JP3142019B2 - 変性環状オレフィン系共重合体 - Google Patents

変性環状オレフィン系共重合体

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JP3142019B2
JP3142019B2 JP04103683A JP10368392A JP3142019B2 JP 3142019 B2 JP3142019 B2 JP 3142019B2 JP 04103683 A JP04103683 A JP 04103683A JP 10368392 A JP10368392 A JP 10368392A JP 3142019 B2 JP3142019 B2 JP 3142019B2
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康博 後藤
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、弾性回復性、他の樹脂
との相溶性、接着性等に優れ、工業用品、自動車用部
材、家電用部材、多層材料などの成形材料、あるいは樹
脂改質剤、樹脂相溶化剤等として好適に使用することが
できる変性環状オレフィン系共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
ポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、
低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂が工業分
野、家庭分野を問わず広く使用されている。しかし、こ
れらのポリオレフィン系樹脂は結晶性の高いものが多
く、機械的性質、耐溶剤性、電気特性等には優れている
ものの、軟質ポリ塩化ビニル樹脂等が持つような弾性回
復性に欠けるため、引張応力を受けたときにネッキング
が発生し、永久歪が残るものであった。
【0003】これに対し、本発明者らのグループは、α
−オレフィンと特定の環状オレフィンとを共重合した共
重合体からなる成形品が優れた弾性回復性を有すること
を先に見出した(特願平3−99839号)。この共重
合体は、他の熱可塑性樹脂等との接着性に優れており、
多層材料の層を形成する樹脂として有効に使用できる
が、極性が低いため、相手の樹脂によっては十分な接着
強度が得られないという問題があった。また、特開昭6
2−27412号公報には、エチレンと環状オレフィン
からなる共重合体をα,β−不飽和カルボン酸等でグラ
フト共重合した変性環状オレフィン系共重合体が開示さ
れている。しかし、この共重合体はガラス転移温度が高
く、グラフト変性した後でも実質的に60℃以下の共重
合体についての実施例は開示されていない。したがっ
て、耐熱性には優れるものの、室温での柔軟性、弾性回
復性は有さず、低温での特性も不十分なものであった。
【0004】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、優れた低温特性、弾性回復性及び他の樹脂との相溶
性、接着性等を有する変性環状オレフィン系共重合体を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
を行なった結果、特定のガラス転移温度(Tg)を有す
る特定構造の環状オレフィン系共重合体に不飽和基含有
単量体をグラフト共重合した場合、上記要求を満足する
変性環状オレフィン系共重合体が得られることを知見
し、本発明をなすに至った。
【0006】すなわち、本発明は、α−オレフィンに由
来する繰り返し単位と、下記一般式[Y]で表される環
状オレフィンに由来する繰り返し単位とを有し、ガラス
転移温度(Tg)が30℃以下である環状オレフィン系
共重合体(但し、EPDMゴムを除く。)に、不飽和基
を少なくとも一つ有する不飽和基含有単量体(但し、ア
ミノ基含有エチレン性不飽和単量体を除く。)をグラフ
ト共重合することを特徴とする変性環状オレフィン系共
重合体を提供する。
【化2】 (一般式[Y]中、R〜Rmはそれぞれ水素原子、炭
素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン原子,酸素原子
若しくは窒素原子を含む置換基を示し、nは0以上の整
数を示し、Rj又はRkとRl又はRmとは互いに環を形成
してもよく、また、R〜Rmはそれぞれ互いに同一で
も異なっていてもよい。)
【0007】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
まず、環状オレフィン系共重合体について詳述する。環
状オレフィン系共重合体しては、α−オレフィンに由来
する繰り返し単位と環状ジエンに由来する繰り返し単位
とを有し、ガラス転移温度(Tg)が30℃以下のもの
を用いる。ここで、上記α−オレフィンとしては、必ず
しも限定されないが、例えば下記一般式[X]
【化3】 (式[X]中、Raは水素原子又は炭素数1〜20の炭
化水素基を示す。)で表わされる繰り返し単位を与える
ものが挙げられる。
【0008】上記一般式[X]で示される繰り返し単位
において、Raは水素原子又は炭素数1〜20の炭化水
素基を示している。ここで、炭素数1〜20の炭化水素
基として、具体的には、例えばメチル基,エチル基,イ
ソプロピル基,n−プロピル基,イソブチル基,n−ブ
チル基,n−ヘキシル基,n−オクチル基,n−オクタ
デシル基等を挙げることができる。また、一般式[X]
で示される繰り返し単位を与えるα−オレフィンの具体
例としては、例えば、エチレン,プロピレン,1−ブテ
ン,3−メチル−1−ブテン,4−メチル−1−ペンテ
ン,1−ヘキセン,1−オクテン,1−デセン,1−エ
イコセン等を挙げることができる。
【0009】また、前記環状オレフィンとしては、必ず
しも限定されないが、例えば下記一般式[Y]
【化4】 (式[Y]中、Rb〜Rmはそれぞれ水素原子、炭素数1
〜20の炭化水素基又はハロゲン原子,酸素原子若しく
は窒素原子を含む置換基を示し、nは0以上の整数を示
す。Rj又はRkとRl又はRmとは互いに環を形成しても
よい。また、Rb〜Rmはそれぞれ互いに同一でも異なっ
ていてもよい。)で表わされる繰り返し単位を与えるも
のが挙げられる。
【0010】上記一般式[Y]で表わされる繰り返し単
位において、Rb〜Rmは、それぞれ水素原子、炭素数1
〜20の炭化水素基又はハロゲン原子,酸素原子若しく
は窒素原子を含む置換基を示している。ここで、炭素数
1〜20の炭化水素基として、具体的には、例えばメチ
ル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n
−ブチル基,イソブチル基,t−ブチル基,ヘキシル基
等の炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基,トリル
基,ベンジル基等の炭素数6〜20のアリール基,アル
キルアリール基若しくはアリールアルキル基、メチリデ
ン基,エチリデン基,プロピリデン基等の炭素数1〜2
0のアルキリデン基、ビニル基,アリル基等の炭素数2
〜20のアルケニル基等を挙げることができる。但し,
b,Rc,Rf,Rgはアルキリデン基を除く。なお、R
d,Re,Rh〜Rmのいずれかがアルキリデン基の場合、
それが結合している炭素原子は他の置換基を有さない。
【0011】また、ハロゲン原子を含む置換基として具
体的には、例えば、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素等のハ
ロゲン基、クロロメチル基,ブロモメチル基,クロロエ
チル基等の炭素数1〜20のハロゲン置換アルキル基等
を挙げることができる。酸素原子を含む置換基として具
体的には、例えば、メトキシ基,エトキシ基,プロポキ
シ基,フェノキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ
基、メトキシカルボニル基,エトキシカルボニル基等の
炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基等を挙げるこ
とができる。窒素原子を含む置換基として具体的には、
例えば、ジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基等の炭素
数1〜20のアルキルアミノ基やシアノ基等を挙げるこ
とができる。
【0012】一般式[Y]で示される繰り返し単位を与
える環状オレフィンの具体例としては、例えば、ノルボ
ルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボル
ネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチルノ
ルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノル
ボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、5−
フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、5
−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、
1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,
5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−
1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,
5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−
1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,
5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメ
チル−1、4、5、8−ジメタノ−1,2,3,4,4
a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキ
シル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4
a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチ
リデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,
4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フ
ルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,
4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5
−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,
4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2
−シクロヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,
2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタ
レン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−
1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナ
フタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ
−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ
ナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、
5−クロロノルボルネン、5,5−ジクロロノルボルネ
ン、5−フルオロノルボルネン、5,5,6−トリフル
オロ−6−トリフルオロメチルノルボルネン、5−クロ
ロメチルノルボルネン、5−メトキシノルボルネン、
5,6−ジカルボキシルノルボルネンアンハイドレー
ト、5−ジメチルアミノノルボルネン、5−シアノノル
ボルネン等を挙げることができる。これらの中では、ノ
ルボルネン又はその誘導体が特に好ましい。
【0013】本発明で用いる環状オレフィン系共重合体
は、基本的には、上述したようなα−オレフィンと環状
オレフィンとを共重合してなるものであるが、本発明の
目的を損なわない範囲で、これら必須の2成分の他に、
必要に応じて他の共重合可能な不飽和単量体成分を用い
ていてもよい。このような任意に共重合されてもよい不
飽和単量体として、具体的には、前記したα−オレフ
ィン成分のうち、先に使用されていないもの、前記し
た環状オレフィン成分のうち、先に使用されていないも
の、ジシクロペンタジエン,ノルボルナジエン等の環
状ジエン類、ブタジエン,イソプレン,1,5−ヘキ
サジエン等の鎖状ジエン類、シクロペンテン,シクロ
ヘプテン等の単環オレフィン類等が挙げられる。
【0014】本発明で用いる環状オレフィン系共重合体
は、α−オレフィン単位の含有率[x]及び環状オレフ
ィン単位の含有率[y]が、[x]が80〜99.9モ
ル%に対し[y]が20〜0.1モル%、特に[x]が
82〜99.5モル%に対し[y]が18〜0.5モル
%、中でも[x]が85〜98モル%に対し[y]が1
5〜2モル%であることが好ましい。α−オレフィン単
位の含有率[x]が80モル%未満であると、共重合体
のガラス転移温度(Tg)、引張弾性率が高くなり、得
られるフィルム、シートの弾性回復性や型物成形品の耐
衝撃性、弾力性が不十分になることがある。一方、環状
オレフィン単位の含有率[y]が0.1モル%未満であ
ると、共重合体の結晶性が高くなり、弾性回復性等の環
状オレフィン成分の導入効果が不十分となる。
【0015】本発明で用いる環状オレフィン系共重合体
としては、α−オレフィン単位と環状オレフィン単位と
が直鎖状に配列した実質上線状の共重合体であり、ゲル
状架橋構造を有さないものであることが好ましい。ゲル
状架橋構造を有さないことは、共重合体が135℃のデ
カリン中に完全に溶解することによって確認できる。
【0016】また、本発明で用いる環状オレフィン系共
重合体は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度
[η]が0.01〜20dl/gであることが好まし
い。極限粘度[η]が0.01dl/g未満であると強
度が著しく低下することがあり、20dl/gを超える
と成形性が著しく悪くなることがある。より好ましい極
限粘度[η]は0.05〜10dl/gである。
【0017】本発明で用いる環状オレフィン系共重合体
の分子量は特に制限されるものではないが、ゲルパーミ
エイションクロマトグラフィー(GPC)[ポリエチレ
ン換算]によって測定した重量平均分子量Mwが1,0
00〜2,000,000、特に5,000〜1,00
0,000、数平均分子量Mnが500〜1,000,
000、特に2,000〜800,000であり、分子
量分布(Mw/Mn)が1.3〜4、特に1.4〜3で
あることが好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が4よ
り大きくなると低分子量体の含有量が多くなり、成形品
のべたつきの原因となることがある。
【0018】本発明で用いる環状オレフィン系共重合体
は、ガラス転移温度(Tg)が30℃未満であることが
必要である。このような共重合体を用いれば、低温で好
適に使用することができるフィルム、シート、型物成形
品等が得られる。より好ましいガラス転移温度(Tg)
は−30〜20℃、特に−30〜15℃である。この場
合、本発明で用いる環状オレフィン系共重合体は、単量
体の種類、組成を変更することによりガラス転移温度
(Tg)を任意に制御することができ、目的とする用
途、使用される温度等に応じてガラス転移温度(Tg)
を任意に変えることができる。
【0019】また、本発明で用いる環状オレフィン系共
重合体は、X線回折法により測定した結晶化度が0〜4
0%であることが好ましい。結晶化度が40%を超える
と、弾性回復性、透明性が低下することがある。より好
ましい結晶化度は0〜30%、特に0〜25%である。
【0020】本発明で用いる環状オレフィン系共重合体
は、引張弾性率が3,000Kg/cm2未満であるこ
とが望ましい。引張弾性率が3,000Kg/cm2
上であると、耐衝撃性が不十分になることがある。より
好ましい引張弾性率は50〜2,000Kg/cm2
ある。
【0021】本発明で用いる環状オレフィン系共重合体
は、DSC(昇温測定)によるブロードな融解ピークが
90℃未満にあることが好ましい。DSC(昇温測定)
によるシャープな融解ピークが90℃以上にあるような
共重合体は、環状オレフィンとα−オレフィンとの共重
合体の組成分布が広く、成形品の弾性回復性が不十分に
なることがある。なお、DSC(昇温測定)によるブロ
ードな融解ピークは、10〜85℃の範囲にあることが
より好ましい。DSC(昇温測定)において、オレフィ
ン系共重合体の融点(融解ピーク)はシャープにはみら
れず、特に低結晶化度のものにあっては、通常のポリエ
チレンの測定条件レベルではほとんどピークが出ない。
【0022】また、本発明で用いる環状オレフィン系共
重合体は、DSC(降温測定)による結晶化ピークにお
いて、メインピークの高温側に比較的小さな1個以上の
サブピークを有するものであることが好ましい。前述し
た熱的性質の特徴により、前記成形品の物性を得ること
ができるとともに、成形温度範囲が広くなるなど、成形
品を安定して成形することができる。
