JP4986434B2 - セルロースエーテルエステル - Google Patents

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本発明は、偏光板保護膜などの液晶表示装置の構成体および写真材料のベースフィルムとして好適なセルロースエーテルエステルに関する。さらに本発明は、これらから得られる光学フィルム及び延伸された光学フィルムに関する。
セルロースアセテートフイルムは、その強靭性と難燃性から各種の写真材料や光学材料にフィルムとして用いられている。例えばセルロースアセテートフイルムは、代表的な写真感光材料の支持体である。また、セルロースアセテートフイルムは、その光学的等方性から、近年市場の拡大している液晶表示装置にも用いられている。本発明はこれらのセルロースアセテートフィルムの中でも特に光学フィルムの用途に用いられるセルロースアセテートフィルムに関する。尚、本発明で言う光学フイルムとしては1)写真材料や光学材料のベースフィルムに用いられる透明なフイルムであり、好ましくは2)液晶表示装置の構成体(素子)としての用途に用いることができるフイルムである。上記の液晶表示装置の構成体における具体的な用途としては、偏光板の保護フイルムおよびカラーフィルター、位相差フィルム、光学補償シート、散乱フィルム、視野角拡大フィルム、表面保護フィルムなどがその代表的なものである。これらの中でも位相差フィルムはその光学的な特性上、延伸されることが好適であり、延伸された光学フィルムを用いている。
このようなセルロースアセテートの光学フィルムはその用途が光学的ものであるため、高い光学的特性を要求される。例えば、イエローネスインデックス(YellownessIndex)(以下YIと省略)およびヘーズが低くこと、及び複屈折率が小さく、かつ透明性が高く、そして更には光の透過に影響を与える光学的な欠点が少ないことが要求される。そして、従来のセルロースエステルフィルムの用途であれば品質上問題のない微小な表面凹凸やブツ、あるいは光学的欠陥でもこれらの光学フイルムでは問題となる。特に光学フイルムが上記の2)の液晶表示装置の構成体として用いられる場合には、透明であっても透過光を異常屈折するような、いわゆる輝点異物のようなものも光学的な欠点となり品質上の問題となる。
近年これらの液晶表示装置がパソコンの表示装置として使用のみならず、テレビ受像機やDVD等の表示装置、あるいは携帯電話、PDA(携帯端末)の表示装置としての用途が広がりより一層光学的な欠点が少ないことが求められている。即ち、近年パソコン、テレビ受像機、コンピューターゲームの表示装置はますます大型化、大画面化され、かつフルハイビジョン液晶テレビに象徴されるように画像形成素子数(いわゆるドット数)は大きくなり、一画像形成素子当たりの領域面積は微小となってきている。
このような技術動向に伴い伴ない液晶表示装置に用いられる偏光板保護フィルムや反射防止フィルムの光学フィルム、延伸された光学フィルムに求められる性能、性状も多様化してきている。一つには単位面積当たりより光学的な欠点の少ないフィルムを提供されることを求められている。
これらの光学的な欠点には黒色異物と輝点異物がある。黒色異物は不純物等によるものであり、輝点異物は、主として酢化度が異なるセルロースアセテートが原因で屈折率が異なり透過光が異常屈折して生じるものである。黒色異物はフイルム中で光を透過しない欠点である。一方、輝点異物は偏光方向が直交するように配した二つの偏光板の間にフイルムを配置した場合に光の漏洩として観測できる。これらの二つの光学的な欠点は、何れも液晶表示装置の性能を損なう。
黒色異物の問題はセルロースアセテートなどのセルロースエステル製造中および溶解工程での不純物の混入に起因する。上記のような黒色異物および輝点異物を減少させるために、光学フィルムの製造時にセルロースアセテートを溶解した溶液(ドープ)をろ過して使用しているが、品質上の要請のため、濾過材の目開きはますます小さくなり、そのため光学フィルムの生産性や使用率は低下してきている。一方、輝点異物の原因はエステル化の程度が異なるセルロースエステルに起因している。すなわち、セルロースエステル製造中のエステル化工程でエステル化が十分に行われていない部分がエステル化度が低いセルロースエステルとして部分的に残留し(本発明では未反応セルロースと称することもある、また低エステル化セルロースと称することもある)、これらの未反応セルロースは通常のエステル化度のセルロースエステルと屈折率が異なるため偏光板保護膜などの光学フィルムとして用いれられた場合には、偏光を変化させるため輝点異物として認識される。
また未反応セルロースはセルロースエステルを溶解して溶液(ドープ)とした場合に不溶解成分として残留する。このため未反応セルロースは濾過残渣となるし、また未反応セルロースの固まりの大きさや形状等によっては濾過材を通り抜ける場合もある。このためセルロースエステル溶液のろ過での対策が困難であり、その解決が求められている。そして、従来主に光学フィルムとして用いられてきたセルロースアセテートと比較して、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートでは、これらの無水プロピオン酸や無水酪酸の反応性が無水酢酸よりも劣るためより輝点異物が生じ易いいという問題があった。
従来のセルロースアセテートからなる光学フイルムには他の問題もある。すなわち、光学フィルムのうち、位相差フィルムや視野角拡大フィルムは、その面内位相差及び面外位相差により偏光状態を調整することを目的としたものであるが、従来のセルロースアセテートフィルムは殆ど延伸性を有しないため、ソルベントキャスト等で得られたフィルムの面内位相差及び面外位相差を延伸処理などの後加工で調整することが不可能か極めて困難であり、液晶表示装置の設計に応じて多様化している面内位相差及び面外位相差への要求に対応することが難しい。セルロースアセテートよりも長鎖の置換基を有するセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートでは、多少の延伸性を有することから面内位相差及び面外位相差の制御がある程度可能であるが、延伸性が不十分であることからこれらを制御できる範囲がせまいという問題がある。
更に上記の通り合成反応(エステル化及び脱エステル化反応)が均一に進行し難いことからセルロースアセテートよりも深刻な黒色異物及び輝点異物の問題を有している。
セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートで制御できる面内位相差及び面外位相差の範囲がせまい他の理由としては、通常のセルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートの置換度が低いことが挙げられる。一般のセルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートは、総置換度が2.7程度であり、これを低減させることで制御できる面内位相差及び面外位相差の範囲を広げることも可能である。
例えば特開2002−62430号公報(特許文献1)では総置換度が2.67未満でありかつ6位の置換度が0.87未満であるセルロースエステルフィルムを延伸することで面内方向のレタデーション(面内複屈折)が140nmから300nmで、厚み方向のレタデーション(面外不屈折)が45nmから148nmのフィルムを得ているが、その場合には、未置換の水酸基が増えることにより、経時的に湿度の変化に応じて寸法が変化し易くなる。すなわち、この技術ではセルロースの水酸基の中でエステル基に置換されていない水酸基が多く寸法変化は面内位相差及び面内位相差を変化させることから、偏光性を変化させ、光学的特性が変化するため位相差フィルムや視野角拡大フィルムとして実使用した場合には大きな問題を生じる。
特開2003−279729号公報(特許文献2)では分子内に芳香族環を3個以上有する添加時を含有する位相差フィルムや冷却溶解法で溶解した溶液から流延したフィルムを延伸する技術を開示しているが充分なものではなかった。
また本発明に記載しているセルロースエーテルエステルに類似したセルロース誘導体としては、特開平4−33901号公報(特許文献3)に記載されているが、これに記載されているものではグルコース環の水酸基に置換したアルキル基の長さが短く、かつアシル基の置換度が小さいため本願発明の効果を得ることはできない。
また特開平11−35601号公報(特許文献4)にはカルボキシメチルセルロースをエステル化したセルロース誘導体が開示されているが、このものは、やはりセルロースのグルコース環を置換したカルボキシメチル基がアルキルエーテル基やヒドロキシアルキルエーテル基に比較して短いため本願発明の効果を得ることができない。
特開昭52−23186号公報(特許文献5)にはMS(エーテル結合したエーテル化剤の平均分子数)が0.1<MS<2であるセルロースエーテルをエステル化することにより、MSとDS(アシル基置換度)の和を1.5<MS+DS<5とすることを特徴とする熱可塑性セルロースエステルの製法が記載されており、プロピレンオキシドでのエーテル化が記載されており、かつエーテル化したものを混合脂肪酸エステル化する実施例が記載されている。しかしながらこの文献に開示されたものでは、グルコース環の未置換の水酸基すなわち平均水酸基置換度が大きく、光学フィルムに使用した場合には経時的に光学特性が劣化する。
特開2002−62430号公報 特開2003−279729号公報 特開平4−33901号公報 特開平11−35601号公報 特開昭52−23186号公報
本発明の目的は、延伸性が良好で面内位相差及び面外位相差を制御しやすく、なおかつ経時的な寸法変化が少ないフィルムを与えるセルロース誘導体を提供することにある。本発明の他の目的は、黒色異物及び輝点異物が少なく、液晶表示装置用等に好適な光学フィルムを与えるセルロース誘導体を提供することにある。本発明の更なる目的は、混合脂肪酸エステルとくには酢酸とプロピオン酸での混合酸でのエステル化で得られるセルロース誘導体でありながら、輝点異物が少ないセルロースエーテルエステルを提供することである。
本発明の他の目的は、湿度の変化に対して寸法変化が少なく面内位相差及び面外位相差の変化が少ない延伸された光学フィルムを提供することである。
本発明の発明者らは、セルロースを塩基性条件下でエーテル化して得られるセルロースエーテルをさらにアシル化することで得られるセルロースエーテルエステルに着目し、エーテル基の種類と置換度、アシル基の種類と置換度を制御することで、黒色異物及び輝点異物が少なく、延伸性に優れることから面内位相差及び面外位相差の制御が容易であり、湿度に対する寸法安定性に優れ面内位相差及び面外位相差の変化が少ないフィルム好適には延伸された光学フィルムを与えるセルロースエーテルエステルが得られることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明のセルロースエーテルエステルの製造では、まずセルロースを塩基性条件化でエーテル化し、この際にアルカリ可溶分としてヘミセルロース等の不純物の除去が進むことから、得られたセルロースエーテルをさらにアシル化して得られるセルロースエーテルエステルにおいては黒色異物が著しく低減される。また、セルロースの塩基性条件下でのエーテル化では、エーテル化反応の他に水酸化ナトリウム等によりセルロース繊維が高度に膨潤するため、得られたセルロースエーテルをさらにアシル化する際には、セルロースの天然の強固な結晶構造への試薬の浸透不良等に由来する未反応物を生じることが無く輝点異物が著しく低減される。この効果はアセチル基でアシル化する場合でも得られるが、特に顕著な効果が得られるのはアセチル基以外のアシル基を含めてアシル化する場合である。アシル化剤の炭素数が大きくなるとセルロースの天然の強固な結晶構造への試薬の浸透不良がより顕著になるが、本願発明のセルロースエーテルとすることで、結晶が変化し高炭素数のアシル化剤であっても浸透し易くなり、反応の不均一に起因する輝点異物が減少する。
