JP3539691B2 - 環状オレフィン系樹脂の処理方法および環状オレフィン系樹脂架橋体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、環状オレイフィン系樹脂の処理方法に関する。さらに詳しくは、輸液バッグ等の医療分野、包装分野、食料品分野等において好適に用いられる環状オレフィン系樹脂を提供することができる環状オレフィン系樹脂の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、先に柔軟性、及び弾性回復性に優れ、医療、包装、食料品分野等の種々の分野でフィルム、シート等として利用可能な環状オレフィン系樹脂を提案している(特願平4−90261号)。
しかし、その環状オレフィン系樹脂が用いられる用途によっては、例えば医療,防水シートの用途の場合には、熱安定性、耐水性、耐薬品性、弾力性等が要求され、この環状オレフィン系樹脂のままでは必ずしも十分に満足すべきものではなく、改質する必要があった。
【0003】
また、環状オレフィン系共重合体を硫黄等によって架橋する方法が開示されている(特開昭62−34924号)。
しかし、ここに開示された環状オレフィン系共重合体は、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上で、柔軟性に欠けるため、弾性や柔軟性を備えたフィルムやシートを必要とする分野においては必ずしも十分に満足すべきものではなかった。
【0004】
また、医療分野においては、輸液バッグ等に用いられる材料をγ線により滅菌する方法が用いられているが、従来の軟質塩化ビニルやL−LDPEを用いたシートはγ線によって黄変するという問題があった。また、硫黄や有機過酸化物を用いて架橋する方法では、樹脂から添加物が遊離したり分解物が発生する等の問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、耐熱性,耐水性,耐薬品性等の諸物性に優れているとともに、十分な弾性、柔軟性をも兼ね備えた、オレフィン系樹脂を得ることができるオレフィン樹脂の処理方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によって、α−オレフィンと環状オレフィンとを付加重合してなる共重合体[a]及びこの水素添加物[a’]からなる群から選ばれる、ガラス転移温度(Tg)が50℃以下であり、引張弾性率が3,000kg/cm 2 未満である一以上の環状オレフィン系樹脂を、電子線又は放射線によって処理することを特徴とする環状オレフィン系樹脂の処理方法が提供される。
【0007】
また、前記処理前の環状オレフィン系樹脂が、α−オレフィン及び環状オレフィンとのモル%が、80:20〜99.9:0.1であることを特徴とする環状オレフィン系樹脂の処理方法が提供される。
【0008】
また、前記処理方法によって得られる環状オレフィン系樹脂架橋体が提供される。
【0009】
さらに、メルトインデックス[MI](190℃,2.16kg)が0.1グラム/10分未満、引張弾性率が50〜3,000kg/cm2 、弾性回復率が20〜100%であることを特徴とする環状オレフィン系樹脂架橋体が提供される。
【0010】
以下、本発明を具体的に説明する。
1.環状オレフィン系樹脂
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂は、前述のようにα−オレフィンと環状オレフィン類とを付加重合してなる共重合体、環状オレフィン類を開環重合してなる重合体、その共重合体、及びこれらの水素添加物からなる群から一以上選ばれる。
▲1▼α−オレフィン
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂の製造に用いられるα−オレフィンとしては特に制限はなく、例えば、下記一般式[X]
【化1】
(式[X]中、Ra は水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)で表わされる繰り返し単位を有するものを挙げることができる。
【0011】
前記一般式[X]で示されるα−オレフィンの繰り返し単位において、Raは、前述したように水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示している。
ここで、炭素数1〜20の炭化水素基として、具体的には、例えばメチル基,エチル基,イソプロピル基,イソブチル基,n−ブチル基,n−ヘキシル基,オクチル基,オクタデシル基等を挙げることができる。
また、一般式[X]で示されるα−オレフィンの繰り返し単位を与えるα−オレフィンの具体例としては、例えば、エチレン,プロピレン,1−ブテン,3−メチル−1−ブテン,4−メチル−1−ペンテン,1−ヘキセン,1−オクテン,デセン,エイコセン等を挙げることができる。
中でも、エチレンもしくはプロピレン、またはエチレンとプロピレンが好適である。
▲2▼環状オレフィン
本発明に用いられる環状オレフィンとしては、特に制限はないが、例えば下記一般式[Y]で表わされる繰り返し単位を与えるものを挙げることができる。
【化2】
(式[Y]中、Rb 〜Rm は、それぞれ水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む置換基を示し、nは0以上の整数を示す。Rj
又はRk とRl 又はRm とは互いに環を形成してもよい。また、Rb 〜Rm
はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0012】
上記一般式[Y]で表わされる繰り返し単位において、Rb〜Rmは、それぞれ水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又はハロゲン原子,酸素原子若しくは窒素原子を含む置換基を示している。
ここで、炭素数1〜20の炭化水素基として、具体的には、例えばメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,t−ブチル基,ヘキシル基等の炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基,トリル基,ベンジル基等の炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基、メチリデン基,エチリデン基,プロピリデン基等の炭素数1〜20のアルキリデン基、ビニル基,アリル基等の炭素数2〜20のアルケニル基等を挙げることができる。但し,Rb,Rc,Rf,Rgはアルキリデン基を除く。なお、Rd,Re,Rh〜Rmのいずれかがアルキリデン基の場合、それが結合している炭素原子は他の置換基を有しない。
【0013】
また、ハロゲン原子を含む置換基として具体的には、例えば、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素等のハロゲン基、クロロメチル基,ブロモメチル基,クロロエチル基等の炭素数1〜20のハロゲン置換アルキル基等を挙げることができる。
酸素原子を含む置換基として具体的には、例えば、メトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基,フェノキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基、メトキシカルボニル基,エトキシカルボニル基等の炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
窒素原子を含む置換基として具体的には、例えば、ジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基等の炭素数1〜20のアルキルアミノ基やシアノ基等を挙げることができる。
【0014】
一般式[Y]で表わされる繰り返し単位を与える環状オレフィンの具体例としては、例えば、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1、4、5、8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロノルボルネン、5,5−ジクロロノルボルネン、5−フルオロノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチルノルボルネン、5−クロロメチルノルボルネン、5−メトキシノルボルネン、5,6−ジカルボキシルノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノノルボルネン、5−シアノノルボルネン等を挙げることができる。
【0015】
また、下記式[Z]で表わされる繰り返し単位を与えるものであってもよい。
【0016】
【化3】
