JP4962458B2 - 防カビ性を有する発泡壁紙 - Google Patents

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Description

本発明は、防カビ性を有する発泡壁紙に関する。
建築物の壁面内装等に発泡壁紙が使用されている。
発泡壁紙は、紙質基材上に発泡樹脂層を積層することにより得られる。前記発泡樹脂層は、発泡剤等を含む樹脂組成物を溶融させて混練し、その混練物を用いて発泡剤含有樹脂層を形成した後、発泡剤含有樹脂層内の発泡剤を加熱分解させて、該発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成できる。
発泡剤を加熱分解させる際、加熱温度が過度に高いと、紙質基材が焦げたり、含有樹脂が溶融するおそれがあるため、比較的低い加熱温度で発泡させることが求められている。
そこで、近年では、発泡剤の分解温度を下げることを目的として、発泡助剤が用いられている。発泡助剤としては、一般的に、亜鉛化合物が使用されている。
ところで、発泡壁紙には、変色や変質を防止するために、防カビ性を有することが求められる。
防カビ性を有する発泡壁紙として、特許文献1では、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールもしくは2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチルからなることを特徴とする発泡剤含有壁紙用抗カビ組成物を用いた発泡壁紙が報告されている。
また、特許文献2には、ベンズイミダゾール化合物からなる抗菌防カビ剤、リン系酸化防止剤、および樹脂を含有する防カビ性樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、防カビ剤としてベンズイミダゾール系化合物のみを用いる場合、十分な防カビ性を発泡壁紙に付与できない。また、樹脂組成物を混練する際や発泡剤含有樹脂層を発泡させる際の熱により、ベンズイミダゾール系化合物が黄色または黄褐色に変化し、その色が発泡壁紙に出現する(発泡壁紙の意匠性が低下する)という問題がある。また、ベンズイミダゾール以外の防カビ剤を使用する場合、ピンク色を帯びた発泡壁紙が得られることがある。これは、発泡剤含有樹脂層に含まれる亜鉛化合物(発泡助剤)と前記防カビ剤とが反応することが原因であると考えられる。しかも、前記反応により、亜鉛化合物が失活し、発泡助剤として十分に作用しないという問題がある。
なお、本発明者らは、防カビ性を有する発泡壁紙として、紙質基材上に、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成された発泡樹脂層を有し、1)前記発泡助剤は、亜鉛化合物であり、2)前記発泡剤含有樹脂層は、さらに、ジンクピリチオンを含む発泡壁紙を既に開発した。この発泡壁紙は、発泡剤含有樹脂層の樹脂成分としてOH基またはCOOH基を有しないエチレン共重合体樹脂(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等)を用いることが好ましく、COOH基を有する樹脂(例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂等)を用いる場合には、亜鉛化合物が発泡助剤として十分に作用せず、しかも、発泡工程において、発泡樹脂層が変色(黄変)するという問題があった。
そこで、防カビ剤としてジンクピリチオンを用い、且つ、樹脂成分としてCOOH基を有する樹脂を用いる場合においても、
防カビ性を有し、且つ、意匠性および発泡性に優れた発泡壁紙の開発が切望されている。
特開2003−192508 特開2004−18538
本発明は、防カビ性を有し、意匠性および発泡性に優れた発泡壁紙を提供することを主な目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、防カビ剤として特定の化合物を用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の発泡壁紙に関する。
1. 防カビ性を有する発泡壁紙であって、
前記発泡壁紙は、紙質基材上に、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成された発泡樹脂層を有し、
1)前記発泡剤含有樹脂層は、樹脂成分としてカルボキシル基を有する樹脂を含み、
2)前記発泡剤含有樹脂層は、さらに、ジンクピリチオンを含み、
3)前記発泡剤含有樹脂層は、発泡助剤として亜鉛化合物を含まない、
発泡壁紙。
2. 前記カルボキシル基を有する樹脂が、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂である上記項1に記載の発泡壁紙。
