JP3596901B2 - 表面保護フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、合成樹脂板、化粧合板、金属板、ガラス板等の表面に仮着し、塵埃の付着、着傷、破損時の飛散等を防止するために用いられる表面保護フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車、各種電気機器、エレベーター、建築用品等に用いられる合成樹脂板、化粧合板、金属板、ガラス板等の素材又は組立体を、加工又は搬送する際に、その表面への着傷や、塵埃の付着を防止するため、また、ビルや自動車の窓等に用いられるガラスの破損時に、その破片の飛散を防止するため、表面保護フィルムが常用されている。
【0003】
この表面保護フィルムは、一般に、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂からなる基材層(フィルム)の片面に、粘着剤層が形成された構造を有しており、適度の粘着性を有するとともに、使用後に、各種被着体の表面を粘着剤で汚染することなく剥すことができなければならない。
また、表面保護フィルムの製造にあたっては、粘着剤成分と基材層を形成する熱可塑性樹脂とを共押出法にて積層するため、粘着剤層の材料は、押出特性や製膜性の良好なものが要求される。
この種の保護フィルムとしては、例えば特公昭55−1190号公報にはエチレンから成る基材フィルムの片面に、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー,低結晶性ポリオレフィン,およびこれらの混合物のうちの一種、またはこれとエチレン−酢酸ビニル共重合体との混合物から成る接着層を設ける技術が開示されている。ところが、このフィルムは、貼付けの後の経時粘着性が著しく昂進するという欠点があり、剥離時に粘着剤が残存したり、基材フィルムが伸びて破断するという問題があった。また特開平4−198383号公報には、粘着剤層がエチレン−酢酸ビニル共重合体と高級アルキル基の導入されたポリエチレンイミンを含有する組成物からなる表面保護フィルムの技術が開示されており、粘着性の経時変化や高温環境下での粘着性の昂進を抑制している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平4−198383号公報に開示された表面保護フィルムは、長期間の使用中に粘着剤が変成し、剥離性が悪化するという問題があり、その性能は必ずしも十分とはいえなかった。また、従来の表面保護フィルムは弾性回復性、柔軟性が不十分なため、施行後の変形によって剥離やすき間を生ずるという問題があった。
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、適度の粘着性を有するとともに、経時変化による粘着性の昂進がほとんどないため、使用後に糊残りがなく、優れた剥離性を有する表面保護フィルムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明によれば、α−オレフィンと環状オレフィン類とを付加重合してなる共重合体[a]、環状オレフィン類を開環重合してなる重合体[b]、その開環共重合体[c]、並びにこれらの水素添加物[a’],[b’]及び[c’]からなる群から選ばれる、ガラス転移温度(Tg)が50℃以下である一以上の環状オレフィン系樹脂からなる層を、少なくとも一層有することを特徴とする合成樹脂板、化粧合板、金属板及びガラス板、又はそれらの組立体用の表面保護フィルムが提供される。
【0006】
また、前記環状オレフィン系樹脂からなる層が、自己粘着性を有するものであることを特徴とする表面保護フィルムが提供される。
【0007】
また、前記環状オレフィン系樹脂からなる層の一ヶ月後の剥離力の変化の割合が±30%未満であることを特徴とする表面保護フィルムが提供される。
【0008】
以下、本発明の表面保護フィルムを具体的に説明する。
本発明の表面保護フィルムの構成としては、
▲1▼環状オレフィン系樹脂の単層、又は他の熱可塑性樹脂との組成物の単層からなるもの、
▲2▼基材層として、ポリエチレン,ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、またはポリエステル等の押出成形可能な熱可塑性樹脂を用い、粘着剤層として、環状オレフィン系樹脂、またはエチレン−酢酸ビニル共重合体と環状オレフィン系樹脂との組成物を用いて積層したもの、
▲3▼基材層として、環状オレフィン系樹脂、または環状オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との組成物を用い、粘着剤層として、環状オレフィン系樹脂、または環状オレフィン系樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体との組成物を用いて積層したもの、
▲4▼さらに、中間層や離型層を設けて、三層以上の層を積層したもの、
等を挙げることができる。
以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0009】
1.環状オレフィン系樹脂
本発明の表面保護フィルムに用いられる環状オレフィン系樹脂層は、前述のようにα−オレフィンと環状オレフィン類とを付加重合してなる共重合体[a]、環状オレフィン類を開環重合してなる重合体[b]、その共重合体[c]、及びこれらの水素添加物[a’],[b’],[c’]からなる群から選ばれる一以上の環状オレフィン系樹脂からなる。
【0010】
▲1▼α−オレフィン
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂の製造に用いられるα−オレフィンとしては特に制限はなく、例えば、下記一般式[X]
【化1】
Figure 0003596901
(式[X]中、Ra は水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)で表わされる繰り返し単位を有するものを挙げることができる。
【0011】
前記一般式[X]で示されるα−オレフィンの繰り返し単位において、Rは、前述したように水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示している。
ここで、炭素数1〜20の炭化水素基として、具体的には、例えばメチル基,エチル基,イソプロピル基,イソブチル基,n−ブチル基,n−ヘキシル基,オクチル基,オクタデシル基等を挙げることができる。
また、一般式[X]で示されるα−オレフィンの繰り返し単位を与えるα−オレフィンの具体例としては、例えば、エチレン,プロピレン,1−ブテン,3−メチル−1−ブテン,4−メチル−1−ペンテン,1−ヘキセン,1−オクテン,デセン,エイコセン等を挙げることができる。
中でも、エチレンもしくはプロピレン、またはエチレンとプロピレンが好適である。
【0012】
▲2▼環状オレフィン類
本発明に用いられる環状オレフィン類としては、環状オレフィンと環状ジエンを挙げることができる。
▲2▼−1 環状オレフィン
本発明に用いられる環状オレフィンとしては、特に制限はないが、例えば下記一般式[Y]で表わされる繰り返し単位を与えるものを挙げることができる。
【化2】
Figure 0003596901
(式[Y]中、R 〜R は、それぞれ水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む置換基を示し、nは0以上の整数を示す。R 又はR とR 又はR とは互いに環を形成してもよい。また、R 〜R はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0013】
上記一般式[Y]で表わされる繰り返し単位において、R〜Rは、それぞれ水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又はハロゲン原子,酸素原子若しくは窒素原子を含む置換基を示している。
ここで、炭素数1〜20の炭化水素基として、具体的には、例えばメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,t−ブチル基,ヘキシル基等の炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基,トリル基,ベンジル基等の炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基、メチリデン基,エチリデン基,プロピリデン基等の炭素数1〜20のアルキリデン基、ビニル基,アリル基等の炭素数2〜20のアルケニル基等を挙げることができる。但し,R,R,R,Rはアルキリデン基を除く。なお、R,R,R〜Rのいずれかがアルキリデン基の場合、それが結合している炭素原子は他の置換基を有しない。
【0014】
また、ハロゲン原子を含む置換基として具体的には、例えば、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素等のハロゲン基、クロロメチル基,ブロモメチル基,クロロエチル基等の炭素数1〜20のハロゲン置換アルキル基等を挙げることができる。
酸素原子を含む置換基として具体的には、例えば、メトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基,フェノキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基、メトキシカルボニル基,エトキシカルボニル基等の炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
窒素原子を含む置換基として具体的には、例えば、ジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基等の炭素数1〜20のアルキルアミノ基やシアノ基等を挙げることができる。
【0015】
