JP4960558B2 - 熱可塑性樹脂組成物、及びその成形体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、燃焼、焼却時に完全燃焼して、有害物の発生が抑制される熱可塑性樹脂組成物、及びその成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂は、その優れた成形加工性や機械的・物理的性質から、電気、機械、自動車用の部品や建築、建設材料、或いは各種容器包装分野等の各方面で多量に使用されている。しかしながら、それらの使用量が増大するに従って、使用後の処分が大きな社会問題となってきている。
【0003】
すなわち、廃棄物処理の大部分を占める焼却処分においては、排ガス中の一酸化炭素や窒素酸化物、硫黄酸化物の問題や、燃え残り、残灰の問題に加えて、近年ダイオキシン等の有害物の発生が大きな社会問題となってきており、熱可塑性樹脂製品の廃棄物もそれらの要因の一つであると言われている。
【0004】
このような状況下で、最近、熱可塑性樹脂に特定の酸化鉄粒子を含有させたゴミ袋(特開平7−257594号公報)や買い物袋(特開平7−322910号公報)が提案されている。これらは、特定の酸化鉄粒子の燃焼促進作用を利用したもので、焼却処分時に低温、低酸素濃度下であっても熱可塑性樹脂を完全燃焼させることにより、有害物の発生を抑える効果を有するものである。しかしながら、酸化鉄粒子を含有させた熱可塑性樹脂組成物は、酸化鉄特有の色に着色するため、透明性が要求されたり、特定の色に着色する必要のある包装材料用途には問題を有していた。
【0005】
そこで、本発明者等は先に、無機質担体に白金族元素を0.001〜0.2wt%担持させた微粒子状の燃焼促進剤を、該白金族元素の濃度が0.5〜100ppmになるよう極めて少量、熱可塑性樹脂に含有させることで、燃焼、焼却時に完全燃焼して、有害物の発生が抑制され、しかも、特定の酸化鉄を含有させた場合のような不所望の着色の無い、すなわち無色、又は白色乃至白色がかった淡色を呈する熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し特許出願した(特願2000−284569号)。
【0006】
しかしながら、該無機質担体に白金族元素担持させた微粒子状の燃焼促進剤を含有させた熱可塑性樹脂組成物の成形物は、成形直後は無色、又は白色乃至白色がかった淡色を呈しているが、経時とともに成形物が徐々に変色して黄味を帯びてきて、商品としての価値が著しく低下するという問題点を有することが明らかになった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような状況に鑑みなされたもので、燃焼、焼却時に完全燃焼して、有害物の発生が抑制され、しかも、燃焼促進剤が配合されているにもかかわらず酸化鉄粒子を配合した場合と異なり、無色、又は白色乃至白色がかった淡色を呈し、しかも経時による変色が防止された熱可塑性樹脂組成物及びその成形体を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明者等は鋭意検討した結果、無機質担体に白金族元素を担持させた微粒子状の燃焼促進剤を含有させた熱可塑性樹脂組成物に、融点が30℃以上、200℃未満の有機カルボン酸を配合することによって、上記課題が解決できることを見出し本発明に到った。
【0009】
すなわち、本発明は、次の耐変色性に優れた熱可塑性樹脂組成物、及びその成形体に関するものである。
(1)無機質担体に白金族元素を0.001〜0.2wt%担持させた微粒子状の燃焼促進剤と、融点が30℃以上、200℃未満の有機カルボン酸を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、該組成物中の白金族元素の濃度が0.5〜100ppmであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(2)白金族元素がパラジウム及び/又は白金であることを特徴とする(1)記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3)有機カルボン酸が脂肪族有機カルボン酸であることを特徴とする(1)乃至(2)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4)フェノール系酸化防止剤が添加されていることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5)(1)乃至(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
【0010】
【実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、本発明に用いられる燃焼促進剤は、無機質担体に白金族元素を担持させたものである。白金族元素としてはパラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウムが挙げられるが、容易に入手でき良好な触媒作用を示す点で、特にパラジウム又は白金が好ましい。
【0011】
