従って、油圧回路23,32に代えて油圧回路33を利用しても、既に述べた通りの機能,作用,効果を達成することができる。
無論、図5に示される油圧回路23のリストリクションバルブ26に代えて図6,図7に示されるようなチェック弁34と絞り弁35からなる流量調整弁38を実装すること、および、図6,図7に示される油圧回路32,33の流量調整弁38に代えて図5に示されるようなリストリクションバルブ26を実装することも可能である。
以上の実施形態では、ジブデリックシリンダ16がジブ9の下面側に位置する構造のもの、つまり、ジブデリックシリンダ16の伸長によってジブ9が立ち上げられ、ジブデリックシリンダ16の縮小によってジブ9が振り下ろされる構造のものについて説明したが、ジブデリックシリンダがジブの上面側に位置する構造のもの、つまり、ジブデリックシリンダの伸長によってジブが振り下ろされ、ジブデリックシリンダの縮小によってジブが立ち上げられる構造のものに対して上記の実施形態を転用することは極めて容易である。
ジブデリックシリンダの伸長によってジブが振り下ろされ、ジブデリックシリンダの縮小によってジブが立ち上げられる構造のものにあっては、ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室のうち、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けて記ジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室はピストンロッド側油室となるから、ピストンロッド側油室と切換弁との間の管路に、ピストンロッド側油室への作動油の供給を容易に許容する一方、ピストンロッド側油室から排出される作動油に対して負荷を与える流量調整弁と、この流量調整弁をバイパスするバイパス管路と、このバイパス管路を開鎖するバイパス開鎖手段とを配置することになる。
その際、前述した各実施形態と同様の目的でカウンタバランス弁を設置するのであれば、これを配置すべき位置は、ピストンロッド側油室と流量調整弁との間の管路上である。また、カウンタバランス弁のパイロット圧としては、反ピストンロッド側油室に供給される作動油の内圧を利用することになる。
これにより、吊荷作業の最中に切換弁を中立位置にしてジブで吊荷を支えた際にピストンロッド側油室の作動油が抜けてジブデリックシリンダが伸長すること、つまり、ジブが不用意に振り下ろされるといった問題が改善される。
以上に開示した実施形態の一部または全部は、以下の付記に示す記載によって適切に表現され得るが、発明を実施するための形態や発明の技術思想は、これらのものに制限されるものではない。
〔付記1〕
其の一側がジブベース枢着ピン(20)を介してブーム(4)の先端の左右の何れか一側に枢着されて水平面内で揺動自在とされ、其の他側がジブベース固定ピン(21)を介してブーム(4)の先端の他側に係脱可能に固定されるジブベース(10)と、
ジブベース(10)に基部を枢着されて垂直面内で俯仰自在とされたジブ(9)と、
ジブベース(10)に一端を枢着されると共にジブ(9)の中間部に他端を枢着され、其の伸縮動作により、ブーム(4)に対してジブ(9)が一直線上に並ぶ角度を最大仰角として、ジブ(9)を垂直面内で俯仰させるジブデリックシリンダ(16)と、
ジブベース(10)およびジブ(9)をジブベース枢着ピン(20)の周りに揺動させてブーム(4)の一側にジブ(9)を折り畳み、ブーム(4)の一側にジブ(9)を沿わせた状態でジブ(9)をブーム(4)に固定するジブ固定手段(14)と、
ジブデリックシリンダ(16)のピストンロッド側油室(16a)と反ピストンロッド側油室(16b)に各々の管路(24a,24b)を介して連絡し、オペレータの切り替え操作に応じて何れか一方の油室に選択的に作動油を供給すると共に他方の油室から排出される作動油の還流を許容する切換弁(25)とを備えたクレーン車(1)のジブ駆動装置であって、
ピストンロッド側油室(16a)と反ピストンロッド側油室(16b)のうち、垂直面内においてブーム(4)に対してジブ(9)が交差した状態からブーム(4)に対してジブ(9)が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ(9)を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室(16b)と切換弁(25)との間の管路(24b)に、
内容積が増大する側の油室(16b)への作動油の供給を容易に許容する一方、内容積が増大する側の油室(16b)から排出される作動油に対して負荷を与える流量調整弁(26)と、流量調整弁(26)をバイパスするバイパス管路(27)と、バイパス管路(27)を開鎖するバイパス開鎖手段(28)とを配置したことを特徴とするクレーン車のジブ駆動装置(図1,図5,図6,図7参照)。
〔付記2〕
ブーム(4)の先端の他側もしくはジブベース(10)の他側に、ジブベース固定ピン(21)の取り外しを検知する固定ピン取付状態検知手段(30)を設け、
