JP4945888B2 - 複合体およびその製造方法 - Google Patents

複合体およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4945888B2
JP4945888B2 JP2004178468A JP2004178468A JP4945888B2 JP 4945888 B2 JP4945888 B2 JP 4945888B2 JP 2004178468 A JP2004178468 A JP 2004178468A JP 2004178468 A JP2004178468 A JP 2004178468A JP 4945888 B2 JP4945888 B2 JP 4945888B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cross
group
carbon nanotube
producing
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004178468A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005133062A (ja
Inventor
美穂 渡辺
健太郎 岸
力 真鍋
一則 穴澤
昌記 平方
大志 重松
浩之 渡邊
隆司 磯崎
茂樹 大間
晋輔 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd, Fujifilm Business Innovation Corp filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2004178468A priority Critical patent/JP4945888B2/ja
Priority to EP04021371A priority patent/EP1522552B1/en
Priority to US10/935,244 priority patent/US7695769B2/en
Priority to DE602004027978T priority patent/DE602004027978D1/de
Publication of JP2005133062A publication Critical patent/JP2005133062A/ja
Priority to US12/656,496 priority patent/US8052952B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP4945888B2 publication Critical patent/JP4945888B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K7/00Use of ingredients characterised by shape
    • C08K7/22Expanded, porous or hollow particles
    • C08K7/24Expanded, porous or hollow particles inorganic
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K2201/00Specific properties of additives
    • C08K2201/011Nanostructured additives
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/25Web or sheet containing structurally defined element or component and including a second component containing structurally defined particles