3. 前記発泡剤含有樹脂層中における前記ジンクピリチオンの含有量が、発泡剤含有樹脂層中の樹脂成分100重量部に対し、0.05〜10重量部である上記項1又は2に記載の発泡壁紙。
4. 前記紙質基材上に、前記発泡樹脂層および非発泡樹脂層Aが順に形成されている、上記項1〜3のいずれかに記載の発泡壁紙。
5. 前記紙質基材と前記発泡樹脂層との間に、さらに非発泡樹脂層Bが形成されている、上記項4に記載の発泡壁紙。
6. 前記非発泡樹脂層A上に、さらに絵柄模様層および表面保護層が順に形成されている、上記項4または5に記載の発泡壁紙。
本発明の発泡壁紙は、防カビ性を有する発泡壁紙であって、
前記発泡壁紙は、紙質基材上に、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成された発泡樹脂層を有し、
1)前記発泡剤含有樹脂層は、樹脂成分としてカルボキシル基を有する樹脂を含み、
2)前記発泡剤含有樹脂層は、さらに、ジンクピリチオンを含み、
3)前記発泡剤含有樹脂層は、発泡助剤として亜鉛化合物を含まない。
紙質基材
紙質基材の材質は、壁紙基材として適した機械強度、耐熱性等を有する限り特に限定さ
れず、繊維質シートが一般に使用できる。
具体的には、繊維質シートの中でも、難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グ
アニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの);水酸化アルミニウム、水酸化
マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙;上質紙;薄用紙などが挙げられる。
紙質基材の坪量は限定的ではないが、50〜300g/m程度が好ましく、50〜8
0g/m程度がより好ましい。
発泡剤含有樹脂層
本発明の発泡壁紙の発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成される。
前記発泡剤含有樹脂層の厚みは限定的ではないが、通常は50〜150μm程度とすることが好ましい。
<樹脂成分>
発泡剤含有樹脂層を構成する樹脂成分は、カルボキシル基を有する樹脂であればよい。カルボキシル基を有する樹脂としては、例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。特に、本発明では、前記樹脂成分としてEMAAを用いることが好ましい。
<発泡剤>
発泡剤としては、特に限定されず、例えば無機系発泡剤および有機系発泡剤といった公知の発泡剤を使用できる。
無機系発泡剤としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等が挙げられる。
有機系発泡剤としては、ニトロソ化合物、アゾ化合物、スルホニルヒドラジド化合物、アジド化合物等が挙げられる。ニトロソ化合物としては、例えばN,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等を例示できる。アゾ化合物としては、例えばアゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミミノベンゼン、バリウム・アゾジカルボキシレート等を例示できる。スルホニルヒドラジド化合物としては、例えばベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルフォニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド等を例示できる。アジド化合物としては、例えばカルシウムアジド、4,4’−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジド等を例示できる。
これら発泡剤は、単独または二種以上で使用できる。
特に、発泡剤として、ADCA及びOBSHを併用することが好ましい。ADCAは比較的分解温度が高いため、OBSHと組み合わせて用いることにより、低い加熱温度で発泡剤含有樹脂層を好適に発泡させることができる。ADCAとOBSHとの配合比率(OBSH/ADCA)は、重量比で1/2〜1/32程度が好ましい。
発泡剤含有樹脂層中における発泡剤の含有量は発泡剤の種類、発泡倍率等に応じて適宜設定すればよいが、発泡剤含有樹脂層中の樹脂100重量部に対し、3〜10重量部が好ましい。
<防カビ剤>
前記発泡剤含有樹脂層は、さらに、ジンクピリチオンを含む。ジンクピリチオンを含有させることにより、防カビ性に優れた発泡壁紙が得られる。すなわち、前記ジンクピリチオンは、防カビ剤として作用する。
防カビ剤として前記ジンクピリチオンを用いることにより、ベンズイミダゾール系化合物のように熱により防カビ剤が黄色または黄褐色に変化するという問題を好適に回避できる。しかも、前記ジンクピリチオンを発泡剤含有樹脂層に含有させることにより、発泡助剤の作用(発泡剤の分解温度を低下させる作用)を促進させることができる。