固定ピン取付状態検知手段(30)がジブベース固定ピン(21)の取り外しを検知した状況下においてのみ、バイパス開鎖手段(28)を作動させてバイパス管路(27)を開くことを特徴とする付記1に記載のクレーン車のジブ駆動装置(図1,図5,図6,図7参照)。
〔付記3〕
ジブデリックシリンダ(16)がジブ(9)の下面側に位置し、垂直面内においてブーム(4)に対してジブ(9)が交差した状態からブーム(4)に対してジブ(9)が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ(9)を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室がジブデリックシリンダ(16)の反ピストンロッド側油室(16b)であることを特徴とする付記1または付記2のうち何れか一項に記載のクレーン車のジブ駆動装置((図1,図5,図6,図7参照)。
〔付記4〕
ジブデリックシリンダがジブの上面側に位置し、垂直面内においてブームに対してジブが交差した状態からブームに対してジブが一直線上に並ぶ方向に向けてジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室がジブデリックシリンダのピストンロッド側油室であることを特徴とする付記1または付記2のうち何れか一項に記載のクレーン車のジブ駆動装置(図1,図3(a),図4(a)参照)。
〔付記5〕
内容積が増大する側の油室(16b)と切換弁(25)との間の管路(24b)に流量調整弁として機能するリストリクションバルブ(26)とバイパス管路(27)とが固定的に設置されると共に、
バイパス開鎖手段は、固定的に配置されたバイパス管路(27)を開鎖するソレノイドバルブ(28)によって構成されていることを特徴とする付記1,付記2または付記3のうち何れか一項に記載のクレーン車のジブ駆動装置(図5参照)。
このように、リストリクションバルブ(26)を流量調整弁として利用する場合は、垂直面内においてブーム(4)に対してジブ(9)が交差した状態からブーム(4)に対してジブ(9)が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ(9)を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室(16b)と切換弁(25)との間の管路(24b)にリストリクションバルブ(26)とバイパス管路(27)とを固定的に設置し、バイパス開鎖手段は、バイパス管路(27)を開鎖するソレノイドバルブ(27)によって構成する。
当然、リストリクションバルブ(26)を設置する方向性は、垂直面内においてブーム(4)に対してジブ(9)が交差した状態からブーム(4)に対してジブ(9)が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ(9)を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室(16b)から排出される作動油に負荷を与え、この油室(16b)への作動油の供給を容易に許容する向きとする。
そして、ソレノイドバルブ(27)は、固定ピン取付状態検知手段であるリミットスイッチ(30)がジブベース固定ピン(21)の取り外しを検知した状況下においてのみバイパス管路(27)を開くように構成する。
〔付記6〕
内容積が増大する側の油室(16b)と切換弁(25)との間の管路(24b)に、並列されたチェック弁(34)と絞り弁(35)によって構成される流量調整弁(38)とバイパス管路(27)とを内蔵したスプール(39)とスプール(39)をシフトして流量調整弁(38)とバイパス管路(27)のうち何れか一方を其の入出力ポート(A,B)に接続するソレノイド(40)とを備えた一方向絞り弁(36または37)を固定的に配置し、
前記ソレノイド(40)がバイパス開鎖手段として機能することを特徴とした付記1,付記2または付記3のうち何れか一項に記載のクレーン車のジブ駆動装置(図6,図7参照)。
このような構成を適用した場合は、並列されたチェック弁(34)と絞り弁(35)によってリストリクションバルブと同等の機能が発揮されることになる。
つまり、固定ピン取付状態検知手段(30)がジブベース固定ピン(21)の取り外しを検知せずにソレノイド(40)が非作動となっている場合には、スプール(39)内に並列されたチェック弁(34)と絞り弁(35)からなる流量調整弁が一方向絞り弁(36または37)の入出力ポート(A,B)に接続され、チェック弁(34)は、垂直面内においてブーム(4)に対してジブ(9)が交差した状態からブーム(4)に対してジブ(9)が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ(9)を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室(16b)からの作動油の排出を受け入れず、これに並列して設置された絞り弁(35)が此の油室(16b)から排出される作動油に負荷を与える。また、垂直面内においてブーム(4)に対してジブ(9)が交差した状態からブーム(4)に対してジブ(9)が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ(9)を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室(14b)への作動油の供給は、チェック弁(34)によって難なく受け入れられることになる。