Description

本発明は、カーボンナノチューブ構造体とポリマーとが複合された複合体(以下、ナノチューブ・ポリマー複合体という場合がある。)およびその製造方法に関する。
特開平7−102112号公報 特表2002−503204号公報
カーボンナノチューブ(CNT)は、その特異な形状や特性ゆえに、様々な応用が考えられている。カーボンナノチューブの形状は炭素原子の六員環で構成されるグラフェンシートを巻いた1次元性を有する筒状であり、グラフェンシートが1枚の構造のカーボンナノチューブを単層ナノチューブ(SWNT)、多層の場合を多層ナノチューブ(MWNT)と呼ぶ。SWNTは直径約1nm、多層カーボンナノチューブは数十nm程度であり、従来のカーボンファイバーと呼ばれる物よりも極めて細い。
また、カーボンナノチューブは、マイクロメートルオーダーの長さを有し、直径とのアスペクト比が非常に大きいことが特徴的である。さらに、カーボンナノチューブは炭素原子の六員環の配列が螺旋構造をとることから、金属性と半導体性の両方の性質を有するという、極めて希有な特性を有する物質である。加えて、カーボンナノチューブの電気伝導性は極めて高く、電流密度に換算すると100MA/cm2以上の電流を流すことができる。
カーボンナノチューブは、電気的特性だけではなく、機械的性質についても優れた点を有する。すなわち、炭素原子のみで構成されているため、非常に軽量であるにもかかわらず、1TPaを越えるヤング率を有し、極めて強靱である。また、ケージ物質であるために弾力性・復元性にも富んでいる。このように、カーボンナノチューブは様々な優れた性質を有するため、工業材料として、極めて魅力的な物質である。
これまでに、カーボンナノチューブの優れた特性を利用した応用研究が数多く行われている。樹脂の強化や伝導性複合材料としてカーボンナノチューブを添加したり、走査プローブ顕微鏡の探針として利用されたりしている。また、微小電子源として、電界放出型電子素子やフラットディスプレィとしてカーボンナノチューブが利用され、さらに水素貯蔵への応用が進められている。
このように、カーボンナノチューブは、種々の応用が考えられるが、最近では色々な材料として用いられるポリマー樹脂の充填剤(フィラー)としての応用が考えられている。
従来からポリマーに導電性、力学的強度、難燃性などの機能を付与するために、さまざまなフィラーを添加させることが行われてきた。
例えば、導電性を付与させる場合、ポリカーボネートなどのポリマーやブタジエンゴムのようなエラストマーに、カーボンブラックや炭素繊維、金属酸化物等の導電性フィラーを配合することが行われてきた。高い導電性を付与するため導電性材料の配合を増加させた場合、成形性の低下や衝撃強度などの力学的特性の大幅な低下といった問題が生じていた。
これらの問題を解決するため、最近では気相成長炭素繊維やカーボンナノチューブ等を樹脂に配合することが行われている(例えば特許文献1)。
カーボンナノチューブは従来のカーボン系導電性フィラーに比べ導電性が高く、また、アスペクト比が高いために樹脂中にネットワーク構造を形成しやすく、非常に微細で単位重量あたりの本数が多くなるといった特徴を有する。このため、従来のカーボン系導電性フィラーと同程度樹脂に配合した場合、より高い導電性の樹脂組成物を得ることができるとされている。
しかし、上記の方法では樹脂中でカーボンナノチューブは凝集体または絡み合いを形成してしまい、均一にナノチューブを分散させること、ナノチューブの充填量(密度)をあげることが難しいという問題点があった。その結果、導電率が不均一になり安定した導電性を有する樹脂組成物を得ることができないという問題もあった。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを課題とする。詳しくは、本発明の目的は、カーボンナノチューブ構造体の特性を効果的に活用できるナノチューブ・ポリマー複合体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の複合体は、官能基が結合された複数のカーボンナノチューブの前記官能基間を化学結合させて相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体と前記網目構造中の空隙を満たすように充填されたポリマーとから構成され
前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋する架橋部位が、−COO(CH 2 2 OCO−、−COOCH 2 CHOHCH 2 OCO−、−COOCH 2 CH(OCO−)CH 2 OH、−COOCH 2 CH(OCO−)CH 2 OCO−、−COOCO−、−O−、−NHCO−、−COO−、−NCH−、−NH−、−S−、−O−、−NHCOO−、および、−S−S−からなる群より選択されるいずれかの化学構造であることを特徴とする。
上記カーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブが相互に架橋したカーボンナノチューブだけで構成させる網目状の構造体である。このカーボンナノチューブの網目状構造体にポリマー液を含浸させ、硬化させることで複合体を形成する。従ってポリマー中でカーボンナノチューブのネットワークが確実に形成されており、安定した導電性を有する樹脂組成物を得ることが可能である。
本発明のナノチューブ・ポリマー複合体は、複数のカーボンナノチューブが複数の架橋部位を介して網目構造の状態となったカーボンナノチューブ構造体を用いるので、単なるカーボンナノチューブをポリマー中に充填させたときのように、カーボンナノチューブ同士の絡みあいの接触状態に依存して電気特性や機械特性が不安定になることがなく、また分離したナノチューブ同士で発生しやすかった凝集や低分散性による、複合体中のナノチューブの局在化が防止されることとなり、より均質な構造となる。この結果、カーボンナノチューブの充填による効果をより均等に得ることができる。
本発明において、ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ等の各種樹脂を挙げることができる。
ポリマーの中でもエラストマーは、ブタジエンゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム等が加工性の容易さ、複合体の力学強度の増強の効果、カーボンナノチューブとの親和性の点で好ましい。
前記カーボンナノチューブ構造体は、官能基が結合された複数のカーボンナノチューブを含む溶液を硬化させることにより、前記カーボンナノチューブが接続された複数の前記官能基間を化学結合させて架橋部位が形成されてなるものであることが好ましい。
このうち、前記架橋部位として好ましい第1の構造は、前記溶液中に含まれる架橋剤により複数の前記官能基間を架橋した構造であり、該架橋剤は非自己重合性であることがより好ましい。
前記カーボンナノチューブ構造体を、このように溶液硬化により形成すると、前記カーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位は、前記官能基の架橋反応後に残存する残基同士を、前記架橋剤の架橋反応後に残存する残基である連結基で連結した架橋構造を形成することができる。
前記架橋剤の特性として、それら同士が重合反応をするような性質(自己重合性)を有すると、当該架橋剤自身が2つ以上連結した重合体を前記連結基が含む状態となってしまう場合があり、カーボンナノチューブ構造体中に占める実質的なカーボンナノチューブの密度が低くなるため、導電性材料としては、電気伝導性や機械的強度が十分に得られない場合がある。
一方、前記架橋剤が非自己重合性であれば、カーボンナノチューブ相互の間隔を、使用した架橋剤の残基のサイズに制御することができるため、所望のカーボンナノチューブのネットワーク構造を高い再現性で得られるようになる。さらに架橋剤の残基のサイズを小さくすれば、電気的にも物理的にも極めて近接した状態に、カーボンナノチューブ相互の間隔を構成することができ、また、構造体中のカーボンナノチューブを密に構造化できる。
したがって、前記架橋剤が非自己重合性であれば、本発明における前記カーボンナノチューブ構造体を、カーボンナノチューブ自身が有する電気特性ないし機械的特性を極めて高い次元で発揮することができるものとすることができる。
なお、本発明において「自己重合性」とは、架橋剤同士が、水分等他の成分の存在の下、あるいは他の成分の存在なしに、相互に重合反応を生じ得る性質をいい、「非自己重合性」とは、そのような性質を有しないことを言う。
なお、前記架橋剤として非自己重合性のものを選択すれば、本発明の複合体におけるカーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位が、主として同一の架橋構造となる。また、前記連結基としては、炭化水素を骨格とするものが好ましく、その炭素数としては2〜10個とすることが好ましい。この炭素数を少なくすることで、架橋部位の長さが短くなり、カーボンナノチューブ相互の間隙をカーボンナノチューブ自体の長さと比較して十分に近接させることができ、実質的にカーボンナノチューブのみから構成される網目構造のカーボンナノチューブ構造体を得ることができる。
前記官能基としては、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することが好ましく、その場合、前記架橋剤として、選択された前記官能基と架橋反応を起こし得るものを選択する。
また、好ましい前記架橋剤としては、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミドおよびポリイソシアネートを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤を選択することが好ましく、その場合、前記官能基として、選択された前記架橋剤と架橋反応を起こし得るものを選択する。
上記好ましい前記官能基として例示された群、および、上記好ましい前記架橋剤として例示された群より、それぞれ少なくとも1つの官能基および架橋剤を、相互に架橋反応を起こし得る組み合わせとなるように選択することが好ましい。
前記官能基としては、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)を特に好適なものとして挙げることができる。カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入することは、比較的容易であり、しかも得られる物質(カーボンナノチューブカルボン酸)は、反応性に富むため、その後エステル化して官能基を−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)とすることは比較的容易である。この官能基は架橋反応しやすく、カーボンナノチューブ構造体の形成に適している。
また、当該官能基に対応する前記架橋剤として、ポリオールを挙げることができる。ポリオールは、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)との反応により硬化し、容易に強固な架橋体を形成する。ポリオールの中でも、グリセリンやエチレングリコールは、上記官能基との反応性が良好であることは勿論、それ自体生分解性が高く、環境に対する負荷が小さい。
前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋する架橋部位は、前記官能基が−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)であり、前記架橋剤としてエチレングリコールを用いた場合、−COO(CH22OCO−となり、前記架橋剤としてグリセリンを用いた場合、OH基2つが架橋に寄与すれば−COOCH2CHOHCH2OCO−あるいは−COOCH2CH(OCO−)CH2OHとなり、OH基3つが架橋に寄与すれば−COOCH2CH(OCO−)CH2OCO−となる。架橋部位の化学構造は上記4つからなる群より選ばれるいずれかの化学構造であっても構わない。
また、カーボンナノチューブ構造体の架橋部位の構造として好ましい第2の構造は、複数の官能基同士の化学結合により形成されている構造である。そして、化学結合を生ずる反応が、脱水縮合、置換反応、付加反応および酸化反応のいずれかであることがより好ましい。
このカーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブ同士を、このカーボンナノチューブに結合された官能基同士を化学結合を作ることにより架橋部位を形成して網目状の構造体を形成しているため、結合させる官能基によってカーボンナノチューブ間を結合させる架橋部位のサイズが一定となる。カーボンナノチューブは極めて安定な化学構造であるため、修飾させようとした官能基以外の官能基等が結合する可能性は低く、この官能基同士を化学結合させた場合は、設計した架橋部位の構造とすることができ、カーボンナノチューブ構造体を均質なものとすることができる。
さらに、官能基同士の化学結合であることから、官能基間を架橋剤を用いて架橋した場合に比べて、カーボンナノチューブ間の架橋部位の長さを短くできるので、カーボンナノチューブ構造体が密となり、カーボンナノチューブ特有の効果を奏しやすくなる。
また、本発明において、カーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブが複数の架橋部位を介して網目構造の状態となっているので、単なるカーボンナノチューブの分散膜や樹脂分散膜のように、カーボンナノチューブ同士が偶発的に接触しているだけで、実質的に孤立した状態の材料とは異なり、カーボンナノチューブの優れた特性を安定的に活用することができる。
前記複数の官能基同士の化学結合による架橋部位の構造としては、縮合反応では、−COOCO−、−O−、−NHCO−、−COO−および−NCH−から選ばれる一つ、置換反応では−NH−、−S−および−O−から選ばれる少なくとも一つ、付加反応では−NHCOO−、酸化反応では、−S−S−であることが好ましい。
また、反応前にカーボンナノチューブに結合させる前記官能基としては、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−X、−COX(Xはハロゲン原子)、−SH、−CHO、−OSO2CH3、−OSO2(C64)CH3−NH2および−NCOを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することが好ましい。