また、無機質担体としては、α−アルミナ、活性アルミナ等のアルミナや酸化チタン、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、ジルコニア、トリア、ボリア、シリカ−アルミナ等が挙げられる。これらの中でも熱可塑性樹脂中に配合した場合に着色の恐れがなく、しかも容易に入手できるアルミナ、酸化チタン、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム、及び酸化マグネシウムが好ましい。また、粒子径としては平均粒子径50μm以下、好ましくは0.1〜20μm、特に好ましくは0.2〜10μmである。
【0012】
本発明に用いられる燃焼促進剤は上述した無機質担体に白金族元素を担持させて製造するのであるが、担持させる方法としては、白金族元素を従来から行われている通常の方法(含浸法、イオン交換法、濃縮法、沈殿法等)で無機質担体に担持させた後、50から200℃で乾燥し、更に400℃〜800℃で焼成する方法等が制限なく適用できる。また、その際の担持量は、無機質担体に対して0.001〜0.2wt%、好ましくは0.005〜0.15wt%、特に好ましくは0.01〜0.08wt%である。白金族元素の担持量が0.001wt%未満では燃焼促進剤としての効果が期待できず、0.2wt%を超えるとコストアップの原因となるばかりか、得られる燃焼促進剤が着色して本発明の目的の一つが達成できなくなるので好ましくない。更に、無機質担体に白金族元素の燃焼触媒作用を促進するための他の各種触媒成分や助触媒成分を併用して担持させることももちろん可能である。燃焼促進剤の粒子径は、無機質担体の粒子径と通常同一であり、平均粒子径50μm以下、好ましくは0.1〜20μm、特に好ましくは0.2〜10μmである。
【0013】
また、本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては特に制限は無いが、例えばポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が、塩素を含まず各分野で広く使用されており好ましい。
【0014】
熱可塑性樹脂に対する燃焼促進剤の配合割合は、熱可塑性樹脂組成物中の白金族元素の濃度が0.5〜100ppm、好ましくは1〜50ppm、より好ましくは2〜20ppmになるように配合する必要がある。白金族元素の濃度が0.5ppm未満では、燃焼促進効果が期待できず、逆に100ppmを越えると濃度に見合った効果が期待できないばかりか、熱可塑性樹脂組成物が着色するので好ましくない。
【0015】
本発明において、融点が30℃以上、200℃未満の有機カルボン酸を、無機質担体に白金族元素を担持させた微粒子状の燃焼促進剤と併用して配合することによって、経時による変色が効果的に防止される。有機カルボン酸の融点が30℃未満の場合は、得られた熱可塑性樹脂組成物の成形体の表面にブリードして、ベトツキの原因になり好ましくない。一方、融点が200℃を越えると、熱可塑性樹脂中に均一に分散させるために高温での混練が必要になり、熱や酸素による樹脂の劣化が促進され好ましくない。
【0016】
本発明に用いられる融点が30℃以上、200℃未満の有機カルボン酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪族モノカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸等の脂肪族ポリカルボン酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸、及び安息香酸、フタル酸、オキシ安息香酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。これらの内、変色防止効果の点で脂肪族有機カルボン酸が好ましく、特にカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、セバシン酸、クエン酸が変色防止効果が高くて好ましい。
【0017】
融点が30℃以上、200℃未満の有機カルボン酸の配合量としては、熱可塑性樹脂に対して0.001〜2wt%、好ましくは0.005〜1wt%であり、より好ましくは0.01〜0.5wt%である。0.001wt%未満では経時による変色防止効果が期待できず、2wt%を越えると濃度に見合った効果が期待出来ないばかりか、成形体の表面にブリードする場合があり好ましくない。
【0018】
熱可塑性樹脂は成形加工時又は使用時に、熱、及び酸素の作用により劣化し、分子量低下等の現象を伴って、その物性を著しく低下することは良く知られている。そこで、一般に、この熱や酸素による劣化を防止するために、フェノール系酸化防止剤が添加される場合が多い。
【0019】
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等が例示できる。
【0020】
無機質担体に白金族元素を担持させた微粒子状の燃焼促進剤を含有させた熱可塑性樹脂組成物において、フェノール系酸化防止剤が添加された場合には、添加されていない場合に比べ、経時の変色が早く、また変色の度合いも強くなることが認められた。
しかしながら、前述の融点が30℃以上、200℃未満の有機カルボン酸を配合することによって、フェノール系酸化防止剤が添加された場合においても、経時による変色が効果的に防止されることが見出された。
【0021】