一般式[Y]で表わされる繰り返し単位を与える環状オレフィンの具体例としては、例えば、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1、4、5、8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロノルボルネン、5,5−ジクロロノルボルネン、5−フルオロノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチルノルボルネン、5−クロロメチルノルボルネン、5−メトキシノルボルネン、5,6−ジカルボキシルノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノノルボルネン、5−シアノノルボルネン等を挙げることができる。
また、下記式[Z]で表わされる繰り返し単位を与えるものであってもよい。
【0016】
【化3】
Figure 0003596901
(式中、lは0または1の整数であり、mおよびnは、0、1または2であり、R 〜R15はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R (またはR )とR (またはR )とは、炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また何の基も介さずに直接結合していてもよい。)
【0017】
前記式[Z]で表わされる繰り返し単位を与える環状オレフィンの具体例としては、
5−メチル−5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(エチルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(イソプロピルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
1,4−メタノ−1,1a,4,4a−テトラヒドロフルオレン、
1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン、
シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、
5−(α−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(アントラセニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
を挙げることができる。
【0018】
▲2▼−2 環状ジエン
本発明に用いられる環状ジエンとしては、特に制限はないが、例えば、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、5−エチル−1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、1,4−シクロヘプタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,4−シクロオクタジエン、1,5−シクロオクタジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、及び、
【化4】
Figure 0003596901
等を挙げることができる。これらの中では、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンが特に好ましい。なお、環状ジエンは少なくとも2個の二重結合を有しておればよく、例えば環状トリエン等も包含される。
【0019】
▲3▼α−オレフィンと環状オレフィン類との共重合体[a]
環状オレフィン系樹脂に用いられるα−オレフィンと環状オレフィン類とを付加重合してなる共重合体の、α−オレフィン(たとえば、前記一般式[X]で表わされる繰り返し単位を有するもの等)と環状オレフィン類(たとえば前記一般式[Y]で表わされる繰り返し単位を有するもの等)との組成割合は、モル%で、80:20〜99.9:0.1が好ましい。α−オレフィンが80モル%未満であると、Tg、弾性率が高くなり、得られるフィルムの弾性回復性や柔軟性が低下する。また、環状オレフィン類が0.1モル%未満であると共重合体の結晶性が高くなり、弾性回復性等の面で環状オレフィンを導入した効果が不十分となる。
さらに好ましくは、モル%で90:10〜99.5:0.5で、中でも、モル%で85:15〜98:2が最も好ましい。
【0020】
なお、α−オレフィンとしてエチレンの他に、下記一般式[R]
【化5】
Figure 0003596901
(R は炭素数1〜20の炭化水素基、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、1−オクテンである。)で示されるα−オレフィンとの二種類を用いる場合、その組成割合は、エチレン5〜99.8モル%、及び一般式[R]のα−オレフィン75〜0.1モル%、並びに環状オレフィン類20〜0.1モル%とすることが好ましい。さらに好ましくは、エチレン32〜99モル%、及びα−オレフィン[R]50〜0.5モル%,並びに環状オレフィン類18〜0.5モル%である。中でも、エチレン55〜98モル%、及びα−オレフィン[R]30〜1モル%、並びに環状オレフィン類15〜1モル%であることが最も好ましい。なお、この場合、エチレンとα−オレフィン[R]は、共重合体の全体の80〜99.9モル%であることが好ましい。
【0021】
α−オレフィンと環状オレフィン類とを付加重合する方法は、特に制限はなく、イオン錯体系触媒、アルミノキサン系触媒、及び可溶性バナジウム触媒のいずれの触媒系を用いてもよい。
この中でも、イオン錯体系触媒が重合性が高いことから好ましい。
以下、イオン錯体系触媒の具体例として、下記(A)及び(B)を主成分とする触媒又は下記化合物(A)、(B)及び(C)を主成分とする触媒系について説明する。
(A)遷移金属化合物
(B)遷移金属化合物(A)、又はその派生物からイオン性錯体を形成しうる化合物
(C)有機アルミニウム化合物
【0022】
この場合、上記遷移金属化合物(A)としては、周期律表のIVB族,VB族,VIB族,VIIB族,VIII族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物を使用することができる。上記遷移金属として、具体的には、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、マンガン、ニッケル、パラジウム、白金等が好ましく、中でもジルコニウム、ハフニウム、チタン、ニッケル、パラジウムが特に好ましい。
【0023】
このような遷移金属化合物(A)としては、種々のものを挙げることができるが、特にIVB族、VB族、VI族、VIII族の遷移金属を含む化合物、中でも周期律表のIVB族から選ばれる遷移金属、すなわちチタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)を含有する化合物を好適に使用することができ、特に下記一般式(I),(II)又は(III)で示されるシクロペンタジエニル化合物又はこれらの誘導体あるいは下記一般式(IV)で示される化合物又はこれらの誘導体が好適である。
CpM …(I)
Cp …(II)
(Cp−A−Cp)M …(III)
…(IV)
【0024】
[(I)〜(IV)式中、M はTi,Zr又はHf原子を示し、Cpはシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,テトラヒドロインデニル基,置換テトラヒドロインデニル基,フルオレニル基又は置換フルオレニル基等の環状不飽和炭化水素基又は鎖状不飽和炭化水素基を示す。R ,R ,R及びRはそれぞれそれぞれσ結合性の配位子,キレート性の配位子,ルイス塩基等の配位子を示し、σ結合性の配位子としては、具体的に水素原子,酸素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,アリル基,置換アリル基,けい素原子を含む置換基等を例示でき、またキレート性の配位子としてはアセチルアセトナート基,置換アセチルアセトナート基等を例示できる。Aは共有結合による架橋を示す。a,b,c及びdはそれぞれ0〜4の整数、eは0〜6の整数を示す。R ,R ,R及びRはその2以上が互いに結合して環を形成していてもよい。上記Cpが置換基を有する場合には、当該置換基は炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。(II)式及び(III)式において、2つのCpは同一のものであってもよく、互いに異なるものであってもよい。]
【0025】
上記(I)〜(III)式における置換シクロペンタジエニル基としては、例えば、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、イソプロピルシクロペンタジエニル基、1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基、1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシリルシクロペンタジエニル基等を挙げることができる。また、上記(I)〜(IV)式におけるR〜Rの具体例としては、例えば、ハロゲン原子としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子;炭素数1〜20のアルキル基としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基;炭素数1〜20のアルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基;炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基としてフェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基;炭素数1〜20のアシルオキシ基としてヘプタデシルカルボニルオキシ基;けい素原子を含む置換基としてトリメチルシリル基、(トリメチルシリル)メチル基:ルイス塩基としてジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、テトラヒドロチオフェン等のチオエーテル類、エチルベンゾエート等のエステル類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、2,2’−ビピリジン、フェナントロリン等のアミン類、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;鎖状不飽和炭化水素としてエチレン、ブタジエン、1−ペンテン、イソプレン、ペンタジエン、1−ヘキセン及びこれらの誘導体;環状不飽和炭化水素としてベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘプタトリエン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロオクタテトラエン及びこれらの誘導体等を挙げることができる。また、上記(III)式におけるAの共有結合による架橋としては、例えばメチレン架橋、ジメチルメチレン架橋、エチレン架橋、1,1’−シクロヘキシレン架橋、ジメチルシリレン架橋、ジメチルゲルミレン架橋、ジメチルスタニレン架橋等を挙げることができる。