前記官能基としては、−COOHを特に好適なものとして挙げることができる。カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入することは、比較的容易である。しかも得られる物質(カーボンナノチューブカルボン酸)は、反応性に富み、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等の脱水縮合剤を利用することで、容易に縮合反応をおこし、カーボンナノチューブ構造体の形成に適する。
なお、複数のカーボンナノチューブとしては、電気伝導性の高い多層カーボンナノチューブであることが、ナノチューブ・ポリマー複合体の電気伝導度を高める点で好ましく、また官能基を結合させる場合に、内層のグラフェンシート構造の破壊が少ない点から、ナノチューブの特性を劣化させにくい点で好ましい。
(製造方法)
次に、本発明のナノチューブ・ポリマー複合体の製造方法は、官能基が結合された複数のカーボンナノチューブを含む溶液を基体表面に供給する供給工程と、複数の前記官能基間を化学結合させて、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体を形成する架橋工程と、前記網目構造中にポリマー液を含浸させる含浸工程と、前記ポリマー液を硬化させて、前記カーボンナノチューブ構造体とポリマーとを複合化する複合化工程とを含むことを特徴とする。
本発明においては、まず基体上に、官能基を有するカーボンナノチューブを含む溶液(以下、「架橋溶液」又は「架橋塗布液」という場合がある。)を供給する工程で、基体の全面あるいはその表面の一部に、架橋溶液による構造体(膜、層、塊等の態様が挙げられる。)を形成する。そして、続く架橋工程で、この供給後による架橋溶液を硬化して、官能基間の化学結合を介して前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体を形成する。この2つの工程を経ることで、前記基体上において、カーボンナノチューブ構造体の構造自体を安定化させる。
引き続き、形成されたカーボンナノチューブ構造体の網目構造中にポリマー液を含浸させ、硬化させることで、カーボンナノチューブ構造体とポリマーとを複合化する
このとき含浸方法としては、ポリマー液の滴下、塗布等による特定箇所を含浸させる方法、カーボンナノチューブ構造体が支持される基体をポリマー液中にディップする方法がある。また、カーボンナノチューブ構造体を基体と分離したのち、カーボンナノチューブ構造体自体をポリマー液中に分散させる方法もある。前者は基体の表面積程度の領域で複合体が形成されるので比較的小面積での形成に適しており、後者ではカーボンナノチューブ構造体が基板から分離された後分散させるので、大きいサイズの複合体を形成するのに適している。
ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ等の各種樹脂を挙げることができる。
ポリマーの中でもエラストマーを用いる場合には、ブタジエンゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム等が好ましい例として挙げられる。
ただし、カーボンナノチューブとポリマーの親和性を考慮して選択する。カーボンナノチューブの表面は疎水性であるため、疎水性のポリマーが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルが挙げられる。
次に、カーボンナノチューブ構造体の形成方法について述べる。官能基間の化学結合を形成するとき、架橋部位を形成するのに好ましい第1の方法は、前記溶液中に含まれる架橋剤により複数の前記官能基間を架橋する方法であり、該架橋剤は非自己重合性であることがより好ましい。
本発明のナノチューブ・ポリマー複合体の製造方法において、架橋剤を用いて架橋部位を形成するときの、前記官能基としては、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することが好ましく、その場合、前記架橋剤として、選択された前記官能基と架橋反応を起こし得るものを選択する。
また、好ましい前記架橋剤としては、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミドおよびポリイソシアネートを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤を選択することが好ましく、その場合、前記官能基として、選択された前記架橋剤と架橋反応を起こし得るものを選択する。
上記好ましい前記官能基として例示された群、および、上記好ましい前記架橋剤として例示された群より、それぞれ少なくとも1つの官能基および架橋剤を、相互に架橋反応を起こし得る組み合わせとなるように選択することが好ましい。
前記官能基としては、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)を特に好適なものとして挙げることができる。カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入することは、比較的容易であり、しかも得られる物質(カーボンナノチューブカルボン酸)は、反応性に富むため、その後エステル化して官能基を−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)とすることは比較的容易である。この官能基は架橋反応しやすく、カーボンナノチューブ構造体の形成に適している。
また、当該官能基に対応する前記架橋剤として、ポリオールを挙げることができる。ポリオールは、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)との反応により硬化し、容易に強固な架橋体を形成する。ポリオールの中でも、グリセリンやエチレングリコールは、上記官能基との反応性が良好であることは勿論、それ自体生分解性が高く、環境に対する負荷が小さい。
また、架橋部位を形成する第2の方法は、複数の前記官能基同士を化学結合させる方法である。
このようにすることで、結合させる官能基によってカーボンナノチューブ間を結合させる架橋部位のサイズが一定となる。カーボンナノチューブは極めて安定な化学構造であるため、修飾させようとした官能基以外の官能基等が結合する可能性は低く、この官能基同士を化学結合させた場合は、設計した架橋部位の構造とすることができ、カーボンナノチューブ構造体を均質なものとすることができる。
さらに、官能基同士の化学結合であることから、官能基間を架橋剤を用いて架橋した場合に比べて、カーボンナノチューブ間の架橋部位の長さを短くできるので、カーボンナノチューブ構造体が密となり、カーボンナノチューブ特有の効果を奏しやすくなる。
官能基同士を化学結合させる反応としては、縮合反応、置換反応、付加反応、酸化反応が特に好ましい。
なお、本発明のナノチューブ・ポリマー複合体の製造方法において使用する前記複数のカーボンナノチューブとしては、電気伝導性の高い多層カーボンナノチューブとすると、官能基を結合させる場合に、内層のグラフェンシート構造の破壊が少ない点から、カーボンナノチューブの特性を劣化させにくい点で好ましい。
本発明によれば、カーボンナノチューブ特有の良好な機械的特性を有するとともに、電気および熱伝導性の高いカーボンナノチューブとポリマーの複合体を形成することが可能になり、ナノチューブ・ポリマー複合体の用途が拡がる。
以下に、本発明の実施の形態について、ナノチューブ・ポリマー複合体とその製造方法とに分けて具体的に説明する。
[ナノチューブ・ポリマー複合体]
本発明のナノチューブ・ポリマー複合体は、網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体と前記網目構造中の空隙を満たすように充填されたポリマーとから構成されたものである。形態としては、大きく2つあり、(1)ポリマー中に充填材として、網目構造を有する複数のカーボンナノチューブ構造体が分散されているもの、(2)カーボンナノチューブ構造体の外形と同程度のポリマーがカーボンナノチューブの網目構造中に充填されているもの、がある。(1)の場合は、カーボンナノチューブ構造体は基板上に支持された状態でも構わないが、(2)の場合にはカーボンナノチューブ構造体は製造過程で利用した支持基板から剥離した後充填される方が好ましい。以下、説明では特に(1)の形態を中心に説明する。
図1にナノチューブ・ポリマー複合体10の模式図を示す。カーボンナノチューブ構造体1は複数のカーボンナノチューブ11が架橋されて構成され、この架橋部位12がカーボンナノチューブに接続された官能基間を化学結合することで、網目構造に形成されている。円で囲んだ複合体の領域を拡大模式図で示した。ただし、実際は官能基はカーボンナノチューブの長さに対して十分に小さいため、架橋部分が目視できず、カーボンナノチューブ同士が近接している。この結果、このカーボンナノチューブ構造体1ではカーボンナノチューブの配置が立体的な配位を維持することで、カーボンナノチューブ同士がバンドル化して、局在化することが防止される。また、カーボンナノチューブは強靭である一方で柔軟性を有しており、カーボンナノチューブ構造体1も殆どがカーボンナノチューブで構成されていることからこのような特性を引き継いで、柔軟かつ強靭なフィラーとして作用する。このようなカーボンナノチューブ構造体1を、ポリマー2中に分散して形成された複合材料は、単にカーボンナノチューブを分散した場合と比べて、全体的に、ポリマーの強度の向上とともに、カーボンナノチューブの有する電気あるいは熱の伝導作用を複合材に生じさせることが可能になる。
<ポリマー>
ポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ等の各種樹脂を挙げることができる。また、ポリマーのうちエラストマーを用いる場合は、ブタジエンゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム等が挙げられる。
<カーボンナノチューブ構造体>
本発明において「カーボンナノチューブ構造体」とは、複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成する構造体である。相互に架橋した網目構造を構成するようにカーボンナノチューブの構造体を形成することができれば、当該カーボンナノチューブ構造体は如何なる方法で形成されたものであっても構わないが、後述する本発明のナノチューブ・ポリマー複合体の製造方法により製造されたものであることが、容易に製造可能であるとともに、高性能なナノチューブ・ポリマー複合体を得ることができ、しかも特性の均一化や制御が容易である。
後述するナノチューブ・ポリマー複合体の充填剤として用いられる前記カーボンナノチューブ構造体の第1の構造は、官能基を有するカーボンナノチューブおよび前記官能基と架橋反応を起こす架橋剤を含む溶液(架橋溶液)を硬化させることにより、前記カーボンナノチューブが有する前記官能基と前記架橋剤とを架橋反応させて架橋部位が形成されてなるものである。また、カーボンナノチューブ構造体の第2の構造は、官能基を有するカーボンナノチューブの官能基同士が化学結合して架橋部位が形成されてなるものである。
以下、当該製造方法による例を挙げて、本発明のナノチューブ・ポリマー複合体における前記カーボンナノチューブ構造体について説明する。なお、特に説明しない場合は、架橋部位の構造を問わない事項である。
(カーボンナノチューブ)
本発明において、主要な構成要素であるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブでも、二層以上の多層カーボンナノチューブでも構わない。いずれのカーボンナノチューブを用いるか、あるいは双方を混合するかは、ナノチューブ・ポリマー複合体の用途により、あるいはコストを考慮して、適宜、選択すればよい。
また、単層カーボンナノチューブの変種であるカーボンナノホーン(一方の端部から他方の端部まで連続的に拡径しているホーン型のもの)、カーボンナノコイル(全体としてスパイラル状をしているコイル型のもの)、カーボンナノビーズ(中心にチューブを有し、これがアモルファスカーボン等からなる球状のビーズを貫通した形状のもの)、カップスタック型ナノチューブ、カーボンナノホーンやアモルファスカーボンで外周を覆われたカーボンナノチューブ等、厳密にチューブ形状をしていないものも、本発明においてカーボンナノチューブとして用いることができる。
さらに、カーボンナノチューブ中に金属等が内包されている金属内包ナノチューブ、フラーレンまたは金属内包フラーレンがカーボンナノチューブ中に内包されるピーポッドナノチューブ等、何らかの物質をカーボンナノチューブ中に内包したカーボンナノチューブも、本発明においてカーボンナノチューブとして用いることができる。
以上のように、本発明においては、一般的なカーボンナノチューブのほか、その変種や、種々の修飾が為されたカーボンナノチューブ等、いずれの形態のカーボンナノチューブでも、その反応性から見て問題なく使用することができる。したがって、本発明における「カーボンナノチューブ」には、これらのものが全て、その概念に含まれる。
これらカーボンナノチューブの合成は、従来から公知のアーク放電法、レーザーアブレーション法、CVD法のいずれの方法によっても行うことができ、本発明においては制限されない。これらのうち、高純度なカーボンナノチューブが合成できるとの観点からは、磁場中でのアーク放電法が好ましい。
用いられるカーボンナノチューブの直径としては、0.3nm以上100nm以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの直径が、当該範囲を超えると、合成が困難であり、コストの点で好ましくない。カーボンナノチューブの直径のより好ましい上限としては、30nm以下である。
一方、一般的にカーボンナノチューブの直径の下限としては、その構造から見て、0.3nm程度であるが、あまりに細すぎると合成時の収率が低くなる点で好ましくない場合もあるため、1nm以上とすることがより好ましく、10nm以上とすることがさらに好ましい。
用いられるカーボンナノチューブの長さとしては、0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの長さが、当該範囲を超えると、合成が困難、もしくは、合成に特殊な方法が必要となりコストの点で好ましくなく、当該範囲未満であると、一本のカーボンナノチューブにおける架橋結合点数が少なくなる点で好ましくない。カーボンナノチューブの長さの上限としては、10μm以下であることがより好ましく、下限としては、1μm以上であることがより好ましい。
