JP2010059408A - セルロース誘導体 - Google Patents

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浩二 大崎
Kazuo Kuwabara
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Abstract

【課題】疎水性油に溶解させたとき、糸曳きが無く滑らかな油剤の感触を与えるセルロース誘導体を提供する。
【解決手段】下記構成単位を有する原料セルロース誘導体の全水酸基の67mol%以上が、基−OCOR(Rは炭素数4〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す)で置換されており、重量平均分子量が12万〜400万であるセルロース誘導体、並びに当該セルロース誘導体及び疎水性油を含有する油性組成物。下記構成単位を有する原料セルロース誘導体と、炭素数4〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する酸ハライドとを反応させて、原料セルロース誘導体の全水酸基の67mol%以上を置換するセルロース誘導体の製造方法。
Figure 2010059408

【選択図】なし

Description

本発明は、セルロース誘導体及びその製造法に関し、より詳細には、疎水性油に溶解させたとき、糸曳きが無く滑らかな油剤の感触を与えるセルロース誘導体に関する。
従来、化粧料の配合成分として、糖類と脂肪酸を原料として得られるエステル化合物が知られている。特許文献1には、デキストリンと脂肪酸とをエステル交換反応させることで得られる平均糖重合度が3〜150のデキストリン脂肪酸エステルが記載されている。また、特許文献2には、デキストリンと、脂肪酸クロライド又は脂肪酸無水物と反応させて得られる平均糖重合度が10〜150のデキストリン脂肪酸エステルが記載されている。更に、特許文献3の実施例1には、アセト酪酸セルロースと塩化イソステアリル(「塩化イソステアロイル」の誤り)とを反応させて得られるエステル化合物が記載されている。特許文献4には、特定の多糖類のステアレートエステル又はパルミテートエステルであって、赤外線分析におけるカルボキシエステル伸縮バンドとヒドロキシエステル伸縮バンドとの比が0.5〜50.0である多糖誘導体が記載されている(特許請求の範囲,[0013])。
しかし、特許文献1に記載のエステル交換反応などでは、アシル化率(脂肪酸の置換度)を向上することが困難であり、得られた多糖誘導体は、疎水性油に溶解させても未溶解物が残る場合があった。また、特許文献2の方法で得られる多糖誘導体は、段落[0007]に記載されているように、分子量が大きくなると油剤への溶解性が悪くなるなどの問題点があった。特許文献3の実施例1では、原料セルロース誘導体としてアセト酪酸セルロースを用いているが、このようなアルキレンオキサイド部位を有さないセルロース誘導体はエステル化反応させる際に溶媒に溶け難く、アシル化率が高いセルロース誘導体を得ることが困難である。また、特許文献4に記載されている方法も、懸濁状態で反応させているため、アシル化率を向上させることが困難である。
更に、これら多糖誘導体は、機能性材料として、疎水性油に溶解させたとき、糸曳きが無く滑らかな油剤の感触を与える材料が要求される場合がある。
しかし、これまでの多糖誘導体は、これらの要求性能の全てを十分に満たすものではなかった。
特開平8-277302号公報 特開2005-145851号公報 特表2007-527861号公報 特開平05-255401号公報
本発明の目的は、疎水性油に溶解させたとき、糸曳きが無く滑らかな油剤の感触を与えるセルロース誘導体を提供することにある。
本発明者らは、特定のエステル化率及び分子量を有するセルロース誘導体が、上記要求を満たすものであることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の構成単位を有する原料セルロース誘導体の全水酸基の67mol%以上が、基−OCOR(Rは炭素数4〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す)で置換されており、重量平均分子量が12万〜400万であるセルロース誘導体を提供するものである。
Figure 2010059408
〔式中、R'は炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、nはセルロース単位当たりのR'Oの平均付加モル数が0.1〜10となる数を示す。〕
更に本発明は、上記原料セルロース誘導体と、炭素数4〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する酸ハライドとを反応させて、原料セルロース誘導体の全水酸基の67mol%以上を置換するセルロース誘導体の製造方法及びこれにより得られるセルロース誘導体を提供するものである。
更に本発明は、上記のセルロース誘導体及び疎水性油を含有する油性組成物を提供するものである。
本発明のセルロース誘導体は、疎水性油に溶解させたとき、糸曳きが無く滑らかな油剤の感触が得られる。
実施例1で得られたセルロース誘導体のIRチャートである。 比較例5で得られたセルロース誘導体のIRチャートである。
(セルロース誘導体)
本発明においては、本発明のセルロース誘導体を合成するための原料として、前記構成単位においてR'Oがセルロース単位当たり平均0.1〜10モル付加したセルロース誘導体を用いる。セルロース骨格にR'Oが付加していないもの、セルロース自体を用いた場合には、エステル化反応させる際に溶媒に溶けにくく、エステル化度の高い誘導体を得ることが困難となる。
前記原料セルロース誘導体の構成単位において、R'としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、更には、エチレン基及びプロピレン基が好ましい。またnとしては、セルロース単位当たりのR'Oの平均付加モル数が0.3〜5となる数が好ましく、0.5〜4.5となる数がより好ましく、1〜4となる数が更に好ましい。
原料セルロース誘導体の具体例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。これらの中で、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
本発明のセルロース誘導体は、原料セルロース誘導体の全水酸基の67mol%以上が、−OCORで置換されているものであるが、疎水性油剤への溶解性の観点から、好ましくは70mol%以上、より好ましくは75mol%以上、より好ましくは80mol%以上、より好ましくは85mol%以上が置換されているものである。また、本発明のセルロース誘導体は、合成効率を向上させる観点から、−OCORによる置換は、全水酸基の99mol%以下、更には98mol%以下であることが好ましい。なお、本明細書において、上記原料セルロース誘導体の全水酸基に対する−OCORによる置換度を、「エステル化率」又は「平均アシル置換度」と呼ぶことがある。
本発明のセルロース誘導体の平均アシル置換度は、実施例(平均アシル置換度の測定)に記載のように、エステルをアルカリで加水分解して、切断された脂肪酸の量を測定し、加水分解されたセルロース誘導体の全水酸基に対する、脂肪酸のモル比率を算出することによって決定することができる。
また、本発明のセルロース誘導体は、疎水性油への溶解性が良好なものとする観点から、赤外吸収分光分析(IR分析)による水酸基に相当する吸収(3450cm-1)に対するエステル基に相当する吸収(1735cm-1)の比率(−COO−/−OHの比率)が、好ましくは55以上、より好ましくは70以上、更に好ましくは100以上である。
置換基−OCOR中のR基は、炭素数4〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基である。
(i)直鎖のアルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基、テトラトリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基、ヘキサトリアコンチル基、ヘプタトリアコンチル基、オクタトリアコンチル基、ノナトリアコンチル基及びテトラコンチル基が挙げられる。
(ii)分岐鎖のアルキル基としては、メチルペンチル基、メチルヘキシル基、メチルペンチル基、メチルオクチル基、メチルノニル基、メチルウンデシル基、メチルヘプタデシル基、エチルヘキサデシル基、メチルオクタデシル基、プロピルペンタデシル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル、2-ヘプチルウンデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ドデシルヘキサデシル基、2-テトラデシルオクタデシル基、2-テトラデシルベヘニル基等が挙げられる。
(iii)直鎖のアルケニル基としては、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、ヘニコセニル、ドコセニル、トリコセニル、テトラコセニル、ヘプタコセニル、ヘキサコセニル、ヘプタコセニル、オクタコセニル等が挙げられる。
(iv)分岐鎖のアルケニル基としては、イソトリデセニル、イソオクタデセニル、イソトリアコンテニル、2-ブチルオクテニル、2-ヘキシルデセニル、2-オクチルドデセニル、2-デシルテトラデセニル、2-ドデシルヘキセニル等が挙げられる。
これらの中で、炭素数6〜36、特に12〜24の直鎖又は分岐のアルキル及びアルケニル基が好ましい。
原料セルロース誘導体の重量平均分子量(Mw)は、油剤への溶解性、及び感触の点から、好ましくは1万〜400万、より好ましくは10万〜300万、更に好ましくは50万〜200万である。
置換された本発明のセルロース誘導体の重量平均分子量は、油剤への溶解性、及び感触の点から、12万〜400万であり、好ましくは20万〜300万、更に好ましくは50万〜200万である。
なお、本発明のセルロース誘導体のMwは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定による値を使用する。溶離液としては、水、アルコール、クロロホルム、ジメチルホルムアルデヒド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル及びこれらの溶媒を組み合わせた液の何れかを使用し、ポリエチレンオキシド及びポリスチレン換算の分子量とする。
(セルロース誘導体の製造方法)
本発明のセルロース誘導体の製造は、原料セルロース誘導体と、炭素数4〜40の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有する酸ハライドとを反応させて、原料セルロース誘導体の全水酸基の67mol%以上を置換することにより行われる。より詳細には、本発明のセルロース誘導体の製造は、原料セルロース誘導体を、適当な溶媒に溶解又は分散させ、炭素数4〜40の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有する酸ハライドと反応させることにより行われる。
酸ハライドとしては、例えば脂肪酸クロライド、脂肪酸ブロマイド、脂肪酸フルオライド、脂肪酸ヨーダイドがあるが、脂肪酸クロライドが好ましく、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。酸ハライドの使用量は、原料セルロース誘導体の水酸基1.0モル当り0.67モル以上とすることが好ましく、疎水性油剤への溶解性を容易にするために1.0モル〜5.0モルとすることがより好ましい。一方、製造コストの観点から、5.0モルを超えない量とすることが好ましい。
溶媒であると同時に溶液を塩基性にするものとして、塩基性溶媒が特に好適に用いられる。塩基性溶媒とは、プロトンを受け取る役割をはたす溶媒であり、例えば、モルホリン、アセチルモルホリン、ピリジン、N-メチル-2-ピロリドン、α-ピコリン、β-ピコリン、γ-ピコリン、2,4-ルチジン、2,6-ルチジン、ピペリジン、ピロリジン、キノリン、イソキノリン、4-ジメチルアミノピリジン、3級アミン等が挙げられる。これらの塩基性溶媒は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。塩基性溶媒の使用量は、酸ハライド1.0モル当り1.0モル以上とすることが好ましく、反応性の点から1.1〜5.0モルとすることがより好ましい。一方、製造コストの観点から、5.0モルを超えない量とすることが好ましい。
原料セルロース誘導体の水酸基と、酸ハライドとの反応性を損なわない範囲内で、必要に応じて、以下の有機溶剤を加えてもよい。例えば、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンヘプタン等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
反応は、原料セルロース誘導体が溶媒中に均一に溶解した均一系で行うことが、エステル化率を上げる観点から好ましい。また同様に、均一系で反応させることによりエステル化率を上げる観点から、反応溶液中における原料セルロース誘導体の濃度は、好ましくは0.01〜5.0重量%であり、より好ましくは0.1〜4.5重量%であり、更に好ましくは1.0〜4.0重量%である。
反応温度は、原料セルロース誘導体の熱安定性、及び疎水化剤の反応性の点から、0〜150℃が好ましく、30〜120℃が特に好ましい。反応時間は、0.5〜30時間であることが好ましい。得られたセルロース誘導体は、必要に応じてエタノールなどで洗浄を行った後に乾燥して精製することができる。
(油性組成物)
本発明のセルロース誘導体を化粧料の配合成分として用いるに際しては、疎水性油と混合し、油性組成物として使用することができる。かかる油性組成物中の本発明のセルロース誘導体の含有量は、滑らかな感触を発現する観点から、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%である。
本明細書において、疎水性油とは、水100gに溶解する量が1g以下の液状油を意味する。疎水性油としては、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン等の炭化水素油;ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸オレイル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソトリデシル、リシノレイン酸オクチルドデシル等の脂肪酸エステル油;カカオ油、ヒマシ油、ホホバ油、オリーブ油、アボガド油、ヒマワリ油、マカデミアナッツ油等の油脂類等が挙げられる。
更に、本発明のセルロース誘導体は、疎水性油中に1〜20重量%、更に1〜10重量%、更に1〜5重量%含有させた溶液の状態で法線応力を発現することが、化粧料の配合成分として使用した場合における滑らかな感触を発現する点で好ましい。ここで、法線応力は、MCR301(アントンパール社製)を使用して、以下の条件で測定した値とし、「法線応力を発現する」とは、10Pa以上の法線応力を発現することをいうものとする。
測定温度:25℃
せん断速度:0.005→5000[1/s]
(化粧料)
本発明の油性組成物は、化粧料の配合成分として使用することができる。そのような化粧料の製品形態、形状は問わないが、好ましくは、ファンデーション、頬紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、口紅、ネイルエナメル等のメイクアップ化粧料が挙げられる。化粧料中の油性組成物の含有量は、0.1〜50重量%が好ましい。
化粧料には、通常化粧品用原料として用いられる他の成分を適宜選択して配合することができ、このような成分としては、白色顔料、体質顔料、着色顔料、パール顔料、天然鉱物、有機粉末、油剤、紫外線防御剤、ゲル化剤、ワックス、金属石鹸、界面活性剤、保湿剤、防腐剤、香料、その他各種添加剤等が挙げられる。
以下の実施例及び比較例において、「%」は、特記しない限り「重量%」を示す。また、重量平均分子量及び平均アシル化度の測定は、以下の方法により行った。
(重量平均分子量の測定)
重合体の平均分子量(Mw)は、日立L-6000型高速液体クロマトグラフィーを使用し、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。溶離液流路ポンプは日立L-6000、検出器はショウデックスRI SE-61示差屈折率検出器(昭和電工社製)、カラムはTSKgel GMHHR-H(東ソー社製)をダブルに接続したものを用いた。サンプルは溶離液で0.5g/100mLの濃度に調整し、20μLを用いた。溶離液には、1mmol/LのファーミンDM2O(花王社製)のクロロホルム溶液を使用した。カラム温度は40℃で、流速は1.0mL/分で実施した。
(平均アシル置換度の測定)
セルロース誘導体を約0.5g精秤し、5N水酸化ナトリウム4mL及びエタノール25mLを加え、約90℃で5時間還流し、完全にエステルを加水分解する。水を30g加え、約90℃で5時間還流した後、リン酸で中和し、完全に中和されていることをpH試験紙で確認する。テトラヒドロフラン70gを加え30分撹拌、3時間室温で静置した後に、上澄み液を、日立L-7000型高速液体クロマトグラフィーを使用し、脂肪酸の量を測定した。検出器は日立L-7400(UV測定)を用い、210nmの波長で測定し、溶離液にはTHF:水:リン酸=60:39:1を使用した。
(−COO−/−OHの比率の測定)
セルロース誘導体を赤外吸収分光分析により測定した。下記式に基づき、エステル基に相当する吸収(1735cm-1)と水酸基に相当する吸収(3450cm-1)との比を算出し、−COO−/−OHの比率を求めた。赤外吸収分光分析はHORIBA製のFT-710を用いて測定した。
−COO−/−OHの比率=1735cm-1の吸収/3450cm-1の吸収
実施例1
撹拌機、ジムロート還流器及び温度計を備えた4つ口セパラブルフラスコ中に、市販のヒドロキシプロピルセルロース(和光純薬製,HPC粘度100〜400mPa・s,セルロース単位当たりプロピレンオキシ(PO)平均付加モル数3.3)10gをクロロホルム720gに溶解した。ピリジン100g、4-ジメチルアミノピリジン0.35gを添加し、50℃まで昇温した。均一透明になっていることを確認した後、塩化パルミトイル55g(原料ヒドロキシプロピルセルロースの水酸基1.0モル当り2.2モル)を30分かけて添加し、50℃で15時間反応させた。エタノールで洗浄後、乾燥し淡い黄色無臭のヒドロキシプロピルセルロースパルミチン酸エステル約22gを得た。
得られた化合物の重量平均分子量は85万、平均アシル置換度はヒドロキシプロピルセルロース単位あたり2.85であった。得られた化合物のH1-NMRスペクトルは、5.0ppm付近にエステル基に由来するピークを、3.0〜4.0ppm付近に糖骨格、プロピレンオキサイドのメチレン基及びメチン基に由来するピークを、2.2ppm付近にカルボニル基に隣接するアルキル鎖メチレン基に由来するピークを、1.0〜2.0ppm付近にプロピレンオキサイドのメチル基、アルキル鎖のメチル基及びメチレン基に由来するピークを示した。このことから、生成物がヒドロキシプロピルセルロースパルミチン酸エステルであることが確認された。
また、得られた化合物のIRチャートを図1に示す。
実施例2
塩化パルミトイルの仕込み量を表1に示す仕込み量に変えた以外は、実施例1と同様の方法で合成を行った。得られた化合物の分子量、平均アシル置換度、−COO−/−OHの比率を表1に示す。
実施例3
塩化パルミトイルの仕込み量を表1に示す仕込み量に変えた以外は、実施例1と同様の方法で合成を行った。得られた化合物の分子量、平均アシル置換度、−COO−/−OHの比率を表1に示す。
実施例4
塩化パルミトイルを塩化ラウロイルに変えた以外は、実施例1と同様の方法で合成を行った。得られた化合物の分子量、平均アシル置換度、−COO−/−OHの比率を表1に示す。
実施例5
ヒドロキシプロピルセルロースの種類を表1に示す種類に変えた以外は実施例1と同様の方法で合成を行った。得られた化合物の分子量、平均アシル置換度、−COO−/−OHの比率を表2に示す。
実施例6
撹拌機、ジムロート還流器及び温度計を備えた4つ口セパラブルフラスコ中に、市販のヒドロキシプロピルセルロース(和光純薬製、HPC粘度100〜400mPa・s,セルロース単位当たりPO平均付加モル数3.3)10gをトルエン100g、メチルエチルケトン300gに溶解した。ピリジン100g、4-ジメチルアミノピリジン0.35gを添加し、50℃まで昇温した。均一透明になっていることを確認した後、塩化パルミトイル55g(原料ヒドロキシプロピルセルロースの水酸基1.0モル当り2.2モル)を30分かけて添加し、50℃で15時間反応させた。エタノールで洗浄後、乾燥し淡い黄色無臭のヒドロキシプロピルセルロースパルミチン酸エステル約22gを得た。
得られた化合物の分子量、平均アシル置換度、−COO−/−OHの比率を表2に示す。
実施例7
塩基性溶媒をピリジンからβ−ピコリンに変更した以外は実施例6と同様の方法で合成を行った。得られた化合物の分子量、平均アシル置換度、−COO−/−OHの比率を表2に示す。
実施例8
塩基性溶媒をピリジンからトリエチルアミンに変更した以外は実施例6と同様の方法で合成を行った。得られた化合物の分子量、平均アシル置換度、−COO−/−OHの比率を表2に示す。
比較例1
塩化パルミトイルの仕込み量を表1に示す仕込み量に変えた以外は、実施例1と同様の方法で合成を行った。得られた化合物の分子量、平均アシル置換度、−COO−/−OHの比率を表3に示す。
比較例2
塩化パルミトイルの仕込み量を表1に示す仕込み量に変えた以外は、実施例6と同様の方法で合成を行った。得られた化合物の分子量、平均アシル置換度、−COO−/−OHの比率を表3に示す。
比較例3
ヒドロキシプロピルセルロースの種類を表1に示す種類に変えた以外は実施例1と同様の方法で合成を行った。得られた化合物の分子量、平均アシル置換度、−COO−/−OHの比率を表3に示す。
比較例4
ヒドロキシプロピルセルロースの種類を表1に示す種類に変えた以外は実施例1と同様の方法で合成を行った。得られた化合物の分子量、平均アシル置換度、−COO−/−OHの比率を表3に示す。
比較例5
撹拌機、ジムロート還流器及び温度計を備えた4つ口セパラブルフラスコ中に、市販のヒドロキシプロピルセルロース(クルセルHCS,Hercules社)40gを塩化メチレン750mLと250mLのトリエチルアミン中に混合し、スラリー懸濁液を調製した。塩化パルミトイル220g(原料ヒドロキシプロピルセルロースの水酸基1.0モル当り2.2モル)を150mLの1,4-ジオキサンに溶解して得られる溶液を30分かけて懸濁液に添加し、25℃で24時間反応させた。攪拌しながら、反応混合物を2Lの85%メタノール中に注ぎ込み、沈殿生成物を濾過して、沈殿生成物を得た。更にこの沈殿生成物を2Lの85%メタノール中に懸濁させ、希塩酸でpHを4に調整した後、濾過をして生成物を回収した。再度メタノールで洗浄後、50℃減圧下で12時間乾燥した。得られた化合物の分子量、平均アシル置換度、−COO−/−OHの比率を表3に示す。
また、得られた化合物のIRチャートを図2に示す。
(評価方法)
(1)溶解性試験:セルロース誘導体10gをイソノナン酸イソトリデシル190gに加え、80℃で24時間撹拌する。室温にてセルロース誘導体の溶解性を目視で確認した。
(2)法線応力測定:セルロース誘導体10gをイソノナン酸イソトリデシル190gに加え、80℃で24時間撹拌した。その後、室温にて法線応力測定を行った。
(3)滑らかさ(官能評価):セルロース誘導体10gをイソノナン酸イソトリデシル190gに加え、80℃で24時間撹拌した。その後、室温にて、指の間でこねた際の滑らかさを10人の専門パネラーが評価を行い、その平均点を下記のように記号で表した。
◎;10名中8名以上が良好と評価した。
○;10名中6〜7名が良好と評価した。
△;10名中4〜5名が良好と評価した。
×;10名中3名以下が良好と評価した。
(4)糸曳き:セルロース誘導体10gをイソノナン酸イソトリデシル190gに加え、室温で48時間撹拌する。その後、室温にて、指の間でこねた際に、指の間で糸が切れるかどうかを評価した。
◎;全く糸を曳かない。
○;角が立つが直ぐ切れる。
×;糸が切れない。
Figure 2010059408
Figure 2010059408
Figure 2010059408

Claims (4)

  1. 以下の構成単位を有する原料セルロース誘導体の全水酸基の67mol%以上が、基−OCOR(Rは炭素数4〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す)で置換されており、重量平均分子量が12万〜400万であるセルロース誘導体。
    Figure 2010059408
    〔式中、R'は炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、nはセルロース単位当たりのR'Oの平均付加モル数が0.1〜10となる数を示す。〕
  2. 以下の構成単位を有する原料セルロース誘導体と、炭素数4〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する酸ハライドとを反応させて、原料セルロース誘導体の全水酸基の67mol%以上を置換するセルロース誘導体の製造方法。
    Figure 2010059408
    〔式中、R'は炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、nはセルロース単位当たりのR'Oの平均付加モル数が0.1〜10となる数を示す。〕
  3. 請求項2記載の製造方法により得られるセルロース誘導体。
  4. 請求項1又は3記載のセルロース誘導体及び疎水性油を含有する油性組成物。
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