JP4961268B2 - プレキャスト床版の搬送方法及び搬送機構 - Google Patents
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Description
例えば駅ビルなどの駅舎部の軌道をプレキャスト床版に架け替える工事などでは、既設の軌道上部の高さに制限があるためクレーンを使用して直接プレキャスト床版を設置箇所に吊り降ろすことができない場合があった。さらに、駅舎付近にクレーンを配置することができなくプレキャスト床版の吊り降ろし箇所までの距離が遠い場合には、クレーンによる吊り降ろし可能な作業範囲を超えてしまうことから、クレーンを使用した吊り降ろし作業が困難となっていた。このようにクレーンをプレキャスト床版の設置箇所の近傍に配置できない場合などでは、プレキャスト床版を積載した運搬車両が進入できるエリアから、プレキャスト床版の設置箇所までを効率よく搬送させる好適な搬送方法が必要とされていた。
本発明によれば、プレキャスト床版を載せた搬送台車を連絡通路の交点部まで走行させ、さらに搬送台車に設けられた昇降手段を用いて所定の高さ(第二位置)にプレキャスト床版を上昇させ、その第二位置から横移動路に向けて横移動させることができる。したがって、例えばプレキャスト床版を載せた運搬車両が進入できる箇所からプレキャスト床版を設置する箇所までをクレーンを使用することなく搬送でき、プレキャスト床版の搬送の作業効率を向上させることができる。
本発明によれば、プレキャスト床版を第二ガイドレールから第一ガイドレールに案内させて横移動させることができる。また、予めプレキャスト床版に第二ガイドレールが保持された状態となっているため、第二位置における第一及び第二ガイドレール同士の連結作業が簡略化され、作業の効率化が図れる。
本発明によれば、プレキャスト床版の第二位置において、プレキャスト床版と第一ガイドレールとの間に距離がある場合に、第三ガイドレールを介して第一及び第二ガイドレールを連結することができ、長手方向に長い第二ガイドレールを取り付ける必要がなくなるため、部材の取り扱いが容易になる。
本発明によれば、レールの下方の横移動路内に第一ガイドレールを延設して、プレキャスト床版を第一ガイドレールに沿わせて横移動させて搬送させることができるため、例えばレールの架け替え工事で既設のレールを取り外すことなく、レールの直下にプレキャスト床版を据えることができる。
本発明によれば、プレキャスト床版を搬送台車の昇降台に載置させて、連絡通路を走行させ、所定の位置で吊上げ手段を用いて昇降台を上昇させることで、プレキャスト床版を横移動路と略水平となる高さまで搬送することができる。そして、プレキャスト床版を第二ガイドレールから第一ガイドレールに案内させて横移動させることができる。
本発明によれば、吊上げ手段によって吊られた位置より上方の昇降台の高さを調整することで、上昇台に載置されているプレキャスト床版の高さを搬送台車より高い位置に設定することができるうえ、搬送台車の高さを抑えることができる。
本発明によれば、プレキャスト床版の上昇と共に作業足場も上昇するため、この作業足場上で作業ができるため、安全に作業を行うことができる。
図1は本発明の実施の形態によるプレキャスト床版の搬送状態を示す平面図、図2は下部空間におけるプレキャスト床版の横移動時の状態を示す正面図、図3はプレキャスト床版の設置状態を示す図であって、(a)はその平面図、(b)はその側面図、図4は連絡通路に配置される搬送台車の図であって、図1に示すA−A線矢視図、図5は同じく図1に示すB−B線矢視図、図6は搬送台車の平面図、図7は第一ガイドレールと第二ガイドレールとの連結状態を示す一部破断平面図、図8は同じく第一及び第二ガイドレールの連結状態を示す図であって、(a)はその側面図、(b)はその正面図である。
プレキャスト床版20の搬送方法は、ホーム区間Lから外れた既設の軌道1の下方を横断する連絡通路Tを使用し、搬送台車40(後述、図4参照)によって積込エリアSから軌道1の下方の位置(以下、「交差部P」とする)までプレキャスト床版20を搬送する。そして、プレキャスト床版20は、搬送台車40から図2に示す軌道1の枕木12の下方に形成されている下部空間R(横移動路)内に送り込まれ、この下部空間R内を横移動させて所定の位置に配置されることになる。
なお、図1では二車線の軌道1としているが、以下の説明では一車線(図1の下側の車線)を対象に説明する。
図2に示すように、軌道1は、建物の駅舎スラブ16に固定された基礎13、13とH型鋼材からなる基盤桁14、14と、基盤桁14、14に固定された枕木12と、枕木12に敷設されたレール11、11とから構成されている。そして、下部空間Rは、枕木12の下面と駅舎スラブ16との間に軌道敷設方向X(図1参照)に連続して形成されている。