前記架橋溶液におけるカーボンナノチューブの含有量としては、カーボンナノチューブの長さ・太さ、単層か多層か、有する官能基の種類・量、架橋剤もしくは官能基同士の結合のための添加剤の種類・量、溶剤やその他添加剤の有無・種類・量、等により一概には言えず、硬化後良好なカーボンナノチューブ構造体が形成される程度に高濃度であることが望まれるが、塗布適性が低下するので、あまり高くし過ぎないことが望ましい。
また、具体的なカーボンナノチューブの割合としては、既述の如く一概には言えないが、官能基の質量は含めないで、架橋溶液全量に対し0.01〜10g/l程度の範囲から選択され、0.1〜5g/l程度の範囲が好ましく、0.5〜1.5g/l程度の範囲がより好ましい。
使用しようとするカーボンナノチューブの純度が高く無い場合には、架橋溶液の調製前に、予め精製して、純度を高めておくことが望ましい。本発明においてこの純度は、高ければ高いほど好ましいが、具体的には90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。純度が低いと、不純物であるアモルファスカーボンやタール等の炭素生成物に架橋剤が架橋して、カーボンナノチューブ間の架橋距離が変動してしまい、所望の特性を得られない場合があるためである。カーボンナノチューブの精製方法に特に制限はなく、従来公知の方法をいずれも採用することができる。
かかるカーボンナノチューブには、所定の官能基が付加された状態で、カーボンナノチューブ構造体の形成に供される。このとき付加される官能基としては、カーボンナノチューブ構造体を形成するのに、既述の第1の方法によるか、第2の方法によるかにより、好ましいものが異なってくる(前者の場合を「官能基1」、後者の場合を「官能基2」とする)。
なお、カーボンナノチューブへの官能基の導入方法については、後述の(架橋溶液の調製方法)の項において説明する。
以下、第1の方法と第2の方法に分けて、カーボンナノチューブ構造体の形成に供し得る構成成分について説明する。
(第1の方法の場合)
架橋部位を架橋剤を用いて形成する第1の方法では、カーボンナノチューブに接続される官能基としては、カーボンナノチューブに化学的に付加させることができ、かつ、何らかの架橋剤により架橋反応を起こし得るものであれば、特に制限されず、如何なる官能基であっても選択することができる。具体的な官能基としては、−COOR、−COX、−MgX、−X(以上、Xはハロゲン)、−OR、−NR12、−NCO、−NCS、−COOH、−OH、−NH2、−SH、−SO3H、−R''CH2OH、−CHO、−CN、−COSH、−SR、−SiR’3(以上、R、R1、R2、R’およびR''は、それぞれ独立に、置換または未置換の炭化水素基である。R、R1、R2、およびR’は、1価の炭化水素基であって、それぞれ独立に、好ましくは−Cn2n-1、又は−Cn2n+1から選ばれ、nは1〜10の整数である。中でもより好ましくは、メチル基、又はエチル基である。R''は、2価の炭化水素基であって、好ましくは−Cn2n−から選ばれ、nは1〜10の整数である。中でもより好ましくは、メチレン基、又はエチレン基である。)等の基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基である。Rは、好ましくは−Cn2n-1、又は−Cn2n+1から選ばれ、nは1〜10の整数である。中でもより好ましくは、メチル基、又はエチル基である。)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することが好ましく、その場合、前記架橋剤として、選択された前記官能基と架橋反応を起こし得るものを選択する。
特に、−COOR(Rは、上記と同様である。)は、カルボキシル基がカーボンナノチューブへの導入が比較的容易で、それにより得られる物質(カーボンナノチューブカルボン酸)をエステル化させることで容易に官能基として導入することができ、しかも、架橋剤による反応性も良好であることから、特に好ましい。
官能基−COORにおけるRは、置換または未置換の炭化水素基であり特に制限は無いが、反応性、溶解度、粘度、架橋溶液の溶剤としての使いやすさの観点から、炭素数が1〜10の範囲のアルキル基であることが好ましく、1〜5の範囲のアルキル基であることがより好ましく、特にメチル基またはエチル基が好ましい。
官能基の導入量としては、カーボンナノチューブの長さ・太さ、単層か多層か、官能基の種類、ナノチューブ・ポリマー複合体の用途等により異なり、一概には言えないが、1本のカーボンナノチューブに2以上の官能基が付加する程度の量とすることが、得られる架橋体の強度、すなわちカーボンナノチューブ構造体の強度の観点から好ましい。なお、カーボンナノチューブへの官能基の導入方法については、後述の[ナノチューブ・ポリマー複合体の製造方法]の項において説明する。
(架橋剤)
前記架橋溶液において必須成分である架橋剤は、カーボンナノチューブの有する前記官能基と架橋反応を起こすものであればいずれも用いることができる。換言すれば、前記官能基の種類によって、選択し得る架橋剤の種類は、ある程度限定されてくる。また、これらの組み合わせにより、その架橋反応による硬化条件(加熱、紫外線照射、可視光照射、自然硬化等)も、自ずと定まってくる。
具体的に好ましい前記架橋剤としては、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミドおよびポリイソシアネートを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤を選択することが好ましく、その場合、前記官能基として、選択された前記架橋剤と架橋反応を起こし得るものを選択する。
特に、既述の好ましい前記官能基として例示された群、および、上記好ましい前記架橋剤として例示された群より、それぞれ少なくとも1つの官能基および架橋剤を、相互に架橋反応を起こし得る組み合わせとなるように選択することが好ましい。下記表1に、カーボンナノチューブの有する官能基と、それに対応する架橋反応可能な架橋剤との組み合わせを、その硬化条件とともに列挙する。
Figure 0004945888
これらの組み合わせの中でも、官能基側の反応性が良好な−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基である。Rは、好ましくは−Cn2n-1、又は−Cn2n+1から選ばれ、nは1〜10の整数である。中でもより好ましくは、メチル基、又はエチル基である。)と、容易に強固な架橋体を形成するポリオール、ポリアミン、アンモニウム錯体、コンゴーレッドおよびcis−プラチンとの組み合わせが好適なものとして挙げられる。なお、本発明で言う「ポリオール」、「ポリアミン」又は「アンモニウム錯体」とは、それぞれ、OH基、NH2基又はアンモニウム基を2以上有する有機化合物の総称であり、これらの中でも炭素数2〜10(より好ましくは2〜5)、OH基数2〜22(より好ましくは2〜5)のものが、架橋性や過剰分投入した時の溶剤適性、生分解性による反応後の廃液の処理性(環境適性)、ポリオール合成の収率等の観点から好ましい。特に上記炭素数は、得られるカーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブ相互間を狭めて実質的な接触状態にする(近づける)ことができる点で、上記範囲内で少ない方が好ましい。具体的には、特にグリセリンやエチレングリコールが好ましく、これらの内の一方もしくは双方を架橋剤として用いることが好ましい。
別の視点から見ると、前記架橋剤としては、非自己重合性の架橋剤であることが好ましい。上記ポリオールの例として挙げたグリセリンやエチレングリコールに加え、ブテンジオール、ヘキシンジオール、ヒドロキノンおよびナフタレンジオールは勿論、非自己重合性の架橋剤であり、より一般的に示せば、自身の中に相互に重合反応を生じ得るような官能基の組を有していないことが、非自己重合性の架橋剤の条件となる。逆に言えば、自己重合性の架橋剤とは、自身の中に相互に重合反応を生じ得るような官能基の組を有しているもの(例えば、アルコキシド)が挙げられる。
本発明の複合体の製造方法において、前記第1の方法の場合には、前記供給工程で使用する前記官能基が結合された複数のカーボンナノチューブおよび架橋剤を含む前記溶液に、さらに溶剤を含ませて、これを前記基体表面に供給することができ、前記架橋剤の種類によっては、当該架橋剤が、その溶剤を兼ねることも可能である。
カーボンナノチューブ構造体を形成するには、前記官能基が結合された複数のカーボンナノチューブと、前記架橋剤とを基体表面に供給し(本発明のナノチューブ・ポリマー複合体の製造方法における供給工程)、前記官能基間を化学結合させることにより架橋部位を形成(本発明のナノチューブ・ポリマー複合体の製造方法における架橋工程)すればよい。前記官能基が結合された複数のカーボンナノチューブと、前記架橋剤とを前記基体表面に供給する際に、これらと溶剤とを含む溶液(架橋溶液)を前記基体表面に供給すること、特に架橋塗布液として塗布して架橋体膜を形成することは、簡便で低コストであり、作業を短時間で行うことができる点で好ましい。
(第2の方法の場合)
また、カーボンナノチューブ構造体の架橋部位を、複数のカーボンナノチューブが、少なくともその一端がそれぞれ異なるカーボンナノチューブに結合された複数の官能基同士の化学結合により形成して、相互に架橋した網目構造とする第2の方法の場合、カーボンナノチューブに結合させる官能基としては、カーボンナノチューブに化学的に付加させることができ、かつ、何らかの添加剤により官能基同士を反応させるものであれば、特に制限されず、如何なる官能基であっても選択することができる。
具体的な官能基としては、−COOR、−COX、−MgX、−X(以上、Xはハロゲン)、−OR、−NR12、−NCO、−NCS、−COOH、−OH、−NH2、−SH、−SO3H、−R''CH2OH、−CHO、−CN、−COSH、−SR、−SiR’3(以上、R、R1、R2、R’およびR''は、それぞれ独立に、置換または未置換の炭化水素基である。R、R1、R2、およびR’は、1価の炭化水素基であって、それぞれ独立に、好ましくは−Cn2n-1、又は−Cn2n+1から選ばれ、nは1〜10の整数である。中でもより好ましくは、メチル基、又はエチル基である。R''は、2価の炭化水素基であって、好ましくは−Cn2n−から選ばれ、nは1〜10の整数である。中でもより好ましくは、メチレン基、又はエチレン基である。)等の基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
官能基同士を化学結合させる反応としては、脱水縮合、置換反応、付加反応、酸化反応が特に好ましい。これら各反応別に上記官能基から好ましいものを挙げると以下のようになる。
本発明のナノチューブ・ポリマー複合体の製造方法において、前記第2の方法の場合には、前記供給工程で使用する前記官能基が結合された複数のカーボンナノチューブ、および必要に応じて前記添加剤を溶剤に含ませて供給用の溶液(架橋溶液)とし、これを前記基体表面に供給することができる。
前記官能基同士を化学結合させる反応が脱水縮合である場合には、前記添加剤として縮合剤を添加することが好ましい。具体的に好ましい縮合剤としては、酸触媒、脱水縮合剤、たとえば硫酸、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミドを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの縮合剤を選択することが好ましい。その場合、前記官能基として、選択された縮合剤により官能基同士が反応を起こし得るものを選択する。
また、脱水縮合で用いる前記官能基としては、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基である。Rは、好ましくは−Cn2n-1、又は−Cn2n+1から選ばれ、nは1〜10の整数である。中でもより好ましくは、メチル基、又はエチル基である。)、−COOH、−COX(Xはハロゲン原子)、−OH、−CHO、−NH2からなる群より選ばれる少なくともいずれか1つであることが好ましい。
脱水縮合で用いる前記官能基としては、−COOHを特に好適なものとして挙げることができる。カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入することは、比較的容易であり、しかも得られる物質(カーボンナノチューブカルボン酸)は、反応性に富む。このため網目構造を形成するための官能基を、一本のカーボンナノチューブの複数箇所に導入しやすく、さらにこの官能基は脱水縮合しやすいことから、カーボンナノチューブ構造体の形成に適している。脱水縮合で用いる前記官能基が−COOHである場合、特に好適な縮合剤としては、既述の硫酸、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよびジシクロヘキシルカルボジイミドである。
前記官能基同士を化学結合させる反応が置換反応である場合には、前記添加剤として塩基を添加することが好ましい。添加可能な塩基としては、特に制限は無く、ヒドロキシル基の酸性度に応じて任意の塩基を選択すればよい。
具体的に好ましい前記塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ピリジンおよびナトリウムエトキシド等を挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの塩基を選択することが好ましく、その場合、前記官能基として、選択された塩基により官能基同士が置換反応を起こし得るものを選択する。また、このとき前記官能基としては、−NH2、−X(Xはハロゲン原子)、−SH、−OH、−OSO2CH3および−OSO2(C64)CH3からなる群より選ばれる少なくともいずれか1つであることが好ましい。
前記官能基同士を化学結合させる反応が付加反応である場合、必ずしも添加剤は必要としない。このとき前記官能基としては、−OHおよび/または−NCOであることが好ましい。
前記官能基同士を化学結合させる反応が酸化反応である場合も、必ずしも添加剤は必要としないが、前記添加剤として酸化反応促進剤を添加することが好ましい。添加するのに好適な酸化反応促進剤としては、ヨウ素を挙げることができる。また、このとき前記官能基としては、−SHであることが好ましい。