【0026】
このような化合物として、例えば下記のもの及びこれら化合物のジルコニウムをチタニウム又はハフニウムで置換した化合物を挙げることができる。
)式の化合物
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム、
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム、
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム、
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム、
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメトキシジルコニウム、
(シクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム、
(シクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム、
(シクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム、
(シクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム、
(シクロペンタジエニル)トリメトキシジルコニウム、
(シクロペンタジエニル)ジメチル(メトキシ)ジルコニウム、
(メチルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム、
(メチルシクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム、
(メチルシクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム、
(メチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム、
(メチルシクロペンタジエニル)ジメチル(メトキシ)ジルコニウム、
(ジメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム、
(トリメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム、
(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム、
(テトラメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム、
【0027】
II )式の化合物
ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジメトキシジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジヒドリドジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)モノクロロモノヒドリドジルコニウム、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)クロロメチルジルコニウム、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ヒドリドメチルジルコニウム、
(シクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、
【0028】
III )式の化合物
エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム、
エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジクロロジルコニウム、
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジメチルジルコニウム、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジクロロジルコニウム、
[フェニル(メチル)メチレン](9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジメチルジルコニウム、
エチレン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
シクロヘキシリデン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
シクロペンチリデン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
シクロブチリデン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、
ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ジメチルシリレンスビス(インデニル)ジクロロジルコニウム
【0029】
上記一般式(I),(II),(III)で示されるシクロペンタジエニル化合物以外の化合物の例としては、前記(IV)式の化合物が挙げられ、例えば下記化合物あるいはこれらのジルコニウムをハフニウム、チタニウムに置き換えた化合物等のアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子の一種又は二種以上を持つジルコニウム化合物、ハフニウム化合物、チタニウム化合物を挙げることができる。
テトラメチルジルコニウム、
テトラベンジルジルコニウム、
テトラメトキシジルコニウム、
テトラエトキシジルコニウム、
テトラブトキシジルコニウム、
テトラフェノキシジルコニウム、
テトラ(2−エチルヘキシロキシ)ジルコニウム、
テトラクロロジルコニウム、
テトラブロモジルコニウム、
ブトキシトリクロロジルコニウム、
ジブトキシジクロロジルコニウム、
ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)ジメチルジルコニウム、
ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)ジクロロジルコニウム、
ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、
【0030】
また、VB〜VIII族の遷移金属を含む遷移金属化合物としては、特に制限はなく、クロム化合物の具体例として、例えば、
テトラメチルクロム、
テトラ(t−ブトキシ)クロム、
ビス(シクロペンタジエニル)クロム、
ヒドリドトリカルボニル(シクロペンタジエニル)クロム、
ヘキサカルボニル(シクロペンタジエニル)クロム、
ビス(ベンゼン)クロム、
トリカルボニルトリス(ホスホン酸トリフェニル)クロム、
トリス(アリル)クロム、
トリフェニルトリス(テトラヒドロフラン)クロム、
クロムトリス(アセチルアセトナート)
等を挙げることができる。
【0031】
マンガン化合物の具体例としては、例えば、
トリカルボニル(シクロペンタジエニル)マンガン、
ペンタカルボニルメチルマンガン、
ビス(シクロペンタジエニル)マンガン、
マンガンビス(アセチルアセトナート)
等を挙げることができる。
【0032】
ニッケル化合物の具体例としては、例えば、
ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、
ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、
二窒素ビス(ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル)、
クロロヒドリドビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル、
クロロ(フェニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、
ジメチルビス(トリメチルホスフィン)ニッケル、
ジエチル(2,2’−ビピリジル)ニッケル、
ビス(アリル)ニッケル、
ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ニッケル、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ニッケル、
アリル(シクロペンタジエニル)ニッケル、
(シクロペンタジエニル)(シクロオクタジエン)ニッケルテトラフルオロ硼酸塩、
ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、
ニッケルビス(アセチルアセトナート)、
アリルニッケルクロライド、
テトラキス(トリフェニルフォスフィン)ニッケル、
塩化ニッケル、
(C)Ni{OC(C)CH=P(C}{P(C}、
(C)Ni{OC(C)C(SONa)=P(C}{P(C
等を挙げることができる。
【0033】
パラジウム化合物の具体例としては、例えば、
ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、
カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、
ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、
ビス(イソシアン化t−ブチル)パラジウム、
パラジウムビス(アセチルアセトナート)、
ジクロロ(テトラフェニルシクロブタジエン)パラジウム、
ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、
アリル(シクロペンタジエニル)パラジウム、
ビス(アリル)パラジウム、
アリル(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムテトラフルオロ硼酸塩、
(アセチルアセトナート)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムテトラフルオロ硼酸塩、
テトラキス(アセトニトリル)パラジウム二テトラフルオロ硼酸塩
等を挙げることができる。
【0034】
また、遷移金属化合物として、下記一般式[W]で示すものを挙げることができる。
【化6】
Figure 0003596901
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基であり、Yは−O−、−S−、−NR−、−PR−、またはOR、SR、NR 、PR から選ばれた中性の2個の原子の供与体リガンドであり、Mは周期律表IVB族から選ばれる元素であり、Zは、SiR 、CR 、SiR −SiR 、CR −CR 、CR=CR、またはGeR 、BR、BR 、である。
は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、酸素もしくは窒素もしくはケイ素原子を含む置換基、および20個までの非水素原子をもつそれらの組合せから選ばれた部分であるか、あるいはY,ZまたはYとZの双方からの2個またはそれ以上のR基は縮合環を形成する。]
【0035】
化合物(B)としては、必ずしも制限されないが、たとえば、遷移金属化合物(A)又はその派生物からイオン性錯体を形成しうるイオン性化合物、具体的にはカチオンと複数の基が元素に結合したアニオンとからなる化合物、特にカチオンと複数の基が元素に結合したアニオンとからなる配位錯化合物を好適に使用することができる。このようなカチオンと複数の基が元素に結合したアニオンとからなる化合物としては、下記式(V)あるいは(VI)で示される化合物を好適に使用することができる。
([L−Rk+([M…Z(n−m)− …(V)
([Lk+([M…Z(n−m)− …(VI)
(但し、L はM,R,R10 C又はR11である)
【0036】
[(V),(VI)式中、L はルイス塩基、M及びMはそれぞれ周期律表のVB族,VIB族,VIIB族,VIII族,IB族,IIB族,IIIA族,IVA族及びVA族から選ばれる元素、好ましくは、IIIA族,IVA族及びVA族から選ばれる元素、M及びMはそれぞれ周期律表のIIIB族,IVB族,VB族,VIB族,VIIB族,VIII族,IA族,IB族,IIA族,IIB族及びVIIA族から選ばれる元素、Z〜Z はそれぞれ水素原子,ジアルキルアミノ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基,アリールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機メタロイド基又はハロゲン原子を示し、Z〜Zはその2以上が互いに結合して環を形成していてもよい。Rは水素原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示し、R及びRはそれぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又はフルオレニル基、R10は炭素数1〜20のアルキル基,アリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基をを示す。R11はテトラフェニルポルフィリン、フタロシアニン等の大環状配位子を示す。mはM ,Mの原子価で1〜7の整数、nは2〜8の整数、kは[L−R],[L]のイオン価数で1〜7の整数、pは1以上の整数、q=(p×k)/(n−m)である。]
【0037】
上記ルイス塩基の具体例としては、アンモニア、メチルアミン、アニリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、メチルジフェニルアミン、ピリジン、p−プロモ−N,N−ジメチルアニリン、p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリン等のアミン類、トリエチルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、ジフェニルフォスフィン等のフォスフィン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジエチルチオエーテル、テトラヒドロチオフェン等のチオエーテル類、エチルベンゾート等のエステル類等を挙げることができる。M及びMの具体例としてはB,Al,Si,P,As,Sb等,好ましくはB又はP、Mの具体例としてはLi,Na,Ag,Cu,Br,I,I等,Mの具体例としてはMn,Fe,Co,Ni,Zn等を挙げることができる。
【0038】
〜Z の具体例としては、例えば、ジアルキルアミノ基としてジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基;炭素数1〜20のアルコシキ基としてメトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基;炭素数6〜20のアリールオキシ基としてフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、ナフチルオキシ基;炭素数1〜20のアルキル基としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基;炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基としてフェニル基、p−トリル基、ベンジル基、4−ターシャリ−ブチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基;炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基としてp−フルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基;ハロゲン原子としてF、Cl、Br、I;有機メタロイド基として五メチルアンチモン基、トリメチルシリル基、トリメチルゲルミル基、ジフェニルアルシン基、ジシクロヘキシルアンチモン基、ジフェニル硼素基を挙げることができる。R,R10の具体例としては、先に挙げたものと同様なものを挙げることができる。R及びRの置換シクロペンタジエニル基の具体例としては、メチルシクロペンタジエニル基、ブチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基等のアルキル基で置換されたものを挙げることができるここで、アルキル基は通常炭素数が1〜6であり、置換されたアルキル基の数は1〜5の整数で選ぶことができる。
(V),(VI)式の化合物の中では、M,Mが硼素であるものが好ましい。
【0039】
(V),(VI)式の化合物の中で、具体的には、下記のものを特に好適に使用できる。
)式の化合物
テトラフェニル硼酸トリエチルアンモニウム、
テトラフェニル硼酸トリ(n−ブチル)アンモニウム、
テトラフェニル硼酸トリメチルアンモニウム、
テトラフェニル硼酸テトラエチルアンモニウム、
テトラフェニル硼酸メチルトリ(n−ブチル)アンモニウム、
テトラフェニル硼酸ベンジルトリ(n−ブチル)アンモニウム、
テトラフェニル硼酸ジメチルジフェニルアンモニウム、
テトラフェニル硼酸メチルトリフェニルアンモニウム、
テトラフェニル硼酸トリメチルアニリニウム、
テトラフェニル硼酸メチルピリジニウム、
テトラフェニル硼酸ベンジルピリジニウム、
テトラフェニル硼酸メチル(2−シアノピリジニウム)、
テトラフェニル硼酸トリメチルスルホニウム、
テトラフェニル硼酸ベンジルジメチルスルホニウム、
【0040】
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリエチルアンモニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリ(n−ブチル)アンモニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルアンモニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラブチルアンモニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(テトラエチルアンモニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(メチルトリ(n−ブチル)アンモニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(ベンジルトリ(n−ブチル)アンモニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルジフェニルアンモニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルトリフェニルアンモニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルジフェニルアンモニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸アニリニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルアニリニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルアニリニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルアニリニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチル(m−ニトロアニリニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチル(p−ブロモアニリニウム)、