セルロースアセテートは延伸性に乏しく、これはアセチル基の鎖長が短いことに起因している。本発明のセルロースエーテルエステルでは、延伸性を付与するために、セルロースエーテルエステルの置換基の平均炭素数を2.5以上としている。これはセルロースアセテートでは当然達成できなが、セルロースエーテルエステルとすることでエーテル化剤を適切に選択すれば平均炭素数を2.5以上とすることができる。他方、置換基の平均炭素数が6.5を越える場合には、光学フィルムとしての使用温度面内位相差または面外位相差を発現させるための一軸または平面配向が緩和してしまうか、またはカラムナー液晶やコレステリック液晶等の液晶状態を形成し固体フィルムとして振舞わなく、位相差フィルム等の光学フィルムとして使用する上で極めて不都合であり、本発明のセルロースエーテルエステルでは置換基の平均炭素数を6.5以下が好ましい。。
液晶表示装置用の位相差フィルムでは通常300nm程度までの面内位相差または面外位相差が求められる。通常、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースエーテルエステルは、一軸延伸処理操作前の寸法を100%として延伸倍率を標記した場合、ガラス転移温度付近から5から10℃程度の範囲内の温度で5〜200%程度までの延伸処理が可能である。この延伸倍率200%程度までの一軸延伸処理により、配向度は0.6程度となる。ここで、配向度は
配向度=(3cos2θ−1)/2で定義され、
θは平均の配向方向とセルロース誘導体分子の棒状セグメントが成す角の平均である。
この延伸処理後のフイルム厚さは通常50μm程度であるので、面内位相差300nm程度を与えるためには、セルロース誘導体の固有複屈折を0.01程度とする必要がある。例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースエステルでは、固有複屈折を大きくするためには総置換度を低減させる必要があり、固有複屈折0.01以上とするには総置換度を2.7程度(残存水酸基数がグルコース残基あたり0.3)とする必要がある。そしてアシル基と水酸基のみで構成されているセルロースエステルの平衡水分率(WR)は寸法安定性と関係し、セルロースエステルフィルムの実使用での経時変化に関係する。
通常のセルロースエステルでは寸法安定性は総置換度に依存し、寸法安定性を高めるためには総置換度を高め、平衡水分率を下げる必要があるが、所望の面内位相差を得るために総置換度を2.7程度とすると、残存水酸基数が多いことから平衡水分率(WR)が高くなり、寸法安定性に支障を来たす。本発明のセルロースエーテルエステルでは、エーテル化剤やエステル化剤を選択することにより、固有複屈折(IR)が0.001から0.040という範囲でかつ、平衡水分率(WR)が2wt%以下の平衡水分率(WR)とすることができ、このようなセルロースエーテルエステルを光学フィルム特には延伸された光学フィルムに用いることにより、寸法安定性と面内位相差及び面外位相差発現性とを両立できる。
すなわち平衡水分率(WR)を2wt%以下としながら、固有複屈折を、0.001〜0.040程度とすることが可能であり、面内位相差及び面外位相差発現性と寸法安定性を両立することが可能である。
本発明のセルロースエーテルエステルでの固有複屈折としては、0.001から0.040の範囲であり、より好ましくは0.010から0.040の範囲であり、更に好ましくは0.015から0.040であり、より良く好ましくは0.020から0.040の範囲である。
そして、本発明のセルロースエーテルエステルではガラス転移温度もまた重要であり、ガラス転移温度が60℃未満であると、実使用条件下で分子の配向が変化し、経時的に位相差が変化してしまう。またガラス転移点が180℃を超える温度である場合には、融点も高くなり、高い成型温度を要し、成型中や延伸時の熱分解やそれに伴う着色が生じる。ガラス転移点温度(Tg)の範囲としては、好ましくは70〜160℃、さらに好ましくは80〜140℃である。
尚、固有複屈折を0.001から0.010の範囲にした場合は、セルロースエーテルエステルの置換基の種類、置換度、重合度などにより、ガラス転移点よりも8℃高い温度で50mm/minの引張速度で測定した場合の高温破断伸度が30%未満となる場合がある。このようなものも延伸それ自身は可能ではあるが、延伸ムラが生じ好ましくないため本発明の範囲からは除外される。
本発明のセルロースエーテルエステルにおいては、グルコース残基あたりのエーテル基あるいはエステル基で置換された水酸基の割合を高くし、すなわち総置換度を高くしてグルコース残基あたりの残存水酸基数を0.001から0.400以下、更には0.300以下とした場合でも、エーテル基およびエステル基各々の炭素数と置換度の積を3で除したものの和として定義する平均炭素数(AC)が2.5から6.5の範囲にある限りにおいては、良好な延伸性を示す。
従来のセルロースエーテルでは延伸操作によって面内位相差及び/または面外位相差を制御することが難しかったり、それらのゆらぎが大きくなったり、面内位相差が小さく同時に面外位相差が大きい材料を製造したりするときに不便であるか有用でないのに対して、本発明のセルロースエーテルエステルは適度な固有複屈折を有することからこれらの問題の解決にも有効である。
また、本発明ではグルコース単位あたりにエーテル結合したエーテル化剤の平均分子数(MS)が0.75から1.75であり、グルコース残基あたりの残存水酸基数を0.001から0.400以下とすることによりまた、延伸性と寸法安定性を両立させることができる。これは、本発明のセルロースエーテルエステルの固有の効果であり、セルロースエステルでは上記の通り、延伸性に欠け、セルロースエーテルでも上記の通り、延伸操作によって面内位相差及び/または面外位相差を制御することが難しかったりする。平均炭素数(AC)の限定なしに、この効果が得られるのは、上記のエーテル結合したエーテル化剤の平均分子数(MS)が0.75から1.75狭い範囲とグルコース残基あたりの残存水酸基数0.001から0.400以下の狭い範囲の組み合わせである。尚、エーテル化剤の構成成分として、アルキルエーテルセルロースを選択しても良い。
本発明のセルロースエーテルエステルでは、光学フイルムにおいて光学異物として問題となる未反応セルロースすなわち不溶解成分や溶解性が劣る微小異物を抑制できるという利点がある。すなわち、本発明のセルロースエーテルエステルの製造では、まずセルロースを塩基性条件化でエーテル化し、この際にアルカリ可溶分としてヘミセルロース等の不純物の除去が進むことから、得られたセルロースエーテルをさらにアシル化して得られるセルロースエーテルエステルにおいては黒色異物が著しく低減されるという利点がある。また、本発明のセルロースエーテルエステルの製造では、セルロースの塩基性条件下でのエーテル化では、エーテル化反応の他に水酸化ナトリウム等によりセルロース繊維が高度に膨潤するため、得られたセルロースエーテルをさらにアシル化する際には、セルロースの天然の強固な結晶構造への試薬の浸透不良等に由来する未反応物を生じることが無く輝点異物が著しく低減されるという利点がある。
特にアシル化で混合脂肪酸エスエテル化する場合に利点がある。
すなわちこれらの不溶解物すなわち未反応セルロースは、セルロースをアシル化するエステル化反応が早いためセルロースの結晶領域が充分緩和されることがなく反応が進行することにより生じるためであり、これの解決方法として事前にセルロースをエーテル化することによりセルロースの結晶領域が緩和されアセチル化で反応が均一に進み、光学フィルムとして用いるのに好適なセルロース誘導体を得られる利点がある。
また、本発明のセルロースエーテルエステルでは、通常のセルロースアセテートからの光学フィルムの製膜に用いるハロゲン系の溶媒を用いずとも非ハロゲン系の溶媒に良好に溶解するセルロース誘導体を得ることができたり、溶融成型することができ環境上有用である利点がある。
更にフィルムにした場合に従来のセルロースアセテートフィルムでは実現困難であった広い範囲の面内位相差及び面外位相差を発現させながら寸法及び光学特性が湿度に依存して変化し難、機械特性が優れるセルロースエーテルエステルからなる光学フィルム特には延伸された光学フィルムを提供できる利点がある。
本発明のセルロースエーテルエステルは下記の第1工程と第2工程を経ることにより製造できる。第1工程はセルロースエーテルを得る工程であり、第2工程は得られたセルロースエーテルをエステル化する工程である。
[原料セルロース]
本発明においては、使用する原料セルロースとしては木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)、コットンリンターパルプ等公知の様々なセルロース源を用いることができる。これらのパルプは、通常、ヘミセルロースなどの異成分を含有している。従って、本願明細書において、「セルロース」という語は、ヘミセルロースなどの異成分も含有する意味で用いる。
これらの例としては綿、綿リンター、木材パルプなどを挙げる事ができる。本発明のセルロース源としてはリンターパルプも無論用いることができるが、好適には木材パルプを用いることができる。
木材パルプとしては広葉樹パルプ、または針葉樹パルプから選択された少なくとも一種が使用でき、またリンターパルプと木材パルプを併用してもよい。
パルプの純度の指標となるα-セルロース含量は、例えば90〜100重量%程度の範囲から選択でき、木材パルプでは、通常、92〜98重量%程度である。本発明では低純度パルプ、例えばαセルロース含量90〜97重量%、特には92〜96重量%、更には93〜95重量%程度のパルプも使用できるが、好ましくは高純度パルプを用いることができる。
すなわち好適にはα-セルロース含量が95重量%以上、言い換えればヘミセルロース等の副成分が5重量%未満のものが好ましく用いることができる。更に好ましくはα-セルロース含量が97重量%以上、すなわちヘミセルロース等の副成分が3重量%未満のものが用いることができる。
原料であるセルロースは、通常、セルロース分子及び/又はヘミセルロース分子に結合した状態などで多少のカルボキシル基を含有していることが知られている。このカルボキシル基含量(濃度)は、TAPPI Standard T237 om−83などの種々の方法により定量できる。本発明で規定するパルプ(セルロース)中のカルボキシル基含量は、このTAPPI Standard T237 om−83により定量した値である。