また、これらの官能基を一部に含む分子をカーボンナノチューブに結合させ、先に列挙した好ましい官能基部分で化学結合させることも可能である。この場合においても、カーボンナノチューブに結合させる分子量の大きい官能基は意図したように結合されているので、架橋部位の長さは制御可能となる。
官能基同士を化学結合させるに際しては、前記官能基同士の化学結合を生じさせる添加剤を用いることができる。かかる添加剤としては、カーボンナノチューブの有する前記官能基同士を反応させるものであればいずれも用いることができる。換言すれば、前記官能基の種類および反応の種類によって、選択し得る添加剤の種類は、ある程度限定されてくる。また、これらの組み合わせにより、その反応による硬化条件(加熱、紫外線照射、可視光照射、自然硬化等)も、自ずと定まってくる。
既述の好ましい前記官能基として例示された群より、それぞれ少なくとも2つの官能基が相互に反応を起こし得る組み合わせとなるように選択することが好ましい。下記表2に、相互に架橋反応をするカーボンナノチューブの有する官能基(A)および(B)と、それに対応した反応名を列挙する。
Figure 0004945888
カーボンナノチューブ構造体を形成するには、前記官能基が結合された複数のカーボンナノチューブ、および必要に応じて前記添加剤を基体表面に供給し(本発明のナノチューブ・ポリマー複合体の製造方法における供給工程)、前記官能基間を化学結合させることにより架橋部位を形成(本発明のナノチューブ・ポリマー複合体の製造方法における架橋工程)すればよい。前記官能基が結合された複数のカーボンナノチューブを前記基体表面に供給する際に、これらと溶剤とを含む溶液(架橋溶液)を前記基体表面に供給すること、特に架橋塗布液として塗布して架橋体膜を形成することは、本発明の複合材を簡便かつ低コストに、短時間の作業で形成できる点で好ましい。
(その他の添加剤)
前記架橋溶液(第1の方法と第2の方法の双方を含む)においては、溶剤、粘度調整剤、分散剤、架橋促進剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。溶剤は、前記架橋剤もしくは官能基結合用の添加剤のみでは塗布適性が十分で無い場合に添加する。使用可能な溶剤としては、特に制限は無く、用いる架橋剤や官能基結合用の添加剤の種類に応じて選択すればよい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等の有機溶剤や水、酸水溶液、アルカリ水溶液等が挙げられる。かかる溶剤の添加量としては、塗布適性を考慮して適宜設定すればよいが、特に制限は無い。
粘度調整剤も、前記架橋剤や官能基結合用の添加剤のみでは塗布適性が十分で無い場合に添加する。使用可能な溶剤としては、特に制限は無く、用いる架橋剤や官能基結合用の添加剤の種類に応じて選択すればよい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、THF等が挙げられる。
これら粘度調整剤の中には、その添加量によっては溶剤としての機能を有するものがあるが、両者を明確に区別することに意義は無い。かかる粘度調整剤の添加量としては、塗布適性を考慮して適宜設定すればよいが、特に制限は無い。
分散剤は、架橋溶液中でのカーボンナノチューブないし架橋剤あるいは官能基結合用の添加剤の分散安定性を保持するために添加するものであり、従来公知の各種界面活性剤、水溶性有機溶剤、水、酸水溶液やアルカリ水溶液等が使用できる。ただし、本発明において、架橋溶液の成分は、それ自体分散安定性が高いため、分散剤は必ずしも必要ではない。また、最終的に得られる本発明のナノチューブ・ポリマー複合体の用途によっては、カーボンナノチューブ構造体に分散剤等の不純物が含まれないことが望まれる場合もあり、その場合には勿論、分散剤は、添加しないか、極力少ない量のみしか添加しない。
つぎに、前記架橋溶液における架橋剤や官能基結合用の添加剤の含有量としては、架橋剤の種類(自己重合性か非自己重合性かの別を含む)や官能基結合用の添加剤の種類は勿論、カーボンナノチューブの長さ・太さ、単層か多層か、有する官能基の種類・量、溶剤やその他添加剤の有無・種類・量、等により一概には言えない。特に、グリセリンやエチレングリコールなどは、それ自身粘度があまり高くなく、溶剤の特性を兼ねさせることが可能であるため、過剰に添加することも可能である。
<架橋溶液の調製方法>
次に、架橋溶液の調製方法について説明する。前記架橋溶液は、官能基を有するカーボンナノチューブに、前記官能基と架橋反応を起こす架橋剤、あるいは、官能基同士を化学結合させる添加剤を必要に応じて混合することで調製される(混合工程)。当該混合工程に先立ち、カーボンナノチューブに官能基を導入する付加工程を含んでもよい。
官能基を有するカーボンナノチューブを出発原料とすれば、混合工程の操作のみを行えばよいし、通常のカーボンナノチューブそのものを出発原料とすれば、付加工程から操作を行えばよい。
(付加工程)
前記付加工程は、カーボンナノチューブに所望の官能基を導入する工程である。官能基の種類によって導入方法が異なり、一概には言えない。直接的に所望の官能基を付加させてもよいが、一旦、付加が容易な官能基を導入した上で、その官能基ないしその一部を置換したり、その官能基に他の官能基を付加させたり等の操作を行い、目的の官能基としても構わない。また、カーボンナノチューブにメカノケミカルな力を与えて、カーボンナノチューブ表面のグラフェンシートをごく一部破壊ないし変性させて、そこに各種官能基を導入する方法もある。
また、製造時点から表面に欠陥を多く有する、カップスタック型のカーボンナノチューブや気相成長法により生成されるカーボンナノチューブを用いると、官能基を比較的容易に導入できる。しかし、グラフェンシート構造が完全である方が、カーボンナノチューブの特性を有効に得られるとともに、特性もコントロールしやすいため、多層カーボンナノチューブを用いて、最外層にナノチューブ・ポリマー複合体として適度な欠陥を形成して官能基を結合し架橋させる一方で、構造欠陥の少ない内層をカーボンナノチューブの特性を発揮させる層として利用することが特に好ましい。
付加工程の操作としては、特に制限は無く、公知のあらゆる方法を用いて構わない。その他、特許文献2に各種方法が記載されており、目的に応じて、本発明においても利用することができる。前記官能基の中でも、特に好適な−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基である。Rは、好ましくは−Cn2n-1、又は−Cn2n+1から選ばれ、nは1〜10の整数である。中でもより好ましくは、メチル基、又はエチル基である。)を導入する方法について説明する。カーボンナノチューブに−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)を導入するには、一旦、カーボンナノチューブにカルボキシル基を付加し(1)、さらにこれをエステル化(2)すればよい。
(1)カルボキシル基の付加
カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入するには、酸化作用を有する酸とともに還流すればよい。この操作は比較的容易であり、しかも反応性に富むカルボキシル基を付加することができるため、好ましい。当該操作について、簡単に説明する。
酸化作用を有する酸としては、濃硝酸、過酸化水素水、硫酸と硝酸の混合液、王水等が挙げられる。特に濃硝酸を用いる場合には、その濃度としては、5質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。
還流は、常法にて行えばよいが、その温度としては、使用する酸の沸点付近が好ましい。例えば、濃硝酸では120〜130℃の範囲が好ましい。また、還流の時間としては、30分〜20時間の範囲が好ましく、1時間〜8時間の範囲がより好ましい。
還流の後の反応液には、カルボキシル基が付加したカーボンナノチューブ(カーボンナノチューブカルボン酸)が生成しており、室温まで冷却し、必要に応じて分離操作ないし洗浄を行うことで、目的のカーボンナノチューブカルボン酸が得られる。
(2)エステル化
得られたカーボンナノチューブカルボン酸に、アルコールを添加し脱水してエステル化することで、目的の官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基である。Rは、好ましいものについては既述の通り。)を導入することができる。
前記エステル化に用いるアルコールは、上記官能基の式中におけるRに応じて決まる。すなわち、RがCH3であればメタノールであるし、RがC25であればエタノールである。一般にエステル化には触媒が用いられるが、本発明においても従来公知の触媒、例えば、硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸等を用いることができる。本発明では、副反応を起こさないという観点から触媒として硫酸を用いることが好ましい。
前記エステル化は、カーボンナノチューブカルボン酸に、アルコールと触媒とを添加し、適当な温度で適当な時間還流すればよい。このときの温度条件および時間条件は、触媒の種類、アルコールの種類等により異なり一概には言えないが、還流温度としては、使用するアルコールの沸点付近が好ましい。例えば、メタノールでは60〜70℃の範囲が好ましい。また、還流の時間としては、1〜20時間の範囲が好ましく、4〜6時間の範囲がより好ましい。
エステル化の後の反応液から反応物を分離し、必要に応じて洗浄することで、官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基である。Rは、好ましいものについては既述の通り。)が付加したカーボンナノチューブを得ることができる。
(混合工程)
前記混合工程は、官能基を有するカーボンナノチューブに、前記官能基と架橋反応を起こす架橋剤あるいは官能基結合用の添加剤を必要に応じて混合し、架橋溶液を調製する工程である。混合工程においては、官能基を有するカーボンナノチューブおよび架橋剤のほか、既述の[ナノチューブ・ポリマー複合体]の項で説明したその他の成分も混合する。そして、好ましくは、塗布適性を考慮して溶剤や粘度調整剤の添加量を調整することで、基体への供給(塗布)直前の架橋溶液(架橋塗布液)を調製する。
混合に際しては、単にスパチュラで攪拌したり、攪拌羽式の攪拌機、マグネチックスターラーあるいは攪拌ポンプで攪拌するのみでも構わないが、より均一にカーボンナノチューブを分散させて、保存安定性を高めたり、カーボンナノチューブの架橋による網目構造を全体にくまなく張り巡らせるには、超音波分散機やホモジナイザーなどで強力に分散させても構わない。ただし、ホモジナイザーなどのように、攪拌のせん断力の強い攪拌装置を用いる場合、含まれるカーボンナノチューブを切断してしまったり、傷付けてしまったりする虞があるので、極短い時間行えばよい。
以上説明した架橋溶液を、前記基体の表面に対して供給し、硬化することにより、カーボンナノチューブ構造体が形成される。供給方法や硬化方法は、後述の[ナノチューブ・ポリマー複合体の製造方法]の項で詳述する。
本発明におけるカーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブがネットワーク化された状態となっている。詳しくは、該カーボンナノチューブ構造体は、マトリックス状に硬化したものとなり、カーボンナノチューブ同士が架橋部位を介して接続しており、機械的強度、高い伝送特性といったカーボンナノチューブ自身が有する特徴を利用することができる。すなわち、当該カーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブ相互が緊密に接続しており、しかも他の結着剤等を含まないことから、実質的にカーボンナノチューブのみからなるため、カーボンナノチューブが有する本来の特性が最大限に生かされる。
本発明におけるカーボンナノチューブ構造体の厚みとしては、用途に応じて、極薄いものから厚めのものまで、幅広く選択することができる。使用する前記架橋溶液中のカーボンナノチューブの含有量を下げ(単純には、薄めることにより粘度を下げ)、これを薄膜状に塗布すれば極薄い塗布膜となり、同様にカーボンナノチューブの含有量を上げれば厚めの塗布膜となる。さらに、塗布を繰返せば、より一層厚膜の塗布膜を得ることもできる。極薄い塗布膜としては、10nm程度の厚みから十分に可能であり、重ね塗りにより上限無く厚い塗布膜を形成することが可能である。一回の塗布で可能な厚膜としては、5μm程度である。また、含有量などを調整した架橋塗布液を型に注入し、結合させることで所望の形状にすることも可能である。
前記第1の方法により前記カーボンナノチューブ構造体を形成しようとする場合には、前記カーボンナノチューブ同士が架橋する部位、すなわち、前記カーボンナノチューブが有する前記官能基と前記架橋剤との架橋反応による架橋部位は、前記官能基の架橋反応後に残存する残基同士を、前記架橋剤の架橋反応後に残存する残基である連結基で連結した架橋構造となっている。
既述の如く、この場合の前記架橋溶液においては、その構成要素である架橋剤が非自己重合性であることが好ましい。前記架橋剤が非自己重合性であれば、最終的に形成されるカーボンナノチューブ構造体における前記連結基については、前記架橋剤1つのみの残基により構成されることになり、架橋されるカーボンナノチューブ相互の間隔を、使用した架橋剤の残基のサイズに制御することができるため、所望のカーボンナノチューブのネットワーク構造を高い再現性で得られるようになる。また、カーボンナノチューブ間に架橋剤が多重に介在しないので、カーボンナノチューブ構造体中のカーボンナノチューブの実質的な密度を高めることができる。さらに架橋剤の残基のサイズを小さくすれば、電気的にも物理的にも極めて近接した状態(カーボンナノチューブ相互が、実質的に直接接触した状態)に、カーボンナノチューブ相互の間隔を構成することができる。
なお、カーボンナノチューブにおける官能基に単一のものを、架橋剤に単一の非自己重合性のものを、それぞれ選択した架橋溶液により、カーボンナノチューブ構造体を形成した場合、当該カーボンナノチューブ構造体における前記架橋部位は、同一の架橋構造となる(例示1)。また、カーボンナノチューブにおける官能基に複数種のものを、および/または、架橋剤に複数種の非自己重合性の架橋剤を、それぞれ選択した架橋溶液により、カーボンナノチューブ構造体を形成した場合であっても、当該層における前記架橋部位は、主として用いた前記官能基および非自己重合性の架橋剤の組み合わせによる架橋構造が、主体的となる(例示2)。