【0041】
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ピリジニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(p−シアノピリジニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(N−メチルピリジニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(N−ベンジルピリジニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(O−シアノ−N−メチルピリジニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(p−シアノ−N−メチルピリジニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(p−シアノ−N−ベンジルピリジニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルスルホニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジルジメチルスルホニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラフェニルホスホニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルホスホニウム、
テトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)硼酸ジメチルアニリニウム、
ヘキサフルオロ砒素酸トリエチルアンモニウム、
【0042】
VI )式の化合物
テトラフェニル硼酸フェロセニウム、
テトラフェニル硼酸銀、
テトラフェニル硼酸トリチル、
テトラフェニル硼酸(テトラフェニルポルフィリンマンガン)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸フェロセニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(1,1’−ジメチルフェロセニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸デカメチルフェロセニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸アセチルフェロセニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ホルミルフェロセニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸シアノフェロセニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸銀、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリチル、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸リチウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ナトリウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(テトラフェニルポルフィリンマンガン)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(テトラフェニルポルフィリン鉄クロライド)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(テトラフェニルポルフィリン亜鉛)、
テトラフルオロ硼酸銀、
ヘキサフルオロ砒素酸銀、
ヘキサフルオロアンチモン酸銀、
【0043】
また、(V),(VI)式以外の化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)硼素、トリス(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)硼素、トリフェニル硼素等も使用可能である。
【0044】
さらに、化合物(B)としてはルイス酸を用いてもよい。
このルイス酸としては、特に制限はなく、有機物でも、固体状無機物でもよい。有機物としては、硼素化合物、アルミニウム化合物、無機物では、マグネシウム化合物、アルミニウム化合物等が好適に用いられる。
アルミニウム化合物としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムメチル、(1,1’−ビ−2−ナフトキシ)アルミニウムメチル、マグネシウム化合物としては、塩化マグネシウム、ジエトキシマグネシウム、アルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硼素化合物としては、トリフェニル硼素、トリス(ペンタフルオロフェニル)硼素、トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]硼素、トリス[(4−フルオロメチル)フェニル]硼素、トリメチル硼素、トリエチル硼素、トリ(n−ブチル)硼素、トリス(フルオロメチル)硼素、トリス(ペンタフルオロエチル)硼素、トリス(ノナフルオロブチル)硼素、トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)硼素、トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]硼素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)硼素、ビス(ペンタフルオロフェニル)フルオロ硼素、ジフェニルフルオロ硼素、ビス(ペンタフルオロフェニル)クロロ硼素、ジメチルフルオロ硼素、ジエチルフルオロ硼素、ジ(n−ブチル)フルオロ硼素、(ペンタフルオロフェニル)ジフルオロ硼素、フェニルジフルオロ硼素、(ペンタフルオロフェニル)ジフルオロ硼素、フェニルジフルオロ硼素、(ペンタフルオロフェニル)ジクロロ硼素、メチルジフルオロ硼素、エチルジフルオロ硼素、(n−ブチル)ジフルオロ硼素を挙げることができる。
【0045】
ここで、化合物(A)と化合物(B)との混合割合(モル比)は、化合物(B)としてイオン性化合物を用いた場合は10:1〜1:100、好ましくは2:1〜1:10である。
【0046】
(C)成分である有機アルミニウム化合物としては、下記一般式(VII)で示されるものを挙げることができる。
17 AlQ3−r …(VII)
(R17は炭素数1〜20、好ましくは1〜12のアルキル基、Qは水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルコキシ基又は炭素数6〜20のアリール基を示す。rは0〜3の整数である。)
式(VII)の化合物として、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムハイドライド,ジエチルアルミニウムハイドライド,エチルアルミニウムセスキクロリド等を挙げることができる。
【0047】
また、(C)成分の使用量は、(A)成分1モルに対し通常0〜2,000モル、好ましくは5〜1,000モル、特に好ましくは10〜500モルである。(C)成分を用いると重合活性の向上を図ることができるが、あまり多いと有機アルミニウム化合物が重合体中に多量に残存し好ましくない。
【0048】
触媒成分の使用態様には制限はなく、例えば(A)成分,(B)成分を予め接触させ、あるいはさらに接触生成物を分離,洗浄して使用してもよく、重合系内で接触させて使用してもよい。また、(C)成分は、予め(A)成分、(B)成分あるいは(A)成分と(B)成分との接触生成物と接触させて用いてもよい。接触は、あらかじめ接触させてもよく、重合系内で接触させてもよい。さらに、触媒成分は、モノマー、重合溶媒に予め加えたり、重合系内に加えることもできる。なお、触媒成分は、必要により無機あるいは有機の担体に担持して用いることもできる。
【0049】
反応原料に対する触媒の使用割合は、原料モノマー/上記(A)成分(モル比)あるいは原料モノマー/上記(B)成分(モル比)が1〜10、特に100〜10となることが好ましい。
【0050】
重合方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、気相重合等のいずれの方法を用いてもよい。また、バッチ法でも連続法でもよい。
重合溶媒としては、非芳香族系溶媒を用いる。例えば、シクロペンタン,メチルシクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサン,シクロオクタン等の脂環式炭化水素、ヘキサン,オクタン,デカン,ドデカン等の脂肪族炭化水素、クロロホルム,ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素等を用いることができる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上のものを組合せてもよい。また、α−オレフィン等のモノマーを溶媒として用いてもよい。
【0051】
重合条件に関し、重合温度は50〜250℃が好ましく、70〜220℃とすることがさらに好ましく、中でも80〜200℃が最も好ましい。
重合時間は通常1分〜10時間、反応圧力は常圧〜100kg/cmG、好ましくは常圧〜50kg/cmGである。
共重合体の分子量の調節方法としては、各触媒成分の使用量や重合温度の選択、さらには水素存在下での重合反応によることができる。なお、得られる共重合体の濃度は、5〜500グラム/リットルが好ましく10〜400グラム/リットルがさらに好ましい。
【0052】
また、可溶性バナジウム系の触媒としては、反応溶媒として用いる炭化水素溶媒に可溶性のバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を挙げることができる。ここで触媒として用いられるバナジウム化合物としては、式VO(OR) 、もしくは、式V(OR) で表わされる化合物を挙げることができる。ただし、上記の式において、Rは炭化水素基であり、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4の関係を有する。
【0053】
さらに、バナジウム化合物は、上記式で表わされるバナジウム化合物の電子供与体付加物であってもよい。これらのバナジウム化合物の例としては、VOCl 、VO(OC )Cl 、VO(OC Cl、VO(O−iso−C )Cl 、VO(O−n−C )Cl 、VO(OC 、VOBr 、VCl 、VOCl 、VO(O−n−C およびVCl ・2(OC17OH)等のバナジウム化合物を挙げることができる。これらのバナジウム化合物は単独で、または組合わせて使用することができる。
【0054】
上記のバナジウム化合物と付加物を形成する電子供与体の例としては、炭素数1〜18のアルコール類、炭素数6〜20のフェノール類(これらのフェノール類は低級アルキル基を有してよい)、炭素数3〜15のケトン類、炭素数2〜15のアルデヒド、炭素数2〜30のカルボン酸、有機酸または無機酸のエステル類、炭素数2〜15の酸ハライド類、炭素数2〜20のエーテル類、酸アミド類、酸無水物、アルコキシシラン等の含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート等の含窒素電子供与体を挙げることができる。これらの電子供与体は、単独であるいは組合わせて使用することができる。
ここで使用される有機アルミニウム化合物としては、分子内に少なくとも1個のAl−炭素結合を有する化合物を用いることができる。
【0055】
本発明の環状オレフィン系樹脂においては、上記のエチレンと環状オレフィン類との付加共重合体中に存在する二重結合の少なくとも一部を水素化することによって得られる水添物[a’]をも使用することができる。
【0056】
この環状オレフィン共重合体を、水素化(水添)する方法は、通常ポリマーの有機溶剤溶液中において行なう。この溶剤としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶剤が使用される。環状オレフィン系共重合体溶液の濃度は適宜定めうるが、通常0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の濃度で水素化が実施される。
本発明の方法において使用される水素化触媒としては、オレフィン化合物の水素化に際して一般に使用されている触媒であれば使用可能であり、特に制限されないが、たとえば次のようなものを挙げることができる。
【0057】
不均一系触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金またはこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた固体触媒、例えばニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナなどを挙げることができる。また、ニッケル系触媒としては、ラネーニッケル触媒など、白金系触媒では、酸化白金触媒、白金黒などを挙げることができる。均一系触媒としては、周期律表VIII族の金属を基体とするもの、例えばナフテン酸コバルト/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、ニッケルアセチルアセトネート/トリエチルアルミニウムなどのNi,Co化合物と周期律表IA,IIA,IIIB 族から選ばれる金属の有機金属化合物からなるもの、又はRh化合物などを挙げることができる。
また、エム・エス・サロアン(M.S.Saloan)らが開示しているチーグラー系水素化触媒(J.Am.Chem.Soc.,85,4014(1983))も有効に使用できる。これらの触媒としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。
Ti(O−iC −(iC Al、
Ti(O−iC −(C Al、
(C TiCl −(C Al、
Cr(acac) −(C Al、
Ni(acac) −(iC Al、
Mn(acac) −(C Al、
Fe(acac) −(C Al、
Ca(acac) −(C Al、
(C COO) Co−(C Al、
水素添加(水素化)反応は、触媒の種類により均一系または不均一系で、1〜150気圧の水素圧化、0〜180℃、好ましくは20〜120℃の反応温度で実施される。水素添加率は、水素圧、反応温度、反応時間、触媒濃度等の反応条件を変えることによって0〜100%の範囲で任意に調節することができるが、上記環状オレフィン系共重合体水添物が優れた熱安定性を示すためには、共重合体中の不飽和結合の30%以上が水素添加されるのが好ましく、より好ましくは50%以上、更に好ましくは80%以上の水添率である。
後処理としては、水素化反応後、遠心分離、濾過あるいはチーグラー系触媒の場合は酸による触媒失活等によって触媒を除去し、次いで反応生成物を多量のアセトンまたはアルコールなどの極性溶剤中で沈殿させ、その後溶剤を除去、乾燥することによりオレフィン系共重合体の水素化物[a’]を得ることができる。
【0058】
▲2▼環状オレフィン類の開環(共)重合体([b],[c])
本発明に用いられる開環(共)重合体([b],[c])は、上述の環状オレフィン類を、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、インジウム、もしくは白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒:チタン、パラジウム、ジルコニウムもしくはモリブデン等の金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウムとからなる触媒の存在下に開環させながら(共)重合させることにより製造することができる。
【0059】
この環状オレフィン類の開環重合体中において前記式[Y]で表される環状オレフィンで表される環状オレフィンの少なくとも一部は下記式[S]で表される構造を有していると考えられる。
【0060】
【化7】
Figure 0003596901
例えば、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン類同士を共重合させたもの、または前記のノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)とを共重合させたものを挙げることができる。
また、この開環(共)重合体([b],[c])を水素添加触媒の存在下、水素で還元することによって、得られる水添物([b’],[c’])も本発明に用いることができる。この場合、たとえば前記式[Y]で表わされる繰り返し単位を有する環状オレフィン類の少なくとも一部は、下記式[T]で表わされる繰り返し構造を有すものになると考えられる。
【0061】
【化8】
Figure 0003596901
【0062】
▲5▼環状オレフィン系樹脂の諸物性
本発明においては、環状オレフィン系(共)重合体の(共)重合組成、または後述する他の熱可塑性樹脂とのブレンドによる組成物のブレンド組成により、被保護膜材料の種類、使用目的に合わせて粘着性を制御する。
【0063】
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、一ヶ月後の剥離力の変化が±30%未満であることが好ましい。−30%以下であると接着力が低下し、フィルムの剥れを生じることがあり、+30%を超えると剥離が困難となる場合がある。
【0064】
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂の、ガラス転移温度(Tg)は50℃以下であることが必要である。このような樹脂を用いれば、ガラス転移温度(Tg)以上の温度において柔らかく、優れた弾性回復性を有する表面保護フィルムを得ることができるという効果がある。より好ましいガラス転移温度(Tg)は−30〜45℃、中でも−30〜40℃が最も好ましい。このガラス転移温度(Tg)は、目的とする用途、要求される物性に応じて重合体又は共重合体の単量体の種類、組成を変更することにより、任意に変えることができる。
【0065】
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜20dl/gであることが好ましい。極限粘度[η]が0.01dl/g未満であると表面保護フィルムの強度が低下し、また、剥離時に糊残りが生ずることがあり、20dl/gを超えるとフィルムへの成形性が悪くなることがある。より好ましい極限粘度[η]は0.05〜10dl/gである。
【0066】
また、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂の分子量は特に制限されるものではないが、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した重量平均分子量Mwが1,000〜2,000,000、特に5,000〜1,000,000、数平均分子量Mnが500〜1,000,000、特に2,000〜800,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.3〜3、特に1.4〜2.5であることが好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が3より大きくなると低分子量体の含有量が多くなり、フィルムにしたときに糊残りの原因となることがある。