そして、連絡通路Tは、一方の坑口T1(図1の下方)がプレキャスト床版20の運搬車両(図示省略)を進入させることができる積込エリアSに連絡している。
また、交差部Pにおいて連絡通路Tの上方を横切る軌道1は、車線毎に2本の平行した工事桁17、17が軌道敷設方向Xに橋渡しされ、この工事桁17、17の間に枕木12が配列されてレール11が敷設されている(図8(a)参照)。
先ず、連絡通路Tの路盤には、積込エリアSから交差部Pまでの間において、連絡通路Tの延長方向に走行レール41、41が敷設されている(図1参照)。
図4乃至図6に示すように、搬送台車40の概略構成は、連絡通路Tに敷設された走行レール41、41に沿って走行移動する走行架台50と、走行架台50上の平面視略中央に配置されていてプレキャスト床版20を載置させる昇降台60(昇降手段)と、昇降台60を吊って上下方向に昇降させる吊上げ手段70とからなる。
走行架台50は、鋼材などで平面視矩形に枠組みされた架台本体51と、架台本体51の下面に固定されて走行レール41、41に沿って転動する車輪52、52、・・・と、車輪52を駆動させる駆動モータ53とから構成されている。
そして、図5に示すように、昇降台60には、その下端部から走行方向Yの両側に張り出してなる張出部61、61が形成されている。さらに、張出部61、61の上方には、作業足場62が昇降台60の走行方向Y側の側面60a、60aに設けられている。
各巻取り装置72は、チェーンなどの巻取り部材72aを具備し、巻取り部材72aの下端にはフック72bが設けられている(図5参照)。そして、このフック72bは昇降台60の張出部61に係止させ、各巻取り装置72をほぼ同時に操作して昇降台60を上下方向に移動させる(図8(b)参照)。
ここで、昇降台60が走行架台50上に載置されているときの高さを下降位置H1とし、昇降台60を上昇させた位置であってプレキャスト床版20を下部空間R内に横移動させて送り込む高さ(正確には図8で後述するプレキャスト床版20に取り付けた第二ガイドレール80と下部空間R内の第一ガイドレール32とが同一線上となる高さ)を上昇位置H2(本発明の「第二位置」に相当する)とする。
この搬送方法の説明にあたって、先に下部空間Rにおいてプレキャスト床版20を軌道敷設方向Xに横移動させるための横移動手段30の構成について説明しておく。
図2及び図3に示すように、横移動手段30は、プレキャスト床版20の両側面20b,20bに軌道敷設方向Xに所定間隔をもって駅舎スラブ16に立設された柱材31、31、・・・と、これらの柱材31に固定されていて軌道敷設方向Xに延設された第一ガイドレール32、32とからなる。第一ガイドレール32、32は、溝型鋼からなり、設置されるプレキャスト床版20を挟んで両側に設けられ、夫々の溝部32aを互いに対向させて配置されている。
また、プレキャスト床版20には、その側面20b,20b毎に各二個の車輪33が脱着可能に取り付けられている。そして、これらの車輪33を下部空間Rに設置した第一ガイドレール32の溝部32aに嵌め込むことで、プレキャスト床版20は、車輪33が溝部32aを転動して第一ガイドレール32に案内されて図1に示す矢印E方向に横移動する。
なお、本実施の形態ではプレキャスト床版20が上述したように約16tを有し、1個の車輪33には約4tの荷重がかかることになるが、車輪33と第一ガイドレール32との摩擦が小さいことから人力によって手押しすることが可能である。また、電動又は手動の巻取り装置(図示省略)を使用して横移動させてもよい。
このとき、図5、図7、図8(a)及び(b)に示すように、プレキャスト床版20には、その各側面20b、20b(図2参照)に車輪33を着脱可能に取り付けておく。そして、各車輪33には、第二ガイドレール80,80を保持させておく。各第二ガイドレール80は、第一ガイドレール32と断面同形状の溝型鋼からなり、その溝部80aに車輪33が転動可能な状態で嵌めこまれている。このとき、車輪33が転動しないように、車輪33と第二ガイドレール80とを仮に固定しておく。また、第二ガイドレール80には、溝部80aの裏面側に鋼材からなる受け部材81が溶接などの固着手段によって固定されている。そして、図8(b)に示すように、受け部材81は、その一端81aを第二ガイドレール80より上方に突出させた状態にしておく。
ここで、昇降台60が上昇位置H2に配置されているときには、昇降台60に設けられている作業足場62に作業員が乗り、受け部材81や接続レール82の着脱作業や、プレキャスト床版20の横移動にかかわる作業を行なうことができることから、高所作業であっても安全な作業を行なうことができる。
