JP4872856B2 - 発泡化粧シート - Google Patents

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Description

本発明は、壁面等の装飾に有用な、発泡化粧シートに関する。
従来、発泡化粧シートとしては、紙等の基材(裏打紙)に塩化ビニル樹脂の発泡樹脂層を形成したものが知られている。近年では、環境に配慮して、発泡樹脂層にはエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂などの、ハロゲンを含有しない樹脂が用いられてきている(特許文献1〜3等)。
発泡樹脂層は、例えば、熱分解型発泡剤を含有する発泡剤含有樹脂層を加熱により発泡させることにより形成される。そして、発泡剤含有樹脂層は、例えば、押出し法によれば、熱分解型発泡剤を含有する樹脂組成物を溶融押出しにより製膜することにより形成される。
上記非塩ビ系樹脂(特にエチレン共重合体樹脂)と熱分解型発泡剤とを用いる場合には、発泡剤含有樹脂層を加熱により発泡させる際に発泡樹脂層が黄変するという問題がある。また、発泡樹脂層に光が当たることによって経時的に更なる変色が生じ易いという問題もある。このような問題は、特に熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド(ADCA)系発泡剤を用いる場合に顕著である。
従って、特にエチレン共重合体と熱分解型発泡剤とを含有する樹脂組成物を押出し製膜することによって発泡剤含有樹脂層を形成し、更に発泡剤含有樹脂層を発泡させて発泡樹脂層を形成することにより得られる発泡化粧シートであって、発泡時の黄変と発泡樹脂層の経時変色が抑制されている発泡化粧シートの開発が望まれている。
特開平6−47875号公報 特開2000−255011号公報 特開2001−347611号公報
本発明は、特にエチレン共重合体と熱分解型発泡剤とを含有する樹脂組成物を押出し製膜することによって発泡剤含有樹脂層を形成し、更に発泡剤含有樹脂層を発泡させて発泡樹脂層を形成することにより得られる発泡化粧シートであって、発泡時の黄変と発泡樹脂層の経時変色が抑制されている発泡化粧シートを提供することを主な目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、熱分解型発泡剤と特定成分とを併用する場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の発泡化粧シートに関する。
1.基材上に少なくとも発泡樹脂層を有する発泡化粧シートであって、
(1)前記発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成され、
(2)前記発泡剤含有樹脂層は、熱分解型発泡剤と過塩素酸塩類とエチレン系共重合体樹脂とを含有する樹脂組成物を押出し製膜することにより成形される、
ことを特徴とする発泡化粧シート。
2.前記熱分解型発泡剤は、アゾジカルボンアミド系である、上記項1に記載の発泡化粧シート。
3.前記過塩素酸塩類は、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸バリウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウム及び過塩素酸ポリオキシアルキレントリアルキルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種である、上記項1又は2に記載の発泡化粧シート。
4.前記樹脂組成物は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種並びに亜鉛化合物を更に含有する、上記項1〜3のいずれかに記載の発泡化粧シート。
5.前記発泡樹脂層のおもて面に更に非発泡樹脂層Aが形成されている、上記項1〜4のいずれかに記載の発泡化粧シート。
6.前記基材と前記発泡樹脂層との間に更に非発泡樹脂層Bが形成されている、上記項1〜5のいずれかに記載の発泡化粧シート。
7.前記非発泡樹脂層Aは、メタクリル酸含有量が15重量%以下のエチレン−メタクリル酸共重合体を樹脂成分として含有する、上記項5又は6に記載の発泡化粧シート。
8.最表面層の上からエンボス加工が施されている、上記項1〜7のいずれかに記載の発泡化粧シート。

以下、本発明の発泡化粧シートについて詳細に説明する。
本発明の発泡化粧シートは、基材上に少なくとも発泡樹脂層を有する発泡化粧シートであって、
(1)前記発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成され、
(2)前記発泡剤含有樹脂層は、熱分解型発泡剤と過塩素酸塩類とエチレン共重合体樹脂とを含有する樹脂組成物を押出し製膜することにより成形される、