本発明においては使用されるセルロースとしては、カルボキシル基含量に特に制限はないが、より好ましい形態として、カルボキシル基含量の少ないセルロースを使用して、第2工程のアセチル化終了後のセルロースエステル中のカルボキシル基含量(濃度)を低減化することもできる。その場合の、セルロースのカルボキシル基含量は、広葉樹パルプの場合、1meq/100g以下(例えば、0〜1meq/100g、特に0.001〜1meq/100g)、好ましくは0.8meq/100g以下(例えば、0.001〜0.8meq/100g)、さらに好ましくは0.6meq/100g以下(例えば、0.001〜0.6meq/100g)程度である。
針葉樹パルプのカルボキシル基含量は、1.5meq/100g以下(例えば、0〜1.5meq/100g、特に0.001〜1.5meq/100g)、好ましくは1meq/100g以下(例えば、0.001〜1meq/100g)、さらに好ましくは0.6meq/100g以下(例えば、0.001〜0.6meq/100g)程度である。
コットンリンターパルプのカルボキシル基含量は、1meq/100g以下(例えば、0〜1meq/100g、特に0.001〜1meq/100g)、好ましくは0.7meq/100g以下(例えば、0.001〜0.7meq/100g)、さらに好ましくは0.4meq/100g以下(例えば、0.001〜0.4meq/100g)程度である。
上記のような低カルボキシル基含量のセルロースの製造方法は、特に限定されず、例えば、パルプ漂白工程における漂白剤による酸化を抑制する方法(例えば、マイルドな条件での漂白)、特定のリンターパルプを選択する方法、ヘミセルロースの含量を低減する方法、パルプ漂白工程においてカルボキシル基含有成分を抽出する方法、カルボキシル基の少ない原材料(木材樹種、リンター種等)を用いてパルプを製造する方法等により得ることができる。
なお、前記測定方法により、セルロースアセテート用セルロースのカルボキシル基含量を測定すると、例えば、広葉樹パルプでは1.1〜1.6meq/100g、針葉樹パルプでは1.8〜2.8meq/100gである。また、文献(A.Isogai et al.,繊維学会誌,48(11),649(1992);岡田ら,紙パ技協誌,28(2),59(1974))には、1.4meq/100gのカルボキシル基含量を有するリンターパルプが記載されている。
カルボキシル基含量の少ないセルロースを用いて得られたセルロースエステルのカルボキシル基含量は、セルロース換算で、1meq/100g以下(例えば、0〜1meq/100g、特に0.001〜1meq/100g)、好ましくは0.8meq/100g以下(例えば、0.001〜0.8meq/100g)、さらに好ましくは0.6meq/100g以下(例えば、0.001〜0.6meq/100g)程度である。
また、前記セルロースエステルのカルボキシル基含有量は、マンノース含量が0.4モル%以上である場合、セルロース換算で、1.1meq/100g以下(例えば、0.001〜1.1meq/100g)、好ましくは0.8meq/100g以下(例えば、0.001〜0.8meq/100g)、さらに好ましくは0.6meq/100g以下(例えば、0.001〜0.6meq/100g)程度である。
マンノース含量が0.1モル%を超えて0.4モル%未満の場合、前記セルロースエステルのカルボキシル基含有量は、セルロース換算で、0.8meq/100g以下(例えば、0.001〜0.8meq/100g)、好ましくは0.6meq/100g以下(例えば、0.001〜0.6meq/100g)、さらに好ましくは0.5meq/100g以下(例えば、0.001〜0.5meq/100g)程度である。
マンノース含量が0.1モル%以下の場合、前記セルロースエステルのカルボキシル基含有量は、セルロース換算で、1.1meq/100g以下(例えば、0.001〜1.1meq/100g)、好ましくは0.7meq/100g以下(例えば、0.001〜0.7meq/100g)、さらに好ましくは0.4meq/100g以下(例えば、0.001〜0.4meq/100g)程度である。
また、前記セルロースエステルのカルボキシル基含有量は、マンノース含量に対するキシロース含量の割合(モル比)が3未満の場合、セルロース換算で、1.1meq/100g以下(例えば、0.001〜1.1meq/100g)、好ましくは0.8meq/100g以下(例えば、0.001〜0.8meq/100g)、さらに好ましくは0.6meq/100g以下(例えば、0.001〜0.6meq/100g)程度である。
[セルロースのエーテル化]
本発明の第1工程はセルロースの水酸基の一部にエーテル結合で置換基を導入することである。すなわちセルロースエーテル類を得ることである。セルロースエーテル類としてはアルキルセルロース類でも良く、ヒドロキシアルキルエーテル類でも良く、カルボキシアルキルセルロース類でも良く、シアノアルキルエーテル類でも良い。そして本発明のセルロースエーテル類をアシル化して得られたセルロースエーテルエステルの場合は特に、透明性、剥離性、延伸性など光学用途に用いるのに良好な特性を持つ光学フィルムの原料となる。尚、本発明におては変性するとはセルロースをエーテル化することである。
次にセルロースエーテルを製造するエーテル化剤について述べる。本発明の第1工程で用いることができるエーテル化剤はセルロースの置換基をエーテル結合で置換することができる種々の有機基を持っているエーテル化剤を用いることができる。エーテル化剤がセルロースのヒドロキシル基に導入する置換基としては炭化水素を元にして、且つヘテロ原子を含んでいてもよい基である。より詳細に述べると
(1)1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基、
(2)アリール、アルキルアリール及びアリールアルキル基、
(3)カルボキシル、ニトリル又はヒドロキシル基等のあるアルキル基。
本発明に使用できる具体的な有機基の例には、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチルのようなヒドロキシアルキル、カルボキシメチル、シアノエチル、スルホエチルを挙げることができる。もっとも好適なものは、少なくとも一つのヒドロキシル官能基を含むアルキル基である。更に好適なものは一つのヒドロキシル官能基を含むアルキル基である。尚、本発明のセルロースは、異なる性状の複数の置換用有機基を含むことができる。
このような置換用有機基を導入するエーテル化剤としてエポキシ化合物が好適に用いられる。本発明でもちいることができるエポキシ化合物としては、モノエポキシ化合物であるエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エポキシアルカン、スチレンオキシド、シクロヘキサンモノオキシド、エピクロルヒドリン、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジールグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻油、エポキシステアリン酸エステルなどを挙げることができる。
これらの中でもエポキシドが好適であり、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、プロピレンオキシドなどを挙げる事ができるが、この中でも特にプロピレンオキサイドが好適である。
これらのエーテル化は公知の方法でよく、特開昭52−23186号、特表2000−513042号などに記載されている。
本発明の第1工程としてエーテル化反応はさまざまな公知の方法を取ることができる。好ましい方法はセルロースとエーテル化剤との反応をアルカリ存在下で行うことである。特に好適な方法としては、原料となるセルロースの漂白及びアルカリ法精製連鎖の一部としてパルプ製造の間にパルプ中で実施するのが好適である。すなわち、活性塩基(例えば、約1〜12重量%の苛性ソーダまたは他のアルカリまたはアルカリ土類金属類の水酸化物)がパルプ精製中に添加されている間にエーテル化剤を添加することにより第1工程を行うことができる。反応温度は、例えば約10〜120℃でエーテル化剤の反応性、MS値、反応速度、安全性を考慮して適宜決定することができる。反応圧力についてもエーテル化剤の安定性と反応効率、目的とする生成物を考慮して適宜決定することができる。エーテル化反応の反応時間はその反応量等で変わるが例えば約10〜3時間程度である。
本発明の第1工程では通常のセルロースエーテルでの反応の様に均一なドープとなるまで反応する必要はない。不均一エーテル化物であっても、本発明の第1工程の生成物であるセルロースエーテルとしては十分用いることができる。
第1工程の目的のひとつは、セルロースの結晶構造を緩和して、置換基を導入することによって、その結晶構造緩和効果を維持することである。結果として第1工程の生成物であるセルロースエーテルは結晶化度が低下する。そして残った結晶部の少なくとも一定の部分については結晶構造をセルロースI型からセルロースII型に変換される。
本発明においては第1工程でのエーテル化反応のセルロースの結晶領域と非結晶領域での反応形態としては、当然まず非晶領域で反応が生じ、次いで結晶領域に徐々に進行してゆくが、エーテル化は反応速度が遅く、反応速度が律速となり、結晶領域で反応は均一に進行する。この結果として、反応は非晶領域でも、結晶領域でもほぼ均一に進行し、セルロースの結晶構造を緩和する。
通常のセルロースの場合、高度にセルロースI型に結晶構造をとっている部分が存在してお
り、この部分はアシル化工程では反応が進みに難い。この理由は、セルロースのアシル化反応では反応速度よりもアシル化剤のセルロースの結晶領域への酸の拡散速度が遅いため、拡散速度が律速となり、結晶領域内では反応は不均一に進行する。セルロースI型の結晶構造の方が
セルロースI型の結晶構造と比較して、容易にアシル化され得る。
このため、本発明の第1工程の生成物を用いて、第2工程(アシル化すなわちエステル化)を行った場合には反応が均一に進行し、反応が充分でない低酢化度ファイバーが減少する。すなわち未反応セルロースすなわち不溶解成分が減少する。このため均一な性状のセルロースエーテルエステルを得ることができ、このセルロースエーテルエステルを溶解した場合には不溶解物が少なく、得られたドープは良好な濾過性を示し、さらにこのセルロースエーテルエステル溶液から得られた光学フィルムは未反応セルロースすなわち不溶解成分に起因する光学欠点が少なく、つまり輝点異物が少なくなり、最近の大型画面の液晶表示装置の用いられて場合には優れた品質、性状を示す。特に溶液製膜に代えて溶融製膜を行う場合には、前記未反応セルロース減少効果は得られるフィルムの光学欠点が少なく、つまり輝点異物が少なく優れた品質、性状につながる。
勿論、通常のエーテル化反応と同様にエーテル化度をある程度進めた上でアシル化を行うこともできる。エーテル化度をどの程度進行させるかは、目的とする光学フィルムの用途、使用法に合わせて選定することができる。
このようにして得られたセルロースエーテルの結晶化度は、原料となるパルプの種類により変わるが、X線回析法で測定した場合に10%以上、60%以下、好ましくは10%以上、55%以下、より好ましくは15%以上、50%以下、更に好ましくは15%以上、40%以下、特に好ましくは15%以上、35%以下、最も好ましくは20%以上、30%以下である。