(式中、lは0または1の整数であり、mおよびnは、0、1または2であり、R1 〜R15はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R5 (またはR6 )とR9 (またはR7 )とは、炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また何の基も介さずに直接結合していてもよい。)
【0017】
前記式[Z]で表わされる繰り返し単位を与える環状オレフィンの具体例としては、
5−メチル−5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(エチルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(イソプロピルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
1,4−メタノ−1,1a,4,4a−テトラヒドロフルオレン、
1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン、
シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、
5−(α−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(アントラセニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
を挙げることができる。
【0019】
▲3▼α−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体[a]
環状オレフィン系樹脂に用いられるα−オレフィンと環状オレフィンとを付加重合してなる共重合体の、α−オレフィン(たとえば、前記一般式[X]で表わされる繰り返し単位を有するもの等)と環状オレフィン(たとえば前記一般式[Y]で表わされる繰り返し単位を有するもの等)との組成割合は、モル%で、80:20〜99.9:0.1が好ましい。α−オレフィンが80モル%未満であると、Tg、弾性率が高くなり、得られるフィルムやシートの弾性回復性や柔軟性が低下する。また、環状オレフィンが0.1モル%未満であると共重合体の結晶性が高くなり、弾性回復性等の面で環状オレフィンを導入した効果が不十分となる。
さらに好ましくは、モル%で90:10〜99.5:0.5で、中でも、モル%で85:15〜98:2が最も好ましい。
【0020】
なお、α−オレフィンとしてエチレンの他に、下記一般式[R]
【化5】
(Rp は炭素数1〜20の炭化水素基、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、1−オクテンである。)で示されるα−オレフィンとの二種類を用いる場合、その組成割合は、エチレン5〜99.8モル%、及び一般式[R]のα−オレフィン75〜0.1モル%、並びに環状オレフィン類20〜0.1モル%とすることが好ましい。さらに好ましくは、エチレン32〜99モル%、及びα−オレフィン[R]50〜0.5モル%,並びに環状オレフィン類18〜0.5モル%である。中でも、エチレン55〜98モル%、及びα−オレフィン[R]30〜1モル%、並びに環状オレフィン類15〜1モル%であることが最も好ましい。なお、この場合、エチレンとα−オレフィン[R]は、共重合体の全体の80〜99.9モル%であることが好ましい。
【0021】
α−オレフィンと環状オレフィン類とを付加重合する方法は、イオン錯体系触媒が重合性が高いことから好ましい。
以下、イオン錯体系触媒の具体例として、下記(A)及び(B)を主成分とする触媒又は下記化合物(A)、(B)及び(C)を主成分とする触媒系について説明する。
(A)チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)を含有する遷移金属化合物
(B)遷移金属化合物(A)、又はその派生物からイオン性錯体を形成しうる化合物
(C)有機アルミニウム化合物
【0023】
このような遷移金属化合物(A)としては、特に下記一般式(I),(II)又は(III)で示されるシクロペンタジエニル化合物又はこれらの誘導体あるいは下記一般式(IV)で示される化合物又はこれらの誘導体が好適である。
CpM1R1 aR2 bR3 c …(I)
Cp2M1R1 aR2 b …(II)
(Cp−Ae−Cp)M1R1 aR2 b …(III)
M1R1 aR2 bR3 cR4 d …(IV)
【0024】
[(I)〜(IV)式中、M1 はTi,Zr又はHf原子を示し、Cpはシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,テトラヒドロインデニル基,置換テトラヒドロインデニル基,フルオレニル基又は置換フルオレニル基等の環状不飽和炭化水素基又は鎖状不飽和炭化水素基を示す。R1 ,R2 ,R3及びR4はそれぞれそれぞれσ結合性の配位子,キレート性の配位子,ルイス塩基等の配位子を示し、σ結合性の配位子としては、具体的に水素原子,酸素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,アリル基,置換アリル基,けい素原子を含む置換基等を例示でき、またキレート性の配位子としてはアセチルアセトナート基,置換アセチルアセトナート基等を例示できる。Aは共有結合による架橋を示す。a,b,c及びdはそれぞれ0〜4の整数、eは0〜6の整数を示す。R1 ,R2 ,R3及びR4はその2以上が互いに結合して環を形成していてもよい。上記Cpが置換基を有する場合には、当該置換基は炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。(II)式及び(III)式において、2つのCpは同一のものであってもよく、互いに異なるものであってもよい。]
【0025】
上記(I)〜(III)式における置換シクロペンタジエニル基としては、例えば、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、イソプロピルシクロペンタジエニル基、1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基、1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシリルシクロペンタジエニル基等を挙げることができる。また、上記(I)〜(IV)式におけるR1〜R4の具体例としては、例えば、ハロゲン原子としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子;炭素数1〜20のアルキル基としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基;炭素数1〜20のアルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基;炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基としてフェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基;炭素数1〜20のアシルオキシ基としてヘプタデシルカルボニルオキシ基;けい素原子を含む置換基としてトリメチルシリル基、(トリメチルシリル)メチル基:ルイス塩基としてジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、テトラヒドロチオフェン等のチオエーテル類、エチルベンゾエート等のエステル類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、2,2’−ビピリジン、フェナントロリン等のアミン類、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;鎖状不飽和炭化水素としてエチレン、ブタジエン、1−ペンテン、イソプレン、ペンタジエン、1−ヘキセン及びこれらの誘導体;環状不飽和炭化水素としてベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘプタトリエン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロオクタテトラエン及びこれらの誘導体等を挙げることができる。また、上記(III)式におけるAの共有結合による架橋としては、例えばメチレン架橋、ジメチルメチレン架橋、エチレン架橋、1,1’−シクロヘキシレン架橋、ジメチルシリレン架橋、ジメチルゲルミレン架橋、ジメチルスタニレン架橋等を挙げることができる。
【0026】
このような化合物として、例えば下記のもの及びこれら化合物のジルコニウムをチタニウム又はハフニウムで置換した化合物を挙げることができる。
( I )式の化合物
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム、
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム、
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム、