前記発泡剤含有樹脂層中における前記ジンクピリチオンの含有量は、発泡剤含有樹脂層中の樹脂成分100重量部に対し、0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜4重量部である。特に、ジンクピリチオンの含有量が、発泡剤含有樹脂層中の樹脂成分100重量部に対し、0.1〜4重量部である場合、発泡助剤の効果を阻害することなく、防カビ性能を発泡壁紙に確実に付与できる。
なお、本発明においては、防カビ剤として一般的に知られているベンズイミダゾール系化合物を用いずに、ジンクピリチオンのみを用いることにより、意匠性及び発泡性を向上させることができる。
<その他の添加剤>
前記発泡剤含有樹脂層は、さらに、発泡助剤、無機充填剤、顔料、分散剤、難燃剤、熱安定剤等の公知の添加剤を含んでいてもよい。
発泡助剤としては、亜鉛化合物以外のものであればよい。前記亜鉛化合物としては、例えば、酸化亜鉛、脂肪酸亜鉛塩(金属石鹸)、塩化亜鉛等が挙げられる。本発明では、亜鉛化合物以外の発泡助剤を用いることにより、発泡剤含有樹脂層の樹脂成分としてカルボキシル基を有する樹脂を用いる場合においても、発泡剤の分解温度を好適に低下させることができる。また、発泡樹脂層の変色(黄変)を防止又は抑制できる。
本発明では、亜鉛化合物以外の発泡助剤として亜鉛を含まない種々の発泡助剤を使用できる。例えば、サリチル酸、フタル酸、シュウ酸等の有機系発泡助剤を使用できる。
前記発泡剤含有樹脂層中における前記発泡助剤の含有量は、発泡剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、発泡剤含有樹脂層の樹脂100重量部に対し、0.3〜10重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。
上記のうち、無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物等が挙げられる。無機充填剤を用いることにより、目透き抑制効果、表面特性向上効果等が得られる。
無機充填剤の含有量は、前記樹脂層を構成する樹脂100重量部に対して、0〜100重量部程度が好ましく、20〜70重量部程度がより好ましい。
顔料については、無機顔料、有機顔料等の公知の顔料を用いることができる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、黄鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムエロー、ニッケルチタンエロー、クロムチタンエロー、酸化鉄(弁柄)、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロム、コバルトグリーン、アルミニウム粉、ブロンズ粉、雲母チタン、硫化亜鉛等が挙げられる。有機顔料としては、例えば、アニリンブラック、ペリレンブラック、アゾ系(アゾレーキ、不溶性アゾ、縮合アゾ)、多環式(イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、ジブロムアンザントロン、ジオキサジン、チオインジゴ、フタロシアニン、インダントロン、ハロゲン化フタロシアニン)等が挙げられる。発泡剤含有樹脂層中における顔料の含有量は、特に限定されず、意匠性等の観点から適宜設定すればよい。
<発泡樹脂層の形成>
前記発泡樹脂層は、例えば、前記紙質基材上に、前記発泡剤含有樹脂層を形成した後、該樹脂層を加熱発泡させることにより形成できる。
前記発泡剤含有樹脂層は、例えば、前記樹脂成分、発泡剤、亜鉛化合物、ジンクピリチオン等を含む樹脂組成物中の該樹脂成分を溶融させた後に、シート状に成形することにより得られる。
そして、前記紙質基材上に前記発泡剤含有樹脂層が形成された積層体を加熱することにより、発泡剤含有樹脂層中の発泡剤が分解し、発泡樹脂層が形成される。
加熱条件は、発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される条件ならば限定されない。具体的に、加熱温度は200〜240℃程度が好ましい。また、加熱時間は20〜40秒程度が好ましい。
発泡樹脂層の発泡倍率(発泡剤含有樹脂層からみた倍率)は、特に限定されないが、通常4倍以上、好ましくは4〜8倍程度である。発泡倍率が低すぎると優れた外観意匠を付与し難い。また、発泡倍率が高すぎると発泡樹脂層が機械的に弱くなり、耐スクラッチ性が低下しやすい。
発泡壁紙の具体例
本発明の発泡壁紙の層構成については、紙質基材上に発泡樹脂層が積層された構成である限り特に限定されるものではないが、本発明の発泡壁紙は、紙質基材上に、前記発泡樹脂層および非発泡樹脂層Aが順に形成されたものが好ましい。前記紙質基材と前記発泡樹脂層との間には、さらに非発泡樹脂層Bが形成されていてもよい。