通常のセルロースアセテートの場合であれば、X線回折法で測定した結晶化度は針葉樹パルプを用いたセルロースアセテートの場合で、結晶化度60%程度である。尚、本発明で述べているX線散乱法とは小角X線散乱を示し、その測定方法については日本分析化学会編 朝倉書店発行の「高分子分析ハンドブック」等に記載されているが本発明で行った方法の概略は実施例に記載する。
そしてX線回折法で測定した第1工程のセルロースエーテルの結晶形態としては、通常のセルロースがセルロースI型の結晶形態を示すのに対して、本発明のセルロースエーテルは主と
してセルロースI型の結晶形態を示す。セルロースI型およびセルロースI型の構造の詳細に
ついては文献(Kolpac et al.,1978,Polymer,19,123-131)に記載されている。
[エーテル結合した変性剤の平均分子数(MS)]
セルロースエーテルエステルのエーテル化の程度を示すMSは、アシル化の程度(DS)とともに延伸性と固有複屈折に深く関係し、一般にMSを高くすることで延伸性は増大し固有複屈折も増大する。適度な延伸性と固有複屈折を実現させるためにはセルロースエーテルエステルのMSを適度に調整する必要がある。このため本発明の第1工程での置換用有機基によるグルコース単位あたりにエーテル結合した変性剤の平均分子数(MS)は平均炭素数などを勘案して選択することができ、0.01以上、4.00以下であることが必要である。好ましくは0.01以上、3.00以下、より好ましくは0.01以上、2.0以下、更に好ましくは0.05以上、1.75以下である。
上記の通り、本発明の第1工程ではエーテル化反応での置換度は、かならずしもそれほど高くする必要がない。尚、第1工程での生成物がメチルセルロースの様に、ヒドロキシル基を含有したにエーテル化剤でエーテル化された場合には、エーテル化反応での置換度はグルコース単位あたりにエーテル結合した変性剤の平均分子数(MS)と等しくなるが、アルキルヒドロキシエーテルセルロースなどの場合には、エーテル化反応での置換度はMSと同一ではない。
本発明においてはMSが低い場合でも、本発明の第1工程の生成物であるセルロースエーテルとしては好適である。しかしながら、平均炭素数を勘案しない場合であればMSは0.75から1.75の範囲にすることが好ましい。より好ましくは1.00から1.50の範囲である。
[セルロースエーテルのアシル化工程]
本発明の第2工程はセルロースエーテルのアシル化(エステル化)工程である。
本発明のセルロースエーテルエステルは、本発明の第1工程の生成物であるセルロースエーテルを用いて通常セルロースエステルの慣用の方法、例えば、硫酸触媒法、酢酸法、メチレンクロライド法などの方法を用いることで製造できる。以下に、硫酸触媒による酢酸法を例示する。
セルロースアセテートなどのセルロースエステルは、通常、パルプ(セルロース)を用いるが本発明においては通常のセルロースに代えて、第1工程で製造したセルロースエーテルを用い必要に応じて酢酸などにより活性化処理(活性化工程)した後、硫酸触媒を用いて無水カルボン酸によりトリエステルを調製し(エステル工程)、ケン化(加水分解)・熟成により酢化度を調整する(熟成工程)ことにより製造できる。この方法において、活性化工程は、例えば、酢酸や含水酢酸の噴霧、酢酸や含水酢酸への浸漬などによリ、セルロースエーテルを処理することにより行うことができ、酢酸の使用量は、セルロースエーテル100重量部に対して10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部、さらに好ましくは30〜60重量部程度である。
エステル化工程における無水カルボン酸の使用量は、前記DSesterとなる範囲で選択でき、例えば、変性パルプ(セルロースエーテル)100重量部に対して例えば無水酢酸であれば230〜700重量部、好ましくは240〜300重量部、さらに好ましくは250〜280重量部程度である。酢化工程において、通常、溶媒として酢酸が使用される。カルボン酸の使用量は、例えば酢酸であれば、変性パルプ(セルロースエーテル)100重量部に対して200〜1000重量部、好ましくは300〜600重量部、さらに好ましくは350〜500重量部程度である。
エステル化又は熟成触媒としては、通常、硫酸が使用される。硫酸の使用量は、通常、セルロースエーテル100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは1〜15重量部、特に5〜10重量部程度である。また、熟成は、例えば、温度50〜70℃程度で行うことができる。
上記の通り本発明の第2工程はアシル化工程であるが、この工程においては公知の他のアセチル化技術を組み合わせて有効に用いることができる。
[アシル基置換度(DSester)]
本発明におけるアシル基置換度(DSester)とは、セルロースエーテルのグルコース環またはエーテル置換基に存在する水酸基をエステル化することによりアシル基で置換した程度を示す。すなわち、ヒドロキシアルキルエーテルセルロースであれば、グルコース当たりに保有している3個の水酸基のアシル基での置換の程度を示す。またアルキルエーテルセルロースの場合であれば、セルロースのグルコース環に結合した水酸基がアルキルエーテルで置換された残りの水酸基がアシル基で置換された程度を表す。従って、アシル化が複数のアシル化剤を用いた混合脂肪酸エステル化である場合においてはアシル基置換度(DSester)は各々の置換度の和として求められる。
本発明のセルロースエーテルエステルにおいてアシル基の平均置換度すなわちDSesterは、目的とする用途や特性に応じて1.0〜3.0程度の範囲から選択できる。
本発明における平均置換度(DSester)としては、寸法安定性や耐湿性、耐熱性などを高めるため、また、現状の光学特性を維持するためには、通常、DSester=0.01〜3.00、好ましくは0.50〜3.00、さらに好ましくは1.00〜3.0、特に好ましくは1.50〜3.00、より良く好ましくは2.00〜3.00、とりわけ好ましくは2.50から3.00、特別に好ましくは2.75〜3.00、非常に好ましくは2.80〜3.00である。
エーテル基としてヒドロキシアルキル基を選択する場合には、アシル基の平均置換度は3.0になるべく近い数値、例えば2.90〜2.97程度としてほぼ全ての水酸基を修飾することが寸法安定性の観点から好ましい。アルキルエーテルセルロースの場合であれば、DSesterは低くても構わない。例えばエーテル基としてメチル基を選択する場合には、メチル基MSは1.40〜1.50程度とし、アシル機の平均置換度は1.40から1.50程度としてほぼ全ての水酸基を修飾することが寸法安定性の観点から好ましい。
置換度DSester及びMSは、常法に従って求めることができる。すなわち適切な標準物質により作られた検量線により、NMRによっても測定することができる。置換度の精度から考えて13C-NMRによりMS及びDSesterを求めることが好ましい。
[平均炭素数(AC)]
本発明において平均炭素数(AC)はエーテル基、アシル基で置換されている其々の置換基の長さの程度と置換の程度の双方を勘案した数値であり、エーテル基およびエステル基各々の炭素数と置換度の積を3で除したものの和として定義される。
すなわち具体的には、置換基の平均炭素数(AC)はエーテル基およびエステル基各々の炭素数と置換度の積を3で除したものの和として定義される。これをエポキシ化合物やハロゲン化アルキルなどのセルロースへの導入に際して炭素数に変化の無いエーテル化剤の炭素数とMSをもって表すと次式の通り定義される。
セルロースエーテルエステルの置換基の平均炭素数(AC)=
(MS/3×(エーテル化剤炭素数)+DS/3×(アシル基炭素数))
また、複数のエーテル化剤及びアシル化剤からなるセルロースエーテルエステルでは、平均炭素数(AC)は、エーテル化剤1、エーテル化剤2、エーテル化剤3‥‥エーテル化剤NそれぞれのMSをMS1, MS2, MS3,‥MSNとして、さらの各々エーテル化剤の炭素数をA1, A2, A3‥ANとする。更に、アシル化剤1、アシル化剤2、アシル化剤3‥‥アシル化剤Nそれぞれの置換度をDS1, DS2, DS3‥DSNとして、さらの各々アシル化剤の炭素数をB1,B2,B3‥BNとすると以下の式で表すことができる。
AC=(MS1/3×A1)+(MS2/3×A2)+(MS3/3×A3)+‥‥+(MSN/3×AN)+(DS1/3×B1)+(DS2/3×B2)+(DS2/3×B3)‥‥+(DSN/3×BN
ここで、
MS=MS1+MS2+MS3‥MSN
DSester=DS1+DS2+DS3‥DSN
[平均水酸基置換度(RH)]
本発明でいうところの平均水酸基置換度(RH)とは、セルロースのグルコース環当たりの平均残存水酸基数であり、グルコース環mol当たりの水酸基のmol数である。すなわちセルロースの当初3個保有していた水酸基の中でエーテル化、エステル化を経て本発明のセルロースエーテルエステルとなった場合の残存している水酸基の数であり、残存水酸基数あるいは平均水酸基置換度とも称される。本発明での平均水酸基置換度(RH)とはセルロースのグルコース環に直接結合していた水酸基のみならず、ヒドロキシアルキルエーテルセルロースとされた場合のヒドロキシアルキル基により導入された水酸基も含む。したがって、モノヒドロキシアルキルエーテル基で置換されたセルロースエーテルをエステル化した場合には、RHは次式で与えたれる。
RH=3−DSester
一方、水酸基を含有していないアルキルエーテル基で置換された場合には、エーテル化の工程でセルロースの3個の水酸基が置換されるため、RHは次式で与えられる。
RH=3−(DSester+MS)
本発明のような光学フィルムに要求される光学適性のひとつに位相差(レタデーション(Retardation))が挙げられる。レタデーションとは複屈折率と膜厚の積であり、i方向(iはフイルムの幅方向(x)、成形軸方向(y)、フイルム厚み方向(z)の方向から選らればれた任意の方向)の屈折率niと膜厚d(nm)を用いて以下の通り定義できる。
Re(正面):|nx−ny|×d
Rth(厚み):|(nx+ny)/2−nz|×d
このなかで面内位相差(正面方向のレタデーション(Re))は光学フイルムでは0〜300nm程度に任意に調整できることが好ましく、面外位相差(厚み方向のレタデーション(Rth))は光学フイルムの用途により大きい場合が好ましいこともあり、また小さい方が好ましい場合がある。(Cellulose Commun. Vol.5, No.2 (1998) 101-104)
アシル基置換度であるDSesterを大きくした場合は厚み方向のレタデーションは小さくなり、偏光板保護膜に用いるのに好適となる。逆にアシル基置換度であるDSesterを低下させたものは視野角拡大フイルム、位相差フイルムに用いるのに好適な光学フイルムとなる。尤も、寸法安定性の観点からDSesterはグルコース残基あたりの平均水酸基置換度(RH)が0.3を越えないよう選択する必要があり、本発明ではその場合にもレターデーションはエーテル基の種類やMSによって調整することができる。
[固有複屈折率(IR)]