【0023】本発明で用いる環状オレフィン系共重合体
としては、上述した範囲の物性を有するもののみからな
る共重合体であってもよく、上記範囲外の物性を有する
共重合体が一部含まれているものであってもよい。後者
の場合には、全体の物性値が上記範囲に含まれていれば
よい。
【0024】本発明で用いる環状オレフィン系共重合体
の製造方法に限定はないが、下記化合物(A)及び
(B)を主成分とする触媒又は下記化合物(A)、
(B)及び(C)を主成分とする触媒を用いてα−オレ
フィンと環状オレフィンとの共重合を行なうことによ
り、効率的に製造することができる。 (A)遷移金属化合物 (B)遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成
する化合物 (C)有機アルミニウム化合物
【0025】この場合、上記遷移金属化合物(A)とし
ては、周期律表のIVB族,VB族,VIB族,VIIB族,VI
II族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物を使用する
ことができる。上記遷移金属として、具体的には、チタ
ニウム、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、マンガ
ン、ニッケル、パラジウム、白金等が好ましく、中でも
ジルコニウム、ハフニウム、チタン、ニッケル、パラジ
ウムが好ましい。
【0026】このような遷移金属化合物(A)として
は、種々のものが挙げられるが、特にIVB族、VIII族の
遷移金属を含む化合物、中でも周期律表のIVB族から選
ばれる遷移金属、すなわちチタニウム(Ti)、ジルコ
ニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)を含有する化合
物を好適に使用することができ、特に下記一般式(I),
(II)又は(III)で示されるシクロペンタジエニル化合物
又はこれらの誘導体あるいは下記一般式(IV)で示され
る化合物又はこれらの誘導体が好適である。 CpM11 a2 b3 c …(I) Cp211 a2 b …(II) (Cp−Ae−Cp)M11 a2 b …(III) M11 a2 b3 c4 d …(IV)
【0027】[(I)〜(IV)式中、M1 はTi,Zr
又はHf原子を示し、Cpはシクロペンタジエニル基,
置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換イン
デニル基,テトラヒドロインデニル基,置換テトラヒド
ロインデニル基,フルオレニル基又は置換フルオレニル
基等の環状不飽和炭化水素基又は鎖状不飽和炭化水素基
を示す。R1 ,R2 ,R3及びR4はそれぞれそれぞれσ
結合性の配位子,キレート性の配位子,ルイス塩基等の
配位子を示し、σ結合性の配位子としては、具体的に水
素原子,酸素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のア
ルキル基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜
20のアリール基,アルキルアリール基若しくはアリー
ルアルキル基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,アリ
ル基,置換アリル基,けい素原子を含む置換基等を例示
でき、またキレート性の配位子としてはアセチルアセト
ナート基,置換アセチルアセトナート基等を例示でき
る。Aは共有結合による架橋を示す。a,b,c及びd
はそれぞれ0〜4の整数、eは0〜6の整数を示す。R
1 ,R2 ,R3及びR4はその2以上が互いに結合して環
を形成していてもよい。上記Cpが置換基を有する場合
には、当該置換基は炭素数1〜20のアルキル基が好ま
しい。(II)式及び(III)式において、2つのCpは
同一のものであってもよく、互いに異なるものであって
もよい。]
【0028】上記(I)〜(III)式における置換シクロ
ペンタジエニル基としては、例えば、メチルシクロペン
タジエニル基,エチルシクロペンタジエニル基,イソプ
ロピルシクロペンタジエニル基,1,2−ジメチルシク
ロペンタジエニル基,テトラメチルシクロペンタジエニ
ル基,1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基,1,
2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基,1,2,
4−トリメチルシクロペンタジエニル基,ペンタメチル
シクロペンタジエニル基,トリメチルシリルシクロペン
タジエニル基等が挙げられる。また、上記(I)〜(I
V)式におけるR1〜R4の具体例としては、例えば、ハ
ロゲン原子としてフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨ
ウ素原子;炭素数1〜20のアルキル基としてメチル
基,エチル基,n−プロピル基,iso−プロピル基,
n−ブチル基,オクチル基,2−エチルヘキシル基;炭
素数1〜20のアルコキシ基としてメトキシ基,エトキ
シ基,プロポキシ基,ブトキシ基,フェノキシ基;炭素
数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくは
アリールアルキル基としてフェニル基,トリル基,キシ
リル基,ベンジル基;炭素数1〜20のアシルオキシ基
としてヘプタデシルカルボニルオキシ基;けい素原子を
含む置換基としてトリメチルシリル基,(トリメチルシ
リル)メチル基:ルイス塩基としてジメチルエーテル,
ジエチルエーテル,テトラヒドロフラン等のエーテル
類、テトラヒドロチオフェン等のチオエーテル類、エチ
ルベンゾエート等のエステル類、アセトニトリル,ベン
ゾニトリル等のニトリル類、トリメチルアミン,トリエ
チルアミン,トリブチルアミン,N,N−ジメチルアニ
リン,ピリジン,2,2’−ビピリジン,フェナントロ
リン等のアミン類、トリエチルホスフィン,トリフェニ
ルホスフィン等のホスフィン類;鎖状不飽和炭化水素と
してエチレン,ブタジエン,1−ペンテン,イソプレ
ン,ペンタジエン,1−ヘキセン及びこれらの誘導体;
環状不飽和炭化水素としてベンゼン,トルエン,キシレ
ン,シクロヘプタトリエン,シクロオクタジエン,シク
ロオクタトリエン,シクロオクタテトラエン及びこれら
の誘導体等が挙げられる。また、上記(III)式におけ
るAの共有結合による架橋としては、例えばメチレン架
橋,ジメチルメチレン架橋,エチレン架橋,1,1’−
シクロヘキシレン架橋,ジメチルシリレン架橋,ジメチ
ルゲルミレン架橋,ジメチルスタニレン架橋等が挙げら
れる。
【0029】このような化合物として、例えば下記のも
の及びこれら化合物のジルコニウムをチタニウム又はハ
フニウムで置換した化合物が挙げられる。(I)式の化合物 (ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメチルジル
コニウム、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリ
フェニルジルコニウム、(ペンタメチルシクロペンタジ
エニル)トリベンジルジルコニウム、(ペンタメチルシ
クロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム、(ペン
タメチルシクロペンタジエニル)トリメトキシジルコニ
ウム、(シクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウ
ム、(シクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウ
ム、(シクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウ
ム、(シクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウ
ム、(シクロペンタジエニル)トリメトキシジルコニウ
ム、(シクロペンタジエニル)ジメチル(メトキシ)ジ
ルコニウム、(メチルシクロペンタジエニル)トリメチ
ルジルコニウム、(メチルシクロペンタジエニル)トリ
フェニルジルコニウム、(メチルシクロペンタジエニ
ル)トリベンジルジルコニウム、(メチルシクロペンタ
ジエニル)トリクロロジルコニウム、(メチルシクロペ
ンタジエニル)ジメチル(メトキシ)ジルコニウム、
(ジメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニ
ウム、(トリメチルシクロペンタジエニル)トリクロロ
ジルコニウム、(トリメチルシリルシクロペンタジエニ
ル)トリメチルジルコニウム、(テトラメチルシクロペ
ンタジエニル)トリクロロジルコニウム、
【0030】(II)式の化合物 ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウ
ム、ビス(シクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウ
ム、ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニ
ウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジメトキシジルコ
ニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコ
ニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジヒドリドジル
コニウム、ビス(シクロペンタジエニル)モノクロロモ
ノヒドリドジルコニウム、ビス(メチルシクロペンタジ
エニル)ジメチルジルコニウム、ビス(メチルシクロペ
ンタジエニル)ジクロロジルコニウム、ビス(メチルシ
クロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、ビス
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコ
ニウム、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジ
クロロジルコニウム、ビス(ペンタメチルシクロペンタ
ジエニル)ジベンジルジルコニウム、ビス(ペンタメチ
ルシクロペンタジエニル)クロロメチルジルコニウム、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ヒドリドメ
チルジルコニウム、(シクロペンタジエニル)(ペンタ
メチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、
【0031】(III)式の化合物 エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エ
チレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム、エチ
レンビス(テトラヒドロインデニル)ジメチルジルコニ
ウム、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジクロ
ロジルコニウム、ジメチルシリレンビス(シクロペンタ
ジエニル)ジメチルジルコニウム、ジメチルシリレンビ
ス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、イ
ソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオ
レニル)ジメチルジルコニウム、イソプロピリデン(シ
クロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジクロロジ
ルコニウム、[フェニル(メチル)メチレン](9−フ
ルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコ
ニウム、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)
(9−フルオレニル)ジメチルジルコニウム、エチレン
(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチ
ルジルコニウム、シクロヘキシリデン(9−フルオレニ
ル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
シクロペンチリデン(9−フルオレニル)(シクロペン
タジエニル)ジメチルジルコニウム、シクロブチリデン
(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチ
ルジルコニウム、ジメチルシリレン(9−フルオレニ
ル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロ
ペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、ジメチルシリ
レンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニ
ル)ジメチルジルコニウム、ジメチルシリレンスビス
(インデニル)ジクロロジルコニウム
【0032】上記一般式(I),(II),(III)で示さ
れるシクロペンタジエニル化合物以外の化合物の例とし
ては、前記(IV)式の化合物が挙げられ、例えば下記化
合物あるいはこれらのジルコニウムをハフニウム、チタ
ニウムに置き換えた化合物等のアルキル基、アルコキシ
基及びハロゲン原子の1種又は2種以上を持つジルコニ
ウム化合物、ハフニウム化合物、チタニウム化合物が挙
げられる。 テトラメチルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウ
ム、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジル
コニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラクロロ
ジルコニウム、テトラブロモジルコニウム、ブトキシト
リクロロジルコニウム、ジブトキシジクロロジルコニウ
ム、ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェノキシ)ジメチ
ルジルコニウム、ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェノ
キシ)ジクロロジルコニウム、ジルコニウムビス(アセ
チルアセトナート)、
【0033】また、VB〜VIII族の遷移金属を含む遷移金
属化合物としては、特に制限はなく、クロム化合物の具
体例として、例えば、テトラメチルクロム、テトラ(t
−ブトキシ)クロム、ビス(シクロペンタジエニル)ク
ロム、ヒドリドトリカルボニル(シクロペンタジエニ
ル)クロム、ヘキサカルボニル(シクロペンタジエニ
ル)クロム、ビス(ベンゼン)クロム、トリカルボニル
トリス(ホスホン酸トリフェニル)クロム、トリス(ア
リル)クロム、トリフェニルトリス(テトラヒドロフラ
ン)クロム、クロムトリス(アセチルアセトナート)等
が挙げられる。
【0034】マンガン化合物の具体例としては、例え
ば、トリカルボニル(シクロペンタジエニル)マンガ
ン、ペンタカルボニルメチルマンガン、ビス(シクロペ
ンタジエニル)マンガン、マンガンビス(アセチルアセ
トナート)等が挙げられる。
【0035】ニッケル化合物の具体例としては、例え
ば、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッ
ケル、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニッケ
ル、二窒素ビス(ビス(トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ニッケル)、クロロヒドリドビス(トリシクロヘキ
シルホスフィン)ニッケル、クロロ(フェニル)ビス
(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジメチルビス
(トリメチルホスフィン)ニッケル、ジエチル(2,
2’−ビピリジル)ニッケル、ビス(アリル)ニッケ
ル、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル、ビス(メ
チルシクロペンタジエニル)ニッケル、ビス(ペンタメ
チルシクロペンタジエニル)ニッケル、アリル(シクロ
ペンタジエニル)ニッケル、(シクロペンタジエニル)
(シクロオクタジエン)ニッケルテトラフルオロ硼酸
塩、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、ニッケルビ
スアセチルアセトナート、アリルニッケルクロライド、
テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、塩化
ニッケル、 (C6H5)Ni{OC(C6H5)CH=P(C6H5)2}{P(C6H5)3}、 (C6H5)Ni{OC(C6H5)C(SO3Na)=P(C6H5)2}{P(C6H5)3} 等が挙げられる。
【0036】パラジウム化合物の具体例としては、例え
ば、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、カル
ボニルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、
ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ビ
ス(イソシアン化t−ブチル)パラジウム、パラジウム
ビス(アセチルアセトナート)、ジクロロ(テトラフェ
ニルシクロブタジエン)パラジウム、ジクロロ(1,5
−シクロオクタジエン)パラジウム、アリル(シクロペ
ンタジエニル)パラジウム、ビス(アリル)パラジウ
