JP3854554B2 - 耐硫酸腐食性と耐孔食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼のサブマージアーク溶接方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼のサブマージアーク溶接方法に関し、詳しくは、粗製硫酸を貯蔵・輸送するケミカルタンカーなどのタンクの製造の際に使用され、タンク使用環境下において溶接部の粗製硫酸による腐食を防止し、かつ、海水などによるタンク洗浄においても溶接部の孔食を防止し得る、耐硫酸腐食性、塩化物環境下での耐孔食性および靱性に優れた溶接金属が得られる高耐食オーステナイト系ステンレス鋼のサブマージアーク溶接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
耐食性が要求される環境で使用するオーステナイト系ステンレス鋼としては、JISに規定されているSUS304が一般に知られているが、その他に、非酸化性酸に対する耐食性を向上させる目的でさらにNiを増量し、Moを添加したSUS316、SUS317、耐粒界腐食性を向上させる目的でさらにCを減少したSUS304L、SUS316L、SUS317Lなどが知られており、それぞれ使用環境に応じて選択されている。
【0003】
従来、これらの耐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼の溶接に使用される溶接材料としては、JISZ3321に規定されている溶接用ステンレス鋼ワイヤやJISZ3323にステンレス鋼フラックス入りワイヤ、JISZ3324に規定されているステンレス鋼サブマージアーク溶接用材料、さらには、特開昭58−205696号公報、特開昭62−68696号公報に開示されているような308,316,308L,316L系のオーステナイト系ステンレス鋼用フラックス入りワイヤが用いられていた。
【0004】
近年、上記の耐食性に優れるSUS316Lなどのオーステナイト系ステンレス鋼や二相ステンレス鋼は、従来のメッキ鋼板に替えて、薬品原料、食品原料および油脂類、有機溶媒などを積載・輸送するためのケミカルタンカーなどのタンク用鋼として適用されつつある。
【0005】
しかしながら、ケミカルタンカーの中でも特に粗製硫酸を積載・輸送するためのケミカルタンカーなどのタンク類では、硫酸濃度が高い硫酸腐食環境下で使用するため、上記SUS316Lなどのオーステナイト系ステンレス鋼や二相ステンレス鋼では耐硫酸腐食性が十分ではなく鋼材使用環境下で粗製硫酸による全面腐食損傷が深刻な問題となる。
【0006】
さらに、この問題に加えて、粗製硫酸を積載・輸送するためのケミカルタンカーなどでは、粗製硫酸の積み荷を搬出後にタンク内を海水で洗浄することが一般に行われているが、その後の水洗・乾燥工程が不完全な場合には、タンク表面に海水成分(塩化物イオン)が残留しその塩化物起因の孔食腐食損傷が発生するという問題も生じる。
【0007】
このような高濃度の硫酸腐食環境下における耐硫酸腐食性と塩化物起因の耐孔食性の両者の耐食性に優れた新たな耐腐食性オーステナイト系ステンレス鋼の要望と相俟って、近年の製鋼および圧延技術の進歩により、MoおよびNの含有量を従来に比べて大幅に増加させて塩化物起因の耐孔食性と耐隙間腐食性をさらに向上させるとともに、Cuを添加させて高濃度硫酸腐食環境下での耐食性を向上させた高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼が開発されている。
【0008】
このような成分系のステンレス鋼種の溶接材料として、特開平1−95895号公報のTIGおよびプラズマ溶接用線材、特開平3−86392号公報のフラックスワイヤが提案されている。また、これら高耐食ステンレス鋼の溶接においては、しばしば共金系ワイヤを用いずに、インコネル625(60Ni−22Cr−9Mo−3.5Nb)のような高Cr−高Mo含有の高Ni合金の溶接材料が用いられている。
【0009】
しかしながら、このような高硫酸濃度腐食環境下では、母材に比べて溶接金属の腐食頻度が大きくなり、上記特開平1−95895号公報や特開平3−86392号公報などで提案された高Mo、高N、Cu添加系の高耐食ステンレス鋼溶接用ワイヤでは溶接金属の耐食性はまだ不十分であり、また、これに加えて、延性及び靭性が低く、さらに、溶接時に窒素に起因するブローホールが発生しやすいなどの課題があった。