本発明においては固有複屈折率(IR)も重要である。すなわち固有複屈折率(IR)は物質固有の値であり、本発明のセルロースエーテルエステルとすることにより、固有複屈折率(IR)を好適な範囲にすることができる。なお、本発明のセルロースエーテルエステルにおいて、総置換度を高くしてグルコース残基あたりの水酸基数を0.3以下とした場合でも相当の固有複屈折を示すのは、通常のセルロースエーテルよりもセルロースを構成するグルコース残基に直接に結合するアシル基が少なく、アシル基のカルボニル結合が優先的にセルロース主鎖に鉛直に配向し、セルロース主鎖の正の複屈折を打ち消すことの影響が少なくなるためと考えられる。固有複屈折率(IR)の測定方法は下記の通りである。
2.2gの試料を2mlの3−メチルピリジン(比較例1のセルロースアセテートのみ1−メチル−2−ピロリジノン)に溶解し液晶状態の溶液を得た。アッベ型屈折率系を用いて20℃〜100℃の範囲の種々の温度で面方向(プラーナ−配向)と平行方向及び垂直方向の屈折率を測定し、Hallerの方法(Prog. Solid State Chem., 10, 103 (1975))により秩序度を求め、次式により固有複屈折を算出した。
(固有複屈折)=2×(複屈折)/((秩序度)×(試料の体積分率))
ここに、複屈折:面に平行な屈折率と垂直な屈折率の差
なお、試料の体積分率算出に際しては、試料と溶媒の混合による体積変化は無視した。試料の密度は定容積膨張法(アキュピック法)により測定した。
[不溶解物量(US)]
本発明では不溶解物量の測定方法は下記の通りである。
(測定方法)
メチレンクロライド:メタノール=9:1(重量比)の混合溶媒に、2wt%固形分濃度になるようにセルロースエーテルエステルを溶解した溶液を、ガラスフィルター(孔径5〜10μm)を使用して濾過する。ガラスフィルターとしては相互理化学硝子製作所製のG―4を用いた。その後、濾過残渣に付着しているドープをメチレンクロライド:メタノール=9:1(重量比)の混合溶媒にて洗浄する。濾過残渣をガラスフィルターごと恒量になるまで乾燥する。これらの濾過前後でのガラスフィルター重量を測定し、次式より不溶解物量を算出する。
不溶解物量(wt%)=〔濾過後ガラスフィルター重量(g)−濾過前ガラスフィルター重量(g)〕/セルロースエーテルアセテート重量(g)×100
[ガラス転移点(Tg)]
本発明でガラス転移点と称しているものは、高分子の一般的な定義でのガラス転移温度((Tg)である。高分子のガラス転移温度は測定方法により、数値が変わることが知られているが、本発明でガラス転移点(Tg)としているものは、入力補償型の熱示差走査熱量計(DSC)で昇温速度1℃/minの条件で示差熱分析を測定した場合のベースラインの変動として与えられるガラス転移点(glass transition temperature )である。昇温速度以外の測定条件についてはJIS K7121に準拠したものである。本発明におけるガラス転移点(Tg)は固有複屈折率が0.001から0.040の範囲にある場合には、通常60〜180℃、好ましくは70〜160℃、さらに好ましくは80〜140℃である。
ガラス転移温度が低いと、実使用条件で使用環境温度や使用機器での発熱により光学フィルムの温度がガラス転移温度に達する場合があり、その場合には分子の配向が変化し、位相差が変化し、光学的な特性が変化してしまう。
ガラス転移温度が高いと、融点も高く、高い成型温度、延伸温度を要し、成型中の熱分解やそれに伴う着色の点で不利である。
[平衡水分率]
本発明でいう平衡水分率とは、物質の平衡水分率のことであり、一般的には平衡含水率とも呼ばれている物でである。これは特定の条件下で求めた平衡水分率であり、本発明では温度25℃、相対湿度65%の条件で求めた平衡水分重量を試料の乾燥重量で除して求めた平衡水分率のことである。本発明においてはセルロースエーテルエステルで平衡水分率を2wt%以下、好ましくは0.01wt%から1.75wt%、より好ましくは0.1wt%から1.6wt%、更に好ましくは、0.4wt%から1.3wt%とすることにより、液晶表示装置として長期間使用された場合の光学的特性の変化を少なくすることができる。
[高温破断伸度(HB)]
本発明においては、ガラス転移点より8℃高い温度で50mm/minの引張速度で測定した高温破断伸度(HB)もまた重要である。すなわち高温破断点伸度(HB)は延伸性と延伸された場合の分子配向の程度を示す。本発明のセルロースエーテルエステルとしては固有複屈折率が0.001から0.040の範囲にある場合には、高温破断伸度(HB)が30〜250%であることが必要であり、好ましくは40〜200%、さらに好ましくは60〜150%である。
固有複屈折率が0.001から0.040の範囲にある場合には、高温破断伸度(HB)が30よりも低いと延伸による分子が配向することができないことを示しており、すなわち分子配向を誘起できず、位相差を制御することが困難であり、延伸された光学フイルムとして用いることができない。
また、固有複屈折率が0.001から0.040の範囲にあるにも拘らず、高温破断伸度(HB)が250よりも高い場合には、材料としての弾性が不足しており、自立フィルムとして使用するのが困難になる。
[耐熱処理]
本発明の光学フイルムの原料となるセルロースエーテルエステルの製造工程においては、その製造工程の最終段階で耐熱処理を行うことが望ましい。すなわち、セルロースエステルは通常熱と水分が存在している環境下では加水分解を起こす。。
、熱安定性や湿熱安定性を向上させるため、安定剤、例えば、アルカリ金属(リチウム,カリウム,ナトリウムなど)又はその塩やその化合物、アルカリ土類金属(カルシウム,マグネシウム,ストロンチウム,バリウムなど)又はその塩やその化合物を大過剰に含有し、それにより硫酸基をフリーにしないで安定を付与しても良い。。
[セルロースエーテルエステル溶液]
セルロースエーテルエステルは、溶媒中に溶解してセルロースエーテルエステル溶液を調製する。溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。前述したように、本発明のセルロースエーテルエステル溶液は、様々な種類の有機溶媒を用いて調製できるという効果を有する。すなわち、メチレンクロリドのようなハロゲン原子を含む有機溶媒への溶解性に優れるのみならず、ハロゲン原子を含む有機溶媒を使用しなくても溶液の調製が可能である。しかしながら、無論メチレンクロリドを用いて溶液を調整しても良い。全溶媒中のハロゲン原子を含む有機溶媒の割合は、50重量%以下であることが好ましく、5重量%未満であることが更に好ましく、2重量%未満であることがさらに好ましい。また、全く使用しないことが特に好ましい。ケトン類、エステル類およびエーテル類から選ばれるハロゲン原子を含まない有機溶媒が好ましく用いられる。この中でもケトン類およびエステル類がさらに好ましい。ケトン類、エステル類およびエーテル類は環状構造を有していてもよい。有機溶媒の沸点は、140℃未満であることが好ましく、100℃未満であることがさらに好ましく、70℃未満であることが最も好ましい。有機溶媒の例としては、アセトン(沸点:56℃)、N−メチルピロリドン(沸点:202℃)、テトラヒドロフラン(沸点:65.4℃)、1,4−ジオキサン(沸点:101.1℃)、メチルアセテート(沸点:57.8℃)、エチルホルメート (沸点:54℃)、2−メトキシエタノール(沸点:124℃)を挙げることができる。アセトンおよびメチルアセテートが特に好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。しかしながらメチルアセテート単独溶媒でも溶解させることができる。二種類以上の有機溶媒を併用する場合、上記に例示した良溶媒とそれ以外の貧溶媒を併用してもよい。貧溶媒の例としては、炭素原子数が1乃至4の低級アルコール(例、メタノール、n−ブタノール)およびシクロヘキサンを挙げることができる。良溶媒と貧溶媒を併用する場合、良溶媒の割合は50重量%以上であることが好ましい。更に好ましくは、70重量%以上、特に好ましくは、90重量%以上である。
本発明のセルロースエーテルエステル溶液は、一般的なソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて調製することができる。比較的低濃度の溶液は常温で攪拌することにより得ることができる。高濃度の溶液の場合は、加圧および加熱条件下で攪拌して調製することが好ましい。具体的には、セルロースエーテルエステルと溶媒を加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は60℃以上であり、好ましくは80℃乃至110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。 また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。必要に応じて窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。調製する溶液中のセルロースエーテルエステルの濃度は、溶液の用途に応じて決定する。溶液中の濃度は、一般に5乃至50重量%であり、好ましくは10乃至40重量%である。セルロースエーテルエステル溶液をフイルムの製造に使用する場合、溶液の粘度は10000乃至1000000cPの範囲であることが好ましい。これらのセルロースエーテルエステルの溶液の調整については特開平08-231761に記載されている。
セルロースエーテルエステル溶液には、その用途に応じて、添加剤(例、可塑剤、劣化防止剤、紫外線防止剤)を添加してもよい。それらの添加剤は、可塑剤、紫外線防止剤や劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)である。
セルロースエーテルエステルフイルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することが普通である。
可塑剤の例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート(TCP)、ジオクチルフタレート(DOP)、O−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)およびクエン酸アセチルトリエチルが含まれる。
光学的異方性を小さくする可塑剤として、(ジ)ペンタエリスリトールエステル類(特開平11−124445号公報記載)、グリセロールエステル類(特開平11−246704号公報記載)、ジグリセロールエステル類(特開2000−63560号公報記載)、クエン酸エ50 ステル類(特開平11−92574号公報記載)あるいは置換フェニルリン酸エステル類(特開平11−90946号公報記載)を用いてもよい。可塑剤は、2種以上併用してもよい。可塑剤の添加量は、セルロースエーテルエステルに対して5〜30質量%であることが好ましく、8〜16質量%がさらに好ましい。
劣化防止剤や紫外線防止剤については、特開昭60−235852号、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号、同6−118233号、同6−148430号、同7−11056号、同7−11055号、同7−11056号、同8−29619号、同8−239509号、特開2000−204173号の各公報に記載がある。