これに対して、カーボンナノチューブにおける官能基や架橋剤が単一であるか複数種であるかを問わず、架橋剤に自己重合性のものを選択した架橋溶液により、カーボンナノチューブ構造体を形成した場合、当該カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位は、架橋剤同士の連結(重合)個数が異なる数多くの連結基が混在した状態となり、特定の架橋構造が主体的とはなり得ない。
つまり、前記架橋剤として非自己重合性のものを選択すれば、カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位が、架橋剤1つのみの残基で官能基と結合するため、主として同一の架橋構造となる。なお、ここで言う「主として同一」とは、上記(例示1)の如く、架橋部位の全てが同一の架橋構造となる場合は勿論のこと、上記(例示2)の如く、架橋部位全体に対して、主として用いた前記官能基および非自己重合性の架橋剤の組み合わせによる架橋構造が、主体的となる場合も含む概念とする。
「主として同一」と言った場合に、全架橋部位における「同一である架橋部位の割合」としては、例えば架橋部位において、カーボンナノチューブのネットワーク形成とは目的を異にする機能性の官能基や架橋構造を付与する場合も想定されることから、一律に下限値を規定し得るわけではない。ただし、強固なネットワークでカーボンナノチューブ特有の高い電気的ないし物理的特性を実現するためには、全架橋部位における「同一である架橋部位の割合」としては、個数基準で50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、全て同一であることが最も好ましい。これらの個数割合は、赤外線スペクトルで架橋構造に対応した吸収スペクトルの強度比を計測する方法等により求めることができる。
このように、カーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位が、主として同一の架橋構造のカーボンナノチューブ構造体であれば、カーボンナノチューブの均一なネットワークを所望の状態に形成することができ、電気的ないし物理的特性を、均質で良好、さらには期待した特性もしくは高い再現性をもって構成することができる。
また、前記連結基としては、炭化水素を骨格とするものが好ましい。ここで言う「炭化水素を骨格」とは、架橋されるカーボンナノチューブの官能基の架橋反応後に残存する残基同士を連結するのに資する、連結基の主鎖の部分が、炭化水素からなるものであることを言い、この部分の水素が他の置換基に置換された場合の側鎖の部分は考慮されない。勿論、連結基全体が炭化水素からなることが、より好ましい。
前記炭化水素の炭素数としては2〜10個とすることが好ましく、2〜5個とすることがより好ましく、2〜3個とすることがさらに好ましい。なお、前記連結基としては、2価以上であれば特に制限は無い。
カーボンナノチューブの有する官能基と架橋剤との好ましい組み合わせとして既に例示した、前記官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基である。Rは、好ましいものについては既述の通り。)とエチレングリコールとの架橋反応では、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋する架橋部位が−COO(CH22OCO−となる。
また、前記官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基である。Rは、好ましいものについては既述の通り。)とグリセリンとの架橋反応では、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋する架橋部位が、OH基2つが架橋に寄与すれば−COOCH2CHOHCH2OCO−あるいは−COOCH2CH(OCO−)CH2OHとなり、OH基3つが架橋に寄与すれば−COOCH2CH(OCO−)CH2OCO−となる。
以上説明したように、前記第1の方法によりカーボンナノチューブ構造体を形成する場合の本発明のナノチューブ・ポリマー複合体は、このカーボンナノチューブ構造体が、複数のカーボンナノチューブが複数の架橋部位を介して網目構造の状態となった状態で形成されているので、単なるカーボンナノチューブの分散膜のように、カーボンナノチューブ同士の接触状態並びに配置状態が不安定になることがなく、電子やホールの高い伝送特性といった電気的特性や、熱伝導、強靭性といった物理的特性、その他光吸収特性等カーボンナノチューブに特有の性質を安定して発揮することができる。
一方、前記第2の方法により前記カーボンナノチューブ構造体を形成しようとする場合には、前記複数のカーボンナノチューブ同士が架橋する部位、すなわち、前記複数のカーボンナノチューブが有するそれぞれの前記官能基同士の架橋反応による架橋部位は、前記官能基の架橋反応後に残存する残基同士が連結した架橋構造となっている。この場合も、該カーボンナノチューブ構造体は、マトリックス状にカーボンナノチューブ同士が架橋部位を介して接続しており、電子やホールの高い伝送特性といったカーボンナノチューブ自身が有する特徴を発揮しやすくできる。すなわち、当該カーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブ相互が緊密に接続しており、しかも他の結着剤等を含まないことから、実質的にカーボンナノチューブのみから構成されたものであると云える。
また官能基同士を反応させて架橋部位を形成しているため、カーボンナノチューブ構造体中のカーボンナノチューブの実質的な密度を高めることができ、さらに官能基のサイズを小さくすれば、電気的にも物理的にも極めて近接した状態に、カーボンナノチューブ相互の間隔を構成することができ、カーボンナノチューブ単体の特性をより引き出しやすくなる。
また、架橋部位が官能基同士の化学結合であるため、カーボンナノチューブ構造体が主として同一の架橋構造となるので、カーボンナノチューブの均一なネットワークを所望の状態に形成することができ、電気的ないし物理的特性を、均質で良好、さらには期待した特性もしくは高い再現性をもって構成することができる。
本発明の複合材は、前記カーボンナノチューブ構造体以外の他の層が形成されていてもよい。例えば、前記基体表面と前記カーボンナノチューブ構造体との間に、両者の接着性を向上させるための接着層を設けることは、カーボンナノチューブ構造体の接着強度を高めることができ、好ましい。接着層の形成方法やその他詳細は、[ナノチューブ・ポリマー複合体の製造方法]の項にて説明することとする。
以上説明した本発明のナノチューブ・ポリマー複合体の具体的な形状等は、[ナノチューブ・ポリマー複合体の製造方法]の項で明らかにする。勿論、後述する構成はあくまでも例示であり、本発明のナノチューブ・ポリマー複合体の具体的な態様は、これらに限定されるものではない。
[ナノチューブ・ポリマー複合体の製造方法]
本発明の複合体の製造方法は、上記本発明のナノチューブ・ポリマー複合体を製造するのに適した方法である。具体的には、(A)官能基が結合された複数のカーボンナノチューブを含む溶液を基体表面に供給する供給工程と、(B)複数の前記官能基間を化学結合させて、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体を形成する架橋工程と、(C)前記網目構造中にポリマー液を含浸させる含浸工程と、(D)前記ポリマー液を硬化させて、前記カーボンナノチューブ構造体とポリマーとを複合化する複合化工程とを含む。
以下、これら各工程に分けて、本発明のナノチューブ・ポリマー複合体の製造方法の一例について説明する。
(A)供給工程
本発明において、「供給工程」は、例えばスライドガラスのような基体の表面に、官能基を有するカーボンナノチューブを含む溶液を供給する工程である。
なお、当該供給工程に制限はなく、上記供給工程は、架橋溶液(架橋塗布液)を基体表面に塗布する塗布工程とすることができる。基体上への溶液の塗布の方法としては、単に液滴を垂らしたり、それをスキージで塗り広げたりする方法から、一般的な塗布方法まで、幅広くいずれの方法も採用することができる。一般的な塗布方法としては、スピンコート法、ワイヤバーコート法、キャストコート法、ロールコート法、刷毛塗り法、浸漬塗布法、スプレー塗布法、カーテンコート法等が挙げられる。
(B)架橋工程
本発明において、「架橋工程」は、供給後の架橋溶液について前記官能基間を化学結合させて、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体1(図1)を形成する工程である。
なお、架橋工程における操作は、前記官能基と、前記架橋剤もしくは官能基同士を化学結合させるための添加剤との組み合わせに応じて、自ずと決まってくる。熱硬化性の組み合わせであれば、各種ヒータ等により加熱すればよいし、紫外線硬化性の組み合わせであれば、紫外線ランプで照射したり、日光下に放置しておけばよい。勿論、自然硬化性の組み合わせであれば、そのまま放置しておけば十分であり、この「放置」も本発明における架橋工程で行われ得るひとつの操作と解される。
官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基である。Rは、好ましいものについては既述の通り。)が付加したカーボンナノチューブと、ポリオール(中でもグリセリンおよび/またはエチレングリコール)との組み合わせの場合には、加熱による硬化(エステル交換反応によるポリエステル化)が行われる。加熱により、エステル化したカーボンナノチューブカルボン酸の−COORと、ポリオールのR’−OH(R’は、置換または未置換の炭化水素基)とがエステル交換反応する。そして、かかる反応が複数多元的に進行し、カーボンナノチューブが架橋していき、最終的にカーボンナノチューブが相互に接続してネットワーク状となったカーボンナノチューブ構造体1が形成される。
上記の組み合わせの場合に好ましい条件について例示すると、加熱温度としては、具体的には50〜500℃の範囲が好ましく、150〜200℃の範囲がより好ましい。また、この組み合わせにおける加熱時間としては、具体的には1分〜10時間の範囲が好ましく、1〜2時間の範囲がより好ましい。
(C)含浸工程
本発明において、「含浸工程」は、ナノチューブ構造体にポリマー液を滴下あるいは浸す等してポリマー液を付与する工程である。
(D)複合化工程
このポリマー液をカーボンナノチューブ構造体1に含浸させた後、ポリマーを重合させる等して硬化させてナノチューブ・ポリマー複合体を形成する。ポリマー液の硬化手法は、既知のポリマー製造法を原材料であるポリマー液に応じて採用すればよい。ナノチューブ構造体にポリマーを複合化させる方法は、上記のほかにポリマー液にナノチューブ構造体を分散させた後基体上に塗布する等、図1に示す構造を有する複合体が得られる方法であればいかなる方法でもかまわない。得られたナノチューブ・ポリマー複合体は図1に示すように、ナノチューブ構造体1がポリマー2に充填されている構造である。
以下、本発明を実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔グリセリン架橋多層カーボンナノチューブ構造体を用いたナノチューブ・ポリマー複合体〕
(A)供給工程
(付加工程)
多層カーボンナノチューブ粉末(純度90%、平均直径30nm、平均長さ3μm;サイエンスラボラトリー製)30mgを濃硝酸(60質量%水溶液、関東化学製)20mlに加え、120℃の条件で還流を20時間行い、カーボンナノチューブカルボン酸を合成した。以上の反応スキームを図2に示す。なお、図2中カーボンナノチューブCNTの部分は、2本の平行線で表している(反応スキームに関する他の図に関しても同様)。
溶液の温度を室温に戻したのち、5000rpmの条件で15分間の遠心分離を行い、上澄み液と沈殿物とを分離した。回収した沈殿物を純水10mlに分散させて、再び5000rpmの条件で15分間の遠心分離を行い、上澄み液と沈殿物とを分離した(以上で、洗浄操作1回)。この洗浄操作をさらに5回繰り返し、最後に沈殿物を回収した。
<エステル化>
上記工程で調製されたカーボンナノチューブカルボン酸30mgを、メタノール(和光純薬製)25mlに加えた後、濃硫酸(98質量%、和光純薬製)5mlを加えて、65℃の条件で還流を4時間行い、メチルエステル化した。以上の反応スキームを図3に示す。
溶液の温度を室温に戻したのち、ろ過して沈殿物を分離した。沈殿物は、水洗した後回収した。
(混合工程)
上記工程で得られたメチルエステル化したカーボンナノチューブカルボン酸10mgを、グリセリン(関東化学製)5mlに加え、超音波分散機を用いて混合した。さらに、これを粘度調整剤としてのメタノール10mlに加えた。
(塗布工程)
以上のようにして得られた架橋塗布液を、パスツールピペットでSiO2/Si基板上に0.1ml程度滴下して塗布した。
(B)架橋工程
以上のようにして本実施例の架橋塗布液が塗布された基板を200℃で2時間加熱して、エステル交換反応による重合を行い、網目状構造体(カーボンナノチューブ構造体)を形成した。反応スキームを図4に示す。
(C)含浸工程
得られたカーボンナノチューブ構造体にポリイミド樹脂(新日本理化社製 リカコート(PN−20))を0.1ml程度滴下して含浸させた。
(D)複合化工程
この基板を200℃で20分加熱して樹脂を硬化させ、ナノチューブ・ポリイミド樹脂複合物を得た。
また、実施例1と同様にして得られたカーボンナノチューブ構造体にエポキシ樹脂(スイス・チバ社製 アラルダイト)を0.1ml程度滴下して含浸させ、そのまま硬化させることで、ナノチューブ・エポキシ樹脂複合物を得た。
カーボンナノチューブは、酸素がある雰囲気下で多量の電流を流すと焼ききれることが知られており、酸素がある雰囲気下でナノチューブに流せる電流、すなわち電流密度には上限が生じる。しかし本発明のポリマーとナノチューブ構造体の複合体では、ナノチューブを酸素から遮断する事ができるため電流密度の上限が増加し、より多くの電流を流すことのできるナノチューブ・ポリマー複合体を得ることができた。さらに、各ナノチューブ・ポリマー複合体の曲げ弾性強度も樹脂だけの時に比べ増強された結果、折り曲げによる破断が発生しなかった。
図1は本発明のナノチューブ・ポリマー複合体の模式図である。 図2は実施例中の(付加工程)におけるカーボンナノチューブカルボン酸の合成の反応スキームである。 図3は実施例中の(付加工程)におけるエステル化の反応スキームである。 図4は実施例中の(架橋工程)におけるエステル交換反応による架橋の反応スキームである。
符号の説明
1:カーボンナノチューブ構造体、2:ポリマー、10:ナノチューブ・ポリマー複合体、11:カーボンナノチューブ、12:架橋部位