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム、
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメトキシジルコニウム、
(シクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム、
(シクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム、
(シクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム、
(シクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム、
(シクロペンタジエニル)トリメトキシジルコニウム、
(シクロペンタジエニル)ジメチル(メトキシ)ジルコニウム、
(メチルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム、
(メチルシクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム、
(メチルシクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム、
(メチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム、
(メチルシクロペンタジエニル)ジメチル(メトキシ)ジルコニウム、
(ジメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム、
(トリメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム、
(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム、
(テトラメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム、
【0027】
( II )式の化合物
ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジメトキシジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジヒドリドジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)モノクロロモノヒドリドジルコニウム、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)クロロメチルジルコニウム、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ヒドリドメチルジルコニウム、
(シクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、
【0028】
( III )式の化合物
エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム、
エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジクロロジルコニウム、
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジメチルジルコニウム、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジクロロジルコニウム、
[フェニル(メチル)メチレン](9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジメチルジルコニウム、
エチレン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
シクロヘキシリデン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
シクロペンチリデン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
シクロブチリデン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、
ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ジメチルシリレンスビス(インデニル)ジクロロジルコニウム
【0029】
上記一般式(I),(II),(III) で示されるシクロペンタジエニル化合物以外の化合物の例としては、前記(IV)式の化合物が挙げられ、例えば下記化合物あるいはこれらのジルコニウムをハフニウム、チタニウムに置き換えた化合物等のアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子の一種又は二種以上を持つジルコニウム化合物、ハフニウム化合物、チタニウム化合物を挙げることができる。
テトラメチルジルコニウム、
テトラベンジルジルコニウム、
テトラメトキシジルコニウム、
テトラエトキシジルコニウム、
テトラブトキシジルコニウム、
テトラフェノキシジルコニウム、
テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)ジルコニウム、
テトラクロロジルコニウム、
テトラブロモジルコニウム、
ブトキシトリクロロジルコニウム、
ジブトキシジクロロジルコニウム、
ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)ジメチルジルコニウム、
ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)ジクロロジルコニウム、
ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、
【0030】
また、VB〜VIII族の遷移金属を含む遷移金属化合物としては、特に制限はなく、クロム化合物の具体例として、例えば、
テトラメチルクロム、
テトラ(t−ブトキシ)クロム、
ビス(シクロペンタジエニル)クロム、
ヒドリドトリカルボニル(シクロペンタジエニル)クロム、
ヘキサカルボニル(シクロペンタジエニル)クロム、
ビス(ベンゼン)クロム、
トリカルボニルトリス(ホスホン酸トリフェニル)クロム、
トリス(アリル)クロム、
トリフェニルトリス(テトラヒドロフラン)クロム、
クロムトリス(アセチルアセトナート)
等を挙げることができる。
【0031】
マンガン化合物の具体例としては、例えば、
トリカルボニル(シクロペンタジエニル)マンガン、
ペンタカルボニルメチルマンガン、
ビス(シクロペンタジエニル)マンガン、
マンガンビス(アセチルアセトナート)
等を挙げることができる。
【0032】
ニッケル化合物の具体例としては、例えば、
ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、
ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、
二窒素ビス(ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル)、
クロロヒドリドビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル、
クロロ(フェニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、
ジメチルビス(トリメチルホスフィン)ニッケル、
ジエチル(2,2’−ビピリジル)ニッケル、
ビス(アリル)ニッケル、
ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ニッケル、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ニッケル、
アリル(シクロペンタジエニル)ニッケル、
(シクロペンタジエニル)(シクロオクタジエン)ニッケルテトラフルオロ硼酸塩、
ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、
ニッケルビス(アセチルアセトナート)、
アリルニッケルクロライド、
テトラキス(トリフェニルフォスフィン)ニッケル、
塩化ニッケル、
(C6H5)Ni{OC(C6H5)CH=P(C6H5)2}{P(C6H5)3}、
(C6H5)Ni{OC(C6H5)C(SO3Na)=P(C6H5)2}{P(C6H5)3}
等を挙げることができる。
【0033】
パラジウム化合物の具体例としては、例えば、
ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、
カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、
ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、