一方、固定ピン取付状態検知手段(30)がジブベース固定ピン(21)の取り外しを検知してソレノイド(40)が作動状態となっている場合には、スプール(39)内のバイパス管路(27)が一方向絞り弁(36または37)の入出力ポート(A,B)に接続されるので、垂直面内においてブーム(4)に対してジブ(9)が交差した状態からブーム(4)に対してジブ(9)が一直線上に並ぶ方向に向けてジブ(9)を俯仰させる際に内容積が増大する側の油室(16b)への作動油の供給も此の油室(16b)からの作動油の排出も容易に受け入れられる状態となる。
本発明は、ブームの一側に折り畳んで格納されるジブを備えた各種のクレーン車に適用できる。
1 クレーン車
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 ブーム
5 ブーム起伏用油圧シリンダ
6 走行用キャビン
7 クレーン作業用キャビン
8 アウトリガー
9 ジブ
10 ジブベース
11 ジブホルダー
12 ジブブラケット
13 ジブ格納ピン
14 ジブ固定手段
15 ジブ枢着ピン
16 ジブデリックシリンダ
16a ピストンロッド側油室
16b 反ピストンロッド側油室
17 ジブベースピン枢着孔
18 ダボ
19 ジブベースピン枢着孔
20 ジブベース枢着ピン
21 ジブベース固定ピン
22 ピン係合穴
23 油圧回路
24a,24b 管路
25 切換弁
26 リストリクションバルブ(流量調整弁)
27 バイパス管路
28 ソレノイドバルブ(バイパス開鎖手段)
29 カウンタバランス弁
30 リミットスイッチ(固定ピン取付状態検知手段)
31 ジブセットシリンダ
32 油圧回路
33 油圧回路
34 チェック弁
35 絞り弁
36 一方向絞り弁
37 一方向絞り弁
38 流量調整弁
39 スプール
40 ソレノイド
41,42 内装管路
101 クレーン車
102 下部走行体
103 上部旋回体
104 ブーム
105 ブーム起伏用油圧シリンダ
106 走行用のキャビン
107 アウトリガー
108 ジブ
109 ジブベース
110 ジブベース枢着ピン
111 ジブデリックシリンダ
112 ジブベース固定ピン
GL グランドライン
P 油圧ポンプ
T タンク
A,B 入出力ポート(第一の入出力ポート)
C,D 入出力ポート(第二の入出力ポート)

Claims (2)

  1. 其の一側がジブベース枢着ピンを介してブーム先端の左右の何れか一側に枢着されて水平面内で揺動自在とされ、其の他側がジブベース固定ピンを介して前記ブーム先端の他側に係脱可能に固定されるジブベースと、
    前記ジブベースに基部を枢着されて垂直面内で俯仰自在とされたジブと、
    前記ジブベースに一端を枢着されると共に前記ジブの中間部に他端を枢着され、其の伸縮動作により、前記ブームに対して前記ジブがほぼ一直線上に並ぶ角度を最大仰角として、前記ジブを垂直面内で俯仰させるジブデリックシリンダと、
    前記ジブベースおよび前記ジブを前記ジブベース枢着ピンの周りに揺動させて前記ブームの前記一側に前記ジブを折り畳み、前記ブームの前記一側に前記ジブを沿わせた状態で前記ジブを前記ブームに固定するジブ固定手段と、
    前記ジブデリックシリンダのピストンロッド側油室と反ピストンロッド側油室に各々の管路を介して連絡し、オペレータの切り替え操作に応じて何れか一方の油室に選択的に作動油を供給すると共に他方の油室から排出される作動油の還流を許容する切換弁とを備えたクレーン車のジブ駆動装置であって、
    前記ピストンロッド側油室と前記反ピストンロッド側油室のうち、垂直面内において前記ブームに対して前記ジブが交差した状態から前記ブームに対して前記ジブが一直線上に並ぶ方向に向けて前記ジブを俯仰させる際に内容積が増大する側の油室と前記切換弁との間の管路に、
    前記内容積が増大する側の油室への作動油の供給を容易に許容する一方、前記内容積が増大する側の油室から排出される作動油に対して負荷を与える流量調整弁と、該流量調整弁をバイパスするバイパス管路と、該バイパス管路を開鎖するバイパス開鎖手段とを配置したことを特徴とするクレーン車のジブ駆動装置。
  2. 前記ブーム先端の前記他側もしくは前記ジブベースの前記他側に、前記ジブベース固定ピンの取り外しを検知する固定ピン取付状態検知手段を設け、
    前記固定ピン取付状態検知手段が前記ジブベース固定ピンの取り外しを検知した状況下においてのみ、前記バイパス開鎖手段を作動させて前記バイパス管路を開くことを特徴とする請求項1記載のクレーン車のジブ駆動装置。
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