【0010】
一方、従来から、高耐食オーステナイト系ステンレス鋼のための溶接材料として、共金系溶接ワイヤを用いずに、しばしばインコネル625(60Ni−22Cr−9Mo−3.5Nb系)のような高Cr−高Mo含有高Ni基合金の溶接ワイヤが用いられることもあるが、このような溶接材料では十分な耐食性が得られるものの、溶接時の高温割れやシグマ相析出による溶接金属の靱性低下が生じやすく、また、溶接材料として高価であることが課題となっている。
【0011】
以上のことから、従来から、主に粗製硫酸を積載・輸送するためのケミカルタンカーなどのタンク類を製造する際に用いられる溶接材料として、高濃度硫酸腐食環境下での耐硫酸腐食性および海水環境下での塩化物起因の耐孔食性の両者の耐食性を十分満足し、なおかつ延性及び靭性が高く、さらには、溶接時の耐ブローホール性に優れた溶接金属を得ることができる高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼用サブマージアーク溶接材料およびその溶接方法の開発が要望されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて、主に粗製硫酸を積載・輸送するためのケミカルタンカーなどのタンク類を製造する際に用いられるサブマージアーク溶接方法であって、高濃度硫酸の腐食環境下での耐全面腐食性および海水環境下での残留塩化物イオン起因の耐孔食性の両者の耐食性を十分満足し、かつ延性及び靭性が高く、溶接時の耐ブローホール性に優れた溶接金属を得ることができる高耐食性オーステナイトステンレス鋼のサブマージアーク溶接方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものであって、その要旨とするところは下記の通りである。
【0014】
(1) オーステナイト系ステンレス鋼のサブマージアーク溶接方法において、Ni−Cr系オーステナイトステンレス鋼ワイヤおよび焼成型フラックスの何れか一方または両方に含有し、かつ、フラックス中の酸化物および弗化物として存在するものを除いた下記(1)式から求められる各成分の換算含有量Mが、質量%で、
C:0.001〜0.05%、
Si:0.02〜1.2%、
Mn:0.5〜2.5%、
Cr:20〜27%、
Ni:8〜14%、
Mo:2〜4%、
Cu:1.5〜4%、
N:0.07〜0.16%を含有し、
さらに、P:0.03%以下、
S:0.01%以下に制限し、
かつ、以下の(2)〜(4)式を満足することを特徴とする耐硫酸腐食性と耐孔食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼のサブマージアーク溶接方法。
M=MW+0.7×MF ・・・(1)
但し、上記のMWはワイヤ中の各成分元素の含有量(質量%)、MFはフラックス中の各成分元素の含有量(質量%)をそれぞれ示す。
但し、Creq=[Cr]+1.37×[Mo]+1.5×[Si]
Nieq=[Ni]+0.31×[Mn]+22×[C]+14.2×[N]+[Cu]
[C]、[Si]、[Mn]、[Cr]、[Ni]、[Mo]、[Cu]、[N]は、それぞれ成分元素の換算含有量M(質量%)を示す。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下に詳細に説明する。
【0016】
先ずはじめに、溶接金属の硫酸腐食環境下および海水腐食環境下での溶接金属の耐食性、延性および靱性を向上させるための本発明の技術思想およびサブマージアーク溶接材料の成分を規定する各規定式について説明する。
【0017】
本発明者らは、高能率なサブマージ溶接を行う際に高濃度硫酸腐食環境下での耐硫酸腐食性および海水環境下での塩化物起因の耐孔食性などの耐食性に優れ、延性及び靭性が高い溶接金属を得ることができる方法について、鋭意調査、検討を行った。
【0018】