ビス(イソシアン化t−ブチル)パラジウム、
パラジウムビス(アセチルアセトナート)、
ジクロロ(テトラフェニルシクロブタジエン)パラジウム、
ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、
アリル(シクロペンタジエニル)パラジウム、
ビス(アリル)パラジウム、
アリル(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムテトラフルオロ硼酸塩、
(アセチルアセトナート)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムテトラフルオロ硼酸塩、
テトラキス(アセトニトリル)パラジウム二テトラフルオロ硼酸塩
等を挙げることができる。
【0034】
また、遷移金属化合物として、下記一般式[W]で示すものを挙げることができる。
【化6】
[式中、Rqは水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基であり、Yaは−O−、−S−、−NRs−、−PRs−、またはORs、SRs、NRs 2、PRs 2から選ばれた中性の2個の原子の供与体リガンドであり、M1は周期律表IVB族から選ばれる元素であり、Zaは、SiRs 2、CRs 2、SiRs 2−SiRs 2、CRs 2−CRs 2、CRs=CRs、またはGeRs 2、BRs、BRs 2、である。
Rsは水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、酸素もしくは窒素もしくはケイ素原子を含む置換基、および20個までの非水素原子をもつそれらの組合せから選ばれた部分であるか、あるいはYa,ZaまたはYaとZaの双方からの2個またはそれ以上のRs基は縮合環を形成する。]
【0035】
化合物(B)としては、必ずしも制限されないが、遷移金属化合物(A)、又はその派生物からカチオン種を形成し得る化合物であればいずれのものでも使用できる。たとえば、遷移金属化合物(A)又はその派生物からイオン性錯体を形成しうるイオン性化合物(B−1)、具体的にはカチオンと複数の基が元素に結合したアニオンとからなる化合物、特にカチオンと複数の基が元素に結合したアニオンとからなる配位錯化合物を好適に使用することができる。このようなカチオンと複数の基が元素に結合したアニオンとからなる化合物としては、下記式(V)あるいは(VI)で示される化合物を好適に使用することができる。
([L1−R7]k+)p([M3Z1Z2…Zn](n-m)-)q …(V)
([L2]k+)p([M4Z1Z2…Zn](n-m)-)q …(VI)
(但し、L2 はM5,R8R9M6,R10 3C又はR11M6である)
【0036】
[(V),(VI)式中、L1 はルイス塩基、M3及びM4はそれぞれ周期律表のVB族,VIB族,VIIB族,VIII族,IB族,IIB族,IIIA族,IVA族及びVA族から選ばれる元素、好ましくは、IIIA族,IVA族及びVA族から選ばれる元素、M5及びM6はそれぞれ周期律表のIIIB族,IVB族,VB族,VIB族,VIIB族,VIII族,IA族,IB族,IIA族,IIB族及びVIIA族から選ばれる元素、Z1〜Zn はそれぞれ水素原子,ジアルキルアミノ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基,アリールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機メタロイド基又はハロゲン原子を示し、Z1〜Znはその2以上が互いに結合して環を形成していてもよい。R7は水素原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示し、R8及びR9はそれぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又はフルオレニル基、R10は炭素数1〜20のアルキル基,アリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基をを示す。R11はテトラフェニルポルフィリン、フタロシアニン等の大環状配位子を示す。mはM3 ,M4の原子価で1〜7の整数、nは2〜8の整数、kは[L1−R7],[L2]のイオン価数で1〜7の整数、pは1以上の整数、q=(p×k)/(n−m)である。]
【0037】
上記ルイス塩基の具体例としては、アンモニア、メチルアミン、アニリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、メチルジフェニルアミン、ピリジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリン等のアミン類、トリエチルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、ジフェニルフォスフィン等のフォスフィン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジエチルチオエーテル、テトラヒドロチオフェン等のチオエーテル類、エチルベンゾエート等のエステル類等を挙げることができる。M3 及びM4 の具体例としてはB,Al,Si,P,As,Sb等,好ましくはB又はP、M5 の具体例としてはLi,Na,Ag,Cu,Br,I,I3 等,M6 の具体例としてはMn,Fe,Co,Ni,Zn等を挙げることができる。
【0038】
Z1 〜Zn の具体例としては、例えば、ジアルキルアミノ基としてジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基;炭素数1〜20のアルコシキ基としてメトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基;炭素数6〜20のアリールオキシ基としてフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、ナフチルオキシ基;炭素数1〜20のアルキル基としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基;炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基としてフェニル基、p−トリル基、ベンジル基、4−ターシャリ−ブチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基;炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基としてp−フルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基;ハロゲン原子としてF、Cl、Br、I;有機メタロイド基として五メチルアンチモン基、トリメチルシリル基、トリメチルゲルミル基、ジフェニルアルシン基、ジシクロヘキシルアンチモン基、ジフェニル硼素基を挙げることができる。R7 ,R10の具体例としては、先に挙げたものと同様なものを挙げることができる。R8 及びR9 の置換シクロペンタジエニル基の具体例としては、メチルシクロペンタジエニル基、ブチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基等のアルキル基で置換されたものを挙げることができるここで、アルキル基は通常炭素数が1〜6であり、置換されたアルキル基の数は1〜5の整数で選ぶことができる。
(V),(VI)式の化合物の中では、M3 ,M4 が硼素であるものが好ましい。
【0039】
(V),(VI)式の化合物の中で、具体的には、下記のものを特に好適に使用できる。
( V )式の化合物
テトラフェニル硼酸トリエチルアンモニウム、
テトラフェニル硼酸トリ(n−ブチル)アンモニウム、
テトラフェニル硼酸トリメチルアンモニウム、
テトラフェニル硼酸テトラエチルアンモニウム、
テトラフェニル硼酸メチルトリ(n−ブチル)アンモニウム、
テトラフェニル硼酸ベンジルトリ(n−ブチル)アンモニウム、
テトラフェニル硼酸ジメチルジフェニルアンモニウム、
テトラフェニル硼酸メチルトリフェニルアンモニウム、
テトラフェニル硼酸トリメチルアニリニウム、
テトラフェニル硼酸メチルピリジニウム、
テトラフェニル硼酸ベンジルピリジニウム、
テトラフェニル硼酸メチル(2−シアノピリジニウム)、
テトラフェニル硼酸トリメチルスルホニウム、
テトラフェニル硼酸ベンジルジメチルスルホニウム、
【0040】
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリエチルアンモニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリ(n−ブチル)アンモニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルアンモニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラブチルアンモニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(テトラエチルアンモニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(メチルトリ(n−ブチル)アンモニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(ベンジルトリ(n−ブチル)アンモニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルジフェニルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルトリフェニルアンモニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルジフェニルアンモニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸アニリニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルアニリニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルアニリニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルアニリニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチル(m−ニトロアニリニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチル(p−ブロモアニリニウム)、
【0041】
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ピリジニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(p−シアノピリジニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(N−メチルピリジニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(N−ベンジルピリジニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(O−シアノ−N−メチルピリジニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(p−シアノ−N−メチルピリジニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(p−シアノ−N−ベンジルピリジニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルスルホニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジルジメチルスルホニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラフェニルホスホニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルホスホニウム、
テトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)硼酸ジメチルアニリニウム、
ヘキサフルオロ砒素酸トリエチルアンモニウム、
【0042】
( VI )式の化合物
テトラフェニル硼酸フェロセニウム、
テトラフェニル硼酸銀、
テトラフェニル硼酸トリチル、
テトラフェニル硼酸(テトラフェニルポルフィリンマンガン)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸フェロセニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(1,1’−ジメチルフェロセニウム)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸デカメチルフェロセニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸アセチルフェロセニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ホルミルフェロセニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸シアノフェロセニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸銀、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリチル、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸リチウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ナトリウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(テトラフェニルポルフィリンマンガン)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(テトラフェニルポルフィリン鉄クロライド)、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(テトラフェニルポルフィリン亜鉛)、
テトラフルオロ硼酸銀、
ヘキサフルオロ砒素酸銀、
ヘキサフルオロアンチモン酸銀、
【0043】
また、(V),(VI)式以外の化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)硼素、トリス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)硼素、トリフェニル硼素等も使用可能である。
また、化合物(B)としては、アルミノキサン類(B−2)を用いることもできる。アルミノキサン類としては、具体的には、
【0044】
【化7】
(R16は、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のアルキル基,アルケニル基,アリール基,アリールアルキル基等の炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子を示し、これらはそれぞれ独立に、同じでも異なっていてもよい。sは重合度を示し、通常3〜50、好ましくは7〜40である。)
で示される鎖状アルミノキサン。
【0045】
【化8】
(R16は、式(VII)と同じものを示す。また、sは重合度を示し、好ましい繰り返し単位数は3〜50、好ましくは7〜40である。)
で示される繰り返し単位を有する環状アルミノキサン。
(VII)〜(VIII)式の化合物の中で、好ましいのは重合度7以上のメチルアルミノキサン,エチルアルミノキサン,イソブチルアルミノキサンである。さらにアルミノキサンとしては、アルミノキサンを水等の活性水素を有する化合物で変性してなる、一般の溶剤に不溶の変性アルミノキサンであってもよい。
【0046】
前記アルミノキサンの製造法としては、アルキルアルミニウムと水等の縮合剤とを接触させる方法を挙げることができるが、その手段に特に限定はなく、公知の方法に準じて反応させればよい。例えば、▲1▼有機アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解しておき、これを水と接触させる方法、▲2▼重合時に当初有機アルミニウム化合物を加えておき、後に水を添加する方法、▲3▼金属塩等に含有されている結晶水、無機物や有機物への吸着水を有機アルミニウム化合物と反応させる方法、▲4▼テトラアルキルジアルミノキサンにトリアルキルアルミニウムを反応させ、さらに水を反応させる方法等がある。
【0047】
さらに、化合物(B)としてはルイス酸を用いてもよい。
このルイス酸(B−3)としては、特に制限はなく、有機物でも、固体状無機物でもよい。有機物としては、硼素化合物、アルミニウム化合物、無機物では、マグネシウム化合物、アルミニウム化合物等が好適に用いられる。