ム、アリル(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム
テトラフルオロ硼酸塩、(アセチルアセトナート)
(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムテトラフル
オロ硼酸塩、テトラキス(アセトニトリル)パラジウム
二テトラフルオロ硼酸塩等が挙げられる。
【0037】次に、化合物(B)としては、遷移金属化
合物(A)と反応してイオン性の錯体を形成する化合物
であればいずれのものでも使用できるが、カチオンと複
数の基が元素に結合したアニオンとからなる化合物、特
にカチオンと複数の基が元素に結合したアニオンとから
なる配位錯化合物を好適に使用することができる。この
ようなカチオンと複数の基が元素に結合したアニオンと
からなる化合物としては、下記式(V)あるいは(VI)
で示される化合物を好適に使用することができる。 ([L1−R7]k+)p([M312…Zn](n-m)-)q …(V) ([L2]k+)p([M412…Zn](n-m)-)q …(VI) (但し、L2 はM5,R896,R10 3C又はR116
ある)
【0038】[(V),(VI)式中、L1 はルイス塩
基、M3及びM4はそれぞれ周期律表のVB族,VIB族,V
IIB族,VIII族,IB族,IIB族,IIIA族,IVA族及び
VA族から選ばれる元素、好ましくは、IIIA族,IVA族
及びVA族から選ばれる元素、M5及びM6はそれぞれ周
期律表のIIIB族,IVB族,VB族,VIB族,VIIB族,V
III族,IA族,IB族,IIA族,IIB族及びVIIA族から
選ばれる元素、Z1〜Zn はそれぞれ水素原子,ジアル
キルアミノ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数
6〜20のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアルキ
ル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール
基,アリールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置
換炭化水素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機
メタロイド基又はハロゲン原子を示し、Z1〜Znはその
2以上が互いに結合して環を形成していてもよい。R7
は水素原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜
20のアリール基,アルキルアリール基又はアリールア
ルキル基を示し、R8及びR9はそれぞれシクロペンタジ
エニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基
又はフルオレニル基、R10は炭素数1〜20のアルキル
基,アリール基,アルキルアリール基又はアリールアル
キル基をを示す。R11はテトラフェニルポルフィリン、
フタロシアニン等の大環状配位子を示す。mはM3 ,M
4の原子価で1〜7の整数、nは2〜8の整数、kは
[L1−R7],[L2]のイオン価数で1〜7の整数、
pは1以上の整数、q=(p×k)/(n−m)であ
る。]
【0039】上記ルイス塩基の具体例としては、アンモ
ニア,メチルアミン,アニリン,ジメチルアミン,ジエ
チルアミン,N−メチルアニリン,ジフェニルアミン,
トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリ−n−ブチ
ルアミン,N,N−ジメチルアニリン,メチルジフェニ
ルアミン,ピリジン,p−ブロモ−N,N−ジメチルア
ニリン,p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリン等のア
ミン類、トリエチルホスフィン,トリフェニルホスフィ
ン,ジフェニルホスフィン等のホスフィン類、ジメチル
エーテル,ジエチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジ
オキサン等のエーテル類、ジエチルチオエーテル,テト
ラヒドロチオフェン等のチオエーテル類、エチルベンゾ
エート等のエステル類等が挙げられる。M3及びM4の具
体例としてはB,Al,Si,P,As,Sb等,好ま
しくはB又はP、M5の具体例としてはLi,Na,A
g,Cu,Br,I,I3等,M6の具体例としてはM
n,Fe,Co,Ni,Zn等が挙げられる。
【0040】Z1 〜Zn の具体例としては、例えば、ジ
アルキルアミノ基としてジメチルアミノ基,ジエチルア
ミノ基;炭素数1〜20のアルコシキ基としてメトキシ
基,エトキシ基,n−ブトキシ基;炭素数6〜20のア
リールオキシ基としてフェノキシ基,2,6−ジメチル
フェノキシ基,ナフチルオキシ基;炭素数1〜20のア
ルキル基としてメチル基,エチル基,n−プロピル基,
iso−プロピル基,n−ブチル基,n−オクチル基,
2−エチルヘキシル基;炭素数6〜20のアリール基,
アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基として
フェニル基,p−トリル基,ベンジル基,4−ターシャ
リ−ブチルフェニル基,2,6−ジメチルフェニル基,
3,5−ジメチルフェニル基,2,4−ジメチルフェニ
ル基,2,3−ジメチルフェニル基;炭素数1〜20の
ハロゲン置換炭化水素基としてp−フルオロフェニル
基,3,5−ジフルオロフェニル基,ペンタクロロフェ
ニル基,3,4,5−トリフルオロフェニル基,ペンタ
フルオロフェニル基,3,5−ビス(トリフルオロメチ
ル)フェニル基;ハロゲン原子としてF,Cl,Br,
I;有機メタロイド基として五メチルアンチモン基,ト
リメチルシリル基,トリメチルゲルミル基,ジフェニル
アルシン基,ジシクロヘキシルアンチモン基,ジフェニ
ル硼素基が挙げられる。R7,R10の具体例としては、
先に挙げたものと 同様なものが挙げられる。R8及びR
9の置換シクロペンタジエニル基の具体例としては、メ
チルシクロペンタジエニル基,ブチルシクロペンタジエ
ニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル基等のアル
キル基で置換されたものが挙げられる。ここで、アルキ
ル基は通常炭素数が1〜6であり、置換されたアルキル
基の数は1〜5の整数で選ぶことができる。(V),(V
I)式の化合物の中では、M3,M4が硼素であるものが
好ましい。
【0041】(V),(VI)式の化合物の中で、具体的
には、下記のものを特に好適に使用できる。(V)式の化合物 テトラフェニル硼酸トリエチルアンモニウム、テトラフ
ェニル硼酸トリ(n−ブチル)アンモニウム、テトラフ
ェニル硼酸トリメチルアンモニウム、テトラフェニル硼
酸テトラエチルアンモニウム、テトラフェニル硼酸メチ
ルトリ(n−ブチル)アンモニウム、テトラフェニル硼
酸ベンジルトリ(n−ブチル)アンモニウム、テトラフ
ェニル硼酸ジメチルジフェニルアンモニウム、テトラフ
ェニル硼酸メチルトリフェニルアンモニウム、テトラフ
ェニル硼酸トリメチルアニリニウム、テトラフェニル硼
酸メチルピリジニウム、テトラフェニル硼酸ベンジルピ
リジニウム、テトラフェニル硼酸メチル(2−シアノピ
リジニウム)、テトラフェニル硼酸トリメチルスルホニ
ウム、テトラフェニル硼酸ベンジルジメチルスルホニウ
ム、
【0042】テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼
酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)硼酸トリ(n−ブチル)アンモニウム、テ
トラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニル
アンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)
硼酸テトラブチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフ
ルオロフェニル)硼酸(テトラエチルアンモニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(メチルト
リ(n−ブチル)アンモニウム)、テトラキス(ペンタ
フルオロフェニル)硼酸(ベンジルトリ(n−ブチル)
アンモニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸メチルジフェニルアンモニウム、テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルトリフェニルア
ンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼
酸ジメチルジフェニルアンモニウム、テトラキス(ペン