ことを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の発泡化粧シートは、特に熱分解型発泡剤と過塩素酸塩類とを併用することにより、発泡剤含有樹脂層を加熱発泡させる際に黄変が抑制されている。また、発泡樹脂層の経時的な変色も抑制されている。
以下、各要件に分けて説明する。
基材
基材は、化粧シート基材として適した機械強度、耐熱性等を有する限り特に限定されず、例えば、樹脂シート、繊維質シート(紙等)などが一般に使用できる。
上記の中でも紙等の繊維質シートが好ましく、具体的には、難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの);水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙;上質紙;薄用紙などが挙げられる。
基材の坪量は限定的ではないが、50〜300g/m程度が好ましく、50〜80g/m程度がより好ましい。
非発泡樹脂層B
本発明では、必要に応じて基材と発泡樹脂層との間に非発泡樹脂層(非発泡樹脂層B)が形成されていてもよい。特に、非発泡樹脂層Bが接着剤層として形成される場合は、優れた密着性を得ることができる。非発泡樹脂層Bとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等を好適に用いることができる。
非発泡樹脂層Bは樹脂成分以外に公知の添加剤を含んでもよいが、樹脂成分の含有量が70〜100重量%となるように配合することが好ましい。
非発泡樹脂層Bの厚みは限定的ではないが、10〜50μm程度が好ましく、特に10〜20μm程度がより好ましい。
発泡樹脂層
発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成される。特に本発明では、発泡剤含有樹脂層は、熱分解型発泡剤と過塩素酸塩類とエチレン系共重合体樹脂とを含有する樹脂組成物を押出し製膜することにより形成される。
樹脂組成物に含まれる樹脂成分としては、エチレン系共重合体樹脂を含むものを用いる。エチレン系共重合体樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン−メチルメタクリレート(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート(EEA)、エチレン−メチルアクリレート(EMA)等を用いることができる。特に、樹脂成分としてEVA樹脂を含む樹脂組成物により形成されていることが望ましい。
樹脂成分としてEVA樹脂を用いる場合、EVA樹脂の酢酸ビニル含有量(共重合比率)は限定的ではないが、特に5〜30重量%程度であることが好ましく、10〜20重量%程度がより好ましい。また、EVA樹脂の融点は限定的ではないが、特に60〜100℃程度であることが好ましく、65〜80℃程度であることがより好ましい。本明細書における融点は、JIS K 7121に準拠した測定値である。
樹脂成分のメルトフローレート値(MFR)は特に限定されないが、5〜75g/10分程度が好ましく、15〜70g/10分程度がより好ましい。
なお、本明細書のMFRは、JIS K 7210(熱可塑性プラスチックの流れ試験方法)記載の試験方法により測定した値である。試験条件は、JIS K 6760記載の「190℃、21.18N(2.16kgf)」を採用したものである。
熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)系発泡剤、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)系発泡剤等が使用できる。この中でも、ADCA系発泡剤は熱分解温度が高いため、製膜性が高く、押出し製膜時に異常発泡するおそれが少ない観点で好ましい。熱分解型発泡剤の含有量は発泡剤の種類、発泡倍率等に応じて適宜設定できる。発泡倍率の観点からは、1.5倍以上、好ましくは3〜7倍程度であり、熱分解型発泡剤は、樹脂成分100重量部に対して、0.01〜20重量部程度が好ましく、0.1〜10重量部程度がより好ましい。
過塩素酸塩類としては、例えば、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸バリウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸ポリオキシアルキレントリアルキルアンモニウム等が挙げられる。このような過塩素酸塩類を併用することによって、発泡剤含有樹脂層を発泡させる際の黄変や発泡樹脂層の経時的な変色を防止することができる。これらの過塩素酸塩類は常温では粉末であり、そのままでは樹脂成分との混練性が悪いため、予めアルコールや水に溶解して添加することが好ましい。上記アルコールとしては、例えば、イソプロピルアルコール、メチルグリコール、メチルジグリコール、メチルトリグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、エチレングリコール等が挙げられるが、VOC低減の観点からは、アルコールではなく水を用いることが好ましい。過塩素酸塩類の含有量は限定的ではないが、樹脂成分100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましく、0.01〜1重量部がより好ましく、更に0.1〜0.4重量部が最も好ましい。