劣化防止剤の例には、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)が含まれる。紫外線吸収剤は、波長370nm以下の紫外線の吸収能があり、かつ波長400nm以上の可視光の吸収が少ない化合物が好ましい。紫外線吸収剤の例には、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物およびニッケル錯塩系化合物が含まれる。ベンゾトリアゾール系化合物およびベンゾフェノン系化合物が好ましい。劣化防止剤や紫外線防止剤の添加量は、セルロースエーテルアセテートに対して質量割合で1ppm〜10000ppmが好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
本発明のセルロースエーテルエステルは、従来のセルロースアセテートと比較して、可塑剤の添加量が少なくても済むという利点がある。このため、可塑剤の量が15重量%以下でも、可塑剤の効果が得られる。セルロースエーテルエステル溶液(ドープ)あるいはセルロースエーテルエステルフイルムに添加できる劣化防止剤の例には、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤および酸捕獲剤が含まれる。劣化防止剤については、特開平5−1973号公報に記載がある。また、紫外線防止剤については、特開平7−156号公報に記載がある。
[剥離剤]
本発明の光学フイルムは様態(23)に記載した通り、水溶液中での酸解離指数pkaが1.93〜4.50である少なくとも一種類の酸、この酸のアルカリ金属塩、および前記酸のアルカリ土類金属塩から選択された少なくとも一種を剥離剤として含むことができる。
剥離剤はセルロースエーテルエステル溶液を流延する前に添加することができる。剥離剤は本発明の光学フイルムの原材料であるセルロースエーテルエステルに含有されていても良い。
剥離剤は、水溶液中での酸解離指数(pKa)が1.93〜4.50である酸、そのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が好ましい。酸は、無機酸および有機酸のいずれも用いることができる。無機酸の例には、HClO2 (2.31)、HOCN(3.48)、モリブデン酸(H2 MoO4 、3.62)、HNO2 (3.15)、リン酸(H3 PO4 、2.15)、トリリン酸(H531 0 、2.0)およびバナジン酸(H3 VO4 、3.78)が含まれる。なお、かっこ内の数値は、水溶液中での酸解離指数(pKa)である(以下の酸も同様)。有機酸としては、カルボン酸、スルホン酸およびリン酸が代表的である。
カルボン酸には、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族多価カルボン酸、オキシカルボン酸、アルデヒド酸、ケトン酸、芳香族モノカルボン酸、芳香族多価カルボン酸、複素環式モノカルボン酸、複素環式多価カルボン酸およびアミノ酸が含まれる。脂肪族モノカルボン酸の例には、ギ酸(3.55)、オキサロ酢酸(2.27)、シアノ酢酸(2.47)、フェニル酢酸(4.10)、フェノキシ酢酸(2.99)、フルオロ酢酸(2.59)、クロロ酢酸(2.68)、ブロモ酢酸(2.72)、ヨード酢酸(2.98)、メルカプト酢酸(3.43)、ビニル酢酸(4.12)、クロロプロピオン酸(2.71−3.92)、4−アミノ酪酸(4.03)およびアクリル酸(4.26)が含まれる。脂肪族多価カルボン酸の10 例には、マロン酸(2.65)、コハク酸(4.00)、グルタル酸(4.13)、アジピン酸(4.26)、ピメリン酸(4.31)、アゼライン酸(4.39)、フマル酸(2.85)が含まれる。オキシカルボン酸の例には、グリコール酸(3.63)、乳酸(3.66)、リンゴ酸(3.24)、酒石酸(2.82−2.99)およびクエン酸(2.87)、アルデヒド酸の例には、グリオキシル酸(3.18)が含まれる。ケトン酸の例には、ピルビン酸(2.26)およびレブリン酸(4.44)が含まれる。
芳香族モノカルボン酸の例には、アニリンスルホン酸(3.74−3.23)、安息香酸(4.20)、アミノ安息香酸(2.02−3.12)、クロロ安息香酸(2.92−3.99)、シアノ安息香酸(3.60−3.55)、ニトロ安息香酸(2.17−3.45)、ヒドロキシ安息香酸(4.08−4.58)、アニス酸(4.09−4.48)、フルオロ安息香酸(3.27−4.14)、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸(2.85−4.00)、ヨード安息香酸(2.86−4.00)、サリチル酸(2.81)、ナフトエ酸(3.70−4.16)、ケイ皮酸(3.88)およびマンデル酸(3.19)が含まれる。芳香族多価カルボン酸の例には、フタル酸(2.75)、イソフタル酸(3.50)およびテレフタル酸(3.54)が含まれる。複素環式モノカルボン酸の例には、ニコチン酸(2.05)および2−フランカルボン酸(2.97)が含まれる。複素環式多価カルボン酸の例には、2,6−ピリジンジカルボン酸(2.09)が含まれる。
アミノ酸には、通常のアミノ酸に加えて、アミノ酸誘導体(置換基を有するアミノ酸やオリゴペプチドも含まれる。アミノ酸の例には、アスパラギン(2.14)、アスパラギン酸(1.93)、アデニン(4.07)、アラニン(2.30)、β−アラニン(3.53)、アルギニン(2.05)、イソロイシン(2.32)、グリシン(2.36)、グルタミン(2.17)、グルタミン酸(2.18)、セリン(2.13)、チロシン(2.17)、トリプトファン(2.35)、トレオニン(2.21)、ノルロイシン(2.30)、バリン(2.26)、フェニルアラニン50 (2.26)、メチオニン(2.15)、リシン(2.04)、ロイシン(2.35)、アデノシン(3.50)、アデノシン三リン酸(4.06)、アデノシンリン酸(3.65−3.80)、L−アラニル−L−アラニン(3.20)、L−アラニルグリシン(3.10)、β−アラニルグリシン(3.18)、L−アラニルグリシルグリシン(3.24)、β−アラニルグリシルグリシン(3.19)、L−アラニルグリシルグリシルグリシン(3.18)、グリシル−L−アラニン(3.07)、グリシル−β−アラニン(3.91)、グリシルグリシル−L−アラニン(3.18)、グリシルグリシルグリシン(3.20)、グリシルグリシルグリシルグリシン(3.18)、グリシルグリシル−L−ヒスチジン(2.72)、グリシルグリシルグリシル−L−ヒスチジン(2.90)、グリシル−DL−ヒスチジルグリシン(3.26)、グリシル−L−ヒスチジン(2.54)、グリシル−L−ロイシン(3.09)、γ−L−グルタミル−L−システイニルグリシン(2.03)、N−メチルグリシン(サルコシン、2.20)、N、N−ジメチルグリシン(2.08)、シトルリン(2.43)、3、4−ジヒドロキシフェニルアラニン(2.31)、L−ヒスチジルグリシン(2.84)、L−フェニルアラニルグリシン(3.02)、L−プロリルグリシン(3.07)およびL−ロイシル−L−チロシン(3.15)が含まれる。
また、スルホン酸やリン酸も、剥離剤として用いることができる。界面活性剤(特開昭61−243837号公報記載)も、剥離剤として用いることができる。剥離剤として用いられる界面活性剤の例には、C1225O−P(=O)−(OK)2、C1225OCH2CH2 O−P(=O)−(OK)2および(iso-C9192−C63−O−(CH2CH2O)3−(CH24SO3Naが含まれる。
酸または金属塩の総含有量は、剥離性や透明性などを損なわない範囲で決定する。含有量は、セルロースエーテルエステル1g当たり、1×10- 9 〜3×10- 5モルであることが好ましい。
[微粒子]
微粒子(マット剤)を添加してフイルムの軋みを防止することもできる。微粒子は、無機物質からなることが好ましい。無機物質の例には、シリカ、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ、マンガンコロイド、二酸化チタン、硫酸ストロンチウムバリウム、二酸化ケイ素、アルカリ土類金属(例、カルシウム、マグネシウム)の塩が含まれる。微粒子の添加によるフイルム表面の突起物の平均高さは、0.005〜10μmであることが好ましく、0.01〜5μmであることがさらに好ましい。微粒子の形状は、球形または不定形であることが好ましい。フイルム中の微粒子の含有量は、0.5〜600mg/m2 であることが好ましく、1〜400mg/m2 であることがさらに好ましい。
流延前の溶液は、適当な濾材(例、金網、紙、ネル)を用いて、異物(例、未溶解物、ゴミ、不純物)を除去しておくことが好ましい。溶液濾過に用いるフィルターの絶対濾過精度は、0.05〜100μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがさらに好ましい。濾過圧力は、16kg/cm2 以下であることが好ましく、12kg/cm2 以下であることがより好ましく、10kg/cm2 以下であることがさらに好ましく、2kg/cm2 以下であることが最も好ましい。
[セルロースエーテルエステルフイルムの製造]
セルロースエーテルエステルフィルムを製造する方法および設備は、従来のセルローストリアセテートフイルム製造に供する溶液流延製膜方法と溶液流延製膜装置が使用できる。また、セルロースエーテルエステルのエーテル基やアシル基の種類とMS及びDSに応じて、適当な流動性を有するガラス転移点以上の温度で溶融製膜することもできる。
溶液流延製膜方法では、溶解タンク(釜)から調製されたドープ(セルロースエーテルエステル溶液)をストックタンクで一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡したり最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の支持体の上に均一に流延され、支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。ハロゲン化銀写真感光材料や電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、各種の層(下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層)を支持体へ設けるために、塗布装置が付加されることが多い。
得られたセルロースエーテルエステル溶液を、支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に流延する。複数のセルロースエーテルエステル液を、逐次流延あるいは共流延して二層以上のセルロースエーテルエステルフィルムを製造してもよい。例えば、複数のセルロースエーテルエステル溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースエーテルエステルを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフイルムを作製してもよい(特開平11−198285号公報記載)。また、2つの流延口からセルロースエーテルエステル溶液を流延することによってフイルム化する方法(特開平6−134933号公報記載)も実施できる。また、高粘度セルロースエーテルエステル溶液の流れを低粘度のセルロースエーテルエステル溶液で包み込み、その高,低粘度のセルロースエーテルエステル溶液を同時に押出すセルロースエーテルエステルフィルム流延方法(特開昭56−162617号公報記載)でもよい。