タフルオロフェニル)硼酸アニリニウム、テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルアニリニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルア
ニリニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼
酸トリメチルアニリニウム、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)硼酸ジメチル(m−ニトロアニリニウ
ム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメ
チル(p−ブロモアニリニウム)、
【0043】テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼
酸ピリジニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸(p−シアノピリジニウム)、テトラキス(ペ
ンタフルオロフェニル)硼酸(N−メチルピリジニウ
ム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(N
−ベンジルピリジニウム)、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)硼酸(O−シアノ−N−メチルピリジニウ
ム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(p
−シアノ−N−メチルピリジニウム)、テトラキス(ペ
ンタフルオロフェニル)硼酸(p−シアノ−N−ベンジ
ルピリジニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸トリメチルスルホニウム、テトラキス(ペンタ
フルオロフェニル)硼酸ベンジルジメチルスルホニウ
ム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラ
フェニルホスホニウム、テトラキス(ペンタフルオロフ
ェニル)硼酸トリフェニルホスホニウム、テトラキス
(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)硼酸ジメチ
ルアニリニウム、ヘキサフルオロ砒素酸トリエチルアン
モニウム、
【0044】(VI)式の化合物 テトラフェニル硼酸フェロセニウム、テトラフェニル硼
酸銀、テトラフェニル硼酸トリチル、テトラフェニル硼
酸(テトラフェニルポルフィリンマンガン)、テトラキ
ス(ペンタフルオロフェニル)硼酸フェロセニウム、テ
トラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(1,1’−
ジメチルフェロセニウム)、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)硼酸デカメチルフェロセニウム、テトラキ
ス(ペンタフルオロフェニル)硼酸アセチルフェロセニ
ウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ホル
ミルフェロセニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェ
ニル)硼酸シアノフェロセニウム、テトラキス(ペンタ
フルオロフェニル)硼酸銀、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)硼酸トリチル、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)硼酸リチウム、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)硼酸ナトリウム、テトラキス(ペンタフル
オロフェニル)硼酸(テトラフェニルポルフィリンマン
ガン)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸
(テトラフェニルポルフィリン鉄クロライド)、テトラ
キス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(テトラフェニル
ポルフィリン亜鉛)、テトラフルオロ硼酸銀、ヘキサフ
ルオロ砒素酸銀、ヘキサフルオロアンチモン酸銀、
【0045】また、(V),(VI)式以外の化合物、例
えばトリス(ペンタフルオロフェニル)硼素,トリス
(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)硼
素,トリフェニル硼素等も使用可能である。
【0046】(C)成分である有機アルミニウム化合物
としては、下記一般式(VII),(VIII)又は(IX)で
示されるものが挙げられる。 R12 rAlQ3-r …(VII) (R12は炭素数1〜20、好ましくは1〜12のアルキ
ル基,アルケニル基,アリール基,アリールアルキル基
等の炭化水素基、Qは水素原子、炭素数1〜20のアル
コキシ基又はハロゲン原子を示す。rは1≦r≦3の範
囲のものである。)式(VII)の化合物として、具体的
には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルア
ルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチル
アルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリ
ド、エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニ
ウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムハイドライ
ド,ジエチルアルミニウムハイドライド,エチルアルミ
ニウムセスキクロリド等が挙げられる。
【0047】
【化5】 (R12は式(VII)と同じものを示す。sは重合度を示
し、通常3〜50、好ましくは7〜40である。)で示
される鎖状アルミノキサン。
【0048】
【化6】 (R12は式(VII)と同じものを示す。また、sは重合
度を示し、好ましい繰り返し単位数は3〜50、好まし
くは7〜40である。)で示される繰り返し単位を有す
る環状アルキルアルミノキサン。(VII)〜(IX)式の
化合物の中で、好ましいのは炭素数3以上のアルキル
基、なかでも分岐アルキル基を少なくとも1個以上有す
るアルキル基含有アルミニウム化合物又はアルミノキサ
ンである。特に好ましいのは、トリイソブチルアルミニ
ウム又は重合度7以上のアルミノキサンである。このト
リイソブチルアルミニウム又は重合度7以上のアルミノ
キサンあるいはこれらの混合物を用いた場合には、高い
活性を得ることができる。また、(VIII)〜(IX)式で
示されるアルミノキサンを水等の活性水素を持つ化合物
で変性した通常の溶剤に不溶な変性アルミノキサンも好
適に使用される。
【0049】前記アルミノキサンの製造法としては、ア
ルキルアルミニウムと水等の縮合剤とを接触させる方法
が挙げられるが、その手段に特に限定はなく、公知の方
法に準じて反応させればよい。例えば、有機アルミニ
ウム化合物を有機溶剤に溶解しておき、これを水と接触
させる方法、重合時に当初有機アルミニウム化合物を
加えておき、後に水を添加する方法、金属塩等に含有
されている結晶水、無機物や有機物への吸着水を有機ア
ルミニウム化合物と反応させる方法、テトラアルキル
ジアルミノキサンにトリアルキルアルミニウムを反応さ
せ、さらに水を反応させ溶媒不溶のアルミノキサンを得
る方法等がある。
【0050】本発明オレフィン系共重合体の製造に用い
る触媒は、上記(A)及び(B)成分あるいは(A)、
(B)及び(C)成分を主成分とするものである。この
場合、(A)成分と(B)成分との使用条件は限定され
ないが、(A)成分:(B)成分の比(モル比)を1:
0.01〜1:100、特に1:0.5〜1:10、中
でも1:1〜1:5とすることが好ましい。また、使用
温度は−100〜250℃の範囲とすることが好まし
く、圧力,時間は任意に設定することができる。
【0051】また、(C)成分の使用量は、(A)成分
1モルに対し通常0〜2,000モル、好ましくは5〜
1,000モル、特に好ましくは10〜500モルであ
る。(C)成分を用いると重合活性の向上を図ることが
できるが、あまり多いと有機アルミニウム化合物が重合
体中に多量に残存し好ましくない。
【0052】触媒成分の使用態様には制限はなく、例え
ば(A)成分,(B)成分を予め接触させ、あるいはさ
らに接触生成物を分離,洗浄して使用してもよく、重合
系内で接触させて使用してもよい。また、(C)成分
は、予め(A)成分、(B)成分あるいは(A)成分と
(B)成分との接触生成物と接触させて用いてもよい。
接触は、あらかじめ接触させてもよく、重合系内で接触
させてもよい。さらに、触媒成分は、モノマー、重合溶
媒に予め加えたり、重合系内に加えることもできる。な