樹脂組成物には、各種添加剤を加えてもよい。例えば、無機充填剤、顔料及び発泡安定剤、酸化防止剤、亜鉛化合物、架橋剤、表面処理剤、蛍光増白剤、防カビ剤、滑剤等を添加剤として用いることができる。
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物等が挙げられる。無機充填剤を含むことにより、目透き抑制効果、表面特性向上効果等が得られる。無機充填剤の含有量は、樹脂成分100重量部に対して0〜100重量部程度が好ましく、20〜70重量部程度がより好ましい。
顔料については、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、黄鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロム、コバルトグリーン、アルミニウム粉、ブロンズ粉、雲母チタン、硫化亜鉛等の無機顔料;例えば、アニリンブラック、ペリレンブラック、アゾ系(アゾレーキ、不溶性アゾ、縮合アゾ)、多環式(イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、ジブロムアンザントロン、ジオキサジン、チオインジゴ、フタロシアニン、インダントロン、ハロゲン化フタロシアニン)等の有機顔料が挙げられる。顔料の含有量は、樹脂成分100重量部に対して10〜50重量部程度が好ましく、15〜30重量部程度がより好ましい。
発泡安定剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムの少なくとも1種が好ましい。
また、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸や界面活性剤を使用することもできる。これらの含有量は、樹脂成分100重量部に対して、0.3〜10重量部程度が好ましく、1〜5重量部程度がより好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤である2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート〕メタン、リン系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
亜鉛化合物としては、例えば、亜鉛の酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩基性炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、亜燐酸塩、カルボン酸塩等が挙げられる。かかる亜鉛化合物は、発泡速度向上の観点から添加することが好ましい。上記カルボン酸塩としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、ネオデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ベヘニン酸等の脂肪族酸や、安息香酸、p−第三ブチル安息香酸、トルイル酸、サリチル酸、ナフテン酸等の芳香族酸が挙げられる。これらのカルボン酸を用いた亜鉛のカルボン酸塩は正塩、酸性塩、塩基性塩のいずれの形態であってもよい。亜鉛のカルボン酸塩を構成するカルボン酸としては上記のものが使用できるが、VOCを低減する観点からは、炭素数12以上の脂肪酸を用いた常温で粉体であるもの、例えば、ステアリン酸亜鉛やラウリン酸亜鉛が好ましい。他のカルボン酸を用いた場合には、液状であったり、ハンドリング性を良くするために有機溶媒に溶かす作業が必要であったりする場合がある。
亜鉛化合物の含有量は樹脂組成分100重量部に対して、0.001〜20重量部程度が好ましく、0.001〜10重量部程度がより好ましい。発泡層の厚みは限定的ではないが、非発泡状態(発泡前)で70〜150μmが好ましい。発泡後は300〜900μmが好ましい。
発泡剤含有樹脂層を発泡させる方法としては、後記の製造方法に記載された方法に従って実施すれば良い。
非発泡樹脂層A
発泡樹脂層のおもて面には、更に非発泡樹脂層Aを形成してもよい。
非発泡樹脂層(非発泡樹脂層A)は、主として発泡樹脂層を保護するものである。本発明では、アクリル酸(CH=CHCOOH)及びメタクリル酸(CH=C(CH)COOH)の少なくとも1種をモノマーとして得られる重合体を樹脂成分として含む樹脂組成物により形成された層を非発泡樹脂層とすることが好ましい。