Claims (29)

  1. 官能基が結合された複数のカーボンナノチューブの前記官能基間を化学結合させて相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体と前記網目構造中の空隙を満たすように充填されたポリマーとから構成され、
    前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋する架橋部位が、−COO(CH22OCO−、−COOCH2CHOHCH2OCO−、−COOCH2CH(OCO−)CH2OH、−COOCH2CH(OCO−)CH2OCO−、−COOCO−、−O−、−NHCO−、−COO−、−NCH−、−NH−、−S−、−O−、−NHCOO−、および、−S−S−からなる群より選択されるいずれかの化学構造であることを特徴とする複合体。
  2. 前記ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂からなる群より選択されるいずれかのポリマーを含むことを特徴とする請求項1記載の複合体。
  3. 前記カーボンナノチューブ構造体が、官能基が結合された複数のカーボンナノチューブを含む溶液を硬化させることにより、前記カーボンナノチューブが接続された複数の前記官能基間を化学結合させて架橋部位が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の複合体。
  4. 前記架橋部位は、前記溶液中に含まれる架橋剤により複数の前記官能基間を架橋した構造であり、該架橋剤は非自己重合性であることを特徴とする請求項3に記載の複合体。
  5. 前記架橋部位は、複数の前記官能基同士の化学結合により形成されていることを特徴とする請求項3に記載の複合体。
  6. 前記化学結合を生ずる反応が、縮合反応、置換反応、付加反応および酸化反応からなる群より選択されるいずれかの反応であることを特徴とする請求項5に記載の複合体。
  7. 請求項1に記載の複合体の製造方法であって、官能基が結合された複数のカーボンナノチューブを含む溶液を基体表面に供給する供給工程と、複数の前記官能基間を化学結合させて、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体を形成する架橋工程と、前記網目構造中にポリマーを形成するポリマー液を含浸させる含浸工程と、前記ポリマー液を硬化させて、前記カーボンナノチューブ構造体と前記ポリマーとを複合化する複合化工程とを含むことを特徴とする複合体の製造方法。
  8. 前記含浸工程は、前記ポリマーを形成するポリマー液中に前記カーボンナノチューブ構造体を分散させる工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の複合体の製造方法。
  9. 前記ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂からなる群より選択されるいずれかのポリマーを含むことを特徴とする請求項7に記載の複合体の製造方法。
  10. 前記溶液は、複数の前記官能基間を架橋する架橋剤を含み、該架橋剤は非自己重合性の架橋剤であることを特徴とする請求項7に記載の複合体の製造方法。
  11. 前記官能基が、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)であることを特徴とする請求項10に記載の複合体の製造方法。
  12. 前記架橋剤が、ポリオールであることを特徴とする請求項11に記載の複合体の製造方法。
  13. 前記溶液が、さらに溶剤を含むことを特徴とする請求項7に記載の複合体の製造方法。
  14. 前記架橋剤が、溶剤を兼ねることを特徴とする請求項13に記載の複合体の製造方法。
  15. 前記化学結合を生ずる反応が、複数の前記官能基同士を化学結合させる反応であることを特徴とする請求項7記載の複合体の製造方法。
  16. 前記溶液は、前記官能基同士の化学結合を生じさせる添加剤を含むことを特徴とする請求項15に記載の複合体の製造方法。
  17. 前記反応が脱水縮合であって、前記添加剤が縮合剤であることを特徴とする請求項16に記載の複合体の製造方法。
  18. 前記官能基が、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COOH、−COX(Xはハロゲン原子)、−OH、−CHO、−NH2からなる群より選択されるいずれかの官能基であることを特徴とする請求項17に記載のカーボンナノチューブ複合体の製造方法。
  19. 前記官能基が−COOHであることを特徴とする請求項18に記載の複合体の製造方法。
  20. 前記縮合剤が、硫酸、N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよびジシクロヘキシルカルボジイミドからなる群より選択されるいずれかの縮合剤であることを特徴とする請求項17に記載の複合体の製造方法。
  21. 前記反応が置換反応であって、前記添加剤が塩基であることを特徴とする請求項16に記載の複合体の製造方法。
  22. 前記官能基が、−NH2、−X(Xはハロゲン原子)、−SH、−OH、−OSO2CH3および−OSO2(C64)CH3からなる群より選択されるいずれかの官能基であることを特徴とする請求項21に記載の複合体の製造方法。
  23. 前記塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ピリジンおよびナトリウムエトキシドからなる群より選択されるいずれかの塩基であることを特徴とする請求項21に記載の複合体の製造方法。
  24. 前記反応が付加反応であることを特徴とする請求項15に記載の複合体の製造方法。
  25. 前記官能基が、−OH、および−NCOからなる群より選択されるいずれかの官能基であることを特徴とする請求項24に記載の複合体の製造方法。
  26. 前記反応が酸化反応であることを特徴とする請求項15に記載の複合体の製造方法。
  27. 前記官能基が、−SHであることを特徴とする請求項26に記載の複合体の製造方法。
  28. 前記溶液には、酸化反応促進剤を含むことを特徴とする請求項26に記載の複合体の製造方法。
  29. 前記酸化反応促進剤が、ヨウ素であることを特徴とする請求項28に記載の複合体の製造方法。
JP2004178468A 2003-10-09 2004-06-16 複合体およびその製造方法 Expired - Fee Related JP4945888B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004178468A JP4945888B2 (ja) 2003-10-09 2004-06-16 複合体およびその製造方法
EP04021371A EP1522552B1 (en) 2003-10-09 2004-09-08 Composite and method of manufacturing the same
US10/935,244 US7695769B2 (en) 2003-10-09 2004-09-08 Composite and method of manufacturing the same
DE602004027978T DE602004027978D1 (de) 2003-10-09 2004-09-08 Verbundwerkstoff und Verfahren zu dessen Herstellung
US12/656,496 US8052952B2 (en) 2003-10-09 2010-02-01 Composite and method of manufacturing the same