お、触媒成分は、必要により無機あるいは有機の担体に
担持して用いることもできる。
【0053】反応原料に対する触媒の使用割合は、原料
モノマー/上記(A)成分(モル比)あるいは原料モノ
マー/上記(B)成分(モル比)が1〜109、特に1
00〜107となることが好ましい。
【0054】重合方法としては、塊状重合、溶液重合、
懸濁重合、気相重合等のいずれの方法を用いてもよい。
また、バッチ法でも連続法でもよい。重合溶媒を用いる
場合、例えば、ベンゼン,トルエン,キシレン,エチル
ベンゼン等の芳香族炭化水素、シクロペンタン,シクロ
ヘキサン,メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、
ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン等の脂肪族炭
化水素、クロロホルム,ジクロロメタン等のハロゲン化
炭化水素等を用いることができる。これらの溶媒は1種
を単独で用いてもよく、2種以上のものを組合せてもよ
い。また、α−オレフィン等のモノマーを溶媒として用
いてもよい。
【0055】重合条件に関し、重合温度は−100〜2
50℃、特に−50〜200℃とすることが好ましい。
重合時間は通常1分〜10時間、反応圧力は常圧〜10
0Kg/cm2G、好ましくは常圧〜50Kg/cm2
である。共重合体の分子量の調節方法としては、各触媒
成分の使用量や重合温度の選択、さらには水素存在下で
の重合反応によることができる。
【0056】本発明の変性環状オレフィン系共重合体
は、前述した環状オレフィン系共重合体に、不飽和基を
少なくとも一つ有する不飽和基含有単量体(但し、アミ
ノ基含有エチレン性不飽和単量体を除く。)をグラフト
共重合したものである。ここで、不飽和基含有単量体の
種類に上記以外の限定はないが、例えば、不飽和カルボ
ン酸又はその誘導体、不飽和エポキシ化合物、スチレン
系炭化水素、有機けい素化合物等を好適に使用すること
ができる。
【0057】不飽和カルボン酸として、具体的には、例
えばアクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸
等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマール酸、
イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、メ
チルテトラヒドロフタル酸、エンドシス−ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン
酸、メチル−エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−5−エン−2,3−ジカルボン酸等の不飽和ジカル
ボン酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体と
しては、例えば上記不飽和カルボン酸の酸ハライド、ア
ミド、イミド、酸無水物、エステルなどが挙げられ、具
体的には塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、
クロロ無水マレイン酸、ブテニル無水コハク酸、テトラ
ヒドロ無水フタル酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モ
ノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエート
などが挙げられる。これらの中では、不飽和ジカルボン
酸又はその酸無水物、中でも無水マレイン酸や、フマー
ル酸、イタコン酸が特に好ましい。
【0058】不飽和エポキシ化合物としては、例えば不
飽和グリシジルエステル類、不飽和グリシジルエーテル
類、エポキシアルケン類などが挙げられる。具体的に
は、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、ビニルグリシジルエーテル、ヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル、ポリアル
キレングリコール(メタ)アクリレートのグリシジルエ
ーテル、イタコン酸のモノ及びジグリシジルエステル、
ブテントリカルボン酸のモノ及びジグリシジルエステ
ル、シトラコン酸のモノ及びジグリシジルエステル、エ
ンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−
2,3−ジカルボン酸のモノ及びジグリシジルエステ
ル、メチル−エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−5−エン−2,3−ジカルボン酸のモノ及びジグリ
シジルエステル、アリルコハク酸のモノ及びジグリシジ
ルエステル、p−スチレンカルボン酸のグリシジルエス
テル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグ
リシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテ
ル、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ
−3−メチル−1−ブテン、3,4−エポキシ−1−ペ
ンテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ペンテ
ン、5,6−エポキシ−1−ヘキセン、ビニルシクロヘ
キセンモノオキシドなどを例示することができる。これ
らの中では、グリシジルメタクリレート、グリシジルア
クリレートが特に好ましい。
【0059】スチレン系炭化水素として、具体的には、
例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチ
レン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−
エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−イソプロピ
ルスチレン、m−イソプロピルスチレン、p−イソプロ
ピルスチレンなどが挙げられる。これらの中では、スチ
レン、p−メチルスチレンが特に好ましい。
【0060】有機けい素化合物としては、オレフィン性
不飽和結合及び加水分解可能な基を持つものを好適に使
用することができる。具体的には、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メト
キシエトキシ)シラン、ビニルメチルジエトキシシラ
ン、ビニルフェニルジメトキシシランなどを例示するこ
とができる。これらの中では、ビニルトリメトキシシラ
ンが特に好ましい。
【0061】本発明の変性環状オレフィン系共重合体
は、通常行なわれているグラフト共重合体の製造方法に
よって製造することができる。ここで、不飽和基含有単
量体の使用量に特に制限はないが、環状オレフィン系共
重合体に対して0.01〜40重量%、特に0.05〜
20重量%の範囲とすることが好ましい。
【0062】グラフト共重合を特に効率よく行なわせる
には、ラジカル発生剤の存在下に反応を行なうことが好
ましい。この場合、ラジカル発生剤としては、有機過酸
化物、ジアゾ化合物等の公知のものを用いることができ
る。具体的には、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパ
ーオキシド、ジ−tert-ブチルパーオキシド、tert-ブチ
ルクミルパーオキシド、tert-ブチルハイドロパーオキ
シド、クメンハイドロパーオキシド、アゾビスイソブチ
ルニトリルなどを例示することができる。ラジカル発生
剤の使用量は、共重合体に対して0.01重量%以上、
特に0.03〜1重量%とすることが好ましい。
【0063】グラフト共重合の方法として、具体的に
は、(a)環状オレフィン系共重合体を含む溶液にラジ
カル発生剤及び不飽和基含有単量体を加え、温度40〜
200℃にて数十分〜数時間攪拌する方法、(b)実質
的に溶媒を含まない系で、温度130〜350℃の範囲
で20秒から30分間、好ましくは40秒から5分間各
成分を溶融混練する方法などを好適に採用することがで
きる。
【0064】本発明の変性環状オレフィン系共重合体
は、グラフト共重合単量体の含有量が、0.01〜30
重量%、特に0.05〜15重量%であることが好まし
い。上記グラフト量が0.01重量%未満では他の熱可
塑性樹脂、金属などとの接着強度や他樹脂との相溶性が
不十分になることがあり、30重量%を超えると経済的
にも不利となるばかりか、ポリオレフィン系樹脂との接
着性や相溶性の低下が生じることがある。
【0065】また、本発明の変性環状オレフィン系共重
合体は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度
[η]が0.02〜20dl/g、特に0.05〜10
dl/gであることが好ましい。極限粘度[η]が0.