以下、紙質基材上に、非発泡樹脂層B、前記発泡樹脂層および非発泡樹脂層Aが順に形成された発泡壁紙を代表例として、本発明の発泡壁紙について具体的に説明する。
<非発泡樹脂層A>
非発泡樹脂層Aを構成する樹脂は、特に限定されず、目的とする発泡壁紙の性能等に応じて適宜設定すればよい。特に、本発明においては、非発泡樹脂層Aが、EMAAを含有することが好ましい。EMAAの含有量は70〜100重量%が好ましい。
非発泡樹脂層Aの厚みは限定的ではないが、5〜30μm程度が好ましく、10〜20μm程度がより好ましい。
<非発泡樹脂層B>
非発泡樹脂層Bを形成することにより、発泡剤含有樹脂層と紙質基材との密着性が向上する。
前記非発泡樹脂層Bを構成する樹脂成分は、特に限定されず、紙質基材の種類等に応じて適宜選択すればよい。特に、前記非発泡樹脂層Bは、当該樹脂層に水素結合が含まれないようなモノマーの組み合わせから得られる樹脂を用いることが好ましい。従って、例えばエチレンとOH基またはCOOH基を有しないモノマーとの組み合わせから得られるエチレン共重合体樹脂を好適に用いることができる。かかる見地より、前記エチレン共重合体樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)樹脂、エチレンメチルアクリレート共重合体(EMA)樹脂等を用いることができる。この中でも特に、EVAが好ましい。
紙質基材との貼り合わせ易さの観点から、非発泡樹脂層Bのメルトフローレート値(以下、「MFR」と略記する)は、発泡剤含有樹脂層のMFRより大きいほうが好ましい。なお、前記MFRは、JISK 7210(熱可塑性プラスチックの流れ試験方法)記載の試験方法により測定することができる。試験条件は、JISK 6760記載の「190℃、21.18N(2.16kgf)」採用したものである。
非発泡樹脂層Bの厚みは限定的ではないが、5〜20μm程度が好ましく、10〜15μm程度がより好ましい。
<各層の積層>
上記各樹脂層の形成方法については、特に限定されず、例えば、Tダイ押出し機による多層同時押出しが挙げられる。例えば、複数種の溶融樹脂を同時に押出すことにより複数層の同時成膜が可能なマルチマニホールドタイプのTダイが好適に使用できる。
具体的には、発泡剤含有樹脂層および非発泡樹脂層Aを溶融押し出しすることにより積層体を形成する場合は、非発泡樹脂層Aを形成するための組成物、および発泡剤含有樹脂層を形成するための組成物を各々別個のシリンダー中に入れて、2種2層を同時に押出し成膜・積層すればよい。
さらに非発泡樹脂層Bを形成する場合は、非発泡樹脂層Aを形成するための組成物、発泡剤含有樹脂層を形成するための組成物、および非発泡樹脂層Bを形成するための組成物を各々別個のシリンダー中に入れて、3種3層を同時に押出し成膜・積層すればよい。
同時押出し時の溶融樹脂温度は、特に限定されず、用いる樹脂、発泡剤等に応じて適宜設定すればよい。
本発明の発泡壁紙を製造する際、発泡剤含有樹脂層を加熱する前に、非発泡樹脂層Aおよび/または発泡剤含有樹脂層に電子線を照射する工程をさらに有することが好ましい。これにより、非発泡樹脂層Aおよび/または発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂を架橋できるため、発泡壁紙の表面強度、発泡程度等を制御することができる。電子線のエネルギーは、150〜250kV程度が好ましい。照射量は、1〜7Mrad程度が好ましい。電子線源としては、公知の電子線照射装置が使用できる。なお、架橋は、化学架橋剤(架橋剤または架橋助剤ともいう。)を用いて実施することもできる。
さらに、非発泡樹脂層Aの表面にコロナ放電処理を施しても良い。コロナ放電処理は、公知の方法に従って実施することができる。
本発明の発泡壁紙は、前記非発泡樹脂層A上に、さらに絵柄模様層および表面保護層が順に形成されていてもよい。絵柄模様層および表面保護層について以下に説明する。
<絵柄模様層>
前記絵柄模様層は、通常、前記発泡剤含有樹脂層の加熱処理前に非発泡樹脂層Aの表面に形成される。
絵柄模様層は、例えば、非発泡樹脂層Aの表面に絵柄模様を印刷することで形成できる。印刷手法としては、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。印刷インキとしては、着色剤、ビヒクル、溶剤を含む公知の印刷インキが使用できる。
絵柄模様層の厚みは限定的ではないが、0.1〜15μm程度が好ましい。
<表面保護層>
前記表面保護層(オーバーコート層)をさらに設けることにより、艶調整および/または前記絵柄模様層の保護が可能になる。艶調整のためには、シリカなどの既知フィラーを含有する表面保護層の形成が望ましい。表面保護層が密着し難い場合には、必要に応じて、プライマー層を介してもよい。
前記表面保護層としては、水性エマルション組成物または電離放射線硬化型樹脂を用いて形成した層が望ましい。
水性エマルション組成物としては、具体的には、樹脂成分を水系溶媒に分散させたエマルション(水性エマルション樹脂)に着色剤を含有させたものを使用することができる。
樹脂成分としては、例えば、公知の水系塗工剤、水性塗料等に使用されている樹脂を使用できる。そのような樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上で使用することができる。これらの中でも、耐熱性、耐水性、耐候性等の点において、アクリルウレタン系樹脂を用いることが好ましい。
表面保護層として、樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂を含有するものも好適である。電離放射線硬化型樹脂を用いて形成した表面保護層を電子線照射によって硬化させることにより、発泡壁紙の耐スクラッチ性などの表面特性を向上させ易い。電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂を使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。
具体的には、前記プレポリマー又はモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。表面保護層の厚みは絵柄模様の種類より異なるが、0.1〜15μm程度が好ましい。電子線のエネルギーは、150〜250kV程度が好ましい。照射量は、1〜7Mrad程度が好ましい。電子線源としては、公知の電子線照射装置が使用できる。
表面保護層の厚みは限定的ではないが、それぞれ0.1〜15μm程度が好ましい。
<エンボス模様>
発泡壁紙のおもて面には、必要に応じてエンボス模様を付してもよい。エンボス模様は、例えば、公知のエンボス版により付与できる。例えば、発泡樹脂層のおもて面を加熱軟化後、エンボス版を押圧することにより所望のエンボス模様を賦型できる。エンボス模様としては、木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
本発明は、特に、下記(1)〜(5)の点で有利である。
(1)発泡剤含有樹脂層が発泡助剤として亜鉛化合物を含まないため、発泡剤含有樹脂層が樹脂成分としてカルボキシル基を有する樹脂を含む場合であっても、発泡樹脂層の変色(黄変)を防止又は抑制できる。
(2)ジンクピリチオンを発泡樹脂層に含有させることにより、防カビ性に優れた発泡壁紙が得られる。
(3)ジンクピリチオンは、熱によって黄色化または黄褐色化しない。
(4)前記ジンクピリチオンは、発泡助剤の作用(発泡剤の分解温度を低下させる作用)を促進させることができる。
(5)前記(1)(3)(4)の結果、意匠性および発泡性に優れた発泡壁紙を作製できる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
発泡剤含有樹脂層を形成するために、下記表1に記載の成分を含む組成物を用意した。
Figure 0004962458
上記樹脂組成物中のEMAA樹脂を溶融させ、該組成物を混練した後、得られた混練物を用いて、厚み110μmの紙質基材(坪量70g)上に、厚み100μmの発泡剤含有樹脂層を形成させた。その際、プレス成型機を使用した。
前記積層体の発泡剤含有樹脂層表面に電子線(200kV、5Mrad)を照射して、発泡剤含有樹脂層に含まれるEMAA樹脂を架橋させた。
架橋後の積層体をギアオーブン中、220℃で45秒間加熱した。これにより、発泡剤が分解し、発泡剤含有樹脂層を発泡樹脂層とした。
さらに、発泡体のおもて側にエンボス加工を施して、布目模様パターンを賦型した。
以上の過程を経て、発泡壁紙を作製した。
実施例2
防カビ剤として、ジンクピリチオン(製品名「サンアイゾール200」三愛石油製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、発泡壁紙を作製した。
実施例3
発泡剤含有樹脂層を形成するために、前記表1に記載の成分を含む樹脂組成物を用意した。
非発泡樹脂層Aを形成するために、EMAA樹脂(製品名「ニュクレルN1560」MFR:60g/10分、メタクリル酸含有量:10重量%、三井デュポンポリケミカル製)を用意した。
非発泡樹脂層Bを形成するために、EVA樹脂(製品名「ウルトラセン750」MFR:30g/10分、VA含有量:32重量%、東ソー製)を用意した。
3種3層マルチマニホールドTダイ押出し機を用い、i)非発泡樹脂層A/ii)発泡剤含有樹脂層/iii)非発泡樹脂層Bの順に厚み10μm/100μm/10μmになるように製膜した。押し出し条件は、前記i)層の樹脂はシリンダー温度140℃とし、前記ii)層の樹脂組成物はシリンダー温度100℃とし、前記iii)層の樹脂はシリンダー温度100℃とした。ダイス温度は全て120℃とした。
次いで、前記iii)層の面に、表面温度を90℃とした厚み110μmの紙質基材(坪量70g)を熱ラミネートにより積層した
得られた積層体の非発泡樹脂層Aの上から電子線照射(エネルギー:200kV、照射量:5Mrad)することにより、EMAA樹脂を架橋させた。
次いで、非発泡樹脂層A上にコロナ処理を施した後に,更にグラビア印刷機によりプライマー処理としてウレタン系水性エマルション「ALプライマー、大日精化工業製」を2g/mコートし、その上に絵柄印刷として水性アクリルインキ「ハイドリック、大日精化工業製」を用いて布目模様を印刷した。さらに、アクリル系水性エマルション(大日精化製)を2g/mコートすることにより表面保護層を形成した。
その後、ギアオーブン中、220℃で45秒間加熱した。これにより、発泡剤(ADCA及びOBSH)が分解し、発泡剤含有樹脂層を発泡樹脂層とした。
さらに、発泡体のおもて側にエンボス加工を施して、布目模様パターンを賦型した。
比較例1
防カビ剤として、ジンクピリチオンの代わりに、ベンズイミダゾール系化合物(製品名「サンアイゾール100」三愛石油製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、発泡壁紙を作製した。
比較例2
防カビ剤を使用しない以外は、実施例1と同様の方法により、発泡壁紙を作製した。
試験例1(発泡性の確認)
実施例1〜3および比較例1〜2で作製した発泡壁紙の発泡状態を肉眼観察により確認した。
十分に発泡しているものを○、発泡が不十分なものを×と評価した。
結果を表2に示す。
試験例2(変色の確認)
実施例1〜3および比較例1〜2で作製した発泡壁紙が変色しているか否かを肉眼観察により確認した。
変色していないものを○、黄色化または黄褐色化が見られるものを×と評価した。
結果を表2に示す。
試験例3(カビ抵抗性試験)
実施例1で作製した発泡壁紙をそれぞれ40mm×40mmに切り取り、試験片を作製した。
「JIS Z 2911 A法」に従って、前記試験片に対しカビ抵抗性試験を行った。具体的には、前記試験片を下記無機塩培地上に置き、下記5種類の混合胞子懸濁液を試験片に添加し、28±4℃で4週間培養した後、試験片上での菌糸の発育状態を肉眼および顕微鏡で観察した。
実施例2〜3および比較例1〜2で作製した発泡壁紙についても同様の試験を行った。
[無機塩培地]
NaNO32.0g,KH2PO4 0.7g,K2HPO4 0.3g,MgSO4・7H2O 0.5g,KCl 0.5g,FeSO4・7H2O 0.01g, グルコース 30g,寒天 20g,蒸留水 1000ml
[5種類の混合胞子懸濁液]
Aspergillus niger,Penicillium funiculosum,Paecilomyces variotii, Gliocladium virens,Chaetomium globusum
肉眼および顕微鏡で菌糸の発育を確認できないものを0、肉眼では菌糸の発育を確認できないが、顕微鏡では確認できるものを1、菌糸の発育を肉眼で確認でき、且つ、菌糸の発育部分の面積が試験片全体の25%を超えないものを2、菌糸の発育を肉眼で確認でき、且つ、菌糸の発育部分の面積が試験片全体の25%を超えるものを3と評価した。
結果を表2に示す。
Figure 0004962458

Claims (6)

  1. 防カビ性を有する発泡壁紙であって、
    前記発泡壁紙は、紙質基材上に、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成された発泡樹脂層を有し、
    1)前記発泡剤含有樹脂層は、樹脂成分としてカルボキシル基を有する樹脂を含み、
    2)前記発泡剤含有樹脂層は、さらに、ジンクピリチオンを含み、
    3)前記発泡剤含有樹脂層は、発泡助剤として亜鉛化合物を含まない、
    発泡壁紙。
  2. 前記カルボキシル基を有する樹脂が、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂である請求項1に記載の発泡壁紙。
  3. 前記発泡剤含有樹脂層中における前記ジンクピリチオンの含有量が、発泡剤含有樹脂層中の樹脂成分100重量部に対し、0.05〜10重量部である請求項1又は2に記載の発泡壁紙。
  4. 前記紙質基材上に、前記発泡樹脂層および非発泡樹脂層Aが順に形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の発泡壁紙。
  5. 前記紙質基材と前記発泡樹脂層との間に、さらに非発泡樹脂層Bが形成されている、請求項4に記載の発泡壁紙。
  6. 前記非発泡樹脂層A上に、さらに絵柄模様層および表面保護層が順に形成されている、請求項4または5に記載の発泡壁紙。
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