前記樹脂成分としては、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種のモノマーとエチレンとの組み合わせにより得られる共重合体を樹脂成分として好適に用いることができる。より具体的には、EMAA、エチレン−アクリル酸共重合体及びアイオノマー樹脂の少なくとも1種を用いることが望ましい。アイオノマー樹脂としては、EMAA及び/又はエチレン−アクリル酸共重合体の分子間をナトリウム、亜鉛等の金属のイオンで分子間結合した構造を有する樹脂が使用できる。このような樹脂成分を用いる場合には、特に樹脂中の水素結合等に起因する強固な層を形成することができるので、優れた耐スクラッチ性、耐摩耗性等を得ることができる。これらは、公知又は市販のものを使用することができる。
前記共重合体におけるアクリル酸又はメタクリル酸の含有量は限定的ではないが、15重量%以下が好ましく、4〜15重量%程度がより好ましい。このような樹脂も市販品を使用することができる。前記樹脂組成物には、公知の添加剤を配合することもできる。
非発泡樹脂層の厚みは限定的ではないが、10〜50μm程度が好ましく、特に10〜20μm程度がより好ましい。
前記樹脂成分のメルトフローレート値は、用いる樹脂成分の種類等によるが、一般に10g/10分以上の範囲内で適宜設定すれば良い。通常は10〜100g/10分、特に10〜95g/10分、さらに20〜80g/10分の範囲にあることが好ましい。このような数値範囲のものを使用することにより、より優れた耐スクラッチ性、耐摩耗性等を得ることができる。
また、樹脂組成物中の前記樹脂成分の含有量は限定的ではないが、通常70〜100重量%の範囲内で適宜設定することが好ましい。
絵柄模様層
本発明では、非発泡樹脂層Aのおもて面に必要に応じて絵柄模様層を有してもよい。
絵柄模様層は、発泡化粧シートに意匠性を付与する。絵柄模様としては、例えば木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。絵柄模様は、発泡化粧シートの種類に応じて選択できる。
絵柄模様層は、例えば、非発泡樹脂層Aのおもて面に絵柄模様を印刷することで形成できる。なお、絵柄模様層を形成する際には、必要に応じてあらかじめプライマー層を形成しても良い。印刷手法としては、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。印刷インキとしては、着色剤、結着材樹脂、溶剤(又は分散媒)を含む印刷インキが使用できる。これらのインキは公知又は市販のものを使用しても良い。
着色剤としては、例えば、前記の発泡剤含有樹脂層で使用されるような顔料を適宜使用することができる。
結着材樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水などが挙げられる。
絵柄模様層の厚みは、絵柄模様の種類より異なるが、一般には0.1〜10μm程度とすることが好ましい。
表面保護層(オーバーコート層)
本発明では、絵柄模様層の表面に艶調整及び/又は絵柄模様層の保護を意図して表面保護層を有してもよい。表面保護層の種類は限定的ではない。艶調整を目的とする表面保護層であれば、例えば、シリカなどの既知フィラーを含む表面保護層がある。表面保護層の形成方法としては、グラビア印刷などの公知の方法が採用できる。なお、絵柄模様層と表面保護層との密着性が十分に得られない場合には、絵柄模様層の表面を易接着処理(プライマー処理)した後に表面保護層を設けることもできる。
発泡化粧シートの表面強度(耐スクラッチ性など)、耐汚染性、絵柄模様層の保護等を目的として表面保護層を形成する場合には、電離放射線硬化型樹脂を樹脂成分として含有するものが好適である。電離放射線硬化型樹脂としては、電子線照射によってラジカル重合(硬化)するものが好ましい。
表面保護層の厚みは限定的ではないが、0.1〜15μm程度が好ましい。
エンボス
本発明では、適宜エンボス模様を付してもよい。この場合、発泡化粧シートの最表面層(基材と反対側)の上からエンボス加工すれば良い。エンボス加工は、エンボス版の押圧等、公知の手段により実施することができる。例えば、最表面層が表面保護層である場合は、そのおもて面を加熱軟化後、エンボス版を押圧することにより所望のエンボス模様を賦型できる。エンボス模様としては、例えば木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
<発泡化粧シートの製造方法>
発泡化粧シートの製造方法は特に限定されない。例えば、紙等の基材上に発泡樹脂層と非発泡樹脂層Aとを有する発泡化粧シートを製造するには、Tダイ押出し機による同時押出しが好適である。2つの層に対応する溶融樹脂を同時に押出すことにより2層の同時成膜が可能なマルチマニホールドタイプのTダイを用いることができる。この場合、発泡剤含有樹脂層を形成するための樹脂組成物及び非発泡樹脂層を形成するための樹脂組成物をそれぞれ別個のシリンダー中に入れ、2種2層を同時に押出し成膜・積層すればよい。この方法では、同時押出し積層体は、基材上に同時積層(成膜)する。基材上に押出しと同時に積層された樹脂層は、熱溶融により接着性を有するため基材と接着される。
なお、予め2種2層を同時成膜した積層体を用意して、それを基材上に載せて、熱ラミネートすることにより基材と接着してもよい。
なお、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物に無機充填剤が含まれる場合には、押出し成形機の押出し口(いわゆるダイス)に無機充填剤の残渣(いわゆる目やに)が発生し易く、これがシート表面の異物となり易い。そのため、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物に無機充填剤が含まれる場合には、上記非発泡樹脂層A及び非発泡樹脂層Bを、発泡剤含有樹脂層とともに同時押出し成形することが好ましい。同時押出し成形は、例えば、マルチマニホールドタイプのTダイを用いることにより行える。このように発泡剤含有樹脂層を非発泡樹脂層によって挟み込んだ態様で同時押出し成形することにより、前記目やにの発生を抑制することができる。
基材上に同時積層後は、発泡剤含有樹脂層を加熱することにより発泡樹脂層を形成する。加熱条件は、熱分解型発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される条件ならば限定されない。加熱温度は210〜240℃程度が好ましく、加熱時間は20〜80秒程度が好ましい。
前記加熱処理の前に、電子線照射を行ってもよい。これにより樹脂成分を架橋できるため、発泡化粧シートの表面強度、発泡程度等を制御することができる。電子線のエネルギーは、150〜250kV程度が好ましい。照射量は、1〜7Mrad程度が好ましい。電子線源としては、公知の電子線照射装置が使用できる。なお、架橋は、化学架橋剤(架橋剤又は架橋助剤ともいう)を用いて実施することもできる。
電子線照射を行う場合には、前記組成物中に架橋剤を含有してもよい。架橋剤としては、電子線照射による架橋を促進するものであればよい。例えば、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の多官能性モノマー、オリゴマーなどが挙げられる。架橋剤は、樹脂成分100重量部に対して0〜10重量部程度とすることが好ましく、特に1〜4重量部とすることがより好ましい。
電離放射線硬化型樹脂を含有する表面保護層を形成した場合には、電子線照射によって表面保護層を硬化させることができる。このような電子線照射は、発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂を架橋させるために行う電子線照射と同時(同処理)とできる。つまり、発泡剤含有樹脂層、非発泡樹脂層、絵柄模様層及び電離放射線硬化型樹脂を含有する表面保護層を順に形成後、電子線照射を行って、発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂を架橋するとともに表面保護層に含まれる樹脂を硬化させることができる。
絵柄模様層を有する発泡化粧シートを製造する場合には、上記加熱処理前に非発泡樹脂層の表面に絵柄模様層を形成することが好ましい。絵柄模様層の形成方法は、前記の通りとすれば良い。
本発明の発泡化粧シートは、特に熱分解型発泡剤と過塩素酸塩類とを用いることにより、発泡剤含有樹脂層を加熱発泡させる際に黄変が抑制されている。また、発泡樹脂層の経時的な変色も抑制されている。
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1及び比較例1〜2
3種3層マルチマニホールドTダイ押出し機を用いて、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bの順に厚み10μm/100μm/10μmになるように基材(裏打紙)に押出し製膜した。これにより、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層B/基材からなる積層体を得た。
基材としては、裏打紙「NI−65A(日本製紙製)」を用意し、これを90℃に加熱した後、上記3層を押出し製膜した。
押出し条件は、非発泡樹脂層Aを形成するための樹脂を収容したシリンダー温度は140℃とし、発泡剤含有樹脂層を形成するための樹脂組成物を収容したシリンダー温度は120℃とし、非発泡樹脂層Bを形成するための樹脂を収容したシリンダー温度は100℃とした。また、ダイス温度はいずれも120℃とした。