通常、溶接継ぎ手で形成された溶接金属は凝固のままの状態で使用されるが、発明者らの調査、実験から、▲1▼オーステナイト系ステンレス鋼をその共金系溶接材料を用いて溶接して得られる溶接金属は、その成分系により初晶凝固相がフェライト相もしくはオーステナイト相となり、さらに、これらの相が単独で凝固が完了するものとフェライト相+オーステナイト相の二相で凝固が完了するものに分類されること、▲2▼溶接金属の凝固時には溶接金属中にミクロ偏析が残存し、耐食性に寄与する元素が負偏析した領域は局部腐食が発生しやすくなること、▲3▼上記▲1▼の溶接金属の凝固形態の違いにより、各元素の凝固時の偏析の程度(分配係数)が異なるため、溶接金属の凝固形態の違いによりその腐食挙動も異なることが判った。
【0019】
一般に初晶凝固相がオーステナイト相の場合、その初期凝固域において耐食性に有効なCr、Ni、Moが減少し、硫酸腐食環境および海水腐食環境ともに局部腐食が発生しやすくなり、また、さらに、その最終凝固域においてはCr、Mo等が濃化し、シグマ相などの脆い金属間化合物が生成するため、靱性も著しく低下する。
【0020】
一方、初晶凝固相がフェライト相の場合、その初期凝固域において耐食性に有効なNi、Moは同様に減少するものの、その減少量は、初晶凝固相がオーステナイト相の場合に比べて小さく、また、耐食性に有効なCrは、ほぼ均一に分配して偏析はほとんどないため、初期凝固域におけるCrの減少は見られない。また、最終凝固域においてもNi、Mo、Cr等の濃化が少ないため、シグマ相などの脆い金属間化合物の生成およびそれによる靱性の著しい低下は見られない。したがって、本発明では、溶接金属の凝固時のミクロ偏析を低減し、耐食性および靱性を向上させるためには、溶接金属の成分系を初晶凝固相がフェライト相となるように溶接材料の成分系を限定する必要がある。
【0021】
図1に、サブマージ溶接で用いられる溶接材料に含有する成分から求められたCr当量(Creq)およびNi当量(Nieq)とその凝固形態との関係を示す。なお、(1)式は、サブマージアーク溶接においてワイヤおよびフラックから溶接金属中に各成分を添加する場合のそれぞれの成分歩留(1、0.7)を基に溶接金属中の各成分の換算含有量Mを求めるための式である。
【0022】
ここで、Cr当量(Creq)およびNi当量(Nieq)は、下記(1)で定義される各成分の換算含有量Mを基に下記(5)及び(6)式によってそれぞれ求められるものである。
M=MW+0.7×MF ・・・(1)
但し、上記のMWはワイヤ中の各成分元素の含有量(質量%)、MFはフラックス中の各成分元素の含有量(質量%)をそれぞれ示す。
但し、上記[C]、[Si]、[Mn]、[Cr]、[Ni]、[Mo]、[Cu]、[N]は、上記(1)式から求められるそれぞれの成分元素の換算含有量M(質量%)を示す。
【0023】
図1においてCr当量とNi当量の比(Creq/Nieq)が1.52以下では、溶接金属の初晶凝固相はオーステナイト相となり、Creq/Nieqが1.52を超えると、その初晶凝固相はフェライト相となる。
【0024】
本発明では、上述の通り溶接金属の初期凝固域において耐食性に有効なNi、Mo、Crの減少量を抑制し、かつ、最終凝固域においてもNi、Mo、Cr等の濃化によるシグマ相などの脆い金属間化合物の生成およびそれによる靱性の著しい低下を抑制するために、溶接金属の初晶凝固相がフェライト相となるサブマージ溶接用溶接材料の成分系をその各成分の上記(1)により求められる換算含有量が下記(4)式の関係式を満足するように限定する。
Creq/Nieq≧1.52 ・・・(4)
【0025】
また、本発明者らの調査、耐食性のうちで、海水環境における残留塩化物イオンに起因する孔食性に対する耐食性は、オーステナイト系ステンレス鋼を海水から引き上げ後、水分の蒸発によって塩が濃縮し、その近傍から赤さびが発銹して孔食に至ることが判明した。
【0026】
図2は、40℃の3.5%NaCl溶液中にて孔食電位を測定した結果から、前記(1)式で定義された溶接材料中の成分の換算含有量Mをもとに(2)’式によって求められる成分指標:PIと孔食電位との関係を示すものである。
PI=[Cr]+3.3×[Mo]+16×[N] ・・・(2)’
図2において、上記溶接材料中の成分指標:PI(=[Cr]+3.3×[Mo]+16×[N])が32以上で、孔食電位が0.7(V)以上となり孔食は全く発生しなくなり十分な耐孔食性が得られる。
【0027】