本発明の耐変色性に優れた熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては特に制限は無いが、上記配合成分をロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出し機等で混合してもよいし、予め上記配合成分のマスターバッチを公知の方法で作成しておき、熱可塑性樹脂に所定の配合割合になるように配合してもよい。また、上記成分以外に、帯電防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、着色剤等の公知の添加剤を必要に応じて配合しても差し支えない。
このようにして得られた耐変色性に優れた熱可塑性樹脂組成物は、押出し成形法、射出成形法、或いは圧縮成形法等の公知の成形法で成形体とすることができる。
【0022】
【実施例】
次に、実施例によって、本発明を具体的に説明する。
なお、燃焼促進剤としては以下に述べる製造例1、2で得られた燃焼促進剤A、Bを使用した。また、燃焼促進剤の触媒活性は、試料(50mg)をパルス式固定床反応装置に充填し、ヘリウムガス(流量:40ml/min)を流しながら、メタン1.0%、酸素2.4%、残部ヘリウムからなる混合ガス1mlをパルス流として反応装置に導入して、500℃でメタンの接触酸化反応を行い、反応装置から排出されるガス中のメタン濃度をガスクロマトグラフで測定することによりメタン反応率を求めて評価した。
【0023】
[製造例1]
平均粒径1.0μmのα−アルミナを無機質担体として使用し、これにパラジウムを0.05wt%担持させて燃焼促進剤Aを得た。パラジウムの担持は、α−アルミナに硝酸パラジウム水溶液を含浸させ、乾燥後、500℃で焼成することにより行った。この燃焼促進剤は概ね白色であり、触媒活性を測定したところメタン反応率は95.2%であった。
【0024】
[製造例2]
平均粒径3.0μmのα−アルミナを無機質担体として使用し、これに製造例1と同様な方法でパラジウムを2.0wt%担持させて燃焼促進剤Bを得た。この燃焼促進剤は黒褐色に着色しており、触媒活性を測定したところメタン反応率は100%であった。
【0025】
本発明で使用する燃焼促進剤の焼却時におけるダイオキシン発生抑制の効果を確認するために以下の試験を行った。
[参考例1]
低密度ポリエチレン90重量部と、塩化ビニル樹脂10重量部、及び製造例1の燃焼促進剤A4重量部を加熱混練して、パラジウム濃度が19.2ppmである熱可塑性樹脂組成物を得た。
この熱可塑性樹脂組成物(3g)を石英ガラス管中で合成空気を2L/minの流量で供給しつつ700℃で燃焼させた。石英管から排出される燃焼ガスをサンプリング装置で捕集して、JIS K0311に準拠してダイオキシン類の分析を行った。結果を表1に示す。
【0026】
[参考例2]
燃焼促進剤を配合していない以外は参考例1と同様にして得た熱可塑性樹脂組成物を参考例1の場合と同様にして燃焼させ、燃焼ガス中のダイオキシン類の分析を行った。結果を同じく表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1から明らかなように、塩化ビニル樹脂が配合された熱可塑性樹脂組成物を燃焼させた場合、燃焼促進剤を全く配合していない参考例2の熱可塑性樹脂組成物はかなりダイオキシン類が発生することが認められたが、燃焼促進剤Aを配合した参考例1の熱可塑性樹脂組成物は燃焼促進剤Aを配合した効果によってその発生量が大幅に減少した。
【0029】
本実施例における燃焼特性、フィルムの外観(着色の有無)及び変色試験の結果は以下の方法で測定し、評価した。
<燃焼特性>
燃焼促進剤を含有する熱可塑性樹脂組成物の燃焼特性は、石英管中に熱可塑性樹脂組成物10mgを入れ、500℃で、酸素を200ml/minで3分間流して燃焼させ、燃焼ガス中の二酸化炭素、一酸化炭素濃度をガスクロマトグラフによって測定することにより評価した。同時に、燃焼中の煙の発生の有無を目視で観察した。なお、燃焼促進剤を使用していない対照例に比べて一酸化炭素量が減少して二酸化炭素量が増加すれば燃焼促進剤が優れた燃焼促進効果を発揮したことを意味している。
【0030】
<フィルムの外観(着色の有無)>
熱可塑性樹脂組成物を成形して得た厚さ100μmのフィルムを目視で観察すると共に、白色校正板上にのせ、色彩色差計(ミノルタカメラ(株)製)を用いてL*a*b*表色系(JIS Z8729 色の表示方法)における明度(L*)を測定して評価した。なお、明度(L*)は、白色度が増すほど高く、逆に黒色度が高くなるほど、すなわち暗くなるほど低い値を示す指標である。本発明においては、燃焼促進剤を配合しても不所望の着色のない、白色乃至白色がかった淡色になる熱可塑性樹脂成形体を提供することを目的としていることから、成形体の厚み等にもよるがこの明度(L*)が90以上、特に95以上であることが好ましい。
【0031】
<変色試験>
熱可塑性樹脂の変色の度合いを測定するために、当該熱可塑性樹脂組成物を成形して得た厚さ0.5mmのシートを、40℃で70%RHの雰囲気下に1週間放置する変色試験を行い、試験前と1週間放置後のシートのL*a*b*表色系での色差(ΔE*ab)を色彩色差計を用いて測定することにより評価した。
なお、色差(ΔE*ab)は下記式によって求められる値である。
ΔE*ab=[(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)2]1/2
ここで、本願発明において変色の度合いを示す指標として色差(ΔE*ab)を使用したのは、本願発明において起こる変色が主として黄味を帯びるという変色であることから、L*a*b*表色系における明度(L*)ではなく、主として色度(a*、b*)の差として現れることによるものである。なお、色差(ΔE*ab)は、変色の度合が少ないほど低く、逆に変色の度合が増すほど高い値を示す指標であり、色差(ΔE*ab)が6を越えると目視においても容易に変色が判別できることから、色差(ΔE*ab)は6以下が好ましい。
【0032】
実施例1〜10
表2に示す配合の熱可塑性樹脂組成物を調製して、その燃焼特性を測定すると共に、フィルムとした場合の外観(着色の有無)の評価及びシート状の成形体とした場合の変色試験を行った。結果を同じく表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
比較例1〜5
表3に示す配合の熱可塑性樹脂組成物を調製して、その燃焼特性を測定すると共に、フィルムとした場合の外観(着色の有無)の評価及びシート状の成形体とした場合の変色試験を行った。結果を同じく表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
表2、及び表3から明らかなように、本発明の燃焼促進剤を配合した実施例1〜10、比較例3、5にかかる熱可塑性樹脂組成物が優れた燃焼特性を示して完全燃焼したのに対して、燃焼促進剤を配合していない比較例1の熱可塑性樹脂組成物、燃焼促進剤の代わりに無機質担体として使用したα−アルミナのみを配合した比較例2の熱可塑性樹脂組成物は、いずれも燃焼時に煙の発生が確認され、燃焼特性測定の結果からも一部不完全燃焼が起こっていることが確認された。
一方、パラジウム濃度が2000ppmにもなるように燃焼促進剤を配合した比較例4の熱可塑性樹脂組成物は優れた燃焼特性を示して完全燃焼したものの茶褐色に着色しており、また明度(L*)も66.92と低いものであった。
また、比較例3にかかる熱可塑性樹脂組成物は本発明の燃焼促進剤が配合されているため優れた燃焼特性を示したが変色試験の終了時には黄色く変色しており変色の度合いを示す色差(ΔE*ab)は13.51と高かった。更に、比較例3の熱可塑性樹脂組成物に更にフェノール系酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(住友化学工業製 スミライザー BHT))が配合されている比較例5の熱可塑性樹脂組成物は変色試験の終了時には比較例3の場合以上に黄色く変色しており変色の度合いを示す色差(ΔE*ab)は20.75と極めて高かった。
それに対して、融点が30℃以上、200℃未満の有機カルボン酸を配合した本発明の実施例1〜10の熱可塑性樹脂組成物は変色試験終了時の変色の度合いを示す色差(ΔE*ab)が小さく、燃焼促進剤による変色のみならず、フェノール系酸化防止剤が併用された場合についても優れた変色防止効果が見られた。特に、融点が30℃以上、200℃未満の脂肪族有機カルボン酸はその効果が高かった。
【0037】
比較例6
紡錘状ゲーサイト粒子(平均粒子径0.25μm、比表面積84m2)について触媒活性を測定したところメタン反応率は96.9%であった。
また、低密度ポリエチレン99重量部に上記ゲーサイト粒子1重量部配合して加熱混練して、ゲーサイト濃度が10,000ppmの熱可塑性樹脂組成物を得た。この組成物の燃焼特性を評価したところ二酸化炭素濃度は2.46%、一酸化炭素濃度は0.25%であり、燃焼中に煙は観察されず優れた燃焼促進効果を示した。
しかしながら、該熱可塑性樹脂組成物を成形して得られた厚み100μmのフィルムの外観はゲーサイト特有の黄色であり着色を嫌う用途には使用できないものであった。また、色彩光度計を用いて測定した明度(L*)は86.70であった。
【0038】
【作用及び効果】
本発明の耐変色性に優れた熱可塑性樹脂組成物は、無機質担体に白金族元素を担持させた微粒子状の燃焼促進剤を熱可塑性樹脂に含有させてなる、燃焼、焼却時の有害物の発生が抑制された、無色、又は白色乃至白色がかった淡色を呈する熱可塑性樹脂組成物が有している経時により変色するという問題点を、融点が30℃以上、200℃未満の有機カルボン酸を併用して配合することにより効果的に防止したものであり、商品としての価値を極めて高めるという効果を有している。
Claims (5)
- 無機質担体に白金族元素を0.001〜0.2wt%担持させた微粒子状の燃焼促進剤と、融点が30℃以上、200℃未満の有機カルボン酸を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、該組成物中の白金族元素の濃度が0.5〜100ppmであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- 白金族元素がパラジウム及び/又は白金であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 有機カルボン酸が脂肪族有機カルボン酸であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- フェノール系酸化防止剤が添加されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
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