なお、プレキャスト床版20を下部空間Rの所定位置に設置した後の軌道の構造及び施工方法については詳しい説明を省略する。
そして、この架け替え工事は、既設の軌道1を鉄道車両が走行可能な状態で架け替え施工が行えるため、活線施工となる。
例えば、本発明による実施の形態ではプレキャスト床版20を横移動させる横移動手段30として、第一乃至第三ガイドレール32、80、82を設けているがこれに限定されることはない。要は、搬送台車40で上昇位置H2に配置されたプレキャスト床版20を横方向に移動できる手段であればよいのである。
また、第二ガイドレールと車輪33を予めプレキャスト床版20に保持させているが、このほかの方法として、例えば車輪33のみをプレキャスト床版20に取り付けておき、上昇位置H2で第二ガイドレールを車輪33に装着させるようにしてもかまわない。
11 レール
20 プレキャスト床版
30 横移動手段
32 第一ガイドレール
33 車輪
40 搬送台車
41 走行レール
60 昇降台(昇降手段)
62 作業足場
70 吊上げ手段
80 第二ガイドレール
82 接続レール(第三ガイドレール)
H1 下降位置
H2 上昇位置(第二位置)
P 交差部
R 下部空間(横移動路)
S 積込エリア
T 連絡通路
Claims (7)
- 枕木の下面と建物のスラブとの間でレールの軌道敷設方向に向けて連続して下部空間が形成され、該下部空間内にプレキャスト床版を横移動させるための横移動路を設け、該横移動路に接続する連絡通路から前記横移動路に前記プレキャスト床版を搬送させるプレキャスト床版の搬送方法であって、
前記連絡通路において前記プレキャスト床版を載置させた搬送台車を走行させ、
前記横移動路と前記連絡通路との交差部で前記搬送台車に具備した昇降手段によって、前記プレキャスト床版を前記横移動路から外れた第一位置から前記横移動路に進入可能な第二位置に移動させ、
前記第二位置で、前記プレキャスト床版を前記横移動路に向けて横移動させるようにしたことを特徴とするプレキャスト床版の搬送方法。 - 前記横移動路には、前記プレキャスト床版を横移動させるための第一ガイドレールが設けられ、
前記搬送台車に載置させた前記プレキャスト床版に、車輪を取り付けると共に該車輪に対して第二ガイドレールを着脱可能に保持させ、
前記プレキャスト床版が前記第二位置にあるときに、前記第一ガイドレールと前記第二ガイドレールとを連結させ、
前記第二ガイドレールから前記第一ガイドレールに前記プレキャスト床版を前記車輪を介して横移動させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のプレキャスト床版の搬送方法。 - 前記第二ガイドレールは、第三ガイドレールを介して前記第一ガイドレールに連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプレキャスト床版の搬送方法。
- 前記横移動路は、前記軌道敷設方向に対して直交方向に横断する横断方向でレールと枕木を支える基礎桁間の空間であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のプレキャスト床版の搬送方法。
- 枕木の下面と建物のスラブとの間でレールの軌道敷設方向に向けて連続して下部空間が形成され、該下部空間内にプレキャスト床版を横移動させるための第一ガイドレールが設けられた横移動路と、
該横移動路に交差部で接続してなる連絡通路と、
該連絡通路を走行可能に設けた走行架台と、該走行架台の上部に配置され、前記プレキャスト床版を載置させてなる昇降台と、該昇降台を上下方向に昇降させる吊上げ手段とを備えた搬送台車と、
が設けられ、
前記昇降台に載置させた前記プレキャスト床版に、車輪を取り付けると共に該車輪に対して第二ガイドレールを着脱可能に保持させ、前記第一ガイドレールと前記第二ガイドレールとを連結させ、前記第二ガイドレールから前記第一ガイドレールに前記プレキャスト床版を前記車輪を介して横移動させるように構成されていることを特徴とするプレキャスト床版の搬送機構。 - 前記昇降台の下部を前記吊上げ手段によって吊り上げるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のプレキャスト床版の搬送機構。
- 前記昇降台には、作業足場が設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載のプレキャスト床版の搬送機構。
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