したがって、本発明では、海水腐食環境下での残留塩化物イオン起因の孔食性を向上させるために、溶接材料の成分系を以下の(2)の関係式を満足するものに規定する。
PI=[Cr]+3.3×[Mo]+16×[N] ≧32 ・・・(2)
但し、上記(2)’、(2)式における[Cr]、[Mo]、[N]は、それぞれ前記(1)式で定義されるCr、Mo、Nの各成分元素の換算含有量M(質量%)を示す。
【0028】
また、本発明者らの調査、実験結果から、耐食性のうちで、粗製硫酸に対する耐全面腐食性は、硫酸が空気中の水分を吸収して希薄化し、その希薄化した硫酸によって著しく腐食が進行し、また最も腐食が激しい硫酸濃度は50%であることが判明した。
【0029】
図3は、40℃の50%硫酸溶液中での腐食減量試験を実施した結果から、前記(1)式で定義された溶接材料中の成分の換算含有量Mをもとに(3)’式により求められる成分指標:GIとその腐食減量との関係を示すものである。
【0030】
図3において溶接材料中の成分指標:GI(=[Cr]+3.6×[Ni]+4.7×[Mo]+11.5[Cu])が60以上で、硫酸濃度が50%での腐食減量は2(g/m2・hr)以下と低減し、硫酸耐食性が向上し十分な硫酸耐食性が得られる。
【0031】
したがって、本発明では、粗製硫酸の腐食環境下での耐食性を向上させるために、溶接材料の成分系を以下の(3)の関係式を満足するものに規定する。
但し、上記(3)’、(3)式における[Cr]、[Ni]、[Mo]、[Cu]は、それぞれ前記(1)式で定義されるCr、Ni、Mo、Cuの各成分元素の換算含有量M(質量%)を示す。
【0032】
本発明では、ワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に含有し、かつ、フラックス中の酸化物および弗化物として存在するものを除いた各成分を上記の各関係式で規定するとともに各成分の含有量を以下のように規定する。その限定理由は以下の通りである。
【0033】
なお、以下に示す各成分元素の含有量の「%」は前記(1)式で定義される各成分元素の換算含有量M(質量%)を示す。
【0034】
C:Cは溶接金属の耐食性向上にとって有害な成分であるが、溶接金属の強度確保の観点からある程度の含有が必要であり、この理由でワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に溶接ワイヤ中にCを0.001%添加する。しかし、Cを0.05%を超えて添加すると、溶接金属を溶接ままおよびさらに再熱した場合にCr炭化物を析出し、溶接金属の耐粒界腐食性および耐孔食性が著しく劣化するとともに、溶接金属の靱性、延性も著しく低下する。
従ってワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方のC含有量は0.001〜0.05%に限定する。
【0035】
Si:Siは溶接金属の延性を改善するために有効であるが、0.02%未満ではその効果が十分でなく、その含有量が1.2%を超えると溶接金属の靱性が低下する。
従って、ワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方のSiの含有量を0.02〜1.2%に限定する。
【0036】
Mn:Mnは溶接金属の脱酸元素として添加するが、その含有量が0.5%未満では効果が十分でなく、一方、2.5%を超えて添加するとは溶接金属の延性が低下する。
従ってワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方のMnの含有量を0.5〜2.5%に限定する。
【0037】
Cr:Crはフェライト生成元素であるとともにオーステナイト系ステンレス鋼の主要元素として不働態皮膜を形成し溶接金属の耐食性の向上に寄与する。硫酸環境下および海水環境下で優れた耐食性を得るには20%以上必要である。また、溶接金属中のCr含有量が多いほど海水環境下での耐孔食性は向上するがシグマ相など脆い金属間化合物を生成して溶接金属の靱性が低下する。
従ってワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方のCrの含有量を20〜27%に限定する。
【0038】