アルミニウム化合物としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムメチル、(1,1’−ビ−2−ナフトキシ)アルミニウムメチル、マグネシウム化合物としては、塩化マグネシウム、ジエトキシマグネシウム、アルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硼素化合物としては、トリフェニル硼素、トリス(ペンタフルオロフェニル)硼素、トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]硼素、トリス[(4−フルオロメチル)フェニル]硼素、トリメチル硼素、トリエチル硼素、トリ(n−ブチル)硼素、トリス(フルオロメチル)硼素、トリス(ペンタフルオロエチル)硼素、トリス(ノナフルオロブチル)硼素、トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)硼素、トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]硼素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)硼素、ビス(ペンタフルオロフェニル)フルオロ硼素、ジフェニルフルオロ硼素、ビス(ペンタフルオロフェニル)クロロ硼素、ジメチルフルオロ硼素、ジエチルフルオロ硼素、ジ(n−ブチル)フルオロ硼素、(ペンタフルオロフェニル)ジフルオロ硼素、フェニルジフルオロ硼素、(ペンタフルオロフェニル)ジフルオロ硼素、フェニルジフルオロ硼素、(ペンタフルオロフェニル)ジクロロ硼素、メチルジフルオロ硼素、エチルジフルオロ硼素、(n−ブチル)ジフルオロ硼素を挙げることができる。
【0048】
ここで、化合物(A)と化合物(B)との混合割合(モル比)は、化合物(B)として化合物(B−1)を用いた場合は10:1〜1:100、好ましくは2:1〜1:10、化合物(B−2)を用いた場合は1:1〜1:100,000、好ましくは1:10〜1:10,000である。
【0049】
化合物(A)と化合物(B−3)との混合割合(モル比)は1:0.1〜1:2,000、好ましくは1:0.2〜1:1,000、特に好ましくは1:0.5〜1:500である。また、化合物(B)としては、(B−1)、(B−2)及び(B−3)等を単独で用いることができるが、これらの二種以上を組合せて用いることもできる。
【0050】
(C)成分である有機アルミニウム化合物としては、下記一般式(IX)で示されるものを挙げることができる。
R17 rAlQ3-r …(IX)
(R17は炭素数1〜20、好ましくは1〜12のアルキル基、Qは水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルコキシ基又は炭素数6〜20のアリール基を示す。rは0〜3の整数である。)
式(IX)の化合物として、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムハイドライド,ジエチルアルミニウムハイドライド,エチルアルミニウムセスキクロリド等を挙げることができる。
【0051】
また、(C)成分の使用量は、(A)成分1モルに対し通常0〜2,000モル、好ましくは5〜1,000モル、特に好ましくは10〜500モルである。(C)成分を用いると重合活性の向上を図ることができるが、あまり多いと有機アルミニウム化合物が重合体中に多量に残存し好ましくない。
【0052】
触媒成分の使用態様には制限はなく、例えば(A)成分,(B)成分を予め接触させ、あるいはさらに接触生成物を分離,洗浄して使用してもよく、重合系内で接触させて使用してもよい。また、(C)成分は、予め(A)成分、(B)成分あるいは(A)成分と(B)成分との接触生成物と接触させて用いてもよい。接触は、あらかじめ接触させてもよく、重合系内で接触させてもよい。さらに、触媒成分は、モノマー、重合溶媒に予め加えたり、重合系内に加えることもできる。なお、触媒成分は、必要により無機あるいは有機の担体に担持して用いることもできる。
【0053】
反応原料に対する触媒の使用割合は、原料モノマー/上記(A)成分(モル比)あるいは原料モノマー/上記(B)成分(モル比)が1〜109、特に100〜107となることが好ましい。
【0054】
重合方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、気相重合等のいずれの方法を用いてもよい。また、バッチ法でも連続法でもよい。
重合溶媒としては、非芳香族系溶媒を用いる。例えば、シクロペンタン,メチルシクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサン,シクロオクタン等の脂環式炭化水素、ヘキサン,オクタン,デカン,ドデカン等の脂肪族炭化水素、クロロホルム,ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素等を用いることができる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上のものを組合せてもよい。また、α−オレフィン等のモノマーを溶媒として用いてもよい。
【0055】
重合条件に関し、重合温度は50〜250℃が好ましく、70〜220℃とすることがさらに好ましく、中でも80〜200℃が最も好ましい。
重合時間は通常1分〜10時間、反応圧力は常圧〜100kg/cm2G、好ましくは常圧〜50kg/cm2Gである。
共重合体の分子量の調節方法としては、各触媒成分の使用量や重合温度の選択、さらには水素存在下での重合反応によることができる。なお、得られる共重合体の濃度は、5〜500グラム/リットルが好ましく10〜400グラム/リットルがさらに好ましい。
【0059】
本発明の環状オレフィン系樹脂においては、上記のエチレンと環状オレフィン類との付加共重合体中に存在する二重結合の少なくとも一部を水素化することによって得られる水添物[a’]をも使用することができる。
【0060】
この環状オレフィン共重合体を、水素化(水添)する方法は、通常ポリマーの有機溶剤溶液中において行なう。この溶剤としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶剤が使用される。環状オレフィン系共重合体溶液の濃度は適宜定めうるが、通常0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の濃度で水素化が実施される。
本発明の方法において使用される水素化触媒としては、オレフィン化合物の水素化に際して一般に使用されている触媒であれば使用可能であり、特に制限されないが、たとえば次のようなものを挙げることができる。
【0061】
不均一系触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金またはこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた固体触媒、例えばニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナなどを挙げることができる。また、ニッケル系触媒としては、ラネーニッケル触媒など、白金系触媒では、酸化白金触媒、白金黒などを挙げることができる。均一系触媒としては、周期律表VIII族の金属を基体とするもの、例えばナフテン酸コバルト/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、ニッケルアセチルアセトネート/トリエチルアルミニウムなどのNi,Co化合物と周期律表IA,IIA,IIIB 族から選ばれる金属の有機金属化合物からなるもの、又はRh化合物などを挙げることができる。
また、エム・エス・サロアン(M.S.Saloan)らが開示しているチーグラー系水素化触媒(J.Am.Chem.Soc.,85,4014(1983))も有効に使用できる。これらの触媒としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。
Ti(O−iC3 H7 )4 −(iC4 H9 )3 Al、
Ti(O−iC3 H7 )4 −(C2 H5 )3 Al、
(C2 H5 )2 TiCl2 −(C2 H5 )3 Al、
Cr(acac)3 −(C2 H5 )3 Al、
Ni(acac)3 −(iC4 H9 )3 Al、
Mn(acac)3 −(C2 H5 )3 Al、
Fe(acac)3 −(C2 H5 )3 Al、
Ca(acac)2 −(C2 H5 )3 Al、
(C2 H5 COO)3 Co−(C2 H5 )3 Al、
水素添加(水素化)反応は、触媒の種類により均一系または不均一系で、1〜150気圧の水素圧化、0〜180℃、好ましくは20〜120℃の反応温度で実施される。水素添加率は、水素圧、反応温度、反応時間、触媒濃度等の反応条件を変えることによって0〜100%の範囲で任意に調節することができるが、上記環状オレフィン系共重合体水添物が優れた熱安定性を示すためには、共重合体中の不飽和結合の30%以上が水素添加されるのが好ましく、より好ましくは50%以上、更に好ましくは80%以上の水添率である。
後処理としては、水素化反応後、遠心分離、濾過あるいはチーグラー系触媒の場合は酸による触媒失活等によって触媒を除去し、次いで反応生成物を多量のアセトンまたはアルコールなどの極性溶剤中で沈殿させ、その後溶剤を除去、乾燥することによりオレフィン系共重合体の水素化物[a’]を得ることができる。
【0066】
▲4▼環状オレフィン系樹脂の諸物性