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003350826 2003-10-09
JP2003350826 2003-10-09
JP2004178468A JP4945888B2 (ja) 2003-10-09 2004-06-16 複合体およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005133062A JP2005133062A (ja) 2005-05-26
JP4945888B2 true JP4945888B2 (ja) 2012-06-06

Family

ID=34315758

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004178468A Expired - Fee Related JP4945888B2 (ja) 2003-10-09 2004-06-16 複合体およびその製造方法

Country Status (4)

Country Link
US (2) US7695769B2 (ja)
EP (1) EP1522552B1 (ja)
JP (1) JP4945888B2 (ja)
DE (1) DE602004027978D1 (ja)

Families Citing this family (52)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4412052B2 (ja) * 2003-10-28 2010-02-10 富士ゼロックス株式会社 複合材およびその製造方法
CN1898804B (zh) * 2003-12-26 2010-07-14 富士施乐株式会社 整流元件、使用该整流元件的电子电路以及整流元件的制造方法
US7887771B2 (en) * 2005-10-06 2011-02-15 Headwaters Technology Innovation, Llc Carbon nanorings manufactured from templating nanoparticles
US8133637B2 (en) * 2005-10-06 2012-03-13 Headwaters Technology Innovation, Llc Fuel cells and fuel cell catalysts incorporating a nanoring support
US7718155B2 (en) * 2005-10-06 2010-05-18 Headwaters Technology Innovation, Llc Carbon nanostructures manufactured from catalytic templating nanoparticles
JP2007246878A (ja) * 2005-11-02 2007-09-27 Sanyo Chem Ind Ltd ナノ分散無機フィラー含有帯電防止性樹脂組成物
JP4878832B2 (ja) * 2005-12-26 2012-02-15 株式会社プライムポリマー 成形体及びその製造方法
JP4824414B2 (ja) * 2006-01-20 2011-11-30 三洋化成工業株式会社 熱可塑性樹脂用改質剤
US7935276B2 (en) * 2006-02-09 2011-05-03 Headwaters Technology Innovation Llc Polymeric materials incorporating carbon nanostructures
US7687160B2 (en) * 2006-04-06 2010-03-30 Winarski Tyson Y Magnetic storage medium formed of carbon nanotube arrays
US8507032B2 (en) * 2006-04-06 2013-08-13 Sigma Pro Ltd. Llc Orientation of nanotubes containing magnetic nanoparticles in a magnetic storage medium
US8437104B2 (en) 2006-04-06 2013-05-07 Sigma Pro Ltd. Llc Read/write apparatus and method for a magnetic storage medium comprised of magnetic nanoparticles contained within nanotubes
CN101090586B (zh) * 2006-06-16 2010-05-12 清华大学 纳米柔性电热材料及包括该纳米柔性电热材料的加热装置
WO2008097257A2 (en) * 2006-07-10 2008-08-14 California Institute Of Technology Method for selectively anchoring large numbers of nanoscale structures
US8846143B2 (en) * 2006-07-10 2014-09-30 California Institute Of Technology Method for selectively anchoring and exposing large numbers of nanoscale structures
CN101121791B (zh) 2006-08-09 2010-12-08 清华大学 碳纳米管/聚合物复合材料的制备方法
US8323789B2 (en) 2006-08-31 2012-12-04 Cambridge Enterprise Limited Nanomaterial polymer compositions and uses thereof
US20100002324A1 (en) * 2006-08-31 2010-01-07 Cambridge Enterprise Limited Optical Nanomaterial Compositions
CN101138896B (zh) * 2006-09-08 2010-05-26 清华大学 碳纳米管/聚合物复合材料
US7718156B2 (en) * 2006-12-20 2010-05-18 Headwaters Technology Innovation, Llc Method for manufacturing carbon nanostructures having minimal surface functional groups
US8461294B2 (en) 2007-02-28 2013-06-11 National Research Council Of Canada Nucleophilic substitution of carbon nanotubes
US7959969B2 (en) * 2007-07-10 2011-06-14 California Institute Of Technology Fabrication of anchored carbon nanotube array devices for integrated light collection and energy conversion
TWI405801B (zh) * 2007-10-19 2013-08-21 Nat Univ Tsing Hua 具有電磁波干擾遮蔽效應之多壁碳奈米管/高分子奈米複合材之製備方法
EP2268102A4 (en) * 2007-12-26 2013-08-14 Hodogaya Chemical Co Ltd BY MEANS OF DISPERSION OF FINE CARBON FIBERS IN WATER, FLOOR HEATING ELEMENT AND METHOD OF PRODUCING THE FLOOR HEATING ELEMENT
JP5277689B2 (ja) * 2008-03-28 2013-08-28 日油株式会社 カーボンナノチューブ分散水溶液
US8063730B2 (en) * 2008-09-30 2011-11-22 Tsinghua University Thermistor and electrical device employed with same
JP5764732B2 (ja) * 2008-10-03 2015-08-19 島根県 耐熱性高熱伝導性接着剤
KR101123351B1 (ko) * 2008-10-09 2012-03-23 주식회사 엑사이엔씨 고전도성 페이스트 조성물 및 이의 제조방법
JP5620408B2 (ja) 2009-01-27 2014-11-05 カリフォルニア インスティチュート オブテクノロジー デバイス表面から突出する配向カーボンナノチューブを有するナノ強化デバイスにより促進された、薬物送達及び物質移送
EP2241593A1 (de) * 2009-04-08 2010-10-20 Bayer MaterialScience AG Polymerfunktionalisierte Kohlenstoffnanoröhre, Verfahren zu deren Herstellung und Verwendung
KR101087539B1 (ko) * 2009-05-11 2011-11-29 한양대학교 산학협력단 탄소나노튜브 3차원 네트워크를 포함하는 고분자 복합체, 그 제조방법 및 이를 이용하여 제조된 스트레인 센서
KR101079806B1 (ko) 2010-01-27 2011-11-03 한국과학기술연구원 초임계 유체 공정을 이용한 탄소나노튜브-에폭시 수지 복합체의 제조방법, 및 상기 방법으로 제조되는 복합체
WO2011127207A2 (en) 2010-04-07 2011-10-13 California Institute Of Technology Simple method for producing superhydrophobic carbon nanotube array
JP2012017443A (ja) * 2010-07-09 2012-01-26 Nagoya Univ ポリアミドナノコンポジット
US8986576B1 (en) * 2010-11-08 2015-03-24 Sandia Corporation Carbon nanotube composite materials
US8609458B2 (en) 2010-12-10 2013-12-17 California Institute Of Technology Method for producing graphene oxide with tunable gap
WO2012135238A1 (en) 2011-03-29 2012-10-04 California Institute Of Technology Method to increase the capacitance of electrochemical carbon nanotube capacitors by conformal deposition of nanoparticles
JP5176001B1 (ja) * 2011-03-30 2013-04-03 積水化学工業株式会社 樹脂複合材料
EP2746337B1 (en) * 2011-08-19 2017-10-04 Sekisui Chemical Co., Ltd. Carbon fiber composite material
JP5859277B2 (ja) * 2011-11-02 2016-02-10 ニッタ株式会社 カーボンナノチューブ複合材およびカーボンナノチューブ複合材の製造方法
WO2013083999A2 (en) * 2011-12-08 2013-06-13 Nanoridge Materials, Incorporated Nano-enhanced elastomers
CN102585335B (zh) * 2012-03-14 2013-05-22 吉林大学 一种聚乙烯/石墨烯导电复合材料的制备方法
CN103383909B (zh) * 2012-05-04 2015-11-25 清华大学 场发射装置
US9349543B2 (en) 2012-07-30 2016-05-24 California Institute Of Technology Nano tri-carbon composite systems and manufacture
KR101664820B1 (ko) * 2013-07-26 2016-10-12 롯데케미칼 주식회사 탄소나노튜브 분리막 및 그 제조방법
WO2015015758A1 (ja) * 2013-07-31 2015-02-05 日本ゼオン株式会社 カーボンナノチューブ分散液の製造方法、複合材料用組成物の製造方法および複合材料の製造方法、並びに、複合材料および複合材料成形体
US9718914B2 (en) * 2015-08-31 2017-08-01 Palo Alto Research Center Incorporated Mechanically robust linked particle networks
JP6610236B2 (ja) * 2015-12-21 2019-11-27 東洋インキScホールディングス株式会社 カーボンナノファイバー含有架橋性組成物、および、カーボンナノファイバー複合体
EP3397590B1 (en) * 2015-12-29 2020-06-17 SABIC Global Technologies B.V. Polymer coated multiwall carbon nanotubes
TW202003378A (zh) * 2018-05-25 2020-01-16 荷蘭商碳素X股份有限公司 包含奈米碳纖維之碳網絡的用途
WO2022220052A1 (ja) * 2021-04-12 2022-10-20 ユニチカ株式会社 ポリアミド樹脂組成物
JP7112804B1 (ja) * 2021-04-12 2022-08-04 ユニチカ株式会社 ポリアミド樹脂組成物

Family Cites Families (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0287138B1 (en) * 1987-03-26 1991-08-28 Akzo N.V. Non-dusting, electrically conductive carbon black, a process for the preparation thereof and synthetic compositions containing this carbon black
US5106680A (en) * 1990-05-08 1992-04-21 Hoechst Celanese Corporation Adhesion between carbon fibers and thermoplastic matrix materials in carbon fiber composites by using multifunctional amine and azo compounds as bridging agents
IL109497A (en) * 1993-05-05 1998-02-22 Hyperion Catalysis Int Three-dimensional macroscopic clusters of randomly arranged charcoal fibrils and products containing these
JPH07102112A (ja) 1993-09-10 1995-04-18 Hyperion Catalysis Internatl Inc 熱可塑性エラストマー組成物および樹脂組成物
KR100469868B1 (ko) 1996-03-06 2005-07-08 하이페리온 커탤리시스 인터내셔널 인코포레이티드 작용화된나노튜브
US5968650A (en) * 1997-11-03 1999-10-19 Hyperion Catalysis International, Inc. Three dimensional interpenetrating networks of macroscopic assemblages of randomly oriented carbon fibrils and organic polymers
US6426134B1 (en) * 1998-06-30 2002-07-30 E. I. Du Pont De Nemours And Company Single-wall carbon nanotube-polymer composites
US6630772B1 (en) * 1998-09-21 2003-10-07 Agere Systems Inc. Device comprising carbon nanotube field emitter structure and process for forming device
NZ511221A (en) 1998-10-23 2003-08-29 Pirelli Cables & Systems Llc Crosslinked conducting polymer composite materials
DE60037439T2 (de) 1999-01-20 2008-12-04 Cabot Corp., Boston Aggregate mit anhaftenden polymergruppen und polymerschäume
KR100754060B1 (ko) * 2000-03-23 2007-08-31 더루우브리졸코오포레이션 카본 블랙 커플러
US6673136B2 (en) * 2000-09-05 2004-01-06 Donaldson Company, Inc. Air filtration arrangements having fluted media constructions and methods
US6682677B2 (en) * 2000-11-03 2004-01-27 Honeywell International Inc. Spinning, processing, and applications of carbon nanotube filaments, ribbons, and yarns
KR20030091977A (ko) * 2001-01-29 2003-12-03 윌리엄 마쉬 라이스 유니버시티 디아조늄종을 가진 탄소 나노튜브 유도 공정 및 조성물
US6782154B2 (en) * 2001-02-12 2004-08-24 Rensselaer Polytechnic Institute Ultrafast all-optical switch using carbon nanotube polymer composites
AU2002254367B2 (en) * 2001-03-26 2007-12-06 Eikos, Inc. Coatings containing carbon nanotubes
US6872681B2 (en) * 2001-05-18 2005-03-29 Hyperion Catalysis International, Inc. Modification of nanotubes oxidation with peroxygen compounds
JP4207398B2 (ja) * 2001-05-21 2009-01-14 富士ゼロックス株式会社 カーボンナノチューブ構造体の配線の製造方法、並びに、カーボンナノチューブ構造体の配線およびそれを用いたカーボンナノチューブデバイス
WO2002098991A1 (en) * 2001-06-01 2002-12-12 The Lubrizol Corporation Substrates with modified carbon surfaces
EP1401943A1 (en) * 2001-06-01 2004-03-31 The Lubrizol Corporation Substrates with modified carbon surfaces in composites
US20030089893A1 (en) * 2001-10-29 2003-05-15 Hyperion Catalysis International, Inc. Polymers containing functionalized carbon nanotubes
JP3862075B2 (ja) * 2001-10-31 2006-12-27 学校法人日本大学 樹脂組成物、それを用いた積層体、自動車用部品およびそれらの製造方法
JP2004315253A (ja) * 2003-04-11 2004-11-11 Mitsubishi Engineering Plastics Corp カーボンナノチューブの架橋方法
US7652084B2 (en) * 2003-09-05 2010-01-26 The Reseach Foundation of State University of New York Nanocomposite fibers and film containing polyolefin and surface-modified carbon nanotubes
US8048940B2 (en) * 2004-07-09 2011-11-01 Vanderbilt University Reactive graphitic carbon nanofiber reinforced polymeric composites showing enhanced flexural strength

Also Published As

Publication number Publication date
US8052952B2 (en) 2011-11-08
US20050170169A1 (en) 2005-08-04
JP2005133062A (ja) 2005-05-26
EP1522552B1 (en) 2010-07-07
EP1522552A1 (en) 2005-04-13
US7695769B2 (en) 2010-04-13
DE602004027978D1 (de) 2010-08-19
US20100137502A1 (en) 2010-06-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4945888B2 (ja) 複合体およびその製造方法
JP4380282B2 (ja) カーボンナノチューブ複合構造体の製造方法
JP4412052B2 (ja) 複合材およびその製造方法
JP4449387B2 (ja) 複合材の製造方法
US7081429B2 (en) Gas decomposing unit, electrode for a fuel cell, and method of manufacturing the gas decomposing unit
JP4419507B2 (ja) コンデンサの製造方法
JPWO2004058899A1 (ja) 混合液、構造体、および構造体の形成方法
JP4062346B2 (ja) カーボンナノチューブ膜およびその製造方法、並びにそれを用いたキャパシタ
KR101321099B1 (ko) 탄소나노입자가 도입된 에폭시수지기반 전기 발열 복합필름 및 그 제조방법
Chen et al. Synthesis of poly (L‐lactide)‐functionalized multiwalled carbon nanotubes by ring‐opening polymerization
CN1898804B (zh) 整流元件、使用该整流元件的电子电路以及整流元件的制造方法
US7943110B2 (en) Crosslinked carbon nanotube
JP2005276498A (ja) 電子線発生素子とその製造方法
JP2005096024A (ja) ワイヤとその製造方法および該ワイヤを用いた電磁石
KR20060011824A (ko) 카본 나노튜브 디바이스의 제조 방법
JP2008511741A (ja) 押出しによる導電性熱硬化性樹脂
US20120252297A1 (en) Carbon nanotube fibers/filaments formulated from metal nanoparticle catalyst and carbon source
US7411019B1 (en) Polymer composites containing nanotubes
KR20170036558A (ko) 도전성 복합체 및 이를 제조하기 위한 조성물과 그 제조 방법
CN107987218A (zh) 一种原位聚合改性不饱和聚酯树脂的制备方法
KR20090098350A (ko) MWNT-g-PLA를 포함하는 고분자PLA/MWNT-g-PLA 및 그 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070517

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091106

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100209

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100407

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110329

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110512

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120207

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120220

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150316

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees