JP4978782B2 - 耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金 - Google Patents

耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金 Download PDF

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Description

この発明は、硝フッ酸水溶液に対する耐食性(以下、耐硝フッ酸腐食性という)に一層優れたNi−Cr系合金に関するものであり、特に溶接部の耐硝フッ酸腐食性に一層優れたNi−Cr系合金に関するものである。
一般に、金属表面に形成されている黒皮の除去には硝フッ酸水溶液が使用されており、黒皮を有する金属を硝フッ酸水溶液を満たした酸洗槽に浸漬して除去している。そして使用済みの硝フッ酸水溶液は回収装置により回収され、再利用されている。
また、半導体装置や液晶パネルの製造工程でエッチングするために硝フッ酸水溶液が使用されている。そして使用済みの硝フッ酸水溶液は回収装置により回収され、再利用されている。さらに、エッチング速度などを一定にするために硝フッ酸水溶液の温度を一定に保つ必要があり、この硝フッ酸水溶液の温度を一定に保つための熱交換器装置も耐食性に優れた部材で作製する必要がある。
このように硝フッ酸水溶液は各種エッチング工程で使用され、使用済みの硝フッ酸水溶液は回収装置により回収されて再利用されているが、硝フッ酸水溶液は一般に腐食性が強く、通常の耐食性に優れたステンレス鋼などで作製した酸洗槽や回収装置では硝フッ酸水溶液の腐食に耐えることができない。
そのために、硝フッ酸水溶液を使用する酸洗槽や回収装置はステンレス鋼よりも格段に耐硝フッ酸腐食性に優れているNi−Cr合金をそれらの部材として作製されている。前記硝フッ酸水溶液に対する耐食性が優れているNi−Cr合金の一例として、例えば、質量%で(以下、%は質量%を示す。)、Cr:38〜50%、MoおよびWの内の1種または2種:0.1〜2%を含有し、さらに必要に応じて(a)Cu:0.1〜2%、(b)Ca:0.001〜0.01%,(c)Zr,Nb,TaおよびHfの内の1種または2種以上:0.1〜3%、(d)Yおよび希土類元素の内の1種または2種以上:0.001〜0.01%、以上前記(a)〜(d)の内の1種または2種以上を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、かつ不可避不純物としてCおよびN成分の含有量をC:0.05%以下、N:0.04%以下とし、さらにその他の不可避不純物としてFe:0.3%以下、Mn:0.3%以下、Ti:0.3%以下、Al:0.3%以下、Mg:0.05%以下を含有する曲げ加工性および耐食性に優れたNi−Cr系合金が知られている(特許文献1参照)。
特公平6−94579号公報
しかし、近年、コスト削減のために硝フッ酸水溶液に対する耐食性がさらに一層優れたNi−Cr系合金が求められており、さらに、前記酸洗槽や回収装置は一般にNi−Cr系合金板を溶接により作製するが、従来のNi−Cr系合金は溶接部の硝フッ酸水溶液に対する耐食性が劣るという欠点が有り、そのために溶接部の硝フッ酸水溶液に対する耐食性が一層優れたNi−Cr系合金が求められていた。
そこで、本発明者らは、曲げ加工性に優れることは勿論のこと、硝フッ酸水溶液に対する耐食性が一層優れ、さらに、溶接部の硝フッ酸水溶液に対する耐食性が一層優れたNi−Cr系合金を得るべく鋭意研究を行った。
その結果、Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、
さらに必要に応じて
(イ)Cu:0.01〜2%、
(ロ)AlおよびTiの内の1種または2種を合計で0.01〜0.2%、
(ハ)B:0.0005〜0.01%、
上記(イ)〜(ハ)の内の1種または2種以上を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有するNi−Cr系合金は、従来のNi−Cr系合金に比べて硝フッ酸水溶液に対する耐食性に一層優れており、特に溶接部の硝フッ酸水溶液に対する耐食性に一層優れており、さらにCr含有量を低めに抑えているので曲げ加工性にも優れている、という研究結果が得られたのである。
この発明は、かかる結果に基づいてなされたものであって、
(1)Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有する耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金、
(2)Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにCu:0.01〜2%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有する耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金、
(3)Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにAlおよびTiの内の1種または2種を合計で0.01〜0.2%含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有する耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金、
(4)Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにB:0.0005〜0.01%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有する耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金、
(5)Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにCu:0.01〜2%を含有し、さらにAlおよびTiの内の1種または2種を合計で0.01〜0.2%含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有する耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金、
(6)Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにCu:0.01〜2%を含有し、さらにB:0.0005〜0.01%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有する耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金、
(7)Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにAlおよびTiの内の1種または2種を合計で0.01〜0.2%含有し、さらにB:0.0005〜0.01%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有する耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金、
(8)Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにCu:0.01〜2%を含有し、さらにAlおよびTiの内の1種または2種を合計で0.01〜0.2%含有し、さらにB:0.0005〜0.01%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有する耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金、に特徴を有するものである。
前記(1)〜(8)記載のNi−Cr系合金は、硝フッ酸水溶液を取り扱う装置の部材として有用であり、この硝フッ酸水溶液を取り扱う装置の部材の具体的なものとして、例えば、金属を硝フッ酸水溶液で洗浄するための酸洗槽部材、半導体エッチング装置部材、液晶パネル製造装置部材、硝フッ酸水溶液を回収する回収装置部材などがある。したがって、この発明は、
(9)前記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)または(8)記載のNi−Cr系合金からなる硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材、
(10)前記硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材は、金属を硝フッ酸水溶液で洗浄するための酸洗槽部材である前記(9)記載の硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材、
(11)前記硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材は、半導体エッチング装置部材である前記(9)記載の硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材、
(12)前記硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材は、液晶パネル製造装置部材である前記(9)記載の硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材、
(13)前記硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材は、使用済みの硝フッ酸水溶液を回収するための回収装置部材である前記(9)記載の硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材、
(14)前記硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材は、硝フッ酸水溶液の温度を一定に保つための熱交換器装置部材である前記(9)記載の硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材、に特徴を有するものである。
次に、この発明の耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金の成分組成における各元素の限定理由について詳述する。
Cr:
Crは耐硝フッ酸腐食性を向上させる作用を有するが、その含有量が43%以下では所望の耐食性を確保することができず、一方、その含有量が47%を超えて含有すると脆化して成形加工時に割れが発生しやすくなるので好ましくない。従って、この発明の耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金に含まれるCrは43超〜47%に定めた。一層好ましくは、43.2〜46%である。
Mo:
Moは、Crを主体とする不働態被膜の形成を促進する効果がある。その場合、0.01%以上含有することで効果を示すが、2%を超えて含有すると相安定性を劣化させ、Cr−bcc相の固溶化を困難にしてしまうため、母相であるNi−fcc相とCr−bcc相との間でミクロ電池を形成し、結果的に金属イオンの溶出量を増大させてしまうので耐硝フッ酸腐食性が低下する。したがって、Mo含有量は0.01〜2%に定めた。一層好ましくは0.1超〜0.5%である。
Fe:
Feは強度を向上させる効果があるので添加するが、その含有量が0.05%未満では強度向上効果が現れず、一方、Feを1%を越えて含有すると耐硝フッ酸腐食性が劣化するので好ましくない。したがって、Feの含有量を0.05〜1%に定めた。一層好ましい範囲は0.1超〜0.5%未満である。
Si:
SiはVと共存することにより強度を向上させるとともに溶接部の耐硝フッ酸腐食性を向上させる効果があるので添加するが、Siは0.01%未満では所望の効果が現れないので好ましくなく、一方、Siを0.1%を越えて含有すると、相安定性が劣化し、特に曲げ加工性や溶接部の耐硝フッ酸腐食性の劣化が生じるようになるので好ましくない。したがって、Siの含有量を0.01〜0.1%に定めた。一層好ましい範囲は0.02〜0.05%である。
V:
Vは溶接による熱影響部の不連続析出を抑制し、耐硝フッ酸腐食性を向上させ、特に溶接部の耐硝フッ酸腐食性を向上させる効果があるので添加するが、その含有量が0.01%未満では所望の効果が得られず、一方、Vを0.2%を越えて含有するとかえって耐硝フッ酸腐食性が劣化し、さらに曲げ加工性の劣化が生じるので好ましくない。したがって、Vの含有量を0.01〜0.2%に定めた。一層好ましい範囲は0.05〜0.1%である。
Mg、NおよびMn:
Mg、NおよびMnを共存させることにより、相安定性を向上させることができる。すなわち、N、MnおよびMgはいずれも母相であるNi-fcc相を安定化させ、Crの固溶化を促進し、第2相を析出しにくくする効果があり、その結果として曲げ加工性および溶接部とその熱影響部における耐硝フッ酸腐食性の劣化を抑制する効果がある。
しかし、Mgの含有量が0.001%未満では相安定化の効果はなく、したがって溶接部耐硝フッ酸腐食性の劣化の抑制に対する効果がなく、一方、0.05%を超えて含有すると相安定性を損ね、高温加工性が劣化すると同時に溶接部やその熱影響部の耐硝フッ酸腐食性が劣化することから、Mgの含有量を0.001〜0.05%(一層好ましくは、0.002%〜0.04%)とした。
同様に、Nの含有量が0.001%未満では相安定化の効果がなく、したがって、曲げ加工性の向上や硝フッ酸溶液に対する耐硝フッ酸腐食性が劣化するのを抑制する効果がなくなるので好ましくなく、一方、0.04%を越えて含有すると、窒化物を形成し、また曲げ加工性が劣化すると同時に溶接部やその熱影響部の硝フッ酸溶液に対する耐食性が劣化することから、Nの含有量を0.001〜0.04%に定めた。一層好ましい範囲は0.005〜0.03%である。
同様に、Mnの含有量が0.05%未満では相安定化の効果はなく、したがって、曲げ加工性の向上や溶接部耐硝フッ酸腐食性劣化の抑制に対する効果がないので好ましくなく、一方、0.5%を超えて含有すると相安定性を損ね、高温加工性が劣化すると同時に溶接部やその熱影響部の金属イオンの溶出量が増大するために耐硝フッ酸腐食性が低下する。したがって、Mnの含有量を0.05〜0.5%(一層好ましくは、0.1%〜0.4%)とした。
なお、これら3元素は、3元素が同時に所定の範囲に含有しないと効果がないことを見出している。
C:
Cは不可避不純物として含まれるが、Cは結晶粒界近傍でCrと炭化物を形成し、Cr欠乏相を生成して耐硝フッ酸腐食性を劣化させるため、Cの含有量は少ないほど好ましく、不可避不純物に含まれるCの含有量の上限を0.05%と定めた。
Cu:
Cuは合金の耐硝フッ酸腐食性を向上させる効果があるので必要に応じて添加するが、その含有量が0.01%未満では所望の効果が得られず、一方、2%を越えて含有するとかえって耐食性が劣化することからその含有量を0.01〜2%に定めた。一層好ましい範囲は0.1〜1%である。
AlおよびTi:
これら成分は強力な脱酸元素であり、その脱酸作用により合金の延性をさらに向上させる効果があるので必要に応じて添加するが、AlおよびTiの内の1種または2種の合計が0.01%未満含まれていても所望の効果が得られず、一方、AlおよびTiの内の1種または2種の合計が0.2%を越えて含有すると、かえって延性を劣化させて曲げ加工性を劣化させるので好ましくない。したがって、AlおよびTiの内の1種または2種の合計:0.01〜0.2%の範囲内に定めた。一層好ましい範囲は0.05〜0.1%である。
B:
Bは、熱間における変形能を向上させる効果があると同時に溶接凝固部においてCr偏析を抑制することにより溶接部の耐硝フッ酸腐食性劣化を抑制する効果がある。しかし、その含有量が0.0005%未満では所望の効果が得られないので好ましくなく、一方、0.01%を越えて含有すると逆に熱間における変形能を低下させると同時に、逆にCrの偏析を促してしまうことから溶接凝固部における耐硝フッ酸腐食性を劣化させる傾向にあるため、B含有量を0.0005〜0.01%に定めた。一層好ましい範囲は0.001〜0.005%である。
この発明のNi−Cr系合金は、従来のNi−Cr系合金とほぼ同等の曲げ加工性を有し、さらに溶接部やその熱影響部の硝フッ酸溶液に対する耐食性が従来のNi−Cr系合金が一層優れるところから、硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材(例えば、金属を硝フッ酸水溶液で洗浄するための酸洗槽部材、半導体エッチング装置部材、液晶パネル製造装置部材、使用済み硝フッ酸水溶液回収装置部材、熱交換器部材など)として使用することにより優れた効果をもたらすものである。
いずれもC含有量の少ない原料を用意し、これらを通常の真空高周波溶解炉を用いて溶解し鋳造して表1〜4に示される成分組成を有する本発明Ni−Cr系合金1〜36、比較Ni−Cr系合金1〜16および従来Ni−Cr系合金1からなる厚さ:40mm、重さ:で約5kgを有するインゴットを作製した。このインゴットを1250℃で10時間均質化熱処理を施し、1000〜1250℃の範囲内に保持しながら、1回の熱間圧延で1〜5mmの厚さを減少させ、厚さ:3mmの厚板を作製し、これを1180℃で30分間保持し水焼入れすることにより固溶化処理を施し、薄板を作製した。この薄板をそれぞれ縦:50mm、横:25mmの寸法に切断して「溶接なし試験片」を作製した。
次に、先に作製した本発明Ni−Cr系合金1〜36、比較Ni−Cr系合金1〜16および従来Ni−Cr系合金1からなる厚さ:3mmの薄板をそれぞれ切断し、幅:3mmの溶加棒を作製した。一方、この溶加棒と同材種板2枚の突合せ部を開先加工したのち、この溶加棒を用いアルゴンガスバックシールドしながらTIG溶接を行い、突合せ溶接部を含む板から溶接ビードを中央に位置するように縦:50mm、横:25mmの寸法に切断し、さらにビード部を研削により除去し平滑にして「溶接あり試験片」を作製した。
これら溶接なし試験片および溶接あり試験片の表面を研磨し、最終的に耐水エメリー紙#1000仕上げの表面研磨したのち、これらをアセトン中超音波振動状態に5分間保持し、脱脂した。さらに17%硝酸−3%フッ酸水溶液を室温にて調液することにより作製した。さらにフッ素樹脂容器を用意し、このフッ素樹脂容器に前記17%硝酸−3%フッ酸水溶液を充填し、前記溶接なし試験片および溶接あり試験片をフッ素樹脂容器内の17%硝酸−3%フッ酸水溶液中に浸漬し、この17%硝酸−3%フッ酸水溶液の温度を80℃に設定し、100時間保持した。この時の比液量は8.5cc/cm(29.5cmの試料表面積に対して液を250cc)とした。
その後、これら溶接なし試験片および溶接あり試験片を17%硝酸−3%フッ酸水溶液から取り出して質量を測定し、浸漬前後の質量変化により腐食速度を算出し、その結果を表5〜6に示すことにより硝フッ酸水溶液に対する耐食性を評価した。
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表1〜6に示された結果から、本発明Ni−Cr系合金1〜36の溶接なし試験片は、従来合金1の溶接なし試験片に比べて腐食速度が小さく、さらに本発明Ni−Cr系合金1〜36の溶接あり試験片は、従来合金1の溶接あり試験片に比べて腐食速度が小さいことから本発明Ni−Cr系合金1〜36は、従来合金1に比べて硝フッ酸水溶液に対する耐食性が溶接部を含めて優れていることが分かる。しかし、この発明から外れた比較Ni−Cr系合金1〜16の溶接なし試験片および溶接あり試験片は熱間圧延時に割れが発生したり、腐食速度がやや大きくなるなど好ましくない特性が有ることが分かる。

Claims (14)

  1. 質量%で、Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有することを特徴とする耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金。
  2. 質量%で、Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにCu:0.01〜2%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有することを特徴とする耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金。
  3. 質量%で、Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにAlおよびTiの内の1種または2種を合計で0.01〜0.2%含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有することを特徴とする耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金。
  4. 質量%で、Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにB:0.0005〜0.01%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有することを特徴とする耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金。
  5. 質量%で、Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにCu:0.01〜2%を含有し、さらにAlおよびTiの内の1種または2種を合計で0.01〜0.2%含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有することを特徴とする耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金。
  6. 質量%で、Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにCu:0.01〜2%を含有し、さらにB:0.0005〜0.01%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有することを特徴とする耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金。
  7. 質量%で、Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにAlおよびTiの内の1種または2種を合計で0.01〜0.2%含有し、さらにB:0.0005〜0.01%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有することを特徴とする耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金。
  8. 質量%で、Cr:43超〜47%、Mo:0.01〜2%、Fe:0.05〜1%、Si:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.2%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにCu:0.01〜2%を含有し、さらにAlおよびTiの内の1種または2種を合計で0.01〜0.2%含有し、さらにB:0.0005〜0.01%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有することを特徴とする耐硝フッ酸腐食性に優れたNi−Cr系合金。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載のNi−Cr系合金からなることを特徴とする硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材。
  10. 前記硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材は、金属を硝フッ酸水溶液で洗浄するための酸洗槽部材であることを特徴とする請求項9記載の硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材。
  11. 前記硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材は、半導体エッチング装置部材であることを特徴とする請求項9記載の硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材。
  12. 前記硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材は、液晶パネル製造装置部材であることを特徴とする請求項9記載の硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材。
  13. 前記硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材は、使用済みの硝フッ酸水溶液を回収するための回収装置部材であることを特徴とする請求項9記載の硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材。
  14. 前記硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材は、硝フッ酸水溶液の温度を一定に保つための熱交換器装置部材であることを特徴とする請求項9記載の硝フッ酸水溶液を取り扱う装置部材。
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