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂の、ガラス転移温度(Tg)は50℃以下であることが必要である。このような樹脂を用いれば、ガラス転移温度(Tg)以上の温度において柔らかく、優れた弾性回復性を有するフィルムやシートを得ることができるという効果がある。より好ましいガラス転移温度(Tg)は−30〜45℃、中でも−30〜40℃が最も好ましい。このガラス転移温度(Tg)は、目的とする用途、要求される物性に応じて重合体又は共重合体の単量体の種類、組成を変更することにより、任意に変えることができる。
【0067】
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜20dl/gであることが好ましい。極限粘度[η]が0.01dl/g未満であるとフィルムやシートの強度が低下することがあり、20dl/gを超えるとフィルムやシートへの成形性が悪くなることがある。より好ましい極限粘度[η]は0.05〜10dl/gである。
【0068】
また、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂の分子量は特に制限されるものではないが、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した重量平均分子量Mwが1,000〜2,000,000、特に5,000〜1,000,000、数平均分子量Mnが500〜1,000,000、特に2,000〜800,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.3〜3、特に1.4〜2.5であることが好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が3より大きくなると低分子量体の含有量が多くなり、フィルムやシートにしたときにべたつきの原因となることがある。
【0069】
また、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、X線回折法により測定した結晶化度が0〜40%であることが好ましい。結晶化度が40%を超えると、フィルムやシートの弾性回復性,透明性が低下することがある。より好ましい結晶化度は0〜30%、特に0〜25%である。
【0070】
また、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、DSCによるブロードな融解ピークが90℃未満であることが好適である。DSCによるシャープな融解ピークが90℃以上にあるような樹脂は、重合成分の配列のランダム性が不充分で、フィルムやシートに成形したときに弾性が不充分になることがある。なお、DSCによるブロードな融解ピークは、10〜85℃の範囲にあることがより好ましい。
DSC測定おいて、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂の融点(融解)ピークはシャープにはみられず、特に低結晶化度のものにあっては、通常のポリエチレンの測定条件レベルではほとんどピークがでない。
【0071】
また、本発明で用いられる本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、引張弾性率が3,000Kg/cm2未満であることが好ましい。引張弾性率が3,000Kg/cm2以上であると、フィルムやシートに用いた場合、耐衝撃性が不充分となることがある。より好ましい引張弾性率は50〜2,000Kg/cm2である。
【0072】
さらに、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、弾性回復率が20%以上であることが好ましく、さらに好ましくは、30%以上であり、中でも40%以上が最も好ましい。
20%未満であると、たとえば医療用輸液バッグに用いたときに外力によって輸液バッグの形状が崩れたり、部分的に膜厚が薄くなったりして強度が低下する。
【0073】
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂としては、上述した範囲の物性を有するもののみからなる樹脂であってもよく、上記範囲外の物性を有する樹脂が一部含まれているものであってもよい。前者の場合には、ガラス転移温度(Tg)が50℃以下である異なるTgを有する樹脂の混合物であってもよい。後者の場合には、全体の物性値が上記範囲に含まれていればよい。
【0074】
2.電子線又は放射線による処理
上述の方法で得られた環状オレフィン系樹脂又はその成形体に電子線又は放射線の照射処理をする。
この処理により、樹脂に架橋構造を付与することができるとともに、樹脂の滅菌を行なうことができる。
架橋を行うにあたっては、その架橋効率を高めるためにジアリルセパケートやトリアリルシアヌラート、N,N’−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド等を配合してもよい。
電子線の照射量は10〜50Mradが好ましいが、この範囲を外れても環状オレフィン系樹脂の性質が目的範囲を外れない限り特に問題はない。
【0075】
電子線又は放射線の種類
本発明に用いられる電子線又は放射線としては、特に制限はないが、たとえば放射性同位元素から放射されるα線、β線、及びγ線を挙げることができる。
また、ヴァン・デ・クラーク型電子加速器,コッククロフト・ウォルトン型電子加速器,絶縁変圧器型電子加速器,変圧器型ガス(油)絶縁方式電子加速器,冷陰極衝撃電圧型電子加速器,線状フィラメント型電子加速器等からの電子線又は放射線を挙げることができる。さらに、X線を挙げることができる。
【0076】
照射方法
照射方法としては特に制限はないが、たとえば、射出成形,押出成形,圧縮成形等の方法により予め樹脂に所定形状を付与し、その後照射することを挙げることができる。また、成形と同時に照射するいわゆるインライン方式であってもよい。
医療用放射線殺菌処理の場合は、予め所定形状を付与し、完全に密閉した状態で照射することが好ましい。
【0077】
このように、前述の環状オレフィン系樹脂に電子線または放射線を照射して、この樹脂を架橋することにより、たとえば、引張弾性率が50〜3,000kg/cm2 ,弾性回復率が20〜100%を維持しつつ、耐熱性,耐水性,耐薬品性に優れた環状オレフィン系樹脂を得ることができる。
【0078】
また、本発明で処理された環状オレフィン系樹脂は、メルトインデックス(MI)[190℃,荷重2.16kg,JIS−K7210]が0.1g/10分未満であることが好ましい。
0.1g/10分以上であると処理効果が不十分で耐熱性,耐水性,耐薬品性の改善効果が低い場合がある。
さらに好ましくは、0.0001〜0.08g/10分であり、中でも0.001〜0.05g/10分が最も好ましい。
【0079】
本発明においては、前記環状オレフィン系樹脂と、他の熱可塑性樹脂とからなる組成物をも用いることができる。
このような熱可塑性樹脂としては、特に制限はないが、具体的には、高密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン,直鎖低密度ポリエチレン等のポリエチレン、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体およびその金属塩、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、ポリ1−ブテン、1−ブテン・4−メチル−1ペンテン共重合体、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン等を挙げることができる。
また、熱可塑性樹脂としては、その他に、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン等)、ポリカーボネート、ポリアリーレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール等を使用することができる。
熱可塑性樹脂として特に好ましいのは、HDPE、LDPE、L−LDPE、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等である。
なお、熱可塑性樹脂は必要により二種以上を併用することができる。
このような熱可塑性樹脂を含有する組成物を用いることによってフィルムやシートの耐熱性,接着性を改良することができる。
この熱可塑性樹脂の配向割合については特に制限はなく、他の成分である環状オレフィン系樹脂の物性にもよるが、組成物全体の0.1〜99.9重量%特に0.5〜90重量%とすることが好ましい。
また、本発明においては、必要により、この熱可塑性樹脂のほかに他の樹脂、エラストマー等を配合することもできる。例えば、極性基含有ポリマーの添加により、染色性,帯電防止性,親水性を付与することができ、また、充填剤あるいは安定剤等の種々の添加剤を配合することもできる。配合可能な添加剤として、具体的には、下記のものを例示することができる。
【0080】