Ni:Niは中性塩化物環境や非酸化性の硫酸環境での溶接金属の腐食性に対し、顕著な抵抗性を与え、かつ、不働態皮膜の生成を強化するため、8以上必要である。一方、Niはオーステナイト生成元素であり、14%を超えると溶接金属の初層凝固がオーステナイト凝固となり、本発明の効果が得られなくなる。
従ってワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方のNiの含有量を8〜14.0%に限定する。
【0039】
Mo:Moは不働態皮膜を安定化して高い耐食性を得るのに極めて有効な元素である。特に塩化物環境での溶接金属の耐孔食性向上は顕著であるが、2%未満ではその効果は不十分である。また、その含有量が4%を超えるとシグマ相など脆い金属間化合物を生成して溶接金属の靱性が低下する。
従ってワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方のMoの含有量を2〜4%に限定する。
【0040】
Cu:Cuは溶接金属の強度と耐食性を高めるのに顕著な効果があり、特にCr、Ni、Moと共存して硫酸環境下で優れた耐食性を示し、その効果を得るには1.5%以上が必要であるが、4%を超えると溶接金属の延性が低下する。
従ってワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方のCuの含有量を1.5〜4%に限定する。
【0041】
N:Nは強力なオーステナイト生成元素であり、塩化物環境下でのは溶接金属の耐孔食性を向上させる。0.07%以上で耐孔食性および耐隙間腐食性を向上させ、含有量が多いほどその効果は大きい。一方、0.16%を超えると溶接中にブローホールが発生する。
従ってワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方のNの含有量を0.07〜0.16%に限定する。
【0042】
P、Sは溶接金属において不可避成分であり、以下の理由で少なく制限する。
【0043】
P:Pは多量に存在するとは溶接金属の凝固時の耐高温溶接割れ性および靱性を低下させるので少ない方が望ましく、ワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方のPの含有量を0.03%以下に限定する。
【0044】
S:Sも多量に存在するとは溶接金属の耐高温割れ性、延性を低下させるので少ない方が望ましく、ワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方のSの含有量を0.01%以下限定する。
【0045】
以上を本発明のサブマージ溶接において使用するワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に含有する基本成分であり、これらの溶接材料を用いてサブマージアーク溶接することにより、硫酸環境下と海水環境下で耐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼の溶接金属が得られる。
【0046】
これらの成分元素に加えて、さらに、溶接金属の耐食性を向上させるために、またはその他の特性を向上させるために溶接金属の耐食性を阻害しない程度に他の成分元素を添加しても差し支えない。
【0047】
例えば、TiおよびNbはCと結合してCr炭化物の析出を抑え、溶接金属の耐食性を向上させる作用を有するため、TiおよびNbの1種または2種をそれぞれ0.02%以上添加すること出来る。しかしながら、過度の添加は、溶接金属の延性、靱性を低下させるので、これらの成分元素を添加する場合はワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方のそれらの含有量をそれぞれ0.5%以下にすることが望ましい。
【0048】
本発明のサブマージアーク溶接方法において、溶接金属の耐硫酸腐食性と耐孔食性の耐食性を向上させるために溶接金属中に添加する上記の合金元素が偏析することを防止するためには、フラックスに比べてワイヤから多くの合金元素を添加する必要がある。そのため、本発明において用いる溶接ワイヤは、耐食性を向上するオーステナイトステンレス鋼の主成分である、Crが18%以上、Niが7.5%以上含有するNi−Cr系オーステナイトステンレス鋼ワイヤを用いる。
【0049】
なお、溶接ワイヤを製造する際の加工性の点からは、ワイヤ中のCr含有量を23%以下とするのが望ましい。
【0050】
また、本発明のサブマージアーク溶接方法において用いられるフラックスは、溶融型フラックスに比べて、溶接金属中の合金成分の偏析が抑制できる焼成型フラックスとする。この焼成型フラックスは、耐食性を向上する成分元素を、例えば、金属Cr、金属Ni、金属Mo等の合金剤、螢石、けい砂、マグネシア、アルミナ等のスラグ成分、Fe−Al、Fe−Mn等の脱酸剤として添加・混合、撹拌し、さらに、珪酸カリ、珪酸ソーダなどの水ガラス等で造粒した後、400〜600程度の温度で焼成することによって製造することができる。
【0051】
本発明では、耐硫酸腐食性と耐孔食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼の溶接方法としてサブマージアーク溶接方法を適用する。これは、TIG、MIG、FCW等のシールドアーク溶接方法が10000〜25000J/cmの比較的小入熱条件で多層多パス溶接を行うのに対し、本発明のサブマージアーク溶接方法は、電流:450〜600A、溶接速度;30〜50cm/min、入熱量:25000〜45000J/cmの大入熱条件で、極力少い溶接パスで非常に高い溶接能率で溶接施工が可能をなるためである。
【0052】
【実施例】
以下に本発明の効果を実施例により説明する。
【0053】
実験に供したワイヤの組成を表1に示す。ワイヤは溶解、鍛造、圧延および線引きにより4.0mmφに作成した。
【0054】
実験に供したボンドフラックスは合金成分の他、通常のフラックスに原料として用いられる鉱石粉、複合化合物等を混合、撹拌後、水ガラスを用いて造粒し、400℃で約2時間焼成して作成した。フラックスの組成を表2に示す。
【0055】
表3に表1のワイヤと表2のフラックスとを組み合わせた化学組成を示す。
ワイヤとフラックスの組み合わせによる溶接金属の凝固モードは、初晶凝固がオーステナイト相をA、初晶凝固がフェライト相をFで示す。なお、表3に示す「組み合わせによる化学組成」における各成分の含有量は、表1に示すワイヤ中の各成分含有量MWと表1に示すフラックス中の各成分含有量MFから以下の(1)式を用いて算出した溶接金属中の各成分の換算含有量Mを示すものである。
M=MW+0.7×MF・・・(1)
但し、上記のMWはワイヤ中の各成分元素の含有量(質量%)、MFはフラックス中の各成分元素の含有量(質量%)をそれぞれ示す。
【0056】
SUS304鋼板にそれぞれのワイヤとフラックスの組み合わせにより2層バタリングを施し、JISZ3324に準拠し、500A−34V−40cm/minの溶接条件で約750mmの溶接長でサブマージアーク溶接を実施し、溶接終了後、X線透過試験(JISZ3106)を行い、板厚中央よりJISA1号引張試験片、4号衝撃試験片、溶接金属の表面より腐食試験片を採取し、各種試験を実施した。衝撃試験は−20℃で試験した。硫酸腐食性試験は、厚さ:3mm、幅:20mm、長さ:30mmの試験片の全面を600番エメリー紙で湿式研磨、脱脂後、40℃の50%硫酸溶液中に6時間浸漬し、浸漬前後の重量を測定して腐食減量を評価した。孔食試験は、40℃の3.5%NaCl溶液中にて孔食電位の測定をJIS G 0577に規定される方法に準拠して実施した。
表4に引張試験、衝撃試験、各腐食試験、および、X線透過試験のそれぞれの結果を示す。
【0057】
なお、表4中の機械的性質は引張強さが560N/mm2以上、延性は伸び率が25%、じん性は吸収エネルギーが30Jを良好とした。
【0058】
また、硫酸腐食試験結果は、浸漬前後の試験片重量より算出した単位面積・単位時間あたりの腐食減量を示している。また、孔食電位は、電流密度:100A/cm2の時の電位を示している。なお、孔食電位の○印は、孔食は発生せず水の電気分解により酸素が発生したものを示している。
【0059】
表4において、記号1〜記号11の本発明例は、成分含有量および各成分の関係が本発明の範囲内であるため、比較例に比べ、硫酸腐食量は僅かであり、かつ、孔食も発生せず優れた溶接金属の機械的性能、耐食性が得られたが、比較例の記号12はNi過多のため溶接金属のじん性が劣化し、また、PI値およびGI値はともに範囲内であるにもかかわらず、Cr当量/Ni当量が低いため初層凝固がオーステナイト相となり凝固偏析の影響で硫酸腐食と孔食が発生した。記号13はPI値が範囲外であるため孔食が発生した。又、GI値が範囲内であるにも関わらず、Crの不足により対硫酸腐食性が劣化した。記号14はMn過多のため、溶接金属の延性が劣化した。記号15はPI値が範囲内であるにも関わらずN不足により、耐孔食が劣化し僅かながら孔食が発生した。記号16はMn不足のため溶接金属にブローホールが発生した。またGI値が範囲外のため耐硫酸腐食性が劣化した。記号17はC不足のため溶接金属の強度が低く、また、Cu過多のため溶接金属の延性が劣化した。記号18はCおよびSが過多のため溶接金属のじん性および延性が劣化した。又、GI値が範囲内であるにも関わらずCの過多により耐硫酸腐食性が劣化した。記号19はSi不足で溶接金属の延性が劣化し、Mo過多のため溶接金属のじん性が劣化した。記号20はSi過多のおよびP過多のため溶接金属のじん性が劣化した。記号21はCr過多のため、溶接金属の延性が劣化した。記号22はGI値が範囲外でMo不足のため、耐硫酸腐食性が劣化し僅かに孔食が発生した。又、N過多のため溶接金属にブローホールが発生した。記号23は、Cuが不足し、PI値およびGI値はともに範囲内であるにもかかわらず、Cr当量/Ni当量が低いため初層凝固がオーステナイト相となり凝固偏析の影響で硫酸腐食と孔食が発生した。記号24は、Ni不足による耐硫酸腐食性が劣化した。記号25はGI値が範囲外のため対硫酸腐食性が劣化した。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は、高効率のサブマージアーク溶接方法を用いて高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼を溶接する際に、優れた耐硫酸腐食性と塩化物環境下での耐孔食性および延性および靱性などの良好な機械的性質を有する溶接金属を得ることを可能にし、粗製硫酸の貯蔵・輸送による腐食と海水洗浄による腐食が問題となっているケミカルタンカーなどのタンク類の溶接部の安全性を長期にわたって確保できる。したがって、ケミカルタンカーなどのタンク類の溶接部のメンテナンスを極力少なして経済性を上げるとともに、溶接構造物の健全性を大きく向上させるものであり、本発明の適用により産業の発展に貢献するところが極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶接材料の成分で決まるCr当量(Creq)とNi当量(Nieq)とその凝固形態との関係を示す図である。
【図2】溶接材料の成分指標:PI値と40℃の3.5%NaCl溶液中での孔食電位との関係を示した図である。
【図3】溶接材料の成分指標:GI値と40℃の50%硫酸溶液中での腐食減量との関係を示す図である。
Claims (1)
- オーステナイト系ステンレス鋼のサブマージアーク溶接方法において、Ni−Cr系オーステナイトステンレス鋼ワイヤおよび焼成型フラックスの何れか一方または両方に含有し、かつ、フラックス中の酸化物および弗化物として存在するものを除いた下記(1)式から求められる各成分の換算含有量Mが、質量%で、
C:0.001〜0.05%、
Si:0.02〜1.2%、
Mn:0.5〜2.5%、
Cr:20〜27%、
Ni:8〜14%、
Mo:2〜4%、
Cu:1.5〜4%、
N:0.07〜0.16%を含有し、
さらに、P:0.03%以下、
S:0.01%以下に制限し、
かつ、以下の(2)〜(4)式を満足することを特徴とする耐硫酸腐食性と耐孔食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼のサブマージアーク溶接方法。
M=MW+0.7×MF ・・・(1)
但し、上記のMWはワイヤ中の各成分元素の含有量(質量%)、MFはフラックス中の各成分元素の含有量(質量%)をそれぞれ示す。
但し、Creq=[Cr]+1.37×[Mo]+1.5×[Si]
Nieq=[Ni]+0.31×[Mn]+22×[C]+14.2×[N]+[Cu]
[C]、[Si]、[Mn]、[Cr]、[Ni]、[Mo]、[Cu]、[N]は、それぞれ成分元素の換算含有量M(質量%)を示す。
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