上記積層体に対して、非発泡樹脂層Aの側から電子線(200kV,3Mrad)を照射して特に発泡剤含有樹脂層を樹脂架橋した。また、非発泡樹脂層A上にコロナ放電処理を行った。
次に、非発泡樹脂層A上にEVA系水性エマルジョンを塗布(2g/m)してプライマー層を形成し、更に水性インキ「ハイドリック」(大日精化工業製)により布目絵柄を印刷した。
次に、布目絵柄を印刷した積層体をギアオーブンで加熱(220℃で25〜45秒)し、発泡剤含有樹脂層を発泡させた。
最後に、上記発泡体に対して布目パターンのエンボスを施して発泡化粧シートを得た。
各層は、それぞれ以下の成分を用いて形成した。
非発泡樹脂層Aは、EMAA「ニュクレルN1560(MMA含有量:15重量%)、三井・デュポン ポリケミカル製」により形成した。
発泡剤含有樹脂層は、EVA「エバフレックスV406(VA含有量:20重量%、MFR=20)、三井・デュポン ポリケミカル製)100重量部、炭酸カルシウム「ホワイトンH、白石工業製」60重量部、酸化チタン「タイピュアR103、デュポン製」20重量部、ADCA発泡剤「ユニフォームウルトラAZ3050I 大塚化学製」4重量部を含有し、他の成分については、下記表1に示した(表1の数値は重量部を示す)。
非発泡樹脂層Bは、EVA「エバフレックスEV150(VA含有量:33重量%、融点:61℃)、三井・デュポン ポリケミカル製」により形成した。
Figure 0004872856
試験例1
実施例及び比較例で作製した発泡化粧シートに関して、1)発泡化粧シートの黄変色、2)発泡化粧シートの耐候変色 3)発泡セル形状を評価した。結果を下記表2に示す。
1)発泡化粧シートの黄変色は次の基準で評価した。即ち、測色装置「色彩色差計CR−300、コニカミノルタ製」により発泡樹脂層を測色した。測色値(b値)が、2.5未満のものを○、2.5〜3.5のものを△、3.5超過のものを×と評価した。
2)耐候変色は次の基準で評価した。先ず、フェードメーター「紫外線フェードメーターU48AU、スガ試験機製」により加速試験(40時間)を行った。次に発泡樹脂層の変色の程度を測色装置「色彩色差計CR−300、コニカミノルタ製」により測定した。変色の程度(△E)が1未満のものを○、1〜1.7のものを△、1.7超過のものを×と評価した。
3)発泡セル形状は次の基準で評価した。即ち、加熱時間(25秒、35秒、45秒)において各発泡断面を目視により観察し、細かく微細なセルのものを○、微細なセルと連泡が混じっているものを△、セルが連泡になっており大きいものを×と評価した。
Figure 0004872856

Claims (8)

  1. 基材上に少なくとも発泡樹脂層を有する発泡化粧シートであって、
    (1)前記発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成され、
    (2)前記発泡剤含有樹脂層は、熱分解型発泡剤と過塩素酸塩類とエチレン系共重合体樹脂とを含有する樹脂組成物を押出し製膜することにより成形される、
    ことを特徴とする発泡化粧シート。
  2. 前記熱分解型発泡剤は、アゾジカルボンアミド系である、請求項1に記載の発泡化粧シート。
  3. 前記過塩素酸塩類は、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸バリウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウム及び過塩素酸ポリオキシアルキレントリアルキルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の発泡化粧シート。
  4. 前記樹脂組成物は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種並びに亜鉛化合物を更に含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の発泡化粧シート。
  5. 前記発泡樹脂層のおもて面に更に非発泡樹脂層Aが形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の発泡化粧シート。
  6. 前記基材と前記発泡樹脂層との間に更に非発泡樹脂層Bが形成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の発泡化粧シート。
  7. 前記非発泡樹脂層Aは、メタクリル酸含有量が15重量%以下のエチレン−メタクリル酸共重合体を樹脂成分として含有する、請求項5又は6に記載の発泡化粧シート。
  8. 最表面層の上からエンボス加工が施されている、請求項1〜7のいずれかに記載の発泡化粧シート。
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