【0067】
また、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、X線回折法により測定した結晶化度が0〜40%であることが好ましい。結晶化度が40%を超えると、フィルムの弾性回復性,透明性が低下することがある。より好ましい結晶化度は0〜30%、特に0〜25%である。
【0068】
また、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、DSCによるブロードな融解ピークが90℃未満であることが好ましい。DSCによるシャープな融解ピークが90℃以上にあるような樹脂は、重合成分の配列のランダム性が不充分で、フィルムに成形したときに弾性が不充分になることがある。なお、DSCによるブロードな融解ピークは、10〜85℃の範囲にあることがより好ましい。
DSC測定おいて、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂の融点(融解)ピークは、組成によってはシャープには観測されないことがある。特に低結晶化度のものにあっては、通常のポリエチレンの測定条件レベルではほとんどピークがでない。
【0069】
また、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、引張弾性率が3,000Kg/cm未満であることが好ましい。引張弾性率が3,000Kg/cm以上であると、表面保護フィルムに用いた場合、フィルムの施工性が悪化することがある。より好ましい引張弾性率は50〜2,000Kg/cmである。
【0070】
さらに、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、弾性回復率が20%以上であることが好ましく、さらに好ましくは、30%以上であり、中でも40%以上が最も好ましい。
20%未満であると、たとえば凹凸のあるものの表面に貼り付ける場合に密着性が悪化することがある。
【0071】
また、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、メルトインデックス(MI)[190℃,荷重2.16kg,JIS−K7210]が0.0001〜10,000g/10分未満であることが好ましい。
0.0001g/10分未満であるとフィルム成形性が著しく悪化し、10,000g/10分を超えるとフィルムの強度が低下する。
さらに好ましくは、0.001〜5,000g/10分であり、中でも0.01〜1,000g/10分が最も好ましい。
【0072】
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂としては、上述した範囲の物性を有するもののみからなる樹脂であってもよく、上記範囲外の物性を有する樹脂が一部含まれているものであってもよい。前者の場合には、ガラス転移温度(Tg)が50℃以下である異なるTgを有する樹脂の混合物であってもよい。後者の場合には、全体の物性値が上記範囲に含まれていればよい。
【0073】
本発明においては、環状オレフィン系樹脂層として、前記環状オレフィン系樹脂と、他の熱可塑性樹脂とからなる組成物をも用いることができる。
このような熱可塑性樹脂としては、特に制限はないが、具体的には、高密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン,直鎖低密度ポリエチレン等のポリエチレン、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体およびその金属塩、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、ポリ1−ブテン、1−ブテン・4−メチル−1ペンテン共重合体、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン等を挙げることができる。
なお、エチレン・酢酸ビニル共重合体については、前述のように、本発明において、環状オレフィン系樹脂との組成物を粘着剤層として使用することもできる。
すなわち、本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂は、自己粘着性を有しているため、必ずしも粘着剤層を別個に設ける必要はないが、粘着性を改良するために、エチレン・酢酸ビニル共重合体と環状オレフィン系樹脂との組成物からなる粘着剤層を別個に設けてもよい。エチレン・酢酸ビニル共重合体と環状オレフィン系樹脂との組成比は重量%で1:90〜50:50が好ましい。ここで用いるエチレン・酢酸ビニル共重合体は酢酸ビニル含有量が5〜30重量%のものが好適に用いられる。
【0074】
また、その他の熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン等)、ポリカーボネート、ポリアリーレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール等を使用することができる。熱可塑性樹脂として特に好ましいのは、HDPE、LDPE、L−LDPE、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等である。
なお、熱可塑性樹脂は必要により二種以上を併用することができる。
【0075】
このような熱可塑性樹脂を含有する組成物を用いることによって表面フィルムの耐熱性,粘着性を改良することができる。
この熱可塑性樹脂の配合割合については特に制限はなく、他の成分である環状オレフィン系樹脂の物性にもよるが、組成物全体の0.1〜99.9重量%特に0.5〜90重量%とすることが好ましい。
また、本発明においては、必要により、この熱可塑性樹脂のほかに他の樹脂、エラストマー等を配合することもできる。例えば、極性基含有ポリマーの添加により、染色性,帯電防止性,親水性を付与することができ、また、充填剤あるいは安定剤等の種々の添加剤を配合することもできる。その他の配合可能な添加剤として、具体的には、下記のものを例示することができる。
【0076】
たとえば、光安定剤、紫外線吸収剤、リン系,フェノール系等の酸化防止剤、酸化チタン等の顔料、ロジン系粘着付与樹脂,テルペン系樹脂,脂肪族系石油樹脂,アルキルフェノール樹脂等の粘着付与剤、プロセス油,潤滑油,パラフィン,流動パラフィン,石油アスファルト,ワセリンなどの石油系軟化剤;コールタール,コルタールピッチなどのコルタール系軟化剤;ヒマシ油,アマニ油,ナタネ油,ヤシ油などの脂肪油系軟化剤;トール油;サブ;密ロウ,カルナウバロウ,ラノリンなどのロウ類;リシノール酸,パルミチン酸,ステアリン酸バリウム,ステアリン酸カルシウム,ラウリン酸亜鉛などの脂肪酸および脂肪酸塩;石油樹脂などの合成高分子物質;等の軟化剤等を挙げることができる。
【0077】
その他の配合可能な添加剤として、具体的には、下記のものを挙げることができる。たとえば、分散剤、充填剤、可塑剤、着色剤、発泡剤、発泡助剤、滑剤、老化防止剤、安定剤、スリップ剤、アンチグロッキング剤等を併用することができる。
充填剤としてはカーボンブラック、ホワイトカーボン(ケイ酸化合物)、炭酸カルシウム、タルク、クレー、などの無機充填剤;ハイスチレン樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、リグニン、変性メラミン樹脂、石油樹脂などの有機充填剤を挙げることができる。このうち特に無機充填剤が好ましく使用される。
可塑剤としては、フタール酸エステル系、アジピン酸エステル系、セバシン酸エステル系、リン酸系など、粘着付与剤としては、クマロンインデン樹脂、テルベン・フェノール樹脂、キシレン・ホルマリン樹脂など、着色剤としては、無機および有機顔料など、発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、カルシウムアミド、パラトルエンスルホニルアジドなど、発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸などを使用することができる。
また、配合物の製造はオーブンロールミル、バンバリーミキサー、ニーダー、カレンダーロール、一軸又は二軸押出機などを用いる公知の方法を採用できる。
【0078】
2.表面保護フィルムの厚さ
本発明の表面保護フィルムの厚さとしては、用途にもよるが、全体で10〜200μmが好ましい。この範囲を外れると、貼着、剥離の施工性が悪化するとともに、糊残りの原因となることがある。10〜100μmがさらに好ましい。
また、粘着剤層を設ける場合は、その厚さを3〜50μmとすることが好ましく、5〜30μmとすることがさらに好ましい。
【0079】
3.表面保護フィルムの成形方法
本発明の表面保護フィルムの成形方法としては、特に制限はないが、たとえばインフレーション法、Tダイ法、その他の成形方法による押出し、または、共押出しを挙げることができる。
【0080】
【実施例】
以下、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定は下記によった。
引張弾性率(kg/cm
オートグラフを用いてJIS−K7113に従って行なった。
弾性回復率(%)
オートグラフを用い、引張速度62mm/分で、幅6mm,クランプ間50mm(L )の測定片を150%伸ばして引張り、5分間そのままの状態を保った後、はね返させることなく急に収縮させ、1分間後にクランプ間のシートの長さ(L )を測定し、下記式により求めた。
弾性回復率(%)=[1−{L −L }/L ]×100
メルトインデックス(MI)
190℃,2.16kgの条件でJIS−K7210に準じて測定を行なった。
【0081】
参考例1(エチレンと2−ノルボルネンとの共重合)
窒素雰囲気下、室温において、100リットルのオートクレーブにトルエン37.5リットル、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)113ミリモル、テトラブトキシジルコニウム95マイクロモル、テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸アニリニウム150マイクロモルをこの順番に入れ、続いて2−ノルボルネンを70重量%含有するトルエン溶液7.5リットル(2−ノルボルネンとして48モル)を加えた。80℃に昇温した後、エチレン分圧が7kg/cm となるように連続的にエチレンを導入しつつ、110分間反応を行なった。
反応終了後、ポリマー溶液を100リットルのメタノール中に投入してポリマーを析出させた。このポリマーを濾取して乾燥し、環状オレフィン系共重合体(a1)を得た。
環状オレフィン系共重合体(a1)の収量は8.1kgであった。重合活性は880kg/gZrであった。
【0082】
得られた環状オレフィン系共重合体(a1)の物性は下記の通りであった。
13C−NMRの30ppm付近に現れるエチレンに基づくピークとノルボルネンの5及び6位のメチレンに基づくピークの和と32.5ppm付近に現れるノルボルネンの7位のメチレン基に基づくピークとの比から求めたノルボルネン含量は11.0モル%であった。
135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は1.44dl/g、X線回折法により求めた結晶化度は3.1%であった。
測定装置として東洋ボールディング社製バイブロン11−EA型を用い、巾4mm,長さ40mm,厚さ0.1mmの測定片を昇温速度3℃/分、周波数3.5Hzで測定し、この時の損失弾性率(E”)のピークからガラス転移温度(Tg)を求めたところ、Tgは0℃であった。
測定装置としてウォーターズ社製ALC/GPC150Cを用い1,2,4−トリクロルベンゼン溶媒、135℃で、ポリエチレン換算で重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、分子量分布(Mw/Mn)を求めたところ、Mwは74,300、Mnは36,200、Mw/Mn=2.05であった。
パーキネルマー社製7シリーズのDSCによって10℃/分の昇温速度で、−50℃〜150℃の範囲で融点(Tm)を測定したところ、Tmは78℃(ブロードなピーク)、メルトインデックス(MI)は1.03g/10分であった。
【0083】
参考例2(エチレンと5−エチリデンノルボルネンの共重合)
参考例1において、テトラブトキシジルコニウムを190マイクロモル、テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸アニリニウムを300マイクロモル、2−ノルボルネンのかわりに5−エチリデンノルボルネン11.3モルを用いた以外は参考例1と同様にして環状オレフィン系共重合体(a2)を得た。(a2)の収量は4.50kg、重合活性は658kg/g・Zr、5−エチリデンノルボルネンの含有量は4.5モル%、[η]は1.30、結晶化度は3.5%、Tgは3℃、Mwは66,900、Mnは31,800、Mw/Mnは2.10、Tmは85℃(ブロードなピーク)、MIは2.53であった。
【0084】
参考例3(エチレンと2−ノルボルネンとの共重合)
窒素雰囲気下、室温において、1リットルのオートクレーブにトルエン400ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)1.2ミリモル、テトラブトキシジルコニウム5マイクロモル、テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸アニリニウム8マイクロモルをこの順番に入れ、続いて2−ノルボルネンを70重量%含有するトルエン溶液58ミリリットル(2−ノルボルネンとして310ミリモル)を加えた。90℃に昇温した後、エチレン分圧が3.5kg/cm になるように連続的にエチレンを導入しつつ、90分間反応を行なった。
反応終了後、ポリマー溶液を1リットルのメタノール中に投入してポリマーを析出させた。このポリマーを濾取して乾燥し、環状オレフィン系共重合体(a3)を得た。
環状オレフィン系共重合体(a3)の収量は、17.8gであった。重合活性は39kg/gZrであった。
【0085】
得られた環状オレフィン系共重合体(a1)の物性は下記の通りであった。
13C−NMRの30ppm付近に現れるエチレンに基づくピークとノルボルネンの5及び6位のメチレンに基づくピークの和と32.5ppm付近に現れるノルボルネンの7位のメチレン基に基づくピークとの比から求めたノルボルネン含量は21.4モル%であった。
135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は0.43dl/g、X線回折法により求めた結晶化度は1.5%であった。
測定装置として東洋ボールディング社製バイブロン11−EA型を用い、巾4mm,長さ40mm,厚さ0.1mmの測定片を昇温速度3℃/分、周波数3.5Hzで測定し、この時の損失弾性率(E”)のピークからガラス転移温度(Tg)を求めたところ、Tgは10℃であった。
測定装置としてウォーターズ社製ALC/GPC150Cを用い1,2,4−トリクロルベンゼン溶媒、135℃で、ポリエチレン換算で重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、分子量分布(Mw/Mn)を求めたところ、Mwは21,400、Mnは9,300、Mw/Mn=2.30であった。
パーキネルマー社製7シリーズのDSCによって10℃/分の昇温速度で、−50℃〜150℃の範囲で融点(Tm)を測定したところ、Tmは観測されなかった。また、MIは230g/10分であった。
【0086】
参考例4(エチレンと2−ノルボルネンの共重合)
窒素雰囲気下、室温において、2リットルのオートクレーブに乾燥ヘキサン380ミリリットル、イソブチルアルミニウム1.2ミリモル、2−ノルボルネンを70重量%含有するヘキサン溶液530ミリリットル(2−ノルボルネンとして2.8モル)をこの順番に入れ、150℃に昇温した。次いで触媒投入管に乾燥ヘキサン60ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム0.6ミリモル、テトラブトキシジルコニウム6マイクロモル、参考例1で得られたテトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルアニリニウム12マイクロモルをこの順番で加えた。次いでエチレン分圧が13kg/cm になるようにエチレンを導入し、次いで、ただちに触媒投入管より触媒溶液を投入し、次いでエチレン分圧が40kg/cm になるように連続的にエチレンを導入しつつ、5分間反応を行なった。
反応終了後、イソプロピルアルコールにて重合を停止し、フラッシュドラムにフラッシュさせて粉末状の共重合体を得た。この共重合体の収量は、49g、重合活性は90kg/gZr、ノルボルネン含有量は9.6モル%、[η]は0.79、Tmは68℃(ブロード)、結晶化度は1.3%、Mwは50,000、Mnは27,600、Mw/Mnは1.81、MIは17.5g/10分であった。
【0087】
実施例1〜4
基材層を形成する熱可塑性樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(出光石油化学社製,商品名V−0398CN)を用い、粘着剤層を形成する材料として参考例1〜4で得られた環状オレフィン系樹脂a1〜a4を用いて、インフレーション二層共押出し法により表面保護フィルムを作成した。基材層の厚みは70μm、粘着層の厚みは30μmであった。
【0088】
実施例5,6
参考例1、および4で得られた環状オレフィン系樹脂を用いてTダイキャスト法により表面保護フィルムを作成した。フィルムの厚さは100μmであった。
【0089】
比較例1
実施例1において粘着剤層を形成する材料としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱油化社製,商品名EVA25K)を用いた以外は実施例1と同様にして表面保護フィルムを作成した。
【0090】
比較例2
実施例5において、低密度ポリエチレン(住友化学社製エクセレンVL−100)を用いた以外は実施例5と同様にして表面保護フィルムを得た。
【0091】
物性の測定(1)(アクリル板への貼付における剥離試験)
上記のようにして得られた表面保護フィルムを圧着ロールを用いてアクリル板に貼り付け(1)加熱前(2)70℃で30分加熱後(3)1ケ月後の剥離力を測定した。剥離力の測定は25mm幅、180°剥離の条件で行った。結果を表1に示す。
【0092】
物性の測定(2)(アルミニウム板への貼付における剥離試験)
また、表面保護フィルムをアルミニウム板に貼り付けて物性の測定(1)と同様に剥離力を測定した。結果を表2に示す。
【0093】
Figure 0003596901
【0094】
Figure 0003596901
【0095】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によって、適度の粘着性を有するとともに、経時変化による粘着性の昂進がほとんどないため、使用後に糊残りがなく、優れた剥離性を有する表面保護フィルムを提供することができる。

Claims (3)

  1. α−オレフィンと環状オレフィン類とを付加重合してなる共重合体[a]、環状オレフィン類を開環重合してなる重合体[b]、その開環共重合体[c]、並びにこれらの水素添加物[a’],[b’]及び[c’]からなる群から選ばれる、ガラス転移温度(Tg)が50℃以下である一以上の環状オレフィン系樹脂からなる層を、少なくとも一層有することを特徴とする合成樹脂板、化粧合板、金属板及びガラス板、又はそれらの組立体用の表面保護フィルム。
  2. 前記環状オレフィン系樹脂からなる層が、自己粘着性層を形成するものであることを特徴とする請求項1記載の表面保護フィルム。
  3. 前記環状オレフィン系樹脂からなる層の一ヶ月後の剥離力の変化の割合が±30%未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の表面保護フィルム。
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