また、本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂には必要に応じて添加剤、たとえば分散剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、粘着付与剤、着色剤、発泡剤、発泡助剤、滑剤、老化防止剤、安定剤、スリップ剤、アンチグロッキング剤等を併用することができる。
充填剤としてはカーボンブラック、ホワイトカーボン(ケイ酸化合物)、炭酸カルシウム、タルク、クレー、などの無機充填剤;ハイスチレン樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、リグニン、変性メラミン樹脂、石油樹脂などの有機充填剤を挙げることができる。このうち特に無機充填剤が好ましく使用される。
軟化剤としては、プロセス油、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤;コールタール、コルタールピッチなどのコルタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤;トール油;サブ;密ロウ、カルナウバロウ、ラノリンなどのロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛などの脂肪酸および脂肪酸塩;石油樹脂などの合成高分子物質;を挙げることができる。
可塑剤としては、フタール酸エステル系、アジピン酸エステル系、セバシン酸エステル系、リン酸系など、粘着付与剤としては、クマロンインデン樹脂、テルベン・フェノール樹脂、キシレン・ホルマリン樹脂など、着色剤としては、無機および有機顔料など、発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、カルシウムアミド、パラトルエンスルホニルアジドなど、発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸などを使用することができる。
又、配合物の製造はオーブンロールミル、バンバリーミキサー、ニーダー、カレンダーロール、一軸又は二軸押出機などを用いる公知の方法を採用できる。
【0081】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
参考例1(エチレンと2−ノルボルネンとの共重合)
窒素雰囲気下、室温において、30リットルのオートクレーブにトルエン15リットル、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)23ミリモル、テトラブトキシジルコニウム38マイクロモル、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸アニリニウム60マイクロモルをこの順番に入れ、続いて2−ノルボルネンを70重量%含有するトルエン溶液2.9リットル(2−ノルボルネンとして19モル)を加えた。80℃に昇温した後、エチレン分圧が7.5kg/cm2 になるように連続的にエチレンを導入しつつ、110分間反応を行なった。
反応終了後、ポリマー溶液を15リットルのメタノール中に投入してポリマーを析出させた。このポリマーを濾取して乾燥し、環状オレフィン系共重合体(a1)を得た。
環状オレフィン系共重合体(a1)の収量は、3.21kgであった。重合活性は928kg/gZrであった。
【0082】
得られた環状オレフィン系共重合体(a1)の物性は下記の通りであった
13C−NMRの30ppm付近に現われるエチレンに基づくピークとノルボルネンの5及び6位のメチレンに基づくピークの和と32.5ppm付近に現われるノルボルネンの7位のメチレン基に基づくピークとの比から求めたノルボルネン含量は10.1モル%であった。
135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、1.03dl/g、X線回折法により求めた結晶化度は2.0%であった。
測定装置として東洋ボールディング社製パイプロン11−EA型を用い、巾4mm,長さ40mm,厚さ0.1mmの測定片を昇温速度3℃/分、周波数3.5Hzで測定し、この時の損失弾性率(E”)のピークからガラス転移温度(Tg)を求めたところ、Tgは4℃であった。
測定装置としてウォーターズ社製ALC/GPC150Cを用い、1,2,4−トリクロルベンゼン溶媒、135℃で、ポリエチレン換算で重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、分子量分布(Mw/Mn)を求めたところ、Mwは62,300、Mnは33,900、Mw/Mn=1.84であった。
パーキンエルマー社製7シリーズのDSCによって10℃/分の昇温速度で、−50℃〜150℃の範囲で融点(Tm)を測定したところ、Tmは78℃(ブロードなピーク)であった。
【0083】
参考例2
窒素雰囲気下、室温において、30リットルのオートクレーブにトルエン15リットル、メチルアルミノキサン19ミリモル、テトラブトキシジルコニウム38マイクロモルをこの順番に入れ、続いて2−ノルボルネンを70重量%含有するトルエン溶液1.14リットル(2−ノルボルネンとして7.5モル)を加えた。90℃に昇温した後、エチレン分圧が6kg/cm2 になるように連続的にエチレンを導入しつつ、110分間反応を行った。
反応終了後、ポリマー溶液をメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾取、乾燥して環状オレフィン系共重合体(a2)を得た。
(a2)の収量は、2.75kgであった。重合活性は793kg/gZrであった。
また、参考例1と同様にして求めたノルボルネン含量は5.6モル%、極限粘度[η]は1.20dl/g、結晶化度は4.3%、Tgは1℃、Mwは73,500、Mnは36,800、Mw/Mnは2,00、Tmは90℃(ブロードなピーク)であった。
【0084】
実施例1,2および比較例1,2
参考例で得られた環状オレフィン系共重合体a1およびa2,直鎖状低密度ポリエチレンを用い30mmφ,L/D=25の単軸押出機を用いてTダイキャスト成形を行って幅300mm,厚さ100μmのシートを得た。次にa1,a2,直鎖状低密度ポリエチレンのシートおよび軟質塩化ビルニシート(旭化成社製100μm)を用いて、これに1Mrad/時間のγ線を5時間照射し、γ線照射前後の物性を比較した。結果を表1に示す。
この表から、本発明で得られる環状オレフィン系共重合体を用いて成形したシートはMIが0.1g/10分未満となるとともに黄変が少ないことがわかる。なお、物性の測定は下記によった。
引張弾性率(kg/cm 2 )
オートグラフを用いてJIS−K7113に従って行なった。
引張破断強度(kg/cm 2 )
オートグラフを用いてJIS−K7113に従って行なった。
弾性回復率(%)
オートグラフを用い、引張速度62mm/分で、幅6mm,クランプ間50mm(L0 )の測定片を150%伸ばして引張り、5分間そのままの状態を保った後、はね返させることなく急に収縮させ、1分間後にクランプ間のシートの長さ(L1 )を測定し、下記式により求めた。
弾性回復率(%)=[1−{L1 −L0 }/L0 ]×100
メルトインデックス(MI)
190℃,2.16kgの条件でJIS−K7210に準じて測定を行なった。
全光線透過率(%),ヘイズ(%)
ディジタルヘイズコンピューター(DIGITAL HAZE COMPUTER )(スガ試験機株式会社製)を用いてJIS−K7105
黄変度
試料の色相を測定し、黄色度(YI)を計算した。試料の、電子線又は放射線の照射の前後における黄色度(YI)の差を黄変度とした。
【0085】
【表1】
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の環状オレフィン系樹脂の処理方法によれば、耐水性、耐薬品性等の諸物性に優れているとともに、十分な弾性、柔軟性をも兼ね備えた環状オレフィン系樹脂を得ることができる。
Claims (4)
- α−オレフィンと環状オレフィンとを付加重合してなる共重合体[a]及びこの水素添加物[a’]からなる群から選ばれる、ガラス転移温度(Tg)が50℃以下であり、引張弾性率が3,000kg/cm 2 未満である一以上の環状オレフィン系樹脂を、電子線又は放射線によって処理することを特徴とする環状オレフィン系樹脂の処理方法。
- 前記、処理前の環状オレフィン系樹脂が、α−オレフィン及び環状オレフィンとのモル%が、80:20〜99.9:0.1であることを特徴とする請求項1記載の環状オレフィン系樹脂の処理方法。
- 請求項1又は2記載の処理方法によって得られる環状オレフィン系樹脂架橋体。
- メルトインデックス[MI](190℃,2.16kg)が0.1グラム/10分未満、引張弾性率が50〜3,000kg/cm2、弾性回復率が20〜100%であることを特徴とする請求項3記載の環状オレフィン系樹脂架橋体。
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