02dl/g未満であると強度が著しく低下することが
あり、20dl/gを超えると成形性が著しく悪くなる
ことがある。
【0066】本発明の変性環状オレフィン系共重合体
は、低温特性、弾性回復性、他の樹脂との相溶性、接着
性に優れているため、工業用品、自動車用部材、家電用
部材、多層材料などの成形材料、あるいは樹脂改質剤、
樹脂相溶化剤といった種々の用途に使用することができ
る。
【0067】
【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明を具体
的に示すが、本発明は下記実施例に限定されるものでは
ない。まず、変性環状オレフィン系共重合体の製造に先
立ち、下記参考例の環状オレフィン系共重合体を製造し
た。
【0068】参考例(エチレンと2−ノルボルネンとの
共重合) 窒素雰囲気下、室温において、30リットルのオートク
レーブにトルエン15リットル、トリイソブチルアルミ
ニウム(TIBA)23ミリモル、四塩化ジルコニウム
38マイクロモル、テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸アニリニウム60マイクロモルをこの順番に入
れ、続いて2−ノルボルネンを70重量%含有するトル
エン溶液2.4リットル(2−ノルボルネンとして16
モル)を加えた。80℃に昇温した後、エチレン分圧が
8Kg/cm2になるように連続的に エチレンを導入し
つつ、110分間反応を行なった。反応終了後、ポリマ
ー溶液を15リットルのメタノール中に投入してポリマ
ーを析出させた。このポリマーを濾取して乾燥し、環状
オレフィン系共重合体(a1)を得た。環状オレフィン
系共重合体(a1)の収量は2.93Kgであった。重
合活性は846Kg/gZrであった。
【0069】得られた環状オレフィン系共重合体(a
1)の物性は下記の通りであった。13C−NMRの30
ppm付近に現れるエチレンに基づくピークとノルボル
ネンの5及び6位のメチレンに基づくピークの和と3
2.5ppm付近に現れるノルボルネンの7位のメチレ
ン基に基づくピークとの比から求めたノルボルネン含量
は7.7モル%であった。135℃のデカリン中で測定
した極限粘度[η]は1.20dl/g、X線回折法に
より求めた結晶化度は1.0%であった。測定装置とし
て東洋ボールディング社製バイブロン11−EA型を用
い、巾4mm,長さ40mm,厚さ0.1mmの測定片
を昇温速度3℃/分、周波数3.5Hzで測定し、この
時の損失弾性率(E”)のピークからガラス転移温度
(Tg)求めたところ、Tgは0℃であった。測定装置
としてウォーターズ社製ALC/GPC150Cを用
い、1,2,4−トリクロルベンゼン溶媒、135℃
で、ポリエチレン換算で重量平均分子量Mw、数平均分
子量Mn,分子量分布(Mw/Mn)を求めたところ、
Mwは58,100、Mnは30,400、Mw/Mn
=1.91であった。パーキンエルマー社製7シリーズ
のDSCによって10℃/分の昇温速度で、−50℃〜
150℃の範囲で融点(Tm)を測定したところ、Tm
は72℃(ブロードなピーク)℃であった。
【0070】次に、上記参考例で得られた環状オレフィ
ン系共重合体a1を用いた実施例及び比較例を示す。実施例1 窒素雰囲気下、110℃において、1リットルのオート
クレーブ中で上記参考例で得られた環状オレフィン系共
重合体(a1)50gをトルエン500mlに溶解させ
た。その後、無水マレイン酸のトルエン溶液(5g/1
00ml)及びジクミルパーオキサイドのトルエン溶液
(0.5g/50ml)を徐々に滴下した。2時間かけ
て滴下した後、さらに3時間反応させた。反応液を1リ
ットルのメタノール中に投入してポリマーを析出させ
た。このポリマーを濾取して乾燥し、変性環状オレフィ
ン系共重合体51.5gを得た。得られた変性環状オレ
フィン系共重合体を190℃,100kg/cm2で3
分間熱プレスし、厚さ100μmのフィルムを得た。こ
れから長さ50mm,幅15mmの試験片を切り出して
物性測定を行なった。結果を表1に示す。
【0071】実施例2〜4 単量体の種類及び量を表1のように変えた以外は実施例
1に準じて行なった。結果を表1に示す。
【0072】比較例 環状オレフィン系共重合体a1を変性することなく19
0℃,100kg/cm2で3分間熱プレスし、厚さ1
00μmのフィルムを得た。これから長さ50mm,幅
15mmの試験片を切り出して物性測定を行なった。結
果を表1に示す。
【0073】各項目の測定は下記のように行なった。極限粘度[η] 135℃のデカリン中で測定した。引張弾性率 オートグラフを用いてJIS−K7113に従って行な
った。引張破断強度 オートグラフを用いてJIS−K7113に従って行な
った。引張破断伸び オートグラフを用いてJIS−K7113に従って行な
った。弾性回復率 オートグラフを用い、引張速度62mm/分で、巾6m
m、クランプ間50mm(L0)の測定片を150%伸
ばして引張り、5分間そのままの状態を保った後、はね
返させることなく急に収縮させ、1分後にクランプ間の
シートの長さ(L1)を測定し、下記式により求めた。 弾性回復率(%)=[1−{(L1−L0)/L0}]×
100剥離強度 試験片に同形状のPETフィルム(厚さ40μm)を重
ね合わせ、190℃,3.0kg/cm2で10秒圧着
した。得られた積層片についてT型剥離試験を引張速度
10mm/分で行ない、着幅1cm当たりの負荷をもっ
て剥離強度とした。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の変性環状
オレフィン系共重合体は、低温特性、弾性回復性、他の
樹脂との相溶性、他材料との接着性に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−188113(JP,A) 特開 平4−220409(JP,A) 特開 平5−148347(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 255/00 C08F 277/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α−オレフィンに由来する繰り返し単位
    と、下記一般式[Y]で表される環状オレフィンに由来
    する繰り返し単位とを有し、ガラス転移温度(Tg)が
    30℃以下である環状オレフィン系共重合体(但し、E
    PDMゴムを除く。)に、不飽和基を少なくとも一つ有
    する不飽和基含有単量体(但し、アミノ基含有エチレン
    性不飽和単量体を除く。)をグラフト共重合することを
    特徴とする変性環状オレフィン系共重合体。 【化1】 (一般式[Y]中、R〜Rmはそれぞれ水素原子、炭
    素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン原子,酸素原子
    若しくは窒素原子を含む置換基を示し、nは0以上の整
    数を示し、Rj又はRkとRl又はRmとは互いに環を形成
    してもよく、また、R〜Rmはそれぞれ互いに同一で
    も異なっていてもよい。)
  2. 【請求項2】 環状オレフィンが、ノルボルネン系モノ
    マーである請求項1記載の変性環状オレフィン系共重合
    体。
  3. 【請求項3】 グラフト共重合単量体の含有量が0.0
    1〜30重量%であり、135℃においてデカリン中で
    測定した極限粘度[η]が0.02〜20dl/gであ
    る請求項1又は2記載の変性環状オレフィン系共重合
    体。
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