このような共流延を行なうことにより、前述の様に表面の乾燥における平滑化が進行するため面状の大幅な改良が期待できる。共流延の場合の膜厚は、各層の厚さは特に限定されないが、好ましくは外部層が内部層より薄いことが好ましく用いられる。その際の外部層の膜厚は、1〜50μmが好ましく、特に好ましくは1〜30μmである。ここで、表面層とは、2層の場合はバンド面(ドラム面)ではない面、3層以上の場合は完成したフイルムの両表面側の層を示す。内部層とは、2層の場合はバンド面(ドラム面)。3層以上の場合は表面層より内側に有る層を示す。セルロースエーテルエステル溶液は、他の機能層(例、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層)と同時に流延することできる。
乾燥工程における乾燥温度は、30〜250℃が好ましく、40〜180℃がさらに好ましい。乾燥工程については、特公平5−17844号公報に記載がある。
出来上がり(乾燥後)のセルロースエーテルエステルフィルムの厚さは、使用目的によって異なるが、通常5〜500μmの範囲であり、更に20〜250μmの範囲が好ましく、特に30〜180μmの範囲が最も好ましい。なお、光学用途としては30〜110μmの範囲が特に好ましい。フイルム厚さの調製は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力や支持体速度を調節すればよい。
セルロースエーテルエステルフィルムの表面処理を行うことによって、セルロースエーテルエステルフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着を改善してもよい。表面処理には、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理が含まれる。酸またはアルカリ処理が好ましく、アルカリ処理がさらに好ましい。酸またはアルカリ処理は、セルロースエーテルアセテートフィルムに対して、鹸化処理として機能する。アルカリ鹸化処理は、フイルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥する手順で行われることが好ましい。アルカリ溶液は、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は0.1N〜3.0Nであることが好ましく、0.5N〜2.0Nがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃が好ましく、30℃〜70℃がさらに好ましい。次に一般には水洗され、しかる後に酸性水溶液を通過させた後に水洗して表面処理したセルロースエーテルエステルフィルムを得る。この時、酸としては塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、蟻酸、クロロ酢酸、シュウ酸などであり、その濃度は0.01N〜3.0Nが好ましく、0.05N〜2.0Nがさらに好ましい。そして、セルロースエーテルエステルフィルム支持体と機能層との接着を達成するために、下塗層(接着層)を設けこの上に機能層を塗布することも好ましい。
[光学フィルムの延伸]
本発明のセルロースエーテルエステルからなるフイルムは容易に延伸することが可能である。フイルムを、積極的に幅方向に延伸する方法としては特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号の各公報記載の方法を用いることができる。
フイルムの延伸は、一軸延伸または二軸延伸が採用できる。フイルムの延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、10〜600%であってもよく、より好ましくは10から300%であり、更に好ましくは10から100%であり、特に好ましくは10から70%であり、より良く好ましくは10から50%であり、とりわけ好ましくは10から30%である。本発明のセルロースエーテルエステルからなるフイルムは上記の通り容易に延伸することが可能であるから、延伸倍率は求める光学的特性を勘案して定めることができるが、一般的な光学フイルムとして考えた場合には30%程度であっても良い。
本発明でのフイルムでの延伸はガラス転移温度(Tg)より2℃から10℃程度高い温度で延伸をすることができる。また本発明のセルロースエーテルエステルは残留溶媒が極めて少ない(2wt%以下)状態で延伸することも可能であるが、残留溶剤量が高い状態で延伸しても構わない。
[液晶表示装置の素子]
偏光板用保護膜の構成においては、セルロースエーテルエステルフィルムの少なくとも一層に帯電防止層を設けたり、偏光子と接着するための親水性バインダー層が設けられることが好ましい。導電性素材としては、導電性金属酸化物や導電性ポリマーが好ましい。なお、蒸着やスパッタリングによる透明導電性膜でもよい。導電性層は、最外層でもよいし、内部層でも問題はない。導電層の送電性は、抵抗が100〜1012Ωであることが好ましく、特には100〜1010Ωであることが好ましい。導電層の送電層は金属酸化物が好ましい。金属酸化物の例には、ZnO、TiO2 、SnO2 、Al23 、In23 、SiO2 、MgO、BaO、MoO2 、V25 および複合酸化物が含まれる。ZnO、SnO2 およびV25が好ましい。導電性イオン性高分子化合物の例には、主鎖中に解離基をもつアイオネン型ポリマー、側鎖中にカチオン性解離基をもつカチオン性ペンダント型ポリマーが含まれる。導電性材料としては、有機電子伝導性材料が好ましい。有機電子伝導性材料の例には、ポリアニリン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体およびポリアセチレン誘導体が含まれる。
本発明のセルロースエーテルエステルフィルムのいずれかの機能性層に、界面活性剤を好ましく添加できる。ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤およびベタイン性界面活性剤が好ましい。フッ素系界面活性剤も用いることができる。界面活性剤は、有機溶媒中で塗布剤や、帯電防止剤として機能させることができる。また本発明のセルロースエーテルエステルフィルムの上のいずれかの層に滑り剤を含有させることが好ましい。
滑り剤の例には、ポリオルガノシロキサン(特公昭53−292号公報記載)、高級脂肪酸アミド(米国特許4275146号明細書記載)、高級脂肪酸エステル(英国特許927446号明細書、特公昭58−33541号、特開昭55−126238号、同58−90633号の各公報記載)が含まれる。上記高級脂肪酸エステルは、炭素原子数10〜24の脂肪酸と炭素原子数10〜24のアルコールとのエステルである。
本発明のセルロースエーテルエステル溶液から形成した光学フイルムは、様々な光学用途で用いることができるが、液晶表示装置の光学補償シートとして用いると特に効果がある。
本発明のセルロースエーテルエステルフィルムには、フイルムそのものを光学補償シートとして用いることができる。なお、フイルムそのものを光学補償シートとして用いる場合は、偏光素子(後述)の透過軸と、セルロースエーテルエステルフィルムからなる光学補償シートの遅相軸とを実質的に平行または垂直になるように配置することが好ましい。このような偏光素子と光学補償シートとの配置については、特開平10−48420号公報に記載がある。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成を有している。液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に80〜500μmの厚さを有する。
位相差フイルムは光学補償シートとも称されており、液晶画面の着色を取り除くための複屈折率フイルムである。セルロースエーテルエステルフィルムは、光学補償シートとして用いることができる。さらに反射防止層、防眩性層、λ/4層や2軸延伸セルロースエーテルエステルフィルムとして機能を付与してもよい。また、液晶表示装置の視野角を改良するため、セルロースエーテルエステルフィルムと、それとは(正/負の関係が)逆の複屈折を示すフイルムを重ねて光学補償シートとして用いてもよい。これらのフイルムは視野角拡大フイルムとも証されている。光学補償シートの厚さの範囲は、前述したフイルムの好ましい厚さと同じである。偏光素子の偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。いずれの偏光膜も、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。偏光板の保護膜は、25〜350μmの厚さを有することが好ましく、30〜200μmの厚さを有することがさらに好ましい。液晶表示装置には、表面処理膜を設けてもよい。表面処理膜の機能には、ハードコート、防曇処理、防眩処理および反射防止処理が含まれる。前述したように、支持体の上に液晶(特にディスコティック液晶性分子)を含む光学的異方性層を設けた光学補償シートも提案されている(特開平3−9325号、同6−148429号、同8−50206号、同9−26572号の各公報記載)。セルロースエーテルエステルフィルムは、そのような光学補償シートの支持体としても用いることができる。
更に本発明のセルロースエーテルエステルフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell )モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として好ましく用いられる。
また更には液晶ディスプレイ等の表示体の表面には、光のシャッターの役目をする偏光素子フイルムが積層された偏光板が設けられているが、偏光板自体が耐擦傷性に劣るために、ガラス、透明プラスチック板、又は透明プラスチックフィルム等の透明保護基板により保護されている。透明プラスチック板又は透明プラスチックフィルム等のプラスチックからなる透明保護基板は傷がつきやすいので、近年、偏光板の表面に機械的強度の高い処理をすることが開発されている。このような技術として、例えば、特開平1−105738号公報に記載されるものがある。このような透明保護基板としても本発明のセルロースエーテルエステルフィルムは好適用いられる。
そして特開平6−157791には上記目的に加えてさらに反射防止効果を有するトリアセチルセルロースフィルム、そのフイルムを使用した偏光板、及び耐擦傷性に優れたトリアセチルセルロースフィルムの製造方法が開示されている。このような反射防止効果を有する反射防止フイルムとしても本発明のセルロースエーテルエステルフィルムは好適に用いることができる。
各実施例において、セルロースエーテルエステル、溶液およびフイルムの化学的性質および物理的性質は、以下のように測定および計算した。
(1)セルロースエーテルエステルの置換度
本発明において、本発明の光学フィルムまたは該光学フィルムの原料であるセルロースエーテルエステルのDSester(アシル置換度)、MS(エーテル置換度)は、13C−NMR(核磁気共鳴)法により測定することができる。この際、測定溶媒としては例えば、重メチルスルホキシド(DMSO−d6)を用いることができる。
(2)固有複屈折
2.2gの試料を2mlの3−メチルピリジン(比較例1のセルロースアセテートのみ1−メチル−2−ピロリジノン)に溶解し液晶状態の溶液を得た。アッベ型屈折率系を用いて20℃〜100℃の範囲の種々の温度で面方向(プラーナ−配向)と平行方向及び垂直方向の屈折率を測定し、Hallerの方法(Prog. Solid State Chem., 10, 103 (1975))により秩序度を求め、次式により固有複屈折を算出した。

(固有複屈折)=2×(複屈折)/((秩序度)×(試料の体積分率))
ここに、複屈折:面に平行な屈折率と垂直な屈折率の差

なお、試料の体積分率算出に際しては、試料と溶媒の混合による体積変化は無視した。試料の密度は定容積膨張法(アキュピック法)により測定した。
(3)平衡水分率
25℃、相対湿度65%の条件で96時間保管し、8時間時間経過毎の重量を測定し、平衡含水重量を求め、初期乾燥試料重量で除することにより平衡水分率を求めた。
(4)ガラス転移温度(Tg)
昇温1℃/分の条件でDCSを用いてTgを求めた。
(5)高温破断点伸度
メチレンクロライド:メタノール=9:1(重量比)の混合溶媒に、15wt%固形分濃度になるように試料を溶解した。この溶液をバーコーターを用いてガラス板上に流延し、厚さ75〜85μmのフィルムを得た。恒温槽付の万能引張り試験機でガラス転移温度よりも8℃高い温度に保ち、このフィルムを5cm/分の速度で引っ張り、破断するときの伸度(%)を求めた。
(6)重合度
メチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)の混合溶液にセルロースエーテルエステルまたはそれからなる光学フィルムを溶解し、所定の濃度c(2.00g/L)の溶液を調製する。この溶液をオストワルド粘度計に注入し、25℃で粘度計の刻線間を溶液が通過する時間(秒)tを測定する。尚、光学フイルムの場合は一般に添加剤を含んでいるのでセルロースエーテルエステルの貧溶媒に溶解し、添加剤を溶出した上で粘度を測定する。一方、前記混合溶媒単独についても上記と同様にして通過時間(秒)t0を測定し、下記式に従って、粘度平均重合度を算出できる。
η r e l =t/t0
[η]=(lnη r e l )/c
DSester=[η]/(6×10- 4 )
(式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0は溶媒の通過時間(秒)、cは溶液のセルロースエーテルエステル濃度(g/L)、η r e l は相対粘度、[η]は極限粘度、DSesterは平均重合度を示す)。

(実施例1)
(第1工程)セルロースエーテルの合成
広葉樹前加水分解クラフト法パルプ(αセルロース含量98.4%)100重量部に5%の水酸化ナトリウム水溶液140重量部を加え混合した。次にプロピレンオキシド800重量部を加え、攪拌しながら0〜5℃の温度に約1時間保った後、30〜40℃に加温して6時間反応させた。内容物を濾別して、沈殿をとり除いた後、これに温水を加えた。1%のリン酸水溶液で中和した後、アセトン中に滴下して反応生成物を析出させた。濾別により分離し、アセトン/水(9:1)で数回洗浄を繰り返し、60℃で真空乾燥を行い本発明のセルロースエーテルであるヒドロキシプロピルセルロースを得た。生成物のプロピレンオキシドによる置換度(MS)はNMRによる測定の結果、1.1であった。
(第2工程)セルロースエーテルのアシル化
第1工程で得られたセルロースエーテル100重量部に酢酸50重量部を散布して、前処理活性化させた後、氷酢酸470重量部、無水酢酸265重量部および硫酸8.3重量部の混合物を添加し、常法によりエステル化を行った。その後、加水分解を行い、耐熱安定剤(酢酸カルシウムおよび酢酸マグネシウム)を添加することにより、セルロースエーテルエステルを得た。得られたセルロースエーテルエステルの分析評価結果を表1及び表2に示す。
実施例1の第2工程で氷酢酸470重量部に代えて氷酢酸23部、無水酢酸265重量部に代えて無水プロピオン酸910重量部を使う以外は実施例1と同様に合成を行い、セルロースエーテルエステルを得た。得られたセルロースエーテルエステルの分析評価結果を表1及び表2に示す。
実施例1の第2工程で氷酢酸470重量部に代えて氷酢酸318部、無水酢酸265重量部に代えて無水酪酸790重量部を使う以外は実施例1と同様に合成を行い、セルロースエーテルエステルを得た。得られたセルロースエーテルエステルの分析評価結果を表1及び表2に示す。
比較例1
広葉樹前加水分解クラフト法パルプ(αセルロース含量98.4%)を実施例1第2工程に記載した方法でアシル化し、セルロースアセテートを得た。得られたセルロースアセテートの分析評価結果を表1及び表2に示す。
比較例2
実施例1の第1工程でプロピレンオキシドに代えて200重量部のエチレンオキシドを使う以外は実施例1と同様に合成を行い、セルロースエーテルエステルを得た。得られたセルロースエーテルエステルの分析評価結果を表1及び表2に示す。
比較例3
実施例1の第1工程でプロピレンオキシド1600重量部を加え、攪拌しながら0〜5℃の温度に約1時間保った後、30〜40℃に加温して15時間反応させる以外は実施例1と同様に合成を行い、セルロースエーテルエステルを得た。得られたセルロースエーテルエステルの分析評価結果を表1及び表2に示す。
比較例4
実施例1の第2工程で氷酢酸470重量部、無水酢酸220重量部および硫酸14重量部の混合物を添加し、常法によりエステル化を行い、その後、加水分解を行う以外は、実施例1と同様に合成を行い、セルロースエーテルエステルを得た。得られたセルロースエーテルエステルの分析評価結果を表1及び表2に示す。
比較例5
広葉樹前加水分解クラフト法パルプ(αセルロース含量98.4%)を実施例2第2工程に記載した方法でアシル化し、セルロースアセテートプロピオネートを得た。得られたセルロースアセテートプロピオネートの分析評価結果を表1及び表2に示す。
Figure 0004986434
Figure 0004986434
実施例4と比較例6、7
以下本発明のセルロースエーテルエステルの延伸された光学フィルムを作成した。
実施例2と比較例2および比較例3についてメチレンクロライド:メタノール=9:1(重量比)の混合溶媒に、15wt%固形分濃度になるように試料を溶解した。この溶液をバーコーターを用いてガラス板上に流延し、厚さ75〜85μmのフィルムを得た。恒温槽付の万能引張り試験機でガラス転移温度よりも8℃高い温度に保ち、縦方向、横方向それぞれに延伸倍率1.3倍に延伸し延伸された光学フィルムを作成した。
実施例2のヒドロキシプロピルセルロースアセテートプロピオネートを用いた延伸された光学フイルムを実施例4とした。この延伸された光学フィルムは厚み方向のレタデーションが高く位相差フィルムとして好適に使用することができた。
また比較例2のヒドロキシエチルセルロースアセテートを用いた延伸された光学フイルムを比較例6としたがこのものは延伸途中で破断し、延伸された光学フィルムを得ることができなかった。
比較例3のヒドロキシプロピルセルロースアセテートプロピオネートは延伸することはできたが厚み方向のレタデーションが上がらず位相差フィルムとして使用することはできなかった。
結果を表3に示す。
Figure 0004986434

Claims (12)

  1. 以下の条件を満たすセルロースエーテルエステル
    (1)置換基がヒドロキシアルキル基、アシル化ヒドロキシアルキル基及びアシル基でありかつ、
    (2)グルコース単位あたりの平均の水酸基置換度(RH)が0.001から0.400でありかつ
    (3)グルコース単位あたりにエーテル結合したエーテル化剤の平均分子数(MS)が0.75から1.75でありかつ
    (4)エーテル基およびエステル基各々の炭素数と置換度の積を3で除したものの和として定義する平均炭素数(AC)が2.5から6.5でありかつ、
    (5)1.5≦DSester<3.0
    但し、DSesterはセルロースを構成している無水グルコース単位当たりのアシル基により置換されている水酸基の平均数を示す。
  2. エーテル基およびエステル基各々の炭素数と置換度の積を3で除したものの和として定義する平均炭素数(AC)が3.1から3.9である請求項1に記載のセルロースエーテルエステル
  3. アシル基がアセチル基及びプロピオニル基またはブチリル基でありかつ、
    ヒドロキシアルキル基の90%以上が2−ヒドロキシエチル基および/または2−ヒドロキシプロピル基である請求項1乃至2何れかに記載のセルロースエーテルエステル。
  4. ヒドロキシアルキル基が2−ヒドロキシエチル基および/または2−ヒドロキシプロピル基であることを特徴とする請求項3に記載のセルロースエーテルエステル。
  5. ヒドロキシアルキル基が2−ヒドロキシプロピル基であることを特徴とする請求項3記載のセルロースエーテルエステル。
  6. アシル基がアセチル基及びプロピオニル基であることを特徴とする請求項5に記載のセルロースエーテルエステル。
  7. アシル基の70%以上がプロピオニル基であることを特徴とする請求項6に記載のセルロースエーテルエステル。
  8. アシル基がアセチル基及びブチリル基であることを特徴とする請求項5に記載のセルロースエーテルエステル。
  9. アシル基の30%以上がブチリル基であることを特徴とする請求項8に記載のセルロースエーテルエステル。
  10. 下式で求めた固有複屈折(IR)が0.001から0.040でありかつ、平衡水分率(WR)が2wt%以下でありかつ、示査走査熱量計で求めたガラス転移点(Tg)が60〜180℃でありかつ、ガラス転移点より8℃高い温度で50mm/minの引張速度で測定した高温破断伸度(HB)が30〜250%である請求項1から9に記載のセルロースエーテルエステル。
    (固有複屈折)=2×(複屈折)/((秩序度)×(試料の体積分率))
    ここに、複屈折:面に平行な屈折率と垂直な屈折率の差
  11. 下記測定方法で測定した不溶解物量(US)が0.014wt%以下である請求項10に記載のセルロースエーテルエステル
    (測定方法)
    メチレンクロライド:メタノール=9:1(重量比)の混合溶媒に、2wt%固形分濃度
    になるようにセルロースエーテルアセテートを溶解した溶液を、ガラスフィルター(孔径
    5〜10μm)を使用して濾過する。その後、濾過残渣に付着しているドープをメチレン
    クロライド:メタノール=9:1(重量比)の混合溶媒にて洗浄する。濾過残渣をガラス
    フィルターごと恒量になるまで乾燥する。これらの濾過前後でのガラスフィルター重量を
    測定し、次式より不溶解物量を算出する。
    不溶解物量(wt%)=〔濾過後ガラスフィルター重量(g)−濾過前ガラスフィルター重
    量(g)〕/セルロースエーテルアセテート重量(g)×100
  12. 請求項1から11何れかに記載されるセルロースエーテルエステルと可塑化及び又は耐候性改善に効果を有する化合物からなるソルベントキャスト法または溶融製膜法で製造されたセルロースエーテルエステルのフィルムを機械方向および/または幅方向に1.3倍以上の延伸倍率で延伸した光学フィルム。
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